以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
<システム構成>
まず、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1のシステム構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1の一例のシステム構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1は、銀行システム10と、債務者端末20と、債権者端末30と、記録機関システム40とを有し、例えばインターネットや電話回線網等の広域的なネットワークN1を介して通信可能に接続されている。
銀行システム10は、銀行等の預貯金取扱金融機関が有するコンピュータシステム(情報処理システム)である。銀行システム10には、電子記録債権処理装置100と、勘定系システム200とが含まれる。電子記録債権処理装置100と勘定系システム200とは、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークN2を介して通信可能に接続されている。
電子記録債権処理装置100は、電子記録債権に関するサービスを提供する情報処理装置又は情報処理システムである。
電子記録債権処理装置100は、例えば、債務者端末20からの要求に応じて、記録機関システム40に対して、電子記録債権の発生記録の請求等を行う。また、電子記録債権処理装置100は、例えば、債務者端末20からの要求に応じて、記録機関システム40に対して、電子記録債権の譲渡記録の請求等を行う。更に、電子記録債権処理装置100は、電子記録債権の割引が行われる場合や電子記録債権の支払期日が到来する場合等に、債権者(後述する「真正の債権者」)の決済口座に割引金額や決済金額を振り込むための処理を行う。
勘定系システム200は、例えば、電子記録債権における決済口座の管理、入出金や振込、送金、為替取引、他の金融機関との資金決済等の銀行業務を実現するための各種の処理を行う情報処理装置又は情報処理システムである。
なお、銀行システム10には、例えば、インターネットバンキング又はオンラインバンキング等のサービスを提供するEB(Electronic Banking)システム、上述した銀行業務の実現を支援する処理を行うシステム等の各種システムが含まれていても良い。
債務者端末20は、電子記録債権の債務者となる支払企業等が利用する情報処理装置である。支払企業等の担当者等は、債務者端末20を用いて、電子記録債権の発生記録の請求操作等を行うことができる。なお、債務者端末20には、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。
債権者端末30は、支払企業等に対する売掛債権等の債権を有する納入企業等が利用する情報処理装置である。納入企業等の担当者等は、支払企業等及び回収代行業者と一括ファクタリング契約を締結している場合に、債権者端末30を用いて、電子記録債権の割引譲渡の請求操作等を行うことができる。なお、債権者端末30には、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。
ここで、一括ファクタリング契約とは、納入企業等が債権を回収代行業者に譲渡することにより、回収代行業者が当該債権の回収を行う契約のことである。納入企業等は、支払期日が到来した場合、満額又は満額に近い金額の支払いを受けることができる。また、納入企業等は、支払期日前に債権の割引きを行う場合、割引代金を提供するバックファイナンス(例えば、銀行等の金融機関)に当該債権を譲渡する請求(すなわち、電子記録債権の割引譲渡の請求)を行うことで、満額から予め決められた率を割引いた金額の支払いを受けることができる。
支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で、一括ファクタリング契約を締結している場合、上記の売掛債権等の債権の電子記録債権における債務者は、支払企業等である。また、この電子記録債権における債権者は、回収代行業者となる。一方で、納入企業等は、回収代行業者に債権を譲渡することで、その回収の代行を依頼している地位にある。
そこで、以降では、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約を締結している場合、便宜的に、納入企業等を「真正の債権者」とも表す。なお、このとき、支払企業等が債務者、回収代行業者が債権者である。一方で、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約を締結していない場合は、支払企業等が債務者、納入企業等が債権者である。
記録機関システム40は、記録機関が有する情報処理装置又は情報処理システムである。記録機関システム40は、電子記録債権の発生や譲渡等の記録を管理する。
なお、図1に示す電子記録債権処理システム1の構成は、一例であって、他の構成であっても良い。例えば、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1には、複数台の債務者端末20が含まれていても良い。同様に、例えば、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1には、複数台の債権者端末30が含まれていても良い。更に、例えば、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1は、記録機関システム40が銀行システム10に含まれる構成であっても良い。
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の一例のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、入力装置11と、表示装置12と、外部I/F13と、通信I/F14と、ROM(Read Only Memory)15とを有する。また、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、RAM(Random Access Memory)16と、CPU(Central Processing Unit)17と、HDD(Hard Disk Drive)18とを有する。これらのハードウェアは、バスBで互いに接続されている。
入力装置11は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等であり、ユーザが各種の操作信号を入力するのに用いられる。表示装置12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等であり、処理結果を表示する。なお、電子記録債権処理装置100は、入力装置11及び/又は表示装置12を必要なときにバスBに接続して利用する形態であっても良い。
外部I/F13は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体13a等がある。電子記録債権処理装置100は、外部I/F13を介して、記録媒体13aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体13aには、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。なお、記録媒体13aには、本実施形態を実現するプログラムが格納されていても良い。
