JP2019203860A - ブリルアン利得スペクトルを測定する装置及び方法 - Google Patents

ブリルアン利得スペクトルを測定する装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高度な周波数制御が不要な簡易な装置構成によりブリルアン利得スペクトルを測定可能な装置及び方法を提供する。【解決手段】本発明は、プローブ光のブリルアン利得スペクトルを測定する装置であって、光コム発生部と、光コムをプローブ光及びポンプ光に分岐する分岐部と、プローブ光及びポンプ光における第1及び第2の透過周波数帯の周波数成分のみをそれぞれ選択的に透過する第1及び第2の光バンドパスフィルタと、入力した光の位相を遅延させる遅延部と、プローブ光の強度を測定する受光部と、光コムの繰り返し周波数Δfを制御する制御部と、を備え、第1の透過周波数帯は、第2の透過周波数帯よりも透過中心周波数が小さくなるように設定され、Δfを変更しながらブリルアン利得スペクトルを測定することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ブリルアン利得スペクトルを測定する装置及び方法に関する。
光ファイバや平面型光導波路(PLC)等に光が伝搬する際に生じる誘導ブリルアン散乱においては、プローブ光の周波数がポンプ光の周波数に対してブリルアン周波数シフトだけ小さい場合に最大のブリルアン利得が生じ、プローブ光が増幅される。ここで、ブリルアン周波数シフトとは、光ファイバやPLC等への入射光の周波数と被験体中での誘導ブリルアン散乱により増幅したプローブ光の周波数との差をいい、ブリルアン周波数シフトを測定することによって被験体の歪や温度のセンシングが可能になる。
ブリルアン周波数シフトの分布をmm程度以下の空間分解能で測定する技術として、ブリルアン光相関領域解析法(以下、BOCDAという)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。BOCDAは、プローブ光と、プローブ光の周波数よりもブリルアン周波数だけ大きな周波数を有するポンプ光との双方を周波数変調し、その変調位相が被験体の特定の極めて小さい区間においてのみ一致し、その一致点においてポンプ光およびプローブ光の周波数相関が大きくなることを利用して、空間分解能に優れたブリルアン周波数シフトの測定を可能とする方法である。
特開2017−116451号公報
K. Y. Song, Z. He, and K. Hotate, "Distributed strain measurement with millimeter-order spatial resolution based on Brillouin optical correlation domain analysis," OPTICS LETTERS Vol. 31, No. 17, September 1, 2006
しかしながら、BOCDAでは、ポンプ光およびプローブ光の周波数の相関は、被験体内の上記一致点などの測定したい場所以外でも完全にゼロではない。このために、BOCDAでは目的とするブリルアン周波数シフトを検出するための相関信号のほかに、測定したい場所以外で生じた信号が大きな割合で生じる。これを除外するため、ポンプ光−プローブ光に複雑な周波数変調を加える等の様々なポンプ光およびプローブ光の周波数変調手段が必要になる。
被験体中のブリルアン周波数シフトνBの分布をcm程度以下の空間分解能で測定するもう1つの従来技術として、被験体の音響フォノンの寿命よりも短い周期T=1/Δfを有する光パルス(光コム)をプローブ光及びポンプ光として用いる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法の利点は、被験体中でのプローブ光及びポンプ光の2つの光パルスの衝突地点以外では誘導ブリルアン散乱が全く生じないため、BOCDAで必要となるプローブ光及びポンプ光に対する複雑な変調手段が不要となることである。
しかしながら、ブリルアン散乱を発生させるためには、プローブ光の周波数は、ポンプ光の周波数に対して被験体におけるブリルアン周波数シフトν程度(約11[GHz])だけ小さく設定する必要がある。このために、例えば特許文献1に記載の方法では、例えば単一側波帯変調器(SSB変調器)などによりプローブ光に対して約11[GHz]程度のダウンシフトを与えている。SSB変調器においてダウンシフト量を変更しながら、受光部においてプローブ光の利得を測定することで、ブリルアン利得スペクトルを取得している。
