JP2017177601A - 多層ポリイミドフィルムおよび多層ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

多層ポリイミドフィルムおよび多層ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリイミドフィルムに金属層を設けて金属張積層板とし、更にロールツーロール式で連続的にフレキシブルプリント配線版を製造する際に、クラックを抑制できるようなポリイミドフィルムの提供。【解決手段】非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、水に浸漬前後の引張試験を行い、破断強度保持率を測定したときに、破断強度保持率が80%以上となっている金属張積層板。水に浸漬前の多層ポリイミドフィルムの破断強度が200MPa以上であることが好ましい多層ポリイミドフィルム。非加塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸が、好ましくは、酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも含み、ジアミンとしてm−トリジン又はフェニレンジアミンの少なくとも一方を含む多層ポリイミドフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、金属張積層体をロールツーロールで連続的に搬送しながら電子基板用回路を形成する工程で発生するクラックを抑制することができるポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属張積層板に関するものである。
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、薄型化の要請が高まっている。更に、コストダウン化も進み、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCともいう)の製造工程はバッチ式からロールツーロール式の加工方法へと変化しつつある。
具体的には、従来のFPCの製造工程は、現像、エッチング処理、レジスト剥離といった各工程をバッチ式で行っていたところ、主に現像、エッチング処理、レジスト剥離の3工程をロールツーロール式で連続的に行うことにより、高生産性と人員の削減の両方が可能となり、コストダウンが実現できる。
バッチ式のFPC製造工程は、各工程ごとに細かい条件設定が可能であるというメリットがある一方で、手間がかかる。一方、ロールツーロール式では、コストダウンが見込める一方で、一つの工程の処理時間が長くなると、自ずと連続的に続く工程全体の処理時間も長くなる等、バッチ式に対して小回りが利きづらく、結果として金属張積層体にかかる負担も大きくなる。また、回路形成途中の金属張積層体の搬送時にシワを発生させないために基材にある一定以上の張力をかける必要があるなど、バッチ式に比べてロールツーロール式のほうが基材への負担が大きくなるケースがあり、バッチ式のFPC製造工程では問題とはならなかった新たな課題、すなわち、ロールツーロール式のFPC製造工程で基材のポリイミドフィルムにクラックが発生するという問題が発生する。
従来、現像・エッチング処理・レジスト剥離工程で使用するアルカリ溶液に対する耐性を制御したポリイミド(例えば、特許文献1、2)については報告がなされている。しかし、これらの材料では、従来のFPC製造工程においては問題にならずとも、上述のようなロールツーロール式により連続的にFPCを製造する工程に耐えるには不十分であり、このような工程を経てもクラックが発生しないようなポリイミド材料は、これまで提供されていなかった。
特開平06−120659号公報 特開2012−186377号公報
本発明では、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポリイミドフィルムに金属層を設けて金属張積層板とし、さらにロールツーロール式で連続的にフレキシブルプリント配線版を製造する際に、クラックを抑制することができるようなポリイミドフィルムを提供することにある。本発明の別の目的は、ロールツーロール式で連続的にフレキシブルプリント配線板を製造する工程において、クラックを抑制することができるようなフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
本発明者は、以下の新規な多層ポリイミドフィルム、フレキシブル金属張積層体およびフレキシブル金属張積層体の製造方法により上記課題を解決しうる。
すなわち、本発明は、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、水に浸漬前後の多層ポリイミドフィルムの破断強度保持率が80%以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
好ましい実施態様は、水に浸漬前の多層ポリイミドフィルムの破断強度が200MPa以上であることを特徴とする、多層ポリイミドフィルムに関する。
好ましい実施態様は、非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸が、酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を少なくとも含み、ジアミンとしてm−トリジンまたはパラフェニレンジアミンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、多層ポリイミドフィルムに関する。
好ましい実施態様は、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を導体上に流延し、その後、加熱処理することを特徴とする、多層ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
