JP2004093111A - 生鮮食品保存用氷 - Google Patents
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Abstract
【課題】死後硬直の開始、さらには自己消化の開始、進行を遅らせて、生食品としての活き、食感の良さを保持できる期間を延長するとともに、殺菌力を発揮して腐敗を防止し、しかも安全で生鮮魚の味や臭いに影響を与えずに済む生鮮食品保存用氷を提供する。
【解決手段】ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものであり、好ましくは、ヒノキチオールのNa塩を0.04〜0.08質量%含む氷、あるいはヒノキチオールを0.04質量%以上含む氷である。
【選択図】 図3
【解決手段】ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものであり、好ましくは、ヒノキチオールのNa塩を0.04〜0.08質量%含む氷、あるいはヒノキチオールを0.04質量%以上含む氷である。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漁獲水産物、農作物、畜産物等の生鮮食料品を氷温に保存するために使用する氷に関し、特に冷凍庫を具備していない漁船や釣り船などで漁獲された水産物を沿岸や出荷地点まで輸送流通する段階で使用する保存用氷、釣り愛好家が釣った魚を家に持ち帰るまでにアイスボックスやクーラーに入れて使用する氷、あるいは魚屋や寿司屋、居酒屋等で生鮮魚やマグロ魚肉等の刺身を店頭又はウィンドウ内に陳列する際に生鮮魚や刺身の下に敷き氷、積み氷、掛け氷として使用する氷に関する。
【0002】
【従来の技術】
漁獲水産物の沿岸までの輸送過程、さらには市場までの流通過程において魚介類の鮮度を保持するために、一般に砕氷で水産物を氷詰めした状態で輸送・流通過程にのせている。
【0003】
従来、氷詰めには、最も簡単に入手でき、安価であるという点から、単に真水を凍らせた氷が用いられていた。しかしながら、魚は、死後、硬直が始まりだし、さらに腐敗へと変化していく。特に、内臓や血液の中には強力なタンパク質分解酵素があり、微生物、細菌の繁殖も進み出すため、内臓やエラを取り出さない状態で輸送保存する場合、氷温貯蔵の間にも腐敗菌の繁殖が進行することになる。このため、近年、殺菌能力のある氷を使用することが提案されている。
【0004】
殺菌能力のある氷としては、塩素を含有した氷(特許文献1)、次亜塩素酸を含有する氷(特許文献2)、二酸化塩素水を凍結させた氷(特許文献3)、次亜塩素酸ソーダを含有する氷(特許文献4)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、次亜塩素酸等の塩素系殺菌剤を含む氷は、融けて水溶液状態となったとき、さらには塩素系殺菌剤が分解して塩素や塩化水素が生じると、刺激臭、不快臭がひどく、水産物取り扱い者にとって耐え難いものとなる。また、輸送保存の間に融けた塩素系含有水に浸漬された状態になると、これらの塩素化合物が魚介類表面に付着したり、さらには浸透圧の関係で魚介類体内に取り込まれている場合があるため、生鮮魚を実際に上市するに際しては、十分な水洗を必要とする。
【0006】
一方、刺身やタタキのような生食用生鮮魚の保存に関しては、殺菌力の有無よりも、鮮度の方が重要である。すなわち、魚の死後の変化は図1のように進行する。
【0007】
まず心臓の活動が止まる(物理的死)と、組織に酸素が供給されなくなってグリコーゲンの分解がおこり、乳酸が蓄積する。ATPの減少が著しくなると同時に筋肉が収縮し、硬くなって死後硬直がはじまる。死後硬直期がすぎると、組織内酵素によって筋肉タンパク質が分解される解硬が始まり、さらに自己消化が進んで筋肉の柔軟性が増していく。そして自己消化と同時にあるいは引き続いて微生物が増殖しはじめ、魚介類の腐敗がはじまる。肉質が柔らかくなると、アンモニアやアミン類などの有害物質が発生して、腐敗臭を出すようになる。
【0008】
以上のような変化の中で、鮮魚食料品として口にできるのは、自己消化が始まるころまでである。一方、通常の状態すなわち食中毒菌が繁殖しやすい季節や環境下でない通常の状態の保存下では、殺菌力の効能が発揮されるのは、自己消化が始まって以降である。従って、生食用の生鮮魚介類保存用の氷としては、死後硬直の開始が遅く、あるいは死後硬直期間を長く保持して自己消化の開始を遅らせるものが望まれる。
【0009】
この点、従来の保存用氷は、いずれも殺菌を主目的とするものであり、生食用に適した魚を水揚げ後、食卓に提供するまでの期間を延長することによる生食としての鮮度に着目した生鮮魚介類保存用氷は提案されていない。
【0010】
また、マグロやカツオ等の赤身魚の場合、殺菌力のある氷で氷蔵保存することにより腐敗菌の繁殖を抑えることができたとしても、メト化の進行のために、商品価値が下がるという問題がある。ここで、メト化とは、血液、細胞中のヘモグロビン、ミオグロビンの鉄が酸化してメトミオグロビンとなり、肉色が赤褐色に変化することであり、外観上、肉色が悪くなるため、消費者に鮮度低下のイメージを与える。このため、赤身魚肉の輸送保存については、腐敗とは別に、メト化の防止抑制も必要とされる。
【0011】
メト化防止方法としては、亜硝酸塩類、ビタミンC(アスコルビン酸)やアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤を食品に練り込んだり、一酸化炭素で燻煙する方法が知られている。
【0012】
食品添加物としての一酸化炭素は色調の退化を極めて遅らせることができ、食品が古くなっても赤い色調を維持させることができる。しかし、このことは、鮮度の低下を見誤った最終消費者が古い魚類を食べて、食中毒を引き起こすおそれがあるとして、食品衛生法により使用が制限ないし禁止されている。また、亜硝酸塩類は、人体に有害であるため、食肉製品、ハム、ソーセージ等の加工食品以外への使用は認められておらず、マグロの刺身等の生魚へのメト化防止剤としての使用は認められていない。
【0013】
