続いて、本発明の一実施形態にかかる薬剤払出システム1、メインユニット2(薬剤払出装置)、並びに、サブユニット3(薬剤払出装置)について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、薬剤払出システム1は、メインユニット2およびサブユニット3を有する。メインユニット2は、薬剤払出システム1の基幹をなすものである。また、サブユニット3は、メインユニット2に付随して使用されるものである。薬剤払出システム1は、メインユニット2とサブユニット3との間で作動する移送装置5を有する。本実施形態の薬剤払出システム1では、移送装置5がサブユニット3に組み込まれており、移送装置5によってサブユニット3側で払い出された薬剤をメインユニット2側に向けて移送できるようになっている。
さらに具体的には、図2に示すように、メインユニット2は、メイン貯留部20と、薬剤包装部21とを備え、両者を繋ぐように薬剤路22が形成されている。薬剤路22の途中は、後に詳述する薬剤待機機構部50や薬剤準備部80によって形成されている。また、図1等に示すように、メインユニット2は、メイン貯留部20とは別に手撒ユニット23を備えており、これにも処方すべき薬剤を投入することができる。すなわち、メインユニット2は、処方にあわせて薬剤を払い出し可能な薬剤払出手段として、メイン貯留部20と手撒ユニット23とを備えている。
メイン貯留部20は、図4(a)に示すように縦長の板材30を複数、周方向に並べて構成されるドラム31を有し、図4(b)に示すようにドラム31の外周面に錠剤を収容するためのカセット32を複数取り付けて構成されるものである。板材30には、カセット32を取り付けるためのカセット取付孔35や、払出通路33に連通した開口36が、カセット32の取り付け位置にあわせて、長手方向(上下方向)に複数設けられている。本実施形態で採用されているメイン貯留部20では、カセット32が、板材30の長さ方向(上下方向)に複数並べて配されていると共に、ドラム31の周方向にも複数並べて配されている。
各板材30は、上端部分がヒンジを介してドラム31の骨格をなすフレームに取り付けられている。メイン貯留部20は、メンテナンス等を行いたい場合に各板材30の下端部を上方に持ち上げることにより、各板材30を跳ね上げた状態に維持し、ドラム31を開いた状態とすることができる。
また、図4に示すように、ドラム31の内側(内周面側)には、払出通路33が設けられている。払出通路33は、カセット32から払い出された薬剤をさらに下流側に供給するための通路として機能する。さらに詳細には、板材30の裏面側、すなわちドラム31の内側に向く面には、ガイド部材37が取り付けられている。ガイド部材37は、断面形状略「コ」字型で板材30と同様に長尺状の部材である。ガイド部材37は、板材30の裏面側であって、板材30の幅方向(ドラム31の周方向)の略中央部に固定されている。これにより、ガイド部材37と板材30の裏面との間に、板材30の長手方向、すなわち上下方向に直線状に伸びる払出通路33が形成されている。
図4(b)や図5に示すように、カセット32は、モータベース40(容器装着部)と、フィーダ容器41(薬剤供給容器)とによって主要部が構成されている。モータベース40は、モータ43を備えている。モータ43の出力軸45は、モータベース40から上方に向けて突出するように取り付けられている。また、出力軸45には、ギア46が取り付けられている。さらに、モータベース40には、リーダライタ44(インターフェイス手段)が内蔵されている。リーダライタ44は、RFID(Radio Frequency Identification)と称される通信形式に対応したものであり、後に詳述するフィーダ容器41に設けられたタグ49との間で通信して、タグ49に必要なデータを読み書きすることができるものである。
フィーダ容器41は、モータベース40の上方に配されるものであり、モータベース40に対して着脱自在とされている。図5や図6に示すように、フィーダ容器41は、容器本体部41aに対して開口アタッチメント41bや蓋アタッチメント41cを装着して形成される中空の容器であり、内部に薬剤を収容可能とされている。図6に示すように、容器本体部41aの背面側、すなわちフィーダ容器41をドラム31に複数装着されたモータベース40に取り付けた際にドラム31側を向く側に開口アタッチメント41bを装着可能な開口アタッチメント装着部41dを有する。
開口アタッチメント41bは、容器本体部41aの開口アタッチメント装着部41dに装着されるものである。開口アタッチメント41bは、フィーダ容器41内に収容されている薬剤を排出するための開口47aと、タグ取付部47bとを有する。本実施形態で採用されているフィーダ容器41では、開口アタッチメント41bとして開口47aの大きさの異なるものが複数種準備されており、容器本体部41a内に収容される薬剤の大きさに応じて適したものを選択して装着できる。タグ取付部47bは、開口アタッチメント41bの下方側の部位に片持ち状に形成されている。タグ取付部47bは、開口アタッチメント41bを開口アタッチメント装着部41dに装着した際に容器本体部41aの底面に沿って並行となる。
蓋アタッチメント41cは、容器本体部41aの上端側の開口部分を閉塞するものである。蓋アタッチメント41cは、蓋部41fやクリップ部41g、ヒンジ部41hを有し、ヒンジ部41hを境として両者が折り曲げ可能なように接続されている。蓋アタッチメント41cは、クリップ部41gによって容器本体部41aの上端部に設けられた蓋アタッチメント装着部41eを挟み込むことにより装着される。フィーダ容器41は、図5や図6のように蓋部41fを起こした状態にすることで容器本体部41aを開き、図4(b)に示すように寝かした状態にすることで容器本体部41aを閉じることができる。
図4(b)に示すように、フィーダ容器41の内部には、ロータ48が配されている。ロータ48の外周部分には、上下方向に伸びる溝48aが複数、周方向に略等間隔に設けられている。ロータ48は、フィーダ容器41内において自由に回動可能とされており、回動に伴って溝48aが順次フィーダ容器41の背面側に設けられた開口47aの位置に到来する。本実施形態では、溝48aの幅の異なるロータ48が複数種準備されており、容器本体部41a内に収容される薬剤の大きさに応じて適したものを選択して装着できる。すなわち、本実施形態では、溝48aの幅(ローラ48の周方向への長さ)や深さ(ロータ48の径方向への長さ)は、容器本体部41a内に収容される薬剤が1つ分入る程度の大きさとされている。
ロータ48は、フィーダ容器41の底面側に露出したギア48bに接続されている。このギア48bは、モータベース40に対してフィーダ容器41を装着した状態とすると、モータベース40側のギア46と噛合した状態になる。そのため、ロータ48は、モータベース40側に設けられたモータ43から動力を受けると、出力軸45の回転量に応じた分だけフィーダ容器41内で回転する。従って、カセット32は、モータ43の出力軸45の回転量を調整することによって、フィーダ容器41の開口47aから払い出される薬剤の量を適宜調整できる構造になっている。
上記したようにして開口アタッチメント41bや蓋アタッチメント41cを取り付けた状態とすると、フィーダ容器41の底側となる位置にタグ取付部47bが到来する。タグ取付部47bには、タグ49(情報記録媒体)が取り付けられている。本実施形態では、タグ49として、一般的にRFID(Radio Frequency Identification)タグやRFIDチップと称されるものが採用されている。タグ49には、フィーダ容器41の識別データや、フィーダ容器41内に収容される薬剤の種類をはじめとする様々なデータを送受信したり、データの更新や書き込みを行うことができる。
また、図4(a),(c)に示すように、ドラム31の外側には、セット不良検知手段38が設けられている。セット不良検知手段38は、当接板38aとスイッチ38bとを備えている。セット不良検知手段38は、スイッチ38bがオン状態であるか否かに基づいてドラム31に対するカセット32の取り付け不良を検知可能な構成とされている。
セット不良検知手段38の構成についてさらに詳細に説明すると、当接板38aは、図4(a)に示すように長尺状の板体である。当接板38aは、ドラム31の高さ方向に沿う姿勢として配されている。当接板38aは、ヒンジ38cによりメインユニット2の筐体に片持ち状に軸支されており、ドラム31側の端部が自由端とされている。すなわち、当接板38aは、ヒンジ38cによってドラム31の接線方向に向けて揺動可能なように支持されている。また、当接板38aが揺動することによって当接板38aが当接する位置にはスイッチ38bが設けられている。スイッチ38bは、当接板38aが当接すると接点が押し動かされ、オン状態となる。
図4(c)に示すように、ドラム31に対してカセット32を取り付けた状態において、ドラム31の回転に伴ってカセット32の端部が通過して形成される軌跡Jを想定した場合、当接板38aは、この軌跡Jよりもドラム31の径方向に僅かに離れた位置に端部が到来する位置に設置されている。そのため、ドラム31に対してカセット32がしっかりと装着されておらず、ドラム31の径方向外側に向いてせり出している場合は、ドラム31の回転に伴ってカセット32が当接板38aに当接し、当接板38aがヒンジ38cを中心として揺動する。これにより、当接板38aがスイッチ38bに当たってオン状態となり、カセット32の取り付け不良が検知される。
図2や図3に示すように、上記したドラム31の下方には、薬剤待機機構部50が設けられている。図3や図7に示すように、薬剤待機機構部50は、漏斗状の待機ホッパー51と、可動蓋52と、蓋体動作機構53とにより主要部が構成されている。待機ホッパー51は薬剤待機機構部50の本体箱54に取り付けられており、可動蓋52は待機ホッパー51に取り付けられた蓋体動作機構53に装着されている。
さらに具体的に説明すると、図7に示すように、待機ホッパー51は中央部に蓋体動作機構53を配置するための機構配置部55を有し、これを取り囲む位置に複数の排出口56が設けられたものである。また、待機ホッパー51の外縁部分には、フランジ57が設けられている。待機ホッパー51は、本体箱54に対してフランジ57をネジ止めする等して固定されている。
蓋体動作機構53は、待機ホッパー51に対して可動蓋52を上下動させるために設けられたものである。蓋体動作機構53は、動力源としてモータ58と、モータ58から受けた動力によって作動する機構部60と、モータ58の動力を機構部60に伝達するための動力伝達軸61とを有する。モータ58は、本体箱54の側面に対して回転軸58aが略垂直となり、本体箱54の内側に向けて突出するように取り付けられている。
図8に示すように、機構部60は、モータ58の動力を受けて作動する駆動部60aと、駆動部60aから動力を受けて作動する従動部60bとに大別される。駆動部60aは、動力伝達軸61の先端に取り付けられた傘歯歯車60cと、これに噛合するように設けられた傘歯歯車60dとを有する。傘歯歯車60dは、動力伝達軸61に対して略垂直方向に向くように立設された回転軸60eの一端側に取り付けられている。また、回転軸60eの他端側には、駆動歯車60fが設けられており、傘歯歯車60dと一体的に回転可能とされている。そのため、動力伝達軸61を介してモータ58側から回転動力が伝達されると、駆動歯車60fが回転軸60eを中心として回動する。
一方、従動部60bは、回転筒部材60gや、従動歯車60h、カム60i、スライド軸60jを有する。回転筒部材60gは、筒状の部材であり、機構配置部55の略中央に軸心が到来するように設置されており、軸心を中心として回動自在に支持されている。従動歯車60hは、環状で外径が回転筒部材60gと略同一の外歯歯車である。従動歯車60hは、回転筒部材60gの上端部に固定されている。また、従動歯車60hは、駆動部60aに設けられた駆動歯車60fと噛合している。そのため、モータ58の動力を受けて駆動歯車60fが回動すると、駆動歯車60fに動力が伝達され、回転筒部材60gが軸心を中心として回動する。
カム60iは、いわゆる端面カムであり、端面60k側の部分が筒体をその母線に対して交差する平面Pで切断したような形状を有している。さらに具体的には、図8(b)に示すように端面60kを通る平面Pを想定し、カム60iを端面60k側が上方になるように配置した状態を基準とした場合、端面60kは、最も上方側に位置する上端部60sと、最も下方側に位置する下端部60tとを有し、両者の間が中間部60uによってなだらかに繋がった形状とされている。
カム60iは、端面60k側を上方に向けた姿勢とされ、回転筒部材60gの内側に配置されている。カム60iは、回転筒部材60gと一体化されており、回転筒部材60gに連動して回転可能とされている。スライド軸60jは、可動蓋52に接続される軸体であり、長さ方向一端側に設けられたフランジ部60mを境として小径部60pと大径部60qとに別れている。小径部60pは、フランジ部60mよりもスライド軸60jの端部側の位置にあり、他の部分よりも外径が小さい。
大径部60qは、スライド軸60jの主要部をなす部分である。スライド軸60jは、大径部60qをカム60iの内側に差し込むことにより、カム60iに対して軸線方向、すなわち上下方向に自由にスライド可能とされている。大径部60qの周面であって、大径部60qの長さ方向中間部には、ローラ60rが回動自在なように取り付けられている。ローラ60rは、スライド軸60jを大径部60q側を先頭にしてカム60iの内側に差し込んだ状態において、カム60iの端面60kに接触する。そのため、カム60iが軸心を中心として回転すると、この端面60k上においてローラ60rが転動すると共に、端面60kの起伏に応じてスライド軸60jが上下動する。
スライド軸60jは、可動蓋52の略中心に設けられた凹部66に小径部60pを差し込むと共に、フランジ部60mを可動蓋52にネジ止めすることにより、可動蓋52と一体化されている。さらに具体的には、可動蓋52は、略円形の蓋体天面52aと、この外周を取り巻く蓋体周面52bとを有する円盤状の部材である。可動蓋52の内側であって、蓋体天面52aの略中央部には凹部66が設けられている。可動蓋52は、上記したスライド軸60jの小径部60pを凹部66に差し込み、蓋体天面52aとフランジ部60mとにわたってネジを取り付けることによりスライド軸60jと一体化されている。
可動蓋52は、上記した蓋体動作機構53の作動に伴って上下動し、待機ホッパー51に設けられた各排出口56を開閉する。さらに具体的に説明すると、蓋体動作機構53は、モータ58の作動に伴って回転筒部材60gが回動すると、スライド軸60jに対してカム60iが軸心を中心として相対回転する。これに伴って、カム60iの端面60kに沿ってスライド軸60jに取り付けられたローラ60rが転道すると共に、端面60kの起伏に応じて上下動する。これにより、スライド軸60jおよびこれに一体化された可動蓋52が、カム60iに対して上下方向にスライドする。
さらに詳細に説明すると、図9(a)に示すように、カム60iの下端部60tに相当する位置にスライド軸60jの大径部60qに設けられたローラ60rが当接している場合は、スライド軸60jがカム60i内において最も下方に引っ込んだ位置にある。この場合、可動蓋52は、図10(a)に示すように機構部60の蓋体接続筒62が下がった状態にあり、蓋体周面52bの下端部が待機ホッパー51の内周面に当接した状態になる。この状態では、待機ホッパー51に設けられた各排出口56が蓋体周面52bに囲まれてせき止められた状態となっており、待機ホッパー51に投入された薬剤を溜め置くことができる。
一方、蓋体動作機構53に設けられたモータ58が作動すると、図9に矢印で示すように回転筒部材60g、並びに、これに一体化されたカム60iが回転しはじめる。それに伴い、図9(b)に示すように、ローラ60rに相当する位置に端面60kの中間部60uが到来する。ここで、上記したように、スライド軸60jは、カム60iに対して上下方向に自由にスライド可能とされている。そのため、カム60iの回転に伴ってローラ60rに相当する位置に中間部60uが差し掛かるとスライド軸60jが上方に向けて押し上げられた状態になる。これに伴い、スライド軸60jに一体的に取り付けられた可動蓋52も徐々に上方に押し上げられた状態になり、図10(b)に示すように蓋体周面52bの下端部と待機ホッパー51の内周面との間に隙間ができる。
その後、さらにカム60iが回転を続けると、図9(c),(d)に示すようにローラ60rに相当する位置に到来していた中間部60uが通過し、端面60kの高さが徐々に高くなって行き、可動蓋52もさらに押し上げられていく。これに伴い、スライド軸60jに一体的に取り付けられた可動蓋52の下端部と待機ホッパー51の内周面との隙間がさらに拡大していく。そして、やがてローラ60rに相当する位置に端面60kの上端部60sが到来するまでカム60iが回転すると、蓋体周面52bと待機ホッパー51の内周面との隙間が最大限開いた状態になり、薬剤が十分通過可能な状態、すなわち各排出口56が開いた状態になる。
上記した薬剤待機機構部50の下方には、図2に示すように収集ホッパー70が設けられている。収集ホッパー70は、薬剤待機機構部50と、後に詳述する薬剤準備部80との間をつなぐように設けられたホッパーである。
また、上記したように、メインユニット2は、手撒ユニット23を備えている。図1に示すように、手撒ユニット23は、1包分の薬剤を収容できるマス90を複数、マトリックス状に配列したものであり、メインユニット2の筐体から適宜引き出し可能とされている。手撒ユニット23は、各マス90の上方側が開放されており、適宜メインユニット2の筐体から引き出して各マス90に薬剤を1包分ずつ投入可能とされている。手撒ユニット23は、メインユニット2の筐体内に収容した状態において、底面を各マス90毎に開き、薬剤を払い出すことができる。
手撒ユニット23をメインユニット2の筐体内に収容した状態において、手撒ユニット23の下方には、手撒用ホッパー91が設けられている。手撒用ホッパー91は、手撒ユニット23の各マス90から払い出された薬剤を薬剤準備部80に供給するためのものである。
薬剤準備部80は、上記した待機ホッパー51や手撒用ホッパー91から供給されてきた薬剤を1包分ずつ溜め置いて準備し、順次さらに下流側に排出するためのものである。薬剤準備部80は、薬剤待機機構部50や手撒ユニット23の下方に配されている。図11や図12に示すように、薬剤準備部80には、円盤状の区画形成体81や、これを収容する薬剤準備部本体82、蓋83が設けられている。区画形成体81は、薬剤を溜め置くための区画81aを有する。本実施形態で採用されている区画形成体81は、周方向に複数(本実施形態では6つ)の区画81aを有する。各区画81aは、それぞれ区画形成体81の天面側が開口している。また、各区画81aには、それぞれ独立的に開閉可能なシャッター81cを有している。シャッター81cは、常時において閉状態であるが、各区画81aの側方に設けられたレバー81dが押圧されると開状態になる。
