JP2019199459A - 含フッ素芳香族ジアミンの製造方法 - Google Patents
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- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
Description
、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子であり、aとbはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、1≦ a+b≦4である。)
は−C(CF3)2OH基を表す。)
[発明1]
芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
式(1)
で表される芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(2)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明1の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
式(3)
で表される芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、式(4)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明2の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
式(5)
で表される芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(6)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明2または発明3の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
式(7)
で表される芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(8)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明2または発明3の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
式(9)
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(10)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明1の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
パラフェニレンジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(11)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
発明6の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
メタフェニレンジアミンと、ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(12)
で表される含フッ素芳香族ジアミン化合物を得る工程を含む、
発明6の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
酸の存在下で反応させる、発明1〜10の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
[発明12]
芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る第1の工程と、
前記含フッ素芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて、含フッ素芳香族ポリアミック酸を得る第2の工程と、
前記含フッ素芳香族ポリアミック酸を脱水閉環させて、含フッ素芳香族ポリイミドを得る第3の工程とを含む、
含フッ素芳香族ポリイミドの製造方法。
芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る第1の工程と、
前記含フッ素芳香族ジアミンと、ジカルボン酸もしくはその誘導体、またはジカルボン酸ジハライドを反応させて、含フッ素芳香族ポリアミドを得る第2の工程とを含む、
含フッ素芳香族ポリアミドの製造方法。
[式(2)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造]
本発明は、式(1)
で表される芳香族多環化合物である芳香族ジアミンと、
HFAを
HFIP中で反応させ、
式(2)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
HFIP基含有ジアミンの製造方法である。
さらに、本発明は、
式(3)
で表される芳香族多環化合物である芳香族ジアミンと、
HFAを
HFIP中で反応させ、
式(4)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(4)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
また、本発明は、式(5)
で表される芳香族多環化合物である芳香族ジアミンと、
HFAを
HFIP中で反応させ、
式(6)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(6)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
で表される芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
式(8)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(8)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
[式(10)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造]
本発明は、式(9)
HFAを、
HFIP中で反応させ、
式(10)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(10)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
本発明の芳香族単環化合物であるHFIP基含有ジアミンの製造法において、式(9)で表される芳香族単環化合物である芳香族ジアミンには、入手し易いことよりパラフェニレンジアミンまたはメタフェニレンジアミンを用いることが好ましい。
HFAを、
HFIP中で反応させ、
式(11)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(11)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
HFAを、
HFIP中で反応させ、
式(12)
で表されるHFIP基含有ジアミンを得る工程を含む、
