JP2019192462A - Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Yusuke Sugiyama
佑介 杉山
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有貴 前原
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Manabu Miyoshi
学 三好
村瀬正和
Masakazu Murase
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Abstract

【課題】Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池であって、容量を好適に維持しつつ、その安全性に優れるものを提供する。【解決手段】 Si含有負極活物質を具備する負極と、SO3基を含有しないリチウム塩及び式(1)で表されるフェノール誘導体が溶解された電解液と、を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本発明は、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池に関するものである。
一般に、リチウムイオン二次電池は、主な構成要素として、正極、負極及び電解液を備える。そして、負極には、充放電に関与する負極活物質が具備されている。産業界からはリチウムイオン二次電池の高容量化が求められており、その対応として、各種の技術が検討されている。具体的な高容量化技術の一つに、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、リチウムの吸蔵能力に優れるSiを含有するSi含有負極活物質を採用することが知られている。
例えば、特許文献1には、負極活物質がシリコンであるリチウムイオン二次電池が記載されている。特許文献2及び特許文献3には、負極活物質がSiOであるリチウムイオン二次電池が記載されている。
特許文献4には、CaSiを酸と反応させてCaを除去した層状ポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造したこと、及び、当該シリコン材料を負極活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
特開2014−203595号公報 特開2015−185509号公報 特開2015−179625号公報 国際公開第2014/080608号
さて、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池は、高容量の二次電池であるが、当該高容量を好適に維持することが求められる。また、リチウムイオン二次電池には、高い安全性が求められる。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池であって、容量を好適に維持しつつ、その安全性に優れるものを提供することを目的とする。
本発明者が、特定のリチウム塩及び特定のフェノール誘導体が溶解された電解液を用いて、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池を製造し、当該リチウムイオン二次電池を試験したところ、容量が好適に維持されることを確認した。さらに、特定のフェノール誘導体が、リチウムが吸蔵された状態(充電状態)のSi含有負極活物質を具備する負極の発熱量を抑制することを知見した。
かかる知見に基づき、本発明は完成された。
本発明のリチウムイオン二次電池は、
Si含有負極活物質を具備する負極と、
SO基を含有しないリチウム塩及び以下の式(1)で表されるフェノール誘導体が溶解された電解液と、
を備えることを特徴とする。
Figure 2019192462
式(1)において、Rは炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に、炭化水素基、水酸基、ハロゲンから選択される。nは0〜4の整数である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、容量を好適に維持しつつ、安全性に優れる。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、Si含有負極活物質を具備する負極と、SO基を含有しないリチウム塩及び上記式(1)で表されるフェノール誘導体が溶解された電解液(以下、本発明の電解液ということがある。)とを備えることを特徴とする。
Si含有負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出し得るSi含有材料が使用可能である。
Si含有材料の具体例として、Si単体や、SiO(0.3≦x≦1.6)を例示できる。なお、xが下限値未満であると、Siの比率が過大になるため、充放電時の体積変化が大きくなりすぎてリチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下する場合がある。一方、xが上限値を超えると、Si比率が過小になってエネルギー密度が低下する。xの範囲は0.5≦x≦1.5であるのがより好ましく、0.7≦x≦1.2であるのがさらに好ましい。
Si含有材料の具体例として、国際公開第2014/080608号などに開示されるシリコン材料(以下、単に「シリコン材料」という。)を挙げることができる。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するものである。シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
シリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
ただし、ポリシランであるSiを合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Siは水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSiのみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi(OH)(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
