最初に、従来の基本的な企業間商取引(BtoB取引)の構成を、図1を参照して説明する。本明細書では、商品やサービスを提供する企業等を「商品等提供者」と称し、商品等提供者から商品を購入し、又は商品等提供者によるサービスを受ける企業等を「取引先企業」と称する。商品やサービスには、取引の対象となるすべての物・労務が含まれる。なお、商品等提供者や取引先企業は、法人に限られず、個人や他の組織を含むものである。
商品としては、完成品のほか部品等も含まれる。例えば、取引先企業が家電量販店などの小売業であれば、商品等提供者(メーカー)から完成品を仕入れて顧客に販売し、取引先企業が製造業であれば、商品等提供者から原材料や部品を仕入れて加工・組み立てを行い、完成品や半製品を製造する。
図1に示すように、商品等提供者が取引先企業に対して商品・サービスを提供すると、その商品・サービスの提供を受けた取引先企業において、当該商品等提供者に対する債務が発生し、一方、商品等提供者において売掛金が発生する。その後、取引先企業は、所定のタイミングで、商品等提供者に対して商品・サービスの代金(報酬)支払いを行う。代金支払いは、例えば、商品等提供者の預金口座への振込というかたちで実現される。
図2Aには、商品等提供者による商品の納品と、取引先企業による当該商品の代金支払いのタイミングの一般的な一例が示されている。この例では、取引先企業が、商品等提供者による商品の納品が行われた日の月末を締日として設定し、その締日の翌月末に、その商品の代金を商品等提供者に支払うようにしている。例えば、商品等提供者が、1月(当月)10日と20日にそれぞれ商品を納品した場合、これらの納品に係る商品の代金が締日(1月末)で集計され、集計された代金が2月(翌月)末に支払われる。
図2Bには、商品等提供者による商品の納品と、取引先企業による当該商品の代金支払いのタイミングの他の例が示されている。この例では、取引先企業が、商品等提供者による商品の納品が行われた場合に、その商品に関する取引が確定した日(確定日)の月末を締日として設定し、その締日の翌月末に、その商品の代金を商品等提供者に支払うようにしている。なお、確定日は、納品された商品の検収を行って、その商品の品質が認められた日や、形式的に納品の1月後とするなど、様々な方法により決定されうる。ここでは、納品の翌月の応答日を確定日としている。例えば、商品等提供者が、1月(当月)10日と20日にそれぞれ商品を納品した場合、これらの納品が確定する日がそれぞれ2月(翌月)10日、20日となり、こうして確定した商品の代金が締日(2月末)で集計され、集計された代金が3月(翌々月)末に支払われる。
図3には、取引先企業による商品の取引確定のタイミングと当該商品の代金支払いのタイミングの一例が示されている。この例では、取引先企業が、商品等提供者による商品の納品タイミングとは別に、商品に関する取引が確定した日(確定日)を設定し、確定日が決定された場合に、その確定日の月末を締日として設定し、その締日の翌々月15日に、その商品の代金を商品等提供者に支払うようにしている(したがって、この場合、商品が納品されたタイミングは、商品の代金支払いのタイミングには影響しない)。例えば、商品等提供者の納品した商品の確定日が、1月(当月)12日と19日である場合、これらの商品の代金が締日(1月末)で集計され、集計された代金が3月(翌々月)15日に支払われる。さらに、商品等提供者の納品した商品の確定日が、2月10日と22日である場合、これらの商品の代金が締日で集計され、集計された代金が4月15日に支払われる。
図2、及び図3に示したように、商品等提供者は、商品を納品してからその商品の代金を受け取るまでに少なくとも1ヶ月以上かかっており、その期間は、2ヶ月〜4ヶ月といった期間であることも珍しくない。商品等提供者は、納品する商品を完成させるまでに原材料費や人件費等をすでに負担しており、そのような費用負担の時点から、それらの費用を回収し、さらに利益を得るまでに必要な期間が極めて長いことがわかる(このような問題は、サービスを提供する商品等提供者も同じである)。商品等提供者においては、様々な事情により、納品した商品等の代金を早急に回収する必要に迫られる場合があるが、そのような場合に、後述するファクタリング企業を利用して、早期に売掛金を回収することができる。
図4には、ファクタリング企業を利用した、従来の基本的な企業間商取引(BtoB取引)の構成が示されている。図4は、従来の3社間ファクタリングの構成を示すものである。ファクタリング企業は、商品等提供者から売掛債務(売掛金)を買い取り、取引先企業から(支払期日に)当該売掛債務に基づいて商品・サービスの代金を受領する。
3社間ファクタリングは、図4に示すように、商品等提供者、取引先企業、及びファクタリング会社の3社で、ファクタリング取引に関する事前合意を行い、契約書を取り交わすものである。なお、商品等提供者、及びファクタリング会社の2社で、ファクタリング取引に関する合意を行う2社間ファクタリングという仕組みも存在する。2者間ファクタリングでは、ファクタリング企業が、商品等提供者から売掛債務(売掛金)を買い取り、取引先企業から(支払期日に)商品等提供者に支払いが行われた場合に、その支払代金をファクタリング企業から受領する。
3社間ファクタリングでは、商品等提供者は、早期に売掛債務(売掛金)を現金化できるが、売掛債務をファクタリング会社に売却する際、ファクタリング手数料が差し引かれるので、当然ながら、ファクタリング会社から受領する額は、支払期日に取引先企業から支払われる代金よりも少ないものとなる。
図4を参照すると、3社間でファクタリング取引に関する合意がされた状況で、最初に、商品等提供者が、取引先企業に対して商品・サービスを提供すると、その商品・サービスの提供を受けた取引先企業において、当該商品等提供者に対する債務が発生し、一方、商品等提供者において売掛金が発生する。
ここで、商品等提供者は、売掛債務をファクタリング会社に売却し、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座には、当該売掛債務の買取代金(ファクタリング手数料減算後の金額)が送金される。このような売掛債務の売却は、商品等提供者による納品と同時、又は直後でもよいし、契約等で取引先企業の確認が必要とされる場合は、その確認の後に行われるようにしてもよい。
この場合、例えば、商品等提供者からファクタリング会社に、商品・サービスの提供に係る納品確認書、納品証明書、発注書、納品書、又は請求書等を送付するようにし、これらの書類に基づいて、ファクタリング会社が商品等提供者の預金口座に送金を行うようにしてもよい。これらの手続は、契約書の規定に従う。
その後、本来の支払期日に、取引先企業からファクタリング会社に、商品・サービスの代金が支払われる。例えば、取引先企業からファクタリング会社の預金口座に代金の振り込みが行われる。
このようなファクタリングのスキームによって、商品等提供者は、ファクタリング手数料を負担する必要はあるものの、売掛金をいち早く現金化することができ、キャッシュフローの適正化を図ることができる。一方、ファクタリング会社は、商品等提供者の売掛債務に基づいて現金を立て替えるものであり、その後の取引先企業による代金支払が行われないというリスクと金利を考慮して、ファクタリング手数料が設定される。
図5Aは、図2Aに示した商品の納品と代金支払いにおいて、上記の3社間ファクタリングを提供した状況を示している。商品等提供者が、1月(当月)10日に商品を納品した場合、翌日の11日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、納品した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図5Aの「D」))が送付される。
同様に、商品等提供者が、1月(当月)20日に商品を納品した場合、翌日の21日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、納品した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、商品の納品が行われ、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図5Aの「D」))が送付される。
このように、3社間ファクタリングを利用することによって、商品等提供者は、納品した商品に係る代金に対応する資金を、本来の支払期日より前に回収することができる。
図5Bは、図2Bに示した商品の納品、確定と代金支払いにおいて、上記の3社間ファクタリングを提供した状況を示している。商品等提供者が、1月(当月)10日に商品を納品した場合、翌日の11日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、納品した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図5Bの「D」))が送付される。
同様に、商品等提供者が、1月(当月)20日に商品を納品した場合、翌日の21日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、納品した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、商品の納品が行われ、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図5Aの「D」))が送付される。
このように、3社間ファクタリングを利用することによって、商品等提供者は、納品した商品に係る代金に対応する資金を、その商品の確定日に関わらず、本来の支払期日より前に回収することができる。
図6は、図3に示した商品の確定と代金支払いにおいて、上記の3社間ファクタリングを提供した状況を示している。商品等提供者の納品した商品の確定日が、1月(当月)12日である場合、翌日の13日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、確定した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図6の「D」))が送付される。
同様に、商品等提供者の納品した商品の確定日が、1月(当月)19日である場合、翌日の20日にファクタリング会社に売掛債権の譲渡が行われ、同日にファクタリング会社から商品等提供者に、確定した商品の代金に対応する資金が提供される。また、このとき、商品等提供者からファクタリング会社に対して、売掛債権の存在と金額を証明するための書類(例えば、商品・サービスの提供に係る納品確定書等(図6の「D」))が送付される。
このように、3社間ファクタリングを利用することによって、商品等提供者は、納品した商品に係る代金に対応する資金を、本来の支払期日より前に(その商品の確定日の後)、回収することができる。
図7は、本発明の第1実施形態の取引管理システムの概要を表している。図7に示す本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1では、商品等提供者が、自身の納品した商品等の代金に基づいて、一定額を、(取引先企業による)本来の支払期日より前に(3社間ファクタリングの仕組みにより)受領できるよう依頼することができる。本明細書では、このような、本来の支払期日より前の、商品等提供者に対する支払いを「早期払い」と称する。また、商品等提供者による早期払いのための、取引管理システム1に対する依頼を「早期払いリクエスト」と称する。
図7に示す取引管理システム1は、商品等提供者が利用する商品等提供者端末10、取引先企業により運営・管理される取引先企業端末20、及びファクタリング会社により運営・管理される取引管理サーバ30を含む。なお、ここでは、便宜上、取引管理システム1が、上記の商品等提供者端末10、取引先企業端末20、及び取引管理サーバ30を含むものとして説明するが、取引管理システム1を、商品等提供者端末10や取引先企業端末20を含まないように構成することもできる。
商品等提供者、取引先企業、及びファクタリング会社の3社は、上述した3社間ファクタリングの当事者であり、基本的に、ファクタリング取引に関する合意を行い、相互に契約書を取り交わしていることを前提とする。
取引先企業が、商品等提供者から商品等の納品を受け付けた場合、ユーザ(取引先企業)が、取引先企業端末20を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の納品日や代金)が取引管理サーバ30に送信される。また、商品等提供者から納品された商品等の受け入れが、取引先企業において確定した場合(すなわち、取引が確定した場合)、取引先企業のユーザが、取引先企業端末20を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の確定日や代金)が取引管理サーバ30に送信される。なお、商品等が納品された場合、又は商品等の受け入れが確定した場合のどちらかで、取引情報が取引管理サーバ30に送信されるようにしてもよい。また、こうした取引情報、又は取引情報の元となる情報は、商品等提供者端末10から送信されるようにしてもよい。商品等提供者端末10から送信される取引情報等は、例えば、取引先企業から承認された情報である。
取引管理サーバ30は、取引先企業端末20から受信した取引情報等に基づいて、商品等提供者に支払い可能な早期払い額を計算し、又さらに、取引先企業に請求する請求額を計算する。
商品等提供者は、商品等提供者端末10を操作し、必要に応じて、早期払いリクエストを取引管理サーバ30に送信する。取引管理サーバ30は、早期払いリクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて決済処理を行う。この決済処理は、例えば、ファクタリング会社の預金口座から商品等提供者の預金口座にリクエストされた金額を振り込むよう、所定のサーバに早期払い依頼のメッセージを送信する。また、早期払いの残金があれば、本来の支払期日に決済処理を行う。例えば、その残金を商品等提供者の預金口座に振り込むよう、所定のサーバに通常払い依頼のメッセージを送信する。
さらに、取引管理サーバ30は、本来の支払期日に、商品等の代金請求に係るメッセージを取引先企業端末20に送信する。取引先企業端末20は(又は、取引先企業の事務処理等により)、取引管理サーバ30からの商品等の代金請求に応じて決済処理を行う。例えば、取引先企業の預金口座からファクタリング会社の預金口座に請求された金額を振り込むよう、所定のサーバに商品等代金支払い依頼のメッセージを送信する。
なお、図7では、説明の便宜上、同じ金融機関に商品等提供者、取引先企業、及びファクタリング会社の預金口座が存在するように表記したが、預金口座は、それぞれ異なる金融機関であってもよい。また、決済方法についても、口座間振替以外の様々な方法を選択することができる。
また、図7では、ファクタリング会社が取引管理サーバ30を運営・管理するようになっているが、ファクタリング会社の業務を委託・代行するかたちで、他社が取引管理サーバ30を運営・管理してもよく、その他、取引管理サーバ30について様々な運営形態をとることができる。
次に、図8を参照して、商品等提供者端末10のハードウェア構成の例について説明する。取引先企業端末20も、図8に示すも構成の端末を使用することができる。また、図8の構成は、スマートフォンのような携帯機器の代表的構成を例示したにすぎない。パーソナルコンピュータなどを含む、他の様々なコンピュータを商品等提供者端末10、取引先企業端末20として利用することができる。
商品等提供者端末10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、カメラ103、GPS制御部104、GPS用アンテナ105、無線信号処理部106、無線通信用アンテナ107、オーディオ制御部108、マイクロフォン109、スピーカ110、ディスプレイ制御部111、入力機器インタフェース112、タッチスクリーン113、非接触ICカードリーダ/ライタ114、センサー115、補助記憶装置116、及び外部記録媒体インタフェース117を含んでいる。
CPU101は、商品等提供者端末10の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、各機能を実行する。
メモリ102は通常RAM(Random Access Memory)で構成される。メモリ102には、CPU101で実行される各機能を実現するためのプログラムが実行時にロードされ、当該プログラムに必要なデータ等が一時的に記憶される。
カメラ103は、商品等提供者端末10に内蔵される小型の撮像装置で、撮像素子がCCDやCMOSといったタイプのものがある。
GPS制御部104は、GPS用アンテナ105を介して、複数のGPSから信号を受信し、商品等提供者端末10の位置を特定する。こうして求められた位置情報は、後述する補助記憶装置116等に記憶され、必要に応じてプログラムで利用される。
無線信号処理部106は、無線通信用アンテナ107を介して携帯電話基地局と通信を行い、他の機器との間での通話データの送受信や、(インターネットを介した)他端末との間でのWEBページやメールデータの送受信を制御する。また、無線信号処理部106は、無線通信用アンテナ107を用いて無線LANアクセスポイントとの間で無線LANによる通信を実現し、インターネット経由のデータ送受信を行う(ここでは、便宜上、無線信号処理部106と無線通信用アンテナ107が、携帯電話基地局との間の無線通信及び無線LANアクセスポイントとの間の無線通信を行うものとした)。