このように、BOCDAでは、SSB変調器のような高周波での周波数ダウンシフト手段が必要となるため、装置構成が複雑になると同時に、測定時の装置の制御も複雑であり、装置価格の低廉化を妨げていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高度な周波数制御が不要な簡易な装置構成によりブリルアン利得スペクトルを測定することが可能な装置及び方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る装置によると、被験体中において互いに反対方向に伝搬するプローブ光及びポンプ光による誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光のブリルアン利得スペクトルを測定する装置であって、被験体の音響フォノンの寿命よりも短い周期を有する光コムを発生する光コム発生部と、前記光コムをプローブ光及びポンプ光にそれぞれ分岐する分岐部と、前記プローブ光における第1の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過する第1の光バンドパスフィルタと、前記ポンプ光における第2の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過する第2の光バンドパスフィルタと、前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方の位相を遅延させる遅延部と、前記被験体において誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光の強度を測定する受光部と、前記光コム発生部が発生する前記光コムの繰り返し周波数Δfを制御する制御部と、を備え、前記第1の光バンドパスフィルタにおける前記第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、前記第2の光バンドパスフィルタにおける前記第2の透過周波数帯の透過中心周波数よりも小さくなるように設定されており、前記制御部により前記光コムの繰り返し周波数Δfを変更しながら前記受光部において前記増幅されたプローブ光の強度を測定することにより、ブリルアン利得スペクトルを測定することを特徴とする。
本発明の他の態様に係る装置によると、nを任意の整数とし、前記被験体の長さをLとし、前記被験体中での光パルスの群速度をVとし、前記光コムの周期をT=1/Δfとし、前記被験体における前記プローブ光及び前記ポンプ光の光パルスの衝突地点の変化量をΔzとし、前記遅延部による遅延量をtとし、前記遅延量tを前記周期TのM倍(t=MT)とすると、前記制御部は、前記繰り返し周波数Δfを以下の(式11)に示されるnの各値及び各Δzについて求めたf’だけ変化させることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様に係る装置によると、前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方を増幅する光増幅部をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の一態様に係る方法によると、光コムをプローブ光及びポンプ光として用い、被験体中において互いに反対方向に伝搬する前記プローブ光及び前記ポンプ光による誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光のブリルアン利得スペクトルを測定する方法であって、第1の光バンドパスフィルタを用いて前記プローブ光における第1の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過し、第2の光バンドパスフィルタを用いて前記ポンプ光における第2の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過するステップであって、前記第1の光バンドパスフィルタにおける前記第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、前記第2の光バンドパスフィルタにおける前記第2の透過周波数帯の透過中心周波数よりも小さくなるように設定されている、ステップと、前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方の位相を遅延させるステップと、前記光コムの繰り返し周波数Δfを変更しながら前記増幅されたプローブ光の強度を測定することにより、ブリルアン利得スペクトルを測定するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の他の態様に係る方法によると、nを任意の整数とし、前記被験体の長さをLとし、前記被験体中での光パルスの群速度をVとし、前記光コムの周期をT=1/Δfとし、前記被験体における前記プローブ光及び前記ポンプ光の光パルスの衝突地点の変化量をΔzとし、前記遅延させるステップによる遅延量をtとし、前記遅延量tを前記周期TのM倍(t=MT)とすると、前記測定するステップは、前記繰り返し周波数Δfを以下の(式11)に示されるnの各値及び各Δzについて求めたf’だけ変更させながら、前記ブリルアン利得スペクトルを測定することを特徴とする。