既述のとおり、シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオンが効率的に吸蔵及び放出されるためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
Si含有負極活物質は、粒子の集合体である粉末状のものが好ましい。Si含有負極活物質の平均粒子径は、1〜30μmの範囲内が好ましく、2〜20μmの範囲内がより好ましい。平均粒子径が小さすぎるSi含有負極活物質を用いると、製造作業が困難になる場合がある。他方、平均粒子径が大きすぎるSi含有負極活物質を用いた負極を具備するリチウムイオン二次電池は、好適な充放電ができない場合がある。なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で試料を測定した場合におけるD50を意味する。
Si含有負極活物質として、Si含有負極活物質を炭素層で被覆した炭素層被覆−Si含有負極活物質を採用してもよい。炭素層被覆−Si含有負極活物質は、炭素層とSi含有負極活物質とが一体化しているものが好ましい。そのような炭素層被覆−Si含有負極活物質の製造方法としては、Si含有負極活物質及び炭素粉末の混合物に対して、強い圧力を付した上で撹拌して一体化するメカニカルミリング法や、炭素源から生じる炭素をSi含有負極活物質に蒸着させるCVD(chemical vapor deposition)法を例示できる。
Si含有負極活物質の表面を薄い炭素層で均一に被覆できる点から、CVD法が好ましい。そして、CVD法のうち、炭素源である気体状態の有機物を熱で分解して炭素を発生させる熱CVD法が好ましい。
熱CVD法を用いて炭素層被覆−Si含有負極活物質を製造する、熱CVD工程について具体的に説明する。詳細に述べると、熱CVD工程は、非酸化性雰囲気下及び加熱条件下にて、Si含有負極活物質を有機物と接触させて、Si含有負極活物質の表面に有機物が炭素化してなる炭素層を形成させる工程である。熱CVD工程を行う場合には、ホットウォール型、コールドウォール型、横型、縦型などの型式の、流動層反応炉、回転炉、トンネル炉、バッチ式焼成炉、ロータリーキルンなどの公知のCVD装置を用いればよい。
有機物としては、非酸化性雰囲気下での加熱によって熱分解して炭化し得るものが用いられ、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレンなどの不飽和脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、ベンゾフラン、ピリジンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、脂肪酸類などから選択される一種又は混合物が挙げられる。
熱CVD工程における処理温度は、有機物の種類によって異なるが、有機物が熱分解する温度より50℃以上高い温度とすることが望ましい。しかし、加熱温度が過度に高いと、系内に遊離炭素(煤)が発生する場合があるので、遊離炭素(煤)が発生しない条件を選択することが好ましい。形成される炭素層の厚さは、処理時間によって制御することができる。
熱CVD工程は、Si含有負極活物質を流動状態にして行うことが望ましい。このようにすることで、Si含有負極活物質の全表面を有機物と接触させることができ、より均一な炭素層を形成することができる。Si含有負極活物質を流動状態にするには、流動床を用いるなど各種方法があるが、Si含有負極活物質を撹拌しながら有機物と接触させるのが好ましい。例えば、内部に邪魔板をもつ回転炉を用いれば、邪魔板に留まったSi含有負極活物質が回転炉の回転に伴って所定高さから落下することで撹拌され、その際に有機物と接触して炭素層が形成されるので、Si含有負極活物質の全体にいっそう均一な炭素層を形成することができる。
炭素層被覆−Si含有負極活物質の炭素層は非晶質及び/又は結晶質であり、そして、当該炭素層はSi含有負極活物質粒子の表面全体を被覆しているのが好ましい。炭素層の厚みは、1nm〜100nmの範囲内が好ましく、5〜50nmの範囲内がより好ましく、10〜30nmの範囲内がさらに好ましい。
負極の具体的な態様は、集電体と、集電体の表面に形成された負極活物質層とを具備する。
集電体は、リチウムイオン二次電池などの二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
負極活物質層は、Si含有負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を含む。また、負極活物質層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、Si含有負極活物質以外の公知の負極活物質を含んでもよい。
負極活物質層には、負極活物質が負極活物質層全体の質量に対して、60〜99質量%で含まれるのが好ましく、70〜95質量%で含まれるのがより好ましい。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。
負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に負極活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に負極活物質を塗布すればよい。具体的には、負極活物質、結着剤、溶剤、並びに必要に応じて導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
次に、本発明の電解液について説明する。本発明の電解液は、SO基を含有しないリチウム塩及び上記式(1)で表されるフェノール誘導体が非水溶媒に溶解されたものである。
SO基を含有するリチウム塩は、Si含有負極活物質を酸化して劣化させると考えられるため、不適当である。
本発明の電解液が含有するリチウム塩としては、Si含有負極活物質を劣化させる基が存在しないものを選択するのが好ましい。Si含有負極活物質を劣化させる基としては、SO基以外に、SO基やSO基、ClO基を例示できる。
好適なリチウム塩としては、例えば、LiPF及びLiBFを挙げることができる。