オーディオ制御部108は、マイクロフォン109とスピーカ110を制御して無線通信による通話を実現し、一方で、アプリケーションにおいて動画や音楽を再生する場合に、音声を出力するよう制御する。
タッチスクリーン113は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成される表示装置で、情報を表示するとともに、ユーザが指などで画面表面をタッチした(押した)位置を、抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチセンサーで検知する。ディスプレイ制御部111は、CPU101が発行する描画データを処理して、例えば、WEBページや動画等を、タッチスクリーン113の表示装置に出力する。入力機器インタフェース112は、タッチスクリーン113のタッチセンサーが、ユーザによる操作を検知し、これを所定の信号としてCPU101に送信する。
非接触ICカードリーダ/ライタ114は、非接触ICチップが埋め込まれたカードが商品等提供者端末10の所定の位置にかざされた場合に、CPU101の指令に基づいて、そのICチップに記憶されているデータを読み取り、又は、ICチップに所定のデータを書き込む。
センサー115は、タッチスクリーン113のタッチセンサー以外のセンサーであり、モーションセンサー、光センサー、近接センサーなどがある。
補助記憶装置116は、例えば、フラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリやハードディスクで構成される。補助記憶装置116は、CPU101で実行される各機能を実現するためのプログラムを記憶するほか、各種データを記憶する。
外部記録媒体インタフェース117は、外部記録媒体120にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取る。外部記録媒体120は、例えば、可搬型のフラッシュメモリである。CPU101で実行され本発明の各機能を実現するためのプログラムは、この外部記録媒体インタフェース117や、前述したような、無線信号処理部106及び無線通信用アンテナ107を介した携帯電話網やネットワークを経由して商品等提供者端末10に提供される。
なお、商品等提供者端末10がパーソナルコンピュータ等のコンピュータであれば、外部ネットワークに接続するためのネットワークインタフェースが追加され、ディスプレイ制御部111には、LCD等からなる組み込み型又は別筐体の表示装置が接続され、入力機器インタフェース112には、キーボードやマウスが接続される。
次に、図9を参照して、取引管理サーバ30のハードウェア構成の例について説明する。ただし、図9の取引管理サーバ30は、一般的なサーバコンピュータについての代表的な構成を例示したにすぎない。他の様々なコンピュータを取引管理サーバ30として利用することができる。
取引管理サーバ30は、CPU301、メモリ302、ネットワークインタフェース303、ディスプレイコントローラ304、ディスプレイ305、入力機器インタフェース306、キーボード307、マウス308、外部記憶装置309、及び外部記録媒体駆動装置310を含んでいる。
CPU301は、取引管理サーバ30の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、各機能を実行する。
メモリ302は通常、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、及び揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成される。ROMには、取引管理サーバ30の起動時に実行されるプログラム等が格納される。RAMには、CPU301で実行されるプログラムや、それらのプログラムが実行中に使用するデータ等が一時的に格納される。
ネットワークインタフェース303は、ネットワーク320に接続するためのインタフェースである。ネットワーク320は、例えば、無線通信ネットワーク、及びインターネットを含むネットワークである。
ディスプレイコントローラ304は、CPU301が発行する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ304で処理された描画データは、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、ディスプレイ305に出力される。ディスプレイ305は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成される表示装置である。
入力機器インタフェース306は、キーボード307やマウス308から入力された信号を受信して、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU301に送信する。
外部記憶装置309は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置であり、この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ302のRAMにロードされる。
外部記録媒体駆動装置310は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型の外部記録媒体330の記録面にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取る装置である。外部記録媒体330には、本発明に係る取引管理方法を実現するためのプログラムを記録することが可能である。外部記録媒体330に記録されているデータは、外部記録媒体駆動装置310を介して外部記憶装置309に格納され、プログラムであれば、実行時にメモリ302のRAMにロードされる。
なお、取引管理サーバ30では、管理者等による操作の必要がない場合や、リモート接続によって操作される場合は、上述したディスプレイコントローラ304、ディスプレイ305、入力機器インタフェース306、キーボード307、及びマウス308は不要である。
次に、図10の機能ブロック図を参照して、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1における商品等提供者端末10の機能の概要について説明する。図10に示すように、商品等提供者端末10は、アクセス制御部151、早期払い情報表示制御部152、早期払いリクエスト送信部153、入出力制御部154、及びネットワークI/F部155を含んでいる。
アクセス制御部151は、商品等提供者端末10を操作するユーザが正当なユーザであるかを、取引管理サーバ30の判定結果に基づいてチェックする。正当なユーザである場合にのみログインが許可され、以降の処理が可能となる。
早期払い情報表示制御部152は、ユーザの操作に応じて、取引管理サーバ30に早期払い情報リクエストを送信し、当該リクエストの応じて取引管理サーバ30から受信した(早期払い上限額や納品した商品の代金等を含む)早期払い情報表示用データを、商品等提供者端末10のタッチスクリーン113に表示するよう制御する。
早期払いリクエスト送信部153は、ユーザの操作に応じて、早期払いリクエストを取引管理サーバ30に送信する。
入出力制御部154は、図8に示す商品等提供者端末10のタッチスクリーン113、及び入力機器インタフェース112を介して得られるユーザの操作に係る信号をCPU101に送信するとともに、CPU101の指令に基づいて、早期払い情報等を、ディスプレイ制御部111を介してタッチスクリーン113に表示するよう制御する。
ネットワークI/F部155は、図8に示す商品等提供者端末10の無線信号処理部106等を制御して、取引管理サーバ30との間のデータ送受信を実現する。
なお、アクセス制御部151、早期払い情報表示制御部152、及び早期払いリクエスト送信部153は、商品等提供者端末10にインストールされた専用アプリケーションで実現できるが、一般的なWEBブラウザにより取引管理サーバ30からhtml等を読み込むことで実現することも可能である。
次に、図11の機能ブロック図を参照して、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1における取引先企業端末20の機能の概要について説明する。図11に示すように、取引先企業端末20は、アクセス制御部251、取引入力部252、請求書受付部253、入出力制御部254、及びネットワークI/F部255を含んでいる。
アクセス制御部251は、取引先企業端末20を操作するユーザが正当なユーザであるかを、アクセス先の判定結果に基づいてチェックする。正当なユーザである場合にのみログインが許可され、以降の処理が可能となる。
取引入力部252は、納品された商品等の納品日や代金、又は納品された商品等の確定日や代金を含む取引情報を、ユーザ力操作に応じて取引管理サーバ30に送信する。
請求書受付部253は、本来の支払期日に、取引管理サーバ30から商品等の代金請求のメッセージを受信し、その後、必要に応じて、その代金請求に係る決済処理を行う。
入出力制御部254は、取引先企業端末20のタッチスクリーン、及び入力機器インタフェースを介して得られるユーザの操作に係る信号をCPUに送信するとともに、CPUの指令に基づいて、取引情報を入力するための画面等を、ディスプレイ制御部を介してタッチスクリーンに表示するよう制御する。
ネットワークI/F部255は、取引先企業端末20の無線信号処理部等を制御して、取引管理サーバ30との間のデータ送受信を実現する。
上述したアクセス制御部251、取引入力部252、及び請求書受付部253は、商品等提供者端末10にインストールされた専用アプリケーションで実現できるが、一般的なWEBブラウザにより取引管理サーバ30からhtml等を読み込むことで実現することも可能である。
次に、図12の機能ブロック図を参照して、本発明の第1実施形態に係る取引管理サーバ30の機能の概要について説明する。図12に示すように、取引管理サーバ30は、アクセス制御部351、取引管理部352、リクエスト管理部353、早期払い上限額管理部354、決済処理制御部355、月次処理制御部356、及びネットワークI/F部357を含んでいる。また、外部記憶装置360には、取引先企業管理テーブル361、商品等提供者管理テーブル362、取引管理テーブル363、上限額設定テーブル364、手数料管理テーブル365、及び早期払い管理テーブル366が記憶される。
アクセス制御部351は、商品等提供者端末10や取引先企業端末20からのアクセスに対して、ユーザ認証を行い、判定結果を各端末に返す。正当なユーザであると判定された場合にのみ、その端末のログインが許可される。
取引管理部352は、取引先企業端末20から入力された取引情報を受信し、その情報を、取引管理テーブル363に記憶する。これに連動して、早期払い上限額管理部354が、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額を更新する。
リクエスト管理部353は、商品等提供者端末10から早期払いリクエストを受信した場合に、その早期払いリクエストに応じて、商品等提供者に早期払いを行うよう早期払い上限額管理部354、及び決済処理制御部355を制御する。
また、リクエスト管理部353は、商品等提供者端末10から早期払い情報リクエストを受信した場合に、取引管理テーブル363や早期払い管理テーブル366を参照し、早期払い上限額や納品した商品の代金等を含んだ、早期払い情報表示用データを生成し、商品等提供者端末10に送信する。
早期払い上限額管理部354は、取引先企業端末20から受信した取引情報等に基づいて、早期払い上限額を決定して早期払い管理テーブル366を更新するとともに、商品等提供者端末10から早期払いリクエストを受信した場合に、早期払い管理テーブル366を参照して、受信した早期払いリクエストの金額が早期払い上限額以下であるか否かを判定する。
また、早期払い上限額管理部354は、早期払いリクエストによる早期払いが行われた場合に、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額を更新する。
決済処理制御部355は、早期払い上限額管理部354により、受信した早期払いリクエストの金額が早期払い上限額以下であるとされた場合に、その金額を商品等提供者に支払うよう、例えば、全銀システム(全国銀行データ通信システム)のサーバ等に対して早期払い依頼のメッセージを送信する。また、早期払いの残金があれば、本来の支払期日において、その残金を商品等提供者に支払うよう、例えば、全銀システムのサーバ等に対して通常払い依頼のメッセージを送信する。
月次処理制御部356は、取引情報を記憶した取引管理テーブル363を参照して、本来の支払期日に、商品等の代金請求のメッセージを取引先企業端末20に送信する。また、早期払い管理テーブル366等を参照して、本来の支払期日に支払うべき金額(早期払いの残金)を求め、決済処理制御部355により、その残金を通常払いとして商品等提供者に支払うよう制御する。この通常払いに連動して、早期払い上限額管理部354が、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額を更新する。
なお、本実施形態では、月次処理制御部356により月次の処理が行われるものとしたが、これに限定されるものではない。この処理の実行タイミングは、それぞれの取引先企業が設定した支払期日のタイミングに応じて決定される。例えば、取引先企業が、商品等提供者に応じて異なる支払期日を設定している場合、その取引先企業についての上記処理は、月に複数回行われることになるし、また、1ヶ月ごとのサイクルで行われる必要もない。
ネットワークI/F部357は、図9に示す取引管理サーバ30のネットワークインタフェース303等を制御して、インターネット等のネットワークに接続し、商品等提供者端末10や取引先企業端末20との間のデータ送受信を実現する。
次に、図13ないし図15を参照して、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1におけるテーブルの例について説明する。
図13Aには、取引先企業管理テーブル361の例が示されている。取引先企業管理テーブル361は、取引先企業の属性等を管理、記憶するもので、例えば、取引先企業ID、名称、支払条件、パスワードの各項目を記憶する。
ここで、取引先企業IDは、取引先企業を特定するための識別子である。また、支払条件には、商品等の受け入れ確定日をどのような基準で設定するかを規定する確定日と、どのタイミングで締め処理を行い、どのタイミングで支払いを行うかを規定する支払日(本来の支払期日)が含まれる。
なお、本実施形態では、取引先企業ごとに1つの支払条件が設定されているが、複数の支払条件のパターンを用いることもできる。例えば、商品等を受領した商品等提供者に応じて、支払条件を変えることができる。また、取引管理システム1で予め固定的に支払条件のパターンを設定しておき、取引先企業ごとに、1つ又は複数のパターンに対応するパターンIDが対応付けられるようにしてもよい。
図13Bには、商品等提供者管理テーブル362の例が示されている。商品等提供者管理テーブル362は、商品等提供者の属性等を管理、記憶するもので、例えば、商品等提供者ID、名称、パスワード、振込口座NOの各項目を記憶する。
ここで、商品等提供者IDは、商品等提供者を特定するための識別子である。なお、これらの項目のほか、例えば、月間の早期払いリクエストの上限回数や、個別の早期払い上限額等を記憶し、これらの項目によって、商品等提供者からの早期払いリクエストに応じるか否かの判断を行うようにしてもよい。
図14Aには、取引管理テーブル363の例が示されている。取引管理テーブル363は、取引先企業端末20から送信された取引情報を記憶するもので、例えば、取引先企業ID、(当該取引先企業に商品等を納品した商品等提供者の)商品等提供者ID、取引NO、商品ID、納品日、確定日、取引金額の各項目を記憶する。
本実施形態では、各取引について1つの商品の商品IDを記憶しているが、取引NOに対応する取引が複数の商品を含む場合は、これに応じて複数の商品IDを含むようにできる。また、取引管理テーブル363に商品IDを記憶しないように設計することもできる。このような構成により、ファクタリング会社が、取引先企業における取引の詳細を把握できないようにすることができる。
取引NOは、取引先企業における商品等提供者との取引を特定するための識別子であるが、取引先企業の取引NOを用いずに、取引管理システム1で独自に採番したものを使用することもできる。
本実施形態では、商品等提供者による納品の際に、取引先企業端末20から送信された取引情報に基づいて、取引管理テーブル363にレコードを挿入して納品日を記憶し、その後、取引先企業が(商品等の検収完了等によって)商品等の受け入れを確定させた際に、取引先企業端末20から送信された取引情報に基づいて、対応するレコードに確定日をセットする。また、上述の取引先企業管理テーブル361の支払条件によって、納品日に基づいて確定日が自動的に決定される場合は、納品の際に取引先企業端末20から送信された取引情報に基づいて、納品日と確定日をセットするようにしてもよい。
