JP2019203764A - 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法 - Google Patents

重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019203764A
JP2019203764A JP2018098358A JP2018098358A JP2019203764A JP 2019203764 A JP2019203764 A JP 2019203764A JP 2018098358 A JP2018098358 A JP 2018098358A JP 2018098358 A JP2018098358 A JP 2018098358A JP 2019203764 A JP2019203764 A JP 2019203764A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
selenium
arsenic
hexavalent
amount
elution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018098358A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7031985B2 (ja
Inventor
渡邉 淳
Atsushi Watanabe
淳 渡邉
慎治 安池
Shinji Yasuike
慎治 安池
浩幸 正木
Hiroyuki Masaki
浩幸 正木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP2018098358A priority Critical patent/JP7031985B2/ja
Publication of JP2019203764A publication Critical patent/JP2019203764A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7031985B2 publication Critical patent/JP7031985B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)

Abstract

【課題】検液に含まれる6価セレン並びに5価ヒ素を4価セレンと3価ヒ素とに同時に還元することができる重金属類還元方法、および同一の検液から6価クロム、セレン、ヒ素の3種の重金属類を簡易に分析することができる重金属類溶出量の定量法を提供する。【解決手段】6価セレン並びに5価ヒ素を含む検液に対し、還元剤としてチオ尿素を添加し、塩酸酸性下に還元反応させ、5価ヒ素と6価セレンとを同時に還元する。前記チオ尿素は0.2〜1g/30mL−液量で添加し、pH1以下の塩酸酸性下に反応温度70℃〜80℃で、10〜20分間還元反応させることを特徴とする重金属類還元方法。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物を有効利用または廃棄する際に6価クロム、ヒ素、及びセレンの溶出の基準等が定められているような廃棄物から溶出される重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、フライアッシュ等の廃棄物から溶出される重金属類のうち、6価セレン並びに5価ヒ素を同時に還元する還元方法及びそれを利用してフライアッシュから溶出する6価クロム、ヒ素、セレンの3種の重金属類の溶出量を定量する測定方法に関する。
電気事業より発生する石炭灰の主な利用用途はセメント材料、コンクリート混和剤、土工材、建材などであるが、このうち土工材への利用は非JIS灰の有効利用先として重要である。
土工材用途における石炭灰の利用に関しては、現在石炭エネルギーセンター(JCOAL)において有効利用ガイドラインが整理されており、製品の環境安全品質確保のため、土工材による溶出試験による管理が推奨されている。即ち、土工材から作成した検液中の各重金属類の溶出量が、規定値(以下、環境基準値とする)以内であることを環境上の条件として定められている。このため、今後、規制対象物質の溶出性に関して製品の歩留まりを向上するためには、原料(原灰)の段階で規制対象物質の溶出量や含有量を把握し、石炭灰を選別利用することが効果的である。
わが国の溶出試験法としては、環境庁告示第46号(土壌環境基準,平成3年;非特許文献1)あるいは環境庁告示第13号(産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法,昭和48年;非特許文献2)による操作が一般的であり、これらの溶出操作による溶出量値が土壌や産業廃棄物の溶出量の指標として広く認知されている。溶出操作による6価クロム、ヒ素、セレンの溶出量は、公定法(JIS K0102)に定められた分析方法が一般的である。
また、6価クロム、ヒ素などの重金属の簡易的な定量法として、重金属をキレート剤で不溶化・回収し、風乾してから蛍光X線(以下、XRFと略称する)で分析する定量方法(キレート剤捕集/XRF測定法と呼ぶ)が提案されている。例えば、環境基準の極めて微量な測定対象物質の溶出量を、現場で迅速に測定することができる土壌の重金属類の溶出量の分析方法として、土壌から作成した検液に所定の割合でキレート剤を加え、このキレート剤に検液中の測定対象物質を吸着させる手順と、その検液をろ過し、測定対象物質を吸着したキレート剤を回収する手順と、蛍光X線分析装置により、回収したキレート剤が吸着した測定対象物質を定量分析し、この分析結果を検液中の測定対象物質の溶出量に換算する手順とを行う土壌に含まれる重金属類の溶出量分析方法が提案されている(特許文献1)。
特開2004−294329号公報
環境庁告示第46号「土壌環境基準」,環境庁(当時),平成3年 環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」,環境庁(当時),昭和48年
しかしながら、公定法(JIS K0102)に定められたジフェニカルバジド吸光光度法や水素化物発生ICP発光分光分析法では、各成分毎に測定のつど標準溶液で校正しなければならなかったり、各成分毎に異なる種々の試薬を加えて前処理や発色させて重金属濃度を求める必要があるため、熟練度と測定結果が得られるまでに数日例えば3〜4日を要し、かつ必要な装置が大型であるため、現場では実施できないという問題を有する。
しかも、公定法で例えばフライアッシュから溶出する6価クロム、セレンおよびヒ素を測定する場合には、6価クロムはジフェニカルバジド吸光光度法、ヒ素とセレンは水素化物発生ICP発光分光分析法で分析されるが、ヒ素とセレンとでは前処理方法が異なるため、前述の3種の重金属類の同時分析はできない。また、環境庁告示第46号や第13号においては、検液の作成において、分析対象試料と溶媒との混合液即ち試料液が500mL以上になるように定められているため、500mL以上もの大量の検液が一度に得られる大型の振とう器が必要となる。このことが現場での実施をより一層困難なものとしている。加えて、検液作成工程においても、調製された試料液を振とう機を用いて6時間連続振とうすることで溶出するため、時間がかかる問題がある。
他方、キレート剤捕集/XRF測定法によれば、汎用の分析装置での測定が可能であると共に、多元素同時分析が可能であることから、石炭灰の迅速溶出法の重金属分析に有望と思われるが、当該測定法に適した6価セレンの還元処理法が確立されていないことから、フライアッシュから溶出する6価クロム、ヒ素、セレンの3種の重金属類を同一検液から測定することができない。即ち、フライアッシュから溶出する重金属類は、クロム(3価クロム+6価クロム)、ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、セレン(6価セレン+4価セレン)の形態で存在し、キレート剤で不溶化して捕集できる条件がクロム、ヒ素及びセレンのそれぞれで価別毎に異なるため同一の検液で定量することができない。
本発明は、検液に含まれる6価セレン並びに5価ヒ素を4価セレンと3価ヒ素とに同時に還元することができる重金属類還元方法を提供することを目的とする。また、本発明は、同一の検液から6価クロム、セレン、ヒ素の3種の重金属類を簡易に分析することができる重金属類溶出量の定量法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成する重金属類還元方法は、6価セレン並びに5価ヒ素を含む検液に対し、還元剤としてチオ尿素を添加し、塩酸酸性下に還元反応させ、5価ヒ素と6価セレンとを同時に還元するようにしている。
ここで、チオ尿素は0.2〜1g/30mL−液量で添加し、pH1以下の塩酸酸性下に反応温度70℃〜80℃で、10〜20分間還元反応させることが好ましい。
また、上述の還元方法を利用して同一検液から3種の重金属類を定量可能とする重金属類溶出量の測定方法は、測定対象試料から作成された検液をキレート剤処理し、検液中に含まれる6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素を不溶化する第1のキレート剤処理工程と、不溶化された前記6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集するろ過工程と、前記フィルタを乾燥させて蛍光X線元素分析法によって捕集された前記6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して定量する工程と、前記ろ過工程でフィルターを通過したろ液に対して還元処理を施してろ液中に残存する6価セレン及び5価ヒ素を4価セレン及び3価ヒ素に還元する還元処理工程と、還元処理後のろ液に対してキレート剤を添加して前記ろ液中の4価セレン及び3価ヒ素を不溶化する第2のキレート剤処理工程と、不溶化された4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集するろ過工程と、前記フィルタで捕集された前記4価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して等価六価セレン及び等価5価ヒ素として定量する工程とを備え、同一検液からのクロム、セレン及びヒ素の3種の重金属を6価クロム、4価セレン、3価ヒ素、5価ヒ素及び6価セレンの価別に定量するようにしている。
ここで、ろ液に対して還元処理する工程では、チオ尿酸を還元剤として添加することが好ましい。
また、第2のキレート剤処理工程では、第1のキレート剤処理工程で検液に内部標準物質として添加したよりも多い量のコバルトをろ液に対して添加することが好ましい。
また、第1のキレート剤処理では、キレート剤としてDBDTC溶液を用い、pH4で処理することにより、6価クロム、4価セレン、3価ヒ素が定量分析されることが好ましい。
また、第2のキレート剤処理は、ろ液をpH2に中和してから処理することが好ましい。
また、検液は、底が閉塞した円筒形容器内へと、分析対象試料と水若しくは溶出用溶液とを投入すると共に、粒径が0.1〜10 mmの粉砕用メディアを添加し、その上で偏心回転によって前記円筒形容器を振動させて前記円筒形容器内の内容物を振動攪拌されることによって作成されることが好ましい。
さらには、円筒形容器の底部の形状が半球状であることがより好ましい。
本発明にかかる重金属類還元方法によれば、6価セレンと5価ヒ素を含む検液に対し、還元剤としてチオ尿素を添加し、塩酸酸性下に還元反応させることにより、6価セレンと5価ヒ素を同時に4価セレンと3価ヒ素に還元できるので、検液量を少なくできる。つまり、少ない検液量でも6価セレンと5価ヒ素を同時に還元処理することができる。
また、この還元方法を利用した重金属類溶出量の測定方法によれば、第1のキレート剤処理において6価クロム、4価セレン、3価ヒ素が不溶化されて捕集される一方、ろ液に残留している6価セレン、5価ヒ素がチオ尿素の添加により塩酸酸性下に4価セレン、3価ヒ素へと同時に還元されてから第2のキレート剤処理において不溶化されて捕集されるので、同一検液で6価クロム、6価セレン、4価セレン、5価ヒ素、3価ヒ素の3種の重金属類が定量できるので、検液量を少なくすることができる。しかも、キレート剤捕集/XRF測定法により、同一検液で多元素同時分析が可能であることから、6価クロム、6価セレン、4価セレン、5価ヒ素、3価ヒ素の3種の重金属類の迅速定量を可能とする。
