JP2019191294A - 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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正起 廣瀬
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Abstract

【課題】長期間にわたり、かぶり現象を抑制しつつ、尾引き現象を抑制することのできる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。【解決手段】現像剤担持体10と、磁界発生手段9と、規制部材11と、を有する現像装置4は、現像剤担持体10の周面における、現像が行われる領域を現像領域D、規制部材11が当接する位置を当接位置Cとし、磁界発生手段9が発生する磁界により磁性トナーを現像剤担持体10の回転中心方向に引き付けるように働く力を磁気吸引力としたとき、現像剤担持体10の回転方向において当接位置Cから現像領域Dに至るまでの領域における磁気吸引力は、現像領域Dにおける磁気吸引力よりも小さく、現像領域Dにおける現像剤担持体10の周面に対して接線方向の磁束密度は、現像領域Dにおける現像剤担持体10の周面に対して法線方向の磁束密度よりも大きい構成とする。【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真装置方式や静電記録方式などを用いた画像形成装置において用いられる現像装置、プロセスカートリッジ、及びその画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置において用いられる現像装置として、磁性一成分現像剤(ここでは、「磁性トナー」、又は単に「トナー」ともいう。)を用いる磁性非接触現像方式のものがある。この現像装置は、マグネットローラを内包した現像スリーブにトナーを担持させ、この現像スリーブをその表面と感光ドラムの表面との間に間隙を設けて感光ドラムと対向させて、この間隙を飛翔するトナーにより感光ドラム上の静電像を現像する。
磁性非接触現像方式の利点として、感光ドラムと現像スリーブとが非接触であるため、感光ドラムの表面が摩耗しにくいことや、マグネットローラの磁気吸引力によりかぶり現象などの画像不良を抑制できることなどが挙げられる。ここで、「磁気吸引力」とは、マグネットローラが発生する磁界によりトナーを現像スリーブの回転中心方向に引き付けるように働く力のことである。また、「かぶり現象」とは、感光ドラム上の所望の静電像の部分以外にトナーが付着する現象である。
一方、磁性非接触現像方式には、次のような課題がある。つまり、マグネットローラによる磁気吸引力により、トナー粒子が互いに繋がりあう穂が形成されている。そのため、感光ドラム上の静電像の現像が行われる現像領域においても、トナーが穂の状態で飛翔し、そのトナーが感光ドラム上の静電像からはみ出す「尾引き現象」が発生する場合がある。
特許文献1では、磁気吸引力を、現像領域内の磁束密度のピーク位置よりも上流側及び下流側で大にすることで尾引き現象を低減させることが提案されている。特許文献1では、この構成により、尾引き現象を引き起こすようなトナー粒子について、現像スリーブから離脱しにくく、感光ドラムから現像スリーブに戻しやすくしようとしている。
特許文献2では、現像領域の上流側と下流側に磁極を配置することにより、尾引き現象を低減させることが提案されている。特許文献2の構成では、現像領域における磁界の垂直成分が殆どなく、磁界の水平成分だけになる。そのため、現像領域において穂は立たずに現像スリーブ上に寝た状態になる。この状態で、電界による感光ドラムに向かう方向の力がトナー粒子に作用した場合、トナーは穂が分断された状態で感光ドラム上の静電像に向かって飛翔するため、尾引き現象が良化する傾向がある。
特開平2−176686号公報 特開平2−277085号公報
ところで、近年は現像装置が長寿命化しており、長期間使用し続けることによりトナーの劣化が促進し、かぶり現象などが悪化する傾向がある。これは、磁気吸引力を強くすることで抑制することができるが、その場合には尾引き現象を低減する効果が低下する場合がある。