尚、氷ではないが、魚介類の鮮度保持方法としては、特許文献5に、ヒノキチオール及びその誘導体を含有する成分を付着浸透させることにより鮮度を保持することが開示されている。ここで、開示されている例は、0.01%ヒノキチオール液及び0.01%のヒノキチオールナトリウム液であり、これらを魚介類に噴霧、塗布又はこれらの水溶液に浸漬することにより、常温で保持した場合の細菌類の繁殖抑制に効果があることが示されているにすぎない。しかしながら、生鮮食料品としての魚、特に水揚げ後、刺身等の生魚として食卓に提供される魚介類にとって重要な鮮度は、前述のように、細菌類の繁殖が問題となる前の段階で、活きのよさ、食感、味の良さをいかに保てるかということに帰結する。
【0014】
【特許文献1】
特開平2000−81261号
【特許文献2】
WO00−8956号
【特許文献3】
特開平11−130407号
【特許文献4】
特開平11−304312号
【特許文献5】
特公昭33−10577号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長時間にわたって殺菌能力を発揮し続けることができるだけでなく、釣った直後の魚の活きの良さ、生鮮食料品としての活きの良さをより長く保持することができる氷を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来より殺菌により食品の保存に適しているといわれているヒノキチオール及びその誘導体に着目し、さらにこれらの濃度、pHが初期の死後硬直、自己消化の開始に関連あると考え、鋭意検討した結果、本発明を完成した。
【0017】
本発明の生鮮食品保存用氷は、ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。
【0018】
本発明の好ましい生鮮食品保存用氷は、ヒノキチオールナトリウム塩を0.04〜0.08質量%含有するヒノキチオールナトリウム含有水溶液を凍らせてなるもの、あるいはヒノキチオールを0.04質量%以上含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。
【0019】
本発明の保存用氷は、実質的に塩素系物質を含有しないことが好ましい。
【0020】
本発明の生鮮食品保存用氷は、赤身魚保存用、生食用魚介類保存用に適している。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の生鮮食料品保存用氷は、ヒノキチオール又はヒノキチオールのナトリウム塩又はこれらの混合物を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。ヒノキチオールには、死後硬直を遅らせる効果があるからである。
【0022】
ここで、ヒノキチオールとは、β−ツヤプリシンともいい、台湾ヒノキや青森産ヒバ(アスナロ)やニオイヒバの1種など精油中に含まれている酸性物質である。ヒノキチオールのナトリウム塩は、アルカリ性物質である。本発明の氷には、天然物由来のヒノキチオールを使用してもよいし、化学合成品を使用してもよい。具体的には高砂香料(株)や大阪有機化学工業(株)より販売されている市販品を使用することができる。
【0023】
ヒノキチオール含有水溶液に使用される水は、水道水、蒸留水、精製水などのいずれを用いてもよい。
【0024】
ヒノキチオール含有水中のヒノキチオール及びヒノキチオールのナトリウム塩の総量(ヒノキチオール+ヒノキチオールのナトリウム塩)の含有率は、0.01質量%超であり、好ましくは0.02〜1質量%、より好ましくは0.04質量%以上である。0.01質量%(100ppm)以下では、ヒノキチオールによる硬直遅延効果が期待できないからである。
【0025】
ヒノキチオール及びそのナトリウム塩は、高濃度ほど、硬直遅延及び自己消化の開始ないし進行の遅延効果を期待できるが、0℃以下における各濃度の溶解度は、0.15質量%程度が限度であるため、飽和濃度程度を上限とするしかない。特にヒノキチオールナトリウム塩の場合、氷の融解に際しては水よりもヒノキチオールナトリウム塩が優先的に融解してくる傾向にあり、初期の融解液が氷原液よりも濃くなる傾向にあるので、ヒノキチオールナトリウムの氷原液は0.08質量%(800ppm)以下とすることが好ましい。
【0026】
本発明の氷は、殺菌能力を有するヒノキチオールを含有し、実質的に次亜塩素酸等の塩素系殺菌剤を含んでいない。
【0027】
本発明の氷は、以上のような組成を有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせることにより製造できる。凍結温度は、原料となるヒノキチオール含有水溶液の組成、濃度にもよるが、一般の冷凍室(−15℃以下、好ましくは−18℃以下)で凍結させることができる。
【0028】
本発明の氷は、ヒノキチオールを含有することにより、死後硬直の開始を遅延させることができ、高濃度のヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を含有することにより、自己消化の開始の遅延又は自己消化の進行遅延をもたらすことができる。従って、本発明の保存用氷を用いて水揚げ後の魚を保存することにより、繊度の高い活き、食感のよい生食用魚を提供することができる。
【0029】
また、本発明の保存用氷は、殺菌能力を有しているので、敷き氷、掛け氷、積み氷として生鮮食料品と直接接触させて氷詰めすることにより、単なる氷蔵だけでなく、食品表面を殺菌して、細菌、微生物の繁殖を防止する。そして氷が融けてヒノキチオール含有水溶液となったときにも、塩素系殺菌剤を含んでいないので、不快臭、刺激臭がなく、取り扱い者に対して無害である。さらに、融解した水が生鮮食料品に付着したり、生鮮食料品に吸水されることがあっても、ヒノキチオール自体は人体に無害であるため、塩素系殺菌剤のように、上市に際して十分な水洗いを要求することなく、食用に供することができ、販売者にとって便利である。
【0030】
さらにまた、本発明の氷は、メト化防止効果を有している。従って、マグロ・カツオ漁猟で捕った魚肉を、本発明の氷を敷き詰めた状態で冷蔵すると、魚肉の変色を防止できる。これにより、外観的にもマグロやカツオなどの赤身魚肉について捕った状態の赤色を保持することができ、これらの赤身魚肉の商品価値がメト化により低下することを防止できる。ヒノキチオールによるメト化防止は、殺菌消毒効果すなわち魚肉の腐敗を抑制しつつ行っているので、一酸化炭素の薫煙のように、外観上の肉色保存のみによる鮮度誤認のおそれもなく安全である。
【0031】
