JP2019199898A - 複列ころ軸受及びこれに用いる保持器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポケットへのころの組み付け作業の能率を向上させる。【解決手段】複列ころ軸受は、内輪2と、内輪2の径方向外側に配置された外輪1と、内輪2及び外輪1の径方向の間に2列に配置された複数のころ3と、各列の複数のころ3の周方向の間隔を保持する保持器5とを備え、内輪2又は外輪1が、径方向へ突出する環状のつば23を軸方向の両端部に有しており、保持器5が、2列のころ3の軸方向の間に配置される環状体50と、環状体50から軸方向両側に延び、かつ軸方向の各側において周方向に間隔をあけて配置された複数の柱51とを有しており、少なくとも軸方向一方側の複数の柱51が、第1の柱51aと、第1の柱51aよりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱51bとを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、複列ころ軸受及びこれに用いる保持器に関する。
複列ころ軸受としての自動調心ころ軸受は、例えば図9に示すように、内周に外軌道面111を有している外輪101と、外周に2列の内軌道面121を有している内輪102と、外軌道面111と2列の内軌道面121との間に2列で配置されている球面ころ103と、各列の複数の球面ころ103を保持している環状の保持器105とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
内輪102の内軌道面121の軸方向両外側には、径方向外方に突出するつば123が設けられ、このつば123によって各列の球面ころ103の軸方向外方への脱落が防止されている。
保持器105は、2列の球面ころ103の列間に位置する環状体150と、この環状体150から軸方向両外側に突出する複数の柱(つの)151とを有している。軸方向の各列において周方向で隣り合う柱151の間には、球面ころ103を収容するポケット153が形成され、各ポケット153は、球面ころ103が径方向外側へ脱落しないように、径方向外端部の幅が球面ころ103の外径よりも狭められている。
保持器105は、2列の球面ころ103の列間に位置する環状体150と、この環状体150から軸方向両外側に突出する複数の柱(つの)151とを有している。軸方向の各列において周方向で隣り合う柱151の間には、球面ころ103を収容するポケット153が形成され、各ポケット153は、球面ころ103が径方向外側へ脱落しないように、径方向外端部の幅が球面ころ103の外径よりも狭められている。
自動調心ころ軸受は、例えば次のように組み立てられる。まず、外輪101の径方向内側に保持器105及び内輪102を位置づけ、外輪101の軸心と保持器105及び内輪102の軸心とをほぼ直交させて、外輪101の軸方向外側に保持器105及び内輪102の一部を突出させる。そして、外輪101から突出した保持器105の一方の列のポケット153に順次球面ころ103を組み付け、その後、同様に他方の列のポケット153にも球面ころ103を組み付ける。
内輪102の軸方向両端部にはつば123が形成され、かつ、ポケット153の径方向外端部の幅が球面ころ103の外径よりも狭められているので、ポケット153内に球面ころ103を組み付けるには、図10(a)に示すように、ポケット153の両側の柱151を周方向及び径方向の外側にやや弾性変形させ、内輪102のつば123の外周面を乗り換えさせながら球面ころ103を両柱151の間に押し込む必要がある。しかし、各列の最後のポケット153に球面ころ103を組み付けるとき、その両隣にはすでに球面ころ103が組み付けられているので、柱151を弾性変形させ難く、球面ころ103を組み付けることが困難であった。
特許文献1記載の自動調心ころ軸受は、以上のような球面ころ103の組み付け作業性を高めるため、図10(b)に示すように、内輪102のつば123の周方向の一部にころ挿入溝123aを形成している。そして、ころ挿入溝123aを通過させながら球面ころ103をポケット153内に挿入することで柱151を弾性変形させることなく球面ころ103を組み付けることができるように構成されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、ころ挿入溝123aの位置に各ポケット153を順次合わせなければならないため、却って組み付け作業に時間がかかり作業能率が低下する可能性があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ポケットへの組み付け作業の能率を向上させることができる複列ころ軸受及びこれに用いる保持器を提供することを目的とする。