図14Bには、上限額設定テーブル364の例が示されている。上限額設定テーブル364は、取引先企業ID、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率、及び確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率を記憶している。納品日〜確定日までの早期払い上限額比率は、商品等提供者が、商品等を納品した納品日から、取引先企業においてその商品の受け入れを確定させた確定日までに、商品等提供者がリクエスト可能な早期払い額の上限比率(納品した商品の代金に占める割合)を示している。また、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率は、取引先企業においてその商品の受け入れを確定させた確定日から、本来、取引先企業が商品等提供者に商品の代金を支払う支払期日までに、商品等提供者がリクエスト可能な早期払い額の上限比率(納品した商品の代金に占める割合)を示している。これらの比率は、基本的にファクタリング会社によって設定される。
本実施形態において、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率より低く設定されているのは、納品日〜確定日までは、返品の可能性や、検収不合格の可能性があるためであり、また、本来の支払期日までの期間が長く、取引先企業の倒産リスクなども考慮されている。一方、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率は、返品の可能性や、検収不合格の可能性がなく、本来の支払期日までの期間も短いため、100%や80%といった比率が設定されている。
また、本実施形態では、支払期日の10日前や1週間前といったタイミングで(すなわち、本来の支払期日の直前において)、早期払いのリクエストが不可とされる。これは、取引管理システム1において、取引先企業に送信する代金請求のメッセージを事前に準備し、所定のサーバに送信するのに、取引先企業への請求額を前もって確定させる必要があるからである。
なお、本実施形態では、取引先企業ごとに2つの期間における早期払い上限額比率を記憶しているが、取引管理システム1において、すべての取引先企業に亘って一律の上限額比率を設定することもでき、また、早期払いの上限額比率を単一の期間で設定することもできる。また、取引先企業と商品等提供者との組合せに応じて、早期払いの上限額比率を設定することもできる。
図15Aには、手数料管理テーブル365の例が示されている。手数料管理テーブル365は、商品等提供者から徴収されるシステム利用手数料について、基本手数料、支払期日当月加算分、納品月以降・支払期日前月加算分(各月)の各項目を記憶している。
本実施形態では、取引管理システム1において、早期払いによる支払い(すなわち、商品等提供者に対する立て替え)に関する手数料が、立替の対象となる商品等の代金に関する支払期日から遠ければ遠い程、高い手数料となるよう設計されている。よって、図15Aの例では、本来の支払期日の前々月に納品(又は確定となった)された商品等について早期払いリクエストを行うと、基本手数料3%のほかに、支払期日当月加算分1%が加算され、さらに、納品月以降・支払期日前月加算分(各月)が2ヶ月分で2%加算され、合計で6%のシステム利用手数料となり、このシステム利用手数料が、早期払い額から差し引かれる(すなわち、商品等提供者の負担となる)。
例えば、本来の支払期日の前月に納品(又は確定となった)された商品等について早期払いリクエストを行うと、基本手数料3%のほかに、支払期日当月加算分1%が加算され、さらに、納品月以降・支払期日前月加算分(各月)が1ヶ月分で1%加算され、合計で5%のシステム利用手数料となり、このシステム利用手数料が、早期払い額から差し引かれる。このように、システム利用手数料は、立替の期間が長いほどシステム利用手数料が高く設定されており、商品等提供者は、早期払いリクエストのタイミングを遅らせれば遅らせるほど、システム利用手数料の負担の面で有利となる。
なお、手数料管理テーブル365のシステム利用手数料を、基本手数料のみとすることもできるし、また、取引先企業ごと、あるいは取引先企業と商品等提供者との組合せに応じて異なるように設定することもできる。
図15Bには、早期払い管理テーブル366の例が示されている。早期払い管理テーブル366は、取引先企業ID、商品等提供者ID、種別、取引NO、基準日、金額、早期払い上限額を記憶する。
本実施形態では、種別は、早期払い上限額に関係する取引やリクエストを判別するためのものであり、商品等提供者による納品に関する取引情報を取引先企業端末20から受信した場合は「納品」がセットされ、このとき、基準日には納品日がセットされ、金額には納品に係る商品の代金がセットされる。取引先企業による商品等の確定に関する取引情報を取引先企業端末20から受信した場合は「確定」がセットされ、このとき、基準日には確定日がセットされ、金額には確定した商品の代金がセットされる。
また、商品等提供者端末10から早期払いリクエストを受信した場合は「早期払い」がセットされ、このとき、基準日には当該リクエストの送信日がセットされ、金額には、商品等提供者がリクエストした早期払い額がセットされる。また、残金を商品等提供者に支払う場合は「通常払い」がセットされ、このとき、基準日には残金の支払日(本来の支払期日)がセットされ、金額には、残金の額がセットされる。
取引管理サーバ30の早期払い上限額管理部354は、上記のような取引情報の受信と早期払いリクエストの受信に対応する早期払いに応じて、上限額設定テーブル364等を参照して、その商品等提供者が受領可能な早期払い上限額を決定し、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額にセットする。
次に、図16ないし図19を参照して、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1における各処理について説明する。なお、図16ないし図19は、取引管理システム1の各処理に関する手順を説明するためのフローチャートであり、商品等提供者端末10、取引先企業端末20、及び取引管理サーバ30の処理が、それぞれ時間の経過とともに表されている。
図16は、取引管理サーバ30が、取引先企業端末20から納品に係る取引情報を受信する、納品時処理の手順を示した図である。
最初に、商品等提供者から取引先企業に対して、商品、又はサービスの提供が行われると、取引先企業のユーザは、取引先企業端末20を操作して、商品・サービスの納品に係る取引の内容を表す取引情報の入力を行う。
ここで、取引先企業端末20は、こうして入力された取引情報を受信し、これを取引管理サーバ30に送信する(ステップS11)。このとき、取引情報には、例えば、取引先企業ID、商品等提供者ID、取引NO、取引金額、納品日等が含まれる。また、このとき、取引先企業端末20からパスワード等が取引管理サーバ30に送信されてユーザ認証が行われ、取引管理サーバ30が取引先企業管理テーブル361のパスワードと比較して正当なユーザであると判定した場合に、以降の処理が可能となる。
取引管理サーバ30は、取引先企業端末20から取引情報を受信すると、この内容を取引管理テーブル363に記憶する(ステップS12)。
次に、取引管理サーバ30は、この取引情報に基づいて、早期払い上限額を決定する(ステップS13)。この早期払い上限額は、上限額設定テーブル364の納品日〜確定日の上限額比率に基づいて決定される。その後、取引管理サーバ30は、決定された早期払い上限額を含むレコード(種別=「納品」)を追加するよう、早期払い管理テーブル366を更新する(ステップS14)。
この後、商品等提供者端末10において、後述する早期払い上限額確認画面を表示させるよう指示すると、上記のように決定・記憶された早期払い上限額が、例えば、納品月と本来の支払期日ごとにまとめられて(すなわち、システム利用手数料が同じものにまとめられて)一覧表示される(ステップS15)。
図17は、取引管理サーバ30が、自動的に確定タイミング到来をチェックする場合、及び取引先企業端末20から商品の受け入れ確定に係る取引情報を受信する場合の確定時処理の手順を示した図である。
最初に、取引管理サーバ30が、自動的に確定タイミング到来をチェックする確定時処理の手順を説明する。まず、取引管理サーバ30は、取引管理テーブル363に記憶されたレコードで、確定日がセットされていない取引について、取引先企業管理テーブル361に記憶された支払条件を参照し、その確定日を求める(ステップS21)。
次に、確定日が到来しているか否かを判定し(ステップS22)、確定日が到来していると判定された場合(ステップS22のYES)、取引管理サーバ30は、求めた確定日に基づいて取引管理テーブル363を更新する(ステップS22a)。次に、ステップS23に進み、そこで、早期払い上限額を決定する。この早期払い上限額は、上限額設定テーブル364の確定日〜支払期日の上限額比率に基づいて決定される。その後、取引管理サーバ30は、対応するレコードの種別を「納品」から「確定」に変更し、さらに早期払い上限額を変更して、早期払い管理テーブル366を更新する(ステップS24)。
確定日が到来していないと判定された場合(ステップS22のNO)、ステップS21の処理に戻り、取引管理テーブルのすべての対象取引についてチェックが完了した場合に、処理を終了する。
次に、取引管理サーバ30が、取引先企業端末20から商品の受け入れ確定に係る取引情報を受信する場合の確定時処理の手順を説明する。
最初に、取引先企業のユーザが、商品・サービスの検収等を完了して、当該商品等の受け入れが確定した場合に、取引先企業のユーザは、取引先企業端末20を操作して、商品・サービスの確定に係る取引の内容を表す取引情報の入力を行う。
このために、取引先企業端末20は、ユーザの操作に応じて、過去に送信された取引で確定日が入力されていないものを取得するための取引取得指示を取引管理サーバ30に送信する(ステップS25)。
取引管理サーバ30は、取引管理テーブル363を参照して、取引取得指示を受信した取引先企業IDの確定日未入力取引を検索し、検索結果として得られた取引情報を取引先企業端末20に送信する(ステップS26)。
取引管理サーバ30から取引情報を受信した取引先企業端末20は、取引情報の取引を確定日未入力取引として表示し、そこで、取引先企業のユーザから、確定日の入力を受け付ける(ステップS27)。その後、取引先企業端末20は、受信した確定日を、取引NO等に対応付けて取引管理サーバ30に送信する(ステップS28)。
取引先企業端末20から確定日を受信した取引管理サーバ30は、受信した確定日に基づいて取引管理テーブル363を更新する(ステップS29)。その後、上述したステップS23によって早期払い上限額が決定され、ステップS24によって早期払い管理テーブル366が更新される。
早期払い管理テーブル366が更新された後、商品等提供者端末10において、後述する早期払い上限額確認画面を表示させるよう指示すると、上記のように決定・記憶された早期払い上限額が、例えば、納品月と本来の支払期日ごとにまとめられて(すなわち、システム利用手数料が同じものにまとめられて)一覧表示される(ステップS30)。
図18は、取引管理サーバ30が、商品等提供者端末10から早期払いリクエストを受信した場合の早期払いリクエスト(随時)処理の手順を示した図である。
最初に、商品等提供者(ユーザ)の操作により、後述する早期払い上限額表示画面の表示を指示すると、商品等提供者端末10が、取引管理サーバ30に対して早期払い上限額表示画面のためのリクエストを送信する(ステップS31)。このリクエストには、その商品等提供者の商品等提供者IDのほか、取引先企業IDも含まれる。また、このとき、商品等提供者端末10からパスワード等が取引管理サーバ30に送信されてユーザ認証が行われ、取引管理サーバ30が商品等提供者管理テーブル362のパスワードと比較して正当なユーザであると判定した場合に、以降の処理が可能となる。
取引管理サーバ30が、早期払い上限額表示画面のためのリクエストを受信すると、早期払い管理テーブル366を参照して、商品等提供者IDと取引先企業IDに対応する早期払い上限額を特定し、その情報を商品等提供者端末10に送信する(ステップS32)。
商品等提供者端末10は、早期払い上限額に関する情報を取引管理サーバ30から受信すると、その情報に基づいて、後述する早期払い上限額表示画面をタッチスクリーン113に表示する(ステップS33)。
その後、商品等提供者端末10は、ユーザの操作により、後述する早期払いリクエスト画面をタッチスクリーン113に表示し、そこでユーザが早期払いリクエストの送信を指示すると、これに応じて、取引管理サーバ30に早期払いリクエストを送信する(ステップS34)。この早期払いリクエストには、ユーザが指定した早期払い額が含まれる。
取引管理サーバ30は、商品等提供者端末10から早期払いリクエストを受信すると、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額を参照して、早期払いリクエストに指定された早期払い額が、早期払い上限額以下か否かを判定する(ステップS35)。早期払い額が早期払い上限額以下でない場合(ステップS35のNO)、早期払い額が上限を超えた旨のエラーメッセージを生成し、商品等提供者端末10に送信する(ステップS36)。商品等提供者端末10は、このエラーメッセージを受信すると、それをタッチスクリーン113に表示する(ステップS37)。
一方、早期払い額が早期払い上限額以下であると判定された場合(ステップS35のYES)、取引管理サーバ30は、早期払いリクエストに基づいて、指定された早期払い額を、商品等提供者の預金口座にあてて振り込むための早期払い依頼を所定のサーバに送信する(ステップS38)。
なお、早期払いリクエストに指定された早期払い額が、早期払い上限額以下か否かを判定する場合、商品等提供者が負担するシステム利用手数料が差し引かれる関係上、このシステム利用手数料を考慮して上記判定を行う必要がある。例えば、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額が10万円であって、早期払いリクエストに指定された早期払い額も10万円である場合、システム利用手数料を差し引くことができないので、早期払いリクエストがエラーとなる。
また、このような場合、早期払いリクエストに指定された早期払い額から自動的にシステム利用手数料を差し引いて、指定する預金口座に振り込むようにしてもよい。また、上限額設定テーブル364によって、対応する期間の早期払い上限額比率が100%でない場合に、上限額として設定された枠以外の金額に対してシステム利用手数料がチャージされるようにしてもよい。
また、本実施形態では、早期払いリクエストに指定された早期払い額が上限額を超えた場合に、その早期払いリクエストをエラーとしているが、この早期払い額からシステム利用手数料が差し引かれることを考慮して、早期払い額からシステム利用手数料が差し引かれた金額(すなわち、商品等提供者に実際に振り込まれる金額)に関する早期払い上限額を設定するようにしてもよい。
次に、取引管理サーバ30は、商品等提供者の預金口座にあてて振り込んだ早期払い額に基づいて、早期払い管理テーブル366の早期払い上限額を減算し、早期払い管理テーブル366を更新する(ステップS39)。
その後、取引管理サーバ30は、早期払い額の振込手続が完了した旨の振込完了メッセージを生成し、商品等提供者端末10に送信する(ステップS40)。商品等提供者端末10は、この振込完了メッセージを受信すると、それをタッチスクリーン113に表示する(ステップS41)。
なお、商品等提供者端末10に表示される早期払い上限額表示画面や早期払いリクエスト画面は、本実施形態では、取引管理サーバ30から送信されるhtmlデータ等が商品等提供者端末10のWEBブラウザで解釈され表示されるものであるが、その表示内容や、取引先企業のポータルサイトからアクセス可能とする構成にすることによって、あたかも取引先企業から提供されているサービスであるように見せることができる。同様に、商品等提供者が、明らかにファクタリング会社のサイトから、そのファクタリング会社のサービスとして利用しているように感じさせるような見せ方をすることもできる。
図19は、取引管理サーバ30が実行する月次処理の手順を示した図である。なお、本実施形態では、取引先企業における本来の支払いタイミングが毎月末や毎月15日としているため、そのタイミングで月次処理が行われるが、取引先企業の支払いタイミングに合わせて、適宜この処理を実行することができる。
月次処理では、最初に、取引管理サーバ30が、取引先企業管理テーブル361の支払い条件や取引管理テーブル363の各取引を参照して、取引先企業ごとに請求額を決定する(ステップS51)。
次に、取引管理サーバ30は、決定された請求額に基づいて請求書を作成し、取引先企業端末20に請求書を送信し、請求額を通知する(ステップS52)。取引先企業は、通知された請求額に基づいて、金額をファクタリング会社に振り込む。なお、ステップS52の処理は、少なくとも一部を手作業で行うこともでき、必ずしもすべてがシステム化されている必要はない。また、取引管理システム1のシステム利用手数料を取引先企業に対しても請求する場合は、例えば、この請求額にシステム利用手数料を付加して請求することもできる。