さらに具体的に説明すると、図12に示すように、各区画81aは、区画形成体81の周方向一端側の前壁部86aと、周方向他端側の後壁部86bとを有し、区画形成体81の径方向外側および内側の周壁部86c,86dとによって四方を囲まれている。前壁部86aは、区画形成体81の天面側から底面側に向かうに連れて、区画81aの内側に向かうように傾斜している。また、前壁部86aの区画形成体81の底部側の部分には段部86eが設けられている。一方、後壁部86bは、区画形成体81の天面側から底面側に向かう中途の位置まで略垂下しているが、前記した中途の位置から底面側に向かう部分については区画81aの外側に向かうように傾斜している。
シャッター81cは、板状であり、その一端側(以下、基端側とも称す)の部分が後壁部86b側であって、区画形成体81の天面側の位置において支軸86fにより揺動可能なように軸支されている。シャッター81cは、前記他端側(以下、先端側とも称す)の部分が前壁部86a側であって、区画形成体81の底面側に向く姿勢とされている。すなわち、シャッター81cは、区画81aの内部空間において、基端側から先端側に向かうに連れて下方に向けて傾斜している。シャッター81cは、基端側に設けられたバネ等の付勢手段(図示せず)によって先端側が上方に向かうように付勢されている。また、シャッター81cは、常時において先端側が前壁部86aの段部86eに突き当たった状態になっている。これにより、区画81aは、区画形成体81の底面側の部分が閉塞されている。レバー81dは、支軸86fを介してシャッター81cと一体化されている。レバー81dは、シャッター81cに対して一定の角度を維持した状態で、支軸86fを中心として回動可能とされている。レバー81dには、ローラ86gが自由に回動可能なように取り付けられている。
図11や図12に示すように、上記した区画形成体81の底面側には、径方向外側に向けて張り出したフランジ部81bが設けられている。フランジ部81bは、外周に多数の歯が設けられており、外歯歯車状とされている。区画形成体81の中央部には、区画形成体81の厚み方向、すなわち天面と底面との間を貫通するように貫通孔81eが設けられている。
薬剤準備部本体82は、上記した区画形成体81を収容可能な収容部82aを有する。収容部82aの略中央には、上方に向けて突出した支軸82bがある。収容部82aには、上記した区画形成体81が天面側が上方に向き、貫通孔81eに支軸82bが挿通された状態で装着されている。そのため、区画形成体81は、支軸82bを中心として回動自在な状態で収容部82a内に収容されている。
また、薬剤準備部本体82の内部には、駆動機構84が設けられている。駆動機構84は、モータ84aと、このモータ84aから動力を受けて回動する歯車84bとを備えている。歯車84bは、収容部82aに収容されている区画形成体81のフランジ部81bに形成された歯と噛合している。そのため、モータ84aが作動すると、動力が歯車84bを介して区画形成体81に伝わり、区画形成体81が支軸82bを中心として回動する。
図12に示すように、薬剤準備部本体82の底面側には、薬剤を払い出すための開口82cが設けられている。開口82cは、区画形成体81に設けられた各区画81aと連通可能な位置に設けられている。また、開口82cが設けられた部位に対して隣接する位置には、レバー当接体82dが設けられている。さらに具体的には、レバー当接体82dは、ブロック状であり、図13に二点鎖線で示すように上り傾斜部82e、水平部82f、下り傾斜部82gに大別される。レバー当接体82dの上面は、上り傾斜部82eおよび下り傾斜部82gにおいて傾斜しており、水平部82fにおいて略水平となっている。レバー当接体82dの上面は、上り傾斜部82eにおいて水平部82f側に向かうに連れて上方に向くように傾斜しており、下り傾斜部82gにおいて水平部82fから離れるにつれて下方に向くように傾斜している。レバー当接体82dは、上り傾斜部82eが区画形成体81の回転方向上流側に向き、下り傾斜部82gが回転方向下流側に向くように取り付けられている。
レバー当接体82dは、薬剤準備部本体82内において区画形成体81が回動した際に各区画81aの側方に設けられたレバー81dに当たる位置に設けられている。そのため、図13に示すように、区画形成体81が回動してレバー当接体82dに各レバー81dが当接すると、このレバー81dに連結されたシャッター81cが開く。さらに具体的には、区画形成体81の回転に伴ってレバー当接体82dが設けられた位置にレバー81dが到来すると、図13(a)に示すようにレバー81dの先端部分に設けられたローラ86gが上り傾斜部82eに乗り上げた状態になる。この状態でさらに区画形成体81が回転すると、図13(b)に示すようにローラ86gが上り傾斜部82e上を転がると共に、レバー81dの傾斜が略水平な状態に近づいていく。
ここで、上記したように、レバー81dは、シャッター81cと一定の角度を維持した状態で支軸86fを中心として回動可能とされている。そのため、上記したようにしてレバー81dの傾斜が変化すると、これに連動してシャッター81cも支軸86fを中心として回動し、シャッター81cの先端側が徐々に後壁部86b側に近づく。これにより、区画81aの底部が徐々に開いていく。
上記したようにして区画形成体81の回転が進行すると、やがて図13(c)に示すようにシャッター81cの開きが徐々に拡がっていく。その後、区画形成体81がさらに回転し、図13(d)に示すようにレバー81dの先端に設けられたローラ86gが到達した状態になると、シャッター81cが区画81aの後壁部86bに接触した状態になり、シャッター81cが全開になる。
シャッター81cが全開の状態からさらに区画形成体81の回転が進行し、図13(e)に示すようにローラ86gが下り傾斜部82gに差し掛かると、シャッター81cが付勢され、シャッター81cの先端側が徐々に区画81aの前壁部86a側に近づいていく。これにより、区画81aの底がシャッター81cによって徐々に閉じられた状態になっていく。そして、やがてローラ86gが下り傾斜部82gの中腹を越えた辺りに差し掛かると、図13(f)に示すようにシャッター81cの先端部が前壁部86aに設けられた段部86eに当接し、区画81aの底がシャッター81cによって閉塞された状態になる。
薬剤準備部本体82の内部には、上記したようにして区画形成体81が作動可能なように収容されている。一方、薬剤準備部本体82の底面であって、開口82cに相当する位置には、包装ホッパー85が設けられている。包装ホッパー85は、開口82cから払い出された薬剤を、後に詳述する薬剤包装部21側に向けて供給できるように取り付けられている。そのため、薬剤準備部本体82内において各区画81aが開口82cに相当する位置に到来すると、当該区画81aに対応して設けられたレバー81dが押圧されてシャッター81cが開き、当該区画81a内にある薬剤が薬剤包装部21側に向けて払い出される。
また、図11に示すように、薬剤準備部本体82の天面をなす天板82hであって、区画形成体81に対応する位置には略円形の開口82iが設けられており、これを閉塞するように蓋83が取り付けられている。蓋83には、3つの孔83a〜83cが設けられている。孔83a〜83cには、上記した収集ホッパー70や手撒用ホッパー91に加え、後に詳述するサブ収集ホッパー87を接続可能とされている。孔83a〜83cは、収容部82a内に収容されている区画形成体81の各区画81aに対応する位置に設けられている。そのため、薬剤準備部80は、薬剤準備部本体82に設けられた各区画81aに孔83a〜83cを介して薬剤を投入可能とされている。
さらに詳細に説明すると、図14に示すように、蓋83に設けられた孔83aは、収集ホッパー70が接続されるものである。図15に示すように、孔83aは、天面側から観察した状態において、薬剤準備部本体82に薬剤の払い出し用に設けられた開口82cの位置を基準として反時計回り方向(左回り方向)に区画形成体81を構成する区画81aの一つ分だけずれた位置に設けられている。すなわち、区画形成体81に設けられた一つの区画81aが開口82cと合致した位置にある状態を想定した場合、孔83aは、開口82cに相当する位置にある区画81aに対して区画形成体81の周方向に1区画分だけ反時計回り方向にずれた位置にある区画81aに薬剤を投入可能な位置に設けられている。
孔83bには、後に詳述するように、サブユニット3側から移送装置5を介して移送されてきた薬剤を薬剤準備部80に供給するためのサブ収集ホッパー87が接続されている。孔83bは、薬剤準備部本体82の開口82cを基準として、反時計回り方向に区画形成体81を構成する区画81aの二つ分だけずれた位置に設けられている。すなわち、開口82cに相当する位置に区画81aに存在する状態を基準とすると、この区画81aに対して反時計回り方向に隣接した位置にある区画81aに薬剤を投入可能な位置に設けられている。また、孔83cは、手撒用ホッパー91が接続されるものである。孔83cは、薬剤準備部本体82の開口82cを基準として、時計回り方向(右回り方向)に区画81aの3区画分だけずれた位置に設けられている。
図14に示すように、上記した薬剤準備部80の下方には、薬剤包装部21が設けられている。薬剤包装部21は、包装手段21aと搬送手段21bとに大別される。包装手段21aは、シート送り機構95と袋形成機構96と印刷ユニット99とを具備している。シート送り機構95は、ロール軸97に巻かれたシート状で長尺の熱融着性シートからなる分包紙98を繰り出して袋形成機構96に送る機構である。シート送り機構95により繰り出された分包紙98は、図14に矢印で示すように袋形成機構96を経て印刷ユニット99に至る経路で順次繰り送られ、搬送手段21bへと供給される。袋形成機構96は、シート支持部99と、ガイド部材100と、仕切形成装置101とを有し、シート送り機構95から送られた分包紙98をその短手方向(幅方向)略中央部分で2つに折り曲げると共に、折り曲げられた分包紙98を圧着して袋状にするものである。
ガイド部材100は、分包紙98の流れ方向中間部分であって、薬剤準備部本体82の底面に取り付けられた包装ホッパー85に対し、分包紙98の流れ方向上流側に設けられている。ガイド部材100は、分包紙98のガイドとしての機能に加えて、長尺状の分包紙98を幅方向略中央部で2つに折り曲げる機能も備えている。仕切形成装置101は、前記した包装ホッパー85よりも分包紙98の流れ方向下流側に配されている。仕切形成装置101は、先にガイド部材100によって2つに折り曲げられて2重になっている分包紙98の長手方向一端側(下流側)の部位を圧着して半袋状としたり、半袋状になった分包紙98の開放部分を圧着して閉じ、袋状にすることができる。
印刷ユニット99は、シート送り機構95により送り出された分包紙98に印刷を施すためのものである。図14に示すように、印刷ユニット99は、薬剤包装部21よりも分包紙98の流れ方向下流側であって、袋形成機構96よりも分包紙98の流れ方向上流側の位置に設けられている。印刷ユニット99および袋形成機構96が設けられた位置との間に存在する分包紙98の長さは、分包紙98を圧着して形成される薬袋の長さのn倍(本実施形態では3倍)とされている。
図16に示すように、搬送手段21bは、包装手段21aにおいて薬剤を包装した分包紙98をメインユニット2のフロントパネル2aやサイドパネル2bに設けられた払出口2c,2dに向けて搬送するものである。図17に示すように、搬送手段21bは、ケーシング105を有し、これに搬送機構106を設けたものである。搬送手段21bは、受入部105aと、直線部105bと、屈曲部105cとに大別される。図14や図17、図19に示すように、搬送手段21bは、受入部105aがメインユニット2の筐体内の底面側に位置し、直線部105bから屈曲部105cに至る部分が受入部105a側から斜め上方に向けて立ち上がるように設置されている。
搬送手段21bは、受入部105aから直線部105bを経て屈曲部105cに至る一連の分包紙98の搬送経路を有する。図16や図19に示すように、搬送手段21bに形成される搬送経路の各所には、駆動ローラ110が設けられている。具体的には、駆動ローラ110は、受入部105aの入口側の部分や、受入部105aと直線部105bとの境界部分近傍、直線部105bと屈曲部105cとの境界部分近傍、屈曲部105cの先端側の部分に自由に回動可能なように取り付けられている。搬送手段21bは、隣接する各駆動ローラ110,110同士の間で図示しないモータから受けた動力を伝達可能なようにベルト111が懸架されている。本実施形態では、4本のベルト111が各駆動ローラ110の長さ方向に所定の間隔を開けて取り付けられている。
受入部105aは、包装手段21aで薬剤が包装された分包紙98を受け入れると共に、斜め上方から下方に向けて送られてきた分包紙98の送り方向を斜め上方向に切り替える部分である。受入部105aには、分包紙を受け入れるための受入口107aが有り、内部にガイドローラ107bが設けられている。受入部105aは、受入口107aが包装手段21aにおいて薬剤を包装してなる一連の分包紙98を受け入れ可能な位置に配置されている。
ケーシング105は、受入部105aに相当する部分においてガイドローラ107bと、上記した駆動ローラ110やこれに懸架されているベルト111との間を分包紙98が通過可能とされている。また、受入部105aは、ガイドローラ107bに沿って湾曲しており、直線部105bに繋がっている。そのため、搬送手段21bにおいて受入口107aから受入部105aに分包紙98が入ってくると、この分包紙98がガイドローラ107bにガイドされつつ駆動ローラ110やベルト111に接触し、直線部105bに向けて分包紙98が送り出される。
受入部105aと直線部105bとの境界部分や、直線部105b、屈曲部105cには、多数の付勢ローラ112が設けられている。付勢ローラ112は、直線部105bの長手方向に、隣接するものとの間に所定の間隔を空けて配されている。また、付勢ローラ112は、駆動ローラ110やベルト111によって構成される分包紙98の搬送面Hを想定した場合に、ベルト111が若干撓む程度の付勢力で搬送面H側に向けて付勢されている。さらに、付勢ローラ112は、搬送面H側に向けて付勢されている。そのため、受入部105aを通って分包紙98が送られてくると、分包紙98は、付勢ローラ112によって搬送面H側に付勢された状態となり、駆動ローラ110やベルト111から動力を受けて下流側に向けて送られることとなる。
ここで、上記したように、搬送手段21bには多数の付勢ローラ112が設けられているが、図18(b)に示すように、受入部105a側に近い位置にある付勢ローラ112(以下、必要に応じて付勢ローラ112aとも称す)の側方には、サブローラ115aが設けられている。サブローラ115aは、分包紙98の紙送りの異常を検知するための紙送りの異常検知機構115を構成するものであり、付勢ローラ112aに対して独立的に回動可能なように取り付けられている。
図18に示すように、異常検知機構115は、上記したサブローラ115aに加え、ピンチローラ115bや、シャフト115c、ロータリーエンコーダ115dを有する。ピンチローラ115bは、サブローラ115aとの間に上記した搬送面Hを挟むように配されている。ピンチローラ115bは、シャフト115cの一端側に取り付けられており、シャフト115cと一体的に回動可能とされている。そのため、搬送面Hに沿って分包紙98が通過すると、分包紙98によって押し動かされてピンチローラ115bおよびシャフト115cが一体的に回動する。
ここで、上記したように、サブローラ115aは、付勢ローラ112aに対して独立的に回動可能とされている。そのため、仮にベルト111が作動することにより、ベルト111から動力を受けて付勢ローラ112aが回動したとしても、サブローラ115aは回動しない。そのため、サブローラ115aやピンチローラ115bは、これらの間を分包紙98が通過しない限り回動しない。
図18(b),(c)のように、ロータリーエンコーダ115dは、従来公知のものと同様にスリット115gを周方向に複数設けたエンコーダディスク115eやフォトインタラプタ115fを有している。また、エンコーダディスク115eは、上記したシャフト115cの他端側に一体的に取り付けられている。そのため、エンコーダディスク115eは、ピンチローラ115bに追従して回動する。従って、付勢ローラ112aが設けられた位置を分包紙98が通過した場合はロータリーエンコーダ115dによって回転が検知され、逆に分包紙98が紙詰まりに代表される紙送りの異常を起こしてピンチローラ115bが回動しない場合は、ロータリーエンコーダ115dにおいて回転が検知されない。
図17に示すように、屈曲部105cは、直線部105bの末端部分に設けられた駆動ローラ110の支軸110aを介して連結されており、この支軸110aを中心として直線部105bに対して屈曲させることができる。図16に示すように、屈曲部105cは、直線部105bに沿うように真っ直ぐ伸びる姿勢とすると、その先端部分がメインユニット2のサイドパネル2bに設けられた払出口2d側に向く。一方、屈曲部105cは、直線部105bに対してフロントパネル2a側に屈曲させると、その先端部分が払出口2c側に向く。
図1に示すように、メインユニット2は、上記した手撒ユニット23の側方に作業台117を有する。作業台117は、必要に応じてメインユニット2本体から引き出したり、メインユニット2本体側に押し込んで収容した状態とすることができる。図20に示すように、作業台117には、上記したカセット32を構成するフィーダ容器41を配置可能な容器配置部117aを有する。容器配置部117aは、フィーダ容器41の底面の形状にあわせて窪んだ窪み117bを有する。また、窪み117bにフィーダ容器41の底面をはめた状態とした場合に、フィーダ容器41の底面にあるタグ49と対向する位置にリーダライタ117c(インターフェイス手段)が設けられている。リーダライタ117cは、RFID(Radio Frequency Identification)と称される通信形式に対応したものであり、タグ49との間で通信して、必要なデータを読み書きすることができる。