通信I/F14は、電子記録債権処理装置100をネットワークN1やネットワークN2に接続するためのインタフェースである。電子記録債権処理装置100は、通信I/F14を介して、債務者端末20、債権者端末30、記録機関システム40、及び勘定系システム200との間で、データ通信を行うことができる。
ROM15は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM15には、電子記録債権処理装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)等のプログラム、OS(Operating System)設定やネットワーク設定等のデータが格納されている。
RAM16は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU17は、ROM15やHDD18等の記憶装置からプログラムやデータをRAM16上に読み出し、当該プログラムやデータに基づく処理を実行することで、電子記録債権処理装置100全体の制御やその他の機能を実現する演算装置である。
HDD18は、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。HDD18に格納されるプログラムやデータには、本実施形態を実現するプログラム、電子記録債権処理装置100全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。HDD18は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び/又はDB(データベース)により管理している。
なお、電子記録債権処理装置100は、例えば、HDD18に代えて又はHDD18と併せて、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を有していても良い。
本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。
<機能構成>
次に、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の機能構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の一例の機能構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、受付部101と、発生記録請求処理部102と、期日決済処理部103と、割引譲渡処理部104と、決済処理部105とを有する。これら各機能部は、電子記録債権処理装置100にインストールされた1以上のプログラムが、CPU17に実行させる処理により実現される。
また、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、利用者データDB106と、契約データDB107と、債権データDB108と、決済データDB109とを有する。これら各記憶部は、例えばHDD18を用いて実現可能である。なお、これら各記憶部のうちの少なくとも一の記憶部が、電子記録債権処理装置100とネットワークN1又はネットワークN2を介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
受付部101は、債務者端末20、債権者端末30、及び記録機関システム40から各種のデータを受信する。例えば、受付部101は、電子記録債権の発生記録の請求を行うための債権申込データを債務者端末20から受信する。また、例えば、受付部101は、電子記録債権の割引譲渡の請求を行うための割引申込データを債権者端末30から受信する。更に、例えば、受付部101は、電子記録債権の期日決済(すなわち、電子記録債権の支払期日が到来した場合における決済)を行うための決済通知データを記録機関システム40から受信する。
発生記録請求処理部102は、受付部101が債権申込データを受信した場合、電子記録債権の発生を記録機関に記録するための処理を行う。すなわち、発生記録請求処理部102は、債権申込データに基づいて発生記録請求データを作成して、作成した発生記録請求データを記録機関システム40に送信することで、電子記録債権の発生記録の請求を行う。
このとき、発生記録請求処理部102は、契約データDB107を参照して、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約が締結されているか否かを判定する。そして、発生記録請求処理部102は、当該三者間で一括ファクタリング契約が締結されていない場合、支払企業等を債務者、納入企業等を債権者とした発生記録請求データを作成する。一方で、発生記録請求処理部102は、当該三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、支払企業等を債務者、回収代行業者を債権者として、納入企業等の情報(利用者番号)を所定のデータ項目に設定した発生記録請求データを作成する。なお、発生記録請求データの詳細については後述する。
期日決済処理部103は、受付部101が決済通知データを受信した場合、電子記録債権の期日決済に関する処理を行う。すなわち、期日決済処理部103は、決済通知データに基づいて、振込データの作成を決済処理部105に要求する。
このとき、期日決済処理部103は、決済通知データに指定されている債権者が回収代行業者か否かを判定する。そして、期日決済処理部103は、決済通知データに指定されている債権者が回収代行業者でない場合、当該債権者を受取人とした振込データの作成を決済処理部105に要求する。一方で、期日決済処理部103は、決済通知データに指定されている債権者が回収代行業者である場合、真正の債権者(すなわち、納入企業等)を受取人とした振込データの作成を決済処理部105に要求する。
割引譲渡処理部104は、受付部101が割引申込データを受信した場合、電子記録債権の割引譲渡に関する処理を行う。すなわち、割引譲渡処理部104は、割引申込データに基づいて、真正の債権者を受取人とした割引金額の振込データの作成を決済処理部105に要求すると共に、電子記録債権をバックファイナンスに譲渡するための請求を記録機関システム40に行う。
決済処理部105は、期日決済処理部103や割引譲渡処理部104からの要求に応じて、振込データを作成する。そして、決済処理部105は、作成した振込データを勘定系システム200に送信する。
利用者データDB106は、電子記録債権処理装置100の利用者に関する各種情報が含まれる利用者データを格納している。利用者データでは、例えば、利用者を識別する利用者番号と、利用者の決済情報(利用者の決済口座を識別する口座番号等)とが関連付けられている。また、利用者データでは、例えば、利用者番号と、この利用者番号の利用者が回収代行業者であるか否かを示す情報とが関連付けられている。
