JP2019206325A - エアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構造で適切な保護性能を得ることが可能なエアバッグを提供する。【解決手段】エアバッグ10は、ガスがそれぞれ導入される複数の気室19が並んで配置された袋状のエアバッグ本体部12を備える。エアバッグ10は、エアバッグ本体部12の先端側を基端側に向かって頭部Aに引き寄せるようにエアバッグ本体部12の膨張形状を規制する調整部31を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、乗員の頭部を保護するエアバッグに関する。
従来、ガスが導入されて膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置について、自転車などの二輪車の乗員の頭部を覆って保護する、あるいは自動車の座席に着座する乗員の頭部を覆って保護する、頭部保護エアバッグ装置が知られている。例えば、このようなエアバッグ装置に用いられるエアバッグ本体部は、長手状の気室を複数備え、これら気室が並んで配置されている。そして、このエアバッグ本体部は、折り畳まれた状態で収納され、後頭部付近から導入されたガスにより膨張展開して後頭部から頭部両側を含み前頭部に亘る部分を覆うようになっている。
この構成の場合、エアバッグ本体部は、展開基端側から導入されたガスの流入により膨張すると、その膨張により引っ張られて展開先端側である前頭部の保護部分が乗員の前頭部に対して浮き上がることが考えられる。
そこで、例えばガスを保持して展開する内側バッグの表面を外側バッグにより覆って、形状を保持する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2013−540209号公報 (第6−10頁、図2)
しかしながら、上記のような複雑なエアバッグ本体部の構造では、製造コストを低減することが困難になる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡素な構造で適切な保護性能を得ることが可能なエアバッグを提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグは、導入されたガスにより膨張することで乗員の頭部を保護するエアバッグであって、ガスがそれぞれ導入される複数の気室が並んで配置された袋状のエアバッグ本体部と、このエアバッグ本体部の先端側を基端側に向かって前記頭部に引き寄せるように前記エアバッグ本体部の膨張形状を規制する調整部とを備えたものである。
請求項2記載のエアバッグは、請求項1記載のエアバッグにおいて、調整部は、ガスが導入されない非膨張部に形成されているものである。
請求項3記載のエアバッグは、請求項2記載のエアバッグにおいて、調整部は、非膨張部の一部が折り重ねられ固着されて形成されているものである。
請求項4記載のエアバッグは、請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグにおいて、エアバッグ本体部の膨張に伴う荷重に対して調整部を保護する補強部を備えたものである。
請求項5記載のエアバッグは、請求項4記載のエアバッグにおいて、調整部及び補強部は、それぞれ縫製糸により形成された縫製部であり、前記補強部は、前記調整部に対し交差する方向に沿ってエアバッグ本体部の先端側に向かって延びているものである。
請求項1記載のエアバッグによれば、ガスがそれぞれ導入される複数の気室が並んで配置された袋状のエアバッグ本体部の膨張形状の先端側を基端側に向かって頭部に引き寄せるように調整部により規制することで、エアバッグ本体部の先端側を乗員の頭部の保護対象領域を適切に覆うように膨張させることができ、簡素な構造で適切な保護性能を得ることが可能となる。
請求項2記載のエアバッグによれば、請求項1記載のエアバッグの効果に加えて、調整部を非膨張部に形成することで、気室でのガスの流れを阻害することなく調整部を容易に形成可能となる。
請求項3記載のエアバッグによれば、請求項2記載のエアバッグの効果に加えて、非膨張部の一部を折り重ねて固着して調整部を形成することで、エアバッグ本体部の先端側を頭部に引き寄せる量を、非膨張部の折り重ねによって容易に調整できる。
請求項4記載のエアバッグによれば、請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグの効果に加えて、エアバッグ本体部の膨張に伴う荷重に対して補強部により調整部を保護することで、エアバッグ本体部の膨張時に調整部が破損することを確実に防止し、調整部によってエアバッグ本体部の先端側を乗員の頭部の保護対象領域を適切に覆うように膨張させることが可能になる。