そこで、本発明の重金属類溶出量の測定方法によれば、同一検液で6価クロム、6価セレン、4価セレン、5価ヒ素、3価ヒ素の3種の重金属類が定量できるので、定量操作に必要とする検液量を極めて少なくすることができる。そして、検液量を少なくすることができるので、少ない検液量しか得られない簡易溶出法と組み合わせることも可能となり、その結果、環境庁告示第46号において定められている溶出試験法(「環境庁公定法」と呼ぶ)よりも極めて迅速かつ簡易でありながら環境庁公定法と相関性の高い分析、即ち環境庁公定法と同等の高い測定精度で分析対象試料に含まれている重金属類の溶出・定量を行うことを可能とする。即ち、本発明の重金属類溶出量の測定方法(定量法)と迅速溶出試験法とを組み合わせることによって、石炭灰溶出試験の大幅な時間短縮を実現することができる。
しかも、この重金属類溶出量の測定方法によると、第2のキレート剤処理において捕集された4価セレンと3価ヒ素は、6価セレンと5価ヒ素とが還元処理により還元されたものであることから、等価6価セレンと等価5価ヒ素として定量することができる。つまり、本発明によると、分析対象試料から溶出する重金属類が6価クロム、6価セレン、4価セレン、5価ヒ素、3価ヒ素と価数別に定量分析できるので、適切な土壌汚染対策などを採る上で有用である。
本発明の重金属類溶出量の測定方法の一実施形態の分析手順を示すフロー図である。 キレート剤処理の反応液pHの影響を示すグラフであり、(A)は6価クロムと3価クロム、(B)は4価セレンと6価セレン、(C)は3価ヒ素と5価ヒ素の関係を示す。 6価クロム、3価ヒ素と4価セレンとのキレート剤処理の反応時間の違いによる影響を示すグラフである。 6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素の標準試料に対する検量線である。 6価セレンと5価ヒ素の還元処理における還元剤の検討結果を示す棒グラフである。 6価セレンと5価ヒ素の還元処理条件の検討結果を示す棒グラフであり、(A)は検液pHとX線強度、(B)は反応温度とX線強度、(C)はチオ尿素の添加量とX線強度、(D)反応時間とX線強度との関係を示す。 セレンおよびヒ素の標準試料における還元処理後の測定値を示すグラフであり、(A)は6価セレンと5価ヒ素、(B)は3価ヒ素と4価セレンとの関係を示す。 4価セレンと3価ヒ素とコバルトのキレート剤処理におけるpHの影響を示すグラフである。 フライアッシュの溶出試験検液の6価クロム、セレン、ヒ素の分析手順の一実施例を示すフロー図である。 フライアッシュの溶出試験検液の6価クロム、セレン、ヒ素の測定結果を示すグラフであり、(A)はクロム、(B)はセレン、(C)はヒ素を示す。 全セレン、全ヒ素に対する6価セレン、5価ヒ素の割合のヒストグラムである。 簡易迅速溶出法において用いられる偏心振動装置の一例の概略構造を示す斜視図である。 簡易迅速溶出法における粉砕用メディアの材質や直径の違いによる溶出量値の公定法値に対するSN比の変化を示す図である。 簡易迅速溶出法における粉砕用メディアの材質や直径の違いによる溶出量値の公定法値に対する感度の変化を示す図である。 簡易迅速溶出法における円筒形容器の底部・底面の形状の違いによる攪拌後の石炭灰の粒径の変化を示す図である。 簡易迅速溶出法における攪拌時間の違いによる、溶出量値の公定法値に対する相対値の変化を示す図である。 簡易迅速溶出法における公定法値と溶出量値との相関を示す図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
本発明の重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法の適用が有用な分析対象物は、廃棄物を有効利用または廃棄する際に6価クロム、ヒ素、及びセレンの溶出の基準等が定められているような廃棄物、例えば廃棄物の中で、燃え殻、灰塵、鉱滓に該当するものを対象とし、具体的には石炭灰、スラグ類、焼却灰、及びセメント材料、コンクリート材料、路盤材などへ利用される可能性のある廃棄物並びに石炭灰及び焼却灰のセメント固化物などを含むものである。
石炭灰には、少なくとも、フライアッシュ及びクリンカアッシュが含まれる。
焼却灰には、少なくとも、一般ゴミ焼却灰,下水汚泥焼却灰,ペーパースラッジ焼却灰,鉄鋼ダストが含まれる(但し、上述の石炭灰に該当するものは除く)。
スラグ類には、少なくとも、一般廃棄物溶融固化物(即ち、一般廃棄物を直接に高温条件下で、または一般廃棄物の焼却残渣等を高温条件化で、無機物を溶融した後に冷却して生成される固化物),下水汚泥溶融スラグ,特に製鉄に関連する高炉スラグや製鋼スラグ,非鉄スラグ(具体的には、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、亜鉛スラグ),電気炉スラグ,及び特に発電に関連する石炭ガス化スラグが含まれる。(少なくとも、一般廃棄物溶融固化物,下水汚泥溶融スラグ,高炉スラグや製鋼スラグ,非鉄スラグ(具体的には、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、亜鉛スラグ),電気炉スラグ,及び特に発電に関連する石炭ガス化スラグが含まれる。)
かかる廃棄物から溶出する重金属類のうち、クロム、ヒ素及びセレンの3種の重金属類は、クロム(3価クロム+6価クロム)、ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、セレン(4価セレン+6価セレン)の形態で含有されるため、キレート剤で不溶化して捕集できる条件がクロム、ヒ素及びセレンのそれぞれで価別毎に異なり、同一の検液で定量することができない。このため、汎用の分析装置を用いて多元素同時分析を可能とするキレート剤捕集/XRF測定法によっても、同一検液から6価クロム、全ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、全セレン(4価セレン+6価セレン)の3種の重金属類を分析することができない。
ここで、土壌環境基準等において規制されるのは、クロムの場合には6価クロムであり、ヒ素の場合には3価ヒ素と5価ヒ素の双方、及びセレンの場合には4価セレンと六価セレンのそれぞれである。この3種の重金属類を含む検液をキレート剤捕集/XRF測定法によって分析する場合、本発明者等の実験及び研究の結果、6価クロムと4価セレン及び3価ヒ素はある条件下ではキレート剤で不溶化して捕集できることが判明した(図2(A),(B),(C)参照)。つまり、一定の条件下でキレート剤処理することで、6価クロム、4価セレン、3価ヒ素は捕集できるが、その反面3価クロム、6価セレン、5価ヒ素はキレート剤処理で不溶化できないので捕集できない。3価クロムは分析の対象外であるが、検液の全セレン、全ヒ素濃度を決定するには6価セレンと5価ヒ素を測定する必要がある。キレート剤捕集/XRF測定法によって6価セレンと5価ヒ素を定量するには、6価セレンと5価ヒ素を4価セレンと3価ヒ素に還元する必要がある。しかし、6価セレンの還元処理に関しては、公定法の場合、多量の塩酸を添加することで6価セレンを4価セレンに還元することは知られているが、塩酸還元では5価ヒ素の還元ができない。しかも、液量がどうしても増えてしまうので、試薬の使用量の増加(塩酸、中和に必要な水酸化ナトリウム、キレート剤等)と、液量の増加に伴う金属イオン濃度の低下によるろ過時の目詰まりや回収率低下の可能性がある。他方、5価ヒ素はチオ硫酸ナトリウムやL−システインを添加することで3価ヒ素に還元することが知られているが、4価セレンを還元できない。つまり、同一検液から6価セレンと5価ヒ素とを同時に還元させる方法は従来確立されておらず、検液の量を減らすことができないという問題を有している。このことから、6価セレンと5価ヒ素とを同時に4価セレンと3価ヒ素に還元させる還元処理法の確立が、同一検液から6価クロム、ヒ素、セレンの3種の重金属類を簡易測定する定量法の実現を計る上で望まれる。
本発明者等は、かかる要望に応えるため種々実験、研究した結果、6価セレン並びに5価ヒ素を含む液体例えば検液に対し、チオ尿素を用いて還元反応させることにより、5価ヒ素と6価セレンとを同時に還元することが可能であることを知見するに至った(図5参照)。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、6価セレン並びに5価ヒ素を含む液体例えば検液に対し、還元剤としてチオ尿素を添加し、塩酸酸性下に還元反応させ、5価ヒ素と6価セレンとを同時に還元させるようにしている。
ここで、チオ尿素の添加量について、X線強度との関係で0.2〜1 g/30 mLの範囲で検討したところ、5価ヒ素については添加量の変動はほとんど影響しなかったが、6価セレンでは添加量が少なくなるほどにX線強度が低くなる影響があった。例えば、チオ尿素の添加量が多い(0.75〜1 g/30 mL)場合には、6価セレンのX線強度は高い傾向があったが、添加量が少なくなるほど(0.5〜0.2 g/30 mL)6価セレンのX線強度が僅かではあるが低くなった(図6(C)参照)。このことから、チオ尿素の添加量は、特定の量に限られるものではないが、例えば検液30mLに対して0.2g以上、好ましくは0.5g以上、より好ましくは0.75g以上、さらに好ましくは1gとすることである。チオ尿素の添加量は、1g/30mL−液量よりも多くしても特に問題はないが、検液30mLに対して1gという量そのものが少ない量とは言えないので、特に1 g/30 mL以上を添加する意味はない。
また、溶液のpHは、塩酸酸性(塩酸1/10 vol.添加)、具体的にはpH1以下とすることが好ましい。例えば、検液30mlに対して塩酸3mL程度、洗浄水などの混入により液量が増加したろ液(50mL)に対しては5mL程度を加える。pH1を超えると効率が極端に落ち、pH2ではほとんどなくなり、塩酸酸性でのみ高いX線強度を得た(図6(A)参照)。
また、反応温度とX線強度との関係は、6価セレンと5価ヒ素とでは異なる。ヒ素(V)は反応温度30℃〜90℃の間で大きくX線強度は変化しないが、50〜70℃で高いX線強度を得た。他方、6価セレンの場合には反応温度が70℃で最も高いX線強度を示すものの、70℃よりも低くなってもあるいは高くなってもX線強度は下がってくる。これは、70℃未満だと反応時間が長くなり、70℃よりも高くなると、6価セレンから還元されて4価セレンとなったものの一部がさらに還元されて2価あるいは0価となり、回収率が落ちるものと考えられる(図6(B)参照)。したがって、反応温度は70〜75℃の範囲、好ましくは70℃とすることである。
また、還元反応時間は5価ヒ素についてはほとんど影響しなかったが、6価セレンでは10分〜15分でX線強度は高く、それ以上でも以下でも低下する傾向がみられた(図6(D)参照)。10分よりも少ないと反応不足となり、20分よりも長いとさらに還元されて回収率が悪くなると考えられる。したがって、反応時間は10〜20分、好ましくは10分とすることである。
以上のことから、同一検液に含まれる6価セレンと5価ヒ素の同時還元は、チオ尿素を例えば1g/30mL−液量で添加し、pH1以下の塩酸酸性下に反応温度70℃で、10分間還元反応させることが好ましい。
上述のチオ尿素による還元処理法によれば、検液中に含まれる6価セレンと5価ヒ素とが同時に還元されて4価セレンと3価ヒ素に還元させられるので、この還元法とキレート剤捕集/XRF測定法とを利用して6価クロム、ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、セレン(4価セレン+6価セレン)の3種の重金属類溶出量の定量を同一検液から実施できる定量法を実現できる。
図1に、同一検液から6価クロム、全ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、全セレン(4価セレン+6価セレン)の3種の重金属類を分析する定量法の手順の一例を示す。