次に、取引管理サーバ30は、取引先企業の本来の支払期日までに早期払いリクエストがされなかった残り金額(残金)を、早期払い管理テーブル366を参照して算出する(ステップS54)。ここで、残り金額があるか否かを判定し(ステップS55)、残り金額がある場合(ステップS55のYES)、その残り金額を商品等提供者の預金口座に振り込むための通常払い依頼を、所定のサーバに送信する(ステップS56)。
なお、本実施形態では、上述したように、支払期日の10日前や1週間前といったタイミングで(すなわち、本来の支払期日の直前において)、早期払いのリクエストが不可とされるため、このような支払期日の10日前や1週間前の時点で、関連する取引先企業への請求額や、商品等提供者への通常払いの額が確定している。したがって、このようなタイミングにおいて、ステップS51の請求額の決定や、ステップS56の通常払い依頼の送信を行うことが好ましい。
なお、本実施形態では、このような通常払いとなった残金については、基本手数料を含め、いかなるシステム利用手数料も徴収しないようにしているが(ただし、振込手数料は差し引くこととする)、所定の基準により、このような場合もシステム利用手数料を徴収するようにしてもよい。
その後、取引管理サーバ30は、通常払いの振込手続が完了した旨の振込完了メッセージを生成し、商品等提供者端末10に送信する(ステップS57)。商品等提供者端末10は、この振込完了メッセージを受信すると、それをタッチスクリーン113に表示する(ステップS58)。
次に、取引管理サーバ30は、早期払い管理テーブル366に、種別=「通常払い」のレコードを追加する(ステップS59)。結果として、これで、対象の納品月と本来の支払期日に関する早期払い上限額がゼロとなる。また、このタイミングで、各取引に関し、本来の支払期日までの長さが月単位で変化し、それに応じてシステム利用手数料が変化するため、システム利用手数料が差し引かれることを加味して早期払い上限額が設定されている場合は、こうしたシステム利用手数料の変化に応じて、早期払い上限額を変更する必要がある。
ステップS55において、残り金額がないと判定された場合(ステップS55のNO)、取引管理サーバ30は、ステップS60に進み、そこで、通常払いがない旨のメッセージを生成し、商品等提供者端末10に送信する(ステップS60)。商品等提供者端末10は、このメッセージを受信すると、それをタッチスクリーン113に表示する(ステップS58)。
図20は、図5Bに示した商品の納品、確定と代金支払いにおいて、3社間ファクタリングを提供した状況において、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1を提供した様子を示している。商品等提供者が、1月(当月)10日に商品を納品した場合(納品(1))、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この納品(1)の取引は、2月(翌月)10日に確定され、3月(翌々月)末に本来の支払期日を迎えるものである。
このような納品(1)の取引により、商品等提供者は、納品したその日(1月10日)にも、早期払いリクエストにより、納品(1)の商品に係る代金の一部を受領することができる。早期払いリクエスト「R」は、本実施形態では、上述のように、商品等提供者端末10から取引管理サーバ30に送信される。また、早期払いリクエストで指定した金額は、即時に商品等提供者の口座に振り込まれるようにしてもよいし、翌営業日や翌々営業日など、早期払いリクエスト後の所定のタイミングで振り込まれるようにしてもよい。また、商品等提供者の口座に振り込まれる金額は、早期払いリクエストで指定した金額から取引管理システムのシステム利用手数料を差し引いた額であるが、早期払いリクエストで指定した金額がそのまま商品等提供者の口座に振り込まれるようにし、システム利用手数料は、商品等提供者の残りの代金(売掛金)から徴収するようにしてもよい。
また、このとき、納品の時点で商品等提供者からファクタリング会社に売掛債権が譲渡されているが、ここではまだ取引が確定していないので、「納品(1)」に対応する取引が確定(「確定(1)」)となるタイミング(2月10日)に、商品等提供者からファクタリング会社に売掛債権が譲渡されるとしてもよい。
さらに商品等提供者は、1月15日に再び早期払いリクエストを行い、納品した納品(1)の商品に係る代金の残りを受領することができる。
次に、商品等提供者が、1月(当月)20日に商品を納品したとする(納品(2))。そして、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この納品(2)の取引は、2月(翌月)20日に確定され、3月(翌々月)末に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月2日に、早期払いリクエストにより、納品(1)の商品と納品(2)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。納品(1)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。
また、納品(1)の商品と納品(2)の商品に係る代金の本来の支払期日は3月末であり、このような2月になっての早期払いは、1月の早期払いより支払期日までの期間が1ヶ月短くなるので、システム利用手数料が1ヶ月分少なく設定されることになる。
納品(1)の商品の確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供され、2月10日にこの納品(1)が確定する(確定(1))。その後、商品等提供者が、2月12日に商品を納品し(納品(3))、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この納品(3)の取引は、3月12日に確定され、4月末に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月15日に、早期払いリクエストにより、確定(1)の商品、納品(2)の商品、及び納品(3)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。確定(1)、納品(2)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。また、今回の早期払いリクエストでは、納品(1)の取引が確定され、確定(1)となっているため、早期払い上限額がその分増加している(上限額設定テーブル364参照)。
その後、納品(2)の商品の確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供され、2月20日にこの納品(2)が確定する(確定(2))。よって、その後の早期払いリクエストでは、納品(2)の取引が確定され、確定(2)となっているため、早期払い上限額がその分増加している(上限額設定テーブル364参照)。
確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金は、2月末で締められ、これらの取引に対応する売掛金が、(取引先企業からの請求に基づき)3月末に、取引先企業からファクタリング会社に支払われる。一方、確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金のうち、早期払いの対象となっていない残りの金額は、3月末にファクタリング会社から商品等提供者に(通常払いとして)支払われる。
このように、3社間ファクタリングを設定したうえで、本発明の取引管理システム1を利用することによって、商品等提供者は、納品した商品に係る代金に対応する資金を、早期払いリクエストによって、本来の支払期日より前に、所望のタイミングで所望の額を回収することができる。商品等提供者は、早期払いリクエストによって随時、売掛金を現金化できるので、資金繰りの状況に応じて、適宜、早期払いリクエストを行うか否かを柔軟に判断することができる。
また、システム利用手数料が、早期払いリクエストのタイミング又は早期払いが行われたタイミングから、本来の支払期日までの期間が短いほど少額になるよう設定されているため、商品等提供者は、このような状況を考慮し、資金調達コストを最小限にするように、早期払いリクエストを行うタイミングを判断することができる。
次に、図21を参照して、図20に示すような商品の納品、確定、代金支払い、及び早期払いリクエストがある場合の具体的な資金の動きについて説明する。
なお、この例では、取引先企業ID=「T002」で、商品の納品日の翌月応当日が確定日となり、さらに、それらの確定日を月末で締めて、翌月末に本来の支払期日とするものとする(図13Aの取引先企業管理テーブル361参照)。したがって、商品等提供者(ここでは、商品等提供者=「0002」)は、本来、商品が納品された月の翌々月の末に当該商品の代金を取引先企業から受け取るものである。
また、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%で、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率が100%である(図14Bの上限額設定テーブル364参照)。
図21のグラフでは、Y軸がプラスの方向に売掛金と早期払い上限額に関する表示が配置され、Y軸がマイナスの方向に、商品等提供者への早期払い額に関する表示が配置されている。
最初に、図20に示したように、1月10日に、商品等提供者の納品(1)に関する取引情報(取引金額=200万円)が、取引先企業端末20から取引管理サーバ30に送信されると、図21には、これに対応する200万円の上側棒グラフ(上側の左端のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な100万円を表し、上側が残りの金銭債務(=100万円)を表している。上記のように、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%となっているため、この時点で、早期払い上限額は100万円となる。また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の1番目の種別=「納品」のレコードに示されている。
次に、同日、商品等提供者が、商品等提供者端末10により早期払いリクエストを行うと(早期払い額=60万円)、図21には、これに対応する60万円の下側棒グラフ(下側の左端のグラフ)が示され、そのうち、下側がシステム利用手数料(=3.6万円(6%))と振込手数料(=1000円)の合計3.7万円を表し、上側が、商品等提供者の預金口座に実際に振り込まれる金額(=56.3万円)を表している。なお、ここでは、早期払いリクエストで指定された早期払い額から、システム利用手数料と振込手数料が事前に差し引かれるものとする。
早期払いリクエストで指定された早期払い額の60万円は、早期払い上限額の100万円以下であるので、このリクエストは正常に受け付けられる。また、システム利用手数料は、この納品(1)に係る商品の代金が本来は、当該早期払いリクエストの翌々月末に支払われるので、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月=1%、納品月翌月=1%)の合計で6%となる。商品等提供者の預金口座への振込手数料は、ここでは一律1000円とする。
また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の2番目の種別=「早期払い」のレコードに示されており、60万円の早期払いを行ったので、早期払い上限額は100万円から40万円に減じられている。
図21には、これに対応する140万円の上側棒グラフ(上側の左から2番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な40万円を表し、上側が残りの金銭債務(=100万円)を表している。
次に、図20に示したように、1月15日、商品等提供者が、商品等提供者端末10により早期払いリクエストを行うと(早期払い額=30万円)、図21には、これに対応する30万円の下側棒グラフ(下側の左から2番目のグラフ)が示され、そのうち、下側がシステム利用手数料(=1.8万円(6%))と振込手数料(=1000円)の合計1.9万円を表し、上側が、商品等提供者の預金口座に実際に振り込まれる金額(=28.1万円)を表している。
早期払いリクエストで指定された早期払い額の30万円は、早期払い上限額の40万円以下であるので、このリクエストは正常に受け付けられる。また、システム利用手数料は、この納品(1)に係る商品の代金が本来は、当該早期払いリクエストの翌々月末に支払われるので、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月=1%、納品月翌月=1%)の合計で6%となる。
また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の3番目の種別=「早期払い」のレコードに示されており、30万円の早期払いを行ったので、早期払い上限額は40万円から10万円に減じられている。
図21には、これに対応する110万円の上側棒グラフ(上側の左から3番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な10万円を表し、上側が残りの金銭債務(=100万円)を表している。
次に、図20に示したように、1月20日に、商品等提供者の納品(2)に関する取引情報(取引金額=100万円)が、取引先企業端末20から取引管理サーバ30に送信されると、図21には、これに対応する210万円の上側棒グラフ(上側の左から4番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な60万円を表し、上側が残りの金銭債務(=150万円)を表している。上記のように、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%となっているため、納品(2)の取引金額の50%の50万円が加算されて、早期払い上限額は60万円となり、同様に、金銭債務には50万円が加算されて150万円となっている。また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の4番目の種別=「納品」のレコードに示されている。
次に、図20に示したように、2月2日に、商品等提供者が、商品等提供者端末10により早期払いリクエストを行うと(早期払い額=60万円)、図21には、これに対応する60万円の下側棒グラフ(下側の左から3番目のグラフ)が示され、そのうち、下側がシステム利用手数料(=3万円(5%))と振込手数料(=1000円)の合計3.1万円を表し、上側が、商品等提供者の預金口座に実際に振り込まれる金額(=56.9万円)を表している。
早期払いリクエストで指定された早期払い額の60万円は、早期払い上限額の60万円と同じであるので、このリクエストは正常に受け付けられる。また、システム利用手数料は、当該早期払い額が、納品(1)と納品(2)の代金に基づくものであり、これらの商品の代金が本来は、当該早期払いリクエストの翌月末に支払われるので、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月翌月=1%)の合計で5%となる。
また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の5番目の種別=「早期払い」のレコードに示されており、60万円の早期払いを行ったので、早期払い上限額は60万円から0に減じられている。
図21には、これに対応する150万円の上側棒グラフ(上側の左から5番目のグラフ)が示され、早期払い可能な額は表わされておらず、残りの金銭債務(=150万円)のみが表されている。
次に、図20に示したように、2月10日に、商品等提供者の納品(1)の商品の確定(確定(1))に関する取引情報(取引金額=100万円)が、取引先企業端末20から取引管理サーバ30に送信されると、図21には、これに対応する150万円の上側棒グラフ(上側の左から6番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な100万円を表し、上側が残りの金銭債務(=50万円)を表している。上記のように、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%で、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率が100%となっているため、確定(1)によって、納品(1)の取引金額の50%の50万円分が、残りの金銭債務から早期払い可能な額に移動し、早期払い上限額は100万円となり、同様に、残りの金銭債務は50万円となっている。また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の6番目の種別=「確定」のレコードに示されている。