したがって、本発明の目的は、長期間にわたり、かぶり現象を抑制しつつ、尾引き現象を抑制することのできる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、周面に磁性トナーを担持する、回転可能な円筒状の現像剤担持体と、周方向に沿って複数の磁極を有し、前記現像剤担持体の中空部内に固定して配置された磁界発生手段と、前記現像剤担持体に当接し、前記現像剤担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材と、を有し、静電像を担持する像担持体と前記現像剤担持体との間に間隔を有するように配置され、前記現像剤担持体に電圧が印加されて、前記像担持体上の静電像を磁性トナーで現像する現像装置において、前記現像剤担持体の周面における、前記現像が行われる領域を現像領域、前記規制部材が当接する位置を当接位置とし、前記磁界発生手段が発生する磁界により磁性トナーを前記現像剤担持体の回転中心方向に引き付けるように働く力を磁気吸引力としたとき、前記現像剤担持体の回転方向において前記当接位置から前記現像領域に至るまでの領域における前記磁気吸引力は、前記現像領域における前記磁気吸引力よりも小さく、前記現像領域における前記現像剤担持体の周面に対して接線方向の磁束密度は、前記現像領域における前記現像剤担持体の周面に対して法線方向の磁束密度よりも大きいことを特徴とする現像装置である。
本発明の他の態様によると、静電像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電像を現像する上記本発明の現像装置と、を有し、画像形成装置の装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジが提供される。
本発明の他の態様によると、上記本発明のプロセスカートリッジが着脱可能であり、前記像担持体に形成された静電像が前記現像装置によって現像された画像が転写される記録材を搬送する搬送手段を有する画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、静電像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電像を現像する上記本発明の現像装置と、前記像担持体に形成された静電像が前記現像装置によって現像された画像が転写される記録材を搬送する搬送手段と、を有する画像形成装置が提供される。
本発明によると、長期間にわたり、かぶり現象を抑制しつつ、尾引き現象を抑制することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 現像装置の概略断面図である。 現像スリーブ上の穂の形成を説明するための模式図である。 トナーに働く磁束密度の方向を説明するための模式図である。 実施例1における磁束密度と磁気吸引力との関係を示すチャート図である。 実施例2における磁束密度と磁気吸引力との関係を示すチャート図である。 実施例2における現像領域の磁気吸引力の分布を示すグラフ図である。
以下、本発明に係る現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、アルミニウムなどの導電性ドラム基体の外周面にOPC(有機光半導体)感光層を形成したものである。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。本実施例では、上記所定のプロセススピードは350mm/sである。感光ドラム1の表面(周面)は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に均一(一様)に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラ2には、帯電電源(図示せず)から、負極性の直流成分を含む所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。
帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザビームスキャナ)3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。露光装置3は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力し、感光ドラム1の表面を走査露光することで、感光ドラム1の表面に目的の画像情報に対応した静電像を形成する。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。現像工程時に、現像装置4が備える現像スリーブ10には、現像電源E(図2)から、負極性の直流成分を含む所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。現像装置4については、後述して更に詳しく説明する。
