JP2019195823A - 角継手のレーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】両板材の位置合わせが正確かつ容易に行え、かつ、均一なR面を形成して十分な溶接強度を得ることができる角継手の溶接方法を提供する。【解決手段】一方の板部材に他方の板部材を突き合わせて角継手を形成して溶接を行う角継手の溶接方法であって、一方の板部材の端面に切り欠きを入れる端面加工を施して用意する工程と、他方の板部材を用意する工程と、一方の板部材の端面の切り欠きに、他方の板部材を組み込んで角継手を形成する工程と、角継手にレーザ溶接を行う工程と、を有する。【選択図】 図2
Description
本発明は、レーザによる角継手の溶接方法に関するものである。
従来から、高品質なR面溶接を得るためにファイバレーザで角継手を溶接する方法が知られている。
例えば、直角の角継手の場合に、高品質なR面溶接を形成するために、一方の板部材の端面上に、他方の板部材の端部の内面側を当接させてつき合わせる。その際、一方の板部材の端面の一部が露出するように、他方の板部材の端部を引き、その状態で、その角継手にファイバレーザを照射して溶接を行う方法が提案されている(特許文献1、2)。
その場合、一方の板部材の端面の半分だけ他方の板部材の端部を引いて半分を重ねる1/2引きや一方の板部材の端面の1/3だけ他方の板部材の端部を引いて2/3を重ねる1/3引きが知られていた。図10に、1/3引きの角継手溶接の一例を示す。
図10は、従来の1/3引きの角継手溶接の概略説明図である。
しかしながら、上述のような一方の板部材の端面上において他方の板部材の端部を引いて溶接を行う方法では、以下のような問題点があった。
一方の板部材を引いた角継手溶接では、板部材の長さが長いと、その長手方向に沿った双方の板部材の位置合わせが難しく、一方の板部材の端面と他方の板部材の端部の内面との重ね量が不均一になり易く、溶接不良の原因となってしまっていた。
すなわち、重ね量が不均一になった結果、重ね量が少ない場所では、照射されたファイバレーザが裏側へ抜けてしまい、十分に広いR面が形成されず、十分な溶接強度を得ることができない問題があった。
また、一方の板部材を引いた角継手溶接では、1/2引きであっても、1/3引きであっても、一方の板部材の端面の露出部の広さと、他方の板部材の端面の広さとが異なるため、溶接において均等な肉盛りができず、R面が偏ってしまい、R面の端部にエッジができてしまい、外観の品質を損なう問題があった。
そのため、一方の板部材を引いた角継手溶接では、図10に示すように、レーザLBの照射角度や照射位置を常に変える必要があった。
また、一方の板部材の端面上において他方の板部材の端部を引いて位置合わせをしても、その合わせ位置が簡単にずれてしまうため、仮止め作業等をして固定しなければならない欠点もあった。
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、両板材の位置合わせが正確かつ容易に行える角継手の溶接方法を提供することである。
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、以下の特徴を有する方法である。
1)一方の板部材に他方の板部材を突き合わせて角継手を形成して溶接を行う角継手の溶接方法であって、前記一方の板部材の端面に端面加工を施し、その端面加工に合せて前記他方の板部材の突き合わせを行って角継手を形成する角継手の溶接方法である。
2)前記1)の発明は好ましくは、前記角継手に対してレーザ溶接を行う角継手の溶接方法である。
3)前記1)、2)いずれかの発明は好ましくは、前記端面加工が、前記他方の板部材が位置決め容易な形状である角継手の溶接方法である。
4)前記1)〜3)のいずれかの発明は好ましくは、前記角継手において前記一方の板部材の露出幅と、前記他方の板部材の露出幅とが同じとなるように、前記端面加工が施される角継手の溶接方法である。
5)前記2)〜4)のいずれかの発明は好ましくは、前記角継手に対し常に一定の位置と一定の角度でレーザ照射する角継手の溶接方法である。
本発明によれば、両板材の位置合わせが正確かつ容易に行える。
