JP2019210154A - 結晶の製造方法および導電率の制御方法 - Google Patents

結晶の製造方法および導電率の制御方法 Download PDF

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【課題】煩雑でなくコスト的に良好な、リチウムを含む金属化合物の導電率の制御方法の提供。【解決手段】炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、リチウムを含む金属化合物の結晶1と同じ空間に配置し、結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理し、チタン4および鉄5の比率を変化させて熱処理後の結晶2の導電率を制御する方法。【選択図】図1

Description

本開示は、結晶の製造方法および導電率の制御方法に関する。
結晶として、リチウム(Li)を含む金属化合物の結晶が知られている。リチウムを含む金属化合物の結晶として、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3:以下、「LT」ということがある。)結晶またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶等が知られており、これらは各種の電子デバイス用の圧電基板として広く利用されている。電子デバイスとしては、例えば、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、「SAW」ということがある。)の電気特性を利用して信号処理を行うSAWデバイス等が挙げられる。SAWデバイスは、例えば、LT結晶等からなる圧電基板の上にフォトリソグラフ法により形成された金属パターンからなる電極が設けられた構造となっている。
ところで、LT結晶等からなる圧電基板は、焦電係数が大きく、抵抗が高いという特性を有しており、わずかな温度変化でも表面に電荷が発生し易く、しかも、一旦発生した電荷は蓄積されて外部から除電処理を施さない限り帯電状態が続いてしまう。そのため、LT結晶等から基板(ウエハー)を作製する過程では、静電気放電(スパーク)により基板の表面やエッジに欠けやチッピングが生じ易く、生産性が低くなるという問題があった。
また、SAWデバイスの製造工程では、電極薄膜の形成や、フォトリソグラフィでのプリベイクおよびポストベイク等のいくつかの温度変化をともなう工程がある。そのため、LT結晶等を圧電基板として用いる場合には、SAWデバイスの製造過程において、圧電基板における静電気の発生が問題となる。圧電基板が帯電すると、圧電基板内で静電気放電が生じ、クラックや割れの原因となる。また、形成された電極が、静電気によりショートするおそれもある。
上述した圧電基板の放電による問題を解決する方法として、圧電基板の表面の導電率を高くする方法が種々提案されている。圧電基板の表面の導電率を高くすると、圧電基板の表面に生じた電荷が基板の表面や内部を移動するようになるため、基板の表面や内部における電位差を緩和して局所的な電荷の蓄積による放電現象を抑制することができる。
従来からLT結晶等からなる圧電基板の表面の導電率を高くする方法として、熱処理により圧電基板に還元処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。通常、LT結晶等の導電率は、結晶内に存在する酸素空孔濃度によって変化する。LT結晶等の内部に酸素空孔ができると、一部のタンタル(Ta)イオンの価数が5+から4+に変化し、電気伝導性を生じる。そのため、従来法(特許文献1〜5等)では、還元雰囲気下で熱処理を行うことにより酸素空孔濃度を増加させ、LT結晶等からなる圧電基板の導電率を向上させる試みがなされている。
また、LT結晶等の導電率を向上させすぎると、SAWデバイスにおいては挿入損失が増加する要因となるなど、デバイス特性に悪影響を与えるおそれがある。それゆえ、温度変化で発生した電荷を除去するのに十分で、且つ、デバイス特性に悪影響を与えない範囲で、導電率を最適に制御することが求められる。
導電率の制御方法として、強力に還元させたLT基板で未還元のLT基板を挟み、還元雰囲気中で加熱処理する際、強力に還元させたLT基板と還元処理する未還元のLT基板との間の隙間の間隔を調整する方法が知られている(例えば、特許文献6を参照)。この方法によれば、導電率をある程度制御することが可能である。
しかし、この方法では、LT基板ごとに正確に隙間をあけて処理炉内に設置しなければならず、また、隙間の制御のための調整冶具を導電率ごとに用意しなければならないなど、非常に煩雑な手法となり、コスト的にも良好とは言えなかった。
特開平11−92147号公報 特許第3816903号公報 特開2010−173864号公報 特許第4937178号公報 特許第4789281号公報 特許第4488249号公報
