JP2019205392A - 熟成肉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドリップの流出量が少なく、柔らかく、臭みが低減されて風味や旨味が向上した良好な熟成肉を、高い歩留まり率で製造する方法を提供する。【解決手段】 食肉を、当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度の液体に浸漬した状態で所定の期間置く工程を有する熟成肉の製造方法。本発明によれば、ドリップの流出量が少なく、柔らかく、臭みが低減されて風味や旨味が向上した良好な熟成肉を、高い歩留まり率で製造することができる。【選択図】 図3

Description

本発明は、熟成肉の製造方法に関し、より詳細には、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置く工程を特徴とする、熟成肉の製造方法に関する。
牛肉や豚肉などの食肉は、一般に、風味や旨味を豊かにし、肉を軟らかくすることを目的として、熟成が行われる場合がある。熟成の方法には種々あるが、大別するとドライエイジング法とウェットエイジング法とに分けることができる。ドライエイジング法は、肉を包装せず、あるいはガーゼ等の通気可能な素材で包装した上で、常に肉の周りの空気が動く状態として、低温、調湿環境下で一定期間置く方法である。一方、ウェットエイジング法は、肉を真空パック詰めにするなどして乾燥を防げる状態とし、低温環境下で一定期間置く方法である(非特許文献1、非特許文献2)。
これら2つの方法のうち、ドライエイジング法で製造された熟成肉は、乾燥した肉の表層をトリミングする必要があって歩留まりが悪い等の理由から、現在は、ウェットエイジング法が主流となっている。しかしながら、ウェットエイジング法は、一般に、熟成中ないし熟成後の肉においてドリップが多く出てしまい、旨味が減少したり歩留まりが低下する点や、風味や旨味を向上させるといった熟成効果が十分ではないという点で課題があった(非特許文献3)。
"乾燥熟成肉"、[online]、2018年3月24日更新、2018年4月19日検索、インターネット、<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%BE%E7%87%A5%E7%86%9F%E6%88%90%E8%82%89> 中村好▲徳▼ら、日本団地畜産学会報、第60号、第1巻、第51〜55頁、2017年 SHIMINATOR、"ドライエイジングとウェットエイジングの違い[熟成肉]"、[online]、2015年8月1日掲載、2016年6月13日更新、2018年4月19日検索、インターネット、<URL:http://shmineta.com/?p=691>
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、ドリップの流出が抑えられ、風味や旨味が豊かな熟成肉を、高い歩留まり率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、食肉を低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置くことにより、ドリップの流出量が抑えられるとともに、ハリや肉色が良く、臭みが低減され、旨味や風味、柔らかさ、香りが向上した良好な熟成肉を高い歩留まり率で製造できることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係る熟成肉の製造方法は、食肉を、当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度の液体に浸漬した状態で所定の期間置く工程を有する。
(2)本発明に係る熟成肉の製造方法においては、前記液体として、不揮発性の溶質を溶解した水溶液を用いることができる。
(3)本発明に係る熟成肉の製造方法においては、前記当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度を、−4℃以上かつ0℃以下とすることができる。
(4)本発明に係る熟成肉の製造方法においては、前記所定の期間を、3日以上50日以下の期間とすることができる。
本発明に係る熟成肉の製造方法によれば、ドリップの流出量が少なく、柔らかく、臭みが低減されて風味や旨味が向上した良好な熟成肉を、高い歩留まり率で製造することができる。