本発明の一態様に係る装置及び方法によると、高度な周波数制御が不要な簡易な装置構成により、高い空間分解能でブリルアン利得スペクトルを取得することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るブリルアン利得スペクトルを測定する装置を例示する図である。 第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4を通過した光パルスのスペクトルを示す図である。 光コムの繰り返し周波数Δfに対するブリルアン利得スペクトルの特性を例示する図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係るブリルアン利得スペクトルを測定する装置を例示する。図1には、光コム発生部1と、分岐部2と、第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4と、遅延部5と、光増幅部6、サーキュレータ7と、受光部8と、制御部9と、を備えたブリルアン利得スペクトルを測定する装置が示されている。
図1に示されるように、第1の光バンドパスフィルタ3とサーキュレータ7との間には、例えば光ファイバやPLC等の被験体100が接続される。被験体100の一端にはプローブ光が結合し、被験体1の一端とは反対側の他端にはポンプ光が結合する。被験体中において互いに反対方向に伝搬するプローブ光及びポンプ光による誘導ブリルアン散乱によってプローブ光が増幅される。
光コム発生部1は、一定の周波数間隔Δf(=1/T)=50[MHz]程度で並んだ複数の輝線スペクトル成分を有する光コムを発生することができる。光コム発生部1が発生する光コムは、被験体100において誘導ブリルアン散乱をもたらす音響フォノン寿命よりも短い周期T=1/Δfを有する。光コム発生部1が発生する光コムの周期Tは、数%の範囲で可変であるとする。被験体100の長さをLとし、被験体100中での光パルスの群速度をVとすると、光コム発生部1が発生する光コムの周期Tは、以下の(式1)を満たすように設定される。
T/2>L (式1)
また、光コム発生部1が発生する光コムのパルス幅は、そのスペクトル帯域がブリルアン周波数シフトνよりも大きくなるように設定される。被験体100として光ファイバを用いた場合、被験体100としての光ファイバのブリルアン周波数シフトνは約11[GHz]であるため、光コム発生部1が発生する光コムのパルス波形がガウス型であるとすると、約40[ps]のパルス幅によって約11GHzのスペクトル幅が実現できる。つまり、光コム発生部1が発生する光コムは、40[ps]以下の狭いパルス幅に設定すればよい。このようなパルス幅の光コムは、例えば周期可変パルス信号によって駆動されたLiNbO変調器により連続光を変調することにより実現することができる。
光分岐部2は、光コム発生部1から出力された光コムを2分岐することができる。光分岐部2の一方の分岐は被験体100の一端に結合し、光分岐部2の他方の分岐は被験体100の一端とは反対側に設けられた他端に結合する。
第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4は、それぞれ、透過幅がブリルアン周波数シフトν程度またはそれより小さい第1及び第2の透過周波数帯が設定されている。第1の光バンドパスフィルタ3は、分岐部2から分岐されたプローブ光における第1の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過し、第2の光バンドパスフィルタ4は、分岐部2から分岐されたポンプ光における第2の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過する。第1の光バンドパスフィルタ3における第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、第2の光バンドパスフィルタ4における第2の透過周波数帯の透過中心周波数よりも小さくなるように設定されている。具体的には、第1の光バンドパスフィルタ3における第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、第2の光バンドパスフィルタ4における第2の透過周波数帯の透過中心周波数に対してブリルアン周波数シフトν程度だけ小さくなるように設定されている。
遅延部5は、入力した光の位相に対して所定の遅延を与えることができる。遅延部5における光の遅延量を調整することによりポンプ光及びプローブ光の相対的な位相を調整することができる。これにより、被験体100内におけるポンプ光及びプローブ光の光パルスが衝突して誘導ブリルアン散乱を生じる位置を調整することが可能となる。遅延部5における入射光の遅延量を操作して、被験体100全体にわたってポンプ光及びプローブ光の衝突位置を変更することにより、被験体100全体におけるブリルアン周波数シフトの分布測定が可能となる。そしてその趣旨からして、遅延部5は、プローブ光及びポンプ光のいずれ又は両方の経路に配置されても構わないことは明らかである。