(1)本発明は、内輪と、前記内輪の径方向外側に配置された外輪と、前記内輪及び前記外輪の径方向の間に2列に配置された複数のころと、各列の前記複数のころの周方向の間隔を保持する保持器とを備え、前記内輪又は前記外輪が、径方向へ突出する環状のつばを軸方向の両端部に有しており、前記保持器が、2列の前記ころの軸方向の間に配置される環状体と、前記環状体から軸方向両側に延びかつ軸方向の各側において周方向に間隔をあけて配置された複数の柱とを有しており、少なくとも軸方向一方側の前記複数の柱が、第1の柱と、前記第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含む。
以上の構成を有する複列ころ軸受によれば、保持器における、少なくとも軸方向一方側の複数の柱が、第1の柱と、第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含むので、第2の柱とつばとの間隔が広くなり、第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケットにころを組み付けやすくなる。したがって、当該ポケットに最後のころを組み付けるようにすれば、迅速かつ容易にころの組み付け作業を行うことができる。
(2)好ましくは、前記第2の柱は、前記環状体から前記ころの軸心方向の中央を越えて軸方向に延びている。
このような構成によって、第2の柱によるころの保持機能を十分に確保することができる。
このような構成によって、第2の柱によるころの保持機能を十分に確保することができる。
(3)好ましくは、軸方向の両側における複数の柱が、前記第1の柱と前記第2の柱とを有しており、軸方向の各側の、前記第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケット同士が、互いに軸方向に重ならない位置に配置されている。
第2の柱は、第1の柱よりも軸方向に短く形成されているので、2つの第1の柱によって形成されるポケット(以下、「第1のポケット」ともいう)よりも、第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケット(以下、「第2のポケット」ともいう)の方がころを保持する機能が低下する。そして、このような第2のポケットが軸方向において互いに重なるように配置されると、保持器の周方向の一部で、ころの保持機能が低下する部分が集中することになる。このため、本発明では、上記のように軸方向一方側の第2のポケットと軸方向他方側の第2のポケットとを軸方向に重ならない位置に配置することで、ころの保持機能が低下する部分を周方向に分散し、保持器の周方向の全体で可及的に安定してころを保持することができる。
第2の柱は、第1の柱よりも軸方向に短く形成されているので、2つの第1の柱によって形成されるポケット(以下、「第1のポケット」ともいう)よりも、第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケット(以下、「第2のポケット」ともいう)の方がころを保持する機能が低下する。そして、このような第2のポケットが軸方向において互いに重なるように配置されると、保持器の周方向の一部で、ころの保持機能が低下する部分が集中することになる。このため、本発明では、上記のように軸方向一方側の第2のポケットと軸方向他方側の第2のポケットとを軸方向に重ならない位置に配置することで、ころの保持機能が低下する部分を周方向に分散し、保持器の周方向の全体で可及的に安定してころを保持することができる。
(4)本発明の複列ころ軸受用の保持器は、複列ころ軸受における複列のころの軸方向の間に配置される環状体と、前記環状体から軸方向両側に延び、かつ軸方向の各側において周方向に間隔をあけて配置された複数の柱とを有しており、少なくとも軸方向一方側の前記複数の柱が、第1の柱と、前記第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含む。
以上の構成によれば、保持器における、少なくとも軸方向一方側の複数の柱が、第1の柱と、第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含むので、第2の柱と、複列ころ軸受の内輪又は外輪に設けられたつばとの間隔を広くすることができ、第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケットにころを組み付けやすくなる。したがって、当該ポケットに最後のころを組み付けるようにすれば、迅速かつ容易にころの組み付け作業を行うことができる。
本発明によれば、ポケットへの組み付け作業の能率を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複列ころ軸受を示す縦断面図である。
本実施形態の複列ころ軸受10は、自動調心ころ軸受である。自動調心ころ軸受10は、外輪1と、内輪2と、球面ころ3と、保持器5と、案内輪6とを備えている。