実施例1(1)で設定した熟成槽の外観を示す写真である。 実施例1(1)で設定した熟成槽内の状態を模式的に示す図である。 −1.2℃の液体に浸漬した状態で21日間置くことにより熟成させた豚肉のドリップの流出状況を示す写真である。
以下、本発明に係る熟成肉の製造方法について詳細に説明する。本発明に係る熟成肉の製造方法は、食肉を低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置く工程を有する。
本発明において「熟成肉」とは、熟成した肉をいう。ここで、「熟成」は、一般に、(1)十分に熟してできあがること、(2)物質を適当な温度に長時間放置して化学変化を行わせること、(3)タンパク質・脂肪・炭水化物などが、酵素や微生物の作用により、腐敗することなく適度に分解され、特殊な香味を発することをいい(広辞苑 第6版、岩波書店、2008年)、本発明における「熟成」は、これら(1)〜(3)と同様の意味において用いられる。
本発明において、「食肉」とは、食用に供する動物組織をいう。ここで、「動物組織」は主として筋肉をいうが、皮下脂肪や血管、内臓などの筋肉以外の可食部も含む。また、「動物」は、牛、豚、羊、鹿、熊、ヤギ、馬、イノブタ、イノシシ、コウモリなどのほ乳類、鯨やトド、イルカなどの海洋ほ乳類、カエルなどの両生類、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ダチョウ、ウズラなどの鳥類を含む。
食肉を浸漬する液体の温度は、熟成を進めるために食肉の凍結点以上の温度が好ましく、かつ、腐敗や食中毒の原因微生物の繁殖を抑制し、鮮度を保つために4℃以下が好ましい。すなわち、本発明でいう「低温の液体」とは、当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度の液体をいう。食肉の凍結点は食肉の種類(動物の種類、組織の種類、肉の部位など)によって異なるが、当該液体の温度は、当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の範囲内において食肉熟成で一般に用いられている温度帯とすることができ、例えば、−4℃以上0℃以下、−4℃以上−1℃以下、−3℃以上1℃以下、−3℃以上0℃以下、−2℃以上2℃以下、−2℃以上1℃以下、−1℃以上3℃以下、−1℃以上2℃以下、0℃以上4℃以下、0℃以上3℃以下、1℃以上4℃以下などとすることができる。
食肉を浸漬する液体は、上述の設定温度において、液体の状態をとるものであればよい。例えば、設定温度が0℃以上であれば、簡便には水を用いることができる。また、設定温度が0℃以下であれば、例えば、不揮発性の溶質を溶解することにより凝固点を降下させた水溶液(不揮発性溶質溶液)や、アルコールまたはその水溶液を用いることができる。不揮発性溶質溶液において、溶質としては塩化ナトリウムやショ糖、ブドウ糖、安息香酸、塩化カルシウムなどを、溶媒としては水やアルコールなどを、それぞれ例示することができる。
食肉を浸漬する液体として不揮発性溶質溶液やアルコール水溶液を用いる場合、それら溶質の濃度は、当該液体の設定温度に応じて、適宜設定することができる。例えば、エタノール水溶液であれば、10質量%(凝固点−4.6℃)を例示することができ(アルコール専売事業特別会計研究開発調査委託費による「アルコールの冷媒・蓄冷剤への応用技術に関する研究開発」総括報告書(平成7年度〜平成11年度)p.42)、食塩水であれば8質量%(凝固点約−5.2℃)を例示することができる(公益財団法人 塩事業センター、“塩百科>塩の基本>塩のデータ>氷点降下”、[online]、2018年4月19日検索、インターネット、<URL:http://www.shiojigyo.com/siohyakka/about/data/freeze.html>。
本発明において、食肉は、包装してから液体に浸漬してもよく、包装せずに液体に浸漬してもよい。食肉を包装する場合の包装材は、ナイロンバックやプラスチックフィルム等の液体に対して遮断性を有するもの、あるいは、レーヨン製ミートラッパーやセロファン等の液体に対して遮断性を有さないもののいずれも用いることができる。また、包装形態は、食肉に効果的に水圧が付加されるように、真空包装やシュリンク包装など、液体中で食肉に包装材が密着した状態となる包装形態を好ましく例示することができる。