本発明により得られるポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属張積層板はFPCのロールツーロール式の連続的製造工程においてクラックの発生を抑えることが出来る。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
FPCを連続的に製造する工程では、幅広・長尺状の金属張積層板を用いて、主に現像工程、エッチング処理工程、レジスト剥離工程の3工程をロールツーロール式で連続的に行う。
現像工程とは、露光工程にて生成した潜像が、現像液に対してネガタイプではレジストが硬化して不溶性となり、ポジタイプでは可溶性となっており、現像はこの未硬化部、可溶部を溶解除去する工程となる。レジストの種類により現像液は異なるが、一般的には炭酸ナトリウム系のアルカリ水溶液を使用している。現像作業は液をスプレー噴射して行う。スプレーノズルは左右に振るなどしてレジスト表面に均一に当てる必要がある。
エッチング工程とは、現像工程によって露出したレジストの無い金属部分を化学的に溶解し、導体パターンを形成する工程である。エッチング液を基板の上下からスプレー噴射することにより、金属を溶解するのが一般的である。エッチング液として、主に塩化鉄、塩化銅、アルカリ溶液が使用される。
レジスト剥離工程とは、エッチングを完了し導体パターンが完成した表面上のレジストは不要なので、これを剥離し、銅箔のパターンとする工程である。剥離作業はエッチング完了後、水洗いをしてから行う。剥離も現像、エッチングと同様に剥離液のスプレー噴射によって行う。剥離液はアルカリ水溶液を使用する。
このように現像・エッチング・レジスト剥離工程の3工程中少なくとも2工程はアルカリ溶液が用いられる。
ポリイミドは一般にアルカリ溶液と接触することによって、加水分解反応を起こすことが知られている。また基材には長手方向に張力がかかっており、さらに各工程での薬液のスプレー噴射により基板には基板厚み方向に繰返し応力がかかる状態となる。
これらのことから、FPCをロールツーロール式で連続的に製造する工程においてクラックが発生する原因は、薬液がポリイミドフィルム内へ浸入、浸透し、高分子間に割り込むことで分子間の結合を弱め、場合によっては絡み合いをほどいて溶媒和する。その結果、機械的強度の低下を招き、クラックに進展するのではないかと仮説を立てた。さらに応力下では、分子間距離が広がるため、薬液が分子間に浸入し劣化が加速し、通常に比べて小さな応力でクラックが生じることが知られている。この現象はケミカルストレスクラックと呼ばれている。
ケミカルストレスクラックは、樹脂(材料)の引張強度以下の引張応力で発生する、典型的な脆性破壊であり、 成形品において引張応力発生箇所(荷重がかかっている箇所)に薬品が付着・接触した場合、時間経過を伴って薬品と応力との相乗作用にて割れが起る現象である。 割れ面は滑らかで、顕著な場合、鏡面状態を示す。発生メカニズムは応力存在下(荷重がかかっている状態)で分子間に隙間が生じ、この隙間に薬品が浸透し、分子間凝集力が低下し、局部的に分子のすり抜けが起ることにより歪みが緩和しクラックが発生すると考える。
このような仮説をもとに、実際にロールツーロール式で連続的にFPCを製造する工程において様々な条件変更を行い、この工程中にクラックが発生する要因を探る実験を行った結果、下記のようなことが分かった。
(1)基板を長手方向に張力をかけながら搬送した状態で、水をシャワーリングしてもクラックは生じない。
(2)基板を停止した状態で、薬液をシャワーリングしてもクラックは生じない。
(3)基板を長手方向に張力をかけながら搬送した状態で、薬液をシャワーリングするとクラックが生じる。
(4)クラックが生じる箇所は金属箔とフィルムの境界面で、金属箔の形状が丸みを帯びたものよりも鋭角に近いほうがクラックが生じやすい。
(5)シャワーリング(薬液)の温度が高いほど基板にクラックが生じやすい。
これらのうち、(1)〜(3)の結果から、ポリイミドという樹脂に応力(引張強度以下)がかかった状態で、かつ薬液と樹脂が接触したときにのみクラックが発生することを突き止め、仮説が正しいことがわかった。また、(4)の結果から、基板に応力がかかった際に金属箔が存在する箇所とそうでない箇所で硬さの違いにより振動のしやすさが異なり、金属箔とフィルムの境界面に応力集中しやすいことが推測できる。さらに、金属箔とフィルムの境界面の中でも、金属箔の形状が鋭角に近いほうが応力集中しやすいことがわかった。(5)の結果から、薬液の温度が高いほどポリイミド樹脂および薬液の分子運動性が高まり、ポリイミド樹脂に薬液がより浸透しやすくなったと推察できる。
(1)〜(5)の結果から、バッチ式に比べてロールツーロール式でクラックが発生しやすい原因は、基材に張力やスプレー圧による厚み方向への繰返し応力がかかっている状態で、薬液に曝されるためであることがわかった。
そこで本発明者らは、このような考察結果を踏まえてロールツーロール式で連続的にフレキシブルプリント基板を製造する際に、ポリイミドフィルムが経験する環境を、以下に詳述する水に浸漬前後の多層ポリイミドフィルムの破断強度保持率を評価するという簡易な方法により再現することに思い至った。
水に浸漬前後の多層ポリイミドフィルムの破断強度保持率を評価する具体的な方法は、MD(長手)方向20cm×TD(幅)方向1.5cmのポリイミドフィルムを切り取り、室温で島津製作所AGS−Jにより、引張速度200mm/分にて得られる応力−歪み曲線において、ポリイミドフィルムが破断した際の強度を破断強度TS0とする。同サイズに切り取ったポリイミドフィルムを23℃、50%RHに調湿されている環境下で、常温の蒸留水が入った容器内に入れる。このとき、フィルムはすべて蒸留水内に浸っている。1時間以上浸漬した後、容器からフィルムを取り出し、引張試験機のチャックで掴む部分の水気を10秒以内でふき取った直後、引張試験を行った。引張速度200mm/分にて得られる応力−歪み曲線において、ポリイミドフィルムが破断した際の強度を破断強度TS1とする。TS0、TS1はそれぞれ5回測定し、最も強度が高い数値を採用し、破断強度保持率を算出する。破断強度保持率は下記の通り定義する。