光増幅部6は、それぞれ、入力した光を増幅することにより、被験体100で発生するブリルアン利得の強度を制御することができる。そしてその趣旨からして、光増幅部6は、プローブ光及びポンプ光のいずれ又は両方の経路に配置されても構わないことは明らかである。
サーキュレータ7は、入力したポンプ光を被験体100に出力するとともに、被験体100におけるプローブ光及びポンプ光の光パルスの衝突位置での誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光を受光部8に出力する。
受光部8は、サーキュレータ7から出力された、被験体100におけるポンプ光及びプローブ光の光パルスの衝突位置での誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光の光強度を測定する。
制御部9は、光コム発生部1が発生する光コムの繰り返し周波数Δfを制御することができる。制御部9は、光コムの繰り返し周波数Δfを変更することにより、被験体100における、プローブ光とポンプ光との衝突地点及びブリルアン周波数シフトν付近でのブリルアン利得スペクトルの間隔を連動して変更することができる。
本発明では、制御部9において光コム発生部1が発生する光コムの繰り返し周波数Δfを変更しながら、受光部8において誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光の光強度を測定することにより、ブリルアン利得スペクトルを取得することができる。
以下、図1に示す構成を例に、本発明の一実施形態に係るブリルアン利得スペクトルを測定する装置における光信号処理を説明する。
光コム発生部1で発生した周波数間隔Δfの光コムは、光分岐部2において2分岐され、一方はプローブ光として第1の光バンドパスフィルタ3に入射し、他方はポンプ光として第2の光バンドパスフィルタ4に入射する。
第1の光バンドパスフィルタ3に入力されたプローブ光は、第1の光バンドパスフィルタ3を透過後に被験体100の一端に入力される。第2の光バンドパスフィルタ4に入力されたポンプ光は、第2の光バンドパスフィルタ4を透過し、遅延部5において遅延が与えられて光増幅部6に入力され、光増幅部6において増幅されて、サーキュレータ7を介して被験体100の他端に入力される。
被験体100の一端に入力されたプローブ光は、被験体100内で、被験体100の他端から入力されたポンプ光と衝突して誘導ブリルアン散乱によって増幅される。当該誘導ブリルアン散乱によって増幅された光は、サーキュレータ7を介して受光部8に入力され、受光部8においてその光強度が測定される。
図2は、第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4を通過した光パルスのスペクトルを示す。第1の光バンドパスフィルタ3の透過中心周波数は、第2の光バンドパスフィルタ4の透過中心周波数に対してブリルアン周波数シフトνだけ小さくなるように設定されているものとする。この結果、図2に示すように、第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4をそれぞれ透過した光コムのスペクトルは、どちらも繰り返し周波数Δfを間隔とする櫛型のスペクトルとなる。また、図2に示すように、第1の光バンドパスフィルタ3を透過後のプローブ光のスペクトルは、第2の光バンドパスフィルタ4を透過後のポンプ光のスペクトルに対して、その中心周波数がνだけ小さい。
プローブ光とポンプ光との間で誘導ブリルアン散乱が起こるためには、第1の光バンドパスフィルタ3を透過後のプローブ光の歯状の複数本のスペクトル成分のうちのいずれか1本と第2の光バンドパスフィルタ4を透過後のポンプ光の歯状の複数本のスペクトル成分のうちのいずれか1本とが、ちょうどブリルアン周波数シフトνだけ異なることが必要である。そのための条件は、ブリルアン周波数シフトνの間に含まれる光コムのスペクトル成分の本数をN(Nは整数)とすると、以下の(式2)で示されるように、繰り返し周波数Δfがブリルアン周波数シフトνの整数分の1に等しいときに、誘導ブリルアン散乱が生じることを意味している。
Δf=ν/N (式2)
仮に、νを10[MHz]と仮定し、繰り返し周波数Δfを約50[MHz]とすると、誘導ブリルアン散乱が生じる繰り返し周波数Δfは、N=201の場合はΔf=49.7512[MHz]であり、N=200の場合はΔf=50[MHz]であり、N=199の場合はΔf=50.2513[MHz]である。
図3は、光コムの繰り返し周波数Δfに対するブリルアン利得スペクトルの特性を例示する。図3に示すように、ブリルアン利得スペクトルは、繰り返し周波数Δfの変化に伴いスペクトル301のように周期的な変化をする。また、図3に示すように、スペクトルの周期的な変化はΔf/Nの間隔となる。被験体100に歪が加わるなどによりブリルアン周波数シフトνが変化した場合には、このスペクトル301が図3に示すスペクトル302のようにシフトするため、ブリルアン周波数シフトνの変化を検出することにより、加わった歪を検出することができる。