ここで、本発明者等の実験により、一定の条件下ではキレート剤処理することで、6価クロム、4価セレン、3価ヒ素は不溶化して捕集できるが、6価セレンと5価ヒ素はキレート剤処理で不溶化できずに捕集できないことを見出した。他方、チオ尿素による還元処理は、3価ヒ素には影響しないが、4価セレンの濃度の高い検液では4価セレンの一部が還元されることを見出した。つまり、石炭灰溶出試験のセレンの測定の精度を維持するためには、4価セレンをキレート剤処理して、除去した後に還元処理を行うことが望ましいと思われる。また、チオ尿素による還元では6価クロムも還元され、6価クロムとしてはキレート剤処理で不溶化して捕集することができないことが確認された。
従って、同一の検液から、6価クロム、全セレン、全ヒ素の分析するためには、まず検液中の6価クロム、4価セレン、3価ヒ素をキレート剤処理で不溶化してフィルタで捕集してから、XRF測定に供する一方、フィルタを通過したろ液をチオ尿素で還元処理して6価セレン、5価ヒ素を4価セレン、3価ヒ素に還元してからキレート剤処理で不溶化してフィルタで捕集し、XRF測定に供してフィルタに捕集された3価ヒ素、4価セレンの量から等価的に5価ヒ素、6価セレンを分析(定量)する手順が望ましい。
即ち、本実施形態の定量法は、以下の手順(i)〜(vii)による。
(i) 測定対象試料から作成された検液中に含まれる6価クロム、4価セレン及び3価
ヒ素を不溶化するキレート剤処理(本明細書では、この段階でのキレート剤処理を
第1のキレート剤処理と呼ぶ)工程と、
(ii) 不溶化された6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集す
るろ過工程と、
(iii) フィルタを乾燥させて蛍光X線元素分析法によって捕集された6価クロム、4 価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して定量する工程と、
(iv) ろ過工程でフィルターを通過したろ液に対して還元処理を施してろ液中に残存す
る6価セレン及び5価ヒ素を4価セレン及び3価ヒ素に還元する還元処理工程と、
(v) 還元処理後のろ液に対してキレート剤を添加してろ液中の4価セレン及び3価ヒ
素を不溶化するキレート剤処理(本明細書では、この段階でのキレート剤処理を第
2のキレート剤処理と呼ぶ)工程と、
(vi) 不溶化された4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集するろ過工程と

(vii) フィルタで捕集された4価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して等価六価セレ
ン及び等価5価ヒ素として定量する工程とを備え、
同一検液からのクロム、セレン及びヒ素の3種の重金属を6価クロム、4価セレン、3価ヒ素、5価ヒ素及び6価セレンの価別に定量するようにしている。尚、全ヒ素は3価ヒ素と5価ヒ素の和、全セレンは4価セレンと6価セレンの和として算出される。
ここで、キレート剤としては、XRF測定においてはジベンジルジチオカルバミン酸(「DBDTC」と表記する)の使用が好ましい。例えば1 w/v% のDBDTC溶液(以降、DBDTC溶液と呼ぶ)を検液30mLに対して1mL、ろ液50mLに対しては2mL程度の割合で添加することが好ましい。
キレート剤としてジベンジルジチオカルバミン酸(DBDTC)を使用する場合には、本発明者等の実験の結果、6価クロムと3価ヒ素はpH2〜4、4価セレンはpH2〜5で不溶化され、フィルタに補集されることが見出された(図1(A),(B),(C)参照)。そして、6価クロムはpH4をピークにpH5ではX線強度が低下する傾向にあること、また、pH6では3価クロムも不溶化して6価クロムだけを測ることが難しくなると共に、5価ヒ素も不溶化して3価ヒ素だけを測ることが難しくなることが見出された。そこで、第1のキレート剤処理では、キレート剤としてDBDTC溶液を用い、pH2〜4、好ましくはpH4で処理することにより、検液中の6価クロム、4価セレン、3価ヒ素を効率良く不溶化してフィルタに捕集させることができる。尚、キレート剤処理は、例えば、検液を所定のpHに調整し、必要に応じて内部標準物質としてのコバルト液を必要量添加してから、適温に昇温した後、DBDTC溶液を撹拌しながら添加し、適切な時間適温で放置することによって、検液に含まれる6価クロム,4価セレン、3価ヒ素を不溶化する。第1のキレート剤処理によって不溶化された6価クロム,4価セレン、3価ヒ素はフィルタで捕集される。
他方、フィルタを通過したろ液には第1のキレート剤処理の条件では不溶化されない5価ヒ素と6価セレンとがフィルタで捕集されることなく残留している。この5価ヒ素と6価セレンとは、そのままでは同時に不溶化させることはできない。そこで、この5価ヒ素及び6価セレンをDBDTCで不溶化させるために、前処理として前述のpH1以下の塩酸酸性下にチオ尿素による還元反応をろ液に対して施し、5価ヒ素と6価セレンを3価ヒ素と4価セレンとに同時還元させる。還元処理は約70℃の比較的高温で行われるので、第2のキレート剤処理を実施するために室温まで急冷されるが、場合によっては放置して冷却しても良い。
還元処理後のろ液は、再びキレート剤処理、即ち第2のキレート剤処理が施され、3価ヒ素と4価セレンの不溶化が実施される。この第2のキレート剤処理は、ろ液に中和剤例えば水酸化ナトリウムなどを添加して、第1のキレート剤処理と同じく、pH4にしてから実施しても良いが、好ましくはpH2にしてから処理することである。第2のキレート剤処理では、第1のキレート剤処理と同じくpH4に調整すると臭気が発生した。しかし、pH2に調整した場合には、臭気の発生が抑えられた。勿論、ドラフト設備が備えられている環境あるいは臭気が問題とならない環境であれば、pH4にして第2のキレート剤処理を施しても特に問題は無いし、また不溶化も可能である。
第1及び第2のキレート剤処理によって不溶化されてフィルターで捕集された6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素は、蛍光X線元素分析法によって元素毎に定量される。ここで、第2のキレート剤処理で捕集された4価セレンと3価ヒ素は、チオ尿素による還元処理で六価セレンと5価ヒ素とを還元したものであることから、等価6価セレン及び等価5価ヒ素として定量することができる。また、第1及び第2のキレート剤処理によってそれぞれ捕集された4価セレンと3価ヒ素とを合算したものが、全セレン(4価セレン+6価セレン)及び全ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)となる。
尚、本実施形態の重金属類溶出量の測定方法(即ち検液定量法)においては、内部標準法を適用し、内部標準物質としてコバルトを添加している。内部標準物質を添加しなくても測定は可能であるが、検量線の作成並びに定量下限の向上、精度向上のため、内部標準物質としてのコバルトの添加は望ましい。本実施形態の場合、検液に含まれる3種の重金属類の測定では、検量線作成以外の測定時にも、3種の重金属の蛍光X線強度とコバルトの蛍光X線強度の比を用いて各元素の定量分析を行うようにしているので、コバルトの添加は望ましい。特に、第2のキレート剤処理に際しては、第1のキレート剤処理の際に検液に内部標準物質として添加したよりも多い量のコバルトをろ液に対して添加することが好ましい。ろ液のキレート剤処理(2回目の処理)では、不溶化物が少なく、不溶化物の粒子が小さくなるために目詰まりを起こしやすい傾向がある。そこで、コバルトの添加量を増加することにより、内部標準物質としてだけでなく、フィルタの目詰まり防止の役目も果たさせている。ここで、第1のキレート剤処理と第2のキレート剤処理におけるコバルトの添加量が異なるため、コバルト添加量を変更した検量線を作成することが望まれる。
以上のように構成された検液定量法によれば、2段階のキレート剤処理で不溶化され捕集された6価クロム、全ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)、全セレン(4価セレン+6価セレン)の3種の重金属類を価数別にXRF測定による多元素同時分析で一斉に迅速に定量分析することができるので、環境庁告示第46号において定められている公定法よりも極めて迅速かつ簡易でありながらも公定法と相関性の高い分析、即ち同等の高い測定精度で重金属類の定量を行うことができる。しかも、本実施形態の検液定量法によれば、検液中の6価クロム、全ヒ素(3価ヒ素+5価ヒ素)及び全セレン(4価セレン+6価セレン)の3種の重金属類を同一検液から定量分析することができるので、少ない検液量でも分析が可能となる。このことは、以下に説明する簡易溶出操作法を検液作成法として組み合わせて用いることを可能とし、重金属類溶出量の測定方法全体としての所要時間をさらに大幅に短縮することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。例えば、上述の定量法に適用される検液は、特定の検液作成方法によって作成されたものに限られるものではなく、例えば環境庁告示第46号に定められる検液作成法により作成された検液であっても良いし、場合によってはその他の検液作成方法例えば以下に示す偏心振動装置を用いた簡易迅速溶出法で作成された検液であっても良い。
図12〜図17に簡易迅速溶出法の一実施形態を示す。この実施形態にかかる簡易迅速溶出法は、例えば図12に示す偏心振動装置10と円筒型容器9を用いて、分析対象試料1と溶媒2と粉砕用メディア8とを円筒型容器9の中に収めて偏心回転により振動を与えて混合させることにより、分析対象試料1に含まれる重金属類を溶出させた検液を作成するものである。因みに、この簡易溶出方法によって得られた検液は、ろ過してからあるいはそのまま図1に示す簡易定量法若しくは公定法に供される。
円筒形容器9は、例えば、遠沈管,試験管,コニカルチューブなどであり、上端開口部に少なくとも内容物が漏れ出ない程度に密閉し得る着脱自在の蓋9bが取り付けられている。この円筒形容器9の大きさは、特定の寸法に限定されるものではないものの、円筒中心軸方向Daxと直交する断面における内径が15〜40 mm 程度の範囲のうちのいずれかの寸法に設定されると共に円筒中心軸方向Daxの長さが70〜120 mm 程度の範囲のうちのいずれかの寸法に設定されることが好ましく、特に内径は20〜35 mm 程度の範囲のうちのいずれかの寸法に設定されることが一層好ましい。
ここで、円筒形容器9の底部9aは、特定の形状であることを必須の要件とはしないが、半球状即ち丸底であることが好ましい。この場合には、小さなエネルギーの破砕効果が円筒形容器内の分析対象試料の広い粒径範囲に及ぼされてマイルドな破砕が行われる。そして、この小さなエネルギーの破砕効果が広い粒径範囲に及ぼされることにより、環境庁告示第46号において定められている溶出試験法によるマイルドな破砕効果に近い結果が得られることが本発明者等の実験により見出された。
分析対象試料1と溶媒2の量は、環境庁告示第46号や第13号において定められている試験と同じ条件とすることが考慮されて、重量体積比10%の割合(換言すれば、固液比として10 L/kg)で混合し、かつ、その混合液が円筒型容器9に収容されて粉砕用メディア8の介在下に攪拌可能とされる程度となるように設定される。環境庁告示第46号や第13号においては、その混合液が500mL以上になるように定められているが、本実施形態では、一般に広く流通し安価に入手できる円筒型容器9が50mL程度であるので、これに粉砕用メディア8と共に収められて攪拌できる空間的な余裕が生ずる程度の用量となるように調整される。例えば、本実施形態では、分析対象試料3.5gに対して溶媒35mLとなるように混合している。
因みに、円筒形容器9内へと投入される分析対象試料1及び溶媒2の量は、特定の量に限定されるものではなく、分析対象試料1が2〜20 g 程度の範囲のうちのいずれかの量であると共に(固液比が例えば10 L/kg になるように調節された上で)溶媒2が20〜200 mL 程度の範囲のうちのいずれかの量であることが好ましく、分析対象試料が3.5gであると共に溶媒2が35mLであることが一層好ましいという程度のものである。
溶媒としては、環境庁告示第46号によれば、純水に塩酸を加え、水素イオン濃度指数が5.8以上6.3以下となるようにしたものであるが、これに特に限られるものではなく、例えば、純水だけでも良いし、場合によっては硫酸,硝酸,酢酸,酢酸ナトリウム,塩化カルシウム,または水酸化カルシウムなどの分析対象となる試料に応じて適切なものを添加して用いても良い。