契約データDB107は、電子記録債権処理装置100の利用者同士の一括ファクタリング契約に関する各種情報が含まれる契約データを格納している。契約データでは、例えば、利用者番号と、この利用者番号の利用者と一括ファクタリング契約を締結している利用者の利用者番号とが関連付けられている。
債権データDB108は、記録機関に記録された電子記録債権に関する各種情報が含まれる債権データを格納している。債権データでは、例えば、記録機関に記録された電子記録債権を識別する記録番号と、記録機関に記録された電子記録年月日と、債権金額と、支払期日と、請求者Ref.No.とが関連付けられている。
決済データDB109は、真正の債権者に関する各種情報が含まれる決済データを格納している。決済データでは、例えば、記録機関に記録された電子記録債権を識別する記録番号と、真正の債権者の決済口座を特定するための決済情報(真正の債権者の決済口座を識別する口座番号等)とが関連付けられている。
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の処理の詳細について説明する。
≪電子記録債権の発生記録≫
以降では、支払企業等が債務者端末20を用いて電子記録債権の発生記録を行う場合の処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る電子記録債権の発生記録処理の一例を示すフローチャートである。
電子記録債権処理装置100の受付部101は、電子記録債権の発生記録の請求を行うための債権申込データを債務者端末20から受信する(ステップS401)。債権申込データには、例えば、支払企業等を識別する利用者番号、請求者情報、債務者情報、債権者情報、請求者Ref.No.、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日等が含まれる。
ここで、請求者情報とは、電子記録債権の発生記録の請求を行う者(請求者)に関する情報であり、例えば、請求者の口座番号、この口座の金融機関コード、支店コード、及び口座種別コード、並びに請求者の代理人等名、代理人等住所、及び代理人等代表者名等が含まれる。債務者情報とは、債権の債務者(すなわち、支払企業等)に関する情報であり、例えば、債務者の口座番号、この口座の金融機関コード、支店コード、及び口座種別コード等が含まれる。債権者情報とは、債権の債権者(すなわち、納入企業等)に関する情報であり、例えば、債権者を識別する利用者番号、債権者の口座番号、この口座の金融機関コード、支店コード、及び口座種別コード等が含まれる。請求者Ref.No.は、備考欄や任意入力欄等として入力される情報である。債権金額、支払期日、及び電子記録年月日は、それぞれ請求対象の債権の債権金額、支払期日、及び記録機関に記録する年月日である。
なお、支払企業等は、納入企業等との間で債権が発生した場合に、債務者端末20を用いて電子記録債権の発生記録の請求操作を行うことで、債権申込データを電子記録債権処理装置100に送信することができる。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、受付部101が債権申込データを受信すると、この債権申込データに基づいて発生記録請求データを作成する(ステップS402)。
ここで、発生記録請求データについて、図5を参照しながら説明する。図5は、発生記録請求データの一例を示す図である。
図5に示すように、発生記録請求データとは、記録機関システム40に対して、電子記録債権の発生記録を請求するためのデータであり、依頼番号、請求者情報、債務者情報、債権者情報、請求者Ref.No.、債権金額、支払期日、電子記録年月日、及び譲渡制限有無フラグ等が含まれる。
依頼番号には、発生記録請求データを識別する情報が設定される。また、請求者情報、債務者情報、債権者情報、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日には、上記のステップS401で受信した債権申込データに含まれる請求者情報、債務者情報、債権者情報、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日が設定される。更に、請求者Ref.No.には、後述するステップS403における判定結果に応じて、三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、真正の債権者(すなわち、支払企業等)の利用者番号が設定される。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、契約データDB107を参照して、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定する(ステップS403)。
すなわち、発生記録請求処理部102は、契約データDB107を参照して、例えば、上記のステップS401で受信した債権申込データに含まれる支払企業等の利用者番号と、当該債権申込データに含まれる債権者情報に設定された利用者番号とに基づいて、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定する。
なお、上記のステップS403では、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定したが、これに限られず、例えば、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者のうちの少なくとも二者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定しても良い。
ステップS403において、三者間で一括ファクタリング契約を締結していないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、上記のステップS402で作成した発生記録請求データを記録機関システム40に送信する(ステップS404)。
このように、三者間で一括ファクタリング契約を締結していない場合、電子記録債権処理装置100は、債務者を「支払企業等」、債権者を「納入企業等」とした発生記録請求データを記録機関システム40に送信する。これにより、電子記録債権処理装置100は、債務者が「支払企業等」、債権者が「納入企業等」である債権の発生記録を請求することができる。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、電子記録債権が成立したか否かを判定する(ステップS405)。すなわち、発生記録請求処理部102は、上記のステップS404における発生記録請求データを記録機関システム40に送信した後、この記録機関システム40から返信される応答が、電子記録債権の成立を示す応答であるか否かを判定する。なお、電子記録債権の成立を示す応答には、記録機関に記録された電子記録債権を識別する記録番号が含まれる。
ステップS405において、電子記録債権が成立していないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、電子記録債権が成立していないことを示すエラーを、上記のステップS401の債権申込データの送信元の債務者端末20に通知する(ステップS406)。一方で、電子記録債権が成立していると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、後述するステップS412の処理に進む。