第1及び第2の光バンドパスフィルタ3および4を通過した後のプローブ光及びポンプ光のパルス幅δTは、第1及び第2の光バンドパスフィルタ3および4の半値透過幅をδFとすると、ガウス型のスペクトルを仮定した場合には、以下の(式3)で表される。
Figure 2019203860
プローブ光及びポンプ光による誘導ブリルアン散乱は、プローブ光及びポンプ光の光パルスが衝突する1点でのみ生じるので、ここで検出されるブリルアン周波数シフトνはその衝突地点で生じた誘導ブリルアン散乱によるものである。そのため、光コムの衝突地点を順次変更して観測を行えば、被験体100全体でのブリルアン周波数シフトνの分布を取得することができる。また、この時の空間分解能は、δTV/2であり、パルス幅によって決まる。仮に、被験体100を光ファイバとし、δF=5[GHz]とすると、空間分解能は約9[mm]となる。
以下、光コム発生部10で発生した光コムの周波数間隔Δfの変更と遅延部5における光パルスの遅延との関係について説明する。プローブ光に対してスペクトル成分がM(Mは整数)本分遅延したポンプ光が被験体100でプローブ光と衝突する場合を考える。遅延部5による遅延量をtとし、遅延量tを光コムの周期TのM倍(t=MT)に設定した場合、繰返し周波数Δfをf’だけ変化させると、隣り合う衝突地点z0及びz1、被験体100におけるプローブ光及びポンプ光の光パルスの衝突地点の変化量Δzは、それぞれ、以下の(式4)〜(式6)で表される。
Figure 2019203860
Figure 2019203860
Figure 2019203860
衝突地点の変化量Δzは、任意に設定可能である。被験体100の長さLは、上記(式1)に示されるように高々VT/2である。そのため、光パルスの衝突地点を被験体100の全区間にわたって変更するために必要な周波数変化量f’は、(式6)のΔzをVT/2にすることにより、以下の(式7)で表される。
Figure 2019203860
被験体100の同じ地点のブリルアン利得スペクトルを測定するための周波数間隔は、以下の(式8)で表される。
Figure 2019203860
上記(式8)により、第1及び第2の光バンドパスフィルタ3及び4をそれぞれ透過後のN本離れたプローブ光及びポンプ光の周波数差は、制御部9による繰り返し周波数の変更前はNΔfであるのに対し、変更後はNΔf+Nf’となる。この繰り返し周波数Δfの変更は、光コムの櫛型スペクトルの歯の間隔を変更するものであるため、被験体100のある1つの地点でブリルアン周波数シフトνを観測可能な周波数間隔はNf’になる。このスペクトルの周波数間隔は、ブリルアン利得スペクトルの広がりΔνに対して十分に小さいことが必要であるため、Mは以下の(式9)で示すように設定する必要がある。
Figure 2019203860
例えば、Δν=30[MHz]、Δf=50[MHz]、N=200とすると、Mは以下の(式10)で示すように設定する必要がある。
Figure 2019203860
例えばMを1000と仮定すると、t=MT=20[ms]である。この遅延は遅延部5を4[km]程度の光ファイバによって構成することにより実現することができる。このとき、Nf’=5[MHz]である。遅延量tをさらに大きくすれば、Nf’を小さくすることができる。
当初の衝突位置からΔzだけずれた位置で観測を行うためには、プローブ光とポンプ光とが被験体100の全長の整数倍nとΔzとに相当する遅延差分だけ周波数が変化すればよい。そのため、ブリルアン利得スペクトルの観測を行うための周波数変化量f’は、上記(式6)で示されるΔzと、(式7)で示される光パルスの衝突地点を被験体100の全区間にわたって変更するために必要な周波数変化量f’の整数倍nとを用いて整理すると、以下の(式11)で表される。
Figure 2019203860
このとき、各nに対して、プローブ光及びポンプ光におけるブリルアン周波数シフトν付近での周波数間隔は、以下の(式12)で示すように設定すればよい。
Figure 2019203860
すなわち、(式11)のf’を変更することで、各々のn及び各測定点に対して、NΔf/(2M)ごとの周波数間隔でブリルアン利得スペクトルの測定を行うことができる。言い換えると、(式11)のf’において、Δzを固定して、nを順次変更することで、測定点におけるNΔf/(2M)ごとの周波数間隔のブリルアン利得スペクトルの測定を行うことができる。また、各nに対して、さらにΔzを変更することで、各測定点に対するブリルアン利得スペクトルを測定できる。
このように、光コムの繰り返し周波数Δfを上記(式11)のnの各値及び各Δzについて求めたf’だけ変化させることにより、被験体100の各地点について、NΔf/(2M)ごとの周波数間隔でブリルアン利得スペクトルの測定を行うことが可能となる。
このときに強調すべきは、従来技術ではブリルアン利得スペクトル測定と衝突位置測定を別個の手段で実施するのに対し、本実施形態では、光コムの繰返し周波数を変更するという簡便な手法でブリルアン利得スペクトル測定と衝突位置測定を実施可能なことである。このため、本発明に係る装置及び方法によると、高度な周波数制御が不要な簡易な装置構成により、極めて高い分解能でブリルアン利得スペクトルを測定することが可能となる。