本開示の結晶の製造方法は、炭酸水素カリウムと、チタンおよび鉄のうち少なくとも一方とを、リチウムを含む金属化合物の結晶と同じ空間に配置し、前記結晶を非酸化雰囲気下で熱処理する。
本開示の導電率の制御方法は、炭酸水素カリウムと、チタンおよび鉄のうち少なくとも一方とを、リチウムを含む金属化合物の結晶と同じ空間に配置し、前記結晶を非酸化雰囲気下で熱処理する工程を備える。前記チタンおよび前記鉄の比率を変化させて前記熱処理後の結晶の導電率を制御する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る結晶の製造方法および導電率の制御方法を示す概略図である。 図2は、本開示の第2実施形態に係る結晶の製造方法および導電率の制御方法を示す概略図である。
<結晶の製造方法>
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態に係る結晶の製造方法を詳細に説明する。以下の説明では、リチウムを含む金属化合物の結晶として、金属化合物がLTであるLT結晶を代表させて説明する。
本実施形態では、LT結晶の導電率を簡便、且つ、精度よく制御するうえで、LT結晶を還元する還元剤の還元力を還元剤の組成で制御する。具体的には、還元剤として炭酸水素カリウム(KHCO3)を使用し、還元促進作用がある(金属)チタン(Ti)および還元抑制作用がある鉄(Fe)のうち少なくとも一方をさらに使用する。すなわち、本実施形態の結晶の製造方法は、図1に示すように、炭酸水素カリウム(拡散物質)3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、未処理(熱処理前)のLT結晶1と同じ空間Sに配置し、LT結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理する。
上述した状態でLT結晶1を熱処理すれば、高い還元力が得られることから、導電率を短時間で向上させることができる。その際、チタン4および鉄5の比率を変化させることでLT結晶1の導電率を任意に変化させて熱処理後のLT結晶2の導電率を精度よく制御することが可能となる。すなわち、本実施形態では、還元剤としての組成を炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5とし、チタン4および鉄5の比率を変化させることで炭酸水素カリウム3の還元力を制御し、熱処理後のLT結晶2の導電率を制御する。また、LT結晶1を複数熱処理するときは、導電率を均一に制御することもできる。したがって、本実施形態によれば、焦電荷を中和するための導電率を簡便、且つ、精度よく制御することができる。
得られる熱処理後のLT結晶2によれば、焦電効果によって発生した焦電荷を中和してスパーク等による破損やデバイスの不良を抑制することができ、且つ、デバイスを最適な導電率に制御することで圧電基板の作製やSAWデバイスの製造工程等における歩留りの低下を低減することができる。また、LT結晶2からなる圧電基板は、基板間での導電率のばらつきが小さく、それゆえ、SAWデバイス(SAWフィルタ)を形成したときのSAW速度のばらつきを抑制でき、その結果、特性均一性の高いSAWデバイスを提供することもできる。
熱処理後のLT結晶2の導電率は、例えば、1×10-16S/cm以上1×10-9S/cm以下である。言い換えれば、導電率は、1×10-16S/cm以上1×10-9S/cm以下の範囲でデバイスに応じた最適な値に制御してもよい。また、LT結晶2の導電率は、1×10-13S/cm以上1×10-9S/cm以下であってもよい。LT結晶2の導電率は、1×10-12S/cm以上3×10-10S/cm以下であってもよい。導電率は、例えば、TOA製のDSM−8103を用いて印加電圧500V、温度25℃、湿度50%、3端子法で測定して得られる値である。
LT結晶1を複数熱処理するとき、熱処理後のLT結晶2の導電率のCV(Coefficient of Variation)値(変動係数)は、10%以下であってもよい。CV値の下限値は、4%であってもよい。CV値は、式:(標準偏差σ/平均値)×100から算出される値である。
炭酸水素カリウム3の形態は、例えば、ペースト状、溶液状、固体状、粉状(粉末状)等であってもよい。
チタン4および鉄5の形態は、例えば、粉状等であってもよい。また、チタン4および鉄5は、混合物(混合粉末)の状態で配置してもよい。なお、チタン4および鉄5は、混合せずに別々の状態で配置してもよい。
炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、混合物(混合粉末)の状態で配置してもよい。このように配置すると、同時処理で得られる熱処理後のLT結晶2の導電率を結晶内および結晶間でより均一で、且つ、再現良く処理できる。この効果を高めるうえで、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、均質な混合物の状態で配置してもよい。なお、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5は、混合せずに別々に配置してもよい。
