JP2019202514A - 多層ポリイミドフィルム - Google Patents
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非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、JISK7118に準じた疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
前記疲労試験におけるフィルム破断時のひずみが0.1%〜60.0%であることを特徴とする、<1>に記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
一軸引張試験で得られる応力―ひずみ曲線における破断時の応力が190MPa以上であることを特徴とする、<1>または<2>に記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
前記熱可塑性ポリイミド層が、熱可塑性ポリイミドを含み、前記熱可塑性ポリイミドは、動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率が1.4×108Pa〜3.5×108Paであり、貯蔵弾性率の温度依存性曲線が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度より高温において変曲点を有し、前記変曲点における貯蔵弾性率が0.7×108Pa〜1.6×108Paであることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、疲労試験において、フィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする。本発明において、疲労試験はJISK7118に従い、部分片振りにて評価する。以下、本明細書においては、部分片振りにて評価した疲労試験を片振り疲労試験、もしくは疲労試験と呼ぶことがある。
本発明の多層ポリイミドフィルムは膜厚が1μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜40μmであることがさらに好ましく、7μm〜30μmであることが特に好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムは凝集しやすい構造を有するポリイミドを用いることが好ましい。ポリイミドは芳香環あるいは芳香族複素環などの剛直な構成単位を有することが多いため、高分子鎖の絡み合いが少なく、一般的な結晶性高分子のように、部分的な結晶化による折りたたみ鎖を形成しにくい。一方で、イミド環を有する分子鎖に特有な分子鎖のパッキングが起こる。この局所的な秩序性をもった分子鎖のパッキングを凝集構造と呼ぶ。凝集構造は多層ポリイミドフィルムの製造方法とポリイミドの一次構造により、制御することが可能である。
ポリイミドの一次構造において、剛直構造を有するモノマーと柔軟構造を有するモノマーを適切に組み合わせることによって、分子鎖のパッキングを形成しやすくできるように分子設計する。剛直構造のモノマーとはポリイミド単位重量当たりのイミド基数が多いものであり、例えば、p−フェニレンジアミン(1,4−ジアミノベンゼン。以下、PDAともいう)、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう) などであるが、PDAやPMDAの量が50%以上になると分子鎖の剛直さゆえ、分子鎖のパッキングが起こりづらい。
非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用するジアミンについては特に限定されるものではないが、上記の通り、最終的に得られるポリイミドが凝集構造を形成するが好ましいため、酸二無水物の構造に合わせて剛直構造と柔軟構造のジアミンを適切に使用することが好ましい。剛直構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ヒドロキシビフェニル、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどが挙げられる。柔軟構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
熱可塑性多層ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドの製造に使用するジアミンと酸二無水物は、非熱可塑性多層ポリイミドフィルムに使用されるそれらと同じものが挙げられるが、熱可塑性ポリイミドとするためには、柔軟構造を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。柔軟構造を有するジアミンの例として、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリイミドの製造方法は、本願の目的を達成できる熱可塑性ポリイミドであれば公知のどのような方法も用いることが可能である。
(A−a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族ジアミンが過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る工程、
(A−b)工程(A−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを追加添加する工程、
(A−c)更に、工程(A−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、
によって製造することができる。
(B−a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族酸二無水物が過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る工程、
(B−b)工程(B−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を追加添加する工程、
(B−c)更に、工程(B−a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、
を経ることによってポリアミド酸を得ることも可能である。
任意のジアミンもしくは酸二無水物に、特定のジアミンもしくは酸二無水物が選択的に結合するように添加順序を設定する合成方法(例えば工程(A−a)〜(A−c)、および(B−a)〜(B−c))を本発明ではブロック重合と呼ぶ。これに対し、結合するジアミンと酸二無水物を投入順序で選択しない合成方法を本発明ではランダム重合と呼ぶ。
本発明の多層ポリイミドフィルムを得るには、以下の工程