次に、図20に示したように、2月12日に、商品等提供者の納品(3)に関する取引情報(取引金額=100万円)が、取引先企業端末20から取引管理サーバ30に送信されると、図21には、これに対応する250万円の上側棒グラフ(上側の左から7番目のグラフ)が示され、そのうち下段が早期払い可能な100万円で、実質的にこれまでの納品(1)、納品(2)、確定(1)に関わる部分を表し、中段が早期払い可能な50万円で、実質的に今回の納品(3)に関わる部分を表し、上段が残りの金銭債務(=100万円)を表している。上記のように、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%となっているため、納品(3)の取引金額の50%の50万円が加算されて、早期払い上限額は合計で150万円となり、同様に、金銭債務には50万円が加算されて100万円となっている。また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の7番目の種別=「納品」のレコードに示されている。
次に、2月15日に、商品等提供者が、商品等提供者端末10により早期払いリクエストを行うと(早期払い額=120万円)、図21には、これに対応する120万円の下側棒グラフ(下側の左から4番目のグラフ)が示され、そのうち、下側がシステム利用手数料(うち、100万円については5万円(5%)、うち20万円については1.2万円(6%))と振込手数料(=1000円)の合計6.3万円を表し、上側が、商品等提供者の預金口座に実際に振り込まれる金額(=113.7万円)を表している。
ここで、早期払い額として120万円が指定された場合、実質的に納品(1)、納品(2)、確定(1)に係る金額である100万円と、実質的に納品(3)に係る金額である50万円があるが、この時点で、上記の100万円の方が、本来の支払期日までの期間が短く、低コストで調達できる資金であり、後述するように、システム利用手数料は5%である。一方、上記の50万円のシステム利用手数料は6%となる。したがって、本実施形態の取引管理システム1では、システム利用手数料の低い金銭債権から早期払い額に対応させていくよう設計されている。なお、これとは逆に、システム利用手数料の高い金銭債権から早期払い額に対応させていくよう設計することもできる。また、どのようなシステム利用手数料の金銭債権を指定した早期払い額に対応させるかを、商品等提供者が指定できるようにしてもよい。
早期払いリクエストで指定された早期払い額の120万円は、早期払い上限額の150万円以下であるので、このリクエストは正常に受け付けられる。また、システム利用手数料は、この納品(1)、納品(2)、確定(1)に係る商品の代金が本来は、当該早期払いリクエストの翌月末に支払われるので、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月翌月=1%)の合計で5%となる。一方、納品(3)に係る商品の代金が本来は、当該早期払いリクエストの翌々月末に支払われるので、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月=1%、納品月翌月=1%)の合計で6%となる。商品等提供者の預金口座への振込手数料は、ここでは一律1000円とする。
また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の8番目の種別=「早期払い」のレコードに示されており、120万円の早期払いを行ったので、早期払い上限額は150万円から30万円に減じられている。
図21には、これに対応する130万円の上側棒グラフ(上側の左から8番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な30万円を表し、上側が残りの金銭債務(=100万円)を表している。
次に、図20に示したように、2月20日に、商品等提供者の納品(2)の商品の確定(確定(2))に関する取引情報(取引金額=100万円)が、取引先企業端末20から取引管理サーバ30に送信されると、図21には、これに対応する130万円の上側棒グラフ(上側の左から9番目のグラフ)が示され、そのうち下段が早期払い可能な30万円で、実質的にこれまでの納品(1)、納品(2)、確定(1)、納品(3)に関わる部分を表し、中段が早期払い可能な50万円で、実質的に今回の確定(2)に関わる部分を表し、上段が残りの金銭債務(=50万円)を表している。上記のように、この取引先企業は、納品日〜確定日までの早期払い上限額比率が50%で、確定日〜支払期日までの早期払い上限額比率が100%となっているため、確定(2)によって、納品(2)の取引金額の50%の50万円分が、残りの金銭債務から早期払い可能な額に移動し、早期払い上限額は80万円となり、同様に、残りの金銭債務は50万円となっている。また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の9番目の種別=「確定」のレコードに示されている。
次に、図20に示したように、3月末に、確定(1)と確定(2)の取引に基づいて、取引先企業には請求額が通知されるとともに、商品等提供者には、確定(1)と確定(2)の取引に基づいて、この支払期日(納品の翌々月末)に支払われるべき金額で、まだ早期払いがされていない金額が支払われる。
そうすると、上述のように、2月20日に、確定(2)によって、納品(2)の取引金額の50%の50万円分が、残りの金銭債務から早期払い可能な額に移動し、その移動した金額について、早期払いがされていないので、ここで、通常払いとして、商品等提供者の預金口座にその残金が支払われる。図21には、これに対応する50万円の下側棒グラフ(下側の左から5番目のグラフ)が示され、そのうち、下側が振込手数料(=1000円)を表し、上側が、商品等提供者の預金口座に実際に振り込まれる金額(=49.9万円)を表している。なお、本実施形態では、このタイミングで支払われる金額には、システム利用手数料は適用されない。
また、この状況が、図15Bに示す早期払い管理テーブル366の10番目の種別=「通常払い」のレコードに示されており、50万円の通常払いを行ったので、早期払い上限額は80万円から30万円に減じられている。
この結果、図21に示すように、この通常払いに対応する80万円の上側棒グラフ(上側の左から10番目のグラフ)が示され、そのうち下側が早期払い可能な30万円を表し、上側が残りの金銭債務(=50万円)を表している。
次に、図22、及び図23を参照して、商品等提供者端末10のタッチスクリーン113に表示される画面の例について説明する。
図22Aに示す早期払い上限額確認画面400は、図16のステップS15や、図17のステップS30において表示される表示画面の例を示している。
例えば、図22Aの早期払い上限額確認画面400は、図15A、図20、及び図21で例示した商品の納品、確定、代金支払いが行われる状況において、1月10日時点で、商品等提供者ID=「0002」の商品等提供者が、取引先企業=「T002」にの取引先企業に関して表示したものを表している。
早期払い上限額確認画面400の中段には、1月10日の納品(1)の取引に応じて支払いが可能となった早期払い額の上限を示すリストが表示されている。上述したように、1月10日には、取引金額=200万円の商品が納品されており(納品(1))、このリストは、その取引に対応するものである。当該リストにおいて、早期払い上限額は、取引金額の50%に相当する100万円に設定されている。また、システム利用手数料は「6%」と表示されている。
早期払い上限額確認画面400の下段には、早期払い額を入力するための早期払い額入力エリアが配置され、その下に、早期払いリクエストを取引管理サーバ30に送信するための早期払いリクエストボタンと、早期払いリクエストの履歴や各タイミングでの早期払い上限額を表示するための早期払い履歴表示ボタンが配置される。
ここで、商品等提供者(ユーザ)は、商品等提供者端末10を操作して、上記のリストのチェックボックスをチェックすることで当該リストを選択し、さらに、早期払い額入力エリアに「600000」円を入力し、早期払いリクエストボタンをタッチすると、商品等提供者端末10のタッチスクリーン113の表示が、図22Bに示す早期払いリクエスト画面410に遷移する。
図22Bの早期払いリクエスト画面410の中段上部には、商品等提供者の早期払いリクエストに応じて商品等提供者の預金口座に支払われる、お支払い金額が表示される。ここで、お支払い金額は、図22Aの早期払い上限額確認画面400で指定した早期払い額の60万円からシステム利用手数料(60万円×6%=3.6万円)と振込手数料(1000円)を差し引いた「563000」円となっている(図21参照)。
図22Bの早期払いリクエスト画面410の下段には、OKボタンとキャンセルボタンが配置され、OKボタンをタッチすると、表示されたお支払い金額の振り込みが確定し、実行される。キャンセルボタンをタッチすると、この早期払いリクエストがキャンセルされ、図22Aの早期払い上限額確認画面400の表示に戻る。
図23Aの早期払い上限額確認画面420は、図15A、図20、及び図21で例示した商品の納品、確定、代金支払いが行われる状況において、図22Aとは別のタイミング(すなわち2月1日時点)で、商品等提供者ID=「0002」の商品等提供者が、取引先企業=「T002」にの取引先企業に関して表示したものを表している。
図22Aの早期払い上限額確認画面400と同様に、中段には、早期払い額の上限を示すリストが表示されているが、ここでは、早期払いが可能な額である上限額が60万となっている。これは、1月10日の納品(1)、1月10日の早期払い、1月15日の早期払い、及び1月20日の納品(2)の各取引が月単位にまとめられ、その単位で算出されたものである。
また、上記のリストでは、システム利用手数料は「5%」と表示されているが、これは、納品(1)の商品と納品(2)の商品に係る代金の本来の支払期日は3月末であり、1月の早期払いより支払期日までの期間が1ヶ月短くなるので、その分、システム利用手数料が1ヶ月分少なく設定されたものである。
図23Bの早期払い上限額確認画面430は、図15A、図20、及び図21で例示した商品の納品、確定、代金支払いが行われる状況において、図22A、図23Aとは別のタイミング(すなわち2月12日時点)で、商品等提供者ID=「0002」の商品等提供者が、取引先企業=「T002」にの取引先企業に関して表示したものを表している。
図22Aの早期払い上限額確認画面400と同様に、中段には、早期払い額の上限を示すリストが表示されているが、ここでは、2つのリストが表示されており、上のリストは、早期払いが可能な額である上限額が100万となっている。これは、1月10日の納品(1)、1月10日の早期払い、1月15日の早期払い、1月20日の納品(2)、2月2日の早期払い、及び2月10日の確定(1)の各取引が月単位にまとめられ、その単位で算出されたものである。また、このリストのシステム利用手数料は「5%」と表示されているが、これは、納品(1)の商品、納品(2)の商品、及び確定(1)の商品に係る代金の本来の支払期日は3月末であり、1月の早期払いより支払期日までの期間が1ヶ月短くなるので、その分、システム利用手数料が1ヶ月分少なく設定されたものである。
下のリストは、早期払いが可能な額である上限額が50万となっている。これは、2月12日の納品(3)の取引が月単位にまとめられ、その単位で算出されたものである。また、このリストのシステム利用手数料は「6%」と表示されているが、これは、納品(3)の商品に係る代金の本来の支払期日は4月末であり、2月時点で早期払いをする場合、基本手数料(=3%)、支払期日当月加算分(=1%)、納品月以降・支払期日前月加算分(納品月=1%、納品月翌月=1%)の合計で6%となっている。
また、これら2つのリストにはそれぞれチェックボックスが設けられ、このチェックボックスをチェックすることにより、それぞれのリストを個別に選択することができる。例えば、早期払い額として30万円を指定する場合、どちらのリストの早期払い額の枠を利用するかを、チェックボックスのチェックにより選択できる(通常は、システム利用手数料が低い方が有利である)。
また、この例で、早期払い額として130万円を指定する場合、両方のリストの早期払い額の枠を利用する必要があるが、チェックボックスのチェックがどちらにもない場合、どちらのリストの早期払い額の枠をどれだけ用いるかは、取引管理システム1が自動的に決定する。例えば、システム利用手数料が低い方の早期払い額の枠から使いきるというルールを用いることができるが、その逆のルールであってもよい。また、例えば、早期払い上限額確認画面430において、商品等提供者が各リストの早期払い額の枠をそれぞれどれだけ利用するかを個別に指定できるようにしてもよい。
図24は、図6に示した商品の確定と代金支払いにおいて、3社間ファクタリングを提供した状況において、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1を提供した様子を示している。この例では、商品の納品タイミングに関わらず、商品の受け入れが確定したタイミングで売掛債権の譲渡が行われ、その時点から、当該商品に対応する代金について早期払いが可能となる。
商品等提供者が納品した商品が、1月(当月)10日に確定した場合(確定(1))、この確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この確定(1)の取引は、1月末締めで、3月(翌々月)15日に本来の支払期日を迎えるものである。
このような確定(1)の取引により、商品等提供者は、確定したその日(1月10日)にも、早期払いリクエストにより、確定(1)の商品に係る代金の一部を受領することができる。早期払いリクエスト「R」は、本実施形態では、上述のように、商品等提供者端末10から取引管理サーバ30に送信される。
また、このとき、確定の時点で商品等提供者からファクタリング会社に売掛債権が譲渡される。
さらに商品等提供者は、1月15日に再び早期払いリクエストを行い、確定(1)の商品に係る代金の残りを受領することができる。
次に、商品等提供者が納品した別の商品が、1月(当月)20日に確定したとする(確定(2))。そして、この確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この確定(2)の取引は、1月末締めで、3月(翌々月)15日に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月2日に、早期払いリクエストにより、確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。確定(1)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。
また、確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金の本来の支払期日は3月15日であり、このような2月になっての早期払いは、1月の早期払いより支払期日までの期間が(月単位で考えると)1ヶ月短くなるので、システム利用手数料が1ヶ月分少なく設定されることになる。
次に、商品等提供者が納品した別の商品が、2月10日に確定したとする(確定(3))。そして、この確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この確定(3)の取引は、2月末締めで、4月15日に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月12日に、早期払いリクエストにより、確定(1)の商品、確定(2)の商品、及び確定(3)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。確定(1)、確定(2)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。
なお、この場合、1月に確定した確定(1)と確定(2)の取引に係る早期払い額と、2月に確定した確定(3)の取引に係る早期払い額とでは、上述したように、システム利用手数料が1ヶ月分(本実施形態では1%)異なる。本実施形態の取引管理システム1では、基本的に、早期払いリクエストで指定した早期払い額を、システム利用手数料が低い方から割り当てるようにするが、逆の割り当て方法(すなわち、システム利用手数料が高い、確定(1)と確定(2)の取引に係る代金の枠から割り当てる)を採用することもできる。また、商品等提供者が、早期払い額を、どの取引の代金の枠から割り当てるか指定するようにすることもできる。
次に、商品等提供者が納品した別の商品が、2月22日に確定したとする(確定(4))。そして、この確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1に提供される。なお、この確定(4)の取引は、2月末締めで、4月15日に本来の支払期日を迎えるものである。
確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金は、1月末で締められ、これらの取引に対応する売掛金が、(取引先企業からの請求に基づき)3月15日に、取引先企業からファクタリング会社に支払われる。一方、確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金のうち、早期払いの対象となっていない残りの金額は、3月15日にファクタリング会社から商品等提供者に(通常払いとして)支払われる。
このように、3社間ファクタリングを設定したうえで、本発明の取引管理システム1を利用することによって、商品等提供者は、確定した商品に係る代金に対応する資金を、早期払いリクエストによって、本来の支払期日より前に、所望のタイミングで所望の額を回収することができる。商品等提供者は、早期払いリクエストによって随時、売掛金を現金化できるので、資金繰りの状況に応じて、適宜、早期払いリクエストを行うか否かを柔軟に判断することができる。