式(12)で表されるHFIP基含有ジアミンの製造方法である。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法に使用する反応器は、HFAの沸点が−28℃であることから、HFAの反応系外への流出を防ぐ冷却還流器付き反応器、または密封型の反応器を用いることができ、取り扱いが簡便であることより、好ましくは密封型の反応器である。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、原料である芳香族ジアミンとの反応に使用するHFAの量は、目的とするHFIP基含有ジアミンによって、導入するHFIP基の数が異なるため、HFAの必要量も異なる。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法に係る反応において、反応溶媒にHFIPを使用する。HFIPは極性が高いので芳香族ジアミンを溶解し易く、且つ弱酸性なので酸触媒の効果もあるため、過剰量のHFAを用いることなく、反応を速やかに進行させることができる。また、余剰のHFAが削減できることにより、原料またはHFIP基含有ジアミンのアミノ基と反応して副生するイミン類を抑制できるため、高い選択率且つ収率でHFIP基含有ジアミンを得ることができる。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、触媒を用いるか否かは、原料である芳香族ジアミンの種類による。
は1:0.01〜0.1である。酸触媒の量が少ないと、反応速度向上の効果は少なく、0.5よりも多いと経済的に好ましくない。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、芳香族ジアミンとHFAを反応させてHFIP基含有ジアミンを得る際の反応温度は、20℃以上、160℃以下であり、好ましくは、50℃以上、140℃以下であり、さらに好ましくは、60℃以上、120℃以下である。20℃未満では反応速度が極めて遅く、実用的な製造方法とはならない。また、160℃を超えると、HFAと、原料である芳香族ジアミンのアミノ基または目的物であるHFIP基含有ジアミンのアミノ基が反応し、イミン類の副生が増加し、HFIP基含有ジアミンの収率が低下する。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、芳香族ジアミンとHFAを反応させてHFIP基含有ジアミンを得る際の反応時間は、反応温度または反応溶媒としてのHFIPの量に依存する。反応終了は、原料である芳香族ジアミンの消費をモニタリングすることで、確認することができる。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、HFIP基含有ジアミンは反応物を公知の方法で精製して得ることができる。精製方法としては、抽出、蒸留、晶析等の定法を適宜組合せて行うことができる。例えば、反応物より、HFIP等を留去した後、晶析により精製し、HFIP基含有ジアミンを得ることができる。また、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により、さらにHFIP基含有ジアミンを高純度化することができる。
反応終了後に残っているHFIPは、蒸留によって反応物中から分離回収することができる。回収したHFIPは、本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法における芳香族ジアミンとHFAを反応させる際の反応溶媒として再利用することができる。必要に応じて、回収したHFIPに脱水処理を施して水分を除去して、反応溶媒として再利用してもよい。
本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法において、得られた含フッ素芳香族ジアミンは、ジカルボン酸またはテトラカルボン酸2無水物と反応させることで、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミドなどの高分子量体の合成に利用することができる。
本発明の含フッ素芳香族ポリイミド(以下、HFIP基含有ポリイミドと呼ぶことがある)の製造方法は、
芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した含フッ素芳香族ジアミン(HFIP基含有ジアミン)を得る第1の工程と、
前記HFIP基含有ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて、含フッ素芳香族ポリアミック酸(以下、HFIP基含有ポリアミック酸と呼ぶことがある)を得る第2の工程と、
前記HFIP基含有ポリアミック酸を脱水閉環させて、含フッ素芳香族ポリイミド(以下、HFIP基含有ポリイミドと呼ぶことがある)を得る第3の工程とを含む。
本発明の、2個以上の芳香環を含むHFIP基含有ジアミンを用いたHFIP基含有ポリイミドの製造方法は、
以下の式(1)で表される芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である式(1)で表される芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した式(2)で表されるHFIP基含有ジアミンを得る第1の工程と、
前記式(2)で表されるHFIP基含有ジアミンと、以下の式(13)で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させて、式(14)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリアミック酸を得る第2の工程と、
前記、式(14)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリアミック酸を脱水閉環させて、式(15)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリイミドを得る第3の工程とを含む。
式(1)、式(2)
式(13)
式(14)
式(15)
本発明の、単環の芳香環のみを含むHFIP基含有ジアミンを用いたHFIP基含有ポリイミドの製造方法は、
以下の式(9)で表される芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である式(9)で表される芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した式(10)で表されるHFIP基含有ジアミンを得る第1の工程と、
前記式(10)で表されるHFIP基含有ジアミンと、以下の式(13)で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させて、式(16)で表される繰り返し単位を含むHFIP含有ポリアミック酸を得る第2の工程と、
前記、式(16)で表されるHFIP基含有ポリアミック酸を脱水閉環させて、式(17)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリイミドを得る第3の工程と、を含む。
式(9)、式(10)
式(13)
式(16)
式(17)
本発明のHFIP基含有ポリイミドの製造方法において使用する、テトラカルボン酸二無水物は、ポリアミック酸またはポリイミドの原料化合物として一般的に知られている物であれば、特に制限なく使用することができる。
本発明のHFIP基含有ポリイミドの製造方法における第1の工程は、
芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した含フッ素芳香族ジアミン(HFIP基含有ジアミン)を得る工程である。
本工程は、前述の本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法と同様に行うことができる。
本発明のHFIP基含有ポリイミドの製造方法における第2の工程は、前記第1の工程で得たHFIP基含有ジアミンと、テトラカルボン酸二無水物を反応させて、HFIP基含有ポリアミック酸を得る工程である。第2の工程は、特許文献5〜7に記載の方法に基づいて行うことができる。
ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、または1,1,2,2−テトラクロロエタンを例示することができる。
ラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチルラクトン等を例示すること
ができる。