本願発明は、2つの部材を付き合わせて角継手溶接を行う場合に、一方の部材の端面に端面加工を施して、その端面加工部分に、他方の部材の端部を角継手合わせを行うようにしたものである。
まず、一方の部材の端面加工の実施形態から説明する。
図1は、本発明に係わる端面加工された板部材の実施形態を示す図であり、(a)は、板部材の斜視図であり、(b)は、板部材の側面図であり、(c)は、端面加工された板部材の端部の拡大図である。
図1(a)、(b)に示すように、この板部材1は、長方形状となっており、長手方向の両辺3、5に端面加工が施されている。この端面加工は、後述するように、他方の板部材13が位置決め容易な形状となっている。
図1(c)に示すように、この板部材1の両辺3、5においては、所定の深さ寸法dおよび所定の幅寸法cだけ切り欠き7が入れられている。この切り欠き7に、他方の板部材13の端部9が組み込まれて直角の角継手合わせが行われる(図6参照)。
次に、図2を参照して、本発明に係わる角継手の溶接方法の一実施形態について説明する。
図2は、本発明に係わる角継手の溶接方法の一実施形態の動作フローチャートである。
ステップ101において、一方の板部材1の端部に端面加工を施して用意する。
板部材1の両辺3、5において切り欠きを形成する方法の一例を説明する。ここでは、複数枚の板部材1を形成する方法を採用する。
図3は、板部材1の両辺3、5において切り欠きを形成する方法の一例を断面で示した説明図である。
図3に示すように、長尺の板材の所定部分に、例えば、パンチングマシンで切り欠き金型等を使用したプレーナー加工により所定幅の溝部11を形成する。ここで、溝部11の所定幅Wが、切り欠き7の所定の幅寸法cの2倍の幅となり、溝部11の深さが、切り欠き7の所定の深さ寸法dとなるように形成する。この実施形態では、切り欠き7の所定の幅寸法cおよび所定の深さ寸法dは、板部材1の板厚の半分(1/2)に設定されている。
なお、溝部11の所定幅および深さは、後述するように、一方の板部材1および他方の板部材13の板厚によって変更され得る。
すなわち、一方の板部材1の露出幅Bと、他方の板部材13の露出幅Dとが同じとなるように設定され得る(図7(a)参照)。
そして、図3に示すように、レーザ切断加工等により溝部11の真ん中Aで切り分ける。このようにして、両辺3、5において切り欠きが形成された板部材1が複数枚出来上がる。
図4は、板材の板厚hと、切り欠き7の所定の幅寸法cおよび所定の深さ寸法dとの具体例を示すテーブル図である。
次に、ステップ103において、一方の板部材1に組合せる他方の板部材13を用意する。
図5は、端面加工が施された一方の板部材1と同じ板厚の他方の板部材13の側面図である。
すなわち、この実施形態では、図5に示すように、一方の板部材1と同じ板厚の他方の板部材13が用意される。
なお、後述するように、他方の板部材13の板厚を、一方の板部材1の板厚と異なる板厚とすることもできる。
ステップ105において、一方の板部材1の切り欠き7に、他方の板部材13の端部9を組み込んで(係合して)角継手合わせを行う。
図6は、一方の板部材1の切り欠き7に、他方の板部材13の端部9を組み込んで直角の角継手合わせを行う説明図であり、(a)は、切り欠き7に端部9を組み込む様子を示した説明図であり、(b)は、一方の板部材1に他方の板部材13が係合した状態を示す説明図である。
まず、図6(a)に示すように、一方の板部材1の切り欠き7に他方の板部材13の端部9を位置合わせしながら、切り欠き7に端部9を組み込む。
この組み込み作業において、板部材1および板部材13が長尺の板材である場合でも、一方の板部材1の切り欠き7を目安にして、その切り欠き7に他方の板部材13の端部9が収まるように位置合わせすれば良いので、双方の板部材の位置合わせが簡単になる。
それにより、一方の板部材1の端部と他方の板部材13の端部9との重ね量も、板部材1、13の長さ方向で均一となり、正確な位置合わせが達成できる。
また、切り欠き7に端部9が組み込まれているため、一度位置合わせすれば、簡単にはその合わせ位置がずれたりせず、仮止め作業をする必要も無くなる。
この実施形態の場合、図1(c)に示すように、一方の板部材1の切り欠き7が、板部材1の板厚の半分(1/2)の深さ寸法dで、板部材1の板厚の半分(1/2)の幅寸法cで形成されている。