請求項5記載のエアバッグによれば、請求項4記載のエアバッグの効果に加えて、調整部及び補強部を縫製糸により形成された縫製部として、補強部を調整部に対し交差する方向に沿ってエアバッグ本体部の先端側に向かって延設することで、エアバッグ本体部の膨張に伴う荷重を補強部によって効果的に受け、この荷重に起因する縫製糸の破断による調整部の破損を確実に防止できる。
(a)は本発明の第1の実施の形態のエアバッグの膨張展開状態を示す側面図、(b)は比較例のエアバッグの膨張展開状態を示す側面図である。 同上エアバッグを構成する基布の状態を示す平面図である。 (a)は同上エアバッグの一部を示す側面図、(b)は(a)のI−I相当位置の断面図である。 (a)ないし(c)は同上エアバッグのエアバッグ本体部の製造工程を示す説明図、(d)は(c)のII−II相当位置の断面図である。 (a)は本発明の第2の実施の形態のエアバッグの一部を示す側面図、(b)は(a)のIII−III相当位置の断面図である。 (a)は本発明の第3の実施の形態のエアバッグの一部を示す側面図、(b)は(a)のIV−IV相当位置の断面図である。 (a)は本発明の第4の実施の形態のエアバッグの膨張展開状態を示す側面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す側面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)及び図2において、10はエアバッグを示す。このエアバッグ10を備えたエアバッグ装置11は、移動体である自転車などの乗員の頭部Aを保護する頭部保護エアバッグ装置である。本実施の形態では、このエアバッグ装置11は、例えば乗員の首周りに装着される二輪車用エアバッグ装置である。なお、以下、前後方向(矢印FR方向及び矢印RR方向)、左右両側方向(矢印L方向及び矢印R方向)、及び上下方向(矢印U方向及び矢印D方向)は、それぞれ乗員がエアバッグ装置11を装着した状態を基準として説明する。
そして、このエアバッグ装置11は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、袋状の外殻部であるエアバッグ本体部12を有する上記のエアバッグ10の他に、エアバッグ本体部12にガスを供給するインフレータ、インフレータの動作を制御する制御手段、及びこれらの電源となる電池(二次電池)などを備えている。そして、このエアバッグ装置11は、所定の方法により折り畳まれた状態のエアバッグ10(エアバッグ本体部12)とともに、インフレータ、制御手段、及び電池などが例えば布製などのカバーの内部に収納され、乗員の首周りに巻き付けられて装着されるようになっている。
インフレータは、円盤状や円柱状などをなす本体部を備えている。本体部の内側には、点火器及び薬剤が収納され、接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、本体部に形成されたガス噴射口から膨張用のガスをエアバッグ本体部12内に急速に供給するようになっている。
制御手段は、衝撃を検出するセンサや制御装置を備え、この制御装置が、インフレータに信号線を介して接続され、センサにより所定の衝撃を検出したときにインフレータを作動させるようになっている。
そして、エアバッグ本体部12は、単数、あるいは複数の基布を縫製、接着あるいは溶着などにより組み合わせて接合することで全体としては袋状に形成されている。すなわち、エアバッグ本体部12は、1枚の基布にていわゆるワンピースウーヴン(One Piece Woven、OPW)で袋織りされて形成されているものでもよいし、2枚以上の基布を縫製などにより接合して袋状に形成されているものでもよい。また、このエアバッグ本体部12は、インフレータからガスが導入されるガス導入部15と、このガス導入部15から導入されたガスにより膨張する膨張部16と、ガスが導入されない非膨張部17とを備えている。そして、このエアバッグ本体部12は、縫製などにより形成された接合部18によって接合されて、膨張展開状態では乗員の首周りから頭部を覆うヘルメット状の立体形状となるように形成されている。
ガス導入部15は、開口部として形成されている。このガス導入部15は、エアバッグ本体部12の展開基端側となる部分である。本実施の形態において、このガス導入部15は、乗員の首周りの後部に位置している。このガス導入部15には、例えばインフレータの本体部の一部が挿入されていてもよい。
膨張部16は、ガス導入部15からのガスの導入により膨張する気室(チャンバ)19を複数備えている。また、この膨張部16には、気室19へ導入されるガスの流れを制御するガスガイド部20が形成されている。