ステップS403において、三者間で一括ファクタリング契約を締結していると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、上記のステップS402で作成した発生記録請求データの債権者情報に設定されている各情報を、回収代行業者の情報に上書き設定する(ステップS407)。
すなわち、発生記録請求処理部102は、当該発生記録請求データの債権者情報に設定されている金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号を、回収代行業者の金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号に上書き設定する。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、当該発生記録請求データの請求者Ref.No.に真正の債権者(すなわち、納入企業等)の利用者番号を設定する(ステップS408)。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、発生記録請求データを記録機関システム40に送信する(ステップS409)。
このように、三者間で一括ファクタリング契約を締結している場合、電子記録債権処理装置100は、債務者を「支払企業等」、債権者を「回収代行業者」とすると共に、真正の債権者(すなわち、納入企業等)の利用者番号を請求者Ref.No.に設定した発生記録請求データを記録機関システム40に送信する。
これにより、電子記録債権処理装置100は、債務者が「支払企業等」、債権者が「回収代行業者」である債権の発生記録を請求することができる。また、このとき、請求者Ref.No.に設定された利用者番号により真正の債権者を識別することができる。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、電子記録債権が成立したか否かを判定する(ステップS410)。すなわち、発生記録請求処理部102は、上記のステップS405と同様に、発生記録請求データの送信に対して記録機関システム40から返信される応答が、電子記録債権の成立を示す応答であるか否かを判定する。なお、電子記録債権の成立を示す応答には、記録機関に記録された電子記録債権を識別する記録番号が含まれる。
ステップS410において、電子記録債権が成立していると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、真正の債権者の決済情報(口座番号、金融機関コード、支店コード、及び口座種別コード等)を、記録番号及び依頼番号と関連付けた決済データを作成して、決済データDB109に保存する(ステップS411)。
すなわち、発生記録請求処理部102は、利用者データDB106において、請求者Ref.No.に設定されている利用者番号に関連付けて記憶されている決済情報を、記録番号及び依頼番号と関連付けて決済データを作成し、決済データDB109に保存する。なお、発生記録請求処理部102は、依頼番号又は記録番号のいずれか一方と、決済情報とを関連付けて決済データを作成しても良い。
これにより、請求者Ref.No.に設定された真正の債権者の決済情報が決済データとして決済データDB109で管理される。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、記録機関に記録された電子記録債権と同様の内容を有する債権データを作成して、債権データDB108に保存する(ステップS412)。なお、電子記録債権は記録機関に記録されているため、電子記録債権処理装置100は、必ずしも債権データを作成する必要はない(すなわち、電子記録債権処理装置100は、債権データDB108を有していなくても良い。)。
ステップS410において、電子記録債権が成立していないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102は、上記のステップS406と同様に、電子記録債権が成立していないことを示すエラーを、債権申込データの送信元の債務者端末20に通知する(ステップS413)。
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、債務者端末20からの要求に応じて、電子記録債権の発生記録を記録機関システム40に請求することで、記録機関に電子記録債権を記録することができる。
このとき、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、債権者情報に回収代行業者の情報を設定すると共に、納入企業等の利用者番号を請求者Ref.No.に設定した上で、電子記録債権の発生記録を請求する。
これにより、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100では、後述するように、電子記録債権の決済期日が到来する場合や割引譲渡が請求された場合等に、真正な債権者の決済口座を特定し、決済金額を振り込むことができるようになる。
≪電子記録債権の期日決済≫
以降では、電子記録債権の支払期日が到来することにより期日決済が行われる場合について説明する。
まず、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の間で一括ファクタリング契約が締結されている場合において、電子記録債権の支払期日が到来したことによる期日決済について、図6を参照しながら説明する。図6は、電子記録債権の期日決済を説明するための一例の図である。
図6に示すように、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、支払企業等が債務者、回収代行業者が債権者である。このとき、電子記録債権の支払期日が到来した場合、この電子記録債権の決済金額は、債務者の決済口座から真正の債権者(納入企業等)の決済口座に振り込まれる。
これは、債権者である回収代行業者は、真正の債権者である納入企業等に代わり、債権の回収を代行しているに過ぎないためである。なお、回収代行業者は、債権の回収に係る手数料等を得ることができる。
次に、電子記録債権の支払期日が到来することによる期日決済処理について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る電子記録債権の期日決済処理の一例を示すフローチャートである。
電子記録債権処理装置100の受付部101は、電子記録債権の期日決済を行うための決済通知データを記録機関システム40から受信する(ステップS701)。決済通知データには、例えば、記録番号、債務者情報、債権者情報、債権金額、及び支払期日等が含まれる。
なお、記録機関システム40は、支払期日が所定の日数後に到来する電子記録債権が記録されている場合、この電子記録債権の記録番号、債務者情報、債権者情報、債権金額、及び支払期日等を含む決済通知データを電子記録債権処理装置100に送信する。