本発明の生鮮食料品保存用氷は、ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩の他に、さらに緑茶抽出物を含有もよいし、さらにまたアロエ、熊笹、ドクダミの抽出成分を含有してもよい。これらの併用により、ヒノキチオールナトリウム塩、ヒノキチオールの飽和溶解度を上げることができるので、より高濃度のヒノキチオール、ヒノキチオールナトリウム塩の氷を調製することが可能となるからである。
【0032】
緑茶の抽出物としては、粉砕した緑茶を熱湯で抽出し、精製し濃縮した液を使用する。緑茶の抽出物の主成分は茶ポリフェノールである。茶ポリフェノールは、分子内にフェノール性水酸基を複数もつ化合物の総称で、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピガテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどを主要成分とする。緑茶ポリフェノール等の緑茶抽出物は、ヒノキチオールの殺菌効果を増大して、一般細菌や低温細菌の増殖を抑制するだけでなく、メト化の進行も抑制することができ、殺菌効果及びメト化防止効果を増大させることができる。緑茶抽出物の好ましい含有率は、0.002〜1質量%である。
【0033】
アロエの抽出物とは、主にアロエが葉に持つゼリー状の身(葉肉)を圧搾抽出法で抽出し、熱可塑性を加えて濃縮安定化したエキスをいう。このようなアロエエキスに代えて、主成分であるアントラキノン誘導体のアロインやバーバロインを用いても良い。アロエ抽出物には、アロインやバーバロインの他、アロエ−エモジン、アロエシン、アロエニンなども含まれる。アロエ抽出物の好ましい含有率は、0.002〜1質量%である。
【0034】
熊笹の抽出物は、低温高圧圧搾抽出法で、熊笹を抽出することにより得られる。低温高圧圧搾抽出法は、熊笹を高圧に設定した機械装置によって温度を上げずに抽出する方法で、その時に絞り出された液を濃縮した液が熊笹抽出物となる。熊笹は、日本や中国に広く分布しているイネ科のササの1種である。熊笹の抽出物には、主成分であるトリテルペノール(β−アミリン・フリーデン)の他、還元リグニン、還元糖、グルコースなどの糖類も含まれている。熊笹の抽出物に代えて、これらの合成品の混合物を用いることもできる。熊笹抽出物の好ましい含有率は、0.001〜1質量%である。
【0035】
ドクダミは、日本、台湾、中国、ヒマラヤ、ジャワに分布し、山野や庭などに診られる多年草である。ドクダミ抽出物は、熊笹と同様に、低温高圧圧搾抽出法という方法で抽出する。ドクダミ抽出物には、クエシトリン、アフゼニン、ハイペリン、ルチン、β−システロール、シス及びトランス−N−(4−ヒドロキシルスチリル)が含まれている。熊笹の抽出物に代えて、これらの合成品の混合物を用いることもできる。ドクダミ抽出物の好ましい含有率は、0.001〜1質量%である。
【0036】
アロエ抽出物、熊笹抽出物、ドクダミ抽出物は、ヒノキチオールの水に対する溶解度を増大させる他、ヒノキチオールの独特の臭いを緩和する働きもある。つまり、ヒノキチオールは塩素系殺菌剤のような刺激臭、有害な臭いを発することはないが、特有の臭いがあり、取扱い者に好まれない傾向にある。しかしながら、アロエ抽出物、熊笹抽出物、ドクダミ抽出物を共存させることにより、ヒノキチオール特有の臭いが緩和されて気にならない臭いとなり、食料品取扱い業者だけでなく、釣り愛好家、魚屋等の魚類最終販売者にとっても、使用しやすいものとなる。
【0037】
以上のような組成を有する氷は、殺菌効果を必要とする生鮮食料品の氷温貯蔵輸送だけでなく、刺身のように生食として活きのよい食感が求められる生鮮魚介類の漁獲から調理までの氷温貯蔵に好ましく用いられる。特に死後硬直の開始、自己消化の開始遅延に効果を発揮できるので、釣った魚を直接そのまま氷冷保存する中型魚以下の魚の保存に適している。また、死後腐敗が始まるが商品価値、風味との関係で冷凍できない漁獲水産物の輸送保存の氷詰め用の氷として好適に用いられる。さらに、臭いや毒性もなく、取り扱いが簡単なので、漁業関係者に限らず、釣り愛好家が釣った魚をそのまま持ち帰るためにアイスボックスやクーラーに入れる氷としてだけでなく、魚屋、寿司屋、居酒屋といった最終販売者が魚介類をウィンドウ内に陳列するときに使用される敷き氷として使用することができる。
【0038】
尚、本発明の氷は、生鮮魚だけでなく、畜肉、野菜といった魚介類以外の生鮮食料品を氷蔵するものにも使用できる。いずれの食品についても、融けた水溶液中に食料品が浸漬された状態となっても、水溶液自体に殺菌効果がある上に食品に付着吸収されても人体に無害であるから、食用に供する前処理は簡単な水洗で済み、便利である。
【0039】
【実施例】
〔氷の調製〕
水道水;生理食塩水(0.9%食塩水);50ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液(次亜塩素酸Na);12.5ppm、80ppm、125ppm、800ppmのヒノキチオール水溶液(HT);125ppm、400ppm、800ppmのヒノキチオール(HT)とヒノキチオールナトリウム(HTNa)の混合液(HT:HTNa=3:1で含有);125ppm、800ppmのヒノキチオールナトリウム水溶液(HTNa)を準備し、それぞれ冷凍庫にいれて、氷を調製した。
【0040】
〔硬直指数の測定〕
3リットル分の氷を砕いて袋にいれ、この袋の中に、生きている鯵5匹づつ入れ、密封して冷蔵庫中に保存した。死後直後、死後直後から3時間後、6時間後、9時間後、12時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後に、各袋から鯵を取り出して、硬直指数を測定した。
【0041】
硬直指数は、図2に示すように、載置台2の上に、魚1の全長の1/2に相当する分(L0)を載置し、載置台1から垂れた部分の長さ(L)を測定し、下式により硬直指数を求めた。
硬直指数(%)=(L0−L)÷L0×100
理想的な完全硬直がおこると、垂下長Lは0となるので、硬直指数100%となる。そして自己消化が始まると、硬直指数が下がっていく。
【0042】
尚、保存に際して氷が溶けるため、24時間後の測定後及び36時間後の測定後に、それぞれ1リットル分の氷を追加した。
各時間の硬直指数を測定し、5匹の平均値を算出した。但し、死後、全く硬直することなく、ずっと垂れ続けたていた魚の値については、平均値の算出から除外した。
【0043】