Claims (5)

  1. 被験体中において互いに反対方向に伝搬するプローブ光及びポンプ光による誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光のブリルアン利得スペクトルを測定する装置であって、
    被験体の音響フォノンの寿命よりも短い周期を有する光コムを発生する光コム発生部と、
    前記光コムをプローブ光及びポンプ光にそれぞれ分岐する分岐部と、
    前記プローブ光における第1の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過する第1の光バンドパスフィルタと、
    前記ポンプ光における第2の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過する第2の光バンドパスフィルタと、
    前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方の位相を遅延させる遅延部と、
    前記被験体において誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光の強度を測定する受光部と、
    前記光コム発生部が発生する前記光コムの繰り返し周波数Δfを制御する制御部と、
    を備え、
    前記第1の光バンドパスフィルタにおける前記第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、前記第2の光バンドパスフィルタにおける前記第2の透過周波数帯の透過中心周波数よりも小さくなるように設定されており、
    前記制御部により前記光コムの繰り返し周波数Δfを変更しながら前記受光部において前記増幅されたプローブ光の強度を測定することにより、ブリルアン利得スペクトルを測定することを特徴とする装置。
  2. nを任意の整数とし、前記被験体の長さをLとし、前記被験体中での光パルスの群速度をVとし、前記光コムの周期をT=1/Δfとし、前記被験体における前記プローブ光及び前記ポンプ光の光パルスの衝突地点の変化量をΔzとし、前記遅延部による遅延量をtとし、前記遅延量tを前記周期TのM倍(t=MT)とすると、前記制御部は、前記繰り返し周波数Δfを以下の(式1)に示されるnの各値及び各Δzについて求めたf’だけ変化させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
    Figure 2019203860
  3. 前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方を増幅する光増幅部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 光コムをプローブ光及びポンプ光として用い、被験体中において互いに反対方向に伝搬する前記プローブ光及び前記ポンプ光による誘導ブリルアン散乱によって増幅されたプローブ光のブリルアン利得スペクトルを測定する方法であって、
    第1の光バンドパスフィルタを用いて前記プローブ光における第1の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過し、第2の光バンドパスフィルタを用いて前記ポンプ光における第2の透過周波数帯の周波数成分のみを選択的に透過するステップであって、前記第1の光バンドパスフィルタにおける前記第1の透過周波数帯の透過中心周波数は、前記第2の光バンドパスフィルタにおける前記第2の透過周波数帯の透過中心周波数よりも小さくなるように設定されている、ステップと、
    前記プローブ光及び前記ポンプ光の少なくとも一方の位相を遅延させるステップと、
    前記光コムの繰り返し周波数Δfを変更しながら前記増幅されたプローブ光の強度を測定することにより、ブリルアン利得スペクトルを測定するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  5. nを任意の整数とし、前記被験体の長さをLとし、前記被験体中での光パルスの群速度をVとし、前記光コムの周期をT=1/Δfとし、前記被験体における前記プローブ光及び前記ポンプ光の光パルスの衝突地点の変化量をΔzとし、前記遅延させるステップによる遅延量をtとし、前記遅延量tを前記周期TのM倍(t=MT)とすると、
    前記測定するステップは、前記繰り返し周波数Δfを以下の(式2)に示されるnの各値及び各Δzについて求めたf’だけ変更させながら、前記ブリルアン利得スペクトルを測定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
    Figure 2019203860
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