本発明の電解液におけるリチウム塩の濃度として、0.5〜4mol/Lが好ましく、0.9〜3.5mol/Lがより好ましく、1〜3mol/Lがさらに好ましく、1〜2.5mol/Lが特に好ましい。
式(1)で表されるフェノール誘導体は、充電状態のSi含有負極活物質を具備する負極の発熱量を抑制する。
式(1)で表されるフェノール誘導体には、リチウムイオン二次電池の加熱時に生じ得るラジカル連鎖反応を阻害し得る、−OH基が存在する。上記ラジカル連鎖反応が生じた場合には、−OH基からH・ラジカルが引き抜かれて、−O・ラジカルに変化すると考えられる。フェノール誘導体の−O・ラジカルはベンゼン環のπ電子と相互作用することで安定化される。さらに、−O・ラジカルが結合する炭素の隣接炭素には、R基が結合している。R基による立体障害に因り、他の分子が−O・ラジカルに接近しがたいため、この点でもフェノール誘導体の−O・ラジカルは反応に関与することが困難である。かかるメカニズムで、式(1)で表されるフェノール誘導体により、上記ラジカル連鎖反応は収束されるといえる。上記ラジカル連鎖反応が収束される結果、負極の発熱量は抑制されると考えられる。
また、式(1)で表されるフェノール誘導体には、Si含有負極活物質を劣化させる基、例えばSO、SO、SO基が存在しないため、本発明の電解液及びSi含有負極活物質を備えるリチウムイオン二次電池は、容量の維持率に優れる。
式(1)で表されるフェノール誘導体としては、−OH基に対する立体障害の点から、以下の式(1−1)で表されるものが好ましい。
Figure 2019192462
式(1−1)において、Rは、それぞれ独立に、炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に、炭化水素基、水酸基、ハロゲンから選択される。nは0〜3の整数である。
式(1)及び式(1−1)における炭化水素基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数2〜6のものがより好ましく、炭素数3〜5のものがさらに好ましい。具体的には、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基が好ましい。アルキル基としては、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、neo−ペンチル基が好ましい。
式(1)及び式(1−1)におけるRとしては、炭化水素基及び水酸基から選択されるのが好ましい。Rの炭化水素基としては、前段落に記載のものを例示できる。Rの好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜6、炭素数1〜4又は炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基、ナフチル基を例示できる。
本発明の電解液において、上記式(1)で表されるフェノール誘導体の濃度は高濃度であるのが好ましい。本発明の電解液におけるフェノール誘導体の濃度として、飽和濃度の2分の1〜飽和濃度の範囲内が好ましく、飽和濃度の3分の2〜飽和濃度の範囲内がより好ましく、飽和濃度の4分の3〜飽和濃度の範囲内がさらに好ましく、飽和濃度の5分の4〜飽和濃度の範囲内が特に好ましい。
電解液における非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル類、鎖状エステル類、リン酸エステル類、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートを例示でき、鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示できる。環状エステル類としては、ガンマブチロラクトン、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルを例示できる。リン酸エステル類としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
本発明の電解液には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、公知の添加剤を配合してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の一態様は、Si含有負極活物質を具備する負極、正極、セパレータ及び本発明の電解液を具備する。
正極は、集電体と集電体の表面に形成された正極活物質層とを具備する。集電体としては、負極で説明したものを適宜適切に採用すればよい。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
正極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を含む。正極活物質層には、正極活物質が正極活物質層全体の質量に対して、60〜99質量%で含まれるのが好ましく、70〜95質量%で含まれるのがより好ましい。結着剤及び導電助剤としては、負極で説明したものを適宜適切な量で採用すればよい。
正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCo(MはAl及び/又はMnである。DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素である。0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3を満足する。)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、リチウムを含まないものを用いても良い。例えば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質として、層状岩塩構造の一般式:LiNiCo(MはAl及び/又はMnである。DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素である。0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3を満足する。) で表されるリチウム複合金属酸化物を採用することが好ましい。