円筒形容器9内の分析対象試料1の粉砕と溶出とを同時に行って溶出所要時間を短縮するために小径の粉砕用メディア8(尚、攪拌用の「ボール」とも呼ばれる)が円筒形容器9内へと添加されて分析対象試料1と一緒に攪拌される。
円筒形容器9内へと添加/投入される粉砕用メディア8としては、球体や円柱体の形態に形成された粒状のものが用いられ、具体的には例えばビーズが用いられる。そして、粉砕用メディア8の材質としては、具体的には例えば、金属,セラミック,ガラス,樹脂が挙げられる。
粉砕用メディア8の粒径は、特定の寸法に限定されるものではないが、0.1〜10 mm 程度の範囲に設定されることが好ましく、0.5〜3.0 mm 程度の範囲に設定されることが一層好ましく、0.8〜2.0 mm 程度の範囲に設定されることがより一層好ましく、ヒ素の場合には1.0〜1.2 mm 程度の範囲に設定されることが最も好ましい。また、セレンの場合には、アズワン製ジルコニアボールCZS0160(ボール平均直径1.5mm)が最も公定法と整合した(22試料の相関R=0.965)。なお、粉砕用メディア8として、粒径が異なる複数種類のメディア、例えばボール平均直径1.5mmのアズワン製ジルコニアボールCZS0160と、ボール平均直径1.2 mmのガラスビーズ(アズワン株式会社,材質:ソーダガラス)とが用いられるようにしても良い。
また、粉砕用メディア8としては、比重が1.0〜4.3 g/cm3 程度の範囲であるものが用いられることが好ましく、比重が1.1〜2.7 g/cm3 程度の範囲であるものが用いられることが一層好ましい。なお、粉砕用メディア8として、比重が異なる複数種類のメディアが円筒形容器9に一緒に投入されて同時に用いられるようにしても良い。
粉砕用メディア8の投入量は、特定の分量に限定されるものではないものの、溶媒2の液量[mL]に対する粉砕用メディア8の実体積(即ち、重量/比重)[cm3]が、0.03〜0.5 cm3/mL 程度の範囲のうちのいずれかの分量に設定されることが好ましく、0.08〜0.3 cm3/mL 程度の範囲のうちのいずれかの分量に設定されることが一層好ましく、0.12〜0.25 cm3/mL 程度の範囲のうちのいずれかの分量に設定されることがより一層好ましく、0.146cm3/mL 程度の分量に設定されることが最も好ましい。
偏心振動装置10は、水平面を軌道とする偏心回転によって円筒形容器9を振動させ、当該円筒形容器9内の内容物、具体的には、分析対象試料たる分析対象試料1,溶媒2,粉砕用メディア8を攪拌するものである。なお、偏心振動装置10は、「偏心振動方式ミキサ」とも呼ばれる。偏心振動装置10のオービット径、即ち軌道振とう機の振動テーブルが動作する円の直径は、3.0〜5.0 mm 程度の範囲のうちのいずれかの値に設定されることが好ましく、3.6〜4.1 mm 程度の範囲のうちのいずれかの値に設定されることが一層好ましい。また、偏心振動装置10の回転数は、1000〜3000 rpm 程度の範囲に設定されることが好ましく、2000〜3000 rpm 程度の範囲に設定されることが一層好ましく、2500 rpm 程度に設定されることが最も好ましい。
偏心振動装置10によって円筒形容器9を振動攪拌する時間は、20〜120分程度の範囲のうちのいずれかの時間に設定されることが好ましく、45〜100分程度の範囲のうちのいずれかの時間に設定されることが一層好ましい。本発明者等の実験によれば、溶出量の経時変化は試料によって状況が異なり溶出が緩慢な試料もあることから、例えば公定法相当の溶出量を再現するためには少なくとも90分程度は攪拌することが好ましいことが確認された。即ち、少なくとも90分程度攪拌すれば、公定法相当の溶出量を再現するに十分な検液が作成できることを見出した。
なお、偏心振動装置10によって円筒形容器9を振動攪拌する時の容器内の温度は、室温が好ましいものの、15〜70℃の範囲内のいずれかの温度に設定されても良い。
以上の偏心振動装置10と円筒型容器9を用いた簡易迅速溶出法によれば、円筒形容器9に、分析対象試料1と溶媒2とを重量体積比10%の割合例えば分析対象試料 3.5gに対して溶媒35mLの割合で投入すると共に、粒径が0.1〜10 mm の粉砕用メディア8を添加し、偏心回転によって円筒形容器9を振動させて円筒形容器9内の内容物を振動攪拌することにより、環境庁告示第46号において定められている溶出試験によって得られる溶出量を良好な精度で推定(言い換えると、再現)することができる検液を得ることができる。しかも、この検液は、90分程度の振動攪拌で得ることができ、環境庁告示第46号において定められている溶出試験における6時間振とうに比べて遙かに時間短縮して迅速に得られる。
以下、6価セレンと5価ヒ素とを同時に還元する還元方法及びそれを利用して分析対象試料1から溶出する6価クロム、ヒ素、セレンの3種の重金属類の溶出量を同一の検液で定量する方法を検討し、環境庁告示第46号において定められている定量法に代わるものとして採用することの妥当性、即ち得られる溶出量を公定法での値と推定(言い換えると、再現)することの妥当性を検証した。尚、本実施例では、フライアッシュを分析対象試料として例示し、検証した。
[1.分析条件の検討]
[1.1試験方法]
[1.1.1 試薬および溶液調製]
a)標準試料
3価クロム、6価クロム、亜セレン酸(4価セレン)、亜ヒ酸(3価ヒ素)、ヒ酸(5価ヒ素)、コバルトの標準試料は、1,000 mg/Lの濃度調製済みの市販試薬(5価ヒ素;メルクミリポア、それ以外;和光純薬工業)を用い、適宜、超純水で希釈して使用した。セレン酸(6価セレン)は、セレン酸ナトリウム(和光純薬工業)を用いて濃度を1,000 mg/Lに調製し、他の標準試料と同様に希釈して使用した。
b)1 w/v% DBDTC溶液(以降、DBDTC溶液)
ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム(東京化成)をメタノールで溶解し、孔径0.2 μmのメンブレンフィルタでろ過して使用した。
c)緩衝液
0.5 mol/L 酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0およびpH5.0)は、酢酸および酢酸ナトリウムを用いて、0.5 mol/L 酢酸溶液、0.5 mol/L酢酸ナトリウム溶液を調製し、適量混合してpH 4.0またはpH 5.0に調整した。0.5 mol/L リン酸緩衝液(pH 2.0およびpH 3.0)は、0.5 mol/Lリン酸溶液と0.5 mol/Lリン酸水素一ナトリウム溶液を適量混合してpH 2.0およびpH3.0に調整した。0.5 mol/L MOPS緩衝液(pH7.0)、0.5 mol/L MES緩衝液(pH6.0)は、それぞれMOPS溶液、MES溶液を水酸化ナトリウムでpH7.0、pH6.0に調整し、終濃度を0.5 mol/Lに調製にした。
d)その他試薬
0.1%メチルオレンジ溶液(pH指示薬)、1 mol/L塩酸、25%水酸化ナトリウム溶液は、濃度調整済み市販試薬(和光純薬工業)を用いた。塩酸、チオ尿素、L-システイン塩酸塩一水和物および臭化カリウムは、和光純薬工業より入手した。
[1.1.2 標準試料の測定操作]
実施例2に示す簡易迅速溶出法との組み合わせを想定して、検液量を30 mLとした。DBDTCによる不溶化処理(以降、キレート剤処理と呼ぶ)の基本的な操作手順は以下の通りである。
(1) 0〜0.05 mg/Lの標準試料30 mLに対して、緩衝液2 mL、10 mg/Lコバルト標準液1 mLを添加する。ここで、標準試料は、検量線の作成に必要とされる、濃度が異なる複数種類の標準液を調製した。具体的には、0、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05mg/Lの7種類の標準試料を調製した。この7種類の標準試料から、キレート剤処理の条件検討とともに図4に示す検量線が作成される。
(2) 恒温水槽中で30℃に昇温した後、DBDTC溶液1 mLを撹拌しながら添加する。
(3) 所定時間例えば20分間、30℃で放置して不溶化する。
(4) 生成した不溶化物をメンブレンフィルタ(孔径0.2 μm、直径25 mm、ADVANTEC A020A025A;以下、フィルタ)で回収し、超純水で洗浄する。
(5) 洗浄したフィルタは、予めXRF試料容器に取り付けて注射針で数箇所穴を開けたプロレンフィルム上に置き、10〜15分間風乾する。
(6) 新しいプロレンフィルムでフィルタを挟みこむように張り、XRFで分析する。
なお、キレート剤処理における検液のpHは、pH 2からpH 7の緩衝液を用いて、各重金属についてキレート剤処理を行い、X線強度から決定した。同様に反応時間は、決定したpH条件で5〜40分間の範囲でキレート剤処理を行って決定した。
[1.1.3 XRFと測定条件]
XRFは、ブルカー・エイエックスエス製のEDXRF-S2 RANGER LEを使用した。測定条件を表1に示す。X線管のターゲットはPdであり、管電圧50 kV、管電流1000 μAとし、一次フィルターにCu(膜厚100 μm)を用いた。蛍光X線の測定時間は20分間とした。Cr、AsおよびSeの測定X線はCr(Kα)、As(Kα)、Se(Kα)とした。また、内部標準補正のために、Co(Kα)を測定した。
[1.1.4 検量線、検出限界および定量下限]
XRFで測定したCr(Kα)、As(Kα)およびSe(Kα)とCo(Kα)の相対強度(IX/Co)を用い、検液の6価クロム、3価ヒ素および4価セレン濃度(WX)に対する検量線(式(1))を作成した。
[数1]
IX/Co =aWX+b
検出限界(LOD)および定量下限(LOQ)は、検量線の傾き(a)と検量線の残差の標準偏差(σ)から、以下の式2,式3から求めた。
[数2]
LOD=3σ/a
[数3]
LOQ=10σ/a
[1.1.5 6価セレンと5価ヒ素の還元処理の条件検討]
a)6価セレン、5価ヒ素の還元処理について
石炭灰の溶出試験検液中のセレンとヒ素の形態別分析に関する既往の知見によると、ヒ素とセレンは主に5価ヒ素および4価セレンの形態で検出されるが、3価ヒ素および6価セレンとしての存在も報告されている。そのため、溶出試験の検液のセレン(全セレン)およびヒ素(全ヒ素)の濃度は、それぞれ4価セレンと6価セレン、5価ヒ素と3価ヒ素の合計となる。5価ヒ素と6価セレンは、前述の[1.1.2 標準試料の測定操作]で決定した条件ではDBDTCによる不溶化しないため、4価セレンと3価ヒ素に還元する必要がある。
5価ヒ素の還元処理として、L-システイン、チオ硫酸ナトリウム、ヨウ素カリウム等の薬剤を用いる方法が検討された。一方、6価セレンの還元には、塩酸、チオ尿素、L-システインなどの還元剤が検討されている。迅速溶出法の検液量が少ないことをから、同一の検液から5価ヒ素と6価セレンを同時に還元処理する必要性があり、条件を満たす還元剤およびその処理条件を検討した。
b)6価セレン、5価ヒ素の還元処理の条件検討
還元剤として、チオ尿素、L-システイン、ヨウ素カリウムを用い、塩酸酸性条件下(塩酸1/10 vol.添加)で6価セレンと5価ヒ素の標準液の還元処理を行った後、上述のDBDTCによる不溶化処理の基本的な操作手順に従って蛍光X線強を測定し、還元剤を選定した。選定した還元剤について、至適pH、反応温度、添加量、処理時間の条件検討を行い、最も6価セレンと5価ヒ素のいずれも高い蛍光X線強度が得られる至適条件を決定した。
[1.1.6 6価セレンと5価ヒ素の測定操作]
これは、チオ尿素の還元処理による6価セレンと5価ヒ素などの回収率を検討するために実施した手順である。
[1.1.5 b)6価セレン、5価ヒ素の還元処理の条件検討]の条件検討を踏まえた6価セレンと5価ヒ素の還元処理の条件を表2に示す。
還元処理を含む測定手順は以下の通りである。
(1) 6価セレンおよび5価ヒ素を含む標準試料30 mLに対して、1%メチルオレンジ溶液0.1 mL、塩酸3mLを添加する。塩酸添加量は、液量に対して1/10程度である。
(2) 70℃の恒温水槽中で10分間放置後、撹拌しながらチオ尿素を1 gを添加する。
(3) 70℃の恒温水槽中で10分間放置後、氷水中で室温まで急冷する。
