JP2004328712A - タンタル酸リチウム基板およびその製造方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電荷が基板表面にチャージアップして発生するスパークにより、基板表面に形成した櫛形パターンが破壊されたり、さらには基板の割れ等が発生することがなく、また、フォトリソグラフ工程で、基板内を透過した光が、基板裏面で反射されて表面に戻り、形成された櫛形パターンの解像度を悪化させることのないLT基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 タンタル酸リチウム(LT)結晶を用いてLT基板を製造する工程において、結晶育成後の冷却過程、熱歪み除去のための熱処理工程およびポーリング処理工程のいずれかで、LT結晶を低酸素濃度雰囲気下で、1200〜1650℃の保持温度で、4時間以上、熱処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面弾性波素子などに用いられるタンタル酸リチウム(LT)基板およびその製造方法に関する。
LT結晶は、融点が約1650℃、キュリー温度が約600℃の強誘電体である。このLT結晶を用いて製造されたLT基板の用途は、主に携帯電話の信号ノイズ除去用の表面弾性波(SAW)フィルタ用材料である。
携帯電話の高周波化、各種電子機器の無線LANであるBluetooth(2.45GHz)の普及などにより、2GHz前後の周波数領域のSAWフィルターが、今後、急増すると予測されている。
SAWフィルタは、LT基板などの圧電材料の基板上に、AlCu合金などの金属薄膜で1対の櫛形電極を形成した構造となっている。この櫛形電極が、デバイスの極性を左右する重要な役割を担っている。櫛形電極は、スパッタにより圧電材料上に金属薄膜を成膜した後、1対の櫛形パターンを残し、フォトリソグラフ技術により不要な部分をエッチング除去することにより形成される。
より高周波に対応するためには、櫛形パターンを微細に、かつ、薄くする必要があり、2GHz前後の周波数領域のデバイスでは、現在の主力である800MHz前後の周波数領域のデバイスに比べ、電極間距離が約1/3の0.3μm〜0.4μm、膜厚が1/5以下の200nm以下程度となる。
上記LT結晶は、産業的には、主にチョコラルスキー法で、通常、高融点のイリジウムるつぼを用い、酸素濃度が数%〜10%程度の窒素−酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成され、電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出される(Albert A. Ballman:Journal of American Ceramic Society, Vol.48 (1965))。
育成されたLT結晶は、無色透明もしくは透明感の高い淡黄色を呈している。育成後、熱応力による結晶の残留歪みを取り除くために、融点に近い均熱下で熱処理(アニール)を結晶に対して行う。さらに、単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LT結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、LT結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理の後、外形を整えるために外周研削されたLT結晶のインゴットは、スライス、ラップ、ポリッシュ工程等の機械加工を経て、LT基板となる。最終的に得られたLT基板は、ほぼ無色透明であり、電気伝導度は、およそ10-13S/m程度である。
このような従来の方法で得られたLT基板では、表面弾性波素子の製造プロセスで受ける温度変化によって、LT結晶の特性である焦電性のために電荷がLT基板の表面にチャージアップしてスパークが発生しやすい。該スパークにより、LT基板の表面に形成した櫛形パターンが破壊され、さらにはLT基板に割れ等が発生し、表面弾性波素子の製造プロセスでの歩留まり低下が起きている。
また、LT基板の高い光透過率は、表面弾性波素子の製造プロセスの1つであるフォトリソグラフ工程で、LT基板内を透過した光が、LT基板の裏面で反射されて表面に戻り、形成された櫛形パターンの解像度を悪化させるという問題も生じさせている。