チタン4および鉄5を混合物の状態で配置するときや、炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5を混合物の状態で配置するときは、炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5を粉状の形態にしてもよい。具体的には、混合物の状態で配置可能な程度に炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5を粉状の形態にしてもよく、例えば、平均粒径を100μm以下にしてもよいが、これに限定されない。平均粒径は、例えば、日機装(株)製のマイクロトラック「MT3300EXII」を用いてレーザー回折散乱法で測定して得られる値である。
炭酸水素カリウム3の割合は、LT結晶100質量部に対して0.05質量部以上15質量部以下であってもよい。後述するように、炭酸水素カリウム3をLT結晶1と接するように配置するときは、炭酸水素カリウム3の割合を少なくしてもよい。上述した割合は、熱処理後のLT結晶2の導電率により決定してもよい。
チタン4および鉄5の合計割合は、炭酸水素カリウム3の割合よりも少なくてもよい。このような構成を満たすときは、炭酸水素カリウム3の割合が相対的に多くなることから、炭酸水素カリウム3による還元力を十分に得ることができる。チタン4および鉄5の合計割合は、炭酸水素カリウム100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下であってもよい。上述した割合は、熱処理後のLT結晶2の導電率により決定してもよい。
チタン4および鉄5の比率は、質量比[チタン/(チタン+鉄)]で0以上1.00以下である。質量比が0(ゼロ)は、チタン4および鉄5のうち鉄5のみを配置したことを示す。質量比が1.00は、チタン4および鉄5のうちチタン4のみを配置したことを示す。チタン4および鉄5のうちチタン4の比率を大きくすると、熱処理後のLT結晶2の導電率が高くなる傾向にある。上述した比率は、熱処理後のLT結晶2の導電率により決定してもよい。
チタン4および鉄5の比率は、質量比[チタン/(チタン+鉄)]で0.45よりも大きく1.00以下であってもよい。このような構成を満たすときは、LT結晶2の導電率を高い値に制御することができる。上述した質量比は、0.48以上1.00以下であってもよい。
炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、LT結晶1と非接触の状態で配置してもよい。本実施形態によれば、高い還元力が得られることから、炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5がLT結晶1から離れていても還元することができる。炭酸水素カリウム3、チタン4および鉄5と、LT結晶1とを非接触の状態にすると、例えば、熱処理後のLT結晶2の色ムラ減少(還元性の均質化)や炉内の配置(炉組)の自由度が高まる。
また、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、LT結晶1の近傍に配置してもよい。具体的には、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、LT結晶1との距離が、20mm以下となるように配置してもよい。また、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方は、LT結晶1と接するように配置してもよい。
LT結晶1は、単結晶であってもよい。すなわち、リチウムを含む金属化合物の結晶は、リチウムを含む金属化合物の単結晶であってもよい。
LT結晶1の形態は、例えば、基板状等であってもよい。本実施形態では、LT結晶1の形態が基板状であり、基板状のLT結晶1を複数積層した状態で熱処理する。基板状のLT結晶1(圧電基板)は、例えば、チョクラルスキー法でLTの単結晶棒を育成し、これをスライスすることで得ることができる。基板状のLT結晶1の厚さは、例えば、0.2mm以上1mm以下程度であるが、これに限定されない。なお、上述のようにLT結晶1を複数熱処理するとき、その数は、例えば、2以上200以下であってもよい。
空間Sは、例えば、炉の内部であってもよい。言い換えれば、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、LT結晶1とともに炉の内部に配置し、LT結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理してもよい。本実施形態の空間Sは、外周にヒータ11を備える炉心管10の内部である。