測定結果を表1に示す。また、表1のデータに基づいて、ヒノキチオール氷の濃度と硬直指数の関係を図3に、ヒノキチオールナトリウム含有氷の濃度と硬直指数の関係を図4に、水道水、生理食塩水、50ppm次亜塩素酸ナトリウム、125ppmのヒノキチオール、ヒノキチオールとヒノキチオールナトリウムの混合物、ヒノキチオールナトリウムそれぞれの氷と硬直指数の関係を図5に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
〔pHの変化〕
硬直指数の測定実験にあたり、各氷の調製前の水溶液液(または水)及び各測定時における氷から溶け出した液のpHを測定した。結果を表2及び図6に示す。尚、3時間後、6時間後では、融解水は微量であったが、ピペットで採取することにより、融解液のpHを測定した。
【0046】
【表2】
【0047】
〔腐敗実験〕
氷の上に吸水紙を敷き、その上にマグロの切り身を載置し、密封して、冷蔵庫中で保存した。保存直後から、1日目、3日目、4日目、5日目、7日目ついて、臭いを嗅ぎ、生臭さを調べた。生臭さを「○」(ほとんど臭いしない)、「△」(微かに生臭さはある)、「×」(生臭い)、「××」(腐敗臭に近い臭いでたまらない)の4段階で評価した。結果を表3に示す。
【0048】
尚、氷は徐々に溶けていくが、吸水紙が溶解した水を吸収することにより、魚が水溶液中につかるような状態を防止した。また、吸水紙の吸水能力が飽和に達したときは、吸水紙を変えることにより、魚が水溶液中につかるような状態を防止した。さらに、1日目、3日目、5日目に、新しい氷と交換することにより、魚が氷に接触している状態を保持した。
【0049】
【表3】
【0050】
〔赤色度変色実験〕
上記腐敗実験の測定に際して、ミノルタ社製のカラーリーダーCR−13を用いて、Lab系色彩を測定し、各魚の赤色度(a)を調べた。測定されたaの最大値(0日目〜3日目の値)と最小値(5日目〜7日目の値)の差異を求め、退色度とした。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
〔評価〕
表2及び図6からわかるように、氷の融解液のpHは、氷原液のpHから中性(pH7付近)に変化していった。つまり、魚と魚が接触している液との間で体液交換あるいは魚からの体液が放出されていると考えられる。しかしながら、水道水氷、生理食塩水氷、次亜塩素酸Na氷では、初期にpHが大きく変化しているのに対し、HT及び/又はHTNaではpH変化は全体を通じて徐々に中性に向かって変化していった。このことは、HT、HTNaが魚体表面にもたらす影響は急激なものではなく緩やかなのではないかと考えられる。
【0053】
図5から、生理食塩水は、死後3時間後くらいで硬直がはじまり、水道水氷や次亜塩素酸ナトリウム氷の死後6〜9時間よりもや速かった。一方、ヒノキチオールは硬直に到達する時間が死後9〜12時間後の間と考えられ、硬直の開始を遅らせる効果があると考えられる。このヒノキチオールの硬直開始遅延効果は、図3に示すように、濃度が高い程顕著であり、100ppm以下では、水道水氷と差異は認められなかった。
【0054】
生理食塩水では9時間後、水道水では12時間後くらいから自己消化がはじまった。一方、125ppmのHTNa氷、400ppmHT+HTNa氷、及び800ppmHT+HTNaで、24時間後くらいに解硬ないしは自己消化の開始が認められたものの、ヒノキチオールのみ含有する氷では、顕著な自己消化の開始は認められなかった。また、800ppmHT氷、800ppmHT+HTNa氷では、自己消化の進行は他に比べて緩やかであった。
【0055】
従って、HT、HTNaを高濃度に含むことにより、自己消化の開始を遅延さらには自己消化の進行を遅延させることができると考えられる。
【0056】
尚、次亜塩素酸Naについては、6時間以内という初期の段階でアルカリ性液がほぼpH7の中性付近に変化して、その後、安定していた。これは、融解水から塩素が揮発してしまうためでないかと考えられる。
【0057】
腐敗実験結果からわかるように、自己消化の速い水道水氷は生臭くなるのも速く、自己消化が遅いと考えられる高濃度のHT+HTNa氷は、生臭くなるのが最も遅かった。ヒノキチオールのみの含有氷は、水道水氷と比べてだけでなく、次亜塩素酸Na氷よりも、若干生臭くなるのが遅かった。ヒノキチオール、ヒノキチオールナトリウム塩が、単なる殺菌効果だけでなく、自己消化による腐敗を抑制しているためではないかと考えらる。
【0058】
赤色度実験結果において、0日目は、赤色に個体差が認められるが、全体として時間経過とともに、変色、換言すると赤色度が退色していき、その度合いは、漂白効果がある次亜塩素酸Naが最も速く、次いで少量の塩素分が含まれていると考えられる水道水氷であり、ヒノキチオール含有氷の変色は小さかった。これは、ヒノキチオールのメト化防止効果によると考えられる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の生鮮食品用保存氷は、ヒノキチオールの殺菌効果に基づいて腐敗菌の繁殖を抑えることができるだけでなく、死後硬直、さらには硬直後の自己消化の開始を遅らせるとともに、自己消化の進行を抑制することができる。これにより、水揚げ後の魚介類の活き、食感のよさといった生食としての魚介類の保持時間を延長することができる。
【0060】
また、本発明の保存用氷は人体に安全であるから、水産物取扱い者にとって取扱い便利である。
【0061】
さらに、本発明の生鮮食品用保存氷を赤身魚の輸送保存に利用した場合には、輸送保存中の赤身魚のメト化を防止できるので、腐敗菌の繁殖を抑制するだけでなく、赤身魚の商品価値を維持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】魚の死後変化を説明するための図である。
【図2】魚の硬直指数の測定方法を説明するための図である。
【図3】ヒノキチオール氷の濃度と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図4】ヒノキチオールナトリウム含有氷の濃度と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図5】水道水、生理食塩水、次亜塩素酸ナトリウム、ヒノキチオール、ヒノキチオールとヒノキチオールナトリウムの混合物、ヒノキチオールナトリウムの各氷と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図6】死後の氷融解液のpHの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 魚