感光ドラム1と対向して、転写手段としてのローラ型の転写部材である転写ローラ13が配置されている。転写ローラ13は、感光ドラム1に向けて付勢され、感光ドラム1と転写ローラ5とが接触する転写部(転写ニップ)Gを形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写部Gにおいて、転写ローラ13の作用によって、感光ドラム1と転写ローラ13とに挟持されて搬送される紙(用紙)などの記録材(シート、記録媒体)P上に転写される。転写工程時に、転写ローラ13には、転写電源(図示せず)から、トナーの正規の帯電極性(現像工程時のトナーの帯電極性)とは逆極性の直流電圧である転写電圧(転写バイアス)が印加される。記録材Pは、カセット12に収容されており、給送ローラ21によってカセット12から給送され、レジストローラ22によって感光ドラム1上のトナー像とタイミングが合わされて転写部Gに搬送される。本実施例では、給送ローラ21、レジストローラ20などによって、感光ドラム1に形成された静電像が現像装置4によって現像された画像が転写される記録材Pを搬送する搬送手段としての、搬送装置20が構成される。
トナー像が転写された記録材Pは、感光ドラム1の表面から分離されて定着手段としての定着装置14に搬送される。定着装置14は、記録材Pを加熱及び加圧して、記録材Pの表面にトナー像を定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置100の装置本体110の外部に設けられた排出トレイ15上に排出(出力)される。本実施例では、画像形成装置100のプリントスピードは60枚/分である。
一方、転写工程時に記録材Pに転写されずに感光ドラム1の表面に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置18によって、感光ドラム1の表面から除去されて回収される。クリーニング装置18は、感光ドラム1の表面に当接するように配置されたクリーニング部材16によって、回転する感光ドラム1の表面から転写残トナーを掻き取り、掻き取ったトナーをスクリュー17により搬送して廃トナー室19内に収容する。
本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置18とは、一体的に装置本体110に対して着脱可能なプロセスカートリッジ120を構成している。
2.現像装置
図2は、本実施例の現像装置4の概略断面図である(便宜上、感光ドラム1も示されている)。現像装置4は、トナー室5と、現像室8と、を有する。トナー室5には、第1搬送部材6と、第2搬送部材7と、が配置されている。そして、トナー室5には、現像剤としての磁性一成分現像剤(磁性トナー)Tが収容されている。トナー室5内のトナーTは、第1搬送部材6、第2搬送部材7の回転によって撹拌及び搬送され、現像室8に送り出される。
現像室8には、現像剤担持体としての現像スリーブ10と、磁界発生手段としてのマグネットローラ9と、規制部材としての規制ブレード11と、が配置されている。マグネットローラ9は、現像スリーブ10に内包されている。つまり、マグネットローラ9は、中空円筒状の現像スリーブ10の中空部内に配置されている。マグネットローラ9は現像室8に固定されており、現像スリーブ10は現像室8に回転可能に支持されている。現像スリーブ10は、その表面と感光ドラム1の表面との間に間隙が設けられて、感光ドラム1に対向して配置されている。また、現像スリーブ10は、現像スリーブ10を駆動する駆動手段としての駆動機構(図示せず)が接続されている。
現像スリーブ10は、その表面(周面)にマグネットローラ9の磁気吸引力によってトナーTを担持する。また、現像スリーブ10は、図中矢印R2方向に回転駆動される。つまり、本実施例では、現像スリーブ10は、感光ドラム1との対向部における表面の移動方向が感光ドラム1の表面の移動方向と順方向になるように回転する。現像スリーブ10上に担持されたトナーTは、現像スリーブ10に当接するように配置された規制ブレード11によって、摩擦帯電されつつ、現像スリーブ10上での層厚が規制される。規制ブレード11によって層厚が規制されたトナーTは、現像領域に搬送される。「現像領域」は、概略、感光ドラム1と現像スリーブ10とが対向する領域であるが、より詳細には、後述して更に説明する。