本発明のHFIP基含有ポリイミドの製造方法における第3の工程は、前記第2の工程で得られたHFIP基含有ポリアミック酸を脱水閉環させて、含フッ素芳香族ポリイミドを得る工程である。第3の工程は、特許文献5〜7に記載の方法に基づいて行うことができる。
加熱によりHFIP基含有ポリアミック酸化合物内で脱水閉環してイミド化を行う場合、温度80℃以上、350℃以下でイミド環が形成され、HFIP基含有ポリイミドを得ることができる。好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。温度が80℃未満の場合は、脱水閉環が完全に進行せずイミド化率が不十分であり、前記HFIP基含有ポリイミドをコーティング膜にした際に膜強度が損なわれる、または吸水性が高くなる虞がある。一方、温度が350℃を超える場合はポリイミドの一部が熱分解する等して、前記ポリイミドをコーティング膜にした際に膜強度が損なわれる、または着色する虞がある。
脱水試薬を用いて前記HFIP基含有ポリアミック酸化合物内で脱水閉環してイミド化を行う場合、脱水試薬として無水酢酸、さらにピリジンまたはトリエチルアミン等の塩基を添加し、HFIP基含有ポリアミック酸化合物内で脱水することで、HFIP基含有ポリイミドを得ることも可能である。この際、HFIP基含有ポリアミック酸1モルに対し、脱水試薬の添加量は2モル以上、10モル以下、塩基の添加量は2モル以上、10モル以下であることが好ましい。
本発明のHFIP基含有ポリイミドの製造方法で得られた式(15)または式(17)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリイミドは、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)が10000以上、500000以下であることが好ましい。Mwが10000より小さいと、HFIP基含有ポリイミドの強度が低く自立膜ができにくく、500000より大きいとHFIP基含有ポリイミドは有機溶剤に対する溶解性が低い。特に好ましくは、50000以上、150000以下である。
本発明の含フッ素芳香族ポリアミド(以下、HFIP基含有ポリアミドと呼ぶことがある)の製造方法は、
芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した含フッ素芳香族ジアミン(HFIP基含有ジアミン)を得る第1の工程と、
前記HFIP基含有ジアミンと、ジカルボン酸もしくはその誘導体、またはジカルボン酸ジハライドを反応させて、HFIP含有ポリアミドを得る第2の工程とを含む。
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法において、使用するHFIP基含有ジアミンは、以下に示す様に2個以上の芳香環を含む場合と、1個の芳香環のみを含む場合がある。
本発明の、2個以上の芳香環を含むHFIP基含有ジアミンを用いたHFIP基含有ポリアミドの製造方法は、
以下の式(1)で表される芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である式(1)で表される芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した式(2)で表されるHFIP基含有ジアミンを得る第1の工程と、
前記式(2)で表されるHFIP基含有ジアミンと、以下の式(18)で表されるジカルボン酸もしくはその誘導体、または式(19)で表されるジカルボン酸ハライドを反応させて、式(20)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリアミドを得る第2の工程とを含む。
式(1)、式(2)
式(18)
式(19)
式(20)
本発明の、単環の芳香環のみを含むHFIP基含有ジアミンを用いたHFIP基含有ポリアミドの製造方法は、
以下の式(9)で表される芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である式(9)で表される芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した式(10)で表されるHFIP基含有ジアミンを得る第1の工程と、
以下の式(18)で表されるジカルボン酸もしくはその誘導体、または式(19)で表されるジカルボン酸ハライドを反応させて、式(21)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリアミドを得る第2の工程とを含む。
式(9)、式(10)
式(18)
式(19)
式(21)
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法において使用する、式(18)で表わされるジカルボン酸もしくはその誘導体は、ポリアミドの原料化合物として一般的に知られている物であれば、特に制限なく使用することができる。
式(19)で表わされるジカルボン酸ジハライドは、式(18)に示されるジカルボンにおいて、上記のカルボン酸のカルボキシル基を、ハロゲン原子で置換したものである。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法における第1の工程は、
芳香族ジアミンと、
HFAを、
HFIP中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環にHFIP基が結合した含フッ素芳香族ジアミン(HFIP基含有ジアミン)を得る工程である。
本工程は、前述の本発明のHFIP基含有ジアミンの製造方法と同様に行うことができる。
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法における第2の工程は、前記第1の工程で得たHFIP基含有ジアミンと、ジカルボン酸もしくはその誘導体、またはジカルボン酸ジハライドを反応させて、HFIP基含有ポリアミドを得る工程である。第2の工程は、特許文献5〜7に記載の方法に基づいて行うことができる。
ラクトン系溶媒としては、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンまたはα−メチル−γ−ブチルラクトン等を例示することができる。
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法で得られた、式(20)または式(21)で表される繰り返し単位を含むHFIP基含有ポリアミドは、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)が10000以上、500000以下であることが好ましい。Mwが10000より小さいと、得られるHFIP基含有ポリアミドの強度が低く自立膜ができにくく、500000より大きいと得られるHFIP基含有ポリアミドは有機溶剤に対する溶解性が低い。。特に好ましくは、50000以上、150000以下である。
本発明のHFIP基含有ポリアミドの製造方法で得られた、以下に示す式(22)で表される繰り返し単位を含む含有ポリアミドを環化させることにより、式(23)で表される繰り返し単位を含む、HFIP基含有重合体を得ることができる。環化反応は、加熱して行うことができ、また酸触媒を加え加熱する等の脱水を促進する方法で行うことができる。
式(22)
式(23)
式(24)
式(25)
(式中、R3は式(18)における意味と同義である。)
1−1.ジフェニル骨格を有するHFIP基含有ジアミンの合成
実施例1
<HFIPを溶媒として用いた、5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンの合成>
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるメタトリジン80.0g(0.38モル)、反応溶媒であるHFIP、400gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA、156g(0.94モル、2.5当量)を加え、80℃で7時間、反応を行った。
F−NMR(DMSO−d6):δ−72.78(s).