図1に示すように、メインユニット2の正面側には、薬剤払出システム1の操作用の操作パネル118aやバーコードリーダー118b(標識読取装置)、ジャーナルプリンタ118cが設けられている。バーコードリーダー118bは、薬剤の元箱等に記されているバーコードを読み取り可能なものである。また、ジャーナルプリンタ118cは、薬剤払出システム1による薬剤の処方記録等を印字するために設けられたものである。薬剤払出システム1は、バーコードリーダー118bによってバーコードを読み取らせることにより、ドラム31を作動させ、バーコードに対応した薬剤を収容するために設けられたカセット32を正面側に到来させることができる。
図1や図2に示すように、本実施形態の薬剤払出システム1は、上記した構成のメインユニット2に対してサブユニット3を増設した構成とされている。サブユニット3は、上記したメインユニット2のメイン貯留部20と同一の構成で、薬剤を収容し適宜払い出し可能なサブ貯留部120を備えている。すなわち、サブ貯留部120は、本実施形態の薬剤払出システム1において、メインユニット2側のメイン貯留部20や手撒ユニット23と並んで薬剤払出手段を構成するものである。また、サブ貯留部120の下方には、メインユニット2側に設けられた薬剤待機機構部50と同一の構成のサブ薬剤待機部130が設けられている。また、サブ薬剤待機部130の下方には、サブホッパー135が配されており、これによりサブ薬剤待機部130から払い出された薬剤を後に詳述する移送装置5に供給できる。
サブユニット3は、サブ貯留部120に設置された多数のカセット32から処方に応じた薬剤を収容しているカセット32を選択してこれを作動させ、必要量の薬剤を払い出し可能な構成とされている。また、サブユニット3は、サブ貯留部120から払い出された薬剤を1包分ずつサブ薬剤待機部130に溜め置き、順次サブホッパー135を介して移送装置5側に払い出すことができる。
移送装置5は、サブユニットをなすサブユニット3側からメインユニットをなすメインユニット2側に向けて薬剤を移送するためのものである。図21に示すように、移送装置5は、管路140や、吸引手段141(移送手段)等を有し、管路140を中心とする各構成部材を台座144に組み付けたものである。図2に示すように、移送装置5は、メインユニット2およびサブユニット3の境界部分にある壁面4aに設けられた連通口4bに台座144が挿通され、メインユニット2およびサブユニット3にわたって橋渡しされた状態として設置されている。
移送装置5の構成についてさらに詳細に説明すると、管路140の一端側には薬剤受入部142が設けられており、他方側には薬剤払出部143が設けられている。吸引手段141は、管路140の前記他方側、すなわち薬剤払出部143側の位置に設けられた吸引手段接続部148に配管接続されている。また、吸引手段接続部148は、管路140と、吸引手段141に繋がる配管とを接続する継手としての機能を発揮するものである。そのため、移送装置5は、吸引手段141を作動させると、管路140内において薬剤受入部142側に存在する薬剤を、薬剤払出部143側に吸引することができる構成とされている。
薬剤受入部142には、薬剤を受け入れるための枡145と入口側シャッター機構146とが設けられている。図21に示すように、枡145は、天面側に開口を有し、これを介して内部にサブユニット3側に設けられたサブホッパー135を通ってきた薬剤を投入することができる。一方、枡145は、側面145bに薬剤払い出し用の開口145aを有する。そして、この開口145aに対向する位置に、入口側シャッター機構146を構成するシャッター板146aを介して管路140の一端側が配されている。
入口側シャッター機構146は、上記したシャッター板146aに加えて、これを作動させるためのモータ146bを有する。モータ146bの出力軸には、ピニオン(図示せず)が取り付けられている。一方、シャッター板146aは、矩形状に開口した矩形開口146fを有する。矩形開口146fを構成する一辺は波状であり、これによりシャッター板146aの長さ方向に伸びるラック146cが形成されている。また、シャッター板146aは、矩形開口146fに対してその長手方向に隣接する位置に開口146eを有する。開口146eは、シャッター板146aの略中央部に設けられた略円形の開口形状を有するものであり、その開口径は管路140の開口径と略合致している。
シャッター板146aは、枡145の側面145bに沿うように配されている。モータ146bは、シャッター板146aに隣接する位置に設置されている。モータ146bの出力軸に取り付けられたピニオンは、シャッター板146aの矩形開口146f内に位置しており、ラック146cと噛合している。一方、管路140の両脇に隣接する位置には、支柱150a,150aが設けられている。これらの支柱150a,150aには、上下に2つずつローラ150b,150bが回転自在に取り付けられている。シャッター板146aは、支柱150a,150aのそれぞれにおいて上下に並んで配されたローラ150b,150b間に挟まれた状態で支持されている。そのため、モータ146bの作動に伴ってピニオン(図示せず)が回転すると、シャッター板146aが枡145の側面145bに沿ってスライドする。
モータ146bの作動に伴って、枡145の開口145aとシャッター板146aの開口146eとが合致する位置までシャッター板146aがスライドすると、枡145が管路140に連通した状態になる。また逆に、図15(b)のように開口145a,146eが互いにずれた位置、すなわちシャッター板146aにおいて開口146eを介して矩形開口146fが設けられたのとは反対側の部分が枡145の開口145aに相当する位置に到来すると、開口145aがシャッター板146aによって閉塞された状態になる。
薬剤払出部143は、管路140を通って薬剤受入部142側から搬送されてきた薬剤を払い出すための部分であり、出口側シャッター機構147を有する。図23に示すように、管路140は、薬剤払出部143側の端部が閉塞されている。管路140の周面であって、設置状態において上方側に位置する部分には多数の小開口140bが設けられている。また、管路140の周面であって、小開口140bが設けられた部分に対向する位置には、払出開口140aが設けられている。
図23に示すように、出口側シャッター機構147は、ジャケット147aや、シャッター筒147b、モータ147c、歯車147dを有する。ジャケット147aは、管路140の端部に装着される一端が閉塞された筒状のジャケット本体147eと、分岐部147fとを有し、両者が連通している。ジャケット本体147eには、上記した小開口140bが分岐部147f側に向く姿勢とされ、管路140の端部が差し込まれている。また、図21に示すように、分岐部147fには、吸引手段接続部148が接続されている。
シャッター筒147bは、筒部147gと、この外周に設けられた歯車147hとを有し、これらが一体的に成型されている。筒部147gは、上記した管路140の外周とジャケット本体147eの内周との間に位置しており、両者の間で管路140の周方向に回動可能とされている。また、筒部147gには、管路140の端部に設けられた払出開口140aと同様の大きさおよび形状の開口147iが設けられている。歯車147hは、筒部147gの一端側に設けられており、ジャケット本体147eの外側に露出している。
図23に示すように、モータ147cは、管路140に沿って配されている。モータ147cの回転軸の先端に取り付けられた歯車147dは、上記したシャッター筒147bに一体的に設けられた歯車147hと噛合している。そのため、モータ147cが作動すると、管路140に対してシャッター筒147bが周方向に回動する。
シャッター筒147bを回動させ、図23(a)に示すようにシャッター筒147bに設けられた開口147iが管路140の小開口140bが設けられた側に到来した状態になると、シャッター筒147bの周面によって払出開口140aが閉塞された状態になる。そのため、この状態で吸引手段141を作動させると、小開口140bを介して管路140内の空気が吸引され、薬剤受入部142側から薬剤払出部143側に向かう気流が発生する。一方、シャッター筒147bを回動させることにより、図23(b)に示すように筒部147gに形成された開口147iとジャケット本体147eの払出開口140aとが略一致し、連通した状態になると、管路140の端部に到来した薬剤を下方に向けて払い出し可能な状態になる。なお、小開口140bは、閉塞された状態になる。
続いて、本実施形態の薬剤払出システム1の動作について詳細に説明する。薬剤払出システム1は、メインユニット2およびサブユニット3が協働することで処方にあわせた薬剤を1包分ずつ分包紙98で包装し、払い出すことができるものである。具体的には、薬剤払出システム1は、メインユニット2側に設けられたメイン貯留部20や手撒ユニット23にある薬剤や、サブユニット3側に設けられたサブ貯留部120にある薬剤を処方にあわせて1包分ずつメインユニット2側の薬剤準備部80に払い出し、これを薬剤包装部21で包装して払い出す。
さらに詳細に説明すると、薬剤払出システム1により薬剤を処方する場合において、払い出すべき薬剤がメインユニット2側のメイン貯留部20にある場合は、該当する薬剤を収容しているカセット32のモータ43が作動する。これに伴って、フィーダ容器41に収容されている薬剤が、1包分ずつ払い出される。フィーダ容器41から払い出された薬剤は、ドラム31の内側に設けられた払出通路33を通って、下方に向けて落下し、薬剤待機機構部50の待機ホッパー51に溜まる。このようにしてメインユニット2側にある薬剤であって、1包分の処方に相当するものが待機ホッパー51に集まると、蓋体動作機構53が作動し、可動蓋52が上方に持ち上げられる。これにより、可動蓋52の蓋体周面52bの下端部が待機ホッパー51の内周面から離れた状態になり、蓋体周面52bによってせき止められていた薬剤が排出口56に向けて転がり落ちる。排出口56に至った薬剤は、待機ホッパー51の下方に設けられた収集ホッパー70を介して薬剤準備部80側に払い出される。
一方、払い出すべき薬剤がメインユニット2の手撒ユニット23にある場合は、手撒ユニット23からも1包分ずつ薬剤が払い出される。手撒ユニット23から払い出された薬剤は、手撒用ホッパー91を介して薬剤準備部80側に供給される。
また、払い出すべき薬剤がサブユニット3側のサブ貯留部120にある場合は、薬剤がメインユニット2側のメイン貯留部20にある場合と同様にしてサブ貯留部120からサブ薬剤待機部130に払い出される。すなわち、サブ貯留部120側に設けられたカセット32にある薬剤を処方する場合は、上記したのと同様にしてフィーダ容器41に収容されている薬剤が1包分ずつ払い出され、サブ薬剤待機機構部130の待機ホッパー51に集まる。サブ貯留部120に設置されている各カセット32から処方すべき薬剤が薬剤待機機構部130に集まった状態になると、薬剤待機機構部130の蓋体動作機構53が作動して可動蓋52が上方に持ち上げられた状態になる。これにより、薬剤待機機構部130に集まっていた薬剤は、排出口56およびサブホッパー135を通って、移送装置5の枡145内に払い出される。
枡145に薬剤が払い出されると、薬剤受入部142近傍に設けられた入口側シャッター機構146のモータ146bが作動し、シャッター板146aがスライドすると共に、吸引手段141も作動状態とされる。また、薬剤払出部143においては、シャッター筒147bの周面によって管路140の払出開口140aが閉塞されると共に、シャッター筒147bの周面に設けられた開口147iが管路140の周面に多数設けられた小開口140bと連通した状態とされる。その後、シャッター板146aの開口146eが枡145の側面145bに設けられた開口145aと連通した状態とされると、枡145内に払い出されていた薬剤が管路140内に引き込まれる。その後、モータ146bが先とは逆方向に作動し、シャッター板146aによって枡145の開口145aが閉じられた状態になる。
上記したようにして管路140内に引き込まれた薬剤は、さらに管路140内を薬剤払出部143側に向けて移動する。薬剤が薬剤払出部143に至ると、吸引手段141が停止状態とされる。その後、薬剤払出部143近傍に設けられた出口側シャッター機構147が作動し、払出開口140aが開かれる。すなわち、モータ147cを作動させ、シャッター筒147bが周方向に回動させることにより、シャッター筒147bに設けられた開口147iと管路140の払出開口140aとが連通した状態とされる。これにより、サブユニット3側から搬送されてきた薬剤が開口140aを介してサブ収集ホッパー87に払い出される。サブ収集ホッパー87に払い出された薬剤は、薬剤準備部80に設けられた区画形成体81の区画81aに収容される。
ここで、本実施形態の薬剤払出システム1では、メイン貯留部20や手撒ユニット23、サブ貯留部120から払い出された薬剤を1包分ずつ薬剤準備部80に設けられた区画形成体81の区画81aに集め、これを纏めた後に薬剤包装部21に払い出すこととしている。また、上記したように、薬剤払出システム1では、各部から薬剤を薬剤準備部80側に向けて供給するために設けられた収集ホッパー70や、手撒用ホッパー91、サブ収集ホッパー87は、それぞれ薬剤準備部80の蓋83において周方向にずれた位置に設けられている。そのため、薬剤払出システム1では、メイン貯留部20や手撒ユニット23、サブ貯留部120から薬剤準備部80に向けて薬剤を払い出すタイミングが、それぞれ異なる。
さらに具体的に説明すると、区画形成体81に設けられた6つの区画81aは、図15(a)に「1」の符号を付して示すように孔83aに対応する位置にある区画81aを第1区画81aとした場合、他の5つの区画81aは、図15(a)に「2」〜「6」の符号を付して示すように、区画形成体81を上方から見た状態において第1区画81aを基準として反時計回り方向に並んでいる。図15(a)において符号「2」〜「6」で示す区画81aを、それぞれ第2〜第6区画81aと仮定した場合、図15(a)に示す状態(以下、第1回転状態とも称す)にある場合は、収集ホッパー70を介してメイン貯留部20から払い出すべき薬剤が供給される。これにより第1区画81aに薬剤が入った状態になると、駆動機構84が作動し、区画形成体81が反時計回り方向に60度回転する。これにより、図15(b)のように、第1区画81aが孔83bに対応する位置に到来すると共に、第6区画81aが孔83aに相当する位置に到来した状態(以下、第2回転状態とも称す)になる。
第2回転状態において、サブ貯留部120から第1区画81aに払い出すべき薬剤がある場合は、移送装置5が作動し、薬剤が供給される。また、第2回転状態において、メイン貯留部20側から第6区画81aに払い出すべき薬剤がある場合は、収集ホッパー70を介して薬剤が払い出される。このようにしてメイン貯留部20側やサブ貯留部120側から薬剤が払い出されると共に、区画形成体81が順次反時計回り方向に回転していくと、図15(c)の状態(以下、第3回転状態とも称す)に切り替わる。
第3回転状態になると、第1区画81aが手撒用ホッパー91が接続された孔83cに相当する位置に到来した状態になる。この状態において、手撒ユニット23に第1区画81aに既に払い出された薬剤と一緒に包装すべき薬剤がある場合は、これが手撒ユニット23から払い出され、手撒用ホッパー91を介して第1区画81aに払い出される。また、第3回転状態において、メイン貯留部20側から第5区画81aに払い出すべき薬剤や、サブ貯留部120側から第6区画81aに払い出すべき薬剤がある場合は、これらが収集ホッパー70や手撒用ホッパー91を介して払い出される。
上記したようにして第3回転状態において各区画81aへの薬剤の払い出しが完了すると、図15(d)の状態(以下、第4回転状態とも称す)や図15(e)の状態(以下、第5回転状態とも称す)に順次切り替わっていく。この間も、上記した第1〜第3回転状態の場合と同様に、各区画81aにメイン貯留部20やサブ貯留部120、手撒ユニット23から払い出された薬剤が投入されていく。
その後、第5回転状態において薬剤の払い出しが完了すると、駆動機構84が作動し、区画形成体81がさらに60度だけ反時計回り方向に回転する。これにより、図15(f)に示すように第1区画81aが薬剤準備部本体82の底面に設けられた開口82cに相当する位置に到来する。この際、開口82cに隣接する位置に設けられたレバー当接体82dに第1区画81aに対応する位置に設けられたレバー81dが当接し、シャッター81cが開く。これにより、区画形成体81が反時計回りに1周する間に第1区画81aに集められた薬剤が全て包装ホッパー85を経て、薬剤包装部21側に払い出される。
薬剤準備部80から薬剤包装部21に払い出された薬剤は、袋形成機構96において予め分包紙98によって袋状に半形成されている薬袋の中に収容される。その後、袋形成機構96によって薬袋が封止されると共に、シート送り機構95によってさらに分包紙98が下流側(斜め下方側)に向けて送られる。
ここで、本実施形態の薬剤払出システム1では、薬剤包装部21において薬剤準備部80から払い出された薬剤を包装する以前のタイミング(タイミングZ)で、当該薬剤等に関する所定の情報が印刷ユニット99により印刷される。さらに詳細には、上記したように、本実施形態で採用されている薬剤包装部21では、袋形成機構96と印刷ユニット99との間隔が薬袋3包分に相当する長さとされている。そこで、第1区画81aから薬剤が払い出されるタイミング(タイミングX)に対して区画形成体81が区画81aの3つ分に相当する量だけ回転するのに要する期間(期間Y)だけ前のタイミング(タイミングZ)、すなわち上記した第3回転段階において印刷ユニット99によって薬剤等に関する情報が印刷される。換言すれば、第1区画部81aから薬剤が払い出されるタイミングを基準として、第1区画部81aに対して区画形成体81の回転方向上流側に位置する3つの区画81aから薬剤を払い出すのに要する期間だけ前のタイミング(タイミングZ)において印刷ユニット99によって第1区画部81aに収容されている薬剤等に関する情報が印刷される。
上記したようにして区画形成体81が順次回転することにより、第1〜6区画81aに収容されている薬剤が順次、薬剤包装部21側に払い出されて包装されると共に、メイン貯留部20や手撒ユニット23、サブ貯留部120から第1〜6区画81aに対して薬剤が払い出される。このようにして薬剤を分包してなる分包紙98は、一連の状態で斜め下方にある搬送手段21b側に送り込まれる。搬送手段21b側に送られた分包紙98は、受入部105aに設けられた受入口107aからケーシング105の内側に侵入する。その後、メインユニット2の筐体内において斜め下方に向けて進行していた分包紙98の進行方向が、受入部105aに相当する部分におけるケーシング105の湾曲やガイドローラ107bにガイドされながら斜め上方に切り替えられる。すなわち、分包紙98の進行方向が受入部105aにおいて折り返される。
