JP2019209670A - 重防食被覆鋼材及びその製造方法 - Google Patents

重防食被覆鋼材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】海洋環境下においても防食被覆や保護被覆の端部の剥離が生じにくい優れた耐衝撃性を有する重防食被覆鋼材を提供する。【解決手段】鋼材表面に下層側から順に第1プライマー層A1、防食被覆層B、第2プライマー層A2、保護被覆層Cが積層した複合被覆を有し、この複合被覆の端部は、プライマー層A1,A2が防食被覆層Bの端部よりも外側に延伸した延伸部A10,A20を有し、それらが面接着することにより、防食被覆層Bの端部がプライマー層A1,A2間に封入され、且つ保護被覆層Cの端部がプライマー層A1,A2の延伸部A10,A20を介して鋼材に接着された被覆構造を有する。複合被覆の端部において、防食被覆層Bの剥離の起点となり得る端部箇所が存在せず、且つ保護被覆層Cの端部がプライマー層A1,A2の延伸部A10,A20を介して直に鋼材1に接着されるため、被覆端部の高い接着性が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、重防食被覆を有する鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板などのような重防食被覆鋼材に関するものである。
厳しい腐食環境である海洋環境において使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板などの鋼材には、ポリエチレンやポリウレタンなどによる重防食被覆が施される。このような重防食被覆鋼材は優れた防食性能を有し、また比較的安価に製造することが可能であるが、海洋における漂流物や係留物などの衝突により防食被覆(樹脂被覆層)が損傷を受け易いという問題がある。漂流物や係留物などの衝突により防食被覆が損傷して鋼材表面に達する疵が発生すると、その衝突疵を起点に鋼材の腐食が発生し、防食被覆による防食性能の著しい低下を引き起こす。このため、重防食被覆鋼材には優れた耐衝撃性が求められる。
従来、耐衝撃性を向上させるために、防食被覆の上層にガラス繊維強化樹脂による保護被覆層を設けた重防食被覆鋼材が使用されている(例えば特許文献1)。しかし、このような従来の重防食被覆鋼材は、防食被覆の端部の接着性が低く、衝撃を受けると端部からの剥離が発生しやすいという問題がある。また、ガラス繊維強化樹脂による保護被覆層についても、端部近傍への衝撃や長期使用によって界面接着力が低下すると、端部からの剥離・脱落という問題を生じる。
このような問題に対して、特許文献2には、防食被覆の端部外側の鋼材面の一部に固定用の突起を設け、その突起をガラス繊維強化樹脂による保護被覆層で覆うことで保護被覆層の端部を機械的に固定し、被覆端部の剥離を防止するようにした重防食被覆鋼材が提案されている。
特開平11−291393号公報 特開2000−167985号公報
しかし、特許文献2の重防食被覆鋼材は、鋼材面に固定用の突起を設けるため製造コストが高く、突起を含めた被覆を設ける際の施工性も低いため、低コストで効率的に製造できる重防食被覆鋼材とは言い難い。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、漂流物や係留物などが頻繁に衝突する海洋環境下においても衝撃などによる被覆端部の剥離が生じにくく、しかも低コストで効率的に製造することができる重防食被覆鋼材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく重防食被覆鋼材の被覆端部の構造について検討を重ねた結果、下層(鋼材)側から順に第1プライマー層、ポリウレタンなどからなる防食被覆層、第2プライマー層、ガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層が積層した複合被覆について、特定の端部処理を行うこと、具体的には、第1及び第2プライマー層に防食被覆層の端部よりも外側に延伸した延伸部を設けて両延伸部を面接着させることにより、防食被覆層の端部が第1及び第2プライマー層間に封入され、且つ保護被覆層の端部が第1及び第2プライマー層の前記延伸部を介して鋼材に接着された被覆構造とすることにより、衝撃による端部からの剥離を生じにくい被覆構造を実現できることが判った。
また、第2プライマー層の前記延伸部が面接着する第1プライマー層の前記延伸部の表面を粗面加工面とすることにより、両延伸部の接着性が向上し、端部からの剥離がより生じにくい被覆構造が得られることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]鋼材表面に、下層側から順に第1プライマー層(A1)、ポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層(B)、第2プライマー層(A2)、ガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層(C)が積層した複合被覆を有し、