本実施形態の複列ころ軸受10は、自動調心ころ軸受である。自動調心ころ軸受10は、外輪1と、内輪2と、球面ころ3と、保持器5と、案内輪6とを備えている。
外輪1は、円環状であり、左右対称に形成されている。外輪1の内周には単一の外軌道面11が形成されている。外軌道面11は凹曲面からなる。外軌道面11は、自動調心ころ軸受10の図示しない軸心上の点(自動調心ころ軸受10の中心点)から所定の半径を有する球面(球面の一部)に沿った形状である。このため、図1に示すように、自動調心ころ軸受10の軸心を含む断面、つまり、縦断面において、外軌道面11の形状は円弧となる。
内輪2も、円環状であり、左右対称に形成されている。内輪2は、外輪1の径方向内側に外輪1と同心状に配置されている。内輪2の外周には2列の内軌道面21が形成されている。内軌道面21は凹曲面からなる。図1に示すように、自動調心ころ軸受10の縦断面において、各内軌道面21の形状は円弧となる。この円弧は、外輪1の外軌道面11を形成する前記球面(球面の一部)の半径と同じ半径を有している。
また、内輪2の外周面には、2列の内軌道面21,21の間に円筒面22が形成されている。円筒面22は、自動調心ころ軸受10の軸線に平行な面である。さらに、内輪2は、内軌道面21の軸方向外側に、球面ころ3の脱落を防止するつば23を有している。
球面ころ3は樽形であり、凸曲面からなる外周面32を有している。球面ころ3は、外軌道面11及び内軌道面21を転動する。球面ころ3は、外輪1の外軌道面11と内輪2の2列の内軌道面21との間に2列で配置されており、各列に周方向に沿って複数設けられている。
案内輪6は、環状に形成され、保持器5と内輪2との間であって2列の球面ころ3の列間に設けられている。
なお、本実施形態において、外輪1、内輪2、及び球面ころ3は軸受鋼等からなる。案内輪6は鋳鉄製であるが、その他の金属製であってもよい。また、次に説明する保持器5は、黄銅製であるが、鋳鉄製やその他の金属製であってもよい。
なお、本実施形態において、外輪1、内輪2、及び球面ころ3は軸受鋼等からなる。案内輪6は鋳鉄製であるが、その他の金属製であってもよい。また、次に説明する保持器5は、黄銅製であるが、鋳鉄製やその他の金属製であってもよい。
図2は、保持器5の斜視図である。図3は、保持器5の一部及び球面ころ3を径方向外側から見た図である。
保持器5は、全体として環状であり、環状体50と、複数の柱(つの)51とを有している。環状体50は、円環状に形成されている。環状体50は、2列の球面ころ3の列間に位置している。また、環状体50は、案内輪6の径方向外側に配置されている。
保持器5は、全体として環状であり、環状体50と、複数の柱(つの)51とを有している。環状体50は、円環状に形成されている。環状体50は、2列の球面ころ3の列間に位置している。また、環状体50は、案内輪6の径方向外側に配置されている。
複数の柱51は、環状体50から軸方向一方側と軸方向他方側とに延びている。環状体50の軸方向一方側において、複数の柱51は、周方向に所定間隔(ピッチ)Pをあけて配設されている。また、環状体50の軸方向他方側において、複数の柱51は、軸方向一方側の柱51と同様の間隔で、周方向に所定間隔Pをあけて配設されている。軸方向一方側の柱51と他方側の柱51とは同数である。周方向に隣り合う柱51の間は、球面ころ3を収容するポケット53となっている。したがって、各ポケット53に収容された複数の球面ころ3も、周方向に所定間隔(ピッチ)をあけて配設される。
環状体50の軸方向一方側の柱51と、軸方向他方側の柱51とは、周方向に半ピッチ位相をずらして配置されている。したがって、軸方向の各側のポケット53に収容された複数の球面ころ3も周方向に半ピッチ位相をずらして配置されている。
図4は、図3のA−A矢視断面図である。
柱51の周方向両側の側面52、すなわちポケット53を形成する柱51の側面52は、球面ころ3の外周面32にほぼ沿った形状に形成されている。また、ポケット53の径方向外端部の幅W、すなわち、周方向に隣り合う2つの柱51の径方向外端部の間隔Wは、球面ころ3の直径Dよりも狭くなっている。そのため、柱51の径方向外端部51cは、ポケット53に収容された球面ころ3に径方向外側から係止する係止部を構成している。したがって、ポケット53に収容された球面ころ3は、係止部51cによって径方向外方への移動が制限され、ポケット53からの脱落が防止されている。
柱51の周方向両側の側面52、すなわちポケット53を形成する柱51の側面52は、球面ころ3の外周面32にほぼ沿った形状に形成されている。また、ポケット53の径方向外端部の幅W、すなわち、周方向に隣り合う2つの柱51の径方向外端部の間隔Wは、球面ころ3の直径Dよりも狭くなっている。そのため、柱51の径方向外端部51cは、ポケット53に収容された球面ころ3に径方向外側から係止する係止部を構成している。したがって、ポケット53に収容された球面ころ3は、係止部51cによって径方向外方への移動が制限され、ポケット53からの脱落が防止されている。