ケーシング105内に侵入した分包紙98は、ガイドローラ107bにガイドされつつ駆動ローラ110やこれに懸架されたベルト111に接触する。一方、駆動ローラ110やベルト111は、ケーシング105内に設けられたモータ(図示せず)から動力を受けて作動する。また、駆動ローラ110やベルト111に対して対向する位置には、付勢ローラ112が複数設けられている。付勢ローラ112は、ベルト111側に向けて付勢されており、ベルト111側に押しつけられた状態となっている。そのため、分包紙98が受入部105aから直線部105bに向けて送り出され、ベルト111と付勢ローラ112との間に侵入すると、分包紙98が付勢ローラ112によって駆動ローラ110やベルト111側に向けて押圧された状態になる。これにより、ベルト111から分包紙98に動力が伝達され、分包紙98が直線部105bに沿って斜め上方にある屈曲部105c側に向けて搬送される。
このようにして屈曲部105cに至った分包紙98は、引き続き屈曲部105cに沿って搬送される。ここで、上記したように、本実施形態で採用されている搬送手段21bでは、屈曲部105cを直線部105bに対して直線的に連続し、先端がサイドパネル2b側に向く姿勢とすることも、直線部105bに対してメインユニット2のフロントパネル2a側に屈曲させた姿勢とすることも可能である。そのため、屈曲部105cを直線部105bに対して直線的に連続する姿勢とした場合は、直線部105bに沿って搬送されてきた分包紙98がサイドパネル2b側に向けて直進し、払出口2dからメインユニット2の外側に取り出される。一方、屈曲部105cを屈曲させフロントパネル2a側に向けた場合は、直線部105bに沿って搬送されてきた分包紙98の搬送方向がフロントパネル2a側に振り向けられ、払出口2cから分包紙98が払い出される。
ここで、本実施形態の薬剤払出システム1では、薬剤包装部21における分包紙98の紙詰まり等の異常を異常検知機構115を用いて検知することができる。さらに具体的に説明すると、薬剤包装部21は、搬送手段21bによって分包紙98が搬送されるが、搬送手段21bやこれよりも上流側に配された包装手段21aにおいて、万が一紙送りの異常が起こるような不具合が発生すると、搬送手段21bにおける分包紙98の流れが滞ることとなる。
一方、搬送手段21bにおいて、複数設けられた付勢ローラ112のうち、分包紙98の搬送方向上流側、すなわち受入部105a側に偏在した位置にある付勢ローラ112aの脇には、これに対して独立的に回動可能なサブローラ115aがある。また、このサブローラ115aに対向する位置には、ピンチローラ115bが配されている。そのため、分包紙98が薬剤包装部21において滞りなく流れている場合は、サブローラ115aとピンチローラ115bとの間を分包紙98が通過すると共に、当該分包紙98によってピンチローラ115bが押し回されて回転することとなる。これに対し、万が一、薬剤包装部21において分包紙98の流れが途切れるようなことがあった場合は、サブローラ115aとピンチローラ115bとの間を分包紙98が通過せず、ピンチローラ115bが回転しない。よって、このピンチローラ115bが正常に回転しているか否かを、ピンチローラ115bにシャフト115cを介して接続されたロータリーエンコーダ115dで検知することにより、分包紙98の紙送りの異常の有無を検知することができる。異常検知機構115により、分包紙98の紙詰まり等の紙送りの異常が検知された場合、薬剤払出システム1は、上記した一連の動作を停止する。
また、本実施形態で採用されているメインユニット2やサブユニット3には、セット不良検知手段38が設けられており、ドラム31に対するカセット32がしっかりと装着されていない場合にこれを検知可能とされている。具体的には、カセット32が装着不良により図4(c)に示す軌跡Jからはみ出している場合は、このカセット32がドラム31の回転に伴ってセット不良検知手段38を構成する当接板38aに突き当たって当接板38aが揺動し、スイッチ38bがオン状態になる。そのため、薬剤払出システム1は、スイッチ38bがオン状態になった場合にカセット32の装着不良があるものとして上記した一連の動作を停止する。
上記したように、本実施形態の薬剤払出システム1は、メインユニット2とサブユニット3とを有し、サブユニット3側に設けられたサブ貯留部120から払い出された薬剤を移送装置5でメインユニット2側に移送することができる。そして、メインユニット2側で払い出された薬剤だけでなく、サブユニット3側で払い出された薬剤についてもメインユニット2側に設けられた薬剤包装部21において一緒に包装し、払い出すことができる。そのため、本実施形態の薬剤払出システム1によれば、サブユニット3を設けた分だけ多種多様の薬剤を取り扱うことができる。
ここで、上記したように、薬剤払出システム1は、メインユニット2だけでなくサブユニット3にも多数のカセット32が設けられている。そのため、薬剤払出システム1は、各カセット32を構成するフィーダ容器41についての固有の情報(以下、容器固有情報とも言う)を的確に管理できる構成であることが望ましい。具体的には、薬剤払出システム1では、前記した容器固有情報として、各カセット32のフィーダ容器41に収容されている薬剤の種類や量に関するデータや、各フィーダ容器41に薬剤の補充等を行った人、薬剤を補充した日時等の補充履歴に関するデータ、各カセットの使用履歴に関するデータ等をタグ49に記録できる構成であることが望ましい。また、薬剤払出システム1は、タグ49に記録されている各カセット32の容器固有情報に基づき、各フィーダ容器41に収容されている薬剤の管理を行ったり、各カセット32のメンテナンス時期を使用者に通知する等できる構成であることが望ましい。そこで、かかる要望に応えるべく、本実施形態では、図20に示すように、薬剤払出システム1の動作制御用に設けられた制御手段170と、各カセット32を構成するモータベース40に内蔵されているリーダライタ44や、作業台117に設けられたリーダライタ117cによってタグ49との間で容器固有情報を含むデータの送受信や、データの更新、書き込みを行ったり、タグ49から読み出し可能なデータ管理システム180を設け、これにより各カセット32の容器固有情報を管理することとしている。以下、データ管理システム180を用いて実施される薬剤払出システム1におけるデータ管理方法、並びに、薬剤払出システム1の動作について、薬剤の充填手順に沿って詳細に説明する。
薬剤払出システム1において、メイン貯留部20やサブ貯留部120に対する薬剤の充填は、薬剤毎に割り振られた各カセット32のフィーダ容器41を取り外して実施される。ここで、充填すべき薬剤を収容したカセット32がフィーダ容器41をユーザーが取り外しやすい場所にある場合は、そのまま取り外すことができるが、ユーザーが取り外しにくい位置に存在する場合がある。このような場合は、操作パネル118aを操作して図22(a)に示すようなカセット呼び出し用のインターフェイスを表示させ、これを介して各カセット32毎に個別に付与された番号を入力することにより、所望のカセット32のフィーダ容器41をユーザーが取り外しやすい場所に到来させることができる。また、充填すべき薬剤の種類が特定できる場合は、先ず、操作パネル118aを操作して図22(b)に示すような薬剤名呼び出し用のインターフェイスを表示させる。この状態において、充填すべき薬剤の種類を操作パネル118aを介して手動で入力したり、バーコードリーダー118bに薬剤の元箱等に付されている薬剤毎に固有のバーコードを読み取らせることで薬剤名を自動入力することができる。これにより、充填すべき薬剤が入っているカセット32のフィーダ容器41を、ユーザーが取り外しやすい場所に到来させることができる。
上記したようにしてメイン貯留部20やサブ貯留部120から取り外されたカセット32のフィーダ容器41を作業台117に設けられた窪み117bに嵌るように設置すると、フィーダ容器41の底面側に設けられたタグ49が、作業台117側に設けられたリーダライタ117cに相当する位置に到来する。これにより、タグ49と薬剤払出システム1の制御手段170との間で、リーダライタ117cを介してデータ通信可能な状態になる。また、この状態になると、メインユニット2の正面に設けられた操作パネル118aに、図22(c),(d)に示すような容器固有情報表示用のインターフェイスが表示され、容器固有情報が表示される。これにより、薬剤払出システム1の運転モードは、薬剤を処方にあわせて分包して払い出す通常運転モードから、フィーダ容器41に対して薬剤を充填するための薬剤充填モードに切り替わる。
薬剤払出システム1の運転モードが薬剤充填モードに切り替わると、リーダライタ117cを介して、作業台117上に配されたフィーダ容器41のタグ49から容器固有情報が読み出される。具体的には、フィーダ容器41の使用開始直後のようにタグ49にデータが入っていない場合を除き、タグ49には、容器固有情報として、カセット32のフィーダ容器41に収容されている薬剤の種類や量に関するデータや、各フィーダ容器41に薬剤の補充等を行った人、薬剤を補充した日時等の補充履歴に関するデータ、各カセットの使用履歴に関するデータ等が記録されている。そのため、フィーダ容器41を作業台117の窪み117bに嵌め込むと、前記した各種のデータからなる容器固有情報がリーダライタ117cを介してタグ49から薬剤払出システム1の制御手段170に向けて読み出される。このようにしてタグ49から読み出された各種データは、制御手段170により従来公知のメモリやハードディスク等からなる記録手段175に記録される。
図22(c),(d)に示すような画面表示がなされた状態になると、フィーダ容器41に対して充填する薬剤の種類や量、充填作業を行った操作者名のような情報を容器固有情報として入力可能となる。薬剤の種類の入力については、充填作業を行っている操作者が手作業で入力することが可能である。さらに、本実施形態では、メインユニット2の正面に設けられたバーコードリーダー118b(識別標識読取手段)により充填する薬剤の元箱等に記されているバーコード(識別標識)を読み取らせることにより、制御手段170において薬剤の種別を特定し、これをもって薬剤の種類を入力することも可能である。
また、薬剤の充填作業を行った操作者名についても、薬剤の種類と同様に操作者が手作業で入力可能である。さらに、本実施形態では、例えば操作者毎に割り当てられた社員証や、IDカード、指輪やリストバンドのようなものに操作者を特定する情報(操作者特定情報)が記録されたものをバーコードリーダー118bやリーダライタ117c等で読み取らせ、このデータを用いて制御手段170により操作者名が自動的に入力される構成とされている。
また、リーダライタ117cを介してフィーダ容器41の底面に設けられたタグ49が薬剤払出システム1の制御手段170とデータ通信可能な状態になると、薬剤の種類や量といったようなフィーダ容器41に収容されている薬剤に関するデータや、フィーダ容器41に対する薬剤の補充履歴に関するデータだけでなく、フィーダ容器41に設けられたロータ48aの総回転量、総回転時間といったような使用履歴に関する容器固有情報も制御手段170に読み込まれる。制御手段170は、カセット32の使用履歴に関するデータに基づき、カセット32が耐用期限やメンテナンス時期に達しているか否かを判断する。そして、カセット32が耐用期限に達していたり、メンテナンスすべき時期であることが確認されると、操作パネル118aにその旨の警告が表示される。
本実施形態の薬剤払出システム1では、上記したようにして各カセット32のフィーダ容器41に薬剤を充填してモータベース40にセットすると、モータベース40側に設けられたリーダライタ44を介してフィーダ容器41のタグ49と制御手段170とがデータ通信を行う。これにより、多数設けられたカセット32のうち、どのカセット32のフィーダ容器41に、何の薬剤が、どれだけ充填されたかといった充填記録情報が各カセット32毎に制御手段170によって把握される。その後、各カセット32における薬剤の払出履歴が、随時リーダライタ44を介してタグ49に書き込まれる。そのため、制御手段170は、各カセット32のフィーダ容器41に対して薬剤を充填した際の充填量と、タグ49に書き込まれている薬剤の払出履歴とに基づき、各カセット32のフィーダ容器41における薬剤の残量を把握することができる。さらに、薬剤払出システム1では、上記したようにして制御手段170において把握された薬剤の充填履歴や払出履歴に基づき、ある特定の薬剤がどの時期にどの程度使用されたかといったような統計情報を把握し、管理することも可能である。
上記した薬剤払出システム1は、医師や薬剤師等によって入力された処方に基づいて薬剤を処方する通常運転モードによる薬剤の分包に加えて、単体分包モードと称される運転モードにより、所定の薬剤を多数、連続的に分包する機能(予製機能)を有する。これにより、例えば解熱剤や鎮痛剤、胃薬などの頓服のように汎用的な薬剤を予め多数、分包しておくことができる。薬剤払出システム1が単体分包モードで動作する場合は、制御手段170により、メイン貯留部20やサブ貯留部120に多数設けられたカセット32から分包すべき薬剤が収容されているカセット32の有無が確認される。ここで、単体分包モードでの動作に先立ち、各カセット32のフィーダ容器41が交換された場合は、このフィーダ容器41に設けられたタグ49に記録されている容器固有情報がモータベース40に内蔵されているリーダライタ44を介して読み出される。その後、単体分包モードで分包すべき薬剤が収容されているフィーダ容器41を備えたカセット32が制御手段170によって特定され、このカセット32から薬剤が所定量ずつ払い出される。カセット32から払い出された薬剤は、薬剤包装部21で包装される。
上記したように、本実施形態の薬剤払出システム1は、データ管理システム180を有し、リーダライタ117cを介して各カセット32のフィーダ容器41毎に設けられたタグ49と制御手段170とがデータ通信可能であり、各フィーダ容器41毎に固有の容器固有情報をタグ49から読み出したり、タグ49に書き込むことができる。そのため、本実施形態の薬剤払出システム1では、容器固有情報を各フィーダ容器41毎に簡単かつ正確に管理したり更新し、把握することが可能である。
上記したように、本実施形態の薬剤払出システム1では、各カセット32のモータベース40にリーダライタ44が内蔵されており、これを介してフィーダ容器41に設けられたタグ49と非接触状態でデータ通信可能とされている。そのため、薬剤払出システム1では、フィーダ容器41をモータベース40に装着した状態においても、タグ49に記録されている薬剤の払出履歴等のデータを適宜更新し、薬剤の在庫管理等に有効利用することができる。なお、上記実施形態では、各カセット32毎にリーダライタ44を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一部又は全部のカセット32にリーダライタ44を設けない構成としてもよい。
上記実施形態では、薬剤払出システム1を構成するカセット32や作業台117にリーダライタ44,117cを設け、これを介してフィーダ容器41に設けられたタグ49にアクセスし、データを読み書き可能なものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、薬剤払出システム1とは別に設けられた装置類においてタグ49にアクセスしてデータを読み書き可能とし、これによりタグ49に書き込まれたデータをリーダライタ44,117cを介して制御手段170に読み込んで薬剤の管理等に役立てる構成としてもよい。
さらに具体的に説明すると、上記した薬剤払出システム1とは別に設けられた装置類の一例として、図24に示すようなカウンタ装置185を採用することができる。カウンタ装置185は、本体部186と容器取付部187とを有する。本体部186内には、カウンタ装置195の動作制御用の制御装置(図示せず)等が設けられている。また、本体部186の天面側には、容器配置部188と、操作パネル189とが設けられている。容器配置部188は、薬剤を受け入れるための容器を配置するための部分である。また、操作パネル189には、数量等を入力するためのテンキー189aや、動作開始用のスタートボタン189b、動作を一時停止させるための一時停止ボタン189c、動作停止用の停止ボタン189dといった動作条件や動作指令を入力するためのボタンが設けられている。これに加えて、操作パネル189には、書込ボタン189eや、メンテナンスボタン189fといったボタン類や、表示器189gが設けられている。
容器取付部187には、上記したカセット32のモータベース40に相当するものと、払出口196とが設けられている。モータベース40には、薬剤払出システム1のメイン貯留部20やサブ貯留部120から取り外したり別途用意したフィーダ容器41を装着することができ、モータベース40内にあるモータ43を作動させることにより、薬剤をフィーダ容器41から払い出し可能とされている。また、容器取付部187の内部には、モータベース40に取り付けられたフィーダ容器41から払い出された薬剤が通過する薬剤通路(図示せず)が設けられている。また、薬剤通路は、払出口196に通じている。そのため、フィーダ容器41から払い出され、薬剤通路の内部を通る薬剤は、払出口196を介して容器配置部188に向けて排出される。容器取付部187、具体的には前記した薬剤通路やモータベース40等の適所には、フィーダ容器41から払い出された薬剤の数をカウント可能な計数手段(図示せず)が設けられている。
カウンタ装置185は、計数モードや、所定量払出モードを含む複数の動作モードで動作することができる。計数モードは、モータベース40に装着されたフィーダ容器41内にある薬剤を全て払い出すことにより、内部に収容されていた薬剤の数を計数するモードである。カウンタ装置185は、モータベース40にフィーダ容器41を装着した状態でスタートボタン189bを押すことで計数モードでの動作を開始する。そして、薬剤取付部187に設けられた計数手段(図示せず)によりカウントされた薬剤の数量が表示器189gに表示される。
所定量払出モードは、モータベース40からユーザーがテンキー189aを用いて入力し、設定した数量の薬剤をモータベース40に装着されたフィーダ容器41から払い出す動作モードである。カウンタ装置185は、テンキー189aによりフィーダ容器41から払い出したい薬剤の数量(設定数量Q)を入力し、その後スタートボタン189bを押すと、所定量払出モードで動作する。カウンタ装置185は、所定量払出モードで動作を開始した後、払い出された薬剤の数量が設定数量Qに近づくと、モータベース40内に設けられたモータ43の回転が遅くなり、薬剤の払出速度が低下する。本実施形態のカウンタ装置185では、払い出された薬剤の数量が(Q−2)個になった時点で薬剤の払出速度が低下する。これにより、薬剤が誤って過剰に払い出されるのが防止されている。