次に、電子記録債権処理装置100の期日決済処理部103は、期日決済が行われる電子記録債権の債権者が回収代行業者であるか否かを判定する(ステップS702)。すなわち、期日決済処理部103は、利用者データDB106を参照して、決済通知データに含まれる債権情報に設定されている利用者番号と、この利用者番号の利用者が回収代行業者であることを示す情報とが関連付けられているか否かを判定する。
ステップS702において、期日決済が行われる電子記録債権の債権者が回収代行業者でないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、決済通知データに従って振込データを作成する(ステップS703)。
すなわち、決済処理部105は、債務者の決済口座から債権者の決済口座に対して債権金額(決済金額)を支払期日に振り込むための振込データを作成する。ここで、債務者の決済口座は、決済通知データに含まれる債務者情報に設定された金融機関コード、支店コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等から特定される。また、債権者の決済口座は、決済通知データに含まれる債権者情報に設定された金融機関コード、支店コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等から特定される。
一方、ステップS702において、期日決済が行われる電子記録債権の債権者が回収代行業者であると判定された場合、電子記録債権処理装置100の期日決済処理部103は、真正の債権者(すなわち、納入企業等)の決済口座を特定する(ステップS704)。
すなわち、期日決済処理部103は、決済データDB109を参照して、決済通知データに含まれる記録番号に関連付けられた決済情報(金融機関コード、支店コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等)から、真正の債権者の決済口座を特定する。
次に、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、上記のステップS702で特定された決済口座に対して支払期日に債権金額を振り込むための振込データを作成する(ステップS705)。すなわち、決済処理部105は、債務者の決済口座から真正の債権者の決済口座に対して債権金額を支払期日に振り込むための振込データを作成する。
次に、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、上記のステップS702で作成した振込データの振込金額(すなわち、支払期日が到来する電子記録債権の債権金額)から、回収代行業者の債権回収に係る所定の手数料を減算する(ステップS706)。すなわち、振込データの振込金額は、支払期日が到来する電子記録債権の債権金額から所定の手数料を減算した金額となる。
次に、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、作成した振込データを勘定系システム200に送信する(ステップS707)。これにより、振込データで指定された決済口座に対して決済金額(債権金額又は債権金額から所定の手数料を減算した金額)が支払期日に振り込まれる。
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、記録機関システム40から決済通知データを受信した場合、支払期日が到来する電子記録債権の振込データを作成することができる。
このとき、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、支払期日が到来する電子記録債権の債権者が回収代行業者である場合、真正の債権者の決済口座を特定した上で、この決済口座に決済金額(債権金額又は債権金額から所定の手数料を減算した金額)を振り込むため振込データを作成する。
これにより、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100では、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、真正の債権者(納入企業等)の決済口座に決済金額(債権金額から所定の手数料を減算した金額)を振り込むことができる。
≪電子記録債権の割引譲渡≫
以降では、真正の債権者により電子記録債権の割引譲渡が行われる場合について説明する。
まず、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の間で一括ファクタリング契約が締結されている場合において、真正の債権者(納入企業等)により電子記録債権の割引譲渡が行われる場合について、図8を参照しながら説明する。図8は、電子記録債権の割引譲渡を説明するための一例の図である。
図8に示すように、払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、支払企業等が債務者、回収代行業者が債権者である。このとき、真正の債権者(納入企業等)が電子記録債権の割引譲渡の申込みを行った場合、この電子記録債権の買い取りを行う買取業者の決済口座から真正の債権者の決済口座に割引金額が振り込まれる。これにより、真正の債権者は、電子記録債権の支払期日前に、債権代金から所定の金額を割り引いた金額(割引金額)を得ることができる。
一方で、電子記録債権は、回収代行業者から買取業者に譲渡された後、この買取業者に割引金額の資金を提供したバックファイナンス(例えば、銀行等の金融機関)に譲渡される。なお、図8に示す例では、回収代行業者と買取業者とが異なる場合について説明したが、回収代行業者と買取業者とが同一の事業者であっても良い。
次に、真正の債権者が債権者端末30を用いて電子記録債権の割引譲渡を行う場合の処理について、図9を参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る電子記録債権の割引譲渡処理の一例を示すフローチャートである。
なお、以降で説明する電子記録債権の割引譲渡処理のステップS901及びステップS902の処理は、割引希望日(真正の債権者が割引金額の振込を希望する日)の3営業日以前に行われる。また、電子記録債権の割引譲渡処理のステップS903〜ステップS906及びステップS911の処理は、割引希望日の2営業日前に行われる。更に、電子記録債権の割引譲渡処理のステップS907〜ステップS910の処理は、割引希望日に行われる。
電子記録債権処理装置100の受付部101は、電子記録債権の割引譲渡の請求を行うための割引申込データを債権者端末30から受信する(ステップS901)。割引申込データには、例えば、割引譲渡の対象となる電子記録債権の記録番号、割引金額、割引金額の振込を所望する日(割引日)等が含まれる。
なお、真正の債権者(納入企業等)は、債権者端末30を用いて電子記録債権の割引譲渡の請求操作を行うことで、割引申込データを電子記録債権処理装置100に送信することができる。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、債権データDB108を参照して、電子記録債権の割引が可能であるか否かを判定する(ステップS902)。すなわち、割引譲渡処理部104は、例えば、割引申込データに含まれる割引金額が、割引譲渡の対象の電子記録債権の債権金額(又は、既に割引が行われている場合は、債権金額から当該割引金額を引いた金額)を超えていないか否かを判定する。