そのため、一方の板部材1の端部と他方の板部材13の端部9との重ね量は、深さ方向および幅方向共に、板部材1の板厚の半分(1/2)の寸法となる。
次に、ステップ107において、レーザ照射により角継手の溶接を行う。
なお、この実施形態では、直角の角継手を例にとって説明したが、直角以外の角継手でも良い。
図7は、レーザ光による角継手溶接の説明図であり、(a)は、角継手にレーザ光を照射している様子を示した説明図であり、(b)は、角継手溶接により形成されたR面を示す説明図である。
図7(a)に示すように、角継手に向かって所定の照射角でファイバレーザによるレーザ光LBを照射して角継手の溶接が行われる。ここで、所定の照射角は45°となっている。
このような角継手溶接によれば、重ね量が均一となるため、照射されたファイバレーザが裏側へ抜けてしまうことなく、図7(b)に示すように、十分に均一なR面Gが形成される。
すなわち、図7(a)に示すように、一方の板部材1と他方の板部材13とは同じ板厚であり、双方の重ね量は、図1(c)で説明したように、板厚の1/2となっている。そのため、図7(a)に示すように、角継手における一方の板部材1の露出幅B(寸法dと同じ)と、他方の板部材13の露出幅D(寸法cと同じ)とは、同じ板厚の1/2(もしくは、ほぼ1/2)となる。
また、図7(a)に示すように、角継手における一方の板部材1の露出幅Bと、他方の板部材13の露出幅Dとは、同じ板厚の1/2となるので、溶融幅Eも、従来の1/2引きあるいは1/3引きのものより小さくできる。
上述のように、この実施形態によれば、一方の板部材1に切り欠き7を設け、その切り欠き7を目安にして、その切り欠き7に他方の板部材13の端部9が収まるように位置合わせしているので、双方の板部材の位置合わせが簡単かつ正確になり、一方の板部材1の端部と他方の板部材13の端部9との重ね量も、板部材1、13の長さ方向で均一となり、正確な位置合わせが達成できる。
さらに、角継手における一方の板部材1の露出幅Bと、他方の板部材13の露出幅Dとが同じとなるように、切り欠き7を形成しているので、均一なR面Gが形成でき、照射位置および照射角度を変える必要なく、角継手に対し常に一定の位置と一定の角度でレーザ照射すれば良いこととなる。すなわち、この実施形態では、常に角継手の中央に45°で照射すれば良いので、不毛な操作や制御が不要になる。
また、1/2引や1/3引きに比べ、溶接箇所の部材量が多いため高出力でも抜けにくくなる。それによって大きなR面の外観の作成も可能になる。
前記実施形態によれば、両板材の位置合わせが正確かつ容易に行え、かつ、均一なR面Gを形成して十分な溶接強度を得ることができる。
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
この実施形態では、双方の板部材の板厚を同じとしたが、本発明は、双方の板部材の板厚が異なる場合も適応できる。
例えば、一方の板部材1の板厚を1.2mmとし、他方の板部材13の板厚を1.6mmとした場合、一方の板部材1の露出幅Bと、他方の板部材13の露出幅Dとが共に0.6mmとなるように、一方の板部材1の切り欠き7の幅寸法cを、1mmと設定する。
また、一方の板部材1の板厚を1.2mmとし、他方の板部材13の板厚を1.6mmとした場合、一方の板部材1の露出幅Bと、他方の板部材13の露出幅Dとが同じ幅である0.7mmとなるように、一方の板部材1の切り欠き7の幅寸法cを、0.9mmと設定することもできる。
ただし、レーザ溶接におけるファイバレーザの裏側へ抜けを考慮すると、一方の板部材1の切り欠き7の深さ寸法dは、一方の板部材1の板厚の半分に近い所定値であることが望ましい。
前記角継手の溶接方法の実施形態によれば、両板材の位置合わせが正確かつ容易に行え、かつ、均一なR面Gを形成して十分な溶接強度を得ることができる。
また、この実施形態の場合、直角の角継手となっていたが、本発明は、直角以外の角継手にも適用できる。
また、この実施形態の場合、切り欠きが直角の角継手となっていたが、本願発明は、切り欠きが鈍角形状等であっても、他方の板部材が位置決め容易に形成されていれば良い。
以下に、切り欠きが鈍角形状の場合の変形例について説明する。
図8は、一方の板部材1の切り欠き7aに、他方の板部材13の端部9を組み込んで直角の角継手合わせとした変形例の説明図であり、(a)は、切り欠き7aに端部9を組む込む様子を示した説明図であり、(b)は、一方の板部材1に他方の板部材13が係合した状態を示す説明図である。