なお、食肉は生の状態で液体に浸漬することが好ましいが、この場合の「生の食肉」とは、食肉の組織の大部分が変性・変質する程度の加熱を受けていない食肉を意味し、シュリンク包装を行うための加熱や、食肉あるいは包装材表面の殺菌を目的とした極短時間の加熱などを施された食肉は、「生の食肉」に包含される。
また、食肉は、その全体が液体中に没した状態で所定の期間置くことが好ましい。食肉の種類や肉塊の形状、液体の密度などにより、そのままでは水上に食肉の一部が出てしまう場合は、錘をつけるか、液体槽の底面に一端を固定した紐をつける、あるいは食肉の浮上を押さえるために水中の所望位置に網目状部材を展張するなどして、その全部が液体中に没するようにしてもよい。食肉の全部を液体中に没した状態とすることにより全方向から水圧が付加されるため、食肉に対して大気圧超の圧力が全方向から加えられた状態で熟成することとなり、ドリップの減少や旨味の向上などの本発明特有の効果を生ずると本発明者らは考えている。
食肉を低温の液体に浸漬した状態で置く期間は、食肉の種類や肉塊の形状、大きさ、液体の設定温度や密度などに応じて適宜設定することができる。具体的には、牛肉や豚肉で10日間〜45日間または50日間、鶏肉で3日間〜20日間などの期間を例示することができる。
本発明に係る熟成肉の製造方法には、本発明に係る熟成肉の製造方法の特徴を損なわない限り、他の工程を有してもよく、例えば、冷凍された食肉の解凍工程や洗浄工程、調味工程、塩蔵工程、包装工程、凍結保存工程、殺菌工程、食品添加物を添加する工程などを有してもよい。
以下、本発明に係る熟成肉の製造方法について、各実施例に基づいて説明する。本実施例においては、別段の記載のない限り「%」は質量百分率(質量%)を意味する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>熟成肉の製造:牛肉
(1)熟成槽の設定
1.5±1℃の冷蔵庫内に、幅1820mm、高さ900mm、奥行き900mm、容量1474200Lのタンクを設置した。また、濃度1%の食塩水を凍結させ、薄片状に砕いた氷(フレークアイス)を準備した。水温3.5℃の次亜塩素酸水溶液(pH6.5前後、塩素濃度30〜200ppm)をタンク容量の8割程度まで入れ、続いて、−2.6±0.2℃のフレークアイスを適量(次亜塩素酸水溶液7に対してフレークアイスを体積比で3程度)投入し、攪拌した。投入直後はフレークアイスの一部が融解したが、やがて融解は止まり、タンク内液体の最上層部に、深さ約200mmのシャーベット層を形成した。その様子を図1に示す。水温を安定させるため、使用開始まで6時間放置した。その後、水深20mm〜850mmにおける温度および塩濃度を測定した。その結果を表1に示す。また、これらの観察および測定結果に基づく熟成槽内の模式図を図2に示す。
表1および図2に示すように、固液の状態、水温および塩濃度の違いから、熟成槽内は、少なくとも4つの層に分かれることが明らかになった。なお、固液状態の観察ならびに水温および塩濃度の測定は、熟成槽の使用期間中も毎日実施したが、表1および図2に示すものと同じであった。また、60日間使用した後においても、熟成槽内の液体には汚れや腐敗などの劣化は見られなかった。
(2)牛肉の熟成
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の牛もも肉20kgを購入した。これを約1kg程度の塊肉に分割した後、ナイロンバックに入れて真空包装し、試料肉とした。試料肉の半量を、本実施例1(1)の熟成槽の水深200mm〜400mmの間(図2における第2層:液体層、水温−1.2℃、塩濃度0.48%)に保持した状態で10日間、20日間または30日間置くことにより熟成させた。なお、試料肉はそのままでは水面に浮くため、長さ約55cmの紐の一端を熟成槽の底面に固定し、この紐の他端を試料肉の包装の端部につけ、これを熟成槽内に入れることにより上記水深に保持されるようにした。これを「浸漬熟成肉」とした。
試料肉の残りの半量を、「庫内熟成肉」として、−1.2℃の冷蔵庫内に10日間、20日間または30日間置くことにより熟成させた。以下、試料肉を液体に浸漬あるいは冷蔵庫内に置くことにより、−1.2℃の環境下に置いた期間を「熟成期間」という。
<実施例2>熟成肉の評価:牛肉
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の牛もも肉を「無処理肉」として用意した。無処理肉、実施例1の浸漬熟成肉および庫内熟成肉を、ビーフステーキおよびローストビーフに調理し、下記(1)〜(3)の項目を評価した。