破断強度保持率=TS1/TS0×100
ポリイミドフィルムを切り取る際、ポリイミドフィルムの端面が荒れると、破断強度を正確に評価できない場合があるため、ポリイミドフィルムを切り取る際に用いるカッター刃の状態には注意する必要がある。具体的には切り取る際は毎回新品のカッター刃を用いる。
銅張積層板の銅箔を除去した多層ポリイミドフィルムを用いて、破断強度保持率を評価することもできる。
ロールツーロール式で連続的にFPCを製造する工程を経てもクラックが入らない材料かどうかを確認するには、幅広かつ長尺の材料に連続的方法で金属層を設け、得られた幅広かつ長尺の金属張積層板を用いてロールツーロール式で現像、エッチング処理、レジスト剥離の3つの工程を含むFPCの製造工程により回路を形成する作業が必要になるが、この方法はコストと時間がかかるため、現実的ではない。本発明者らは、材料となるポリイミドフィルムから試験片をとり、水に浸漬前後の多層ポリイミドフィルムの破断強度保持率を測定した場合に80%以上となっているような材料を用いれば、クラックが発生しないことを見出した。本方法は簡単かつ低コストで行うことができ、破断強度保持率が80%以上となっている材料を用いることにより、きわめて簡単に得ることができる。
ポリイミドフィルムの水に浸漬前後の引張試験を行ったときのポリイミドフィルムの破断強度保持率80%以上であると、これを用いて金属張積層板とし、ロールツーロール式の連続的なFPC製造工程によってフレキシブル配線板を製造した場合であっても、クラックの発生が抑制されるが、破断強度保持率は好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
本発明のポリイミドフィルムは、上述のように連続的なFPCの製造に使用される材料となるので、幅広かつ長尺状のポリイミドフィルムである。そして、フィルムの両端および中央部の3点において、破断強度保持率が85%以上となっているフィルムである。このようなフィルムを用いれば、連続的なFPCの工程を経ても得られるFPCにクラックが発生しないので、FPCを効率よく生産することが可能となり、無駄を省くことができる。
本発明に係るポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層を有することが好ましい。ここでいうポリイミドは、芳香族ジアミン(以下、ジアミンともいう)と芳香族テトラカルボン酸二無水物(以下、酸二無水物ともいう)を従来公知の方法で重合してポリアミック酸を合成し、これをイミド化して得られる。
ポリイミドは芳香環あるいは芳香族複素間などの剛直な構成単位からなるため、絡み合いも少なく、一般的な高分子のように折りたたみ鎖を形成しづらい。一方でイミド環を有する分子鎖に特有な分子鎖のパッキングが起こり、その局所的な秩序性をもった分子鎖のパッキングを凝集構造と呼んでいる。そのポリイミドの凝集構造が引張試験時の破断強度保持率の向上に関係していることを本発明で見出した。凝集構造はポリイミドフィルムの製膜条件と一次構造により、制御することが可能である。
ポリイミドの製造条件では、イミド化触媒の濃度を高くする、延伸、イミド化温度を上げることによって、分子鎖が平行に並んだ充填度の高い秩序領域を形成することができる。ポリアミド酸溶液をイミド化触媒を用いた化学イミド化もしくは加熱処理による熱イミド化の過程でフィルムを長手方向または幅方向の少なくとも一方に1.05倍率〜1.5倍率で延伸することが好ましい。長手方向もしくは幅方向を延伸するのではなく、いずれの方向にも延伸するほうが、等方性が改良されるためより好ましい。イミド化温度は高ければ高いほどが良いが、500℃以上になるとポリイミドの分解が一部開始するため、500℃を超えない程度の温度で長時間加熱することが好ましい。また、一旦イミド化が完了した後に、別工程でポリイミドの熱処理をしてもよい。熱処理温度は、ポリイミドのTg以上で加熱すると生産性良く凝集構造を形成することができる。
多層ポリイミドフィルムとする場合、最外層の吸水率が低いほど、フィルム中への水の拡散を抑制できる。
多層ポリイミドフィルムに貼り合わせる銅箔は、多層ポリイミドフィルムに接触する面粗さRzは2.0μ以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましい。銅箔の面粗さが2.0μm以下の場合、多層ポリイミドフィルムが局部的に薄くなるおそれが小さく、応力集中が起こったり、フィルムが破断しすることがない。
一次構造では、剛直構造と柔軟構造を適切に組み合わせることによって、分子鎖のパッキングを形成しやすくできる。剛直構造のモノマーは例えば、パラフェニレンジアミン(以下、PDAともいう)であるが、PDAの量が多すぎると分子鎖の剛直さゆえ、分子鎖のパッキングが起こりづらい。一方、屈曲構造のモノマーは例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)、オキシジフタル酸(以下、ODPAともいう)であるが、これら屈曲性を有するモノマーが多すぎると、その柔軟さゆえ分子鎖のパッキングが起こりにくくなる。したがって、剛直構造と柔軟構造を適切に組み合わせることにより、分子鎖のパッキングを促すことが可能である。
非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用するジアミンについては特に限定されるものではないが、最終的に得られるポリイミドが凝集構造を形成する必要があるため、酸二無水物の構造に合わせて剛直構造と柔軟構造のジアミンを適切に使用することが好ましい。剛直構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ヒドロキシビフェニル、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどが挙げられる。柔軟構造を有するジアミンは例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