現像スリーブ10には、現像電源Eから、直流電圧と交流電圧とが重畳された交番電圧(振動電圧)である現像電圧が印加される。これにより、現像スリーブ10と感光ドラム1との間に交番電界(振動電界)が形成される。トナーTは、現像領域において、所定の間隔が設けられている現像スリーブ10の表面と感光ドラム1の表面との間を飛翔して、感光ドラム1上の静電像に付着する。このように、現像装置4は、静電像を担持する像担持体1と現像剤担持体10との間に間隔を有するように配置され、現像剤担持体10に電圧が印加されて、像担持体上の静電像を磁性トナーで現像する。
本実施例では、現像スリーブ10は、直径14.0mmの非磁性のアルミスリーブの表面に、カーボンを含有する樹脂で構成される導電層をコーティングして、平均表面粗さRa=2.0μmにしたものである。
また、本実施例では、規制ブレード11は、弾性部材としてのウレタンゴムで形成されたゴム部11bを、金属板(板金)で形成された支持部材11aに固定したものである。本実施例では、規制ブレード11は、ゴム部11aが現像スリーブ10に対して25gf/cm程度の線圧で当接するように現像装置4に設置されている。ゴム部11aは、現像スリーブ10の回転軸線方向と略平行に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する板状部材である。ゴム部11aは、短手方向における自由端部側が現像スリーブ10の回転方向の上流側を向くように、現像スリーブ10の回転方向に対してカウンター方向に現像スリーブ10に当接させられている。また、現像スリーブ10は、ゴム部11aの自由端側の先端から固定端側に1.0mmの部分において現像スリーブ10に当接させられている。
マグネットローラ9は、円柱状部材であり、周方向に沿って複数の磁極を有している。本実施例では、マグネットローラ9は、複数の磁極として次の磁極を有する。第1に、現像スリーブ10の回転方向において、現像スリーブ10の表面の規制ブレード11との当接位置と、現像スリーブ10の表面の感光ドラム1との対向位置(最近接位置)と、の間に位置する磁極Nである。第2に、現像スリーブ10の表面の感光ドラム1との対向位置(最近接位置)を挟んで、現像スリーブ10の回転方向において磁極Nの下流側に隣接して位置する磁極Sである。第3に、現像スリーブ10の回転方向において磁極Sの下流側に隣接して位置する磁極Nである。第4に、現像スリーブ10の回転方向において磁極Nの下流側に隣接して位置する磁極Sである。現像スリーブ10の回転方向において、現像スリーブ10と規制ブレード11との当接位置は、磁極Sと磁極Nとの間に位置している。磁極N、磁極S、磁極N、磁極Sの現像スリーブ10の表面における法線方向の磁束密度は、それぞれ400G、800G、800G、400Gである。なお、磁極の位置は、現像スリーブ10の表面における法線方向の磁束密度のピーク値の位置で代表する。マグネットローラ9の磁極配置に関しては、後述して更に詳しく説明する。
トナーTとしては、体積平均粒径が8.0μm程度の負帯電性の磁性一成分現像剤を用いた。このトナーTは、バインダー樹脂の100重量部に対して、磁性体を100重量部含有している。この系では、現像スリーブ10上のトナーのコート量M/Sは、15mg/cmである。また、この系では、トナーTの平均トリボ(摩擦帯電電荷)はQ/Mは、−6.0μC/gである。
3.磁界と磁性トナー
磁性現像方式では、現像スリーブ10の内部のマグネットローラ9の磁気力が現像工程に寄与する。マグネットローラ9により発生した磁界により、現像スリーブ10に担持されているトナー(磁性トナー)には、該トナーを現像スリーブ10の回転中心方向に引き付けるように磁気吸引力Frが働く。なお、本実施例では、現像スリーブ10の回転軸線方向と略直交する断面において、現像スリーブ10の回転中心とマグネットローラ9の中心とは略一致している。したがって、磁気吸引力Frは、トナーをマグネットローラ9の中心方向に引き付けるように働く。この磁気吸引力Frは、帯電電荷量の少ないトナーが感光ドラム1の所望の静電像の部分以外に飛翔する現象である「かぶり現象」を抑制する。
また、磁界下のトナーは、それ自体が磁化することにより互いに引き付けあい、磁力線に沿って伸びる「穂」として集団で挙動するようになる。トナーが感光ドラム1に飛翔する現像スリーブ10上の領域においても、トナーはこの穂の状態で存在しており、そのまま感光ドラム1に飛翔する。現像スリーブ10には直流電圧と交流電圧との重畳電圧である現像電圧が印加されているため、穂が感光ドラム1と現像スリーブ10との間を往復運動し、その着地・衝突を繰り返すことで穂が崩壊し、静電像に忠実な現像を行うことができるようになる。ただし、現像時間が短いなど、十分に往復運動できず、十分に着地・衝突がなされない場合には、穂が十分に崩壊せず、静電像からはみ出す「尾引き現象」が発生する。