(1)ドリップの量
熟成期間の開始から終了、続いて調理に適する大きさに切り分けた後までのドリップの総量を比較した。その結果、浸漬熟成肉では、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも、熟成期間中から切り分け時に至るまで殆どドリップの流出が無く、ドリップの総量は顕著に少なかった。これに対して、庫内熟成肉では、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも、熟成期間中からドリップが多く流出し、切り分け時も多く流出したため、ドリップの総量が多かった。また、無処理肉は、切り分け時にドリップが多く流出したため、ドリップの総量が比較的多かった。すなわち、ドリップの総量は浸漬熟成肉<無処理肉<庫内熟成肉の順であり、熟成期間中および肉の切り分け時のいずれの段階においても、浸漬熟成肉が最もドリップの流出が少なかった。
(2)調理前の肉の外見、触感、臭い等
加熱前の肉について外見、触感、臭い等を確認した。その結果、浸漬熟成肉では、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも、熟成期間が同じ庫内熟成肉および無処理肉と比較して、肉のハリがよく、赤色が最も明るくて肉色が良かった。また、浸漬熟成肉および庫内熟成肉は、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも、無処理肉と比較して、肉質が緻密であり、柔らかかった。熟成期間が長いほど、肉が柔らかい傾向であった。また、無処理肉では臭みが感じられたが、浸漬熟成肉および庫内熟成肉では、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも臭みが全く感じられなかった。
(3)調理後の肉の食味、食感等
ビーフステーキおよびローストビーフの食味、食感等を確認した。その結果、浸漬熟成肉および庫内熟成肉は、熟成期間10日間、20日間および30日間のいずれのものも、無処理肉と比較して旨味が強く、香りが良く、柔らかくて、美味しかった。熟成期間が同じ浸漬熟成肉と庫内熟成肉とを比較すると、浸漬熟成肉の方が顕著に旨味が強く、香りが良くて美味しかった。
以上の実施例1および本実施例2の結果から、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置くことにより、ドリップの流出量が少なく、臭みが低減され、肉の質感や色味、柔らかさ、旨味、香りなどが向上した良好な熟成肉が製造できることが明らかになった。
<実施例3>熟成肉の製造および評価:豚肉
(1)旨味成分の含有量
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の豚肩ロース肉について、実施例1に記載の方法により浸漬熟成肉を製造した。ただし、熟成期間は7日間、10日間および14日間とした。
これらの浸漬熟成肉について、過塩素酸抽出−イオンペアクロマトグラフィー法によりイノシン酸濃度を、Na+型陽イオン交換樹脂を用いた高速液体クロマトグラフ(HPLC)および蛍光検出器(FL)によりグルタミン酸濃度を、それぞれ測定した。また、別途、と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の豚肩ロース肉を「無処理肉」として用意し、同様にイノシン酸およびグルタミン酸の濃度を測定した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、熟成期間7日、10日および14日のいずれの浸漬熟成肉においても、無処理肉と比較して、イノシン酸濃度およびグルタミン酸濃度が高かった。この結果から、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置くことにより、旨味成分が増加した熟成肉が製造できることが明らかになった。
(2)ドリップの量および官能検査
本実施例3(1)で製造した、熟成期間が14日間の浸漬熟成肉および無処理肉を、ポークステーキに調理して実施例2(1)〜(3)と同様の項目を評価した。図3に、浸漬熟成肉のドリップの様子を示す。図3の左上は熟成期間終了後に熟成槽から引き上げた直後、右上は真空包装のナイロンバックから取り出した直後、左下および右下は肉の切り分け後をそれぞれ示す写真である。