これらの問題を解決するために、特開平11−92147号公報、特開平11−236298号公報において、ニオブ酸リチウム(LN)結晶を500℃〜1140℃の範囲内で、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、および、これらから選択されたガスの組合せのいずれかである還元性雰囲気に晒すことにより、該結晶のウェハを黒化させてLN基板の高い光透過率を抑制するとともに、電気伝導度を高くすることにより、LN基板の裏面からの戻り光を抑制し、同時に焦電性を低減することが述べられている。
これらの公報では、LN結晶のみならずLT結晶をも対象としているが、LT結晶については実質的に何らの開示がない。
また、本発明者等の実験によれば、これらの公報に記載された方法は、1250℃程度と融点が低いLN結晶に対しては有効ではあったが、1650℃と融点が高いLT結晶に対しては、効果のないことが確認された。
特開平11−92147号公報
特開平11−236298号公報
Albert A. Ballman:Journal of American Ceramic Society, Vol.48 (1965)
本発明の目的は、表面弾性波素子の製造プロセスで受ける温度変化によって、電荷がLT基板表面にチャージアップしてスパークが発生し、該スパークにより、LT基板の表面に形成した櫛形パターンが破壊されたり、さらにはLT基板の割れ等が発生するのを防止することである。
また、本発明の他の目的は、フォトリソグラフ工程で、基板内を透過した光が、基板裏面で反射されて表面に戻り、櫛形パターンの解像度を悪化させることのないLT基板の製造方法を提供することにある。
本発明の製造方法では、引き上げ法で育成したタンタル酸リチウム結晶を用いて、タンタル酸リチウム結晶を低酸素濃度雰囲気下で、1200〜1650℃の保持温度で熱処理する(熱履歴を有する)ことにより、タンタル酸リチウム基板を製造する。
低酸素濃度雰囲気は、酸素濃度2%以下の窒素−酸素混合ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、真空雰囲気のいずれかから選択されることが好ましい。
また、前記熱処理を4時間以上行うことが好ましい。
前記熱処理は、製造工程中のいずれの段階で行ってもよいが、結晶育成後の冷却過程、熱歪み除去のための熱処理工程、ポーリング処理工程のいずれかで行うことが好ましい。
本発明により、表面弾性波素子の製造プロセスにおける歩留まりを向上できる。すなわち、表面弾性波素子の製造プロセスで受ける温度変化によって、電荷が基板表面にチャージアップしてスパークが発生し、該スパークにより、LT基板の表面に形成した櫛形パターンが破壊されたり、さらには基板の割れ等が発生することが無い。また、LT基板を得るに際し、フォトリソグラフ工程で、基板内を透過した光が、基板裏面で反射されて表面に戻り、櫛形パターンの解像度を悪化させることが無い。
タンタル酸リチウム(LT)結晶は、該LT結晶内に存在する酸素空孔濃度によって、電気伝導度と色が変化する。LT結晶中に酸素空孔が導入されると、チャージバランスをとる必要から、一部のTaイオンの価数が5+から4+に変わり、電気伝導性を生じると同時に光吸収を起こす。
電気伝導は、キャリアである電子がTa5+イオンとTa4+イオンの間を移動するために生ずると考えられる。結晶の電気伝導度は、単位体積あたりのキャリア数とキャリアの移動度の積で決まる。移動度が同じであれば、電気伝導度は酸素空孔数に比例する。光吸収による色変化は、酸素空孔により導入された電子レベルによるものと考えられる。
酸素空孔数の制御は、いわゆる「雰囲気下熱処理」により行われる。特定温度に置かれた結晶中の酸素空孔温度は、その結晶が置かれている雰囲気の酸素ポテンシャル(酸素濃度)と平衡するように変化する。雰囲気の酸素濃度が低くなれば、酸素空孔濃度は増加する。また、温度を高くしても、一般に酸素空孔濃度は増加する。したがって、酸素空孔濃度を増やし、不透明度を上げるためには、高温にし、かつ、雰囲気の酸素濃度を下げればよい。
LT結晶は、結合イオン性が強いので空孔の拡散速度は比較的速い。しかし、酸素空孔濃度の変化には、酸素の結晶内拡散を要するので、一定時間(4時間以上)、結晶を雰囲気中に保持する必要がある。この拡散速度は、温度に大きく依存し、室温近傍では現実的な時間での酸素空孔濃度の変化は起きない。したがって、短時間で不透明LT結晶を得るには、十分な酸素拡散速度を得られる高温で、低酸素濃度雰囲気中に結晶を保持する必要がある。
熱処理温度を1200℃〜1650℃とする理由は、後述のように1200℃以上で黒化が観察されるからである。また、LT結晶の融点が1650℃だからである。
高温で処理した後、結晶を速やかに冷却すれば、高温で導入された酸素空孔濃度を保ったままの結晶を室温で得ることができる。