カウンタ装置185は、上記した計数モードや所定量払出モードで動作した後、その動作情報をモータベース40に設けられたリーダライタ44を介してフィーダ容器41の底面に設けられたタグ49に書き込むことができる。具体的には、カウンタ装置185を計数モードで動作させた後に操作パネル189に設けられた書込ボタン189eを押すと、カウントされた薬剤の数量がタグ49に書き込まれる。また、カウンタ装置185を所定量払出モードで動作させた後に書込ボタン189eを押すと、払い出された薬剤の個数がタグ49に書き込まれる。そのため、カウンタ装置185でフィーダ容器41内にある薬剤の数量をカウントしたり薬剤を計数して取り出し、このデータをタグ49に書き込んだ後にこのフィーダ容器41を薬剤払出システム1のメイン貯留部20やサブ貯留部120にセットすれば、カウンタ装置185によってタグ49に書き込まれたデータを薬剤払出システム1の動作制御や、薬剤の管理に有効利用することができる。具体的には、上記したようにしてカウンタ装置185によってタグ49にデータが書き込まれた後、フィーダ容器41をメイン貯留部20やサブ貯留部120にセットしたり、作業台117に設けられた容器配置部117aの窪み117bにフィーダ容器41を嵌め込むことにより、タグ49に書き込まれたデータがリーダライタ44,117cを介して制御手段170に読み込まれたり、記録手段175に記録される構成とすることも可能である。かかる構成によれば、カウンタ装置185にフィーダ容器41をセットすることで得られたデータを薬剤払出システム1の動作制御や、薬剤の在庫管理等に有効利用することができる。
カウンタ装置185は、上述したように薬剤払出システム1とは別に設けられた装置類の一例であると共に、カウンタ装置185自体が薬剤を払い出す薬剤払出装置として機能する。すなわち、カウンタ装置185(薬剤払出装置)は、薬剤の貯留および払い出しを実施可能なフィーダ容器41と、このフィーダ容器41が備えるタグ49との間でデータ通信可能な制御手段(図示せず)とを備え、フィーダ容器41が着脱自在とされたものである。カウンタ装置185は、フィーダ容器41が備えるタグ49と前記した制御手段との間でフィーダ容器41に固有のデータ、具体的にはフィーダ容器41内の薬剤の数量などのデータをデータ通信することができる。従って、カウンタ装置185は、薬剤払出システム1とは別に設けられた薬剤払出装置に相当する。
また、上記したように、薬剤払出システム1は、社員証やIDカードから読み出された操作者を特定する情報(操作者情報)を読み込み、このデータを用いて誰が各カセット32のフィーダ容器41に対する薬剤の補充等を行ったかを容易かつ正確にタグ49に記録しておくことができる。なお、上記実施形態では、社員証やIDカード等のような操作者が身につけたり、操作者毎に付与されたものを利用して操作者情報を特定するものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば指紋等を用いて行う生体認証により操作者情報を特定することとしてもよい。また、上記実施形態では、操作者情報を何らかの媒体から読み込んで、このデータに基づいて操作者を特定するデータを自動的に入力可能な構成を採用したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かかる構成を備えていないものであってもよい。
薬剤払出システム1は、メイン貯留部20やサブ貯留部120から取り外されたカセット32のフィーダ容器41を作業台117の窪み117bに嵌め込み、リーダライタ117cを介してタグ49と制御手段170との間でデータ通信可能な状態になることを条件として薬剤払出システム1の運転モードが薬剤充填モードに切り替わる。すなわち、薬剤払出システム1では、フィーダ容器41を作業台117の窪み117bに嵌め込んでデータ通信可能な状態とすることが動作モード切り替えのためのトリガーとして機能している。そのため、薬剤払出システム1によれば、薬剤充填モードへの動作モードの切り替えに際して操作者が煩雑な作業をする必要がない。なお、上記実施形態では、フィーダ容器41を窪み117bに嵌め込むことで動作モードが切り替えられる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かかる構成を備えていないものであってもよい。
上記したように、薬剤払出システム1では、薬剤の元箱に記されたバーコードのような薬剤の種別毎に割り振られた識別標識を、バーコードリーダー118bのような識別標識を読み取り可能な標識読取手段で読み取って薬剤の種別を特定することができる。また、これにより特定された薬剤の種別に関する情報が、制御手段170とフィーダ容器41が備えるタグ49とのデータ通信によりタグ49に記録される。そのため、薬剤払出システム1は、薬剤充填モードで動作する際に薬剤の種類を操作者が手作業で入力する等の手間を必要とせず、その分、より一層確実に薬剤の種別に関する情報を容易かつ確実にタグ49に記録させることができる。なお、上記実施形態では、バーコードリーダー118bで薬剤毎に付与されたバーコードを読み取って薬剤の種類を特定し、この種類に関するデータを自動的に入力できる機能を備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されず、当該機能を備えていないものであってもよい。また、バーコードリーダー118bは、いわゆる一次元バーコード、二次元バーコードを含むいかなる種類のバーコードを読み取り可能なものであってもよい。さらに、上記実施形態では、薬剤の種類毎に付与されたバーコードを読み取り可能なバーコードリーダー118bを設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バーコードリーダー118bの代わりに色の組み合わせなどを利用して作成した標識類を読み取り可能なものや、RFIDタグ等に記録されている情報を読み取り可能なもの等、適宜のものを採用することができる。
上記したように、薬剤払出システム1では、フィーダ容器41を作業台117の窪み117bに配置するだけで、窪み117bに相当する位置に設けられたリーダライタ117cを介して非接触状態でデータ通信可能な状態となる。そのため、薬剤払出システム1は、例えばフィーダ容器41に配線を接続するといったような手間を要することなくタグ49と制御手段170との間でデータ通信可能とすることができ、各フィーダ容器41にかかる容器固有情報の更新や書き込み、管理等の一連の作業をスムーズに行うことができる。なお、上記実施形態では、RFIDタグやRFIDリーダライタをタグ49やリーダライタ117cに採用することにより非接触状態でタグ49に記録されている情報の読み出しやタグ49への情報の書き込みを行うことができる構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、他の形式の情報記録媒体やリーダライタを用いて情報の読み書きを行うことができるようにしてもよく、非接触形式でデータ通信できるものであっても、配線を接続する等してデータ通信するものであってもよい。
ここで、上述した実施形態の薬剤払出システム1では、各フィーダ容器41が備えるタグ49に記録されているフィーダ容器41毎に固有のデータ、具体的には収容されている薬剤の種類や量、薬剤の補充作業者名などのデータを読み書きすることができる。そのため、薬剤払出システム1は、メインユニット2のメイン貯留部20や、サブユニット3のサブ貯留部120に予め取り付けられた複数のモータベース40から適宜選択したものに対し、薬剤を充填したフィーダ容器41を取り付ければ、分包に必要な薬剤が収容されたフィーダ容器41がどこにあるかを制御手段170によって特定し、処方にあわせた種類および量の薬剤を払い出し可能な構成とすることができる。すなわち、上記した構成によれば、薬剤払出システム1は、各フィーダ容器41の取り付け位置が固定された、いわゆる固定アドレス形式の装置ではなく、フィーダ容器41を任意の位置に装着可能な、いわゆるフリーアドレス形式の装置とすることができる。
また、薬剤払出システム1は、例えば特定の性質を有する薬剤を収容するフィーダ容器41に限って、当該フィーダ容器41を取り付け可能なモータベース40が限定される、半固定アドレス形式の装置とすることも可能である。さらに詳細には、薬剤払出システム1では、多種多様の薬剤を取り扱い可能であるが、薬剤の種類によっては、フィーダ容器41から払い出される薬剤が払い出し先において跳ねやすいものや、転がりやすいもの、落下の衝撃によって割れや欠けを生じやすいものなどがある。このような特性を有する薬剤(以下、これらの薬剤を特定薬剤とも称す)を取り扱う場合は、跳ねや転がりが落ち着くであろうタイミングまで薬剤を分包するタイミングを遅らせたり、落下の衝撃を緩和するための方策を施すなどせねば分包不良が発生する可能性がある。
上述したような跳ねや転がり、割れ、欠けなどの可能性がある薬剤(特定薬剤)を収容するフィーダ容器41については、メイン貯留部20やサブ貯留部120の低い位置や、前記したような事情を解消できる構成とされた場所に取り付けられることが望ましい。そこで、このような事情がある場合は、薬剤払出システム1を前述した半固定アドレス形式の装置とすることが可能である。具体的には、薬剤払出システム1は、例えばメイン貯留部20やサブ貯留部120において図36に示すように上下方向に6段に分けて取り付けられているモータベース40に対し、上述した跳ねや転がり等が懸念される薬剤(特定薬剤)を収容したフィーダ容器41を下から2段目までの領域(以下、固定アドレス領域Fiとも称す)にあるモータベース40に取り付けるべきであると規定することができる。
また、薬剤払出システム1は、特定薬剤以外の薬剤を収容したフィーダ容器41については、固定アドレス領域Fiだけでなく、この領域Fiを外れた領域(以下、フリーアドレス領域Frとも称す)あるモータベース40に取り付けてもよいものと規定することが可能である。さらに、フリーアドレス領域Frにも取り付け可能なフィーダ容器41について、さらに2つ又はそれ以上のグループに細分化して規定することも可能である。具体的には、特定薬剤以外の薬剤であって、高所から落下させることが好ましくない薬剤を収容したフィーダ容器41について、固定アドレス領域Fiよりも上方側に2段に分けて設けられているフリーアドレス領域Fr1以下の領域に取り付けるべきであると規定し、落下による問題がないと想定される薬剤を収容したフィーダ容器41についてフリーアドレス領域Fr1よりもさらに上方側に2段設けられているフリーアドレス領域Fr2のモータベース40に取り付けられてもよい旨、規定することも可能である。このようにして各領域にあるモータベース40とフィーダ容器41との対応関係に関する規定は、図37に示すように、容器装着データベース193(対抗関係規定部)として制御装置190内の記憶手段に格納するなどして制御手段190内に構築されている。
上述したように、メイン貯留部20やサブ貯留部120に設けられた多数のモータベース40の設置領域を高さに応じて固定アドレス領域Fiやフリーアドレス領域Fr(Fr1,Fr2)のような複数の領域(容器装着領域)に分類する場合、モータベース40とフィーダ容器41との対応関係が、このフィーダ容器41に収容される薬剤の種類に応じて設定されるフィーダ容器41の取付上限となる高さにある容器装着領域との関係で規定されるものであってもよい。具体的には、各フィーダ容器41に収容される薬剤を落下させる高さ(落下高さ)と跳ねの程度との相関関係を計数化した跳ね係数や、落下高さと転がりの関係を係数化した転がり係数、割れや欠けが所定の確率以下となる落下高さなどの数値や係数の一部又は全部を考慮し、モータベース40と各フィーダ容器41との対応関係が決定されれてもよい。
本実施形態では、上述した容器装着データベース193に格納されている規定をフィーダ容器41の脱着を行う操作者が容易に識別可能なように、フィーダ容器41およびモータベース40に対応するラベルが装着され、対応づけられている。具体的には、固定アドレス領域Fiにあるモータベース40および特定薬剤を収容したフィーダ容器41には、例えば青色に着色等した特定のラベルAを付している。また、フリーアドレス領域Fr1にあるモータベース40に例えば緑色に着色等した特定のラベルBを付すと共に、フリーアドレス領域Fr1および固定アドレス領域Fiのいずれに設置してもよいフィーダ容器41にもラベルBが付されている。同様に、フリーアドレス領域Fr1にあるモータベース40には、例えば白色に着色等した特定のラベルCを付すと共に、フリーアドレス領域Fr1,Fr2および固定アドレス領域Fiのいずれに設置してもよいフィーダ容器41にもラベルCが付されている。そのため、操作者は、取り付けようとしているフィーダ容器41に付されたラベルと同一のラベルが付された領域、あるいは、これよりも下方の領域にフィーダ容器41を取り付ければ良いことが直感的に分かる。
上述したように薬剤払出システム1を前述した半固定アドレス形式の装置とする場合は、例えば上述した制御手段170に代え、図37に示す制御手段190を採用した構成とすることが可能である。以下、制御手段190を採用した薬剤払出システム1について、制御手段190の構成および動作を中心に説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、メイン貯留部20やサブ貯留部120の領域を高さに応じて固定アドレス領域Fiおよびフリーアドレス領域Frの2領域に分類した例について説明する。
制御手段190は、上述した制御手段170の機能に加え、固定アドレス領域Fi内のモータベース40にセットすべきフィーダ容器41(以下、特定フィーダ容器41xとも称す)が誤ったモータベース40に装着されていないか確認する正誤判定動作を実施する機能を備えた判定部191を有する。すなわち、制御手段190は、モータベース40にフィーダ容器41が取り付けられた際に、判定部191により正誤判定動作を実施し、取り付けられたフィーダ容器41が特定フィーダ容器41xであるか否かを判定すると共に、特定フィーダ容器41xが固定アドレス領域Fiを外れた領域(以下、フリーアドレス領域Frとも称す)、具体的には固定アドレス領域Fiよりも上方側に2段に分けて設けられているフリーアドレス領域Fr1や、これよりもさらに上方側に2段設けられているフリーアドレス領域Fr2にあるモータベース40に誤装着されていないか確認することで誤装着の有無を判定する、正誤判定動作を実施できる。以下、正誤判定動作について詳細に説明する。
(正誤判定動作)
制御手段190を備えた薬剤払出システム1では、フィーダ容器41がモータベース40に装着された際に、図38に示す制御フローに従って正誤判定動作が実施される。具体的には、誤装着判定動作が開始されると、ステップ1−1〜1−3において上述した容器装着データベース193、フィーダ容器41が取り付けられたモータベース40が存在する領域、並びに、モータベース40に取り付けられたフィーダ容器41のタグ49から読み出された薬剤の種類に基づき、判定部191が、容器装着データベース193の規定に反して誤装着されたフィーダ容器41が存在しないかを確認する。
さらに詳細に説明すると、先ずステップ1−1において、メイン貯留部20やサブ貯留部120において各モータベース40毎に設けられたリーダライタ44により、このモータベース40に装着されたフィーダ容器41が備えるタグ49と制御手段190との間でデータ通信が行われる。これにより、フィーダ容器41が取り付けられたモータベース40が固定アドレス領域Fiおよびフリーアドレス領域Frのうちいずれの領域に存在するものであるかが制御手段190によって特定される。また、これと共に、モータベース40に装着されたフィーダ容器41が特定フィーダ容器41xであるか否か、すなわちフィーダ容器41内にある薬剤が割れや欠け等が懸念される特定薬剤であるか否かが制御手段190によって確認される。その後、制御フローはステップ1−2に移行する。
制御フローがステップ1−2に移行すると、制御手段190の判定部191により、ステップ1−1で確認されたフィーダ容器41内に収容されている薬剤が割れや欠け等が懸念される特定薬剤であるか否かが確認される。ここで、薬剤が特定薬剤でない場合、この薬剤が収容されているフィーダ容器41は、固定アドレス領域Fiおよびフリーアドレス領域Frのいずれに存在するモータベース40に装着されていてもよい。そのため、ステップ1−2で薬剤の種類が特定薬剤でないと確認された場合は、制御フローがステップ1−6へと進み、取り付けられたフィーダ容器41が正常な位置に装着された状態である(正常装着状態)ものと判定され、一連の制御フローが完了する。
一方、ステップ1−2において、メイン貯留部20やサブ貯留部120に取り付けられたフィーダ容器41に収容されている薬剤が特定薬剤であると認定された場合は、制御フローがステップ1−3に移行する。ステップ1−3では、フィーダ容器41が取り付けられたモータベース40が、メイン貯留部20やサブ貯留部120の固定アドレス領域Fi内にあるものか否かが確認される。ここで、フィーダ容器41が固定アドレス領域Fi内にあるモータベース40に装着されている場合は、このフィーダ容器41内にある薬剤(特定薬剤)を払い出しても、上述した跳ねや割れ等による不具合は発生しないものと想定される。そこで、この場合は、制御フローがステップ1−6に進められ、フィーダ容器41が正常な位置に装着されているものと判定され、一連の制御フローが完了する。
これに対し、ステップ1−3でフィーダ容器41が取り付けられたモータベース40が、固定アドレス領域Fi内でなく、フリーアドレス領域Fr内にあることが確認された場合は、このフィーダ容器41から薬剤(特定薬剤)を払い出すことにより、跳ねや割れ等による不具合の発生が懸念される。そこで、この場合は、制御フローがステップ1−4に進められ、フィーダ容器41が正常な位置に装着されていない誤装着状態であるものと判定される。その後、制御フローがステップ1−5に移行し、メインユニット2の本体正面に設けられた操作パネル118aに誤装着状態であることを警告する表示がなされ、一連の制御フローが完了する。
制御手段190を備えた薬剤払出システム1では、上述した正誤判定動作による判定結果を利用し、図39に示す制御フローに従って通常運転モードによる薬剤の分包動作を実施できる。以下、正誤判定動作による判定結果を利用して実施する通常運転モードによる分包動作について説明する。
(正誤判定動作の判定結果を利用した分包動作)