気室19には、左右方向に沿って延びる複数の第1の気室22と、放射状に延びる複数の第2の気室23とが設定されている。
各第1の気室22は、ガス導入部15からインフレータを介してガスが直接導入される気室である。各第1の気室22は、左右方向に長手状に形成され、ガス導入部15から左方向、及び、右方向にそれぞれ突出している。そして、各第1の気室22は、互いの先端側が乗員の首部の前部の位置で対向するように乗員の首周りに巻き付けられて位置し、膨張展開状態で乗員の首部を保護するようになっている。
各第2の気室23は、各第1の気室22に対して上側に位置し、互いに左右に並んで配置されている。各第2の気室23は、本実施の形態において、例えば左右対称に配置されている。本実施の形態において、第2の気室23は、左右両側部に3つずつ、中央部に1つ形成されているが、この数や形状に限定されるものではない。また、各第2の気室23は、例えば接合部18により接合される前の基布の状態(図2)で、基端側(下側)から先端側(上側)に向かって縁部の距離が徐々に大きくなるように、いわば手指状に開いて延出されている。したがって、本実施の形態において、第2の気室23間は、接合部18により接合される前の基布の状態で切欠部25となっており、第2の気室23同士が互いに離れて形成されている。そして、各第2の気室23は、膨張展開状態で、乗員の頭部Aの後部から両側部、及び前部に亘る位置を保護するようになっている。
ガスガイド部20は、気室19へと効果的にガスを導入できれば、任意の位置に任意の形状で形成することが可能であるが、例えば本実施の形態では、ガス導入部15に近接して位置して上方にガスを導く第1のガスガイド部27と、第1のガスガイド部27からさらに左右にガスを導く第2のガスガイド部28と、第1のガスガイド部27からさらに上方左右にガスを導く第3のガスガイド部29とが設定されている。ガスガイド部20は、例えば基布が縫製などにより接合されて形成されている。
非膨張部17は、接合部18により接合する前の基布の状態で膨張部16の各気室19の外縁に沿ってフィン状に形成されている。本実施の形態の非膨張部17は、例えば基布における気室19の接合代(縫い代)として形成されている。そして、本実施の形態において、非膨張部17には、調整部31が形成されている。調整部31は、エアバッグ本体部12の展開先端側(前方上側)を展開基端側(後方下側)に向かって乗員の頭部Aに引き寄せるようにエアバッグ本体部12の膨張形状を規制するものである。この調整部31は、本実施の形態において、図3(a)及び図3(b)に示すように、非膨張部17の一部が摘まれて折り重ねられた状態で縫製などにより固着されて形成されている。例えば、本実施の形態の調整部31は、縫製糸により形成された縫製部である。この調整部31を形成するための非膨張部17の折り重ね形状は、本実施の形態において、例えば第1の気室22に沿う左右方向に沿って直線状に形成されている。さらに、調整部31を形成するための非膨張部17の折り重ね位置は、第1の気室22の基端側、すなわちガス導入部15に近接した位置となっている。また、本実施の形態の調整部31は、各第1の気室22と第2の気室23との間の非膨張部17の位置にそれぞれ形成されている。このため、調整部31は、エアバッグ本体部12の膨張展開状態で、各第1の気室22の上側に位置して乗員の首部(顎部)の両側に配置される。
接合部18は、例えば縫製などにより形成され、第2の気室23の先端側の非膨張部17の位置をまとめている。本実施の形態では、例えば図4(a)に示す基布の状態から、図4(b)に示すように、隣り合って左右に並ぶ第2の気室23の一部を重ね合わせた状態で、図4(c)に示すように、第2の気室23の先端側を縫製などにより接合して接合部18が形成される。このため、接合部18により、図4(d)に示すように、隣り合う第2の気室23の一部が左右方向及び上下方向に互いに重なって形成され、これら第2の気室23が互いに左右方向に近接した状態で一体化される。より詳細には、隣り合う第2の気室23が、エアバッグ本体部12において、乗員の頭頂部から頭部両側部に亘り斜め方向に重なりつつ並び、エアバッグ本体部12が立体形状となるように配置される。すなわち、第2の気室23は、エアバッグ本体部12の展開先端側が窄まるように重なって配置される。なお、接合部18は、調整部31が形成された後に形成されてもよいし、調整部31が形成される前に形成されてもよい。
次に、エアバッグ装置11の展開動作を説明する。