該複合被覆の端部は、第1プライマー層(A1)が防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸した延伸部(A10)を有するとともに、第2プライマー層(A2)が防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸して第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)(但し、当該延伸部(A10)の延伸方向の少なくとも一部)と面接着した延伸部(A20)を有することにより、防食被覆層(B)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)間に封入され、且つ保護被覆層(C)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)の延伸部(A10),(A20)を介して鋼材に接着された被覆構造を有することを特徴とする重防食被覆鋼材。
[2]上記[1]の重防食被覆鋼材において、第2プライマー層(A2)の延伸部(A20)が面接着した第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)の表面の少なくとも一部が粗面加工面(A100)であることを特徴とする重防食被覆鋼材。
[3]上記[1]又は[2]の重防食被覆鋼材において、さらに、複合被覆は、最上層として樹脂層(D)を有することを特徴とする重防食被覆鋼材。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの重防食被覆鋼材において、鋼材が鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板のいずれかであることを特徴とする重防食被覆鋼材。
[5]鋼材に複合被覆を形成する工程として、鋼材表面に第1プライマー層(A1)を形成する工程(i)と、第1プライマー層(A1)の上層にポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層(B)を形成する工程(ii)と、防食被覆層(B)の上層に第2プライマー層(A2)を形成する工程(iii)と、第2プライマー層(A2)の上層にガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層(C)を形成する工程(iv)を有し、
工程(i)及び(ii)では、第1プライマー層(A1)に防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸する延伸部(A10)が生じるように、第1プライマー層(A1)と防食被覆層(B)を形成し、
工程(iii)では、第2プライマー層(A2)に防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸して第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)(但し、当該延伸部(A10)の延伸方向の少なくとも一部)と面接着する延伸部(A20)が生じるように、第2プライマー層(A2)を形成することにより、
複合被覆の端部を、防食被覆層(B)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)間に封入され、且つ保護被覆層(C)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)の延伸部(A10),(A20)を介して鋼材に接着された被覆構造を有するように形成することを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
[6]上記[5]の製造方法において、さらに、第2プライマー層(A2)の延伸部(A20)が面接着する第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)の表面の少なくとも一部に粗面加工を施し、粗面加工面(A100)とする工程(ii’)を有することを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
[7]上記[6]の製造方法において、工程(ii’)において延伸部(A10)の表面に施す粗面加工は、サンドペーパーによるやすりがけ加工であることを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
[8]上記[5]〜[7]のいずれかの製造方法において、さらに、複合被覆の最上層として樹脂層(D)を形成する工程(v)を有することを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
[9]上記[5]〜[8]のいずれかの製造方法において、鋼材が鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板のいずれかであることを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
本発明の重防食被覆鋼材は、漂流物や係留物などが頻繁に衝突する海洋環境下においても衝撃などによる被覆端部の剥離が生じにくく、しかも低コストで効率的に製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような重防食被覆鋼材を安定して製造することができる。
本発明を鋼管杭に適用した場合の一実施形態について、被覆端部付近の鋼材長手方向断面を模式的に示す断面図 本発明を鋼管杭に適用した場合の他の実施形態について、被覆端部付近の鋼材長手方向断面を模式的に示す断面図 本発明を鋼矢板に適用した場合の一実施形態について、鋼材幅方向断面の一部を模式的に示す断面図
