JP2019202514A - 多層ポリイミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】多層ポリイミドフィルムを用いるフレキシブル金属張積層板をロールツーロール式で連続的に製造する際に、高い耐疲労特性を有するが故に搬送中のクラックを抑制することができるような多層ポリイミドフィルムを提供することと、上記多層ポリイミドフィルムからなるフレキシブル金属張積層板を提供する。【解決手段】非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、JISK7118に準じた疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上である。非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドの一次構造および高次構造を製造方法により制御し、樹脂に凝集構造を形成させることにより、多層ポリイミドフィルムが優れた耐疲労特性を発現することにより、フレキシブル金属張積層板をロールツーロール式で連続的に製造する際に発生するクラックを抑制できる。【選択図】なし

Description

本発明は、多層ポリイミドフィルムに関するものである。
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、薄型化の要請が高まっている。電子部品に用いられるフレキシブルプリント基板(FPC)にも同じく薄膜化が要望されている。FPCはポリイミドフィルムに代表される基材の両面に銅箔などの導体を貼り合せてフレキシブル金属張積層体(FCCL)を製造し、さらに現像工程、エッチング処理工程、レジスト剥離工程といった各工程を経てFPCを製造する。これらの工程は、従来はバッチ式で行なわれていた。バッチ式のFPC製造工程は、各工程ごとに細かい条件設定が可能であるというメリットがある一方で、手間がかかる。そこで近年では、主に現像工程、エッチング処理工程、レジスト剥離工程の3工程を、生産性の向上と人員の削減が可能で、かつ、コストダウンを実現できるロールツーロール式の加工方法へ変化しつつある。
ロールツーロール式の加工方法はバッチ式の加工方法とは異なり、走行性を良好にするためにポリイミドフィルムなどの基材に一定の張力をかける必要がある。このように基材となるポリイミドの動的機械特性の制御に関する開示はなされている(例えば、特許文献1)。
特開平8―333454号公報
しかし、特許文献1に記載の材料は、ある一定上以上の厚みを有した射出成形体やポリイミド単層フィルムへの適用に限られており、上述のようなロールツーロール式により連続的にFPCを製造する際に必要な耐疲労特性に優れた多層ポリイミドフィルムについては検討がなされていないのが現状である。
本発明者らの検討によれば、従来採用されていたバッチ式の加工方法に比べて、ロールツーロール式の加工方法によるFPCの製造においては、フィルム基材への機械的な負担がかなり大きくなるケースがある。その結果、バッチ式の加工方法では問題とはならなかった新たな課題、すなわち、搬送中で基材のポリイミドフィルムにクラックが発生するという問題が発生することが明らかになった。
本発明者らはロールツーロール式で連続的にフレキシブルプリント配線板を製造する際に、高い耐疲労特性を持たせることにより搬送中のクラックを抑制することができるような多層ポリイミドフィルムを見出した。本発明の課題は高い耐疲労特性有する多層ポリイミドフィルムを提供すること、および上記多層ポリイミドフィルムからなるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を行なった結果、ブロック構造のようにポリマー鎖が凝集しやすい構造を有するポリイミドを用いる多層ポリイミドフィルムが優れた耐疲労特性を有し、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は以下に関する。
<1>
非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、JISK7118に準じた疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
<2>
前記疲労試験におけるフィルム破断時のひずみが0.1%〜60.0%であることを特徴とする、<1>に記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
<3>
一軸引張試験で得られる応力―ひずみ曲線における破断時の応力が190MPa以上であることを特徴とする、<1>または<2>に記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
<4>
前記熱可塑性ポリイミド層が、熱可塑性ポリイミドを含み、前記熱可塑性ポリイミドは、動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率が1.4×10Pa〜3.5×10Paであり、貯蔵弾性率の温度依存性曲線が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度より高温において変曲点を有し、前記変曲点における貯蔵弾性率が0.7×10Pa〜1.6×10Paであることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明により得られる多層ポリイミドフィルムを用いたFPCはロールツーロール式で連続的に製造する工程において発生するクラックを抑えることが出来る。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」をそれぞれ意味する。
(疲労試験)
本発明の多層ポリイミドフィルムは、疲労試験において、フィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする。本発明において、疲労試験はJISK7118に従い、部分片振りにて評価する。以下、本明細書においては、部分片振りにて評価した疲労試験を片振り疲労試験、もしくは疲労試験と呼ぶことがある。
ロールツーロール式で連続的にFPCを製造する工程を経てもクラックが入らない材料かどうかを確認するには、通常は実際のFPCを製造することによって判断される。つまり、幅広かつ長尺のフィルムに連続的方法で金属箔を設け、得られた幅広かつ長尺のフレキシブル金属張積層板を用いてロールツーロール式で現像工程、エッチング処理工程、レジスト剥離工程の3つの工程を含むFPCの製造工程により回路を形成する作業が必要になる。しかし、この方法はコストと時間がかかるため、現実的ではない。