このような状況においても穂の崩壊を十分に進行(典型的には完了)させるためには、現像スリーブ10上から感光ドラム1に向けて飛翔する穂を短くすることが効果的である。
ここで、現像スリーブ10上に穂が形成されるプロセスについて説明する。図3は、マグネットローラ9の磁極位置に対応する現像スリーブ10上の概略図を示している。図3(a)に示すように、現像スリーブ10上には、トナーTが規制ブレード11によって薄層にコートされた状態で存在している。マグネットローラ9の磁極Nに対応する現像スリーブ10の表面では、現像スリーブ10の表面に対して法線方向(図中真上方向)に磁力線が出ており、磁性体であるトナーTが磁化するようになる。磁化したトナーTは、磁力線の向きに応じて磁極の向きが揃うようになるため、磁化したトナーT同士に磁力線の向きに引力が働くようになる。一方、現像スリーブ10の表面に隣接(典型的には接触)しているトナーTは、磁極の向きが揃っているため、互いに斥力が働くなるようになる。その結果、図3(b)に示すように、磁化したトナーTは、現像スリーブ10の表面において反発しあい、磁力線の向きに沿って連なることになり、これが穂として形成される。
次に、現像スリーブ10上に形成される穂の大きさについて説明する。トナーに働く、磁力線方向の引力と、磁力線と垂直の向きの斥力と、によって、穂を形成するトナーの量が決まり、それによって穂の大きさが決定される。さらに、この引力と斥力とは、磁束密度の大きさによって決まるため、マグネットローラ9の磁束密度が大きい場合には穂も大きくなる。
また、以上ではマグネットローラ9の磁極位置における穂の形成について説明したが、磁極位置以外の位置においては、次のように穂が形成される。マグネットローラ9は、周方向に交互に異極(異なる極性の磁極)が配置されており、N極からはS極とS極に向けて磁力線が出ており、その磁力線の向きに応じて穂が傾いた状態で形成されることになる。磁力線の向きについては、現像スリーブ10の表面に対して法線方向の磁束密度Bと、現像スリーブ10の表面に対して接線方向の磁束密度Bθと、の割合で表すことができる(図4参照)。このとき、BθがBよりも大きいほど穂が寝て(法線方向に対して傾いて)配置されることになる。
上述のように、穂の形成は現像スリーブ10上の磁束密度と深く関わっている。また、穂の形成の観点で磁束密度の分布を変えた場合には、磁気吸引力Frが変わる。そのため、磁束密度を変えた場合には、かぶり現象に対しても影響を及ぼすことになる。ここで、磁束密度と磁気吸引力との関係について説明する。
磁気吸引力Frは、下記式(1)のように表される。
Figure 2019191294
上記式(1)において、μは真空の透磁率、μはトナーの透磁率、bはトナーの半径、Bは磁束密度(図4参照)、Bは現像スリーブ10の表面に対して法線方向の磁束密度、Bθは現像スリーブ10の表面に対して接線方向の磁束密度を示している。
ここで、トナーの透磁率などの磁気特性は、振動型磁力計VSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、外部磁場397.9kA/mで測定した。また、トナーの重量平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置Multisizer3で測定した。また、Bは、次のような測定方法により測定した。
現像スリーブ10上から感光ドラム1上に渡る磁界強度は、現像スリーブ10の回転中心を原点とし、現像スリーブ10と感光ドラム1との最近接位置を基準とした極座標系で測定する。測定器としては、ガウスメーター(F.W.Bell社製)を用いた。マグネットローラ9を現像スリーブ10の回転中心と重なる軸で回転させることができる治具を用意した。また、上記ガウスメーターのプローブを、マグネットローラ9の法線方向において原点から所定の距離の位置(例えば、現像スリーブ10の外径と重なる位置=原点から「外径/2」離れた位置)に、位置が固定されるようにして設置した。そして、治具上のマグネットローラ9を所定の角度ごとに回転させて、上記ガウスメーターの値を記録することで、Bを測定することが可能である。
また、Bθは、Bから下記式(2)によって求めることができる。
Figure 2019191294
以上のように測定及び計算されたμ、b、B、Bθを上述の式(1)に当てはめることで、Frを求めることができる。本実施例では、現像装置4は、この磁束密度と磁気吸引力との関係を最適化することにより、尾引き現象の抑制とかぶり現象の抑制とを両立することのできる構成とする。