上記一般式において、b、c、dの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが10/100<b<95/100、1/100<c<60/100、1/100<d<60/100の範囲であることが好ましく、40/100<b<90/100、1/100<c<40/100、1/100<d<40/100の範囲であることがより好ましく、60/100<b<85/100、1/100<c<20/100、1/100<d<20/100の範囲であることがさらに好ましい。
a、e、fについては、上記一般式で規定する範囲内の数値であればよく、好ましくは0.5≦a≦1.5、0≦e<0.2、1.8≦f≦2.5、より好ましくは0.8≦a≦1.3、0≦e<0.1、1.9≦f≦2.1をそれぞれ例示することができる。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質として、スピネル構造のLiMn2―y(Aは、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、P、Ga、Geから選ばれる少なくとも1の元素、及び、Niなどの遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素から選択される。0<x≦2.2、0≦y≦1)を例示できる。xの値の範囲としては、0.5≦x≦1.8、0.7≦x≦1.5、0.9≦x≦1.2を例示でき、yの値の範囲としては、0≦y≦0.8、0≦y≦0.6を例示できる。具体的なスピネル構造の化合物として、LiMn、LiMn1.5Ni0.5を例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に本発明の電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、参考例、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの具体例によって限定されるものではない。
(参考例1)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比3:3:4で混合して、混合非水溶媒とした。混合非水溶媒に、LiPFを濃度1mol/Lとなるように溶解させて、参考例1の電解液とした。
参考例1の電解液を用いて、参考例1のリチウムイオン二次電池を以下のとおり製造した。
撹拌条件下の0℃の濃塩酸溶液に、CaSiを加えて1時間反応させた。反応液に水を加え、濾過を行い、黄色の粉体を濾取した。黄色の粉体を水洗し、さらにエタノール洗浄した後に、減圧乾燥して、層状ポリシランを含有する層状シリコン化合物を得た。次いで、層状シリコン化合物をアルゴン雰囲気下、800℃で加熱して、水素を離脱させて、シリコン材料を製造した。プロパンガス雰囲気下、シリコン材料を880℃で加熱することで、炭素層被覆−Si含有負極活物質である炭素被覆シリコン材料を製造した。
重量平均分子量80万のポリアクリル酸をN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、ポリアクリル酸が10質量%で含有されるポリアクリル酸溶液を製造した。また、4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.2g(1.0mmol)を0.4mLのN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、4,4’−ジアミノジフェニルメタン溶液を製造した。撹拌条件下、ポリアクリル酸溶液7mL(アクリル酸モノマー換算で、9.5mmolに該当する。)に、4,4’−ジアミノジフェニルメタン溶液の全量を滴下して、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。その後、ディーンスターク装置を用いて、混合物を130℃で3時間撹拌して脱水反応を進行させることで、結着剤溶液を製造した。
負極活物質として炭素被覆シリコン材料72.5質量部、導電助剤としてアセチレンブラック13.5質量部、結着剤として固形分が14質量部となる量の上記結着剤溶液、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として厚み10μmの銅箔を準備した。この銅箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された銅箔を80℃、15分間乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、プレスすることで、厚み25μmの負極活物質層が形成された負極を製造した。
負極を径11mmに裁断し、評価極とした。金属リチウム箔を径13mmに裁断し対極とした。セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。対極、ガラスフィルター、celgard2400、評価極の順に、2種のセパレータを対極と評価極で挟持し電極体とした。この電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に収容し、さらに参考例1の電解液を注入して、コイン型電池を得た。これを参考例1のリチウムイオン二次電池とした。
(実施例1)
アルゴンガス雰囲気下、参考例1の電解液2mLに、2gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを加えて懸濁液とし、60℃で24時間加熱した。加熱後の懸濁液を室温まで冷却して、析出した固体の2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを除去した液を、実施例1の電解液とした。実施例1の電解液には、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールが飽和濃度で溶解されている。
実施例1の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例1)