(4) 25%水酸化ナトリウム溶液を9〜9.5 mL添加する。ここで、水酸化ナトリウム溶液でpH調整の際に、pH指示薬であるメチルオレンジの色の変化(赤→橙→黄)を見ながら添加したため、正確な値が示せない。しかし、9〜9.5mLの間に変色点があることは確認して分かっているため、9〜9.5mL添加するという表記にしております。
(5)1 mol/L 塩酸または1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で検液を橙色に調整する。
(5)酢酸/酢酸ナトリウム酸緩衝液(pH 4)2 mLおよび10 mg/Lコバルト標準液1 mLを添加する。
(6)恒温水槽中で30℃に昇温した後、DBDTC溶液1 mLを撹拌しながら添加する。
(7)所定時間例えば20分間、30℃で放置して不溶化する。
(8)生成した不溶化物をメンブレンフィルタ(孔径0.2 μm、直径25 mm;以下、フィルタ)で回収し、超純水で洗浄する。
(9) 洗浄したフィルタは、予めXRF試料容器に取り付けて注射針で数箇所穴を開けたプロレンフィルム上に置き、10〜15分間風乾する。
(10)新しいプロレンフィルムでフィルタを挟みこむように張り、XRFで分析する。
[1.2 検討の結果]
[1.2.1 キレート剤処理における検液pH、反応時間の影響]
キレート剤処理におけるX線強度に対する検液pHの影響を図2に示す。6価クロムではpH 3〜4、3価ヒ素および4価セレンではpH 2〜6の範囲で高いX線強度が得られた。3価クロムと5価ヒ素はpH 2〜4の範囲でX線強度は小さく、pH 6以降で大きくなった。6価セレンは、実施した範囲(pH2〜7)ではX線強度は小さく、DBDTCによってほとんど不溶化しないことがわかった。石炭灰の溶出試験では、クロムの測定対象は6価クロムであるため、3価クロムが不溶化しないpH 3〜4が適当であると考えられた。また、この範囲では、4価セレンと3価ヒ素も同時に不溶化が可能である。一方、6価セレンと5価ヒ素はこの条件では不溶化しないため、還元処理により4価セレンや3価ヒ素にする必要がある。
6価クロム、4価セレンおよび3価ヒ素の標準試料について、キレート剤処理の処理時間によるX線強度の影響を図3に示す。実施した範囲の処理時間(5分〜40分)では、Cr(Kα)、Se(Kα)およびAs(Kα)のXRF強度は、ほとんど変わらなかった。
以上の検討結果から、6価クロム、4価セレン、3価ヒ素に対するキレート剤処理は表1に示す条件で行うこととした。また、6価セレンと5価ヒ素は、表1の条件では不溶化しないため、別途、4価セレンおよび3価ヒ素への還元処理が必要である。そこで、その条件検討は、後述する[1.2.3 6価セレンおよび5価ヒ素の還元処理の検討]で実施した。
[1.2.2 検量線と検出下限および定量限界]
6価クロム、4価セレン、3価ヒ素の標準液による検量線を図4に示す。検量線は、検液の6価クロム、4価セレンおよび3価ヒ素濃度に対する蛍光X線の相対強度で示した。相関の決定係数(r2)はすべて0.99以上と求められ、良好な直線関係が得たれた。検量線の残差標準偏差から定量下限および検出限界を算出するとともに、検液濃度200 μg/L、30μg/Lおよび30μg/Lにおいて5回繰り返して測定した変動係数を求めた (表3)。検出限界は、それぞれ8 μg/L、3 μg/Lおよび1 μg/L、定量下限はそれぞれ27 μg/L、8 μg/Lおよび4 μg/Lであった。変動係数は、それぞれ1.5%、1.5%、3.3%であり、十分な精度が確保された。
[1.2.3 6価セレンおよび5価ヒ素の還元処理の検討]
図5に6価セレンと5価ヒ素に対して3種の還元剤による還元処理を実施した後、キレート剤処理によるX 線強度の結果を示す。5価ヒ素に対しては、L-システインおよびチオ尿素を添加した場合に高いX線強度を得た。一方、6価セレンに対してはチオ尿素のみX線強度が得られたため、以降はチオ尿素による還元処理の条件検討を行った。図6にチオ尿素の還元処理におけるpH、反応温度、添加量および反応時間を検討した結果を示す。還元処理における検液pHは、塩酸酸性(塩酸1/10 vol.添加)からpH 4の範囲で実施し、6価セレンと5価ヒ素のいずれも塩酸酸性でのみ高いX線強度を得た。または、反応温度は、30〜90℃の範囲で実施し、6価セレンは70℃で、5価ヒ素は50〜70℃で高いX線強度を得た。添加量は、0.2〜1 g/30 mLの範囲で検討したところ、5価ヒ素についてはほとんど影響しなかったが、6価セレンでは添加量が大きい(0.75〜1 g/30 mL)ほどX線強度が高い傾向があった。反応時間は5価ヒ素についてはほとんど影響しなかったが、6価セレンでは10分〜15分でX線強度は高く、それ以上では逆に低下する傾向がみられた。以上の条件検討を踏まえて、6価セレンと5価ヒ素を同時に還元処理する条件として、還元剤としてチオ尿素を使用し、塩酸酸性条件下、で還元剤添加量1 g/30 mL、温度70℃、反応時間10分間であることを見出した(表2)。このときの収率としては、97.1〜101.3%と高く、処理時間としては十分であることが分かった。
6価セレンおよび5価ヒ素の標準液に対し、決定した条件で還元処理、キレート剤処理を実施し、前述の[1.2.2 検量線と検出下限および定量限界]の検量線を用いて測定を行った(図7)。その結果、6価セレン では、標準試料濃度と測定値との間に傾き0.922、相関の決定係数r2=0.999の高い直線性が得られた。5価ヒ素 についても、傾き0.938、r2=0.998の高い直線性が得られた。それぞれの収率は、検液濃度が高いほど収率が低下する傾向がみられものの、平均で94%、101%が確保された。4価セレンと3価ヒ素の標準液に対しても同様に還元処理を行った場合、3価ヒ素では傾き1.041、r2=0.99以上と高い相関を維持しており、還元処理が測定値に影響しないことが分かった。一方、4価セレンでは、傾きが0.895となり、特に濃度の高い検液(40 〜50 μg/L)で90%程度まで収率の低下がみられた。これは、チオ尿素による還元処理により、4価セレンの一部が還元されたことを示している。また、結果は示さないが、6価クロムはチオ尿素による還元剤処理後、キレート剤で不溶化されないことが確認されている。従って、石炭灰溶出試験のセレンの測定の精度を維持するためには、4価セレンをキレート剤処理して、除去した後に還元処理を行うことが望ましいと思われる。
従って、同一の検液から、6価クロム、全セレン、全ヒ素の分析するために、検液中の6価クロム、4価セレン、3価ヒ素をキレート剤で不溶化し、そのろ液を還元処理して6価セレン、5価ヒ素を分析する手順が望ましいと考えられた。
[1.2.4 石炭灰(フライアッシュ)溶出試験検液の分析手順の確立]
本実施例は、実施例2に示す迅速溶出試験の検液の測定への適用を目的としている。迅速溶出試験では、分析に利用できる検液量は約35 mLと少ない。そこで、30 mLの検液から6価クロム、セレンおよびヒ素を同時に測定する手順を検討した。
6価セレンと5価ヒ素の還元処理によって6価クロムも還元されるため、6価クロムと4価セレン、3価ヒ素をキレート剤処理し、そのろ液を還元処理、キレート剤処理する手順とした。検液のpHは、フライアッシュによって中性付近からpH12以上と異なり、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液のみでは検液のpH調整が困難であった。そこで、簡便にpHを調整するために、メチルオレンジの変色を指標に大まかにpHを調整し、その後、緩衝液を添加することとした。
6価セレンと5価ヒ素の還元処理後のキレート剤処理においてpH 4に調整した場合、不快な臭いが発生する場合があることが明らかとなった。pHが低い条件では、臭いの発生が小さいため、ドラフトを使用できない測定環境を想定し、還元処理後の検液はリン酸緩衝液(pH 2)を用いてpH 2の条件でキレート剤処理を行うこととした。標準試料では、4価セレン、3価ヒ素および内部標準であるコバルトは、pH 1〜4範囲でキレート剤処理を行ってもX線強度にほとんど差がないことを確認しており(図8)、pHを変更しても問題がないと考えられた。また、還元処理後の検液をキレート剤処理した場合、フィルタによる回収時に目詰まりが起こり、ろ過できないことがわかった。そこで、還元処理後のキレート剤処理では、コバルトの添加量を増加し目詰まりを防ぐ対策が必要であった。
以上の検討を踏まえて、フライアッシュの溶出試験検液の6価クロム、セレンおよびヒ素の測定では、[2.1.2 分析手順]および図9の測定手順とした。
[2.石炭灰(フライアッシュ)溶出試験検液の分析]
[2.1 試験方法]
[2.1.1 供試検液]
国内の石炭火力発電所で発生した43種類のフライアッシュを供試し(n=2で実施)、環境庁告示46号法に準じた溶出試験による検液を得た。得られた検液についてキレート剤捕集/XRF測定法およびJIS K0102に準拠したジフェニルカルバジド吸光光度法で6価クロム、水素化物発生 ICP 発光分光分析法(以下、公定法)で全セレンおよび全ヒ素の濃度を測定した。
[2.1.2 分析手順]
フライアッシュの溶出試験の同じ検液(30 mL)に対して、6価クロム、全セレン、全ヒ素を測定する手順を図9に示す。具体的な操作手順は以下の通りである。
(1)検体30 mLに、0.1%メチルオレンジ溶液(和光純薬工業)を0.1 mL添加し、橙色(pH 3〜4)になるまで1 mol/L 塩酸を添加する。尚、メチルオレンジの添加は、その色の変化を見ながら水酸化ナトリウム溶液の添加するための指標とするためのものである。
(2)0.5 mol/L酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液(pH4)2 mlを添加する。
(3)10 mg/Lコバルト標準液1 mLを添加する。
(4)恒温水槽中で30℃に昇温した後、1% DBDTC溶液1 mLを撹拌しながら添加する。
(5)20分間、30℃で放置して不溶化する。DBDTCによって6価クロム,4価セレン,3価ヒ素が不溶化される。
(6)生成した不溶化物をフィルタで回収し、少量の超純水で洗浄する。
(7)ろ液および洗浄液を回収する。
フィルタ:
(8)洗浄したフィルタは、予めXRF試料容器に取り付けて注射針で数箇所穴を開けたプロレンフィルム上に置き、10〜15分間風乾する。
(9)新しいプロレンフィルムでフィルタを挟みこむように張り、XRFで分析する。DBDTCによって不溶化されたCr(VI),Se(IV),As(III)が定量される。
ろ液:
(10)回収したろ液(約50 mL)に1/10程度の塩酸例えば5 mLを添加する。因みに、ろ過後に、フィルタや器具(ビーカー等)を洗浄し、その洗浄液も回収、分析に供試しているため、検液量が50mL程度に増加している。なお、ろ液に対してはメチルオレンジの追加の添加はされていない。検液30mLに添加した1%メチルオレンジがろ液中に残留しているため、また、臭い発生の抑制のため、ろ液でのpH調整は、pH2付近に変更されていることから、メチルオレンジの色の変化には着目していない。
(11)約70℃に昇温後、スターラーで撹拌しながら、チオ尿素2 gを添加する。チオ尿素は1g/30mL−液量以上の割合で添加することが好ましいので、約50 mLのろ液に対しては2gを添加した。
(12)70〜75℃恒温水槽に10分間静置する。
(13)氷水中で室温まで急冷する。
(14)25%水酸化ナトリウム溶液9 mLを添加する。
(15)0.5 mol/L りん酸緩衝液(pH 2.0)を2 mL添加する。
(16)10 mg/L Co標準液3 mLを添加する。
(17)30℃に昇温後、1%DBDTC溶液2 mLを添加する。
(18)20分間、30℃で放置して不溶化する。
(19)生成した不溶化物をフィルタで回収し、少量の超純水で洗浄する。
フィルタ:
(20)洗浄したフィルタは、予めXRFの試料容器に取り付けて注射針で数箇所穴を開けたプロレンフィルム上に置き、10〜15分間風乾する。
(21)新しいプロレンフィルムでフィルタを挟みこむように張り、XRFで分析する。6価セレン、5価ヒ素を定量する。6価セレン、5価ヒ素の定量は、DBDTCでは不溶化されずにろ液中に残った6価セレン、5価ヒ素を、チオ尿素の添加による還元処理で4価セレン、3価ヒ素にしてからDBDTCで不溶化することにより行われる。即ち、還元処理で価セレン、3価ヒ素にして不溶化されてフィルタに捕集された値を等価6価セレン、等価5価ヒ素として定量する。