制御手段190を備えた薬剤払出システム1は、分包すべき薬剤の種類や量、包数などを指定するための処方データが制御手段190に入力されると、通常運転モードでの動作を開始する。通常運転モードでの動作が開始されると、先ずステップ2−1でメイン貯留部20およびサブ貯留部120のドラムに取り付けられたモータベース40に対するフィーダ容器41の装着状態が確認される。その後、制御フローがステップ2−2に移行すると、先に入力された処方データに基づき分包すべき薬剤を収容したフィーダ容器41(以下、分包用フィーダ容器41yとも称す)がメイン貯留部20あるいはサブ貯留部120に装着されているか否かが確認される。ここで、分包用フィーダ容器41yに不足がある場合は、制御フローがステップ2−7に移行し、図40に示すようなエラー(フィーダ容器差込エラー)を示す情報が操作パネル118aに表示される。また、ステップ2−7では、分包動作が停止する。その後、制御フローは、後述するステップ2−6に移行する。
一方、ステップ2−2で分包用フィーダ容器41yが全て装着されている場合は、制御フローがステップ2−3に進む。ステップ2−3では、分包用フィーダ容器41yだけでなく、メイン貯留部20およびサブ貯留部120に装着されている全てのフィーダ容器41について誤装着がないか、上述した図38に示す制御フローに従ってが確認される。ステップ2−3において誤装着が存在すること、すなわち本来であればメイン貯留部20やサブ貯留部120において本来であれば固定アドレス領域Fiに装着すべきである跳ねや割れ等の問題が想定される特定薬剤を収容するフィーダ容器41(特定フィーダ容器41x)がフリーアドレス領域Frに装着されていることが確認された場合は、制御フローがステップ2−8に移行する。
ステップ2−8では、誤装着されているフィーダ容器41が、分包すべき薬剤を収容したもの(分包用フィーダ容器41y)であるか否かが確認される。ここで、誤装着されているフィーダ容器41が分包用フィーダ容器41yに相当する場合は、このまま薬剤の分包を継続すると、払い出された薬剤が払い出し先で跳ねたり、転がるなどして分包不良が生じたり、薬剤が割れたり欠けたりする等の不都合が発生する可能性がある。そこで、この場合は、制御フローをステップ2−10に移行させ、フリーアドレス領域Frに誤装着されているフィーダ容器41(特定フィーダ容器41x)が存在する旨のエラー(フィーダ容器誤装着エラー)を示す情報が図42に示すように操作パネル118aに表示されると共に、誤装着されたフィーダ容器41が固定アドレス領域Frに装着されるまで分包動作が停止される。
一方、ステップ2−8において誤装着されているフィーダ容器41が分包用フィーダ容器41yに該当しないと判断された場合は、一連の分包動作において誤装着されているフィーダ容器41から薬剤が払い出されることがない。そのため、仮に固定アドレス領域Fiに装着すべきフィーダ容器41が誤装着された状態で分包動作を継続しても、上述したような薬剤の跳ねや転がり、割れ、欠けなどによる問題が生じないと想定される。そこで、この場合は、ステップ2−9において、図41に示すような誤装着を解消するよう促すメッセージ(誤装着解消促進メッセージ)が操作パネル118aに表示された後、制御フローがステップ2−4に進められ、ステップ2−9で表示された誤装着解消促進メッセージを操作パネル118aに表示したまま、分包動作が継続される。
上述したステップ2−3でフィーダ容器41の誤装着がないと判断された場合や、ステップ2−8で誤装着されているフィーダ容器41が分包用フィーダ容器41yに当たらないと判断された場合は、制御フローがステップ2−4に進められる。ステップ2−4では、分包すべき薬剤が収容されている分包用フィーダ容器41yが上述したステップ2−1から進んできた一連のフローが進む間に抜き取られていないかが確認される。ここで、分包用フィーダ容器41yが抜き取られていることが確認された場合は、制御フローがステップ2−11に進み、その旨を示すエラー(フィーダ容器識別エラー)を示す情報が図43に示すように操作パネル118aに表示され、抜き取られた分包用フィーダ容器41yが再び装着されるまで分包動作を停止する。一方、ステップ2−4で分包用フィーダ容器41yが抜き取られていないと判断された場合は、制御フローがステップ2−5に進み、分包動作が行われる。その後、制御フローがステップ2−6に進み、通常運転モードによる薬剤の分包動作の開始時に入力された処方データに基づき分包すべき薬剤を全て分包したかが確認される。ここで、処方データにより分包が指示された薬剤の分包が完了していない場合は、制御フローがステップ2−2に戻される。一方、全ての薬剤の分包が完了している場合は、一連の制御フローが完了する。
上記したように、薬剤払出システム1において制御手段190を採用した場合は、図38に示す制御フローに従って正誤判定動作を行い、フィーダ容器41が本来装着すべきでない容器装着部に誤装着されているか否かを判定することができる。また、薬剤払出システム1では、図39の制御フローに示すように、フィーダ容器41が誤装着されている場合であっても、この誤装着されているフィーダ容器41が分包すべき薬剤を収容したもの(分包用フィーダ容器41y)に相当しない場合は、薬剤を分包する上で支障がないため、薬剤の払い出しを継続することとし、薬剤の払い出しおよび分包動作の作業効率を向上させている。その一方で、誤装着されている分包用フィーダ容器41yが、上述した跳ねや割れ等の問題の発生が懸念される薬剤を収容したものである場合は、薬剤の払い出しおよび分包を停止することとしている。そのため、薬剤払出システム1を上述したような構成とすれば、誤装着されたフィーダ容器41が存在する場合であっても、作業効率の低下を最小限に抑制しつつ、薬剤の跳ねや割れ等の問題に起因する分包不良を防止することができる。
上記実施形態で示した例では、フィーダ容器41を装着可能なモータベース40が、上下方向に多段に分けて設けられており、高さに応じて固定アドレス領域Fiおよびフリーアドレス領域Frの2段階の領域(容器装着領域)に規定されている。また、容器装着データベース193には、モータベース40とこれに取り付けるべきフィーダ容器41との対応関係が、薬剤の種類に応じて設定されるフィーダ容器41の取付上限となる高さにある容器装着領域との関係で規定されている。すなわち、跳ねや割れなどの問題が想定される特定薬剤を収容したフィーダ容器41の取付上限となる領域は、固定アドレス領域Fiと規定されている。また、跳ねや割れなどの問題が比較的少ない薬剤を収容したフィーダ容器41の取付上限となる領域は、フリーアドレス領域Frと規定されている。
しかし、容器装着データベース193に規定されているフィーダ容器41の取付上限となる高さにある容器装着領域との関係についての規定(分類)は上述したものに限定される訳ではなく、上下方向に多段に分けてモータベース40が設けられた領域を、高さに応じてさらに多段階に分けて規定してもよい。具体的には、上述したように、フリーアドレス領域Frをさらに2領域Fr1,Fr2に分類し、全体として3段階に分類してもよく、さらに多段階に分類してもよい。この場合、容器装着データベース193に、モータベース40とこれに取り付けるべきフィーダ容器41との対応関係が、薬剤の種類に応じて設定される薬剤供給容器の取付上限となる高さにある領域(容器装着領域)との関係で規定し、取付上限となる高さにある容器装着領域を越えて上方に位置する容器装着領域のモータベース40にフィーダ容器41が装着されている場合に正誤判定動作により誤装着状態であるものと判定され、前記した取付上限以下の高さにある容器装着領域に位置する容器装着領域のモータベース40にフィーダ容器41が装着されている場合に、正誤判定動作により正常装着状態であるものと判定される構成とすることにより、より一層細分化してフィーダ容器41の取付状態を管理することができる。
上述したフィーダ容器41の取付上限となる高さ(容器装着領域)については、薬剤を落下させた場合の跳ねや転がり、割れ、欠けを薬剤の種類毎に係数化したものや、薬剤毎に階級分けしたものを基準に予め設定しておいたり、これらの係数や階級に応じて取付上限となる高さ(容器装着領域)を制御手段190によって逐次決定する構成としてもよい。
上記した薬剤払出システム1は、図37に二点鎖線で示すように、制御手段190による正誤判定動作により誤装着と判定されたフィーダ容器41を装着すべきモータベース40を検索し選定する検索機能を持つ検索部192を設けた構成としてもよい。具体的には、正誤判定動作により誤装着と判定されたフィーダ容器41を取り外してメインユニット2側の作業台117に設けられた作業台117aの窪み117bに嵌め込むことでフィーダ容器41に取り付けられたタグ49とリーダライタ117cとの間でデータ通信するなどしてタグ49に記録されている情報を読み出して検索条件を設定し、このフィーダ容器41を装着するのに適したモータベース40を検索部192によって検索し、選定する構成としてもよい。また、検索条件については、図44に示すように操作パネル118aなどに適宜表示される構成とすることが好ましい。一方、タグ49とリーダライタ117cとの間でのデータ通信により誤装着されているフィーダ容器41の情報を読み出して検索条件を設定する代わりに、操作者が操作パネル118aを介して手動で検索条件を入力し、これに基づいて検索部192で検索する構成としてもよい。この場合、例えば図44に示すような検索条件の設定画面を操作パネル118aに表示するなどして、適宜入力可能とすることが好ましい。
また、上述したようにして誤装着されたフィーダ容器41を装着するのに適したモータベース40の位置を検索した場合は、操作者がフィーダ容器41の着脱を行うことができる場所(着脱作業位置)に選定されたモータベース40が到来するようにメイン貯留部20やサブ貯留部120を作動させることとしてもよい。かかる構成によれば、誤装着されたフィーダ容器41の着脱作業がより一層容易となる。
上記したように、本実施形態では、メインユニット2とサブユニット3とを組み合わせて薬剤払出システム1を構築しており、メイン貯留部20だけでなくサブ貯留部120にも多数のカセット32を備えている。そのため、薬剤払出システム1を構築する場合は、上記実施形態のようにして各カセット32のフィーダ容器41に関する容器固有情報の読み書きや管理を行うことが望ましい。なお、上記実施形態では、メインユニット2とサブユニット3とを組み合わせて薬剤払出システム1を構築した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メインユニット2に相当するもののみを薬剤払出装置として利用する場合にも容器固有情報の読み書きや管理を的確に行うことができる。
薬剤払出システム1では、サブユニット3側に薬剤包装部21を必要としない。そのため、薬剤払出システム1では、メインユニット2に相当するものを複数設ける場合に比べて、装置構成をコンパクト化したり、設置面積を最小限に抑制することが可能である。また、薬剤払出システム1のような構成を採用すれば、サブユニット3側において薬剤包装部21に相当するものを省略できる分だけサブユニット3側に多種、多量の薬剤を収容可能な構成とすることも可能である。さらに、薬剤払出システム1は、サブユニット3側に薬剤包装部21に相当する構成を必要としない分だけ、装置構成が簡略化したり、メンテナンスの手間を最小限に抑制することも可能である。
薬剤払出システム1で採用されている移送装置5は、薬剤を移送するための管路140を有し、これに投入された薬剤を吸引するものであるため、サブユニット3側で払い出された薬剤をメインユニット2側に向けてスムーズに搬送することができる。また、移送装置5は、薬剤を吸引して搬送するものであるため、管路140を適宜屈曲させることにより任意の搬送経路で薬剤を搬送できる。そのため、薬剤払出システム1は、メインユニット2およびサブユニット3の装置構成やレイアウトの自由度が高い。
なお、上記した移送装置5は、管路140に繋がる薬剤受入部142の枡145に投入された薬剤を薬剤払出部143側に吸引して移送するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、薬剤受入部142側から薬剤払出部143側に向けて圧送して移送するものであってもよい。また、移送装置5は、管路140を1系統だけ備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の管路140を備えた多系統の搬送経路をもつものであってもよい。
本実施形態の薬剤払出システム1は、メイン貯留部20やサブ貯留部120にセットされる各カセット32にタグ49が取り付けられており、作業台117に設けられたリーダライタ117cによってタグ49との間でデータの送受信を行ったり、データの更新や書き込みを行うことができるようになっている。そのため、薬剤払出システム1は、タグ49に各カセット32に収容されている薬剤の種類や量に関するデータや、各カセット32に薬剤の補充等を行った人や補充した日時等の補充履歴に関するデータ、各カセット32の使用履歴に関するデータ等、様々なデータを記録等することができる。また、タグ49に記録されているデータに基づき、各カセット32に収容されている薬剤の管理を行ったり、各カセット32自身のメンテナンス時期を使用者に通知する等することも可能である。
なお、上記実施形態では、各カセット32のフィーダ容器41にタグ49を取り付けると共に、全てのモータベース40や作業台117にリーダライタ44,117cを設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、薬剤払出システム1は、全てのカセット32がタグ49を持たず、一部又は全部のモータベース40がリーダライタ44を持たない構成であってもよい。同様に、薬剤払出システム1は、リーダライタ117cを備えていないものであってもよい。また、薬剤払出システム1は、例えば薬剤の量等を管理すべき一部のカセット32だけがタグ49を備えた構成であってもよい。
上記したように、カセット32のフィーダ容器41は、開口アタッチメント41bを適宜交換することにより、内部に収容される薬剤の大きさに応じて薬剤払い出し用の開口47の大きさを調整することができる。また、フィーダ容器41は、ロータ48についても、溝48aの大きさが内部に収容される薬剤の大きさに適したものに適宜交換可能とされている。そのため、カセット32は、適宜開口アタッチメント41bやロータ48を交換することにより、様々な大きさの薬剤に対応することができる。
なお、上記実施形態では、フィーダ容器41を開口アタッチメント41bやロータ48を薬剤の大きさに応じて適宜交換可能なものとした例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、従来公知のものと同様にフィーダ容器41に一定の大きさの開口47aを設けたものとしたり、ロータ48を交換不可能なものとしてもよい。
また、薬剤払出システム1では、袋形成機構96と印刷ユニット99との間に薬袋n包(本実施形態では3包)分に相当する長さの分包紙98が存在することを考慮し、薬剤準備部80において区画81aから開口82cを介して薬剤が払い出されるタイミング(タイミングX)に対して、区画形成体81が区画81aのn個(本実施形態では3個)分に相当する量だけ回転するのに要する期間(期間Y)だけ前の時点(タイミングZ)において印刷ユニット99によって薬剤等に関する情報が印刷される。また、分包紙98への印刷のタイミングZ以前のタイミングで、メイン貯留部20やサブ貯留部120から払い出された薬剤が区画81aに投入されている。すなわち、薬剤払出システム1では、メイン貯留部20やサブ貯留部120、手撒ユニット23から薬剤準備部80に薬剤が投入されたことを条件として分包紙98への印刷がなされるため、薬剤準備部80への薬剤の払い出し不良が起こった場合には分包紙98への印刷がなされない。そのため、薬剤払出システム1では、分包紙98に対する印刷の有無を確認するだけでメイン貯留部20やサブ貯留部120、手撒ユニット23から薬剤準備部80に対する薬剤の払い出し不良の有無を容易かつ的確に監査することができる。また、上記したような構成によれば、分包紙98に分包する薬剤が不足したり存在しない場合、不必要な印刷が分包紙98に施されることがなく、その分だけ分包紙98の無駄が生じるのを防止できる。
上記実施形態では、タイミングZ以前のタイミングにおいて、薬剤払出手段を構成するメイン貯留部20やサブ貯留部120、手撒ユニット23の全てから薬剤が払い出され、これが各区画81aに投入される構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、薬剤払出手段を構成するメイン貯留部20やサブ貯留部120、手撒ユニット23のうち、一部をなすものから払い出される薬剤について、タイミングZよりも後のタイミングで各区画81aに払い出される構成としてもよい。さらに詳細には、例えば手撒ユニット23は、ユーザー自身の手で投入した薬剤を分包するために設けられたものであるため、手撒ユニット23から各区画81aへの薬剤の投入不良は起こりにくいものと考えられる。そのため、このような事情がある場合は、薬剤払出手段を構成するもののうちの一部を構成するものにおいて薬剤を払い出すタイミングが、上記したタイミングZよりも後になってもよい。
上記実施形態にかかる薬剤払出システム1は、薬剤準備部80の区画形成体81として複数の区画81aが周方向に並んだ円形のものを採用し、区画形成体81を開口82cに対して相対回転させることで各区画81aから薬剤を払い出すものである。そのため、上記した構成によれば、区画形成体81の作動に要するスペースが最小限で済み、装置構成をコンパクト化することができる。なお、薬剤準備部80は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば区画形成体81を複数の区画81aが直線的に並んだものとし、これを開口82cに対して直線移動させることで各区画81aから順次薬剤を払い出す構成としてもよい。
また、上記したように薬剤払出システム1は、メインユニット2やサブユニット3にセット不良検知手段38を有する。セット不良検知手段38は、従来公知の光学式のセンサのようなものではなく、ドラム31の回転に伴ってカセット32が当接板38aに突き当たって当接板38aが揺動した場合にスイッチ38bがオン状態になる、いわば機械式の構成を採用したものである。そのため、上記したセット不良検知手段38によれば、光学式のセンサを採用した場合のようにホコリ等の影響を受けることなくカセット32の取付不良を的確に検知することができる。
なお、薬剤払出システム1は、メインユニット2およびサブユニット3の双方に機械式のセット不良検知手段38を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方にのみセット不良検知手段38を設けた構成としたり、セット不良検知手段38と、光学式のセンサのような従来公知の検知手段とを併用した構成としてもよい。