図1は、本発明を鋼管杭に適用した場合の一実施形態について、被覆端部付近の鋼材長手方向断面を模式的に示した断面図である。
この重防食被覆鋼材は、鋼材1の表面に、下層側から順に第1プライマー層A1、ポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層B、第2プライマー層A2、ガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層Cが積層した複合被覆2を有している。さらに、この複合被覆2は、必要に応じて最上層として樹脂層Dを有することができる。
この実施形態は鋼管杭であるため、複合被覆2は鋼管長手方向における所定範囲の管外周面に形成されており、したがって、複合被覆2の端部20は、複合被覆2の鋼管長手方向両端であり、且つ管周方向に沿った端部となる。
この複合被覆2の端部20では、第1プライマー層A1が防食被覆層Bの端部bよりも外側に延伸した延伸部A10を有するとともに、第2プライマー層A2が防食被覆層Bの端部bよりも外側に延伸して第1プライマー層A1の延伸部A10と面接着した延伸部A20を有しており、これにより、防食被覆層Bの端部bが第1及び第2プライマー層A1,A2間に封入された被覆構造(換言すると、防食被覆層Bの端部bが第1及び第2プライマー層A1,A2に包囲された被覆構造)であって、且つ保護被覆層Cの端部cが防食被覆層Bの端部bを乗り越えるようにして第2プライマー層A2の延伸部A20上に位置し、防食被覆層Bを介することなく、第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20を介して鋼材1に接着された被覆構造となっている。
なお、本実施形態の第2プライマー層A2の延伸部A20は、第1プライマー層A1の延伸部A10の一部(延伸方向の一部)と面接着するように設けられているが、延伸部A10の全部と面接着するように設けられてもよい。
また、必要に応じて最上層として設けられる樹脂層D(図1において仮想線で示す)は、保護被覆層Cと延伸部A10,A20の全体を覆うように形成されている。
図2は、本発明を鋼管杭に適用した場合の他の実施形態について、被覆端部付近の鋼材長手方向断面を模式的に示した断面図である。
この実施形態の複合被覆2の基本構成は図1の実施形態と同様であるが、第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20間の接着性(密着性)を高めるために、第2プライマー層A2の延伸部A20が面接着した第1プライマー層A1の延伸部A10の表面を粗面加工面A100としている。この粗面加工面A100は、粗面加工により粗さが付与された表面であり、その粗面加工としては、後述するようにサンドペーパーによるやすりがけ加工などが行われる。
粗面加工面A100に付与される粗さに特に制限はないが、粗面加工がサンドペーパーによるやすりがけ加工である場合には、例えば、#120〜#400番程度の粗さのサンドペーパーを用いてやすりがけ加工することにより得られる粗さであることが好ましい。
第1プライマー層A1の延伸部A10の表面を粗面加工面A100とすることにより、第2プライマー層A2の延伸部A20を構成するプライマーを塗布した際に、そのプライマーが粗面加工面A100の凹凸に入り込むことにより、延伸部A10,A20間の接着性(密着性)が高まり、複合被覆2の端部のより高い接着性が得られる。
なお、延伸部A10の表面のうち、延伸部A20が面接着する表面全体を粗面加工面A100とするのが好ましいが、延伸部A20が面接着する表面の一部を粗面加工面A100としてもよい。
図2の実施形態の他の構成は、図1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
以上のような複合被覆2の端部処理を行った本発明の重防食被覆鋼材は、複合被覆2の端部20が、第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20が面接着することによって防食被覆層Bの端部bが第1及び第2プライマー層A1,A2間に封入され、且つ保護被覆層Cの端部cが第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20を介して鋼材に接着された被覆構造となるため、複合被覆2の端部20において、(i)防食被覆層Bの剥離の起点となり得るような端部箇所が存在しない、(ii)保護被覆層Cの端部cが、防食被覆層Bを介することなく、第1及び第2プライマー層A1,A2(延伸部A10,A20)を介して直に鋼材1に接着される、という構成により複合被覆2の端部20の高い接着性が得られ、衝撃による端部からの剥離を生じにくい被覆構造となる。このため本発明の重防食被覆鋼材は、漂流物や係留物などが頻繁に衝突する海洋環境下においても衝撃などによる被覆端部の剥離が生じにくい優れた特性を有する。また、複合被覆2は基本的に塗装などによる単純な方法で形成できるので、低コストで効率的に製造することができる。
さらに、図2の実施形態のように、第2プライマー層A2の延伸部A20が面接着する第1プライマー層A1の延伸部A10の表面を粗面加工面A100とすることにより、両延伸部A10,A20の接着性が向上し、被覆端部からの剥離がより生じにくい被覆構造となる。