焦電効果は、結晶温度が変化することによって生ずる格子の変形に起因する。電気双極子を持つ結晶では、双極子間の距離が温度で変化するために生じると理解できる。焦電効果は、電気抵抗の高い材料のみで生じる。イオンの変位により、結晶表面には双極子方向に電荷を生じるが(LT結晶ではZ方向)、電気抵抗の低い材料では、この電荷は結晶自身の持つ電気伝導性のために中和されてしまう。通常の透明LT結晶は、電気伝導性が10-13S/mのレベルであるために焦電効果が顕著に現れる。しかし、不透明LT結晶では、電気伝導性が10-8S/m程度まで向上するため、焦電性が見られなくなる。
本発明によれば、ほとんど無色透明なLT結晶も、雰囲気下熱処理の雰囲気の酸素分圧が保持温度における平衡酸素分圧よりも十分に低ければ、有色不透明化(黒化という)し、電気伝導度は向上することになる。観察された有色不透明の色調は、透過光では赤褐色系に、反射光では黒色に見えるため、この有色不透明化現象をここでは「黒化」と呼ぶ。
LT結晶は、産業的には、主にチョコラルスキー法で、通常、高融点のイリジウムるつぼを用い、酸素濃度が数%〜10%程度の窒素−酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成される。
前記「雰囲気下熱処理」の雰囲気としては、水素ガス雰囲気、水素−窒素混合ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、一酸化炭素ガス雰囲気、酸素濃度2%以下の窒素−酸素混合ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気および真空雰囲気のいずれも適用できるが、雰囲気下熱処理工程を、育成から基板切断までの他の工程に追加するには、設備上のマッチング、設備コスト、あるいはガスのランニングコスト等の経済的観点から、酸素濃度2%以下の窒素−酸素混合ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気および真空雰囲気から選択することが望ましい。
「雰囲気下熱処理」は、結晶育成後の冷却過程の中、熱歪み除去の熱処理工程の中、ポーリング処理工程の中、熱歪み除去の熱処理工程とポーリング処理工程との間や、基板切断前のインゴットの状態、あるいは切断後のLT基板の状態等のように、引き上げ法で育成したLT結晶を用いてLT基板を製造する工程の随所で、実施できる。それらの中でも、育成時を除いて最も高い温度での処理が容易にできる結晶育成後の冷却過程での雰囲気下熱処理、あるいは熱のかかる最後の工程であるポーリング処理時の雰囲気下熱処理が、好ましい。
本発明で行った雰囲気下熱処理の効果として、LT結晶の焦電性が見られなくなったか否かを判定する実用的な方法には、実際の表面弾性波素子製造プロセスにおいて、LT基板が受ける温度変化を模して行う熱サイクル試験がある。LT基板に、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクルを与えた場合、従来技術によるLT基板では、基板表面でスパークが観察される。熱サイクル試験を育成後のLT結晶で行うと、発生するスパークのために結晶が割れてしまう破壊試験となるため、製造工程での熱サイクル試験の実施は難しい。
一方、黒化したLT基板では、基板表面でスパークが観察されない。
したがって、「黒化」の有無の判定が、LT結晶の実用的な判定方法としては有用である。
図1に、所定の熱処理温度と、LT結晶を所定の低酸素濃度雰囲気中に保持した時間(熱処理時間)とによる黒化の有無を観察した結果を示す。低酸素濃度雰囲気下において、熱処理温度を1000℃以下とした場合、熱処理を16時間行っても黒化は観察されなかった。一方、熱処理温度を1200℃以上とした場合に、低酸素濃度雰囲気下の熱処理により黒化が観察された。このことから、1200℃以上の熱処理温度が黒化に有効であるが、熱処理温度の上限は、LT結晶の融点(1650℃)により制限される。なお、熱処理を4時間以上行うことで、黒化が明らかに観察されることから、雰囲気下熱処理を4時間以上行うことが好ましい。
(実施例1)
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径4インチ(101.6mm)のLT結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素−酸素混合ガスとした。
育成後の冷却過程において、1500℃で温度を保持し、かつ、雰囲気を酸素濃度1.6%の窒素−酸素混合ガスに切り替えて、黒化の熱処理を行った。1500℃での保持時間は4時間とした。