一方、疲労試験による耐疲労特性評価はフィルムに金属箔を張り合わせてフレキシブル金属張積層板に加工する工程が必要無く、ポリイミドフィルム本来の動的機械特性を知ることができることに加え、上記のコストと時間をかけることなく評価を行なえる。そのため、ロールツーロール式で連続的に製造する工程において発生するクラックのメカニズムを知るために非常に有用である。
本発明の多層ポリイミドフィルムはJISK7118に準拠した疲労試験による最大応力190MPaにおける繰り返し数が10000回以上である。繰り返し数は100000回以上であることが好ましく、1000000回以上であることがより好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムはJISK7118に準拠した疲労試験によるフィルム破断時のひずみが0.1%〜60.0%であることが好ましく、0.8%〜40.0%であることがさらに好ましく、1.0%〜20.0%であることが特に好ましい。疲労試験によるフィルム破断時のひずみがこの範囲内にあれば、FPCの基板材料となる多層ポリイミドフィルムが搬送による張力で変形しにくくなるといえる。これは連続的な張力が基材にかかるロールツーロール式でのFPC製造工程において有用であるといえる。
多層ポリイミドフィルムの耐疲労特性と、当該多層ポリイミドフィルムから得られるFCCLにおけるクラックの入りやすさには相関があると考えられる。具体的には、前記疲労試験による最大応力190MPaにおける繰り返し数が10000回以上の多層ポリイミドフィルムに金属箔を張り合わせて得るFCCLを用いて、実施例にて記載するシェイキングテストを実施すると、クラックが入る時間(ST)が1000秒以上となり、またデスミア液浸漬時のクラック耐性を評価すると、FCCLをデスミア液に15分以上浸漬させてもクラックが確認されない。
本発明における疲労試験は周波数が10Hz〜20Hzであることが好ましい。周波数が20Hzより大きい場合は、試験片が破断するまでの試験時間が長時間になり、現実的でないためである。一方で、周波数が10Hzより小さい場合は、繰返し負荷による外部エネルギーが試験片中で熱に変化し、試験片の部分融解を引き起こすため、ロール搬送中のフィルム破断を想定した脆性破壊に適さないためである。また、本発明における疲労試験では、負荷する外力(荷重)を応力に換算しているため、試験片の厚みを選ばない。
(多層ポリイミドフィルム)
本発明の多層ポリイミドフィルムは膜厚が1μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜40μmであることがさらに好ましく、7μm〜30μmであることが特に好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムは上述のように連続的なFPCの製造に使用される材料となるので、幅広かつ長尺状の多層ポリイミドフィルムとなる場合がある。このような多層ポリイミドフィルムの幅は、例えば、50cm以上であり、長さは500m以上であることが挙げられる。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む。ここでいうポリイミドは、芳香族ジアミン(以下、ジアミンともいう)と芳香族テトラカルボン酸二無水物(以下、酸二無水物ともいう)を重合してポリアミック酸を製造し、これを熱処理や化学処理によりイミド化して得られる。
(凝集構造)
本発明の多層ポリイミドフィルムは凝集しやすい構造を有するポリイミドを用いることが好ましい。ポリイミドは芳香環あるいは芳香族複素環などの剛直な構成単位を有することが多いため、高分子鎖の絡み合いが少なく、一般的な結晶性高分子のように、部分的な結晶化による折りたたみ鎖を形成しにくい。一方で、イミド環を有する分子鎖に特有な分子鎖のパッキングが起こる。この局所的な秩序性をもった分子鎖のパッキングを凝集構造と呼ぶ。凝集構造は多層ポリイミドフィルムの製造方法とポリイミドの一次構造により、制御することが可能である。
(ポリイミドの一次構造)
ポリイミドの一次構造において、剛直構造を有するモノマーと柔軟構造を有するモノマーを適切に組み合わせることによって、分子鎖のパッキングを形成しやすくできるように分子設計する。剛直構造のモノマーとはポリイミド単位重量当たりのイミド基数が多いものであり、例えば、p−フェニレンジアミン(1,4−ジアミノベンゼン。以下、PDAともいう)、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう) などであるが、PDAやPMDAの量が50%以上になると分子鎖の剛直さゆえ、分子鎖のパッキングが起こりづらい。
一方、柔軟構造のモノマーとはポリイミド単位重量当たりのイミド基数が少ないものであり、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)、オキシジフタル酸(以下、ODPAともいう)、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、TPE−Rともいう)などであるが、これら柔軟構造を有するモノマーが50%以上になると、その柔軟さゆえ分子鎖のパッキングが起こりにくくなる。したがって、剛直構造と柔軟構造を適切に組み合わせることにより、分子鎖のパッキングの程度が高い凝集構造を形成することが可能である。
(非熱可塑性ポリイミドフィルム)