i) 有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
ii)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムは、応力―ひずみ曲線(以下、s−s曲線ということもある)における塑性変形領域の傾きが0.7以上であることが好ましい。本発明者らの検討の結果、塑性変形領域の傾きと疲労強度には強い相関があり、塑性変形領域の傾きが大きい多層ポリイミドフィルムは疲労強度が強いことがわかった。すなわち、ロールツーロール式で連続的にFPCを製造する工程を経ても多層ポリイミドフィルムにクラックが入らないようにするためには、多層ポリイミドフィルムが、塑性変形しにくいこと、かつ高い降伏強度を有することが有効である。
本発明における「塑性変形しにくい」特性は、塑性変形時において応力が増加していくこと、又は塑性変形時に必要な応力が大きいこと、を意図したものである。上記、「塑性変形しにくい」特性は、塑性変形領域における傾きと言い換えることが出来る。例えば、ASTM D882にしたがって引張特性を測定した結果を、縦軸に“応力”、横軸に“ひずみ”のグラフとして表した際の「傾き(すなわちs−s曲線の傾き)」と言い換えることが出来る。具体的には、s−s曲線における“10%ひずみ時応力”〜“破断応力”の間の傾きを例示することが出来る。計算式を下記に示す。
塑性変形領域の傾き=(Stress2−Stress1)/(Strain2−Strain1)
Stress1:10%ひずみ時応力
Stress2:破断応力
Strain1:10%ひずみ
Strain2:破断ひずみ
例えば、「塑性変形しにくい材料」とは、本明細書では「塑性変形領域の傾きが0.7以上であること」を意図する。
(一軸引張試験)
島津製作所製 オートグラフ(AGS−J)を用い、25℃(±2℃)雰囲気下 でJISK7127に準じて一軸引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線から弾性率、塑性変形領域の傾きを算出した。測定条件を以下に示す。
チャック間隔:100mm
引張速度:200mm/min
塑性変形領域の傾きを求める計算式を下記に示す。
塑性変形領域の傾き=(Stress2−Stress1)/(Strain2−Strain1)
Stress1:10%ひずみ時応力
Stress2:破断応力
Strain1:10%ひずみ
Strain2:破断ひずみ
貯蔵弾性率は、SIIナノテクノロジー社製 DMS6100により窒素雰囲気下にて動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率の温度依存性をプロットした。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離20mm
測定温度範囲:0℃〜400℃
昇温速度:3℃/分
ひずみ振幅:10μm
測定周波数:5Hz
最小張力/圧縮力:100mN
張力/圧縮ゲイン:1.5
力振幅初期値:100mN
島津製作所製 電磁サーボ式疲労試験機を用い、23℃(±5℃)雰囲気下でJISK7118に準じて疲労試験を行った。試験は引張の部分片振りにて行い、最大応力190MPa、応力比0.1とした。その他の測定条件を以下に示す。フィルム破断までの繰り返し数および破断時ひずみを評価した。得られた繰り返し数が、10000回未満を×、10000〜100000回を○、100000回以上を◎とし、表1に記載した。
試験片:JIS K6251 ダンベル状7号形、厚み18.5μm
チャック間距離:12mm
周波数:20 Hz
フィルムの両端部および中央部の3点からフィルムを切り取り、それぞれフレキシブル金属張積層板とした。6.0cm×5.5cm角の大きさにフレキシブル金属張積層板を切り取り、その金属箔の一部を格子状(格子サイズ;1.3mm×1.5mm)にエッチングして試験片を得た。800mLの濃度4%の水酸化ナトリウム水溶液(23±2℃)が入った容器に試験片を入れ、230rpmの振とう速度で、23±2℃において振とうしてクラックが入る時間を測定する。なお、エッチング後、格子状の各角部の内側の曲率半径が50μm以下となっていることを光学顕微鏡にて確認して、50μm以下となっているものを試験片とした。この試験片を水酸化ナトリウム水溶液に投入した。クラックの有無は、振とうを100秒毎に止め、試験片を入れた容器ごとにライトボックスにより光を当てて、試験片に光が透過したらクラックと判断し、その時の時間をシェイキングタイム(ST(秒))とした。
実施例ならびに比較例で得られたフレキシブル金属張積層体から長手方向に10cm、幅5cmの大きさに切り取り、切り取った積層体の片側の金属箔層をエッチング処理した。このテストピースをクッション材に挟み、180℃、17.23kgf/cm2の条件で90分間熱プレスを行った。その後、50℃に保った膨潤液に90秒、70℃に保ったデスミア液に600秒、室温に保った中和液に40秒、順次浸漬した。浸漬後、水で洗浄した後に60℃で10分間乾燥させた。その後、上記のテストピースを以下のようにプレス処理した。まず、テストピースをクッション材に挟み、180℃、17.23kgf/cm2の条件で90分間熱プレスを行った。この時、FR4基板は1.0cm×2.5cm×8箇所の穴がくり抜かれているものを使用した。
(合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を657.8g、ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)を10.5gと2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)を32.4g添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)17.0gとピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)14.3gを徐々に添加した。BTDAとPMDAが溶解したことを目視で確認後、p−フェニレンジアミン(以下、PDAともいう)を14.22g加えて5分間攪拌を行った。続いて、PMDAを28.69g添加した後、30分攪拌した。最後に、1.7gのPMDAを固形分濃度7.2%ととなるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を655.7g、ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)を28.9g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう)25.4gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)13.9gを添加し、30分間攪拌を行った。