図3は、本発明を鋼矢板に適用した場合の一実施形態について、鋼材幅方向断面の一部を模式的に示した断面図である。図において、10は鋼矢板のウェブ部、11は同じくフランジ部、12は同じく継手部であり、この鋼矢板の山側又は谷側(この実施形態では山側)の外面に複合皮膜2が設けられる。
ここで、鋼矢板や鋼管矢板の場合には、通常、複合被覆2は鋼材幅方向の途中で途切れるので、複合被覆2の端部20は、複合被覆2の鋼材長手方向両端に加えて、複合被覆2の鋼材幅方向両端にも存在する。図3は、この複合被覆2の鋼材幅方向両端の端部20(一方の端部20)を示している。
図3の複合被覆2の端部20の被覆構造も、図1及び図2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
この実施形態でも、第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20間の接着性(密着性)を高めるために、図2の実施形態と同様に、第2プライマー層A2の延伸部A20が面接着する第1プライマー層A1の延伸部A10の表面を粗面加工面A100としている。
次に、本発明の重防食被覆鋼材について、鋼材1及び複合被覆2の構成とその好ましい条件などについて説明する。
複合被覆2を形成する鋼材1の表面は、付着したスケールや汚染物などを除去するために下地処理が施されるのが通常である。下地処理としては、例えば、サンドブラスト処理、スチールショットブラスト処理、スチールグリットブラスト処理などのブラスト処理、アルカリ脱脂、酸洗などが適宜選択されて施される。また、下地処理として、公知のクロメ−ト処理やリン酸塩処理などの化成処理を施してもよい。
第1プライマー層A1は、鋼材1と防食被覆層Bとの接着性を高めるために形成する。この第1プライマー層A1に用いるプライマーの種類に特別な制限はないが、例えば、ポリウレタン樹脂系プライマー、ビニルエステル樹脂系プライマー、エポキシ樹脂系プライマーなどの1種以上を用いることができる。また、これらのなかでも特にポリウレタン樹脂系プライマーが好ましい。プライマーには、必要に応じて無機顔料などの添加剤を適量添加してもよい。第1プライマー層A1の膜厚は特に制限はないが、通常、10〜150μm程度である。
防食被覆層Bには、ポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂を用いる。これらポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂としては、防食被覆用として一般に使用されているものなどを用いることができる。ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂には、必要に応じて無機顔料などの添加剤を適量添加してもよい。この防食被覆層Bの厚さは特に制限はないが、通常、1〜6mm程度である。
第2プライマー層A2は、防食被覆層Bと保護被覆層Cとの接着性を高めるために形成する。この第2プライマー層A2に用いるプライマーの種類に特別な制限はないが、防食被覆層Bと保護被覆層Cとの接着性が高いことに加えて、第1プライマー層A1との接着性が高い方が好ましい。このプライマーとしては、例えば、ビニルエステル樹脂系プライマー、ポリウレタン樹脂系プライマー、不飽和ポリエステル樹脂系プライマーなどの1種以上を用いることができる。また、これらのなかでも特にビニルエステル樹脂系プライマーが好ましい。プライマーには、必要に応じて無機顔料などの添加剤を適量添加してもよい。第2プライマー層A2の膜厚は特に制限はないが、通常、10〜300μm程度である。
保護被覆層Cは、海洋環境下において防食被覆を漂流物や係留物などの衝突による衝撃から保護し、耐衝撃性を高めるために形成される。この保護被覆層Cはガラス繊維強化樹脂からなり、その樹脂の種類に特別な制限はないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂などの1種以上を用いることができる。この樹脂には、必要に応じて無機顔料などの添加剤を適量添加してもよい。また、ガラス繊維強化樹脂には、ガラス繊維クロスやガラス繊維マットなどのガラス繊維シートに樹脂を含浸させたもの、細かく切断したガラス繊維を樹脂に混合したものがあり、いずれのタイプでもよいが、耐衝撃性の観点からは前者のタイプがより好ましい。また、前者のタイプでは、樹脂を含浸させたガラス繊維シートを複数枚(例えば3枚以上)積層させたものが好ましい。この保護被覆層Cの厚みは、求められる耐衝撃性に応じて決めればよいが、通常、2〜10mm程度である。
必要に応じて保護被覆層Cの上に最上層として設けられる樹脂層Dは、(i)外観性を高める、(ii)紫外線から保護被覆層Cを防護する、などの目的で形成される。この樹脂層Dに用いる樹脂の種類に特別な制限はないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの1種以上を用いることができる。この樹脂には、必要に応じて無機顔料などの添加剤を適量添加してもよい。樹脂層Dの膜厚は特に制限はないが、通常、100〜500μm程度である。
次に、本発明の重防食被覆鋼材の製造方法について説明する。