2 載置台
【発明の属する技術分野】
本発明は、漁獲水産物、農作物、畜産物等の生鮮食料品を氷温に保存するために使用する氷に関し、特に冷凍庫を具備していない漁船や釣り船などで漁獲された水産物を沿岸や出荷地点まで輸送流通する段階で使用する保存用氷、釣り愛好家が釣った魚を家に持ち帰るまでにアイスボックスやクーラーに入れて使用する氷、あるいは魚屋や寿司屋、居酒屋等で生鮮魚やマグロ魚肉等の刺身を店頭又はウィンドウ内に陳列する際に生鮮魚や刺身の下に敷き氷、積み氷、掛け氷として使用する氷に関する。
【0002】
【従来の技術】
漁獲水産物の沿岸までの輸送過程、さらには市場までの流通過程において魚介類の鮮度を保持するために、一般に砕氷で水産物を氷詰めした状態で輸送・流通過程にのせている。
【0003】
従来、氷詰めには、最も簡単に入手でき、安価であるという点から、単に真水を凍らせた氷が用いられていた。しかしながら、魚は、死後、硬直が始まりだし、さらに腐敗へと変化していく。特に、内臓や血液の中には強力なタンパク質分解酵素があり、微生物、細菌の繁殖も進み出すため、内臓やエラを取り出さない状態で輸送保存する場合、氷温貯蔵の間にも腐敗菌の繁殖が進行することになる。このため、近年、殺菌能力のある氷を使用することが提案されている。
【0004】
殺菌能力のある氷としては、塩素を含有した氷(特許文献1)、次亜塩素酸を含有する氷(特許文献2)、二酸化塩素水を凍結させた氷(特許文献3)、次亜塩素酸ソーダを含有する氷(特許文献4)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、次亜塩素酸等の塩素系殺菌剤を含む氷は、融けて水溶液状態となったとき、さらには塩素系殺菌剤が分解して塩素や塩化水素が生じると、刺激臭、不快臭がひどく、水産物取り扱い者にとって耐え難いものとなる。また、輸送保存の間に融けた塩素系含有水に浸漬された状態になると、これらの塩素化合物が魚介類表面に付着したり、さらには浸透圧の関係で魚介類体内に取り込まれている場合があるため、生鮮魚を実際に上市するに際しては、十分な水洗を必要とする。
【0006】
一方、刺身やタタキのような生食用生鮮魚の保存に関しては、殺菌力の有無よりも、鮮度の方が重要である。すなわち、魚の死後の変化は図1のように進行する。
【0007】
まず心臓の活動が止まる(物理的死)と、組織に酸素が供給されなくなってグリコーゲンの分解がおこり、乳酸が蓄積する。ATPの減少が著しくなると同時に筋肉が収縮し、硬くなって死後硬直がはじまる。死後硬直期がすぎると、組織内酵素によって筋肉タンパク質が分解される解硬が始まり、さらに自己消化が進んで筋肉の柔軟性が増していく。そして自己消化と同時にあるいは引き続いて微生物が増殖しはじめ、魚介類の腐敗がはじまる。肉質が柔らかくなると、アンモニアやアミン類などの有害物質が発生して、腐敗臭を出すようになる。
【0008】
以上のような変化の中で、鮮魚食料品として口にできるのは、自己消化が始まるころまでである。一方、通常の状態すなわち食中毒菌が繁殖しやすい季節や環境下でない通常の状態の保存下では、殺菌力の効能が発揮されるのは、自己消化が始まって以降である。従って、生食用の生鮮魚介類保存用の氷としては、死後硬直の開始が遅く、あるいは死後硬直期間を長く保持して自己消化の開始を遅らせるものが望まれる。
【0009】
この点、従来の保存用氷は、いずれも殺菌を主目的とするものであり、生食用に適した魚を水揚げ後、食卓に提供するまでの期間を延長することによる生食としての鮮度に着目した生鮮魚介類保存用氷は提案されていない。
【0010】
また、マグロやカツオ等の赤身魚の場合、殺菌力のある氷で氷蔵保存することにより腐敗菌の繁殖を抑えることができたとしても、メト化の進行のために、商品価値が下がるという問題がある。ここで、メト化とは、血液、細胞中のヘモグロビン、ミオグロビンの鉄が酸化してメトミオグロビンとなり、肉色が赤褐色に変化することであり、外観上、肉色が悪くなるため、消費者に鮮度低下のイメージを与える。このため、赤身魚肉の輸送保存については、腐敗とは別に、メト化の防止抑制も必要とされる。
【0011】
メト化防止方法としては、亜硝酸塩類、ビタミンC(アスコルビン酸)やアスコルビン酸ナトリウムなどの酸化防止剤を食品に練り込んだり、一酸化炭素で燻煙する方法が知られている。
【0012】
食品添加物としての一酸化炭素は色調の退化を極めて遅らせることができ、食品が古くなっても赤い色調を維持させることができる。しかし、このことは、鮮度の低下を見誤った最終消費者が古い魚類を食べて、食中毒を引き起こすおそれがあるとして、食品衛生法により使用が制限ないし禁止されている。また、亜硝酸塩類は、人体に有害であるため、食肉製品、ハム、ソーセージ等の加工食品以外への使用は認められておらず、マグロの刺身等の生魚へのメト化防止剤としての使用は認められていない。
【0013】
尚、氷ではないが、魚介類の鮮度保持方法としては、特許文献5に、ヒノキチオール及びその誘導体を含有する成分を付着浸透させることにより鮮度を保持することが開示されている。ここで、開示されている例は、0.01%ヒノキチオール液及び0.01%のヒノキチオールナトリウム液であり、これらを魚介類に噴霧、塗布又はこれらの水溶液に浸漬することにより、常温で保持した場合の細菌類の繁殖抑制に効果があることが示されているにすぎない。しかしながら、生鮮食料品としての魚、特に水揚げ後、刺身等の生魚として食卓に提供される魚介類にとって重要な鮮度は、前述のように、細菌類の繁殖が問題となる前の段階で、活きのよさ、食感、味の良さをいかに保てるかということに帰結する。
【0014】
【特許文献1】
特開平2000−81261号
【特許文献2】
WO00−8956号
【特許文献3】
特開平11−130407号
【特許文献4】
特開平11−304312号
【特許文献5】