このエアバッグ装置11の動作の概略としては、二輪車の衝突などの際に、所定の衝撃をセンサにより検出すると、制御装置がインフレータを作動させ、このインフレータからガスを噴射させる。そして、インフレータから噴射されたガスがガス導入部15からエアバッグ本体部12の内部に流入し、ガスガイド部20によって第1の気室22及び第2の気室23へとそれぞれ導入され、エアバッグ本体部12が折り畳まれた状態から膨張展開することで、その展開圧力でカバーの一部を破断して突出し、乗員の頭部Aを後頭部から前頭部に掛けて覆う。
このとき、第2の気室23は、導入されたガスが基端側から先端側へと通過するに従い、乗員の頭部Aの上部及び両側部を後方から包むように前方に倒れ込みながら展開する。このため、膨張部16は、第1の気室22が乗員の首部の周囲に膨張展開し、第2の気室23が頭部Aの形状に合わせた(頭部Aを後方から包み込む)丸みを帯びた立体形状に展開する。すなわち、膨張部16は、乗員の頭部Aに対向する乗員対向部を内側とするポケット状(半ドーム状)に展開する。このとき、エアバッグ本体部12の膨張形状の展開先端側を展開基端側に向かって頭部Aに引き寄せるように調整部31により規制することで、エアバッグ本体部12の展開先端側を乗員の頭部Aの保護対象領域となる乗員の頭部Aの前部、すなわち前頭部(額部)を適切に覆うように膨張展開させることができる。具体的に、図1(a)に示すように、調整部31が、エアバッグ本体部12の膨張展開状態での先端側である前端側の部分Pを乗員の前頭部の位置へと引き寄せるように作用し、調整部31を備えない図1(b)に示す比較例のエアバッグ10aのエアバッグ本体部12aと比較して、エアバッグ本体部12の前端側の部分Pが乗員の前頭部に上方から覆い被さるように傾斜する。つまり、平面状の基布からなるエアバッグ10を立体形状になるように接合しても、乗員の頭部Aの前頭部を覆うまで立体的とすることは困難であるのに対して、本実施の形態では、複雑な接合などをすることなく調整部31のみで容易にエアバッグ本体部12の展開状態での傾きを変えることができ、乗員の前頭部を覆うように展開させることができる。この結果、例えば基布の形状や縫製などを複雑にしたり、エアバッグ本体部12の容量を、保護対象領域からの浮き上がり量を加味して増大させたりして対応する場合と比較して、エアバッグ10により、簡素な構造で適切な保護性能を得ることが可能となる。
また、調整部31を非膨張部17に形成することで、気室19でのガスの流れを阻害することなく調整部31を容易に形成可能となる。
さらに、非膨張部17の一部を折り重ねて固着して調整部31を形成することで、エアバッグ本体部12の展開先端側を頭部Aに引き寄せる量を、非膨張部17の折り重ねによって容易に調整できる。
例えば図5(a)及び図5(b)に示す第2の実施の形態のように、調整部31は、非膨張部17を傾斜状に折り重ねて固着して形成してもよく、図6(a)及び図6(b)に示す第3の実施の形態のように、二重以上に非膨張部17を折り重ねて固着して形成してもよい。このように、非膨張部17の折り重ね箇所や折り重ね量を調整することにより、エアバッグ本体部12の展開先端側の角度や位置を適宜調整できる。すなわち、調整部31は、膨張展開状態のエアバッグ本体部12の所望の形状に応じて、非膨張部17を任意に折り重ねて形成できる。
次に、第4の実施の形態を図7を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態のエアバッグ10は、エアバッグ本体部12の膨張に伴う荷重に対して調整部31を保護する補強部35を備えている。
図7(a)に示すように、補強部35は、調整部31と同様に、縫製糸により形成された縫製部である、本実施の形態の補強部35は、調整部31を構成する縫製糸を延長して形成された延長縫製部である。つまり、補強部35と調整部31とは、同一の縫製糸により形成されている。本実施の形態において、補強部35は、非膨張部17に配置されている。補強部35は、例えば、調整部31が形成されている非膨張部17の一部に延びて形成されている。補強部35は、調整部31が位置する、非膨張部17の摘まれて折り重ねられた部分に形成されてもよいし、非膨張部17のうち、摘まれて折り重ねられていない部分に延びていてもよい。非膨張部17の摘まれて折り重ねられた部分に形成する場合には、例えば図7(b)に示すように、非膨張部17の一部を、調整部31が位置する部分に対し屈曲するように形成した屈曲部36に沿って補強部35を形成してもよい。補強部35は、調整部31と連なって、調整部31に対し交差する方向に沿って傾斜状に形成されている。補強部35は、調整部31の端部から、エアバッグ本体部12の先端側、すなわち前方上側に向かって延びている。