この変形例では、図8に示すように、一方の板部材1の切り欠き7aが鈍角形状となっており、その切り欠き7aに、他方の板部材13が係合するようになっている。
この変形例によっても、一方の板部材1の切り欠き7aを目安にして、その切り欠き7aに他方の板部材13の端部9が収まるように位置合わせしているので、双方の板部材の位置合わせが簡単かつ正確になり、一方の板部材1の端部と他方の板部材13の端部9との重ね量も、板部材1、13の長さ方向で均一となり、正確な位置合わせが達成できる。
さらに、角継手における一方の板部材1の露出幅と、他方の板部材13の露出幅とが同じとなるように、切り欠き7aを形成しているので、均一なR面Gが形成でき、照射位置および照射角度を変える必要なく、例えば常に中央に45°で照射すれば良いので、不毛な操作や制御が不要になる。
図9は、一方の板部材1の切り欠き7aに、他方の板部材13の端部9aを組み込んで直角以外の角継手合わせの変形例の説明図であり、(a)は、切り欠き7aに端部9aを組む込む様子を示した説明図であり、(b)は、一方の板部材1に他方の板部材13が係合した状態を示す説明図である。
この変形例では、図9に示すように、一方の板部材1の切り欠き7aが鈍角形状となっており、その切り欠き7aに、他方の板部材13の鋭角に加工した端部9aが係合し、鋭角の角継手を形成するようになっている。
この変形例によっても、一方の板部材1の切り欠き7aを目安にして、その切り欠き7aに他方の板部材13の端部9aが収まるように位置合わせしているので、双方の板部材の位置合わせが簡単かつ正確になり、一方の板部材1の端部と他方の板部材13の端部9との重ね量も、板部材1、13の長さ方向で均一となり、正確な位置合わせが達成できる。
さらに、角継手における一方の板部材1の露出幅と、他方の板部材13の露出幅とが同じとなるように、切り欠き7aを形成しているので、均一なR面Gが形成でき、照射位置および照射角度を変える必要なく、例えば常に中央に45°で照射すれば良いので、不毛な操作や制御が不要になる。
1…一方の板部材
3、5…板部材1の両辺
7…切り欠き
9…端部
11…溝部
13…他方の板部材
3、5…板部材1の両辺
7…切り欠き
9…端部
11…溝部
13…他方の板部材
1)一方の板部材に他方の板部材を突き合わせて角継手を形成して溶接を行う角継手の溶接方法であって、前記一方の板部材の端面に端面加工を施し、その端面加工に合せて前記他方の板部材の突き合わせを行って角継手を形成し、常に前記角継手の中央に45°でレーザ照射して、前記角継手に対してレーザ溶接を行う角継手の溶接方法。
2)前記1)の発明は好ましくは、前記端面加工は、前記他方の板部材が位置決め容易な形状である角継手の溶接方法である。
3)前記1)、2)のいずれかの発明は好ましくは、前記角継手において前記一方の板部材の露出幅と、前記他方の板部材の露出幅とが同じとなるように、前記端面加工が施される角継手の溶接方法である。
Claims (5)
- 一方の板部材に他方の板部材を突き合わせて角継手を形成して溶接を行う角継手の溶接方法であって、前記一方の板部材の端面に端面加工を施し、その端面加工に合せて前記他方の板部材の突き合わせを行って角継手を形成することを特徴とする角継手の溶接方法。
- 前記角継手に対してレーザ溶接を行うことを特徴とする請求項1に記載の角継手の溶接方法。
- 前記端面加工は、前記他方の板部材が位置決め容易な形状であることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の角継手の溶接方法。
- 前記角継手において前記一方の板部材の露出幅と、前記他方の板部材の露出幅とが同じとなるように、前記端面加工が施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の角継手の溶接方法。
- 前記角継手に対し常に一定の位置と一定の角度でレーザ照射することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の角継手の溶接方法。
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