その後、雰囲気を酸素濃度1.6%の窒素−酸素混合ガスに保ったまま、室温まで冷却を行った後、LT結晶を取り出した。得られたLT結晶は、不透明な赤褐色であった。
このLT結晶を、熱歪み除去のための熱処理(窒素雰囲気、1400℃、40時間)を行い、さらに、単一分極とするためのポーリング処理(窒素雰囲気、650℃、2時間)を行った後、外周研削、スライス、鏡面研磨を行ってLT基板とした。得られたLT基板は、不透明な赤褐色であった。
得られたLT基板に対して、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクル試験を行った。その結果、スパークする現象は全く見られなかった。
さらに、得られたLT基板のキュリー温度は603℃であり、表面弾性波速度は4150m/秒であり、表面弾性波素子特性に影響する物性値は、従来品のLT基板と同様であった。
(実施例2)
育成後の冷却工程における熱処理温度を、1400℃とした以外は、実施例1と同様に処理および試験を行った。得られたLT基板に関して、実施例1と同様な結果が得られた。
(実施例3)
育成後の冷却工程における熱処理温度を、1580℃とした以外は、実施例1と同様に処理および試験を行った。得られたLT基板に関して、実施例1と同様な結果が得られた。
(実施例4)
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径101.6mm(4インチ)のLT結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素−酸素混合ガスとした。得られた結晶は、透明淡黄色であった。
得られたLT結晶を、熱歪み除去と黒化のための熱処理を行った。熱処理の雰囲気は窒素ガスとし、1400℃の温度で40時間、保持した。熱処理後のLT結晶は、不透明な赤褐色であった。
その後、単一分極とするためのポーリング処理(窒素雰囲気、650℃、2時間)を行った後、外周研削、スライス、鏡面研磨を行ってLT基板とした。得られたLT基板は、不透明な赤褐色であった。
得られたLT基板に対して、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクル試験を行った。その結果、スパークする現象は全く見られなかった。
さらに、得られたLT基板のキュリー温度は603℃であり、表面弾性波速度は4150m/秒であり、表面弾性波素子特性に影響する物性値は、従来品のLT基板と同様であった。
(実施例5)
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径4インチ(101.6mm)のLT結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素−酸素混合ガスとした。得られた結晶は、透明淡黄色であった。
得られたLT結晶を、熱歪み除去のための熱処理(大気雰囲気、1400℃、40時間)を行った。熱処理後のLT結晶は、透明淡黄色であった。
その後、得られたLT結晶に対して、黒化のためと、単一分極とするためのポーリング処理(窒素雰囲気)を行った。条件は、室温から1200℃まで昇温し、1200℃で10時間、保持した後に、電圧を印加し、電圧を印加したまま550℃まで降温した。その後、電圧印加を停止して、室温まで冷却した。得られたLT結晶は、不透明な赤褐色であった。
その後、外周研削、スライス、鏡面研磨を行ってLT基板とした。得られたLT基板は、不透明な赤褐色であった。
得られたLT基板に対して、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクル試験を行った。その結果、スパークする現象は全く見られなかった。
さらに、得られたLT基板のキュリー温度は603℃であり、表面弾性波速度は4150m/秒であり、表面弾性波素子特性に影響する物性値は、従来品のLT基板と同様であった。
(実施例6)
ポーリング処理時間を30時間とした以外は、実施例5と同様に処理および試験を行った。得られたLT基板に関して、実施例5と同様な結果が得られた。
(実施例7)
熱歪み除去のための熱処理を、真空雰囲気下で、1200℃の温度で10時間、保持したこと以外は、実施例4と同様に処理および試験を行った。得られたLT基板に関して、実施例4と同様な結果が得られた。
(実施例8)
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径4インチ(101.6mm)のLT結晶の育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約3%の窒素−酸素混合ガスとした。得られた結晶は、透明淡黄色であった。