ステップS902において、割引可能であると判定された場合、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、決済データDB109を参照して、真正の債権者(すなわち、納入企業等)の決済口座を特定する(ステップS903)。
すなわち、割引譲渡処理部104は、決済データDB109を参照して、割引申込データに含まれる記録番号に関連付けられた決済情報(金融機関コード、支店コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等)から、真正の債権者の決済口座を特定する。
次に、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、上記のステップS903で特定された決済口座に対して割引金額を割引日に振り込むための振込データを作成する(ステップS904)。すなわち、決済処理部105は、買取会社の決済口座から真正の債権者の決済口座に対して割引金額を割引日に振り込むための振込データを作成する。
次に、電子記録債権処理装置100の決済処理部105は、上記のステップS904で作成した振込データを勘定系システム200に送信する(ステップS904)。これにより、振込データで指定された決済口座に対して割引金額が割引日に振り込まれる。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、割引譲渡の対象となる電子記録債権を確定した上で、割引譲渡の対象となる電子記録債権が確定したことを、上記のステップS901の割引申込みデータの送信元の債権者端末30に通知する(ステップS906)。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、割引譲渡の対象となる電子記録債権を、回収代行業者から買取業者へ譲渡するための譲渡記録請求データを作成する(ステップS907)。譲渡記録請求データには、割引譲渡の対象となる電子記録債権の記録番号、旧債権者となる回収代行業者の利用者番号、新債権者となる買取業者の債権者情報(利用者番号、金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等)等が含まれる。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、上記のステップS907で作成した譲渡記録請求データを記録機関システム40に送信する(ステップS908)。これにより、割引譲渡対象の電子記録債権が回収代行業者から買取業者に譲渡される。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、割引譲渡の対象となる電子記録債権を、買取業者からバックファイナンスへ譲渡するための譲渡記録請求データを作成する(ステップS909)。譲渡記録請求データには、割引譲渡の対象となる電子記録債権の記録番号、旧債権者となる買取業者の利用者番号、新債権者となるバックファイナンスの債権者情報(利用者番号、金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号等)等が含まれる。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、上記のステップS909で作成した譲渡記録請求データを記録機関システム40に送信する(ステップS910)。これにより、割引譲渡対象の電子記録債権が買取業者からバックファイナンスに譲渡される。
ステップS902において、割引不可であると判定された場合、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、電子記録債権の割引譲渡を行うことができないことを、上記のステップS901の割引申込みデータの送信元の債権者端末30に通知する(ステップS911)。
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、電子記録債権の割引譲渡の請求が行われた場合、真正の債権者の決済口座を特定した上で、この決済口座に割引金額を振り込むための振込データを作成する。
これにより、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100では、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、真正の債権者(納入企業等)の決済口座に割引金額を振り込むことができる。
ここで、真正の債権者と債務者との間で、例えば、債権の発生と同時に割引譲渡を行う旨の契約や所定の期日に割引譲渡を行う旨の契約等が締結されている場合の割引譲渡処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る電子記録債権の割引譲渡処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図10におけるステップS902〜ステップS911の処理は、図9におけるステップS903〜ステップS911の処理と同様であるための、その説明を省略する。
電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、契約データDB107及び債権データDB108を参照して、割引譲渡の対象の電子記録債権を特定する(ステップS1001)。
すなわち、まず、割引譲渡処理部104は、契約データDB107を参照して、上記のような債権の発生と同時に割日譲渡を行う旨の契約や所定の期日に割引譲渡を行う旨の契約等を締結している利用者の利用者番号を特定する。次に、割引譲渡処理部104は、特定した利用者番号が請求者Ref.No.に設定されている債権データのうち、割引日が到来する債権データを特定する。そして、割引譲渡処理部104は、特定した債権データに設定されている記録番号の電子記録債権を、割引譲渡の対象となる電子記録債権として特定する。
なお、割引日が到来する債権データとは、債権の発生と同時に割日譲渡を行う旨の契約を締結している利用者の場合は、この利用者の利用者番号が設定されている債権データである。一方、所定の期日に割引譲渡を行う旨の契約を締結している利用者の場合は、この利用者の利用者番号が設定されている債権データのうち、所定の期日の3営業日前となっている債権データである。
次に、電子記録債権処理装置100の割引譲渡処理部104は、債権データDB108を参照して、上記のステップS1001で特定された電子記録債権の割引が可能であるか否かを判定する(ステップS1002)。なお、割引金額は、例えば、上記の契約等で予め決められた金額が用いられる。
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、支払企業等と納入企業等との間で、割引譲渡に関する契約が予め締結されている場合にも、真正の債権者の決済口座を特定した上で、この決済口座に割引金額を振り込むための振込データを作成することができる。