また、システム利用手数料が、早期払いリクエストのタイミング又は早期払いが行われたタイミングから、本来の支払期日までの期間が短いほど少額になるよう設定されているため、商品等提供者は、このような状況を考慮し、資金調達コストを最小限にするように、早期払いリクエストを行うタイミングを判断することができる。
図25は、上記で示したものとは別の、商品の確定、代金支払い、及び早期払いのパターンを示したものである。ここでも、上記と同様に、3社間ファクタリングが利用され、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1が適用される。
この例では、1ヶ月の多くの商品が納品されて報酬(代金)が発生し、基本的に、同月においてその商品が承認され、最終的に報酬が確定して確定報酬となる。図25では、取引件数が多いため、個々の取引は図示しない。また、確定報酬は、確定した時点でその確定報酬の100%が、早期払いとして利用可能であるものとする。
図25に示す例では、商品等提供者が1月(当月)に217件の取引に係る商品を納品し、その月にすべての取引について承認がされ、確定報酬として130455円が発生している。2月(翌月)には、1074件の取引に係る商品を納品し、その月にすべての取引について承認がされ、確定報酬として597266円が発生している。3月(翌々月)には、26件の取引に係る商品を納品し、その月にすべての取引について承認がされ、確定報酬として20696円が発生している。
さらに、商品等提供者が1月より前に納品した商品の取引に係る承認が繰り越しとなり、結果的に、3月に承認され、そのタイミングで確定報酬が発生している。このような繰越承認件数は、この例では4件であり、確定報酬として1755円が発生している。
一方、商品等提供者は、商品等提供者端末10によって早期払いリクエストを取引管理サーバ30に送信している。この例では、1月に8万円の早期払い額を指定して早期払いリクエストを行い、2月に30万円の早期払い額を指定して早期払いリクエストを行い、3月に20万円の早期払い額を指定して早期払いリクエストを行っている。これらの早期払いリクエストにより、指定した早期払い額からシステム利用手数料と振込手数料を差し引いた額が、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる。
また、このような状況において、1月末で締めた場合に、残金として50455円が算出され、この金額が、3月15日に、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる。また、取引先企業からファクタリング会社に、1月の確定報酬に対応する金額が振り込まれる。
また、2月末で締めた場合に、残金として97266円が算出され、この金額が、4月15日に、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる。この残金は、2月の確定報酬から、2月にされた早期払いリクエストの早期払い額を差し引き、さらに、その2月分の残金から、3月にされた早期払いリクエストの早期払い額を差し引いたものである。
また、3月末で締めた場合に、残金として、確定報酬そのままの、20696円が算出され、この金額が、5月15日に、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる。この残金は、3月にされた早期払いリクエストの早期払い額が、2月の確定報酬からすでに支払われているため、3月分の確定報酬そのままの額となっている。また、繰越承認によって、3月に確定した確定報酬の1755円についても、5月15日に、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる。
図25に示した商品の確定、代金支払い、及び早期払いの状況において、商品等提供者端末10に表示される照会画面450が図26に示されている。なお、ここでは、商品等提供者端末10は据え置き型のパーソナルコンピュータであり、これに接続されたLCDモニタに上記の照会画面が表示されている。また、照会画面450は、例えば、上述した早期払い上限額確認画面等とは別に、商品等提供者による商品等提供者端末10の操作によって、LCDモニタに表示される。
図26に示す照会画面450は、3月末の基準日において、直近3ヶ月の月ごとの確定報酬等を示しており、また、その時点での前払い可能額も示されている。
図26の照会画面450には、主として確定報酬に関する事項を月ごとに示した表示エリア451と、主として前払いに関する事項を月ごとに示した表示エリア452が配置されている。それぞれの表示エリアでは、各取引が確定日を基準として月単位にまとめられ、基準日の月と、前月、前々月について、確定報酬や確定報酬残高等が計算され、示されている。
表示エリア451の「確定報酬」の項目は、この例では、それぞれ「発生報酬」と同じ値となっている。ここで、2018年3月の確定報酬は、20696円であり、早期払いリクエストが無ければ、5月15日に振り込まれる予定の額である。同様に、2018年2月の確定報酬は、597266円であり、早期払いリクエストが無ければ、4月15日に振り込まれる予定の額である。また、2018年1月の確定報酬は、130455円であり、早期払いリクエストが無ければ、3月15日に振り込まれる予定の額である。
また、表示エリア451の「繰越承認」に対応する「確定報酬」は、1755円であり、この額は、3月に承認され、確定した報酬であるため、早期払いリクエストが無ければ、5月15日に振り込まれる予定である。
表示エリア452の「確定報酬」の項目は、表示エリア451の「確定報酬」に対応し、それぞれの月で同じ金額が表示されている。表示エリア452の「早期払い額」の項目は、商品等提供者による早期払いリクエストによって指定された早期払い額を月ごとに示したものである。上述したように、この例では、2018年3月に20万円の早期払い額が指定され、2018年2月に30万円の早期払い額が指定され、2018年1月に8万円の早期払い額が指定されている。
表示エリア452の「確定報酬残高」の項目は、確定報酬から早期払い額を差し引いた金額である。ここで、2018年3月の確定報酬残高は、確定報酬の130455円から早期払い額の8万円が差し引かれて、50455円となっている。また、2018年2月の確定報酬残高は、確定報酬の597266円から、2月の早期払い額の30万円と3月の早期払い額の20万円が差し引かれて、97266円となっている。また、2018年3月の確定報酬残高は、確定報酬の20696円から、何も差し引かれずに(3月の早期払い額の20万円は、2月の確定報酬から差し引かれている)、そのまま、206969円となっている。
そして、基準日が3月31日であることを考慮すると、3月15日にすでに支払われた残金(50455)を除いた確定報酬残高の合計(すなわち、1755+97266+20696=119717)が、早期払い可能額として、図26の照会画面450に示されている。
なお、基準日が4月1日になると、2018年2月の確定報酬残高が、早期払い可能額の計算の対象外となるため、図26の照会画面450に示される早期払い可能額は、22451円となる。
表示エリア452の「早期払い振込金額」の項目は、商品等提供者による早期払いリクエストによって、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれた金額を表している。
表示エリア452の「規定振込日の振込金額」の項目は、これから早期払いリクエストによる早期払い額の支払いがない場合に、本来の支払期日に、ファクタリング会社から商品等提供者の預金口座に振り込まれる、又は振り込まれた金額を表している。この例では、5月15日に振り込まれる予定の金額は、206969円+1755円であり、4月15日に振り込まれる予定の金額は、97266円である。そして、3月15日に振り込まれた金額は、50455円である。
なお、この例では、2018年3月の早期払い額(20万円)に関して、2018年2月の確定報酬から差し引くようにしたが、上述のように、直近の確定報酬、すなわち、2018年3月の確定報酬(20696円)から先に利用することも可能である。
また、この例では、「早期払い振込金額」や「規定振込日の振込金額」に関して、説明を簡潔にするため、システム利用手数料や振込手数料の差し引き計算を省略している。
次に、図27ないし図36を参照して、本発明の第2実施形態に係る取引管理システム1’について説明する。
図27は、本発明の第2実施形態の取引管理システムの概要を表している。図27に示す本発明の第2実施形態に係る取引管理システム1’では、第1実施形態の取引管理システム1と同様に、商品等提供者が、自身の納品した商品等の代金に基づいて、一定額を、(取引先企業による)本来の支払期日より前に(3社間ファクタリングの仕組みにより)受領できるよう依頼することができる。
図27に示す取引管理システム1’は、商品等提供者が利用する商品等提供者端末10’、取引先企業により運営・管理される取引先企業サーバ50、及びファクタリング会社により運営・管理される取引管理サーバ60を含む。なお、ここでは、便宜上、取引管理システム1’が、上記の商品等提供者端末10’、取引先企業サーバ50、及び取引管理サーバ60を含むものとして説明するが、取引管理システム1’を、商品等提供者端末10’や取引先企業サーバ50を含まないように構成することもできる。
取引管理システム1’は、上述した取引管理システム1の変形例としてとられることができるため、以下では、取引管理システム1と異なる部分を中心に説明する。
取引管理システム1’では、取引先企業が、商品等提供者から商品等の納品を受け付けた場合、ユーザ(取引先企業)が、取引先企業サーバ50に接続された取引先企業端末20’を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の納品日や代金)が、取引先企業サーバ50から取引管理サーバ60に送信される。また、商品等提供者から納品された商品等の受け入れが、取引先企業において確定した場合、取引先企業のユーザが、取引先企業端末20’を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の確定日や代金)が取引先企業サーバ50から取引管理サーバ60に送信される。なお、商品等が納品された場合、又は商品等の受け入れが確定した場合のどちらかで、取引情報が取引管理サーバ60に送信されるようにしてもよい。
取引管理サーバ60は、取引先企業サーバ50から受信した取引情報等に基づいて、商品等提供者に支払い可能な早期払い額を計算し、又さらに、取引先企業に請求する請求額を計算する。
商品等提供者は、商品等提供者端末10’を操作し、必要に応じて、早期払いリクエストを、取引先企業サーバ50を介して取引管理サーバ60に送信する。取引管理サーバ60は、早期払いリクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて、商品等提供者に早期払い額を支払うよう決済処理を行う。
さらに、取引管理サーバ60は、本来の支払期日に、商品等の代金請求に係るメッセージを取引先企業サーバ50に送信する。取引先企業サーバ50は(又は、取引先企業の事務処理等により)、取引管理サーバ60からの商品等の代金請求に応じて決済処理を行う。
なお、図27では、説明の便宜上、同じ金融機関に商品等提供者、取引先企業、及びファクタリング会社の預金口座が存在するように表記したが、預金口座は、それぞれ異なる金融機関であってもよい。また、決済方法についても、口座間振替以外の様々な方法を選択することができる。
上述のように、取引管理システム1’では、取引管理システム1とは異なり、商品等提供者端末10’が、取引管理サーバ60ではなく、取引先企業サーバ50にアクセスし、早期払いリクエストは、取引先企業サーバ50を経由して取引管理サーバ60に送信される。
なお、商品等提供者端末10’のハードウエア構成は、基本的に、図8に示す商品等提供者端末10のハードウェア構成と同様である。また、取引先企業サーバ50と取引管理サーバ60のハードウエア構成は、基本的に、図9に示す取引管理サーバ30のハードウェア構成と同様である。
次に、図28の機能ブロック図を参照して、本発明の第2実施形態に係る取引管理システム1’における商品等提供者端末10’の機能の概要について説明する。図28に示すように、商品等提供者端末10’は、アクセス制御部151’、早期払い情報表示制御部152’、早期払いリクエスト送信部153’、入出力制御部154、及びネットワークI/F部155を含んでいる。なお、図10に示す商品等提供者端末10と基本的に同様の機能部には、図10で示したものと同じ符号を付し、その機能部に関する説明を省略する。
アクセス制御部151’は、商品等提供者端末10’を操作するユーザが正当なユーザであるかを、取引先企業サーバ50の判定結果に基づいてチェックする。正当なユーザである場合にのみログインが許可され、以降の処理が可能となる。
早期払い情報表示制御部152’は、ユーザの操作に応じて、取引先企業サーバ50に早期払い情報リクエストを送信し、当該リクエストの応じて取引先企業サーバ50から受信した(早期払い上限額や納品した商品の代金等を含む)早期払い情報表示用データを、商品等提供者端末10’のタッチスクリーンに表示するよう制御する。
早期払いリクエスト送信部153’は、ユーザの操作に応じて、早期払いリクエストを取引先企業サーバ50に送信する。
なお、アクセス制御部151’、早期払い情報表示制御部152’、及び早期払いリクエスト送信部153’は、商品等提供者端末10’にインストールされた専用アプリケーションで実現できるが、一般的なWEBブラウザにより取引先企業サーバ50からhtml等を読み込むことで実現することも可能である。
次に、図29の機能ブロック図を参照して、本発明の第2実施形態に係る取引管理システム1’における取引先企業サーバ50の機能の概要について説明する。図29に示すように、取引先企業サーバ50は、アクセス制御部551、取引管理部552、リクエスト管理部553、請求書受付部554、及びネットワークI/F部555を含んでいる。また、外部記憶装置560には、商品等提供者管理テーブル561、取引管理テーブル562、及び早期払い管理テーブル563が記憶される。
アクセス制御部551は、アクセスしてきた商品等提供者端末10’が正当なユーザによるものかを、商品等提供者管理テーブル561のテーブルを参照してチェックし、判定結果を商品等提供者端末10’に返す。
取引管理部552は、接続された取引先企業端末20’等から入力された取引情報(納品された商品等の納品日や代金、又は納品された商品等の確定日や代金を含む取引情報)を受信し、その情報を、取引管理テーブル562に記憶する。また、所定のタイミングで、受信した取引情報を、取引管理サーバ60に送信する。
リクエスト管理部553は、商品等提供者端末10’から早期払いリクエストを受信した場合に、その早期払いリクエストを取引管理サーバ60に送信する。
また、リクエスト管理部553は、商品等提供者端末10’から早期払い情報リクエストを受信した場合に、取引管理テーブル562や早期払い管理テーブル563を参照し、早期払い上限額や納品した商品の代金等を含んだ、早期払い情報表示用データを生成し、商品等提供者端末10’に送信する。
請求書受付部554は、本来の支払期日に、取引管理サーバ60から商品等の代金請求のメッセージを受信し、その後、必要に応じて、その代金請求に係る決済処理を行う。
ネットワークI/F部555は、インターネット等のネットワークに接続し、商品等提供者端末10’や取引管理サーバ60との間のデータ送受信を実現する。
次に、図30の機能ブロック図を参照して、本発明の第2実施形態に係る取引管理サーバ60の機能の概要について説明する。図30に示すように、取引管理サーバ60は、取引管理部651、リクエスト管理部652、早期払い上限額管理部653、決済処理制御部654、月次処理制御部655、及びネットワークI/F部656を含んでいる。また、外部記憶装置660には、取引先企業管理テーブル661、商品等提供者管理テーブル662、取引管理テーブル663、上限額設定テーブル664、手数料管理テーブル665、及び早期払い管理テーブル666が記憶される。
取引管理部651は、取引先企業サーバ50から取引情報を受信し、その情報を、取引管理テーブル663に記憶する。これに連動して、早期払い上限額管理部653が、早期払い管理テーブル666の早期払い上限額を更新する。
リクエスト管理部652は、取引先企業サーバ50から早期払いリクエストを受信した場合に、その早期払いリクエストに応じて、商品等提供者に早期払いを行うよう早期払い上限額管理部653、及び決済処理制御部654を制御する。
早期払い上限額管理部653は、取引先企業サーバ50から受信した取引情報等に基づいて、早期払い上限額を決定して早期払い管理テーブル666を更新するとともに、取引先企業サーバ50から早期払いリクエストを受信した場合に、早期払い管理テーブル666を参照して、受信した早期払いリクエストの金額が早期払い上限額以下であるか否かを判定する。
また、早期払い上限額管理部653は、早期払いリクエストによる早期払いが行われた場合に、早期払い管理テーブル666の早期払い上限額を更新する。