薬剤払出システム1は、薬剤包装部21の搬送手段21bに異常検知機構115が設けられており、これにより分包紙98の紙詰まり等に代表される紙送りの異常を検知することができる。すなわち、上記実施形態で示した異常検知手段115は、搬送手段21bに対して独立的に回転可能なピンチローラ115bを有し、このピンチローラ115bの回転が搬送手段21bの作動中にロータリーエンコーダ115dで検知されるか否かで紙送り不良の有無を検知可能とされている。そのため、本発明の薬剤払出システム1では、分包紙98の紙送り不良の発生に伴い分包紙98や薬剤の無駄が発生するのを最小限に抑制することができる。なお、上記実施形態では、薬剤包装部21における紙送りの異常をできる限り早期に検知可能とすべく、異常検知機構115を搬送手段21bを構成するケーシング105の直線部105bであって、分包紙98の送り方向上流側に偏在した位置に設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これよりも下流側の位置に設けた構成としてもよい。
上記実施形態において、薬剤包装部21は、搬送手段21bを構成するケーシング105の末端部分に位置する屈曲部105cを直線部105bに対して適宜屈曲させることができる。そのため、薬剤払出システム1では、メインユニット2の払出口2c,2dのいずれか都合の良い方から薬剤を包装した分包紙98を取り出すことができる。なお、上記した搬送手段21bは、屈曲部105cを適宜屈曲させることが可能なものであったが、屈曲部105cに相当するものを持たない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、メインユニット2とサブユニット3とを組み合わせて薬剤払出システム1を構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メインユニット2単体で使用されるものであってもよい。
上記した薬剤払出システム1は、メインユニット2およびサブユニット3に加えて、別途移送装置5を用意して両者の間を橋渡すように設置した構成としてもよいが、サブユニット3を予め移送装置5を組み込んだものとし、これを必要に応じてメインユニット2に対して接続して増設するものとしてもよい。すなわち、サブユニット3は、移送装置5を構成の一部として備えたものであっても、移送装置5を備えないものであってもよい。
上記実施形態では、サブユニット3側において払い出された薬剤を吸引して移送するタイプの移送装置5を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図25に示す移送装置210のようなものを採用したものであってもよい。
さらに具体的に説明すると、移送装置210は、支持部220と駆動部230とに大別される。図25に示すように、支持部220は、支持軸221と、ベース部222とを有する。支持軸221は、端部に設けられたフランジ223を有し、これをネジ止めすることで略鉛直に立設することができる。ベース部222は、駆動部230を旋回させるための旋回手段としての機能を有し、支持軸221の他端側に設けられている。ベース部222は、旋回駆動モータ225や旋回駆動ギア226、座板227を有する。座板227は、図25に示すように支持軸221を立設した状態において水平となる板体である。また、旋回駆動モータ225は、その回転軸が座板227の下面側から貫通して略垂直に立ち上がるように取り付けられている。旋回駆動ギア226は、座板227の上面側において旋回駆動モータ225の回転軸に接続されている。
図25に示すように、駆動部230は、2組の薬剤受渡ユニット231(薬剤受渡部)と、これを下方から支持する支持板232とを有する。また、支持板232の略中央には旋回軸234が立設されている。旋回軸234は、支持板232から略垂下しており、その下端部がベース部222の座板227に回転自在に支持されている。旋回軸234の下端側には、旋回従動ギア234aが一体的に取り付けられている。旋回従動ギア234aは、ベース部222側の旋回駆動ギア226と噛合している。そのため、ベース部222に設けられた旋回駆動モータ225が作動すると、これに連動して支持板232やこれに取り付けられた薬剤受渡ユニット231が旋回軸234を中心として一体的に旋回する。
薬剤受渡ユニット231,231は、共に長尺状であり、それぞれの底面側に取り付けられた板状の支持板により両者が平行となるように支持されている。薬剤受渡ユニット231は、摺動ベース235と、第1,2摺動部236,237とを備えている。摺動ベース235、並びに、第1,2摺動部236,237は、いずれも長尺体であり、それぞれ略同一の長さとされている。摺動ベース235は、上記したベース部222の座板227上に固定されている。本実施形態では、図25に示すように、2組の薬剤受渡ユニット231,231の摺動ベース235,235が座板227上に略平行に並べた状態で固定されている。
図25〜図28に示すように、第1摺動体236は、摺動ベース235の上方に被さるように装着されており、摺動ベース235に対して長手方向にスライド可能とされている。また、第2摺動体237は、第1摺動体236の上方に被さるように装着されており、第1摺動体236に対して長手方向にスライド可能とされている。そのため、薬剤受渡ユニット231は、摺動ベース235を基準として第1摺動体236や第2摺動体237を順次長手方向にスライドさせ、摺動ベース235から離反する方向に引き出していくと、図25〜図27に示すようにその全長を伸ばした状態とすることができる。また、図25〜図27に示すように伸張した状態から第1,2摺動部236,237をそれぞれ摺動ベース235側に向けてスライドさせると、順次その全長が縮んでいき、摺動ベース235の全長程度まで収縮させることができる。
さらに詳細に説明すると、図29に示すように、摺動ベース235は、天部235aと、天部235aの幅方向両脇に設けられた側部235b,235bと、側部235b,235bに連続し、天部235aに対して平行な底部235c,235cとを有する。側部235b,235bは、天部235aや底部235cに対して傾斜しており、天部235a側から底部235c側に向かうにつれて幅方向外側に向けて直線的に膨出している。側部235b,235bには、それぞれガイドローラ235dが一つずつ、側部235b,235bに対して略垂直に立設された軸を中心として回動自在なように取り付けられている。
図29(b)に示すように、摺動ベース235は、天部235aの裏面(下方)側に駆動モータ235eを有する。駆動モータ235eの回転軸には、プーリ235fが取り付けられている。また、天部235aの裏面側であって、摺動ベース235の長手方向一端側(以下、必要に応じて先端側とも称す)に相当する位置には、天部235aに対して略垂直な軸235gの一端側に取り付けられた駆動プーリ235hが設けられている。駆動プーリ235hは、プーリ235fとの間に懸架された駆動ベルト235iを介して駆動モータ235eから動力を受けて軸235gと一体的に回動可能とされている。また、軸235gは、摺動ベース235の天部235aを略垂直に貫通している。軸235gの他端側、すなわち天部235aの表面側に突出した部分には、図29(a)のように駆動ギア235jが取り付けられている。そのため、駆動モータ235eが作動すると、この回転動力が伝達されて駆動ギア235jが軸235gを中心として回動する。
摺動ベース235は、天部235aの先端側であって、一方の側部235b側に偏在した位置にベルト固定部材235kを有する。ベルト固定部材235kは、天部235aの表面(上方)側において立設されており、後に詳述するタイミングベルト248を把持した状態で固定することができる。
図30に示すように、第1摺動体236は、本体239に対してガイドレール238や従動ラックギア241、プーリ242,243、スライド部材244、ガイドローラ245を組み付けた構成とされている。具体的には、本体239は、天部236aと側部236b,236cとを有する。天部236aは長尺で平板状の部分であり、その幅方向両端部に側部236b,236cがある。側部236b,236cは、天部236aの全長にわたって設けられており、それぞれ天部236aから離れるほど幅方向外側に向けて直線的に膨出している。すなわち、側部236b,236cは、互いに対向し、天部236aの裏面(下方)側においてハの字型に拡がっている。天部236には、本体239の長手方向に向けて伸びる開口236dが設けられている。
側部236b,236cの内側には、ガイドレール238,238が側部236b,236cの全長にわたって設けられている。図28に示すように、ガイドレール238,238には、摺動ベース235の側部235b,235bに設けられたガイドローラ235d,235dが嵌め込まれている。これにより、ガイドローラ235d,235dが、ガイドレール238,238に案内されて直線的に移動可能とされている。また、図28や図30のように、側部236bの内側であって、ガイドレール238に対して上方側(天部236a側)にずれた位置には、従動ラックギア241が側部236bの全長にわたって設けられている。図26や図28に示すように、従動ラックギア241は、薬剤受渡ユニット231の組み立て状態において、摺動ベース235の天部235aに設けられた駆動ギア235jと噛合している。
一方、第1摺動体236において、側部236cの内側であって、ガイドレール238に対して上方側(天部236a側)にずれた位置には、プーリブラケット246,247が設けられており、これらにプーリ242,243が設けられている。プーリブラケット246は、第1摺動体236の一端側(以下、必要に応じて先端側とも称す)に偏在した位置に設けられており、プーリブラケット247は他端側(以下、必要に応じて基端側とも称す)に偏在した位置に設けられている。プーリ242,243は、いずれも天部236aに対して略垂直方向に伸び、プーリブラケット246,247に固定された軸を中心として回動自在に支持されている。また、プーリ242,243間には、タイミングベルト248が懸架されている。このタイミングベルト248は、図26等に示すように、上記した摺動ベース235に設けられたベルト固定部材235kに挟まれ、固定されている。
スライド部材244は、ベルト固定部244aと、摺動体固定部244bとを有する。スライド部材244は、ベルト固定部244aにおいてタイミングベルト248を挟み込むことにより、タイミングベルト248に対して固定されている。また、摺動体固定部244bは、第1摺動体236の開口236dから天部236aの表面側(上方側)に露出しており、開口236dに沿って第1摺動体236の長手方向に向けて直線的にスライド可能とされている。摺動体固定部244bは、後に詳述する第2摺動体237の天部237aにネジ等により固定されている。
第2摺動体237は、薬剤の受け渡しを行うために設けられたものであり、図26や図27に示すように第1摺動体236の上方に被さるように配されている。第2摺動体237の長手方向一端側(以下、必要に応じて基端側とも称す)には、第1摺動体237のスライド部材244がネジ等により固定されている。そのため、第2摺動体237は、スライド部材244を介して第1摺動体236と連結された状態になっている。
図28や図31に示すように、第2摺動体237は、天部237aや側部237b,237cに加え、薬剤収容部237dを備えている。天部237aは、長尺で平板状の部分であり、その幅方向両端部に側部237b,237cがある。側部237b,237cは、互いに対向している。側部237b,237cは、それぞれ天部236a側から中間までの間の部分が天部236aから離れるほど天部237aの幅方向外側に向けて直線的に膨出しており、当該部位にガイドレール250,251が設けられている。ガイドレール250,251は、それぞれ第2摺動体237の長手方向に沿って、直線的に伸びている。図28に示すように、ガイドレール250,251には、第1摺動体236の側部236b,236cに設けられたガイドローラ245,245が嵌め込まれている。そのため、第2摺動体237は、第1摺動体236の長さ方向に相対移動することができる。また、上記したように、第2摺動体237は、スライド部材244を介して第1摺動体236と連結されている。従って、第2摺動体237は、スライド部材244がスライド移動するのに連動して第1摺動体236に対して直線移動する。
薬剤収容部237dは、第2摺動体237の長手方向一端側(以下、必要に応じて先端側とも称す)に設けられている。薬剤収容部237dは、天部237aに開口を有する枡状の部分である。薬剤収容部237dの底面は、シャッター255により閉塞されている。シャッター255は、第2摺動体237の長手方向にスライド自在に取り付けられている。薬剤収容部237dは、シャッター255を開くことにより、内部に収容されている薬剤を下方に向けて排出することができる。
続いて、移送装置210の動作について、詳細に説明する。移送装置210は、支持部220に設けられた旋回駆動モータ225を作動させることにより、各薬剤受渡ユニット231を旋回軸234を中心として旋回させることができる。また、移送装置210は、各薬剤受渡ユニット231に設けられた駆動モータ235eを作動させることにより、図25(a)に示すように摺動ベース235および第1,2摺動体236,237が直線的に伸びきった状態(以下、伸張状態とも称す)としたり、図25(b)に示すように第1,2摺動体236,237が摺動ベース235側に引っ込んで全長が縮んだ状態(以下、収縮状態とも称す)とすることができる。
駆動モータ235eの作動に伴う薬剤受渡ユニット231の動作についてさらに詳細に説明すると、移送装置210が図25(b)に示すように収縮状態である場合に駆動モータ235eが作動すると、この動力が摺動ベース235において天部235aの裏面側に設けられた駆動ベルト235iを介して駆動プーリ235hに伝達し、これが軸235gと共に回動する。これに伴い、天部235aの表面側において軸235gに取り付けられた駆動ギア235jも回動する。天部235aを上方から見た状態において、駆動ギア235jが軸235gを中心として反時計回り方向に回動すると、駆動ギア235jに噛合している第1摺動体236の従動ラックギア241が摺動ベース235の基端側から先端側に向かう方向に向けて直線的に送り出される。これにより、従動ラックギア241と共に第1摺動体236全体が、摺動ベース235の基端側から先端側に向けてスライドする。
ここで、上記したように、第1摺動体236においてプーリ242,243間に懸架されたタイミングベルト248は、摺動ベース235の天部235aに立設されたベルト固定部材235kによって固定されている。また、タイミングベルト248には、スライド部材244が固定されており、スライド部材244とタイミングベルト248とが一体的に動作する構成とされている。また、移送装置210が収縮状態にある場合は、スライド部材244が第1摺動体236の基端側、すなわちプーリ242側に偏在している。一方、ベルト固定部材235kは、第1摺動体236の先端側、すなわちプーリ243側に偏在した位置にある。すなわち、ベルト固定部材235kとスライド部材244は、タイミングベルト248を挟んで斜交い(対角)の位置関係にある。そのため、第1摺動体236が摺動ベース235の基端側から先端側に向けてスライドすると、これに伴ってプーリ242がベルト固定部材235k側に近づく。一方、スライド部材244は、タイミングベルト248を挟んでベルト固定部材235kと斜交いの位置関係を維持しつつ、第1摺動体236の天部236aに設けられた開口236dに沿ってプーリ243側、すなわち第1摺動体236の先端側に向けて進む。
スライド部材244が第1摺動体236の先端側に移動すると、スライド部材244を介して一体化されている第2摺動体237も第1摺動体236の先端側に向かってスライドする。そして、図26に示すように、スライド部材244が第1摺動体236の先端側(プーリ243側)に到達すると、第1,2摺動体236,237の双方が薬剤受渡ユニット231の長手方向に伸びきった状態、すなわち伸張状態になる。
一方、図26に示すように伸張状態にある場合に、第1,2摺動体236,237を摺動ベース235側に引き戻し、薬剤受渡ユニット231の全長を縮めた状態(収縮状態)とする場合は、上記したのとは逆の手順で薬剤受渡ユニット231が作動する。すなわち、収縮状態とする場合は、伸張状態とする場合とは逆方向に回転軸が回転するように駆動モータ235eが作動する。これに伴い、モータ235eの動力がタイミングベルト248や駆動プーリ235h、軸235gを介して駆動ギア235jに伝達する。駆動ギア235jは、薬剤受渡ユニット231が伸張状態になる場合における回転方向とは逆方向に回転する。すなわち、駆動ギア235jは、天部235aを上方から見た状態において時計回り方向に回動する。これにより、駆動ギア235jに噛合している従動ラックギア241が摺動ベース235の基端側に向かう方向に向けて直線的に移動し、第1摺動体236全体が、摺動ベース235の基端側から先端側に向けてスライドする。
上記したようにして第1摺動体236がスライドすると、第1摺動体236の先端側にあるプーリ243がベルト固定部材235k側に近づく。これに連動して、タイミングベルト248を挟んでベルト固定部材235kと斜交いの位置関係にあるスライド部材244が、第1摺動体236の天部236aに設けられた開口236dに沿って第1摺動体236の基端側にあるプーリ242側に向けて移動する。これにより、スライド部材244を介して第1摺動体236と接続されている第2摺動体237も、第1摺動体236と同様に摺動ベース235の基端側に向けてスライドする。そして、スライド部材244が第1摺動体236の基端側(プーリ242側)に到達すると、第1,2摺動体236,237の双方が薬剤受渡ユニット231の長手方向に縮んだ収縮状態になる。
移送装置210は、上記実施形態で採用されていた移送装置5と同様にメインユニット2とサブユニット3との境界部分に配される。さらに具体的には、図25に示すように、移送装置210は、サブユニット3を構成する筐体の底面であって、サブユニット3とメインユニット2との境界をなす壁面4aに設けられた連通口4bに隣接する位置にフランジ223をネジ止めして設置されている。そのため、移送装置210は、図25に示すように薬剤受渡ユニット231の長手方向が壁面4aに対して略直交する姿勢において薬剤受渡ユニット231を伸張状態とすると、一方の薬剤受渡ユニット231(以下、受渡ユニット231aとも称す)は、壁面4aを越えてメインユニット2側に第2摺動体237が突き出た状態となる。また、他方の薬剤受渡ユニット231(以下、受渡ユニット231bとも称す)は、サブユニット3内において第2摺動体237が前記した受渡ユニット231aのものとは逆方向に突き出た状態になる。