[2.1.3 濃度計算]
a)6価クロム
本法の条件では、3価クロムはDBDTCによって不溶化されないため、XRFで検出されるクロムは6価クロムとして扱った。検量線は、6価クロム標準液のCr (Kα)とCo (Kα)の相対強度を用いて作成した(式(1))。また、フライアッシュの溶出試験検液には、バナジウムが検出され、Cr(Kα)とV(Kβ)の蛍光X線が重なるため、重なり補正を行い、溶出試験検液の6価クロムを算出した。重なり補正は、以下の通り行った。
(1)バナジウム標準液(和光純薬工業)を用いてV(Kα)の相対強度(IV/Co)から式(1)を用いてバナジウムの検量線を作成する。
(2)バナジウム標準液のCr(Kα)の相対強度(ICr/Co)から6価クロムの検量線を用いて見かけ上のCr濃度WVCrを計算し、式(4)から重なり補正係数lVを求める。
(3)溶出試験検液のCr(Kα)とV(Kβ)の蛍光X強度ICr/Co、IV/Coから各検量線を用いて見かけ上の6価クロム濃度XCr’とバナジウム濃度XVを求め、式(5)から溶出試験検液の6価クロム濃度XCrを算出する。
[数4]
WVCr=lVWV+c
[数5]
XCr =XCr’+lV WV
b)セレン、ヒ素
全セレンと全ヒ素の濃度は、それぞれ溶出試験検液中の6価セレンと4価セレン、3価ヒ素と5価ヒ素の濃度の和として求めた。4価セレン、3価ヒ素標準液のAs(Kα)、Se(Kα)とCo(Kα)の相対強度から検量線を作成し、検液中のセレン、ヒ素濃度を算出した。還元処理を行う6価セレンと5価ヒ素の測定では、キレート剤処理におけるコバルトの添加量が異なるため、別途、コバルト添加量を変更した検量線を作成し、濃度を算出した。
供試した石炭灰のうち1試料のみではあるが、検液中に低濃度の鉛が検出された。このとき、鉛のPb(Lα)はAs(Kα)と蛍光X線が重なるため、当該試料のみ以下の重なり補正を行った。
1)前述と同様に鉛標準液(和光純薬工業)を用いて、Pb(Lβ)による鉛の検量線を作成する。
2)鉛濃度(WPb)と見かけ上のヒ素濃度(WPbAs)から式(6)を用いて重なり補正係数lpbを求める。
3)Pb(Lβ)はSe(Kβ)の蛍光X線と近いため、Se(Kα)の検量線から算出したセレン濃度(WSe)と見かけ上の鉛濃度(WSePb)から式(7)を用いて重なり補正係数lSeを求める。
4)ヒ素濃度(XAs)は、2種の重なり補正係数と見かけ上のヒ素濃度(X'As)を用いて式(8)より計算する。
[数6]
PbAs=lpbPb+c
[数7]
SePb=lSeSe+c
[数8]
As=X'As−lPb(X'Pb−lSeSe
[2.2 実機石炭灰の溶出試験検液の分析]
[2.2.1 溶出試験検液の測定結果]
43種類のフライアッシュからの溶出試験検液、86検体について、キレート剤捕集/XRF測定法と公定法による測定値を図10に比較した。双方の測定値には、6価クロムで傾き0.96、相関の決定係数r2 = 0.993の直線が得られ、高い相関が確認された。また、セレンおよびヒ素についても、それぞれ傾き1.03、相関の決定係数r2 = 0.989および傾き1.03、相関の決定係数r2 = 0.997の高い相関が確認された。
図11に溶出試験検液中の全セレンに対する6価セレンの割合( [Se(VI)]/[Se])、全ヒ素に対する5価ヒ素の割合( [As(V)]/[As])のヒストグラムを示す。溶出試験検液の[Se(VI)]/[Se]は低く、[As(V)]/[As]は高い傾向があり、溶出検液中には主に4価セレン、5価ヒ素であることが確認された。セレンについては、6価セレンはある程度(〜3割程度)含まれる場合があることがわかった。一方、全ヒ素中の5価ヒ素の割合は、検液中のヒ素のほとんどが5価ヒ素であった。従って、溶出試験検液中の全セレンと全ヒ素を精度よく測定するためには還元処理を伴う6価セレンと5価ヒ素の測定も必須であると考えられる。
溶出試験検液のヒ素の測定において、フライアッシュ1試料のみではあるが、検液に低濃度の鉛が検出され、Pb(Lα)に対する重なり補正が必要であった。この検体では、3価ヒ素の測定値が異常に高い特徴があったことから、3価ヒ素の測定値が高い場合には、鉛の影響を考慮することが望ましいと思われた。なお、本検液に用いたフライアッシュは、亜瀝青炭の燃焼を行っている発電所から提供されたものであるが、検体数が少ないため石炭との関連は不明である。
[2.2.2 迅速溶出法への適用性]
本発明者等が開発している図12に例示する市販の混練器を用いた迅速溶出試験法で用いている容器は50mLであることから、得られる検液量は約35mLである。一方、公定法による測定には500 mL以上の検液を作成することが必要とされており、迅速溶出試験法の検液の分析には適用が困難であった。しかし、本実施形態の簡易定量法では、30mLの検液量でも3種の重金属類を定量できることから、上述の簡易迅速溶出試験法と組み合わせることが可能である。
また、6価クロム、セレンおよびヒ素の標準試料による定量下限は、それぞれ27 μg/L、8 μg/Lおよび4 μg/Lであった。これは、石炭エネルギーセンターによる「石炭灰混和材の港湾工事分野で利用する際のガイドライン」に示された環境安全品質基準(6価クロム:150 μg/L、セレン:30 μg/L、 ヒ素:30 μg/L以下)に対しては、基準値の1/2以下である。2005年から2009年に実施した東京都による「土壌汚染調査(重金属等)の簡易で迅速な分析技術」の選定では、重金属類の簡易分析法の選定基準として定量下限が基準値の1/2以下としており、本実施形態にかかる定量方法はこれを満たすことがわかった。
さらに、本定量方法を上記の基準判定に利用する場合、溶出試験検液の測定操作に起因する誤差を考慮する必要がある。そこで、回帰直線の予測区間の99%上限を求めたところ、上記の環境安全品質基準を判定するためには、それぞれ133 μg/L、16 μg/L、24 μg/Lの定量下限を確保する必要があることがわかった。本定量方法の定量限界は、この1/2以下の濃度を確保しており、溶出試験の6価クロム、セレンおよびヒ素の判定に適用可能と思われた。
以上より、本実施形態にかかる定量法によれば、迅速溶出試験法の検液に対する6価クロム、セレン、ヒ素の測定に適用、即ち簡易迅速溶出試験法と組み合わせ工程法に代わる簡易分析法として適用することが可能と考えられる。即ち、環境庁告示第46号において定められている溶出試験法(「環境庁公定法」と呼ぶ)よりも極めて迅速かつ簡易でありながら相関性の高い分析、即ちフライアッシュに含まれている重金属類の溶出・定量を行うことができる。
次に、分析対象試料から検液を迅速に作成する簡易溶出法を検討し、環境庁告示第46号において定められている検液作成法によって得られる溶出量を推定(言い換えると、再現)する方法として用いた場合の妥当性を検証した。尚、本実施例における分析対象試料としては、クリンカアッシュの例を示す。
本実施例では、28種類のクリンカアッシュが試験用試料として用いられた。全ての試験用試料について蛍光X線元素分析法(「XRF分析法」と表記する)による主要成分濃度の測定が行われ、表4に示す結果が得られた。
また、全ての試験用試料について環境庁告示第46号において定められている溶出試験が行われ、ヒ素,セレン,6価クロム,フッ素,及びホウ素について溶出量の分析が行われた。溶出量の分析はJIS K 0102に準拠して行われた。
本実施例では、分析対象試料1と共に粉砕用メディア8を攪拌するための偏心振動装置10(図12参照)として、米国Scientific Industries社のSI−A286が用いられた。当該装置は、偏心振動を円筒形容器9に与えることによって容器内の内容物を攪拌する機構を有している。
偏心振動を円筒形容器9に与えるために、上記装置のアタッチメントの一つである50 mL 遠沈管用アダプタSI−V203が用いられた。
偏心振動装置10の回転数は、円筒形容器9内の内容物の攪拌を良好に行うことを考慮し、2500 rpm に設定された。
(1)円筒形容器9の底部・底面の形状及び粉砕用メディアの種類の影響の検証
A)試験条件
円筒形容器9の底部・底面の形状の影響を検証するため、円筒形容器9内へと添加(別言すると、投入)される粉砕用メディア8としてジルコニアシリカボール(アズワン株式会社,CZSボール)とガラスビーズ(アズワン株式会社,材質:ソーダガラス)とが用いられると共に、円筒形容器9として底部・底面9aの形状が半球状(別言すると、丸底)の容器(48 mL 遠沈管;Kartell社,型番306)と円錐状の容器(50 mL コニカルチューブ)とが用いられて、それぞれの組み合わせでの測定が設定された。
まず、環境庁告示第46号において定められている方法に従って、風乾後、粒径が2 mm以下に調整された試料が作成された。そして、円筒形容器9への投入量は、試料3.5gに対し純水等2が35mLとされた(試料液の調製)。
粉砕用メディア8の投入量は、粉砕用メディア8の実体積(即ち、重量/比重)が5.1 cm3 になるように設定された(これは、媒体2の液量[mL]に対する粉砕用メディア8の実体積(即ち、重量/比重)[cm3]に換算すると約0.146 cm3/mL に相当する)。
また、粉砕用メディア8の種類の影響を検証するため、ジルコニアシリカボール(同前),ジルコニアボール(株式会社ニッカトー,YTZボール),及びガラスビーズ(同前)の三種の粉砕用メディア8が用いられた。そして、粉砕用メディア8の種類それぞれに対して複数の直径の条件(具体的には、ジルコニアシリカボールについて3種類,ガラスビーズについて8種類,及びジルコニアボールについて3種類)が設定され、代表的な6試料(具体的には、表1における試料番号10,11,13,15,18,21)を対象として溶出操作が行われた。
上記溶出操作によって得られた溶出量値と公定法値との間の関係から、上記のように設定されたケースのそれぞれについての公定法値の予測性能が評価された。
公定法値の予測性能の評価指標として、品質工学分野で用いられる田口の動特性(田口玄一ほか「ベーシックオフライン品質工学」,日本規格協会,2007年)のSN比η(具体的には、以下の数式9によって算出される)と感度S(具体的には、以下の数式10によって算出される)とが用いられた。
ここに、 η:SN比,
r:有効序数,
β:入力の効果,
:誤差分散 をそれぞれ表す。
ここに、 S:感度,
β:入力の効果,
:誤差分散,
r:有効序数 をそれぞれ表す。
B)試験結果
ア)容器形状について
円筒形容器9の底部・底面の形状の種類と粉砕用メディア8の種類との組み合わせ毎の溶出量値の公定法値に対するSN比及び感度が算出されて表5に示す結果が得られた。
表5に示す結果から、粉砕用メディア8としてジルコニアシリカボール(CZSボール)が用いられる場合とガラスビーズが用いられる場合とのどちらの場合も、底部・底面の形状が半球状の容器が用いられる場合のSN比の方が大きいことが確認された。
この原因は、クリンカアッシュと粉砕用メディア8との混合物の流動性に関係するものと考えられた。すなわち、クリンカアッシュの粒子形状の特性に起因してクリンカアッシュを含んだ混合物の流動性は十分に良いとは言えず、攪拌中の目視での観察結果では底部・底面の形状が円錐状の容器(具体的には、コニカルチューブ)を用いた場合には下部先端部に混合物が滞留しているケースが見られたことから、この現象が再現精度に影響している可能性が考えられた。
上記の結果を踏まえ、以降では、底部・底面の形状が半球状の容器が用いられた場合の検証結果を示す。
イ)粉砕用メディア8の材質・直径について
粉砕用メディア8の材質別に、粉砕用メディア8の直径毎の溶出量値の公定法値に対するSN比が算出されて図13に示す結果が得られ、また、感度が算出されて図14に示す結果が得られた。ここでの検討では、感度は、溶出促進効果の指標であると捉えられる。
図13に示す結果から、SN比の算定結果では、粉砕用メディア8としてジルコニアシリカボール(CZSボール)が用いられる場合とガラスビーズが用いられる場合とが動特性が比較的良い結果(即ち、高い値)であり、これに対してジルコニアボール(YTZボール)が用いられる場合は動特性が悪い(即ち、低い値)ことが確認された。品質工学における動特性の評価は、SN比の値が第一の選択基準であることから、図13に示すSN比の結果からジルコニアボールは本発明における粉砕用メディア8としては適当でないことが確認された。