この製造方法では、鋼材1に複合被覆2を形成する工程として、鋼材表面に第1プライマー層A1を形成する工程(i)と、第1プライマー層A1の上層にポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層Bを形成する工程(ii)と、防食被覆層Bの上層に第2プライマー層A2を形成する工程(iii)と、第2プライマー層A2の上層にガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層Cを形成する工程(iv)を有する。また、必要に応じて、後述する工程(ii’)、工程(v)を有することができる。
工程(i)では、下地処理が施された鋼材1の表面にプライマーを塗装した後、硬化させて、第1プライマー層A1を形成する。通常、プライマーが液体塗料の場合には刷毛塗り、ロール塗装、スプレー塗装などで、粉体塗料の場合には静電粉体塗装などで、それぞれ塗装する。
工程(ii)では、第1プライマー層A1の上層に、ポリウレタン樹脂又はポリオレフィン樹脂を被覆し、硬化させて防食被覆層Bを形成する。通常、防食被覆層Bの形成は、ポリウレタン樹脂の場合には、例えばスプレー塗装や粉体塗装などによりなされ、ポリオレフィン樹脂の場合には、例えばダイスを用いた押し出し被覆などによりなされる。
そして、工程(i)及び(ii)では、第1プライマー層A1の端部に防食被覆層Bの端部よりも外側に延伸する延伸部A10が生じるように、第1プライマー層A1と防食被覆層Bを形成する。
工程(iii)では、防食被覆層Bの上層にプライマーを塗装した後、硬化させて、第2プライマー層A2を形成する。プライマーの塗装方法は第1プライマー層A1の場合と同様である。この工程(iii)では、第2プライマー層A2の端部に防食被覆層Bの端部よりも外側に延伸して第1プライマー層A1の延伸部A10(但し、当該延伸部A10の延伸方向の少なくとも一部)と面接着する延伸部A20が生じるように、第2プライマー層A2を形成する。これにより、複合被覆2の端部20を、防食被覆層Bの端部が第1及び第2プライマー層A1,A2間に封入された被覆構造となるように形成する。
工程(iv)では、第2プライマー層A2の上層に、例えば、樹脂を含浸させたガラス繊維シート(ガラス繊維クロスやガラス繊維マット)を複数枚積層させ、樹脂を硬化させることにより、或いは細かく切断したガラス繊維を混合した樹脂を塗布し、硬化させることにより、ガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層Cを形成する。この際、保護被覆層Cの端部が、第2プライマー層A2の延伸部A20上に位置するようにし、防食被覆層Bを介することなく、第1及び第2プライマー層A1,A2の延伸部A10,A20を介して鋼材1に接着された被覆構造となるようにする。
なお、樹脂を含浸させたガラス繊維シートを複数枚積層させることにより保護被覆層Cを形成する場合、通常、ガラス繊維シートを施工部分に置き、それに対してローラ塗布などにより樹脂を含浸させ、次いで脱泡ローラなどで脱泡を行う工程を複数回繰り返す、いわゆるハンドレイアップ法が採られる。
また、必要に応じて、工程(iii)で第2プライマー層A2を形成する前に、工程(ii’)として、第2プライマー層A2の延伸部A20が面接着する第1プライマー層A1の延伸部A10の表面の少なくとも一部に粗面加工を施し、粗面加工面A100とする(図2の実施形態)。粗面加工の方法に特別な制限はなく、例えば、サンドペーパーや金属やすりによるやすりがけ加工、金属ブラシによる研削加工、サンドブラストなどのような粉体によるブラスト加工などを適用できるが、なかでもサンドペーパーによるやすりがけ加工が簡便であり、粗さの調整も容易であるため好ましい。このサンドペーパーによるやすりがけ加工の場合、通常、#120〜400番程度の粗さのサンドペーパーを用いるのが好ましい。
また、必要に応じて、工程(v)として、複合被覆2の最上層として樹脂層Dを形成することができる。この工程(v)では、保護被覆層Cの上層に樹脂を塗装した後、硬化させて、樹脂層Dを形成する。通常、樹脂が液体塗料の場合には刷毛塗り、ロール塗装、スプレー塗装などで、粉体塗料の場合には静電粉体塗装などで、それぞれ塗装する。通常、この樹脂層Dは、保護被覆層Cと延伸部A10,A20の全体を覆うように形成する。
本発明が適用できる鋼材は、板材、管材、棒材、形鋼材など、その種類を問わないが、特に本発明は鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板に対して有用であり、とりわけ漂流物や係留物などが頻繁に衝突する海洋環境下で使用される鋼管杭に対して有用である。
図1、図2に示すような端部処理を行った複合被覆2を有する本発明の重防食被覆鋼材(鋼管杭)を、以下のような製造条件で製作した。
・鋼管の下地処理:サンドブラスト処理
・第1プライマー層A1:ポリウレタン樹脂系プライマー、塗膜厚(目標):30±10μm
・防食被覆層B:ポリウレタン樹脂、厚さ(目標):4.5±1.5mm
・第2プライマー層A2:ビニルエステル樹脂系プライマー、塗膜厚(目標):40±10μm
・保護被覆層C:ガラス繊維(ガラス繊維マット)強化ポリエステル樹脂、ガラス繊維マット積層数:5層、厚さ(目標):6.0±2.0mm
なお、図2に示すような延伸部A10の表面を粗面加工面A100とした発明例では、延伸部A10の表面を#240番のサンドペーパーによるやすりがけにより粗面加工した。
また、比較例として、上記と同じ製造条件で、本発明例のような複合被覆の端部処理を行わない重防食被覆鋼材(鋼管杭)を製作した。