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、支払企業等の債務者が、銀行システム10を有する銀行(預貯金取扱金融機関)の決済口座を有していない場合について説明する。言い換えれば、第二の実施形態では、支払企業等の債務者が有する決済口座の窓口金融機関が、銀行システム10を有する銀行ではなく、他の銀行(他の預貯金取扱金融機関)である場合について説明する。
なお、第二の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と実質的に同一の機能を有する箇所及び実質的に同一の処理を行う箇所については同一の符号を付与し、その説明を省略する。
<システム構成>
まず、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1のシステム構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1の一例のシステム構成を示す図である。
図11に示すように、本実施形態に係る電子記録債権処理システム1は、支払企業等の債務者が有する決済口座の窓口金融機関のコンピュータシステムである銀行システム50を有する。銀行システム50は、銀行システム10とは異なる銀行のコンピュータシステムである。以降では、銀行システム50を有する銀行を、便宜上、「他行」とも表す。
銀行システム50は、債務者端末20及び記録機関システム40とネットワークN1を介して通信可能に接続されている。また、銀行システム50は、電子記録債権に関する各種処理を行うことができる。例えば、銀行システム50は、債務者端末20からの要求に応じて、記録機関システム40に対して、電子記録債権の発生請求等を行うことができる。
<機能構成>
次に、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の機能構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の一例の機能構成を示す図である。
図12に示すように、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、発生記録請求処理部102Aを有する。また、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、債権申込データDB110を有する。債権申込データDB110は、例えばHDD18を用いて実現可能である。なお、債権申込データDB110は、電子記録債権処理装置100とネットワークN1又はネットワークN2を介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
発生記録請求処理部102Aは、他行の決済口座を有する債務者の債務者端末20から債権申込データを受付部101が受信した場合、当該債権申込データの債権者情報及び請求者Ref.No.を上書き設定して、債権申込データDB110に保存する。そして、発生記録請求処理部102Aは、当該上書き後の債権申込データを債務者端末20に送信する。
その後、支払企業等の債務者は、債務者端末20を用いて、当該上書き後の債権申込データを銀行システム50に送信することで、電子記録債権の発生記録の請求を行うことができる。
また、発生記録請求処理部102Aは、債務者端末20による当該発生記録の請求に応じて記録機関システム40から発生記録通知データを受信した場合、決済データや債権データを作成するための処理を行う。すなわち、発生記録請求処理部102Aは、例えば、当該発生記録通知データと所定のデータ項目が一致する債権申込データが債権申込データDBに格納されている否か等を判定し、当該判定結果に応じて決済データや債権データを作成する。
債権申込データDB110は、発生記録請求処理部102Aにより債権者情報及び請求者Ref.No.が上書き設定された債権申込データを格納している。
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る電子記録債権処理装置100の処理の詳細について説明する。
≪電子記録債権の発生記録≫
以降では、他行の決済口座を有する支払企業等が債務者端末20を用いて電子記録債権の発生記録を行う場合の処理について説明する。まず、債務者端末20から債権申込データを受信した場合における電子記録債権処理装置100の処理について、図13を参照しながら説明する。図13は、第二の実施形態に係る電子記録債権の発生記録処理(1/2)の一例を示すフローチャートである。
電子記録債権処理装置100の受付部101は、債権申込データを債務者端末20から受信する(ステップS1301)。
なお、他行の決済口座を有する支払企業等は、納入企業等との間で債権が発生した場合に、債務者端末20を用いて電子記録債権の請求操作を行うことで、債権申込データを電子記録債権処理装置100に送信することができる。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、契約データDB107を参照して、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定する(ステップS1302)。
すなわち、発生記録請求処理部102Aは、図4のステップS403と同様に、契約データDB107を参照して、例えば、上記のステップS1301で受信した債権申込データに含まれる支払企業等の利用者番号と、当該債権申込データに含まれる債権者情報に設定された利用者番号とに基づいて、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを締結しているか否かを判定する。
ステップS1302において、三者間で一括ファクタリング契約を締結していないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、処理を終了させる。
一方、ステップS1302において、三者間で一括ファクタリング契約を締結していると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、上記のステップS1301で受信された債権申込データの債権者情報に設定されている各情報を、回収代行業者の情報に上書き設定する(ステップS1303)。
すなわち、発生記録請求処理部102Aは、当該債権申込データの債権者情報に設定されている金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号を、回収代行業者の金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号に上書き設定する。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、当該債権申込データの請求者Ref.No.に真正の債権者(すなわち、納入企業等)の利用者番号を設定する(ステップS1304)。なお、発生記録請求処理部102Aは、当該債権申込データの請求者Ref.No.に、真正の債権者の利用者番号に加えて、電子記録債権処理装置100で一意となる所定の識別情報を設定しても良い。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、上記のステップS1304で上書き設定された債権申込データを債権申込データDB110に保存する(ステップS1305)。