アルゴンガス雰囲気下、参考例1の電解液2mLに、2gの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及び2gのp−トルエンスルホン酸リチウムを加えて懸濁液とし、60℃で24時間加熱した。加熱後の懸濁液を室温まで冷却して、析出した固体の2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及びp−トルエンスルホン酸リチウムを除去した液を、比較例1の電解液とした。比較例1の電解液には、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及びp−トルエンスルホン酸リチウムが飽和濃度で溶解されている。
比較例1の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、比較例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
(評価例1)
実施例1、比較例1及び参考例1のリチウムイオン二次電池に対して、電流0.2mAで0.01Vまで充電を行い、その後、電流0.2mAで1.0Vまで放電を行うとの初回充放電を行った。さらに、初回充放電後の各リチウムイオン二次電池につき、電流0.5mAで0.01Vまで充電を行い、その後、電流0.5mAで1.0Vまで放電を行うとの充放電サイクルを10回行った。なお、ここでは、シリコン材料にリチウムを吸蔵させる印加を充電といい、シリコン材料からリチウムを放出させる印加を放電という。
初期効率及び容量維持率を以下の各式で算出した。初回放電容量、初期効率及び容量維持率の結果を、表1に示す。なお、表1において、フェノール誘導体とは2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを意味し、TsOLiとはp−トルエンスルホン酸リチウムを意味する。
初期効率(%)=100×(初回放電容量)/(初回充電容量)
容量維持率(%)=100×(最終サイクル時の放電容量)/(初回放電容量)
Figure 2019192462
参考例1のリチウムイオン二次電池と比較して、実施例1のリチウムイオン二次電池は同等の電池性能を示すといえる。2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールは、Si含有負極活物質を具備する負極を備えるリチウムイオン二次電池に対して、特段の悪影響を与えないことが裏付けられた。
他方、p−トルエンスルホン酸リチウムを含有する比較例1のリチウムイオン二次電池は、実施例1及び参考例1のリチウムイオン二次電池と比較して、いずれのパラメータも劣化していることがわかる。p−トルエンスルホン酸リチウムの化学構造に含まれるSO基が、Si含有負極活物質に対して、悪影響を与えていることが示唆される。
(実施例2)
参考例1のリチウムイオン二次電池に対して、電流0.2mAで0.01Vまで充電を行った。その後、参考例1のリチウムイオン二次電池を解体して、充電状態の負極を取り出した。充電状態の負極を径2mmに裁断して、示差走査熱量計(以下、DSCと略すことがある。)用のサンプルホルダーに収納した。充電状態の負極が収納されたDSC用のサンプルホルダーに、0.2mgの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを加え、さらに、0.2mLの参考例1の電解液を加えた。その後、DSC用のサンプルホルダーに蓋をして密閉し、実施例2の評価系とした。
実施例2の評価系をDSCに配置して、40℃で30分間維持した後に、昇温速度5℃/分で200℃まで加熱して、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線を、80℃を起点とし200℃を終点とする線分で区画して、発熱量を算出した。
(比較例2)
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを加えなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で、比較例2の評価系を製造して、評価した。
実施例2の評価系及び比較例2の評価系の結果を表2に示す。
Figure 2019192462
表2の結果から、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの存在に因り、著しく発熱量が減少していることがわかる。充電状態のSi含有負極活物質を加熱することで生じ得る電解液などの連鎖的な分解発熱反応を、式(1)で表されるフェノール誘導体が好適に抑制したといえる。
以上の結果から、式(1)で表されるフェノール誘導体を含有することを特徴とする、充電状態のSi含有負極活物質を具備する負極又は二次電池の発熱量抑制剤なる発明を把握することができる。

Claims (5)

  1. Si含有負極活物質を具備する負極と、
    SO基を含有しないリチウム塩及び以下の式(1)で表されるフェノール誘導体が溶解された電解液と、
    を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
    Figure 2019192462
    式(1)において、Rは炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に、炭化水素基、水酸基、ハロゲンから選択される。nは0〜4の整数である。
  2. 前記フェノール誘導体が以下の式(1−1)で表される請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
    Figure 2019192462
    式(1−1)において、Rは、それぞれ独立に、炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に、炭化水素基、水酸基、ハロゲンから選択される。nは0〜3の整数である。
  3. 前記リチウム塩がLiPFである請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記電解液における前記フェノール誘導体の濃度が、飽和濃度の2分の1〜飽和濃度の範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項1に記載の式(1)で表されるフェノール誘導体を含有することを特徴とする、充電状態のSi含有負極活物質を具備する負極又は二次電池の発熱量抑制剤。
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