酸二無水物についても特に限定されるものではないが、最終的に得られるポリイミドが凝集構造を形成する必要があるため、ジアミンの構造に合わせて剛直構造と柔軟構造の酸二無水物を適切に使用することが好ましい。具体的な剛直構造としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物などが挙げられる。柔軟構造の酸二無水物は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸は、上記ジアミンと酸二無水物を有機溶媒中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。使用する有機溶媒は、ポリアミック酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。ポリアミック酸の固形分濃度は特に限定されず、5〜35重量%の範囲内であればポリイミドとした際に十分な機械強度を有するポリアミック酸が得られる。
原料であるジアミンと酸二無水物の添加順序についても特に限定されないが、原料の化学構造だけでなく、添加順序を制御することによっても、得られるポリイミドの特性を制御することが可能である。
上記ポリアミック酸には、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
また、得られる樹脂層全体としての特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂を混合しても良い。これら樹脂の添加方法としては、溶剤に可溶のものであれば上記ポリアミック酸に添加する方法が挙げられる。ポリイミドも可溶性のものであるなら、ポリイミド溶液に添加しても良い。溶剤に不溶のものであれば、上記ポリアミック酸を先にイミド化した後、溶融混練で複合化する方法が挙げられる。但し、得られるフレキシブル金属箔積層体の半田耐熱性や加熱収縮率などが悪化する可能性があるため、本発明では溶融性のあるポリイミドは使用しないことが望ましい。従って、ポリイミドと混合する樹脂は可溶性のものを用いることが望ましい。
熱可塑性ポリイミドフィルムに使用される芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物は、非熱可塑性ポリイミドフィルムに使用されるそれらと同じものが挙げられるが、熱可塑性のポリイミドとするためには、屈曲性を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。屈曲性を有するジアミンの例として、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
本発明の多層フィルムを得るには、以下の工程
i) 有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
ii)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミック酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
ii)以降の工程においては、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミック酸溶液を製膜ドープとして支持体に流涎、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミック酸溶液に、脱水閉環剤または触媒の少なくとも一つを添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。
製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるシートの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化及び/または乾燥した後、支持体から剥離してポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存転化剤及び触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するシートが得られる。加熱条件については、最終的に得られるシートの厚み、生産速度に応じて適宜設定すれば良い。
本発明においてポリイミド層を複層設ける方法としては、上記ii)工程において複数の流路を有する共押出しダイを使用して複層の樹脂層を同時に形成しても良いし、上記i)〜iv)工程まで進めて非熱可塑性ポリイミドフィルムを一旦回収した後、その上に塗工などで新たに樹脂層を形成しても良い。イミド化には非常に高い温度が必要となるため、ポリイミド以外の樹脂層を設ける場合は、熱分解を抑えるために後者の手段を採った方が好ましい。なお、塗工により熱可塑性ポリイミドフィルムを設ける場合は、熱可塑性ポリイミドの前駆体を塗布し、その後イミド化を行ってもよいし、熱可塑性ポリイミド溶液を塗布・乾燥してもよい。
また、熱可塑性ポリイミドフィルムは、上述の工程において、ポリアミック酸溶液を支持体に流延する代わりに、ポリイミド溶液を流延し、冷却することにより得てもよい。
本発明に係るフレキシブル金属箔積層体は、多層ポリイミドフィルムと金属箔から構成される。金属箔上にポリイミドを形成する手段としては、
a)上述のようにして多層フィルムを得た後、加熱加圧により金属箔を貼り合せてフレキシブル金属箔積層体を得る手段
b)金属箔上に、ポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液をキャストし、加熱により溶剤除去、イミド化を行ってフレキシブル金属箔積層体を得る手段
c)金属箔上に、ポリイミドを含有する溶融液をキャストし、冷却することによりフレキシブル金属箔積層体を得る手段