ここで、債権申込データDB110に格納されている債権申込データについて、図14を参照しながら説明する。図14は、債権申込データDB110に格納されている債権申込データの一例を示す図である。
図14に示すように、債権申込データDB110に格納されている債権申込データの債権者情報には、回収代行業者の各情報(すなわち、回収代行業者の利用者番号、金融機関コード、支店コード、口座種別コード、及び口座番号)が設定されている。また、当該債権申込データの請求者Ref.No.には、真正の債権者の利用者番号が設定されている。
なお、当該債権申込データの請求者Ref.No.には、真正の債権者の利用者番号に加えて、電子記録債権処理装置100で一意となる所定の識別情報が設定されていても良い。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、上記のステップS1304で上書き設定された債権申込データを債務者端末20に送信する(ステップS1306)。
これにより、その後、支払企業等の債務者は、債務者端末20を用いて、当該上書き後の債権申込データを銀行システム50に送信することで、電子記録債権の発生記録の請求を行うことができる。
以降では、当該電子記録債権の発生記録の請求に応じて記録機関システム40から発生記録通知データを受信した場合における電子記録債権処理装置100の処理について、図15を参照しながら説明する。図15は、第二の実施形態に係る電子記録債権の発生記録処理(2/2)の一例を示すフローチャートである。
電子記録債権処理装置100の受付部101は、発生記録通知データを記録機関システム40から受信する(ステップS1501)。発生記録通知データには、例えば、依頼番号、記録番号、債権者情報、債務者情報、請求者Ref.No.、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日等が含まれる。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、上記のステップS1501で受信された発生記録通知データの債権者情報が、回収代行業者の情報であるか否かを判定する(ステップS1502)。すなわち、発生記録請求処理部102Aは、利用者データDB106を参照して、当該発生記録通知データの債権者情報に設定されている利用者番号と、この利用者番号の利用者が回収代行業者であることを示す情報とが関連付けられているか否かを判定する。
ステップS1502において、当該発生記録通知データの債権者情報が、回収代行業者の情報でないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、処理を終了させる。
一方、ステップS1502において、当該発生記録通知データの債権者情報が、回収代行業者の情報であると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、債権申込データDB110を参照して、発生記録通知データと所定のデータ項目が一致する債権申込データが存在するか否かを判定する(ステップS1503)。
ここで、所定のデータ項目とは、例えば、債権者情報、債務者情報、請求者Ref.No.、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日等である。したがって、発生記録請求処理部102Aは、債権者情報、債務者情報、請求者Ref.No.、債権金額、支払期日、及び電子記録年月日等が発生記録通知データと一致する債権申込データが債権申込データDB110に存在するか否かを判定する。
ステップS1503において、発生記録通知データと所定のデータ項目が一致する債権申込データが存在すると判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、真正の債権者の決済情報を、記録番号及び依頼番号と関連付けた決済データを作成して、決済データDB109に保存する(ステップS1504)。
すなわち、発生記録請求処理部102Aは、図4のステップS411と同様に、利用者データDB106において、請求者Ref.No.に設定されている利用者番号に関連付けて記憶されている決済情報を、記録番号及び依頼番号と関連付けて決済データを作成し、決済データDB109に保存する。なお、発生記録請求処理部102は、依頼番号又は記録番号のいずれか一方と、決済情報とを関連付けて決済データを作成しても良い。
次に、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、図4のステップS412と同様に、記録機関に記録された電子記録債権と同様の内容を有する債権データを作成して、債権データDB108に保存する(ステップS1505)。
これにより、支払企業等の債務者が、銀行システム10を有する銀行の決済口座を有していない場合であっても、当該債務者、真正の債権者、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリングを行うことができる。
一方、ステップS1503において、発生記録通知データと所定のデータ項目が一致する債権申込データが存在しないと判定された場合、電子記録債権処理装置100の発生記録請求処理部102Aは、発生記録の否認を示す変更記録請求データを作成して、記録機関システム40に送信する(ステップS1506)。
<まとめ>
以上のように、第一の実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、支払企業等、納入企業等、及び回収代行業者の三者間で一括ファクタリング契約が締結されている場合、債権者情報に回収代行業者の情報を設定すると共に、納入企業等の利用者番号を請求者Ref.No.に設定した上で、電子記録債権の発生記録を請求する。
また、第一の実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、上記の一括ファクタリング契約が締結されている電子記録債権の支払期日が到来する場合、真正の債権者の決済口座を特定した上で、この決済口座に決済金額(債権金額又は債権金額から所定の手数料を減算した金額)を振り込むことができる。
更に、第一の実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、上記の一括ファクタリング契約が締結されている電子記録債権の割引譲渡が行われた場合、真正の債権者の決済口座を特定した上で、この決済口座に割引金額を振り込むことができる。
また、第二の実施形態に係る電子記録債権処理装置100は、他行の決済口座を有している支払企業等であっても、上記の一括ファクタリング契約に基づく一括ファクタリングを行うことができる。このため、銀行システム10を有する銀行等は、他行の決済口座しか有していない支払企業等に対しても上記の一括ファクタリングを提供することができるようになる。
なお、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。