受渡ユニット231aの第2摺動体237がメインユニット2側に突き出た状態となると、第2摺動体237に設けられた薬剤収容部237dの下方には、メインユニット2の薬剤準備部80に接続されたサブ収集ホッパー87が到来する。そのため、図25(a)に示す状態においてメインユニット2側に存在する受渡ユニット231aのシャッター255を開くと、薬剤収容部237dに収容されている薬剤をメインユニット2の薬剤準備部80に払い出すことができる。一方、サブユニット3側において受渡ユニット231bの第2摺動体237が突き出た状態になると、サブユニット3に設けられたサブホッパー135の直下に薬剤収容部237dが到来した状態になる。そのため、この状態でサブ薬剤待機部130から薬剤が払い出されると、この薬剤が薬剤収容部237d内に投入される。
続いて、移送装置210を採用した薬剤払出システム1の動作について、移送装置210による薬剤の移送手順を中心に説明する。薬剤払出システム1は、上記実施形態で示したのと同様に、処方にあわせてメイン貯留部20や手撒ユニット23から払い出された薬剤が薬剤準備部80に設けられた区画形成体81の各区画81aに、1包分ずつ払い出される。
処方すべき薬剤がサブユニット3側にある場合は、サブ貯留部120の各カセット32から1包分ずつ薬剤が払い出される。サブ貯留部120から払い出された薬剤は、サブ薬剤待機部130に溜め置かれる。一方、移送装置210は、受渡ユニット231a,231bが伸張状態とされる。これにより、受渡ユニット231a,231bのうち一方(図25(a)に示す状態では、受渡ユニット231b)の第2摺動体237に設けられた薬剤収容部237dがサブホッパー135の下方に到来した状態となる。この状態において、サブ薬剤待機部130から薬剤が払い出されると、サブ貯留部120から払い出された1包分の薬剤が薬剤収容部237dに収容された状態になる。
薬剤収容部237dに薬剤が投入されると、図25(b)のように受渡ユニット231a,231bが収縮状態とされる。その後、移送装置210のベース部222に設けられた旋回駆動ギア226が作動し、受渡ユニット231a,231bが旋回軸234を中心として180度旋回する。その後、受渡ユニット231a,231bがサイド伸張状態とされる。これにより、サブユニット3側で薬剤を受け取った受渡ユニット231bがメインユニット2側に突き出た状態になり、薬剤収容部237dがメインユニット2のサブ収集ホッパー87上に到来する。また、もう一方の薬剤受渡ユニット231aについては、第2摺動体237がサブホッパー135の下方まで突き出た状態になり、次の1包分の薬剤を受け入れ可能な状態になる。
上記したようにして受渡ユニット231b,231aがそれぞれメインユニット2およびサブユニット3側において伸張状態になると、受渡ユニット231b側の薬剤収容部237dに設けられたシャッター255が開かれ、サブユニット3側で受け取られた薬剤が薬剤準備部80に設けられた区画形成体81の各区画81aに払い出される。一方、受渡ユニット231a側の薬剤収容部237dには、サブ薬剤待機部130から次の1包分の薬剤が投入される。
薬剤払出システム1において、移送装置210を採用した場合は、上記したようにして順次渡ユニット231a,231bを伸張状態としたり、収縮状態で旋回させる動作を繰り返すことで、サブユニット3側で払い出された薬剤をメインユニット2側に移送することができる。そのため、移送装置210を採用した場合についても、移送装置5を採用した場合と同様にサブユニット3側で払い出された薬剤をメインユニット2側に移送し、メインユニット2側において払い出された薬剤と一緒に薬剤包装部21で包装することができる。
上記したように、移送装置210は、薬剤受渡ユニット231を収縮状態として旋回させることができるため、薬剤受渡ユニット231の旋回に要するスペースが最小限で済む。また、移送装置210は、薬剤受渡ユニット231を伸張状態とすることができるため、移送装置210から離れた位置において薬剤の受け入れや払い出しを行うことができる。よって、移送装置210を採用すれば、薬剤払出システム1内のスペースを有効利用したり、薬剤払出システム1をコンパクトな構成とすることができる。
薬剤払出システム1は、上記した移送装置5,200を採用したものであってもよいが、例えば図32〜図35に示す移送装置300のようなものであってもよい。以下、移送装置300について、図面を参照しながら詳細に説明する。図33等に示すように、移送装置300は、ベース部310と、旋回部330(搬送部)とを有する。ベース部310は、平板状のベース板311と、駆動ユニット312とを有する。駆動ユニット312は、ベース板311の裏面側に設けられている。駆動ユニット312は、駆動用モータ313と、ギアボックス315とを有し、旋回部330の方向を調整するための方向調整手段としての機能を有する。
ギアボックス315は、ベース板311の略中央部に設けられており、内部に旋回駆動ギア316と、旋回従動ギア317とを有する。駆動用モータ313の回転軸には、ギアボックス315内にある旋回駆動ギア316が固定されている。また、旋回駆動ギア316には、旋回従動ギア317が噛合している。旋回従動ギア317は、旋回部330側に固定された旋回軸318に固定されている。また、旋回軸318は、ベース板311の略中央部において回動自在なように支持された状態で立設されている。そのため、旋回用モータ313が作動して旋回駆動ギア316が回転すると、これに連動して旋回従動ギア317や旋回軸318、旋回部330が回動する。
ベース板311は、その長手方向一端側であって、幅方向の略中央部に払出口320を有する。また、ベース板311の表面側であって、払出口320に相当する位置には、当接部材321が取り付けられている。当接部材321は、払出口320に連通した開口322がある。また、図32等に示すように、ベース板311の表面側には、一対のガイドレール323,323が所定の間隔を空けて固定されている。ガイドレール323,323は、いずれも所定の曲率でアーチ状に湾曲した部材である。そのため、ガイドレール323,323の間には、溝325が形成されている。ガイドレール323,323は、それぞれベース板311の幅方向一方側(図32に示す例では左辺側)に向けて凸となるように配されている。
一方、旋回部330は、図32等に示すように平面視が略矩形のカバー331を有する。また、図33に示すように、カバー331の内側には、薬剤容器340,340(薬剤受渡容器)をはじめとする旋回部330の構成部材が収容されている。さらに具体的には、カバー331は、底面側が開放されており、ベース部310の上方に配されている。カバー331の天面331aであって、その長手方向一端側には、受入口331dが設けられている。カバー331は、受入口331dが設けられた側の端部が、ベース板311に設けられた払出口320とは天面331aの長手方向逆側に到来し、天面331aがベース板311と略平行となる姿勢とされ、ベース板311の上方に配されている。
カバー331は、天面331aの略中央部に上記した旋回軸318が一体的に取り付けられている。旋回軸318は、カバー331の天面331aに対して立設されており、下方に向けて突出している。旋回軸318は、ベース板311の略中央を貫通し、ベース板311の裏面側に設けられたギアボックス315内にまで至っており、ベース板311に対して回動自在なように支持されている。ギアボックス315内において、旋回軸318には、旋回従動ギア317が取り付けられている。そのため、駆動用モータ313が作動し、旋回駆動ギア316が回動すると、この動力を受けて旋回従動ギア317や旋回軸318が回動すると共に、カバー331をはじめとする旋回部330が旋回軸318を中心として旋回する。
図33に示すように、旋回軸318の中間部には、ガイドレール332,332が取り付けられている。また、図32に示すように、ガイドレール332,332は、カバー331の長手方向に沿って直線的に伸びるように取り付けられている。ガイドレール332,332は、旋回軸318を挟み込み、旋回軸318の中間に固定されている支承部材334によって支承された状態で固定されている。これにより、ガイドレール332,332は、旋回軸318と一体となって旋回軸318を中心として回動可能とされている。
また、カバー331の内側であって、カバー331の長手方向に沿って形成された長側面331b,331cには、ガイドレール333,333が直線的に伸びるように取り付けられている。ガイドレール333,333は、上記したガイドレール332,332と対向する位置に設けられている。ガイドレール333,333は、それぞれ対向する位置にあるガイドレール332,332と組み合わさって、後に詳述する薬剤容器340,340の移動をガイドするためのガイド部材としての機能を発揮する。
図32に示すように、カバー331の長手方向一端側および他端側であって、カバー331の幅方向略中央部には、タイミングプーリ335,336が取り付けられている。タイミングプーリ335,336は、ぞれぞれガイドレール332の長手方向の両端部に隣接する位置に設けられている。タイミングプーリ335,336は、それぞれ天面331aに対して略垂直な軸を中心として自由に回動可能なものである。タイミングプーリ335,336間には、タイミングベルト337が懸架されている。
薬剤容器340は、天面に開口341を有する箱形の部材である。図33に示すように、薬剤容器340の底面にはシャッター342が設けられており、これを開くことで内部に投入されている薬剤を下方に向けて払い出し可能とされている。シャッター342は、薬剤容器340の底面側において突出した当接部342aを押圧することで薬剤容器340の長手方向に向けてスライドさせることで開いた状態とすることができるようになっている。シャッター342は、常時は薬剤容器340の底を閉じる方向に付勢されており、薬剤容器340の底面を閉塞している。薬剤容器340は、カバー331内において旋回軸318を境としてカバー331の幅方向一方側および他方側に設けられた一対のガイドレール332,333間に配されている。
さらに具体的に説明すると、移送装置300は、薬剤容器340を2つ有し、そのうちの一方が旋回軸318を境としてカバー331の幅方向一方側の領域に、他方がカバー331の幅方向他方側の領域に設けられている。薬剤容器340は、側面340a,340bがガイドレール332,333に対向する姿勢とされ、ガイドレール332,333間に配されている。側面340a,340bには、ローラ取付部材343,345が取り付けられている。ローラ取付部材343は、側面340aに固定された固定部343aと、これに対向する立設部343bと、固定部343aおよび立設部343bの間にあってベース板311に対して略平行な水平部343cとを有する。
立設部343bには、ガイドローラ346が回動自在なように取り付けられている。ガイドローラ346は、旋回軸318に沿って取り付けられているガイドレール332に嵌め込まれている。また、立設部343bには、挟持部材344が取り付けられており、この挟持部材344と立設部343bとの間には、タイミングベルト337が挟み込まれている。これにより、薬剤容器340がタイミングベルト337と連結されている。
ここで、移送装置300は、上記したように2つの薬剤容器340,340を備えているが、そのうちの一方の薬剤容器340(図32や図33に示す例では左側の薬剤容器340。以下、駆動側薬剤容器340とも称す)は、水平部343cにガイドローラ347を有する。ガイドローラ347は、水平部343cに対して略垂直であって、下方側に向けて突出するように固定された軸に対して回動自在なように取り付けられている。ガイドローラ347は、ベース板311の表面側に設けられたガイドレール323,323の間に形成された溝325内に嵌め込まれている。
一方、ローラ取付部材345は、薬剤容器340の側面340b側に取り付けられている。ローラ取付部材345は、側面340bに固定された固定部345aと、これに対して対向した立設部345bと、固定部345aおよび立設部345bを繋ぐ水平部345cを有する。立設部345bは、カバー331の長側面331b,331cに取り付けられたガイドレール333とも対向している。立設部345bには、ガイドローラ348が回動自在に取り付けられており、これがガイドレール333内に嵌め込まれている。
移送装置300は、上記したような構成であり、メインユニット2とサブユニット3との間にある壁面4aの連通口4bに差し込まれた状態で設置されている。具体的には、移送装置300は、ベース部310が下方に向き、旋回部330が上方に向く姿勢とされ、水平に配置されている。また、移送装置300は、カバー331に設けられた受入口331dがサブユニット3側に位置し、ベース板311に設けられた払出口320がメインユニット2側に位置するように配されている。
続いて、移送装置300の動作について説明する。移送装置300は、ベース部310に設けられた駆動用モータ313の動力により旋回部330に設けられた2つの薬剤容器340をガイドレール332,333に沿って移動させると共に、旋回部330自身を旋回軸318を中心に旋回させることができる。さらに詳細に説明すると、駆動用モータ313が作動すると、この回転軸に取り付けられた旋回駆動ギア316およびこれに噛合している旋回従動ギア317が回動する。これにより、旋回従動ギア317が取り付けられている旋回軸318が回動すると共に、旋回部330全体が旋回軸318を中心として回動する。
ここで、上記したように、2つの薬剤容器340,340のうち一方側(駆動側薬剤容器340)には下方に向けて突出した軸に対して回動自在なガイドローラ347が設けられており、これがベース部310においてガイドレール323,323間に形成された溝325内に嵌め込まれている。また、溝325は、ガイドレール323,323と同様に図32等に示すように幅方向一方側に向けて凸状に湾曲した形状とされている。そのため、駆動側薬剤容器340は、溝325によって動作が規制されている。一方、旋回部330を構成する他の構成部材については、駆動側薬剤容器340と同様にカバー331に対して組み付けられており、全体として一体となって旋回軸318を中心として回動可能とされている。そのため、駆動用モータ313の作動により、図32に示す状態において旋回部330が時計回り方向に回動すると、旋回部330全体が旋回軸318を中心として旋回すると共に、溝325に案内されてガイドローラ347および駆動側薬剤容器340が溝325の一端側(図32において上方側)に向けて進む。そして、図34に示すように旋回部330が旋回軸318を中心として所定の角度だけ旋回した状態になると、駆動側薬剤容器340が溝325の一端側(図34に示す状態において上端側)にあるタイミングプーリ336の近傍に到来した状態になる。
また、上記したように、駆動側薬剤容器340、並びに、ガイドローラ347を持たない他方側の薬剤容器340(以下、従動側薬剤容器340とも称す)は、それぞれローラ取付部材343の立設部343bに取り付けられた挟持部材344によってタイミングベルト337に固定された状態となっている。そのため、旋回部330の旋回に伴って駆動側薬剤容器340が溝325の一端側に向けて進むと、従動側薬剤容器340は、溝325の他端側、すなわちタイミングプーリ335側に向けて進む。
その後、図34に示すように従動側薬剤容器340がベース板311に設けられた払出口320の位置まで到来すると、ベース板311の表面に取り付けられた当接部材321に従動側薬剤容器340の底面側にあるシャッター342の当接部342aが当接する。これにより、シャッター342が押し開けられた状態になり、内部にある薬剤が下方、すなわちメインユニット2側のサブ収集ホッパー87に向けて払い出される。一方、図34に示す状態では、駆動側薬剤容器340がカバー331の天面331aに設けられた受入口331dに相当する位置に到来する。そのため、図34に示す状態では、サブユニット3側において払い出された薬剤を、サブホッパー135を介して駆動側薬剤容器340に投入可能となる。
一方、図32や図31に示す状態においてベース部310に設けられた駆動用モータ313を回転軸が先とは逆方向に回転するように作動させると、上方から見た状態において、旋回部330が旋回軸318を中心として反時計回り方向に回転する。これに伴い、駆動側薬剤容器340およびこれに設けられたガイドローラ347が溝325に案内されて払出口320側(図32や図34に示す状態において下方側)に向けて進む。そして、図35に示すように旋回部330が旋回軸318を中心として反時計回り方向に所定の角度だけ旋回した状態になると、駆動側薬剤容器340が払出口320に相当する位置に到来した状態になる。これにより、駆動側薬剤容器340の裏面側にあるシャッター342が開き、内部に投入されている薬剤が下方にあるメインユニット2側のサブ収集ホッパー87に向けて払い出される。一方、従動側薬剤容器340は、駆動側薬剤容器340の動作に連動して受入口331dに相当する位置に到来した状態になる。これにより、サブユニット3側において払い出された薬剤を従動側薬剤容器340に投入可能な状態になる。
上記した移送装置300は、上記したように旋回部330が全体として旋回軸318を中心として旋回すると共に、この旋回による動力を利用して各薬剤容器340,340を旋回部330の長手方向に往復動させることにより、メインユニット2とサブユニット3との間で薬剤を移送できる構成とされている。そのため、移送装置300を採用した場合についても、上記した移送装置5,200を採用した場合と同様にサブユニット3側で払い出された薬剤をメインユニット2側に移送し、メインユニット2側で払い出された薬剤と一緒に包装して払い出し可能な薬剤払出システム1を提供できる。
上記した移送装置300は、旋回部330の旋回および薬剤容器340の往復動の動力をベース部310に設けられた駆動用モータ313でまかなうものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば旋回部330の旋回用の動力源と、薬剤容器340を往復動させるための動力源とを別々に設けたものであってもよい。
さらに具体的に説明すると、移送装置300は、駆動側薬剤容器340に設けられていたガイドローラ347や、ベース板311上に取り付けられていたガイドレール323を省略すると共に、タイミングプーリ335,336のうち少なくともいずれか一方を駆動用モータ313とは別の動力源で回転する構成とすることも可能である。かかる構成とすれば、駆動用モータ313によって旋回部330を旋回させると共に、別途用意された動力源によってタイミングプーリ335,336に懸架されたタイミングベルト337を作動させ、薬剤容器340を払出口320側と受入口331dとの間で往復動させることができる。