得られた重防食被覆鋼材(鋼管杭)について、複合被覆の端部の付着性をJIS K5600−5−7(2014)に準拠した方法(プルオフ試験法)で調べた。この試験では、複合被覆の端部近傍に「試験円筒」を接着し、これをプルオフ試験機(引張試験機)に接続したが、複合被覆の端部処理をした本発明例では、図1、図2の“e”で示す位置に「試験円筒」を接着した。その試験結果(複合被覆が破壊するまでの張力)を表1に示す。
Figure 2019209670
A1 第1プライマー層
B 防食被覆層
A2 第2プライマー層
C 保護被覆層
D 樹脂層
A10,A20 延伸部
A100 粗面加工面
b,c 端部
1 鋼板
2 複合被覆
20 端部

Claims (9)

  1. 鋼材表面に、下層側から順に第1プライマー層(A1)、ポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層(B)、第2プライマー層(A2)、ガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層(C)が積層した複合被覆を有し、
    該複合被覆の端部は、第1プライマー層(A1)が防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸した延伸部(A10)を有するとともに、第2プライマー層(A2)が防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸して第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)(但し、当該延伸部(A10)の延伸方向の少なくとも一部)と面接着した延伸部(A20)を有することにより、防食被覆層(B)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)間に封入され、且つ保護被覆層(C)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)の延伸部(A10),(A20)を介して鋼材に接着された被覆構造を有することを特徴とする重防食被覆鋼材。
  2. 第2プライマー層(A2)の延伸部(A20)が面接着した第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)の表面の少なくとも一部が粗面加工面(A100)であることを特徴とする請求項1に記載の重防食被覆鋼材。
  3. さらに、複合被覆は、最上層として樹脂層(D)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の重防食被覆鋼材。
  4. 鋼材が鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重防食被覆鋼材。
  5. 鋼材に複合被覆を形成する工程として、鋼材表面に第1プライマー層(A1)を形成する工程(i)と、第1プライマー層(A1)の上層にポリウレタン又はポリオレフィンからなる防食被覆層(B)を形成する工程(ii)と、防食被覆層(B)の上層に第2プライマー層(A2)を形成する工程(iii)と、第2プライマー層(A2)の上層にガラス繊維強化樹脂からなる保護被覆層(C)を形成する工程(iv)を有し、
    工程(i)及び(ii)では、第1プライマー層(A1)に防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸する延伸部(A10)が生じるように、第1プライマー層(A1)と防食被覆層(B)を形成し、
    工程(iii)では、第2プライマー層(A2)に防食被覆層(B)の端部よりも外側に延伸して第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)(但し、当該延伸部(A10)の延伸方向の少なくとも一部)と面接着する延伸部(A20)が生じるように、第2プライマー層(A2)を形成することにより、
    複合被覆の端部を、防食被覆層(B)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)間に封入され、且つ保護被覆層(C)の端部が第1及び第2プライマー層(A1),(A2)の延伸部(A10),(A20)を介して鋼材に接着された被覆構造を有するように形成することを特徴とする重防食被覆鋼材の製造方法。
  6. さらに、第2プライマー層(A2)の延伸部(A20)が面接着する第1プライマー層(A1)の延伸部(A10)の表面の少なくとも一部に粗面加工を施し、粗面加工面(A100)とする工程(ii’)を有することを特徴とする請求項5に記載の重防食被覆鋼材の製造方法。
  7. 工程(ii’)において延伸部(A10)の表面に施す粗面加工は、サンドペーパーによるやすりがけ加工であることを特徴とする請求項6に記載の重防食被覆鋼材の製造方法。
  8. さらに、複合被覆の最上層として樹脂層(D)を形成する工程(v)を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の重防食被覆鋼材の製造方法。
  9. 鋼材が鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板のいずれかであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の重防食被覆鋼材の製造方法。
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