非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用するジアミンについては特に限定されるものではないが、上記の通り、最終的に得られるポリイミドが凝集構造を形成するが好ましいため、酸二無水物の構造に合わせて剛直構造と柔軟構造のジアミンを適切に使用することが好ましい。剛直構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ヒドロキシビフェニル、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどが挙げられる。柔軟構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用する酸二無水物についても特に限定されるものではないが、最終的に得られるポリイミドが凝集構造を形成する必要があるため、ジアミンの構造に合わせて剛直構造と柔軟構造の酸二無水物を適切に使用することが好ましい。具体的な剛直構造を有する酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物などが挙げられる。柔軟構造を有する酸二無水物は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸は、上記ジアミンと酸二無水物を有機溶剤中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。使用する有機溶剤は、ポリアミック酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられる。ポリアミック酸の固形分濃度は特に限定されず、5重量%〜35重量%の範囲内であればポリイミドとした際に十分な機械強度を有するポリアミック酸が得られる。
原料であるジアミンと酸二無水物の添加順序についても特に限定されないが、原料の化学構造だけでなく、添加順序を制御することによっても、得られるポリイミドの特性を制御することが可能である。
(熱可塑性ポリイミド層)
熱可塑性多層ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドの製造に使用するジアミンと酸二無水物は、非熱可塑性多層ポリイミドフィルムに使用されるそれらと同じものが挙げられるが、熱可塑性ポリイミドとするためには、柔軟構造を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。柔軟構造を有するジアミンの例として、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
熱可塑性多層ポリイミドの製造に使用する酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリイミド層が、熱可塑性ポリイミドを含むことが好ましい。熱可塑性ポリイミド層に含まれる熱可塑性ポリイミドは、動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率が1.4×10Pa〜3.5×10Paであり、貯蔵弾性率の温度依存性曲線が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度より高温において変曲点を有し、前記変曲点における貯蔵弾性率が0.7×10Pa〜1.6×10Paであることが好ましい。当該条件を満たす熱可塑性ポリイミドを含む熱可塑性ポリイミド層を、非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に有する多層ポリイミドフィルムは、課題の一つであるクラックの改善効果が大きい。中でも当該熱可塑性ポリイミド層を、非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に有することがより好ましい。
(ポリイミドの製造方法)
本発明の熱可塑性ポリイミドの製造方法は、本願の目的を達成できる熱可塑性ポリイミドであれば公知のどのような方法も用いることが可能である。
例えば、下記の工程(A−a)〜(A−c):
(A−a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族ジアミンが過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る工程、
(A−b)工程(A−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを追加添加する工程、
(A−c)更に、工程(A−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、
によって製造することができる。
または、下記の工程(B−a)〜(B−c):
(B−a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族酸二無水物が過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る工程、
(B−b)工程(B−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を追加添加する工程、
(B−c)更に、工程(B−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、
を経ることによってポリアミド酸を得ることも可能である。
任意のジアミンもしくは酸二無水物に、特定のジアミンもしくは酸二無水物が選択的に結合するように添加順序を設定する合成方法(例えば工程(A−a)〜(A−c)、および(B−a)〜(B−c))を本発明ではブロック重合と呼ぶ。これに対し、結合するジアミンと酸二無水物を投入順序で選択しない合成方法を本発明ではランダム重合と呼ぶ。
(多層ポリイミドフィルムの製造方法)
本発明の多層ポリイミドフィルムを得るには、以下の工程
i) 有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
ii)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
ii)以降の工程においては、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミック酸溶液を製膜ドープとして支持体に流涎、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミック酸溶液に、イミド化促進剤として脱水閉環剤及び触媒の少なくともいずれかを添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。
製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化及び/または乾燥した後、支持体から剥離してポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、ゲルフィルムから、水、残留溶媒、イミド化促進剤を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するフィルムが得られる。加熱条件については、最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて適宜設定すれば良い。