また、図14に示す結果から、溶出促進効果の指標である感度について、ジルコニアシリカボールが用いられた場合が最も小さい値であることが確認された。感度については、感度が過小である場合は水質分析操作工程の誤差を受け易くなり、一方で過大になることは溶出プロセスが実現象から乖離することにつながるため、実用上予測のための回帰式の勾配は1(即ち、感度=0)付近であることが望ましい。
以上のことから、粉砕用メディア8の種類はガラスビーズが好ましく、また、粉砕用メディア8の直径は、0.8〜2.0 mm 程度の範囲であることが好ましく、1.0〜1.2 mm 程度の範囲であることが一層好ましく、1.2 mm 程度であることが最も好ましいことが確認された。尚、本実施形態は、クリンカアッシュを試料とし、ヒ素の溶出量について着目したものであり、上述の粉砕メディア8の好ましい材質と直径はクリンカアッシュからのヒ素の溶出に関するものである。尚、偏心振動装置10及び円筒形容器9などにおいて同じ条件で、クリンカアッシュを試料としセレンを溶出させる場合には、セレンの場合には、アズワン製ジルコニアボールCZS0160(ボール平均直径1.5mm)が最も公定法と整合した(22試料の相関R=0.965)。
C)追加試験
円筒形容器9の底部9aの形状が半球状(別言すると、丸底)の場合と円錐状の場合とのそれぞれについて、粉砕用メディア8として直径1.2 mm のガラスビーズが用いられると共に偏心振動装置10の回転数2500 rpm,攪拌時間90分で処理した後の石炭灰の粒径の変化の検証が行われた。
円筒形容器9の底部9aの形状別に、上記処理後の石炭灰の粒径の変化として図15に示す結果が得られた。なお、図15中の「オリジナルの粒径分布」は、振動攪拌処理前の石炭灰の粒径の分布である。
図15に示す結果から、底部9aの形状が円錐状の容器による粉砕は20〜70 μm の範囲の粒子への破砕効果が顕著であり且つ100 μm 以上の粒子にも破砕効果が見られるのに対し、底部・底面の形状が半球状の容器による粉砕は100 μm 以上の粒子への影響は小さく且つ20〜70 μm の範囲の粒子への破砕効果も小さいことが確認された。
このように底部9aの形状が半球状の容器の場合には、小さなエネルギーの破砕効果が広い粒径範囲に及ぼされることにより、環境庁告示第46号において定められている溶出試験法によるマイルドな破砕効果に近い結果が得られることが確認された。この違いは、底部9aの形状が円錐状の容器は底部で圧縮力が相対的に強く働くことによる。
(2)攪拌時間及び粉砕用メディアの投入量の影響の検証
A)試験条件
上記(1)において取り上げられたものと同じ6試料(即ち、表1における試料番号10,11,13,15,18,21)について、攪拌時間30分,60分,及び90分経過時それぞれの溶出量の測定が行われた。
また、粉砕用メディア8として直径1.2 mm のガラスビーズが用いられて、粉砕用メディア8の投入量を4段階に変化させた場合のそれぞれについて、溶出量の測定が行われた。
B)試験結果
ア)攪拌時間について
試料別に、攪拌時間毎の溶出量が測定され、公定法によって得られた値(即ち、公定法値)との比較の結果として図16に示す結果が得られた。
図16に示す結果から、溶出量の経時変化は試料によって状況が異なるものの、例えば試料番号10の試料のように溶出が緩慢な試料もあることから、公定法相当の溶出量を再現するためには少なくとも90分程度は攪拌することが好ましいことが確認された。
イ)粉砕用メディア8の投入量(「ボール量」とも表記する)について
粉砕用メディア8の投入量毎の溶出量値の公定法値に対するSN比及び感度が算出されて表6に示す結果が得られた。
表6に示す結果から、ボール量6.5 g の場合は、ボール無し(即ち、0.0 g)の場合のSN比に近いことから、十分な攪拌・粉砕効果が得られていないことが確認された。また、ボール量13 g の場合においてSN比が最も大きく、ボール量19.5 g の場合は感度は増加するもののSN比は若干低下することが確認された。
表6に示す結果から、ボール量は13 g 付近の条件が好適であると予測されるものの、19.5 g の場合の結果との差が僅少であることから、ボール量が19.5 g 付近の条件も好適な範囲であることが確認された。
C)追加試験
以上の結果も踏まえ、動特性が最も良い直径1.2 mm のガラスビーズと、同条件で粉砕用メディア8の投入量を増加したケースについてより多くの試験用試料(具体的には、18の試料が新たに加えられて合計24試料)で相関性が比較された。
攪拌条件は偏心振動装置10の回転数2500 rpm 且つ攪拌時間90分で、円筒形容器9としては底部9aの形状が半球状の遠沈管が使用された。
比較ケースとして、粉砕用メディア8として直径1 mm のジルコニアボール(YTZボール)が用いられる場合と、粉砕用メディア8を投入せずに攪拌した場合とのそれぞれについて、公定法値との相関が求められた。
粉砕用メディア8の条件(具体的には、種類,直径,投入量)毎に公定法値との相関が求められ、表7に示す結果が得られた。なお、表7中の「ボール無し」は、粉砕用メディア8を投入しない場合のことである。
表7に示す結果から、粉砕用メディア8として直径1.2 mm のガラスビーズが13 g 投入される攪拌条件が最も高い相関性を示すことが確認された。
上記攪拌条件下で更に4試料が追加された合計28試料毎の溶出量値と公定法値との相関が求められて図17に示す結果が得られた。なお、図17中の「開発法溶出量」は本実施形態にかかる検液作成法(溶出操作法)によって得られた溶出量のことであり、「公定法溶出量」は公定法によって得られた溶出量のことである。また、図17中の破線はx=yの直線(即ち、傾きが1であると共に切片が0である直線)を表す。
図17に示す結果から、本実施形態の迅速溶出試験法によるクリンカアッシュからのヒ素の溶出量と公定法による溶出量との相関の決定係数r2は0.9814であり、標準誤差/X係数の値は1.25 μg/L の精度が達成されることが確認された。つまり、本実施例の迅速溶出試験法によって得られる検液は、公定法により得られる検液をほぼ推定する精度であることが確認された。
1 フライアッシュ
2 溶媒
8 粉砕用メディア
9 円筒型容器
9a 円筒型容器の底部
10 偏心振動装置

Claims (9)

  1. 6価セレン及び5価ヒ素を含む検液に対し、還元剤としてチオ尿素を添加し、塩酸酸性下に還元反応させ、5価ヒ素と6価セレンとを同時に還元することを特徴とする重金属類還元方法。
  2. 前記チオ尿素は0.2〜1g/30mL−液量で添加し、pH1以下の塩酸酸性下に反応温度70℃〜80℃で、10〜20分間還元反応させることを特徴とする請求項1記載の重金属類還元方法。
  3. 測定対象試料から作成された検液をキレート剤処理し、検液中に含まれる6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素を不溶化する第1のキレート剤処理工程と、不溶化された前記6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集するろ過工程と、前記フィルタを乾燥させて蛍光X線元素分析法によって捕集された前記6価クロム、4価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して定量する工程と、前記ろ過工程でフィルターを通過したろ液に対して還元処理を施してろ液中に残存する6価セレン及び5価ヒ素を4価セレン及び3価ヒ素に還元する還元処理工程と、還元処理後のろ液に対してキレート剤を添加して前記ろ液中の4価セレン及び3価ヒ素を不溶化する第2のキレート剤処理工程と、不溶化された4価セレン及び3価ヒ素をフィルタでろ過して捕集するろ過工程と、前記フィルタで捕集された前記4価セレン及び3価ヒ素をXRF測定して等価六価セレン及び等価5価ヒ素として定量する工程とを備え、同一検液からのクロム、セレン及びヒ素の3種の重金属を6価クロム、4価セレン、3価ヒ素、5価ヒ素及び6価セレンの価別に定量することを特徴とする重金属類溶出量の測定方法。
  4. 前記ろ液に対して還元処理する工程では、チオ尿酸を還元剤として添加することを特徴とする請求項3記載の重金属類溶出量の測定方法。
  5. 前記第2のキレート剤処理工程では、前記第1のキレート剤処理工程で前記検液に内部標準物質として添加したよりも多い量のコバルトを前記ろ液に対して添加することを特徴とする請求項3記載の重金属類溶出量の測定方法。
  6. 前記第1のキレート剤処理では、キレート剤としてDBDTC溶液を用い、pH4で処理することにより、6価クロム、4価セレン、3価ヒ素が定量分析されることを特徴とする請求項3記載の重金属類溶出量の測定方法。
  7. 前記第2のキレート剤処理は、前記ろ液をpH2に中和してから処理することを特徴とする請求項3または5記載の重金属類溶出量の測定方法。
  8. 前記検液は、底が閉塞した円筒形容器内へと、分析対象試料と水若しくは溶出用溶液とを投入すると共に、粒径が0.1〜10 mmの粉砕用メディアを添加し、その上で偏心回転によって前記円筒形容器を振動させて前記円筒形容器内の内容物を振動攪拌されることによって作成されることを特徴とする請求項3から7のいずれか1つに記載の重金属類溶出量の測定方法。
  9. 前記円筒形容器の底部の形状が半球状であることを特徴とする請求項8記載の重金属類溶出量の測定方法。
JP2018098358A 2018-05-23 2018-05-23 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法 Active JP7031985B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018098358A JP7031985B2 (ja) 2018-05-23 2018-05-23 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018098358A JP7031985B2 (ja) 2018-05-23 2018-05-23 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019203764A true JP2019203764A (ja) 2019-11-28
JP7031985B2 JP7031985B2 (ja) 2022-03-08

Family

ID=68726693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018098358A Active JP7031985B2 (ja) 2018-05-23 2018-05-23 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7031985B2 (ja)

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6230826A (ja) * 1985-08-02 1987-02-09 Shinko Kagaku Kogyo Kk スクラツプ合金から有価物を回収する方法
WO1989012700A1 (en) * 1988-06-17 1989-12-28 Fmc Technologies Limited Recovery of high purity selenium from ores, scrubber sludges, anode slime deposits and scrap
JPH08309369A (ja) * 1995-05-17 1996-11-26 Kurita Water Ind Ltd セレン含有水の処理方法
JPH11142387A (ja) * 1997-11-05 1999-05-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 溶液中の4価及び6価セレンの分別定量法
JP2001286847A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 固体状廃棄物中のセレンの固定化方法
JP2004294329A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Hitachi Constr Mach Co Ltd 土壌に含まれる重金属類の溶出量分析方法及び分析装置、並びにこれに用いる試料