<HFIPの再利用>
実施例1において反応後に回収したHFIP、334gに、未使用のHFIP、66gを加え、実施例1と同様にHFIP、400gを使用し、実施例1と同様の反応を同様の手順で行った。80℃で7時間反応させた後、反応液をサンプリングして、反応物の組成(選択率)をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、それぞれ面積%で表して、目的物である5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンが97.7%、副生したイミン類が2.3%であり、実施例1の結果と同等であった。
<エタノールを溶媒として用いた、5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンの合成 >
<アセトニトリルを溶媒として用いた、5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンの合成>
<HFA3水和物を原料として用いた、5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンの合成 >
圧力計、温度計および攪拌機を備えた内容積300mLのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるメタトリジン42.4g(0.20モル)、HFA3水和物220g(1.00モル)、触媒としてパラトルエンスルホン酸1水和物1.90g(0.01モル)を入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し反応器を135℃に昇温した後、135℃で22時間、反応を行った。
実施例3
<3,3’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−4,4’−メチレンジアニリンの合成>
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料である4,4−メチレンジアニリン75.0g(0.38モル)、および反応溶媒であるHFIP、750gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA、145g(0.87モル、2.3当量)を加え、80℃で24時間、反応を行った。
実施例4
<溶媒としてHFIPを用いた3,3’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−4,4’−オキシジアニリンの合成>
<溶媒としてキシレンを用いた3,3’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−4,4’−オキシジアニリンの合成>
実施例5
<溶媒としてHFIPを用いた1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンの合成>
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるパラフェニレンジアミン30.0g(0.28モル)、反応溶媒であるHFIP、300gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA、55.8g(0.34モル、1.2当量)を加え、80℃で24時間、反応を行った。
<溶媒としてHFIPを用いた1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンの合成>触媒としてのパラトルエンスルホン酸1水和物の添加
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるパラフェニレンジアミン75.0 g( 0.69モル)、触媒としてパラトルエンスルホン酸1水和物5.25g(0.028モル)、反応溶媒であるHFIP、750gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA、137g(0.83モル、1.2当量)を加え、80℃で24時間、反応を行った。
<溶媒としてHFIPを用いた1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンの合成> 触媒としてのトリフルオロメタンスルホン酸の添加
触媒としてパラトルエンスルホン酸1水和物の代わりにトリフルオロメタンスルホン酸を使用した以外は、実施例4と同様の反応を同様の手順で行った。
<溶媒としてトルエンを用いた1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンの合成>
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるパラフェニレンジアミン30.0g(0.28モル)、触媒としてパラトルエンスルホン酸1水和物2.1g(0.011モル)、反応溶媒としてトルエン300gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温110℃に到達したところで、HFA、55.8g(0.34モル、1.2当量)を加え、110℃で24時間、反応を行った。
[1,3−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)−4,6−フェニレンジアミンの合成]
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料であるメタフェニレンジアミン25.0g(0.23モル)、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸3.47g(0.023モル)、および反応溶媒であるHFIP250gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA92.1g(0.56モル、2.4当量)を加え、80℃で24時間、反応を行った。
[9,9−ビス(4−アミノ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)フルオレンの合成]