が挙げられる。このうち、ポリイミドに溶融性を持たせると、得られるフレキシブル金属箔積層体の半田耐熱性や加熱収縮率などが悪化する可能性があるため、a)もしくはb)の手段を用いることが好ましい。ポリイミドが溶剤可溶性のものであるなら、ポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液の代わりにポリイミドを含有する有機溶剤溶液を用いても良い。a)ならびにb)の詳細について、以下説明する。
a)の手段では、得られた多層フィルムに、金属箔を加熱加圧により貼り合せることにより、本発明のフレキシブル金属箔積層体が得られる。金属箔を貼り合せる手段、条件については、従来公知のものを適宜選択すればよい。
b)の手段において、金属箔上にポリアミック酸を含有する有機溶剤溶液をキャストする手段については特に限定されず、ダイコーターやコンマコーター(登録商標)、リバースコーター、ナイフコーターなどの従来公知の手段を使用できる。溶剤除去、イミド化を行うための加熱手段についても従来公知の手段を利用可能であり、例えば熱風炉、遠赤外線炉が挙げられる。
a)の手段と同様に、化学イミド化法によって加熱時間を短縮し、生産性を向上させることが出来る。しかし、イミド化の過程で脱水剤である酸無水物から酸が生成するため、金属箔の種類によっては酸化が進行してしまう場合がある。脱水剤の添加については、金属箔の種類や加熱条件に応じて適宜選択することが好ましい。
ポリイミド層を複層設ける場合、もしくはポリイミド以外の樹脂層も設ける場合は、上記キャスト、加熱工程を複数回繰り返すか、共押出しや連続キャストによりキャスト層を複層形成して一度に加熱する手段が好適に用いられ得る。
b)の手段では、イミド化が完了すると同時に、本発明のフレキシブル金属箔積層体が得られる。樹脂層の両面に金属箔層を設ける場合、加熱加圧により反対側の樹脂層面に金属箔を貼り合わせれば良い。
本発明に係る多層ポリイミドフィルム全体の厚みは7〜60μmであることが好ましい。その範囲内でも厚みが薄い方が、FPCとしての折り曲げ性が向上するので好ましい。しかし、厚みが7μmを下回ると、加工時のハンドリングが困難になる場合がある。厚みが60μmを上回ると、FPCとしての折り曲げ性が低下や薄型化が難しくなる場合がある。
本発明に係るフレキシブル金属箔積層体をロールツーロール式で回路形成したFPCを得ることが出来る。破断強度保持率80%以上でクラックが入らないように制御されているため、実工程でもクラックが入らない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例におけるポリイミドの破断強度保持率、FPC製造工程における模擬試験の評価方法は次の通りである。
(破断強度保持率の求め方)
MD方向20cm×TD方向1.5cmのポリイミドフィルムを切り取り、室温で島津製作所AGS−Jにより、引張速度200mm/分にて得られる応力−歪み曲線において、ポリイミドフィルムが破断した際の強度を破断強度TS0とする。同サイズに切り取ったポリイミドフィルムを23℃、50%RHに調湿されている環境下で、常温の蒸留水が入った容器内に入れる。このとき、フィルムはすべて蒸留水内に浸っている。1時間以上浸漬した後、容器からフィルムを取り出し、引張試験器で掴む部分の水気を10秒以内でふき取った直後、引張試験を行った。引張速度200mm/分にて得られる応力−歪み曲線において、ポリイミドフィルムが破断した際の強度を破断強度TS1とする。TS0、TS1はそれぞれ5回測定し、最も強度が高い数値を採用する。破断強度保持率は下記の通り定義する。
破断強度保持率=TS1/TS0×100
ポリイミドフィルムを切り取る際、端面が荒れると、破断強度が正確に評価できない場合があるため、カッター刃の状態には注意する。
(FPC製造工程における模擬試験)
丸、三角、四角などの回路を形成したパターンをあらかじめ形成した長尺の金属張積層板に張力60Nをかけ、45℃の5%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーで吹きつけた際のクラック発生有無を目視で観察した。クラックが発生しなかったものを合格、1つでもクラックが発生したものを不合格とした。
(非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
(合成例1)
反応系内を20℃に保った状態で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)166.3kgに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)2.63kg、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)8.10kgを添加し、窒素雰囲気下で撹拌した。ODA、BAPPが溶解したことを目視確認した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)3.59kg添加した。BTDAが溶解したことを目視確認した後、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)3.59kgを添加して、溶解したことを確認した後、30分間攪拌を行った。1,4−ジアミノベンゼン(以下、p−PDAともいう)3.56kgを添加し、溶解したことを目視確認した後、PMDA7.60kgを徐々に添加し、30分間攪拌を行った。
最後に、0.8kgのBAPPを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
(合成例2)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF244.5kgに、ODA3.22kg、m−トリジン7.96kg、PDA5.79kgを添加し、窒素雰囲気下で撹拌した。ODA、m−トリジン、p−PDAが溶解したことを目視確認した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(BPDAともいう)9.45kg、BTDA6.90kg、PMDA10.86kgを添加して、30分間攪拌を行った。BPDA、BTDA、PMDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA溶液(PMDA/DMF=0.82kg/10.54kg)を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