決済処理制御部654は、早期払い上限額管理部653により、受信した早期払いリクエストの金額が早期払い上限額以下であるとされた場合に、その金額を商品等提供者に支払うよう、例えば、全銀システム(全国銀行データ通信システム)のサーバ等に対して早期払い依頼のメッセージを送信する。また、早期払いの残金があれば、本来の支払期日において、その残金を商品等提供者に支払うよう、例えば、全銀システムのサーバ等に対して通常払い依頼のメッセージを送信する。
月次処理制御部655は、取引情報を記憶した取引管理テーブル663を参照して、本来の支払期日に、商品等の代金請求のメッセージを取引先企業サーバ50に送信する。また、早期払い管理テーブル666等を参照して、本来の支払期日に支払うべき金額(早期払いの残金)を求め、決済処理制御部654により、その残金を通常払いとして商品等提供者に支払うよう制御する。この通常払いに連動して、早期払い上限額管理部653が、早期払い管理テーブル666の早期払い上限額を更新する。
なお、本実施形態では、月次処理制御部655により月次の処理が行われるものとしたが、これに限定されるものではない。この処理の実行タイミングは、それぞれの取引先企業が設定した支払期日のタイミングに応じて決定される。例えば、取引先企業が、商品等提供者に応じて異なる支払期日を設定している場合、その取引先企業についての上記処理は、月に複数回行われることになるし、また、1ヶ月ごとのサイクルで行われる必要もない。
ネットワークI/F部656は、取引管理サーバ60のネットワークインタフェース等を制御して、インターネット等のネットワークに接続し、取引先企業サーバ50との間のデータ送受信を実現する。
また、外部記憶装置660に記憶されている、取引先企業管理テーブル661、商品等提供者管理テーブル662、取引管理テーブル663、上限額設定テーブル664、手数料管理テーブル665、早期払い管理テーブル666はそれぞれ、取引先企業管理テーブル361、商品等提供者管理テーブル362、取引管理テーブル363、上限額設定テーブル364、手数料管理テーブル365、早期払い管理テーブル366と同様の構成である。
図31Aには、商品等提供者管理テーブル561の例が示されている。商品等提供者管理テーブル561は、商品等提供者の属性等を管理、記憶するもので、例えば、商品等提供者ID、名称、パスワードの各項目を記憶する。商品等提供者IDは、商品等提供者を特定するための識別子である。
図31Bには、取引管理テーブル562の例が示されている。取引管理テーブル562は、商品等提供者端末10’から送信された取引情報を記憶するもので、例えば、取引先企業に商品等を納品した商品等提供者の商品等提供者ID、取引NO、商品ID、納品日、確定日、取引金額の各項目を記憶する。取引管理テーブル562には、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1の取引管理テーブル363と同様のデータが記憶される(ただし、取引管理テーブル562には、その取引先企業に関する商品等提供者の取引のみが記憶される)。
本実施形態では、各取引について1つの商品の商品IDを記憶しているが、取引NOに対応する取引が複数の商品を含む場合は、これに応じて複数の商品IDを含むようにできる。
本実施形態では、商品等提供者による納品の際に、商品等提供者端末10’から送信された取引情報に基づいて、取引管理テーブル562にレコードを挿入して納品日を記憶し、その後、取引先企業が(商品等の検収完了等によって)商品等の受け入れを確定させた際に入力した取引情報に基づいて、対応するレコードに確定日をセットする。また、取引先企業における支払条件によって、納品日に基づいて確定日が自動的に決定される場合は、納品の際に商品等提供者端末10’から送信された取引情報に基づいて、納品日と確定日をセットするようにしてもよい。
図32には、早期払い管理テーブル563の例が示されている。早期払い管理テーブル563は、商品等提供者ID、種別、取引NO、基準日、金額、早期払い上限額を記憶する。早期払い管理テーブル563には、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1の早期払い管理テーブル366と同様のデータが記憶される(ただし、早期払い管理テーブル563には、その取引先企業に関する商品等提供者の取引に関するレコードのみが記憶される)。
次に、図33ないし図36を参照して、本発明の第2実施形態に係る取引管理システム1’における各処理について説明する。なお、図33ないし図36は、取引管理システム1’の各処理に関する手順を説明するためのフローチャートであり、商品等提供者端末10’、取引先企業サーバ50、及び取引管理サーバ60の処理が、それぞれ時間の経過とともに表されている。
図33は、取引管理サーバ60が、取引先企業サーバ50から納品に係る取引情報を受信する、納品時処理の手順を示した図である。
最初に、商品等提供者から取引先企業に対して、商品、又はサービスの提供が行われると、取引先企業のユーザは、取引先企業端末20’を操作して、取引先企業サーバ50に、商品・サービスの納品に係る取引の内容を表す取引情報の入力を行う。
ここで、取引先企業サーバ50は、こうして入力された取引情報を受信すると、この内容を取引管理テーブル562に記憶する(ステップS101)。取引情報には、例えば、取引先企業ID、商品等提供者ID、取引NO、取引金額、納品日等が含まれる。このような構成により、商品等提供者による商品等の納品がされた場合に、取引先企業サーバ50の取引管理テーブル562の内容を、取引管理サーバ60の取引管理テーブル663の内容と(当該取引先企業に関して)同期させることができる。
次に、取引先企業サーバ50は、この取引情報を、取引管理サーバ60に送信する(ステップS102)。また、取引先企業サーバ50は、商品等提供者との取引内容を入力している自社システムとインタフェースを行って、商品等提供者に係る取引情報を取得し、所定のタイミングで取引管理サーバ60に送信するように構成することもできる。
取引管理サーバ60は、取引先企業サーバ50から取引情報を受信すると、この内容を取引管理テーブル663に記憶する(ステップS103)。
次に、取引管理サーバ60は、この取引情報に基づいて、早期払い上限額を決定する(ステップS104)。この早期払い上限額は、上限額設定テーブル664の納品日〜確定日の上限額比率に基づいて決定される。その後、取引管理サーバ60は、決定された早期払い上限額を含むレコード(種別=「納品」)を追加するよう、早期払い管理テーブル666を更新する(ステップS105)。
次に、取引管理サーバ60は、決定された早期払い上限額を含むレコードを取引先企業サーバ50に送信する(ステップS106)。
取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、決定された早期払い上限額を含むレコードを受信すると、そのレコードを早期払い管理テーブル563に追加する(ステップS107)。このような構成により、商品等提供者による商品等の納品がされた場合に、取引先企業サーバ50の早期払い管理テーブル563の内容を、取引管理サーバ60の早期払い管理テーブル666の内容と(当該取引先企業に関して)同期させることができる。
この後、商品等提供者端末10’において、後述する早期払い上限額確認画面を表示させるよう指示すると、取引先企業サーバ50へのアクセスによって、上記のように決定・記憶された早期払い上限額が、例えば、納品月と本来の支払期日ごとにまとめられて(すなわち、システム利用手数料が同じものにまとめられて)一覧表示される(ステップS108)。
図34は、取引先企業サーバ50が、自動的に確定タイミング到来をチェックする場合、及び取引先企業サーバ50において商品の受け入れ確定に係る取引情報が入力された場合の確定時処理の手順を示した図である。
最初に、取引先企業サーバ50が、新たに商品等提供者との取引に関して確定日入力処理を選択したか否かをチェックする(ステップS121)。確定日入力処理が選択されていないと判定された場合(ステップS121のNO)、所定のタイミングにおいて確定日の自動更新処理を行う。すなわち、取引管理テーブル562に記憶されたレコードで、確定日がセットされていない取引を抽出し、それらの取引について、取引先企業における支払条件によって確定日が到来したか否かを判定し、確定日が到来している取引については、取引管理テーブル562の対応するレコードに当該確定日をセットする(ステップS122)。
その後、取引先企業サーバ50は、決定された確定日を取引管理サーバ60に送信する(ステップS123)。
確定日を受信した取引管理サーバ60は、その確定日に基づいて取引管理テーブル663を更新する(ステップS124)。次に、ステップS125に進み、そこで、早期払い上限額を決定する。この早期払い上限額は、上限額設定テーブル664の確定日〜支払期日の上限額比率に基づいて決定される。その後、取引管理サーバ60は、種別が「確定」のレコードを生成し、さらにそのレコードの早期払い上限額を変更し、このレコードを早期払い管理テーブル666に追加する(ステップS126)。
次に、取引管理サーバ60は、決定された早期払い上限額を含むレコードを取引先企業サーバ50に送信する(ステップS127)。
取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、決定された早期払い上限額を含むレコードを受信すると、そのレコードを早期払い管理テーブル563に追加する(ステップS128)。このような構成により、商品等提供者による商品等の取引が確定された場合に、取引先企業サーバ50の早期払い管理テーブル563の内容を、取引管理サーバ60の早期払い管理テーブル666の内容と(当該取引先企業に関して)同期させることができる。
この後、商品等提供者端末10’において、後述する早期払い上限額確認画面を表示させるよう指示すると、取引先企業サーバ50へのアクセスによって、上記のように決定・記憶された早期払い上限額が、例えば、納品月と本来の支払期日ごとにまとめられて(すなわち、システム利用手数料が同じものにまとめられて)一覧表示される(ステップS129)。
ステップS121において、確定日入力処理が選択されていると判定された場合(ステップS121のYES)、取引先企業サーバ50において、確定日入力による確定時処理を行う。
取引先企業のユーザが、商品・サービスの検収等を完了して、当該商品等の受け入れが確定した場合に、取引先企業のユーザは、取引先企業端末20’を操作して、商品・サービスの確定に係る取引の内容を表す取引情報の入力を行う。
このために、取引先企業サーバ50は、取引管理テーブル562を参照して、過去に送信された取引で確定日が入力されていないものを取得する(ステップS130)。
取引先企業サーバ50は、確定日未入力取引を取引先企業端末20’に表示し、そこで、取引先企業のユーザから、確定日の入力を受け付ける(ステップS131)。その後、取引先企業サーバ50は、取引先企業端末20’を介して受信した確定日を、取引管理テーブル562の対応するレコードにセットし、当該確定日を取引管理サーバ60に送信する(ステップS132)。
取引先企業サーバ50から確定日を受信した取引管理サーバ60の処理は、確定日の自動更新処理の場合と同じである(ステップS124ないしステップS129)。
図35は、取引管理サーバ60が、商品等提供者端末10’から早期払いリクエストを受信した場合の早期払いリクエスト(随時)処理の手順を示した図である。
最初に、商品等提供者(ユーザ)の操作により、後述する早期払い上限額表示画面の表示を指示すると(ステップS141)、商品等提供者端末10’が、取引先企業サーバ50に対して早期払い上限額表示画面のためのリクエストを送信する(ステップS142)。このリクエストには、その商品等提供者の商品等提供者IDが含まれる。また、このとき、商品等提供者端末10’からパスワード等が取引先企業サーバ50に送信されてユーザ認証が行われ、取引先企業サーバ50が商品等提供者管理テーブル561のパスワードと比較して正当なユーザであると判定した場合に、以降の処理が可能となる。
取引先企業サーバ50が、早期払い上限額表示画面のためのリクエストを受信すると、早期払い管理テーブル563を参照して、商品等提供者IDに対応する早期払い上限額を特定し、その情報を商品等提供者端末10’に送信する(ステップS142)。
商品等提供者端末10’は、早期払い上限額に関する情報を取引先企業サーバ50から受信すると、その情報に基づいて、図22Aに示したような早期払い上限額表示画面をタッチスクリーンに表示する(ステップS143)。
その後、商品等提供者端末10’は、ユーザの操作により、図22Bに示したような早期払いリクエスト画面をタッチスクリーンに表示し、そこでユーザが早期払いリクエストの送信を指示すると、これに応じて、取引先企業サーバ50に早期払いリクエストを送信する(ステップS144)。この早期払いリクエストには、ユーザが指定した早期払い額が含まれる。
取引先企業サーバ50は、商品等提供者端末10’から早期払いリクエストを受信すると、早期払い管理テーブル563の早期払い上限額を参照して、早期払いリクエストに指定された早期払い額が、早期払い上限額以下か否かを判定する(ステップS145)。早期払い額が早期払い上限額以下でない場合(ステップS145のNO)、早期払い額が上限を超えた旨のエラーメッセージを生成し、商品等提供者端末10’に送信する(ステップS146)。商品等提供者端末10’は、このエラーメッセージを受信すると、それをタッチスクリーンに表示する(ステップS147)。
一方、早期払い額が早期払い上限額以下であると判定された場合(ステップS145のYES)、取引先企業サーバ50は、早期払いリクエストを取引管理サーバ60に送信する(ステップS148)。
取引管理サーバ60は、早期払いリクエストを受信すると、このリクエストに基づいて、指定された早期払い額を、商品等提供者の預金口座にあてて振り込むための早期払い依頼を所定のサーバに送信する(ステップS149)。
なお、早期払いリクエストに指定された早期払い額が、早期払い上限額以下か否かを判定する場合、商品等提供者が負担するシステム利用手数料が差し引かれる関係上、このシステム利用手数料を考慮して上記判定を行う必要がある。例えば、早期払い管理テーブル666の早期払い上限額が10万円であって、早期払いリクエストに指定された早期払い額も10万円である場合、システム利用手数料を差し引くことができないので、早期払いリクエストがエラーとなる。
また、このような場合、早期払いリクエストに指定された早期払い額から自動的にシステム利用手数料を差し引いて、指定する預金口座に振り込むようにしてもよい。また、上限額設定テーブル664によって、対応する期間の早期払い上限額比率が100%でない場合に、上限額として設定された枠以外の金額に対してシステム利用手数料がチャージされるようにしてもよい。また、システム利用手数料が差し引かれることを加味して、早期払い上限額が設定されるようにしてもよい。
次に、取引管理サーバ60は、商品等提供者の預金口座にあてて振り込んだ早期払い額に基づいて、早期払い管理テーブル666の早期払い上限額を減算し、早期払い管理テーブル666を更新する(ステップS150)。
その後、取引管理サーバ60は、早期払い上限額の更新を指示するための上限額更新指示と、早期払い額の振込手続が完了した旨の振込完了メッセージを生成し、これらを取引先企業サーバ50に送信する(ステップS151)。
取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、上限額更新指示を受信すると、それに基づいて早期払い管理テーブル563を更新する(ステップS152)。このような構成により、商品等提供者から早期払いリクエストがされた場合に、取引先企業サーバ50の早期払い管理テーブル563の内容を、取引管理サーバ60の早期払い管理テーブル666の内容と(当該取引先企業に関して)同期させることができる。
また、取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、振込完了メッセージを受信すると、これを商品等提供者端末10’に送信する(ステップS153)。商品等提供者端末10’は、この振込完了メッセージを受信すると、それをタッチスクリーンに表示する(ステップS154)。
図36は、取引管理サーバ60が実行する月次処理の手順を示した図である。なお、本実施形態では、取引先企業における本来の支払いタイミングが毎月末や毎月15日としているため、そのタイミングで月次処理が行われるが、取引先企業の支払いタイミングに合わせて、適宜この処理を実行することができる。
月次処理では、最初に、取引管理サーバ60が、取引先企業管理テーブル661の支払い条件や取引管理テーブル663の各取引を参照して、取引先企業ごとに請求額を決定する(ステップS171)。
次に、取引管理サーバ60は、決定された請求額に基づいて請求書を作成し、取引先企業サーバ50に請求書を送信し、請求額を通知する(ステップS172)。取引先企業サーバ50は、受信した請求書の請求額を取引管理テーブル562等を参照してチェックし(ステップS173)、正しい請求額か否かを判定する(ステップS174)。
ここで、取引先企業サーバ50が、正しい請求額でないと判定した場合(ステップS174のNO)、取引先企業端末20’にエラーメッセージを表示する(ステップS175)。一方、取引先企業サーバ50が、正しい請求額であると判定した場合(ステップS174のYES)、請求額をファクタリング会社に振り込むための振込依頼を所定のサーバに送信する(ステップS176)。