特公昭33−10577号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長時間にわたって殺菌能力を発揮し続けることができるだけでなく、釣った直後の魚の活きの良さ、生鮮食料品としての活きの良さをより長く保持することができる氷を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来より殺菌により食品の保存に適しているといわれているヒノキチオール及びその誘導体に着目し、さらにこれらの濃度、pHが初期の死後硬直、自己消化の開始に関連あると考え、鋭意検討した結果、本発明を完成した。
【0017】
本発明の生鮮食品保存用氷は、ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。
【0018】
本発明の好ましい生鮮食品保存用氷は、ヒノキチオールナトリウム塩を0.04〜0.08質量%含有するヒノキチオールナトリウム含有水溶液を凍らせてなるもの、あるいはヒノキチオールを0.04質量%以上含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。
【0019】
本発明の保存用氷は、実質的に塩素系物質を含有しないことが好ましい。
【0020】
本発明の生鮮食品保存用氷は、赤身魚保存用、生食用魚介類保存用に適している。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の生鮮食料品保存用氷は、ヒノキチオール又はヒノキチオールのナトリウム塩又はこれらの混合物を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなるものである。ヒノキチオールには、死後硬直を遅らせる効果があるからである。
【0022】
ここで、ヒノキチオールとは、β−ツヤプリシンともいい、台湾ヒノキや青森産ヒバ(アスナロ)やニオイヒバの1種など精油中に含まれている酸性物質である。ヒノキチオールのナトリウム塩は、アルカリ性物質である。本発明の氷には、天然物由来のヒノキチオールを使用してもよいし、化学合成品を使用してもよい。具体的には高砂香料(株)や大阪有機化学工業(株)より販売されている市販品を使用することができる。
【0023】
ヒノキチオール含有水溶液に使用される水は、水道水、蒸留水、精製水などのいずれを用いてもよい。
【0024】
ヒノキチオール含有水中のヒノキチオール及びヒノキチオールのナトリウム塩の総量(ヒノキチオール+ヒノキチオールのナトリウム塩)の含有率は、0.01質量%超であり、好ましくは0.02〜1質量%、より好ましくは0.04質量%以上である。0.01質量%(100ppm)以下では、ヒノキチオールによる硬直遅延効果が期待できないからである。
【0025】
ヒノキチオール及びそのナトリウム塩は、高濃度ほど、硬直遅延及び自己消化の開始ないし進行の遅延効果を期待できるが、0℃以下における各濃度の溶解度は、0.15質量%程度が限度であるため、飽和濃度程度を上限とするしかない。特にヒノキチオールナトリウム塩の場合、氷の融解に際しては水よりもヒノキチオールナトリウム塩が優先的に融解してくる傾向にあり、初期の融解液が氷原液よりも濃くなる傾向にあるので、ヒノキチオールナトリウムの氷原液は0.08質量%(800ppm)以下とすることが好ましい。
【0026】
本発明の氷は、殺菌能力を有するヒノキチオールを含有し、実質的に次亜塩素酸等の塩素系殺菌剤を含んでいない。
【0027】
本発明の氷は、以上のような組成を有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせることにより製造できる。凍結温度は、原料となるヒノキチオール含有水溶液の組成、濃度にもよるが、一般の冷凍室(−15℃以下、好ましくは−18℃以下)で凍結させることができる。
【0028】
本発明の氷は、ヒノキチオールを含有することにより、死後硬直の開始を遅延させることができ、高濃度のヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を含有することにより、自己消化の開始の遅延又は自己消化の進行遅延をもたらすことができる。従って、本発明の保存用氷を用いて水揚げ後の魚を保存することにより、繊度の高い活き、食感のよい生食用魚を提供することができる。
【0029】
また、本発明の保存用氷は、殺菌能力を有しているので、敷き氷、掛け氷、積み氷として生鮮食料品と直接接触させて氷詰めすることにより、単なる氷蔵だけでなく、食品表面を殺菌して、細菌、微生物の繁殖を防止する。そして氷が融けてヒノキチオール含有水溶液となったときにも、塩素系殺菌剤を含んでいないので、不快臭、刺激臭がなく、取り扱い者に対して無害である。さらに、融解した水が生鮮食料品に付着したり、生鮮食料品に吸水されることがあっても、ヒノキチオール自体は人体に無害であるため、塩素系殺菌剤のように、上市に際して十分な水洗いを要求することなく、食用に供することができ、販売者にとって便利である。
【0030】
さらにまた、本発明の氷は、メト化防止効果を有している。従って、マグロ・カツオ漁猟で捕った魚肉を、本発明の氷を敷き詰めた状態で冷蔵すると、魚肉の変色を防止できる。これにより、外観的にもマグロやカツオなどの赤身魚肉について捕った状態の赤色を保持することができ、これらの赤身魚肉の商品価値がメト化により低下することを防止できる。ヒノキチオールによるメト化防止は、殺菌消毒効果すなわち魚肉の腐敗を抑制しつつ行っているので、一酸化炭素の薫煙のように、外観上の肉色保存のみによる鮮度誤認のおそれもなく安全である。
【0031】
本発明の生鮮食料品保存用氷は、ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩の他に、さらに緑茶抽出物を含有もよいし、さらにまたアロエ、熊笹、ドクダミの抽出成分を含有してもよい。これらの併用により、ヒノキチオールナトリウム塩、ヒノキチオールの飽和溶解度を上げることができるので、より高濃度のヒノキチオール、ヒノキチオールナトリウム塩の氷を調製することが可能となるからである。
【0032】
緑茶の抽出物としては、粉砕した緑茶を熱湯で抽出し、精製し濃縮した液を使用する。緑茶の抽出物の主成分は茶ポリフェノールである。茶ポリフェノールは、分子内にフェノール性水酸基を複数もつ化合物の総称で、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピガテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどを主要成分とする。緑茶ポリフェノール等の緑茶抽出物は、ヒノキチオールの殺菌効果を増大して、一般細菌や低温細菌の増殖を抑制するだけでなく、メト化の進行も抑制することができ、殺菌効果及びメト化防止効果を増大させることができる。緑茶抽出物の好ましい含有率は、0.002〜1質量%である。