本発明においてポリイミド樹脂層を複層設けて、多層ポリイミドフィルムを得る方法としては、上記ii)工程において複数の流路を有する共押出しダイを使用して複層の樹脂層を同時に形成しても良いし、上記i)〜iv)工程まで進めて非熱可塑性多層ポリイミドフィルムを一旦回収した後、その上に塗工などで新たに樹脂層を形成しても良い。イミド化には非常に高い温度が必要となるため、ポリイミド以外の樹脂層を設ける場合は、熱分解を抑えるために後者の手段を採った方が好ましい。なお、塗工により熱可塑性多層ポリイミドフィルムを設ける場合は、熱可塑性ポリイミドの前駆体(熱可塑性ポリアミック酸)を塗布し、その後イミド化を行ってもよいし、熱可塑性ポリイミド溶液を塗布・乾燥してもよい。
また、熱可塑性多層ポリイミドフィルムは、上述の工程において、ポリアミック酸溶液を支持体に流延する代わりに、ポリイミド溶液を流延し、冷却することにより得てもよい。
上記多層ポリイミドフィルムには、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。
(応力―ひずみ曲線における塑性変形領域の傾きと疲労強度)
本発明の多層ポリイミドフィルムは、応力―ひずみ曲線(以下、s−s曲線ということもある)における塑性変形領域の傾きが0.7以上であることが好ましい。本発明者らの検討の結果、塑性変形領域の傾きと疲労強度には強い相関があり、塑性変形領域の傾きが大きい多層ポリイミドフィルムは疲労強度が強いことがわかった。すなわち、ロールツーロール式で連続的にFPCを製造する工程を経ても多層ポリイミドフィルムにクラックが入らないようにするためには、多層ポリイミドフィルムが、塑性変形しにくいこと、かつ高い降伏強度を有することが有効である。
(塑性変形領域の傾き)
本発明における「塑性変形しにくい」特性は、塑性変形時において応力が増加していくこと、又は塑性変形時に必要な応力が大きいこと、を意図したものである。上記、「塑性変形しにくい」特性は、塑性変形領域における傾きと言い換えることが出来る。例えば、ASTM D882にしたがって引張特性を測定した結果を、縦軸に“応力”、横軸に“ひずみ”のグラフとして表した際の「傾き(すなわちs−s曲線の傾き)」と言い換えることが出来る。具体的には、s−s曲線における“10%ひずみ時応力”〜“破断応力”の間の傾きを例示することが出来る。計算式を下記に示す。
塑性変形領域の傾き=(Stress2−Stress1)/(Strain2−Strain1)
Stress1:10%ひずみ時応力
Stress2:破断応力
Strain1:10%ひずみ
Strain2:破断ひずみ
例えば、「塑性変形しにくい材料」とは、本明細書では「塑性変形領域の傾きが0.7以上であること」を意図する。
本発明における「降伏強度」は、ASTM D882にしたがって、23℃(±2℃)にて引張特性を測定した際の「10%ひずみ時応力」により定義する。例えば、「高い降伏強度を有する材料」とは、本明細書では「10%ひずみ時応力が160MPa以上であること」を意図する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例におけるポリイミドの機械特性の評価方法は次の通りである。
<特性の評価方法>
(一軸引張試験)
島津製作所製 オートグラフ(AGS−J)を用い、25℃(±2℃)雰囲気下 でJISK7127に準じて一軸引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線から弾性率、塑性変形領域の傾きを算出した。測定条件を以下に示す。
試験片:15mm×150mm短冊形
チャック間隔:100mm
引張速度:200mm/min
(塑性変形領域の傾きの求め方)
塑性変形領域の傾きを求める計算式を下記に示す。
塑性変形領域の傾き=(Stress2−Stress1)/(Strain2−Strain1)
Stress1:10%ひずみ時応力
Stress2:破断応力
Strain1:10%ひずみ
Strain2:破断ひずみ
(動的粘弾性測定)
貯蔵弾性率は、SIIナノテクノロジー社製 DMS6100により窒素雰囲気下にて動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率の温度依存性をプロットした。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離20mm
測定温度範囲:0℃〜400℃
昇温速度:3℃/分
ひずみ振幅:10μm
測定周波数:5Hz
最小張力/圧縮力:100mN
張力/圧縮ゲイン:1.5
力振幅初期値:100mN
(片振り疲労試験)
島津製作所製 電磁サーボ式疲労試験機を用い、23℃(±5℃)雰囲気下でJISK7118に準じて疲労試験を行った。試験は引張の部分片振りにて行い、最大応力190MPa、応力比0.1とした。その他の測定条件を以下に示す。フィルム破断までの繰り返し数および破断時ひずみを評価した。得られた繰り返し数が、10000回未満を×、10000〜100000回を○、100000回以上を◎とし、表1に記載した。
試験片:JIS K6251 ダンベル状7号形、厚み18.5μm
チャック間距離:12mm
周波数:20 Hz
(STの求め方、シェイキングテスト)
フィルムの両端部および中央部の3点からフィルムを切り取り、それぞれフレキシブル金属張積層板とした。6.0cm×5.5cm角の大きさにフレキシブル金属張積層板を切り取り、その金属箔の一部を格子状(格子サイズ;1.3mm×1.5mm)にエッチングして試験片を得た。800mLの濃度4%の水酸化ナトリウム水溶液(23±2℃)が入った容器に試験片を入れ、230rpmの振とう速度で、23±2℃において振とうしてクラックが入る時間を測定する。なお、エッチング後、格子状の各角部の内側の曲率半径が50μm以下となっていることを光学顕微鏡にて確認して、50μm以下となっているものを試験片とした。この試験片を水酸化ナトリウム水溶液に投入した。クラックの有無は、振とうを100秒毎に止め、試験片を入れた容器ごとにライトボックスにより光を当てて、試験片に光が透過したらクラックと判断し、その時の時間をシェイキングタイム(ST(秒))とした。
(デスミア液浸漬時のクラック耐性)