その後、再度ODAを3.5g、p−フェニレンジアミン(以下、PDAともいう)を13.7g加えて5分間攪拌を行った。続いて、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)32.7gを添加し、30分間撹拌した。最後に、1.9gのPMDAを固形分濃度7.2%ととなるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2000ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例3)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF323.0gに、BAPB11.8gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA7.9gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、BAPP30.8gを添加し、続けてPMDA16.8gを添加し30分間攪拌を行った。0.7gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)において、300℃における貯蔵弾性率は1.99×108Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は265.7℃であり、変曲点より高い温度で貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が存在しなかった。
反応系内を20℃に保った状態で、DMF321.7gに、ODA12.3gを添加した。続いてBAPB22.5gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA25.2gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA7.2gを添加し30分間攪拌を行った。0.8gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率は1.66×108Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は265.7℃であり、変曲点より高い温度の貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が348.9℃であり、変曲点における貯蔵弾性率が0.98×108Paであった。
反応系内を20℃に保った状態で、DMF323.0gに、BAPP43.6gを添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA43.6gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA19.0gを添加し30分間攪拌を行った。0.7gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が800ポイズに達した時点で重合を終了した。動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率は3.44×108Pa、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は290.3℃であり、変曲点より高い温度の貯蔵弾性率の温度依存性曲線の変曲点が362.4℃であり、変曲点における貯蔵弾性率が0.40×108Paであった。
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
合成例2で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×15秒、350℃×79秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×11秒、350℃×11秒、450℃×120秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
合成例1で得られたポリイミド前駆体(65g)に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比11.48/3.40/18.18)からなる硬化剤を32.5g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を115℃×100秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×15秒、350℃×79秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムが450℃で2分間加熱したところ形態を保持したことから、非熱可塑性であることが確認出来た。
表1の結果から、疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上の耐疲労特性に優れた多層ポリイミドフィルムは、塑性変形しにくく、ST、およびクラック耐性が良好であり、ロールツーロール式の連続的なFPCの製造工程においてもポリイミドフィルムに発生するクラックの抑制を期待できる。
Claims (4)
- 非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、JISK7118に準じた疲労試験におけるフィルム破断までの繰り返し数が10000回以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
- 前記疲労試験におけるフィルム破断時のひずみが0.1%〜60.0%であることを特徴とする、請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
- 一軸引張試験で得られる応力―ひずみ曲線における破断時の応力が190MPa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルム。
- 前記熱可塑性ポリイミド層が、熱可塑性ポリイミドを含み、前記熱可塑性ポリイミドは、動的粘弾性測定(5Hz)による300℃における貯蔵弾性率が1.4×108Pa〜3.5×108Paであり、貯蔵弾性率の温度依存性曲線が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度より高温において変曲点を有し、前記変曲点における貯蔵弾性率が0.7×108Pa〜1.6×108Paであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
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