評価結果は、実施例2の牛肉の場合と同様であった。すなわち、浸漬熟成肉では、図3に示すように、熟成期間中から切り分け時に至るまで殆どドリップの流出が無く、ドリップの総量は顕著に少なかった。これに対して、無処理肉は、切り分け時にドリップが多く流出したため、ドリップの総量が比較的多かった。また、浸漬熟成肉は、無処理肉と比較して肉色が良く、肉質が緻密であり、柔らかかった。また、無処理肉では臭みが感じられたが、浸漬熟成肉では臭みが全く感じられなかった。さらに、ポークステーキは、無処理肉と比較して浸漬熟成肉の方が旨味が強く、香りが良く、柔らかくて美味しかった。
これらの結果から、牛肉のみならず他の食肉においても、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置くことにより、良好な熟成肉が製造できることが明らかになった。
(3)菌数
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の豚肩ロース肉について、実施例1に記載の方法により浸漬熟成肉を製造した。ただし、熟成期間は0日間(熟成無し)、3日間、7日間および21日間とした。これらの浸漬熟成肉について、一般細菌および大腸菌群の菌数検査を行った。一般細菌は標準平板菌数測定法により、大腸菌群はデソキシコーレイト培地法により、それぞれ菌数を測定した。その結果を表3に示す。
表3に示すように、熟成期間3日、7日および21日のいずれの浸漬熟成肉においても、一般細菌数(生菌数)は、無加熱摂取冷凍食品の基準値である1×10/g以下(「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号))を下回っていた。また、熟成期間3日、7日および21日のいずれの浸漬熟成肉においても大腸菌群は陰性であった。これらの結果から、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置くことにより、衛生的に熟成肉が製造できることが明らかになった。
<実施例4>二段熟成:牛肉
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生牛もも肉について、熟成期間を20日間として、実施例1に記載の方法により浸漬熟成肉を製造した。その半量を−20℃で凍結保存し、これを一段熟成肉とした。残りの半量は凍結せずに、2℃の冷蔵庫に移してさらに3〜4日間置くことにより二段階目の熟成を行った。これを二段熟成肉として、同様に凍結保存した。これらを解凍した後ビーフステーキに調理して、実施例2(1)〜(3)と同様の項目を評価した。
その結果、ドリップの量ならびに調理前の肉の外見および臭いは、一段熟成肉と二段熟成肉とで同様であった。一方、ビーフステーキは、二段熟成肉の方が、一段熟成肉と比較してより旨味や甘味が強く、より柔らかくて美味しかった。この結果から、低温の液体に浸漬した状態で所定の期間置いた後、さらに低温の庫内に所定の期間置くことにより、旨味や柔らかさがより向上した熟成肉が製造できることが明らかになった。
(3)菌数
と畜後3日経過し、その間1℃で冷蔵保存されていた生の豚肩ロース肉について、実施例1に記載の方法により浸漬熟成肉を製造した。ただし、熟成期間は0日間(熟成無し)、3日間、7日間および21日間とした。これらの浸漬熟成肉について、一般細菌および大腸菌群の菌数検査を行った。一般細菌は標準平板菌数測定法により、大腸菌群はデソキシコーレイト培地法により、それぞれ菌数を測定した。その結果を表3に示す。
[表3]

Claims (4)

  1. 食肉を、当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度の液体に浸漬した状態で所定の期間置く工程を有する熟成肉の製造方法。
  2. 前記液体が、不揮発性の溶質を溶解した水溶液である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記当該食肉の凍結点以上かつ4℃以下の温度が、−4℃以上かつ0℃以下である、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記所定の期間が、3日以上50日以下の期間である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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