実施例ならびに比較例で得られたフレキシブル金属張積層体から長手方向に10cm、幅5cmの大きさに切り取り、切り取った積層体の片側の金属箔層をエッチング処理した。このテストピースをクッション材に挟み、180℃、17.23kgf/cm2の条件で90分間熱プレスを行った。その後、50℃に保った膨潤液に90秒、70℃に保ったデスミア液に600秒、室温に保った中和液に40秒、順次浸漬した。浸漬後、水で洗浄した後に60℃で10分間乾燥させた。その後、上記のテストピースを以下のようにプレス処理した。まず、テストピースをクッション材に挟み、180℃、17.23kgf/cm2の条件で90分間熱プレスを行った。この時、FR4基板は1.0cm×2.5cm×8箇所の穴がくり抜かれているものを使用した。
以上のテストピースを膨潤液に90秒浸漬後、FR4基板の穴ごとに2.2cm×5.0cmのサイズに切り落とし測定用の試験片とした。上記の測定用試験片を70℃に保ったデスミア液に所定の時間(15、30、45、60分間)浸漬させ、室温に保った中和液に40秒、順次浸漬させた。浸漬後、水で洗浄・60℃で10分間乾燥させた試験片におけるFR4の空洞部分を観察に使用した。観察は光学顕微鏡を用い、50〜200倍でクラックの発生有無を判定した。膨潤液に45分以上浸漬させてもクラックが確認されなかったものを◎、15分以上浸漬させてもクラックが確認されなかったものを○、15分浸漬させた際にクラックが確認されたものを×とした。
<非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
(合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を657.8g、ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)を10.5gと2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)を32.4g添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)17.0gとピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)14.3gを徐々に添加した。BTDAとPMDAが溶解したことを目視で確認後、p−フェニレンジアミン(以下、PDAともいう)を14.22g加えて5分間攪拌を行った。続いて、PMDAを28.69g添加した後、30分攪拌した。最後に、1.7gのPMDAを固形分濃度7.2%ととなるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例2)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を655.7g、ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)を28.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう)25.4gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)13.9gを添加し、30分間攪拌を行った。その後、再度ODAを3.5g、p−フェニレンジアミン(以下、PDAともいう)を13.7g加えて5分間攪拌を行った。続いて、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)32.7gを添加し、30分間撹拌した。最後に、1.9gのPMDAを固形分濃度7.2%ととなるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
(合成例3)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF323.0gに、BAPB11.8gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA7.9gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、BAPP30.8gを添加し、続けてPMDA16.8gを添加し30分間攪拌を行った。0.7gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)において、300℃における貯蔵弾性率は1.99×10Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は265.7℃であり、変曲点より高い温度で貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が存在しなかった。
(合成例4)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF321.7gに、ODA12.3gを添加した。続いてBAPB22.5gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA25.2gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA7.2gを添加し30分間攪拌を行った。0.8gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率は1.66×10Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は265.7℃であり、変曲点より高い温度の貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が348.9℃であり、変曲点における貯蔵弾性率が0.98×10Paであった。
(合成例5)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF323.0gに、BAPP43.6gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA43.6gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA19.0gを添加し30分間攪拌を行った。0.7gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率は3.44×10Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は290.3℃であり、変曲点より高い温度の貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が362.4℃であり、変曲点における貯蔵弾性率が0.40×10Paであった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