得られたLT結晶を、熱歪み除去と黒化のための熱処理を行った。熱処理の雰囲気は一酸化炭素ガスとし、1600℃の温度で10時間、保持した。熱処理後のLT結晶は、不透明な赤褐色であった。
その後、単一分極とするためのポーリング処理(窒素雰囲気、650℃、2時間)を行った後、外周研削、スライス、鏡面研磨を行ってLT基板とした。得られたLT基板は、不透明な赤褐色であった。
得られたLT基板に対して、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクル試験を行った。その結果、スパークする現象は全く見られなかった。
さらに、得られたLT基板のキュリー温度は603℃であり、表面弾性波速度は4150m/秒であり、表面弾性波素子特性に影響する物性値は、従来品のLT基板と同様であった。
(比較例1〜3)
工程中において、本発明による黒化の熱処理を行わなかった以外は、実施例1〜8と同様に、結晶育成、熱歪み処理工程およびポーリング工程を行った。なお、熱歪みのための熱処理(大気雰囲気、1400℃、40時間)、ポーリング処理(大気雰囲気、650℃、2時間)であった。
得られたLT結晶は、いずれの工程後も透明淡黄色であった。その後、同様に外周研削、スライス、鏡面研磨を行って、LT基板を得た。得られたLT基板は無色透明であり、キュリー温度は603℃であり、表面弾性波速度は4150m/秒であった。
LT基板を、窒素ガス雰囲気下で熱処理温度を1000℃(比較例1)、800℃(比較例2)、580℃(比較例3)の3水準をとり、雰囲気下熱処理を8時間行った。処理後のLT基板に黒化は見られなかった。
処理済みのLT基板に対して、室温から200℃まで10℃/分で昇温し、その後、10℃/分で室温まで冷却する熱サイクル試験を行った。その結果、いずれのLT基板でも、基板表面で、激しくスパークする現象が見られた。
図1に、実施例1〜8、比較例1〜3について、窒素ガス雰囲気下でのLT結晶および基板を対象とした熱処理温度、その温度に保持した時間(熱処理時間)と黒化の有無の関係をグラフで示す。グラフ中で、○は黒化したことを、×は黒化しなかったことをそれぞれ示す。
窒素ガス雰囲気下でのLT結晶およびLT基板を対象とした熱処理温度、その温度に保持した時間(熱処理時間)と黒化の有無の関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 低酸素濃度雰囲気下で、1200〜1650℃の保持温度で熱処理された熱履歴を有するタンタル酸リチウム基板。
  2. 前記低酸素濃度雰囲気が、酸素濃度2%以下の窒素−酸素混合ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、真空雰囲気のいずれかから選択される請求項1に記載のタンタル酸リチウム基板。
  3. 前記熱処理を4時間以上施した請求項1または2に記載のタンタル酸リチウム基板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理により黒化したタンタル酸リチウム基板。
  5. 引き上げ法で育成したタンタル酸リチウム結晶を用いて基板を製造する方法において、タンタル酸リチウム結晶を低酸素濃度雰囲気下で、1200〜1650℃の保持温度で熱処理するタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  6. 前記低酸素濃度雰囲気が、酸素濃度2%以下の窒素−酸素混合ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、真空雰囲気のいずれかから選択される請求項5に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  7. 前記熱処理を4時間以上行う請求項5または6に記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  8. 前記熱処理が、結晶育成後の冷却過程で行われる請求項5〜7のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  9. 前記熱処理が、熱歪み除去のための熱処理工程で行われる請求項5〜7のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
  10. 前記熱処理が、ポーリング処理工程で行われる請求項5〜7のいずれかに記載のタンタル酸リチウム基板の製造方法。
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