なお、本実施形態では、取引先企業サーバ50が、受信した請求額をチェックし、その請求額が正しい場合に振込依頼の送信までを行うようにしたが、そのすべて、又は一部を手作業により行うようにしてもよい。
取引管理サーバ60は、ステップS172の後、取引先企業の本来の支払期日までに早期払いリクエストがされなかった残り金額(残金)を、早期払い管理テーブル666を参照して算出する(ステップS181)。ここで、残り金額があるか否かを判定し(ステップS182)、残り金額がある場合(ステップS182のYES)、その残り金額を商品等提供者の預金口座に振り込むための通常払い依頼を、所定のサーバに送信する(ステップS183)。
なお、本実施形態では、支払期日の10日前や1週間前といったタイミングで(すなわち、本来の支払期日の直前において)、早期払いのリクエストを不可とすることができ、その場合には、このような支払期日の10日前や1週間前の時点で、関連する取引先企業への請求額や、商品等提供者への通常払いの額が確定している。したがって、このようなタイミングにおいても、ステップS171の請求額の決定や、ステップS183の通常払い依頼の送信を行うことができる。
なお、本実施形態では、このような通常払いとなった残金については、基本手数料を含め、いかなるシステム利用手数料も徴収しないようにしているが(ただし、振込手数料は差し引くこととする)、所定の基準により、このような場合もシステム利用手数料を徴収するようにしてもよい。
その後、取引管理サーバ60は、早期払い上限額の更新を指示するための上限額更新指示と、通常払いの振込手続が完了した旨の振込完了メッセージを生成し、これらを取引先企業サーバ50に送信する(ステップS184)。
取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、上限額更新指示を受信すると、それに基づいて早期払い管理テーブル563を更新する(ステップS185)。このような構成により、月次処理が行われた場合に、取引先企業サーバ50の早期払い管理テーブル563の内容を、取引管理サーバ60の早期払い管理テーブル666の内容と(当該取引先企業に関して)同期させることができる。
また、取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、振込完了メッセージを受信すると、これを商品等提供者端末10’に送信する(ステップS186)。商品等提供者端末10’は、この振込完了メッセージを受信すると、それをタッチスクリーンに表示する(ステップS187)。
ステップS183の後、取引管理サーバ60は、早期払い管理テーブル666に、種別=「通常払い」のレコードを追加する(ステップS188)。結果として、これで、対象の納品月と本来の支払期日に関する早期払い上限額がゼロとなる。また、このタイミングで、各取引に関し、本来の支払期日までの長さが月単位で変化し、それに応じてシステム利用手数料が変化するため、システム利用手数料が差し引かれることを加味して早期払い上限額が設定されている場合は、こうしたシステム利用手数料の変化に応じて、早期払い上限額を変更する必要がある。
ステップS182において、残り金額がないと判定された場合(ステップS182のNO)、取引管理サーバ60は、ステップS189に進み、そこで、通常払いがない旨のメッセージを生成し、取引先企業サーバ50に送信する(ステップS189)。取引先企業サーバ50は、取引管理サーバ60から、上記メッセージを受信すると、これを商品等提供者端末10’に送信する(ステップS190)。商品等提供者端末10’は、このメッセージを受信すると、それをタッチスクリーンに表示する(ステップS187)。
次に、図37、図38を参照して、本発明の第3実施形態に係る取引管理システム1’’について説明する。
図37は、本発明の第3実施形態の取引管理システムの概要を表している。図37に示す本発明の第3実施形態に係る取引管理システム1’’では、第1実施形態の取引管理システム1とは異なり、3者間ファクタリングの仕組みを用いない。ここでは、商品等提供者が、自身の納品した商品等の代金に基づいて、一定額を、(取引先企業による)本来の支払期日より前に、取引先企業から支払わせるように依頼することができる。
図37は、本発明の第3実施形態の取引管理システムの概要を表している。図37に示す本発明の第3実施形態に係る取引管理システム1’’では、商品等提供者が、自身の納品した商品等の代金に基づいて、一定額を、(取引先企業による)本来の支払期日より前に受領できるよう依頼することができる。本明細書では、このような、本来の支払期日より前の、商品等提供者に対する支払いを「早期払い」と称する。また、商品等提供者による早期払いのための、取引管理システム1’’に対する依頼を「早期払いリクエスト」と称する。
図37に示す取引管理システム1’’は、商品等提供者が利用する商品等提供者端末10’’、取引先企業により運営・管理される取引先企業端末20’’、及び取引管理会社により運営・管理される取引管理サーバ70を含む。第3実施形態では、3者間ファクタリングの仕組みは利用されないため、取引管理サーバ70は、第三者企業である取引管理会社によって運営・管理される。取引管理会社は、取引管理サーバ70により、商品等提供者からの依頼に応じて、取引先企業の口座から所定金額を商品等提供者に振り込むよう管理するものであり、その点で、事務代行会社といえる。
なお、ここでは、便宜上、取引管理システム1’’が、上記の商品等提供者端末10’’、取引先企業端末20’’、及び取引管理サーバ70を含むものとして説明するが、取引管理システム1’’を、商品等提供者端末10’’や取引先企業端末20’’を含まないように構成することもできる。
取引先企業が、商品等提供者から商品等の納品を受け付けた場合、ユーザ(取引先企業)が、取引先企業端末20’’を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の納品日や代金)が取引管理サーバ70に送信される。また、商品等提供者から納品された商品等の受け入れが、取引先企業において確定した場合(すなわち、取引が確定した場合)、取引先企業のユーザが、取引先企業端末20’’を操作することにより、その商品に係る取引情報(納品された商品等の確定日や代金)が取引管理サーバ70に送信される。なお、商品等が納品された場合、又は商品等の受け入れが確定した場合のどちらかで、取引情報が取引管理サーバ70に送信されるようにしてもよい。また、こうした取引情報、又は取引情報の元となる情報は、商品等提供者端末10’’から送信されるようにしてもよい。商品等提供者端末10’’から送信される取引情報等は、例えば、取引先企業から承認された情報である。
取引管理サーバ70は、取引先企業端末20’’から受信した取引情報等に基づいて、商品等提供者に支払い可能な早期払い額を計算する。なお、第1実施形態の取引管理サーバ30は、取引先企業に請求する請求額を計算し、請求する処理を行うが、本実施形態では必要ない。
商品等提供者は、商品等提供者端末10’’を操作し、必要に応じて、早期払いリクエストを取引管理サーバ70に送信する。取引管理サーバ70は、早期払いリクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて決済処理を行う。この決済処理は、例えば、取引先企業の預金口座から商品等提供者の預金口座にリクエストされた金額を振り込むよう、所定のサーバに早期払い依頼のメッセージを送信する。また、早期払いの残金があれば、本来の支払期日に決済処理を行う。例えば、その残金を、取引先企業の預金口座から商品等提供者の預金口座に振り込むよう、所定のサーバに通常払い依頼のメッセージを送信する。
なお、ここでは、取引管理会社が、取引先企業に代わって、取引先企業の口座から商品等提供者の預金口座に、早期払いに係るリクエストされた金額や通常払いの金額を振り込むが、このような処理は、例えば、取引管理会社、取引先企業、及び取引先企業の口座の金融機関が、事前に契約や取り決めを行うことによって実現可能である。
なお、図37では、説明の便宜上、同じ金融機関に商品等提供者、及び取引先企業の預金口座が存在するように表記したが、預金口座は、それぞれ異なる金融機関であってもよい。また、決済方法についても、口座間振替以外の様々な方法を選択することができる。
また、取引管理システム1’’では、システム利用手数料を商品等提供者から徴収することができ、取引管理サーバ70を運営・管理する取引管理会社は、この手数料を受け取るように設定できる。また、取引管理システム1’’では、取引先企業が、商品等の代金の少なくとも一部を、本来の支払期日より前に商品等提供者に支払うこととなるため、このような早期払いに対して、所定の手数料を商品等提供者から徴収するように設定することもできる。
図37に示した商品等提供者端末10’’の構成は、図8、図10に示した、第1実施形態の商品等提供者端末10と同様である。また、図37に示した取引先企業端末20’’の構成は、図8、図11に示した、第1実施形態の取引先企業端末20と同様である。
また、図37に示した取引管理サーバ70の構成は、図9、図12に示した、第1実施形態の取引管理サーバ30と基本的に同様であるが、上述の通り、取引先企業の口座から商品等提供者の預金口座に、早期払いに係るリクエストされた金額や通常払いの金額を振り込むよう制御するとともに、取引先企業へ商品等の代金請求を行わないように制御される。
図37に示した取引管理システム1’’に関しては、上記のような第1実施形態との相違点を考慮したうえで、図13〜図15に示した取引管理サーバ30の各テーブルを取引管理サーバ70のテーブルとして読み替えることができ、同様に、図16〜図19に示した取引管理システム1における各処理を取引管理システム1’’における処理として読み替えることができる。
次に、図38を参照して、図5Bに示した商品の納品、確定と代金支払いにおいて、本発明の第3実施形態に係る取引管理システム1’’を提供した様子を示している(ただし、ここでは、図5Bに示されるような売掛債権の譲受・支払はなく、また、取引先企業からファクタリング企業への売掛金支払もない)。
商品等提供者が、1月(当月)10日に商品を納品した場合(納品(1))、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1’’に提供される。なお、この納品(1)の取引は、2月(翌月)10日に確定され、3月(翌々月)末に本来の支払期日を迎えるものである。
このような納品(1)の取引により、商品等提供者は、納品したその日(1月10日)にも、早期払いリクエストにより、納品(1)の商品に係る代金の一部を受領することができる。早期払いリクエスト「R」は、本実施形態では、上述のように、商品等提供者端末10’’から取引管理サーバ70に送信される。また、早期払いリクエストで指定した金額は、即時に商品等提供者の口座に振り込まれるようにしてもよいし、翌営業日や翌々営業日など、早期払いリクエスト後の所定のタイミングで振り込まれるようにしてもよい。
また、商品等提供者の口座に振り込まれる金額は、早期払いリクエストで指定した金額から取引管理システム1’’のシステム利用手数料を差し引いた額であるが、早期払いリクエストで指定した金額がそのまま商品等提供者の口座に振り込まれるようにし、システム利用手数料は、商品等提供者の残りの代金(売掛金)から徴収するようにしてもよい。なお、早期払いリクエストで指定した金額からシステム利用手数料を差し引く場合は、早期払いリクエストのたびにシステム利用手数料が徴収されることになるが、システム利用手数料を残りの代金から徴収する場合は、取引管理システム1’’の内部でシステム利用手数料を累計しておき、所定のタイミングでまとめて徴収するようにしてもよい。
さらに商品等提供者は、1月15日に再び早期払いリクエストを行い、納品した納品(1)の商品に係る代金の残りを受領することができる。
次に、商品等提供者が、1月(当月)20日に商品を納品したとする(納品(2))。そして、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1’’に提供される。なお、この納品(2)の取引は、2月(翌月)20日に確定され、3月(翌々月)末に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月2日に、早期払いリクエストにより、納品(1)の商品と納品(2)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。納品(1)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。
また、納品(1)の商品と納品(2)の商品に係る代金の本来の支払期日は3月末であり、このような2月になっての早期払いは、1月の早期払いより支払期日までの期間が1ヶ月短くなるので、システム利用手数料が1ヶ月分少なく設定されることになる。
納品(1)の商品の確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1’’に提供され、2月10日にこの納品(1)が確定する(確定(1))。その後、商品等提供者が、2月12日に商品を納品し(納品(3))、この納品に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1’’に提供される。なお、この納品(3)の取引は、3月12日に確定され、4月末に本来の支払期日を迎えるものである。
ここで、商品等提供者は、2月15日に、早期払いリクエストにより、確定(1)の商品、納品(2)の商品、及び納品(3)の商品に係る代金の一部を受領するものとする。確定(1)、納品(2)の商品に係る代金に残りがあれば、その枠の金額も早期払いリクエストに含むことができる。また、今回の早期払いリクエストでは、納品(1)の取引が確定され、確定(1)となっているため、早期払い上限額がその分増加している(上限額設定テーブル364参照)。
その後、納品(2)の商品の確定に係る取引情報が、取引先企業から取引管理システム1’’に提供され、2月20日にこの納品(2)が確定する(確定(2))。よって、その後の早期払いリクエストでは、納品(2)の取引が確定され、確定(2)となっているため、早期払い上限額がその分増加している(上限額設定テーブル364参照)。
確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金は、2月末で締められ、確定(1)の商品と確定(2)の商品に係る代金のうち、早期払いの対象となっていない残りの金額は、3月末に商品等提供者に(通常払いとして)支払われる。
このように、本発明の取引管理システム1’’を利用することによって、商品等提供者は、納品した商品に係る代金に対応する資金を、早期払いリクエストによって、本来の支払期日より前に、所望のタイミングで所望の額を回収することができる。商品等提供者は、早期払いリクエストによって随時、売掛金を現金化できるので、資金繰りの状況に応じて、適宜、早期払いリクエストを行うか否かを柔軟に判断することができる。
また、システム利用手数料が、早期払いリクエストのタイミング又は早期払いが行われたタイミングから、本来の支払期日までの期間が短いほど少額になるよう設定されているため、商品等提供者は、このような状況を考慮し、資金調達コストを最小限にするように、早期払いリクエストを行うタイミングを判断することができる。
ここまで、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1、第2実施形態に係る取引管理システム1’、第3実施形態に係る取引管理システム1’’について、具体的な構成例を示しながら説明してきたが、これらの実施形態は一例に過ぎない。上記以外の様々な構成によって、本発明の取引管理システムを実現することができる。
また、本明細書では、商品等の取引に関する取引金額について、説明を簡潔にするために消費税の記載を省略したが、実際に本発明の取引管理システムが適用される場合には、当然ながら消費税を含んだ取引金額が扱われることになる。
また、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1では、取引管理サーバ30によって本発明の特徴的な構成の少なくとも一部が実現されるが、このような取引管理サーバ30が、(例えば、機能毎に1台のコンピュータが利用され)複数のコンピュータによって構成されてもよい。同様に、第2実施形態に係る取引管理システム1’の取引先企業サーバ50や取引管理サーバ60、第3実施形態に係る取引管理システム1’’の取引管理サーバ70も、複数のコンピュータによって構成することができる。
また、本発明の第1実施形態に係る取引管理システム1や、第3実施形態に係る取引管理システム1’’に関する説明では、商品等提供者が1つの取引先企業と取引した場合の状況を前提としたが、商品等提供者が2つ以上の取引先企業と取引した場合にも、本発明の取引管理システムを適用することができる。例えば、早期払い上限額の表示や、早期払いリクエストの送信を、取引先企業ごとに管理して実現することができる。また、複数の取引先企業に亘って(複数の取引先企業に関する取引を統合した形で)、納品月(又は確定月)ごと、支払期日ごとに早期払い上限額を表示したり、早期払いリクエストの送信を可能としたりすることもできる。