続いて得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、150℃×68秒、80℃×9秒で乾燥した後、350℃で12秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmの多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた多層ポリイミドフィルムの両面に12μm電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層体を作製した。得られた多層ポリイミドフィルムの一軸引張試験、および片振り疲労試験の結果とフレキシブル金属張積層板のST、およびクラック耐性を表1に示す。
(実施例2)
合成例2で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×15秒、350℃×79秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
続いて得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、150℃×68秒、80℃×9秒で乾燥した後、350℃で12秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmの多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた多層ポリイミドフィルムの両面に12μm電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層体を作製した。得られた多層ポリイミドフィルムの一軸引張試験、および片振り疲労試験の結果とフレキシブル金属張積層板のST、およびクラック耐性を表1に示す。
(実施例3)
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
続いて得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例4で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、150℃×68秒、80℃×9秒で乾燥した後、350℃で12秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmの多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた多層ポリイミドフィルムの両面に12μm電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層体を作製した。得られた多層ポリイミドフィルムの一軸引張試験、および片振り疲労試験の結果とフレキシブル金属張積層板のST、およびクラック耐性を表1に示す。
(比較例1)
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×15秒、350℃×79秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
続いて得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例5で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、150℃×68秒、80℃×9秒で乾燥した後、350℃で12秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmの多層ポリイミドフィルムを得た。
得られた多層ポリイミドフィルムの両面に12μm電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層体を作製した。得られた多層ポリイミドフィルムの一軸引張試験、および片振り疲労試験の結果とフレキシブル金属張積層板のST、およびクラック耐性を表1に示す。
(考察)
表1の結果から、疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上の耐疲労特性に優れた多層ポリイミドフィルムは、塑性変形しにくく、ST、およびクラック耐性が良好であり、ロールツーロール式の連続的なFPCの製造工程においてもポリイミドフィルムに発生するクラックの抑制を期待できる。
Figure 2019202514



Claims (4)

  1. 非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、JISK7118に準じた疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
  2. 前記疲労試験におけるフィルム破断時のひずみが0.1%〜60.0%であることを特徴とする、請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. 一軸引張試験で得られる応力―ひずみ曲線における破断時の応力が190MPa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. 前記熱可塑性ポリイミド層が、熱可塑性ポリイミドを含み、前記熱可塑性ポリイミドは、動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率が1.4×10Pa〜3.5×10Paであり、貯蔵弾性率の温度依存性曲線が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度より高温において変曲点を有し、前記変曲点における貯蔵弾性率が0.7×10Pa〜1.6×10Paであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
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