圧力計、温度計および攪拌機を備えた1Lのステンレス鋼製耐圧反応器に、原料である9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン80.0g(0.23モル)、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(0.011モル)、および反応溶媒であるHFIP400gを入れ、反応器内を窒素で置換した後、オイルバスにより加熱し、内温80℃に到達したところで、HFA91.5g(0.55モル、2.4当量)を加え、80℃で20時間、反応を行った。
[脱水試薬を用いた脱水閉環による含フッ素芳香族ポリイミドの合成]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの四口フラスコに、実施例1で合成した5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンを33.4g(0.061モル)、および6FDAを27.2g(0.061モル)加え、さらに、有機溶剤としてDMAcを111g加え、窒素雰囲気下、恒温槽(20℃)で24時間攪拌した後、ピリジン10.2g(0.13モル)、無水酢酸13.1g(0.13モル)を順に加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で3時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAcを加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、式(26)で表される繰り返し単位を含むポリイミドのDMAc溶液を合成した。得られたポリイミド溶液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(以降、GPCと略すことがある)による分子量の測定を行ったところ、Mw=120500、Mw/Mn=2.3であった。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
含フッ素芳香族ジアミンを実施例7で合成した1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンを用いた以外は、実施例10と同様の操作を実施し、式(27)で表される繰り返し単位を含むポリイミド溶液の分子量の測定を行ったところ、Mw=120760、Mw/Mn=2.3であった。なお、GPCには、前記機種および前記カラムを用い、展開溶剤にはTHFを用いた。
[加熱脱水閉環による含フッ素芳香族ポリイミドの合成]
窒素導入管、ディーンシュターク管および攪拌翼を備えた容量300mLの三口フラスコに、実施例1で合成した5,5’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2,2’−ジメチルベンジジンを43.5g(0.08モル)、および6FDAを35.5g(0.08モル)加え、さらに、有機溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を143gおよびトルエン50gを加え、窒素雰囲気下、オイルバスにより加熱し、内温180℃で7時間、反応を行った。
含フッ素芳香族ジアミンを実施例7で合成した1−(2−ヒドロキシヘキサフルオロ−2−プロピル)−2,5−フェニレンジアミンを用いた以外は、実施例12と同様の操作を実施し、得られたポリイミド溶液の分子量の測定を行ったところ、Mw=91110、Mw/Mn=2.3であった。なお、GPCには、前記機種および前記カラムを用い、展開溶剤にはTHFを用いた。
[含フッ素芳香族ポリアミドの合成]
窒素導入管、滴下ロートおよび攪拌翼を備えた容量500mLの四口フラスコに、実施例3で合成した3,3’−ビス(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−4,4’−メチレンジアニリンを53.0g(0.1モル)、およびDMAcを55g加えた。次に、THF55gにテレフタル酸クロリド20.3gを溶解させた溶液を窒素雰囲気下、恒温槽により内温を10℃以下に保ちながら、滴下ロートにて添加した。添加終了後、内温を室温(25℃)まで昇温し、1時間熟成させた後、式(28)で表される繰り返し単位を含むポリアミド溶液をサンプリングして、GPCによる分子量の測定を行ったところ、Mw=760000、Mw/Mn=2.2であった。なお、GPCには、前記機種および前記カラムを用い、展開溶剤にはTHFを用いた。
Claims (13)
- 芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る工程を含む、
含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。 - 式(1)
で表される芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
式(2)
で表される含フッ素芳香族ジアミンを得る、
請求項1に記載の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。 - 酸の存在下で反応させる、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族ジアミンの製造方法。
- 芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る第1の工程と、
前記含フッ素芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて、含フッ素芳香族ポリアミック酸を得る第2の工程と、
前記含フッ素芳香族ポリアミック酸を脱水閉環させて、含フッ素芳香族ポリイミドを得る第3の工程とを含む、
含フッ素芳香族ポリイミドの製造方法。 - 芳香族ジアミンと、
ヘキサフルオロアセトンを、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中で反応させ、
出発原料である芳香族ジアミン中の、アミノ基を有する芳香環に−C(CF3)2OH基が結合した含フッ素芳香族ジアミンを得る第1の工程と、
前記含フッ素芳香族ジアミンと、ジカルボン酸もしくはその誘導体、またはジカルボン酸ジハライドを反応させて、含フッ素芳香族ポリアミドを得る第2の工程とを含む、
含フッ素芳香族ポリアミドの製造方法。
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