JP2005249584A (ja) * 2004-03-04 2005-09-15 Toshiba Corp 有害金属元素の分析方法、及びその前処理方法
JP2006095356A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 固体状廃棄物中のセレンの固定化方法
CN101650302A (zh) * 2009-09-14 2010-02-17 中国一拖集团有限公司 一种钢铁中微量砷、锑的检测方法
JP2014219388A (ja) * 2013-04-08 2014-11-20 一般財団法人電力中央研究所 石膏からのフッ素溶出量分析方法
CN105600758A (zh) * 2016-02-19 2016-05-25 金川集团股份有限公司 一种提纯硒的湿法精炼工艺
JP2019100835A (ja) * 2017-12-01 2019-06-24 一般財団法人電力中央研究所 重金属類溶出量の測定方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6230826A (ja) * 1985-08-02 1987-02-09 Shinko Kagaku Kogyo Kk スクラツプ合金から有価物を回収する方法
WO1989012700A1 (en) * 1988-06-17 1989-12-28 Fmc Technologies Limited Recovery of high purity selenium from ores, scrubber sludges, anode slime deposits and scrap
JPH08309369A (ja) * 1995-05-17 1996-11-26 Kurita Water Ind Ltd セレン含有水の処理方法
JPH11142387A (ja) * 1997-11-05 1999-05-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 溶液中の4価及び6価セレンの分別定量法
JP2001286847A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 固体状廃棄物中のセレンの固定化方法
JP2004294329A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Hitachi Constr Mach Co Ltd 土壌に含まれる重金属類の溶出量分析方法及び分析装置、並びにこれに用いる試料
JP2005249584A (ja) * 2004-03-04 2005-09-15 Toshiba Corp 有害金属元素の分析方法、及びその前処理方法
JP2006095356A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 固体状廃棄物中のセレンの固定化方法
CN101650302A (zh) * 2009-09-14 2010-02-17 中国一拖集团有限公司 一种钢铁中微量砷、锑的检测方法
JP2014219388A (ja) * 2013-04-08 2014-11-20 一般財団法人電力中央研究所 石膏からのフッ素溶出量分析方法
CN105600758A (zh) * 2016-02-19 2016-05-25 金川集团股份有限公司 一种提纯硒的湿法精炼工艺
JP2019100835A (ja) * 2017-12-01 2019-06-24 一般財団法人電力中央研究所 重金属類溶出量の測定方法

Non-Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GUAN, MING: "HG-AES determination of arsenic and selenium in garlic", LIHUA JIANYAN, HUAXUE FENCE[1001-4020], vol. 47, no. 7, JPN6021045919, 2011, pages 802 - 804, ISSN: 0004710232 *
JIANHUA QIU: "On-line pre-reduction of Se(VI) by thiourea for selenium speciation by hydride generation", SPECTROCHIMICA ACTA PART B, vol. 61, no. 7, JPN6021045925, 2006, pages 803 - 809, ISSN: 0004710227 *
LI, HI-TAO: "Simultaneous determination of arsenic, antimony, selenium and merculy in water samples by chemical v", CHINESE JOURNAL OF ANALYSIS LABORATORY[1000-0720], vol. 28, no. 4, JPN6021045912, 2009, pages 9 - 13, ISSN: 0004710231 *
LIMCHOOWONG, N.: "Optimization study of suitable pre-reduction agents for selenium analysis in tomato samples by flow", INTERNATIONAL FOOD RESEARCH JOURNAL, vol. 22, no. 4, JPN6021045918, 2015, pages 1578 - 1583, ISSN: 0004710233 *
UGGERUD, HILDE: "Use of thiourea in the determination of arsenic, antimony, bismuth, selenium and tellurium by hydrid", JOURNAL OF ANALYTICAL ATOMIC SPECTROMETRY, vol. 10, no. 5, JPN6021045913, 1995, pages 405 - 408, ISSN: 0004695334 *
中條邦英;岩下信一: "蛍光X線分析計によるヒ素及び鉛等の容量試験方法の検討", 全国地質調査業協会連合会「技術フォーラム2010」那覇, JPN7021002287, 2010, ISSN: 0004710236 *
安池慎治: "石炭灰中フッ素・ホウ素の迅速溶出試験法の開発", 日本水環境学会年次講演集, vol. 50, JPN6021045922, 10 March 2016 (2016-03-10), pages 548, ISSN: 0004710229 *
安池慎治: "石炭灰中規制対象物質溶出量の簡易迅速測定法の開発−湿式ボールミルを用いたフッ素・ホウ素溶出試験−", 電力中央研究所環境科学研究所研究報告, JPN6021045924, June 2015 (2015-06-01), ISSN: 0004710228 *
桜井宏紀: "水溶液よりのセレン及びテルルの金属析出分離", 分析化学, vol. 45, no. 8, JPN6021045917, 1996, pages 799 - 804, ISSN: 0004710234 *
正木浩幸: "エネルギー分散型蛍光X選分析装置を用いた石炭灰中セレン、ヒ素、クロムの簡易・迅速定量", 電力中央研究所閑居科学研究所研究報告, JPN6021045915, May 2014 (2014-05-01), ISSN: 0004710235 *
金谷守: "平成30年・電力技術革新の歩み(15)電力中央研究所における研究開発状況", 電気評論, vol. 104, no. 2, JPN6021045921, 10 February 2019 (2019-02-10), pages 32 - 49, ISSN: 0004710230 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7031985B2 (ja) 2022-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Baker et al. Nickel, copper, zinc, and cadmium
Landers et al. Analysis of organic and inorganic sulfur constituents in sediments, soils and water
Väisänen et al. Ultrasound-assisted extraction in the determination of arsenic, cadmium, copper, lead, and silver in contaminated soil samples by inductively coupled plasma atomic emission spectrometry
JP5962722B2 (ja) キレート剤添加量決定装置及びキレート剤添加量決定方法
JP5583362B2 (ja) 土壌中における含有多元素成分同時分析方法
JP2008309767A (ja) 固体試料の分解方法及びそれを用いたクロム定量方法
Paterson et al. The need for standardized methods and environmental monitoring programs for anthropogenic nanoparticles
Markiewicz et al. Accurate quantification of total chromium and its speciation form Cr (VI) in water by ICP-DRC-IDMS and HPLC/ICP-DRC-IDMS
Harmon et al. A holistic approach to lead pipe scale analysis: Importance, methodology, and limitations
JP2005331409A (ja) 重金属等の土壌溶出簡易試験方法
JP6967331B2 (ja) 重金属類溶出量の測定方法
JP5378873B2 (ja) キレート剤の必要量決定方法及び飛灰の処理方法
JP2012255689A (ja) 無機酸化物系材料中鉛含有量測定方法、無機酸化物系材料分別方法、及び無機酸化物系材料製造方法
JP6566202B2 (ja) 石炭標準試料及び石炭中の微量元素分析方法
JP3460570B2 (ja) 重金属安定化剤の適正添加量の決定方法および廃棄物の薬剤処理方法
JP7031985B2 (ja) 重金属類の還元方法及びそれを利用した重金属類溶出量の測定方法
Costa et al. Multi‐element analysis of sea water from Sepetiba Bay, Brazil, by total reflection x‐ray fluorescence spectrometry using synchrotron radiation
JP3614568B2 (ja) 土壌の分析方法
JP2013064603A (ja) 重金属分析装置及び重金属の分析方法
JP7277066B2 (ja) 溶出方法および溶出量測定方法
JP4199143B2 (ja) 有害金属元素の分析方法、及びその前処理方法
JP5425864B2 (ja) 土壌中有害物質の含有量の簡易試験方法
Injuk et al. Specimen preparation
JP2007127453A (ja) 水溶液中の微量元素分析方法
JP2000070902A (ja) キレ―ト系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法及び処理灰の重金属固定化効果の判定方法並びに装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7031985

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150