(合成例3)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF168.9kgに、BAPP17.96kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA1.93kg徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA7.87kgを添加し、30分間攪拌を行った。0.7kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が300ポイズに達した時点で重合を終了した。
(合成例4)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF164.0kgに、BAPP15.04kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA14.2kg徐々に添加した。続いて、BAPP3.96kg添加し、30分間攪拌を行った。0.7kgのBAPPを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が300ポイズに達した時点で重合を終了した。
(実施例1)
合成例1で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、450℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例2)
合成例1で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例4で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例3)
合成例1で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/1.0/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、300℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例4)
合成例2で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、300℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例5)
合成例1で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、300℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムをさらに350℃×10分間加熱した。
(比較例1)
合成例1で得たポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、300℃×87秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例3で得られたポリアミック酸溶液を、最終片面厚みが3.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で20秒間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmのポリイミドフィルムを得た。
実施例ならびに比較例の破断強度保持率とFPC製造工程の模擬試験結果を表1に示す。
Figure 2017177601
破断強度保持率が75%以下でFPC製造工程の模擬試験でクラックを生じるのに対し、破断強度保持率が80%以上の場合、多層ポリイミドフィルムのTPI層にのみクラックが生じ、破断強度保持率が90%以上の場合、FPC製造工程の模擬試験でクラックを生じなかった。破断強度保持率がFPC工程でのクラック発生するかどうかの判断指標となっており、さらに破断強度保持率が80%以上となるようなポリイミドフィルムの設計指針を示している。

Claims (4)

  1. 非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、水に浸漬前後の多層ポリイミドフィルムの破断強度保持率が80%以上であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
  2. 水に浸漬前の多層ポリイミドフィルムの破断強度が200MPa以上であることを特徴とする、請求項1記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. 非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸が、酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を少なくとも含み、ジアミンとしてm−トリジンまたはパラフェニレンジアミンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. 非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を金属箔上に流延し、その後、加熱処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれ1項に記載の金属張積層体の製造方法。


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