図2に示すように、環状体50の軸方向一方側及び軸方向他方側の各側において、複数の柱51は、第1の柱51aと第2の柱51bとを含む。第2の柱51bは、軸方向の長さが第1の柱51aよりも短く形成されている。本実施形態では、軸方向の各側において、複数の柱51のうち1本だけが第2の柱51bとされ、他は全て第1の柱51aとされている。図1に示すように、第1及び第2の柱51a,51bは、いずれも環状体50から球面ころ3の軸心方向の中央Xを超えて軸方向外方へ延びている。
図2に示すように、環状体50の軸方向一方側に設けられた第2の柱51bと、軸方向他方側に設けられた第2の柱51bとは、環状体50の中心(自動調心ころ軸受10の軸心)回りに180°位相をずらして配置されている。
本実施形態では、互いに隣り合う2つの第1の柱51aの間に形成されたポケット53aを「第1のポケット」ともいう。また、互いに隣り合う第1の柱51aと第2の柱51bとの間に形成されたポケット53b、言い換えると第2の柱51bを含む2つの柱51a,51bによって形成されたポケット53bを「第2のポケット」ともいう。したがって、保持器5の軸方向の各側には、2つの第2のポケット53bが隣接して設けられ、この2つの第2のポケット53b以外が全て第1のポケット53aとなっている。
図5は、ポケットに球面ころを組み付ける様子を示す説明図である。
図5(a)は、第1のポケット53aに球面ころ3を組み付ける様子を示し、図5(b)は、第2のポケット53bに球面ころ3を組み付ける様子を示している。
球面ころ3は、例えば図7に示されるように、外輪1の径方向内側に内輪2及び保持器5を配置し、外輪1の軸心に対して内輪2及び保持器5の軸心をほぼ直交させた状態で保持器5のポケット53に組み付けられる。具体的に、球面ころ3は、外輪1から当該外輪1の軸方向に突出した保持器5のポケットのうち、当該保持器5の軸方向一方側の列のポケット53に順番に組み付けられ、その後、当該保持器5の軸方向他方側の列のポケット53に対しても順番に組み付けられる。
図5(a)は、第1のポケット53aに球面ころ3を組み付ける様子を示し、図5(b)は、第2のポケット53bに球面ころ3を組み付ける様子を示している。
球面ころ3は、例えば図7に示されるように、外輪1の径方向内側に内輪2及び保持器5を配置し、外輪1の軸心に対して内輪2及び保持器5の軸心をほぼ直交させた状態で保持器5のポケット53に組み付けられる。具体的に、球面ころ3は、外輪1から当該外輪1の軸方向に突出した保持器5のポケットのうち、当該保持器5の軸方向一方側の列のポケット53に順番に組み付けられ、その後、当該保持器5の軸方向他方側の列のポケット53に対しても順番に組み付けられる。
また、図2に示すように、軸方向の各列のポケット53においては、一方の第2のポケット53b以外の第1のポケット53a及び他方の第2のポケット53bに球面ころ3が組み付けられた後、最後に当該一方の第2のポケット53bに球面ころ3が組み付けられる。
図5(a)に示すように、第1のポケット53aにおいては、第1の柱51aとつば23との間隔L1が狭くなっているので、より大きく柱51aを周方向及び径方向の外側へ弾性変形させる必要がある。各列の最後の1つの球面ころ3を第1のポケット53aに組み付ける場合、その両隣にはすでに球面ころ3が組み付けられているので、柱51aを弾性変形させることが困難となり、当該第1のポケット53aに球面ころ3を組み付け難い。
図5(a)に示すように、第1のポケット53aにおいては、第1の柱51aとつば23との間隔L1が狭くなっているので、より大きく柱51aを周方向及び径方向の外側へ弾性変形させる必要がある。各列の最後の1つの球面ころ3を第1のポケット53aに組み付ける場合、その両隣にはすでに球面ころ3が組み付けられているので、柱51aを弾性変形させることが困難となり、当該第1のポケット53aに球面ころ3を組み付け難い。
一方、第2のポケット53bは、図5(b)に示すように、第2の柱51bとつば23との間隔L2が、前記間隔L1よりも広くなっている。そのため、当該第2の柱51bを周方向及び径方向の外側へ大きく弾性変形させなくても球面ころ3を容易に組み付けることができる。したがって、本実施形態では、最後の1つの球面ころ3を第2のポケット53bに組み付けるようにすることで、球面ころ3の組み付け作業を短時間で能率よく行うことができる。
なお、双方の列に球面ころ3が組み付けられていない状態では、図6に示されるように、保持器5を内輪2に対して矢印B方向にずらし、柱51の先端とつば23との間隔L3を広げることができるので、球面ころ3をポケット53に容易に組み付けることが可能となる。そのため、最初に球面ころ3を組み付ける軸方向一方側の列には第2の柱51bが設けられていなくてもよい。言い換えると、第2の柱51bは、保持器5の少なくとも軸方向一方側のみに設けられていればよい。