【0033】
アロエの抽出物とは、主にアロエが葉に持つゼリー状の身(葉肉)を圧搾抽出法で抽出し、熱可塑性を加えて濃縮安定化したエキスをいう。このようなアロエエキスに代えて、主成分であるアントラキノン誘導体のアロインやバーバロインを用いても良い。アロエ抽出物には、アロインやバーバロインの他、アロエ−エモジン、アロエシン、アロエニンなども含まれる。アロエ抽出物の好ましい含有率は、0.002〜1質量%である。
【0034】
熊笹の抽出物は、低温高圧圧搾抽出法で、熊笹を抽出することにより得られる。低温高圧圧搾抽出法は、熊笹を高圧に設定した機械装置によって温度を上げずに抽出する方法で、その時に絞り出された液を濃縮した液が熊笹抽出物となる。熊笹は、日本や中国に広く分布しているイネ科のササの1種である。熊笹の抽出物には、主成分であるトリテルペノール(β−アミリン・フリーデン)の他、還元リグニン、還元糖、グルコースなどの糖類も含まれている。熊笹の抽出物に代えて、これらの合成品の混合物を用いることもできる。熊笹抽出物の好ましい含有率は、0.001〜1質量%である。
【0035】
ドクダミは、日本、台湾、中国、ヒマラヤ、ジャワに分布し、山野や庭などに診られる多年草である。ドクダミ抽出物は、熊笹と同様に、低温高圧圧搾抽出法という方法で抽出する。ドクダミ抽出物には、クエシトリン、アフゼニン、ハイペリン、ルチン、β−システロール、シス及びトランス−N−(4−ヒドロキシルスチリル)が含まれている。熊笹の抽出物に代えて、これらの合成品の混合物を用いることもできる。ドクダミ抽出物の好ましい含有率は、0.001〜1質量%である。
【0036】
アロエ抽出物、熊笹抽出物、ドクダミ抽出物は、ヒノキチオールの水に対する溶解度を増大させる他、ヒノキチオールの独特の臭いを緩和する働きもある。つまり、ヒノキチオールは塩素系殺菌剤のような刺激臭、有害な臭いを発することはないが、特有の臭いがあり、取扱い者に好まれない傾向にある。しかしながら、アロエ抽出物、熊笹抽出物、ドクダミ抽出物を共存させることにより、ヒノキチオール特有の臭いが緩和されて気にならない臭いとなり、食料品取扱い業者だけでなく、釣り愛好家、魚屋等の魚類最終販売者にとっても、使用しやすいものとなる。
【0037】
以上のような組成を有する氷は、殺菌効果を必要とする生鮮食料品の氷温貯蔵輸送だけでなく、刺身のように生食として活きのよい食感が求められる生鮮魚介類の漁獲から調理までの氷温貯蔵に好ましく用いられる。特に死後硬直の開始、自己消化の開始遅延に効果を発揮できるので、釣った魚を直接そのまま氷冷保存する中型魚以下の魚の保存に適している。また、死後腐敗が始まるが商品価値、風味との関係で冷凍できない漁獲水産物の輸送保存の氷詰め用の氷として好適に用いられる。さらに、臭いや毒性もなく、取り扱いが簡単なので、漁業関係者に限らず、釣り愛好家が釣った魚をそのまま持ち帰るためにアイスボックスやクーラーに入れる氷としてだけでなく、魚屋、寿司屋、居酒屋といった最終販売者が魚介類をウィンドウ内に陳列するときに使用される敷き氷として使用することができる。
【0038】
尚、本発明の氷は、生鮮魚だけでなく、畜肉、野菜といった魚介類以外の生鮮食料品を氷蔵するものにも使用できる。いずれの食品についても、融けた水溶液中に食料品が浸漬された状態となっても、水溶液自体に殺菌効果がある上に食品に付着吸収されても人体に無害であるから、食用に供する前処理は簡単な水洗で済み、便利である。
【0039】
【実施例】
〔氷の調製〕
水道水;生理食塩水(0.9%食塩水);50ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液(次亜塩素酸Na);12.5ppm、80ppm、125ppm、800ppmのヒノキチオール水溶液(HT);125ppm、400ppm、800ppmのヒノキチオール(HT)とヒノキチオールナトリウム(HTNa)の混合液(HT:HTNa=3:1で含有);125ppm、800ppmのヒノキチオールナトリウム水溶液(HTNa)を準備し、それぞれ冷凍庫にいれて、氷を調製した。
【0040】
〔硬直指数の測定〕
3リットル分の氷を砕いて袋にいれ、この袋の中に、生きている鯵5匹づつ入れ、密封して冷蔵庫中に保存した。死後直後、死後直後から3時間後、6時間後、9時間後、12時間後、24時間後、30時間後、36時間後、48時間後に、各袋から鯵を取り出して、硬直指数を測定した。
【0041】
硬直指数は、図2に示すように、載置台2の上に、魚1の全長の1/2に相当する分(L0)を載置し、載置台1から垂れた部分の長さ(L)を測定し、下式により硬直指数を求めた。
硬直指数(%)=(L0−L)÷L0×100
理想的な完全硬直がおこると、垂下長Lは0となるので、硬直指数100%となる。そして自己消化が始まると、硬直指数が下がっていく。
【0042】
尚、保存に際して氷が溶けるため、24時間後の測定後及び36時間後の測定後に、それぞれ1リットル分の氷を追加した。
各時間の硬直指数を測定し、5匹の平均値を算出した。但し、死後、全く硬直することなく、ずっと垂れ続けたていた魚の値については、平均値の算出から除外した。
【0043】
測定結果を表1に示す。また、表1のデータに基づいて、ヒノキチオール氷の濃度と硬直指数の関係を図3に、ヒノキチオールナトリウム含有氷の濃度と硬直指数の関係を図4に、水道水、生理食塩水、50ppm次亜塩素酸ナトリウム、125ppmのヒノキチオール、ヒノキチオールとヒノキチオールナトリウムの混合物、ヒノキチオールナトリウムそれぞれの氷と硬直指数の関係を図5に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
〔pHの変化〕
硬直指数の測定実験にあたり、各氷の調製前の水溶液液(または水)及び各測定時における氷から溶け出した液のpHを測定した。結果を表2及び図6に示す。尚、3時間後、6時間後では、融解水は微量であったが、ピペットで採取することにより、融解液のpHを測定した。
【0046】
【表2】
【0047】
〔腐敗実験〕