熱処理は、上述のとおり、非酸化雰囲気下で行う。非酸化雰囲気は、雰囲気中に酸素等の酸化性ガスが厳密に存在しない場合に限定されるものではなく、LT結晶1が実質的に酸化されない雰囲気であればよい。例えば、空間Sを減圧雰囲気にした後、非酸化性ガスで置換した状態を、非酸化雰囲気としてもよい。減圧雰囲気における圧力は、通常、50Pa以下であればよいが、減圧する圧力をより低くして、より酸化性ガスを排除したいときは、例えば、20Pa以下にしてもよい。非酸化雰囲気の具体例としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気等が挙げられる。なお、熱処理における雰囲気は、非還元雰囲気であってもよいし、還元雰囲気であってもよい。本実施形態では、熱処理における雰囲気が還元雰囲気でなくても還元処理が可能である。
熱処理の条件は、例えば、次のように設定してもよい。非酸化雰囲気は、窒素、アルゴンおよび水素から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。処理温度は、キュリー温度以下であってもよい。また、処理温度は、500℃以上であってもよい。保持時間は、10分以上であってもよい。また、保持時間は、2時間以下であってもよい。昇温速度は、30℃/時間以上400℃/時間以下であってもよい。降温速度は、30℃/時間以上400℃/時間以下であってもよい。圧力は、大気圧であってもよい。
熱処理後のLT結晶2は、例えば、SAWデバイス用の圧電基板として使用することができる。SAWデバイスは、例えば、LT結晶2からなり表面を鏡面研磨した圧電基板と、この圧電基板の表面に形成された電極とを備え、特定周波数の電気信号を選択的に取り出すフィルタとして使用される。電極は、通常、微細な櫛形電極であり、圧電基板の表面にアルミニウム等からなる電極薄膜を形成し、この電極薄膜をフォトリソグラフィにより所定形状の電極とすることで製造される。具体的には、まず、LT結晶2からなる圧電基板の表面を鏡面研磨する。次に、この表面にスパッタリング法等により電極薄膜を形成する。次に、フォトレジストである有機樹脂を塗布して高温下でプリベイクし、ステッパー等により露光して電極膜のパターンニングを行う。そして、高温下でのポストベイクの後に現像してフォトレジストを溶解し、最後にウエットまたはドライエッチングを施して所定形状の電極を形成する。得られるSAWデバイスは、携帯電話に代表される移動体通信や映像メディア機器において、高周波フィルタ等に好適に使用される。
本実施形態では、リチウムを含む金属化合物の結晶として、LT結晶を代表させて説明したが、LT結晶に代えて、金属化合物がニオブ酸リチウム(以下、「LN」ということがある。)であるLN結晶を、LT結晶と同様にして熱処理してもよい。また、LT結晶およびLN結晶以外の他のリチウムを含む金属化合物の結晶を、LT結晶と同様にして熱処理してもよい。
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る結晶の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と相違する部分を中心として説明する。そのため、第1実施形態と同様の部分については第1実施形態における説明を援用し、説明を省略する。この点は、後述する導電率の制御方法においても同様である。
図2に示すように、空間Sは、例えば、容器の内部であってもよい。言い換えれば、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、LT結晶1とともに容器の内部に収容して密封し、LT結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理してもよい。本実施形態の空間Sは、密封可能な容器12の内部である。
本実施形態では、図2に示すように、容器12(埋没容器)の内部に、基板状のLT結晶1を複数積層した状態で収容するとともに、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、それぞれ粉状(埋没粉)の形態であって混合物の状態で収容して密封する。このとき、隣り合うLT結晶1の間に埋没粉(混合物)が充填されるように、各LT結晶1を埋没粉に埋没させる。そして、この状態でLT結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理する。このような状態でLT結晶1を熱処理しても、第1実施形態と同様のLT結晶2を得ることができる。なお、容器12の材質としては、例えば、ステンレス(SUS316)または石英等が挙げられる。
<導電率の制御方法>
以下、本開示の実施形態に係る導電率の制御方法を詳細に説明する。以下の説明では、リチウムを含む金属化合物の結晶として、金属化合物がLTであるLT結晶を代表させて説明する。