軸方向一方側の第2の柱51bと、軸方向他方側の第2の柱51bとは、柱51の配設ピッチPを超える周方向の間隔をあけて配置されている。そのため、各列の第2のポケット53b同士が軸方向に並ぶ(重なる)ことがない。第2のポケット53bは、一方の柱51bが短く形成されるので、第1のポケット53aよりも球面ころ3を保持する機能がわずかながら低下する。そして、このような第2のポケット53bが軸方向に並ぶと、保持器5の周方向の一部で、球面ころ3の保持機能が低下する部分が集中することになる。このため、本実施形態では、軸方向一方側の第2のポケット53bと軸方向他方側の第2のポケット53bとを軸方向に重ならない位置に配置することによって、球面ころ3の保持機能が低下する部分を周方向に分散し、保持器5の周方向の全体で可及的に安定して球面ころ3を保持することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、保持器5の第2の柱51bは、軸方向の各列において2つ以上設けられていてもよい。ただし、第2の柱51bによって形成される第2のポケット53bは、第1の柱51aのみによって形成される第1のポケット53aよりも球面ころ3の保持機能が若干低下するため、第2の柱51bの数は、必要最小限(1つ又は2つ程度)とすることが好ましい。各列に第2の柱51bを2つ以上設ける場合、これらは隣同士に配置されていてもよいし、周方向に離れた位置に配置されていてもよい。第2の柱51bが互いに隣同士に配置されている場合には、2つの第2の柱51bによって形成される第2のポケット53bに最後の球面ころ3を組み付けるようにすることが、球面ころ3の組み付け作業性を高めるうえで好適である。
例えば、保持器5の第2の柱51bは、軸方向の各列において2つ以上設けられていてもよい。ただし、第2の柱51bによって形成される第2のポケット53bは、第1の柱51aのみによって形成される第1のポケット53aよりも球面ころ3の保持機能が若干低下するため、第2の柱51bの数は、必要最小限(1つ又は2つ程度)とすることが好ましい。各列に第2の柱51bを2つ以上設ける場合、これらは隣同士に配置されていてもよいし、周方向に離れた位置に配置されていてもよい。第2の柱51bが互いに隣同士に配置されている場合には、2つの第2の柱51bによって形成される第2のポケット53bに最後の球面ころ3を組み付けるようにすることが、球面ころ3の組み付け作業性を高めるうえで好適である。
本発明は、自動調心ころ軸受だけでなく、他の形式の複列ころ軸受にも適用することができる。例えば、図8に示すような、複列円筒ころ軸受にも適用することができる。この複列円筒ころ軸受は、内輪2ではなく、外輪1の軸方向両端部につば13が設けられている。また、保持器5のポケット53は、ころ3が径方向内側へ脱落しないように形成されている。ただし、この複列円筒ころ軸受においても、上記実施形態と同様に内輪2につばが設けられていてもよい。
1:外輪、2:内輪、3:球面ころ、5:保持器、23:つば、50:環状体、51:柱、51a:第1の柱、51b:第2の柱
Claims (4)
- 内輪と、前記内輪の径方向外側に配置された外輪と、前記内輪及び前記外輪の径方向の間に2列に配置された複数のころと、各列の前記複数のころの周方向の間隔を保持する保持器とを備え、
前記内輪又は前記外輪が、径方向へ突出する環状のつばを軸方向の両端部に有しており、
前記保持器が、2列の前記ころの軸方向の間に配置される環状体と、前記環状体から軸方向両側に延びかつ軸方向の各側において周方向に間隔をあけて配置された複数の柱とを有しており、
少なくとも軸方向一方側の前記複数の柱が、第1の柱と、前記第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含む、複列ころ軸受。 - 前記第2の柱は、前記環状体から前記ころの軸心方向における中央を越えて軸方向に延びている、請求項1に記載の複列ころ軸受。
- 軸方向の両側における複数の柱が、前記第1の柱と前記第2の柱とを有しており、軸方向の各側の、前記第2の柱を含む2つの柱によって形成されるポケット同士が、互いに軸方向に重ならない位置に配置されている、請求項1又は2に記載の複列ころ軸受。
- 複列ころ軸受における複列のころの軸方向の間に配置される環状体と、前記環状体から軸方向両側に延びかつ軸方向の各側において周方向に間隔をあけて配置された複数の柱とを有しており、
少なくとも軸方向一方側の前記複数の柱が、第1の柱と、前記第1の柱よりも軸方向の長さが短い少なくとも1つの第2の柱とを含む、複列ころ軸受用の保持器。
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