氷の上に吸水紙を敷き、その上にマグロの切り身を載置し、密封して、冷蔵庫中で保存した。保存直後から、1日目、3日目、4日目、5日目、7日目ついて、臭いを嗅ぎ、生臭さを調べた。生臭さを「○」(ほとんど臭いしない)、「△」(微かに生臭さはある)、「×」(生臭い)、「××」(腐敗臭に近い臭いでたまらない)の4段階で評価した。結果を表3に示す。
【0048】
尚、氷は徐々に溶けていくが、吸水紙が溶解した水を吸収することにより、魚が水溶液中につかるような状態を防止した。また、吸水紙の吸水能力が飽和に達したときは、吸水紙を変えることにより、魚が水溶液中につかるような状態を防止した。さらに、1日目、3日目、5日目に、新しい氷と交換することにより、魚が氷に接触している状態を保持した。
【0049】
【表3】
【0050】
〔赤色度変色実験〕
上記腐敗実験の測定に際して、ミノルタ社製のカラーリーダーCR−13を用いて、Lab系色彩を測定し、各魚の赤色度(a)を調べた。測定されたaの最大値(0日目〜3日目の値)と最小値(5日目〜7日目の値)の差異を求め、退色度とした。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
〔評価〕
表2及び図6からわかるように、氷の融解液のpHは、氷原液のpHから中性(pH7付近)に変化していった。つまり、魚と魚が接触している液との間で体液交換あるいは魚からの体液が放出されていると考えられる。しかしながら、水道水氷、生理食塩水氷、次亜塩素酸Na氷では、初期にpHが大きく変化しているのに対し、HT及び/又はHTNaではpH変化は全体を通じて徐々に中性に向かって変化していった。このことは、HT、HTNaが魚体表面にもたらす影響は急激なものではなく緩やかなのではないかと考えられる。
【0053】
図5から、生理食塩水は、死後3時間後くらいで硬直がはじまり、水道水氷や次亜塩素酸ナトリウム氷の死後6〜9時間よりもや速かった。一方、ヒノキチオールは硬直に到達する時間が死後9〜12時間後の間と考えられ、硬直の開始を遅らせる効果があると考えられる。このヒノキチオールの硬直開始遅延効果は、図3に示すように、濃度が高い程顕著であり、100ppm以下では、水道水氷と差異は認められなかった。
【0054】
生理食塩水では9時間後、水道水では12時間後くらいから自己消化がはじまった。一方、125ppmのHTNa氷、400ppmHT+HTNa氷、及び800ppmHT+HTNaで、24時間後くらいに解硬ないしは自己消化の開始が認められたものの、ヒノキチオールのみ含有する氷では、顕著な自己消化の開始は認められなかった。また、800ppmHT氷、800ppmHT+HTNa氷では、自己消化の進行は他に比べて緩やかであった。
【0055】
従って、HT、HTNaを高濃度に含むことにより、自己消化の開始を遅延さらには自己消化の進行を遅延させることができると考えられる。
【0056】
尚、次亜塩素酸Naについては、6時間以内という初期の段階でアルカリ性液がほぼpH7の中性付近に変化して、その後、安定していた。これは、融解水から塩素が揮発してしまうためでないかと考えられる。
【0057】
腐敗実験結果からわかるように、自己消化の速い水道水氷は生臭くなるのも速く、自己消化が遅いと考えられる高濃度のHT+HTNa氷は、生臭くなるのが最も遅かった。ヒノキチオールのみの含有氷は、水道水氷と比べてだけでなく、次亜塩素酸Na氷よりも、若干生臭くなるのが遅かった。ヒノキチオール、ヒノキチオールナトリウム塩が、単なる殺菌効果だけでなく、自己消化による腐敗を抑制しているためではないかと考えらる。
【0058】
赤色度実験結果において、0日目は、赤色に個体差が認められるが、全体として時間経過とともに、変色、換言すると赤色度が退色していき、その度合いは、漂白効果がある次亜塩素酸Naが最も速く、次いで少量の塩素分が含まれていると考えられる水道水氷であり、ヒノキチオール含有氷の変色は小さかった。これは、ヒノキチオールのメト化防止効果によると考えられる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の生鮮食品用保存氷は、ヒノキチオールの殺菌効果に基づいて腐敗菌の繁殖を抑えることができるだけでなく、死後硬直、さらには硬直後の自己消化の開始を遅らせるとともに、自己消化の進行を抑制することができる。これにより、水揚げ後の魚介類の活き、食感のよさといった生食としての魚介類の保持時間を延長することができる。
【0060】
また、本発明の保存用氷は人体に安全であるから、水産物取扱い者にとって取扱い便利である。
【0061】
さらに、本発明の生鮮食品用保存氷を赤身魚の輸送保存に利用した場合には、輸送保存中の赤身魚のメト化を防止できるので、腐敗菌の繁殖を抑制するだけでなく、赤身魚の商品価値を維持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】魚の死後変化を説明するための図である。
【図2】魚の硬直指数の測定方法を説明するための図である。
【図3】ヒノキチオール氷の濃度と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図4】ヒノキチオールナトリウム含有氷の濃度と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図5】水道水、生理食塩水、次亜塩素酸ナトリウム、ヒノキチオール、ヒノキチオールとヒノキチオールナトリウムの混合物、ヒノキチオールナトリウムの各氷と硬直指数の関係を示すグラフである。
【図6】死後の氷融解液のpHの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 魚
2 載置台
Claims (6)
- ヒノキチオール及び/又はそのナトリウム塩を0.01質量%超含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなる生鮮食品保存用氷。
- ヒノキチオールナトリウム塩を0.04〜0.08質量%含有するヒノキチオールナトリウム含有水溶液を凍らせてなる生鮮食品保存用氷。
- ヒノキチオールを0.04質量%以上含有するヒノキチオール含有水溶液を凍らせてなる生鮮食品保存用氷。
- 赤身魚保存用である請求項1又は2に記載の氷。
- 生食用魚介類保存用である請求項1〜3のいずれかに記載の氷。
- 実質的に塩素系物質を含有しない請求項1〜4のいずれかに記載の氷。
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