エアバッグ本体部12には、摘まれて折り重ねられて調整部31により固着された非膨張部17が、調整部31の規制に対し元の形状に戻ろうとする荷重が調整部31に対して交差する方向、本実施の形態では後方上側(矢印F方向)に生じるが、この荷重を、この荷重に対し交差または直交する方向に沿って延びる補強部35によって受けることができるため、耐荷重を向上でき、調整部31の縫製糸がこの荷重により破断することを防止できる。
また、インフレータから噴射されたガスがガス導入部15からエアバッグ本体部12の内部に流入し、ガスガイド部20によって第1の気室22及び第2の気室23へとそれぞれ導入され、エアバッグ本体部12が折り畳まれた状態から膨張展開する際、第2の気室23は、導入されたガスが基端側から先端側へと通過するにしたがい、乗員の頭部Aの上部及び両側部を後方から包むように前方に倒れ込みながら展開する。したがって、エアバッグ本体部12の膨張に伴う荷重は、展開初期において、後方上側、すなわち調整部31に対して交差する方向、言い換えると調整部31を構成する縫製糸をせん断する方向に向かって生じることとなる。つまり、エアバッグ本体部12の非膨張部17が調整部31の規制に対し元の形状に戻ろうとする荷重と同じ方向に沿って荷重が生じることとなる。調整部31に対し交差する方向に沿って補強部35が延びて形成されていることにより、この荷重を補強部35全体によって効果的に受け、調整部31の前端部のみに荷重が集中することを防止する。このように、エアバッグ本体部12の膨張に伴う荷重に対して補強部35により調整部31を保護することで、耐荷重を向上でき、エアバッグ本体部12の膨張時に調整部31が破損することを確実に防止できる。すなわち、調整部31の縫製糸が荷重に起因して破断することを確実に防止できる。そのため、調整部31によってエアバッグ本体部12の先端側を乗員の頭部の保護対象領域を適切に覆うように膨張させることが可能になる。
また、非膨張部17は、調整部31によって折り重ねられていることで、調整部31が延びる方向と交差する方向、本実施の形態では上下方向に対して狭いため、折り重ねられている部分に直線状に延びる調整部31の端部に連なって、荷重を受けるのに必要な長さ分だけ補強部35を形成することによって、縫製部全体を傾斜させる場合と比較して、狭い非膨張部17に対し、調整部31と補強部35とを効率よく配置することが可能になる。
さらに、補強部35は、調整部31を構成する縫製糸によって調整部31と連なって形成されるので、調整部31を形成するときにその縫製部分を延長することで形成可能であり、製造が容易でコストが掛かりにくく、容易に耐荷重を向上することが可能になる。
なお、上記の各実施の形態において、調整部31や補強部35は、非膨張部17に形成されているものに限られず、例えば膨張部16(気室19)を構成する基布の一部を折り畳んで接合することにより形成されていてもよい。
また、調整部31や補強部35は、エアバッグ本体部12自体に形成されているものの他に、例えばテザーやストラップなどの形状規制手段により形成されていてもよい。
さらに、エアバッグ装置11は、例えば自動車の座席に着座した乗員の頭部Aの後方に位置するヘッドレストなどに配置されるエアバッグ装置としても用いることができる。
本発明は、例えば二輪車用の頭部保護エアバッグ装置として好適に用いることができる。
10 エアバッグ
12 エアバッグ本体部
17 非膨張部
19 気室
31 調整部
35 補強部
A 頭部

Claims (5)

  1. 導入されたガスにより膨張することで乗員の頭部を保護するエアバッグであって、
    ガスがそれぞれ導入される複数の気室が並んで配置された袋状のエアバッグ本体部と、
    このエアバッグ本体部の先端側を基端側に向かって前記頭部に引き寄せるように前記エアバッグ本体部の膨張形状を規制する調整部とを備えた
    ことを特徴とするエアバッグ。
  2. 調整部は、ガスが導入されない非膨張部に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。
  3. 調整部は、非膨張部の一部が折り重ねられ固着されて形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載のエアバッグ。
  4. エアバッグ本体部の膨張に伴う荷重に対して調整部を保護する補強部を備えた
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグ。
  5. 調整部及び補強部は、それぞれ縫製糸により形成された縫製部であり、
    前記補強部は、前記調整部に対し交差する方向に沿ってエアバッグ本体部の先端側に向かって延びている
    ことを特徴とする請求項4記載のエアバッグ。
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