本実施形態の導電率の制御方法は、炭酸水素カリウム3と、チタン4および鉄5のうち少なくとも一方とを、LT結晶1と同じ空間Sに配置し、LT結晶1を非酸化雰囲気下で熱処理する工程を備える。そして、チタン4および鉄5の比率を変化させて熱処理後のLT結晶2の導電率を制御する。本実施形態では、LT結晶1を還元する還元剤の還元力を還元剤の組成で制御することから、焦電荷を中和するための導電率を簡便に制御することができる。また、チタン4および鉄5の比率を変化させることでLT結晶1の導電率を任意に変化させて熱処理後のLT結晶2の導電率を精度よく制御することができる。
その他の構成は、上述した結晶の製造方法と同様である。
以下、実施例を挙げて本開示の実施形態の1つを具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、炭酸リチウムおよび五酸化タンタルの素原料を用いて、チョクラルスキー法で直径約100mmのLTの単結晶棒を育成した。次に、得られたLTの単結晶棒に外周研削、スライスおよび研磨を行い、厚さ200μmの基板状のLT結晶を16枚得た。
次に、いずれも粉状であって平均粒径10μmの炭酸水素カリウム、平均粒径30μmのチタンおよび平均粒径30μmの鉄を準備した。平均粒径は、日機装(株)製のマイクロトラック「MT3300EXII」を用いてレーザー回折散乱法で測定して得た値である。
次に、炭酸水素カリウム、チタンおよび鉄を得られた各LT結晶とともに石英製の炉心管の内部に配置した(図1参照)。このとき、炭酸水素カリウムは、LT結晶の合計100質量部に対して10質量部になる割合で配置した。チタンおよび鉄は、その合計が炭酸水素カリウム100質量部に対して5質量部になる割合で配置した。また、チタンおよび鉄は、質量比[チタン/(チタン+鉄)]が表1に示す割合となるように配置した。さらに、炭酸水素カリウム、チタンおよび鉄は、混合物の状態でLT結晶の近傍に配置した。具体的には、混合物をLT結晶との距離が5mmとなるように配置した。
そして、以下の条件でLT結晶を熱処理した。
雰囲気:窒素ガス雰囲気(非酸化雰囲気)
処理温度:550℃
保持時間:1時間
昇温速度:150℃/時間
降温速度:150℃/時間
圧力:大気圧
熱処理後の各LT結晶の導電率を測定した。導電率は、TOA製のDSM−8103を用いて印加電圧500V、温度25℃、湿度50%、3端子法で測定し、平均値および標準偏差σを算出した。また、得られた平均値および標準偏差σを、式:(標準偏差σ/平均値)×100に当てはめ、CV値(変動係数)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2019210154
1・・・未処理のタンタル酸リチウム結晶
2・・・熱処理後のタンタル酸リチウム結晶
3・・・炭酸水素カリウム
4・・・チタン
5・・・鉄
10・・・炉心管
11・・・ヒータ
12・・・容器
S・・・空間

Claims (10)

  1. 炭酸水素カリウムと、チタンおよび鉄のうち少なくとも一方とを、リチウムを含む金属化合物の結晶と同じ空間に配置し、前記結晶を非酸化雰囲気下で熱処理することを特徴とする結晶の製造方法。
  2. 前記チタンおよび前記鉄の比率が、質量比[チタン/(チタン+鉄)]で0.45よりも大きく1.00以下である請求項1に記載の結晶の製造方法。
  3. 前記熱処理後の結晶の導電率が、1×10-13S/cm以上1×10-9S/cm以下である請求項2に記載の結晶の製造方法。
  4. 前記非酸化雰囲気が、窒素、アルゴンおよび水素から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  5. 前記熱処理における温度が、キュリー温度以下である請求項1〜4のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  6. 前記結晶が、リチウムを含む金属化合物の単結晶である請求項1〜5のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  7. 前記金属化合物が、タンタル酸リチウムである請求項1〜6のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  8. 前記金属化合物が、ニオブ酸リチウムである請求項1〜6のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  9. 前記結晶を複数熱処理する請求項1〜8のいずれかに記載の結晶の製造方法。
  10. 炭酸水素カリウムと、チタンおよび鉄のうち少なくとも一方とを、リチウムを含む金属化合物の結晶と同じ空間に配置し、前記結晶を非酸化雰囲気下で熱処理する工程を備え、
    前記チタンおよび前記鉄の比率を変化させて前記熱処理後の結晶の導電率を制御する導電率の制御方法。
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