4.尾引き現象の抑制とかぶり現象の抑制との両立
4−1.従来の課題
従来、現像スリーブ10の表面の感光ドラム1との対向位置(最近接位置)に対応する位置に磁極を配置し、感光ドラム1との対向位置において現像スリーブ10上に穂が立った状態にすることが多い。一般的には、磁極に対応する部分では磁束密度が大きく、磁気吸引力は大きくなりやすいため、かぶり現象は良化しやすい。しかし、感光ドラム1との対向位置で穂が立っているので、前述のように、トナーは穂の状態で飛翔しやすい。一方、磁極に対応する部分において磁束密度を小さくした場合には、穂が短くなるため、尾引き現象は良化する。しかし、この場合には、磁気吸引力が小さくなるため、かぶり現象は悪化する。このように、従来、かぶり現象の抑制と尾引き現象の抑制とを両立することは難しかった。
以下、尾引き現象の抑制とかぶり現象の抑制とを両立することのできる現像装置4の構成について説明する。ここでは、尾引き現象とかぶり現象との2つの観点に分けて説明する。
4−2.尾引き現象の抑制
まず、尾引き現象を良化させるためには、トナーが実際に飛翔する領域において現像スリーブ10上に存在する穂を十分に短くすることが有効である。ここで、トナーが実際に飛翔する領域は、次の手順により実験的に確かめることが可能である。つまり、現像装置4において現像スリーブ10上にトナーを担持させる。その後、感光ドラム1の表面を画像形成中と同様の電位に帯電させた後に停止させる。そして、感光ドラム1と現像スリーブ10とを回転させずに現像スリーブ10に画像形成中と同様の現像電圧を印加すると、現像スリーブ10から感光ドラム1へとトナーを飛翔させることができる。この場合に、現像スリーブ10上に担持されたトナーのうち50%(重量基準)以上のトナーが飛翔した、現像スリーブ10の回転方向における現像スリーブ10の表面(周面)の領域のことを、ここでは「現像領域D」と呼ぶこととする。
前述のように、穂の大きさは現像スリーブ10の表面の磁束密度の大きさによって決定される。現像スリーブ10の表面の磁束密度は、マグネットローラ9の磁極の配置などによるため、現像スリーブ10の回転方向において一様ではない。そのため、現像スリーブ10上にコートされたトナーが現像領域Dまで搬送されていく過程で、現像スリーブ10上の穂の大きさも、現像スリーブ10の表面の磁束密度に応じて変わるといえる。
ただし、現像剤が実質的に磁性一成分現像剤(磁性トナー)のみで構成されている場合、現像スリーブ10上の磁性トナーの穂は解消されにくいという特徴がある。これは、二成分現像方式で用いられる、正電荷を有する比較的大きな磁性キャリアによって形成される穂とは違い、正電荷と負電荷とを有する比較的小さな磁性トナーが静電的な力で密に結合していることに起因している。そのため、一度大きな磁束密度の磁界を受けて形成された磁性トナーの穂は、現像スリーブ10が回転することにより磁束密度が小さな領域に搬送されたとしても、静電的な力によって穂を維持したままの状態になる。
また、規制ブレード11によって現像スリーブ10上のトナーを規制する工程においては、線圧が25gf/cm程度という比較的強い圧力で規制ブレード9が現像スリーブ10に当接している。そのため、現像スリーブ10の回転方向において規制ブレード11よりも上流側で形成されていた穂は、規制ブレード11との当接位置Cを通過することにより、規制ブレード11によって解消されることがわかっている。ここでは、現像スリーブ10の回転方向における規制ブレード11の表面の現像スリーブ10との当接位置Cを、単に「当接位置C」ともいう。なお、当接位置Cは、例えば、規制ブレード11の表面の現像スリーブ10と当接する領域のうち、現像スリーブ10の回転方向における上流側の端部の位置、あるいは下流側の端部の位置で代表することができる。
したがって、現像領域Dにおいて現像スリーブ10上に十分に短い穂を存在させるためには、当接位置Cで穂を解消させ、大きな穂が形成されるような大きな磁束密度の磁界を一度も経験させることなく、現像領域Dまでトナーを搬送することが有効である。
なお、当接位置Cから現像領域Dに至るまでの領域の磁束密度と、現像領域Dにおける磁束密度と、の関係に関しては、両領域の磁気吸引力の大小を比較してもよい。前述のように、穂の長さは磁束密度の大きさによって決まるが、式(1)に示すように、磁気吸引力Frは磁束密度Bの関数になっており、大小関係はFrとBで変わらないためである。また、磁束密度、磁気吸引力の大小関係は、それぞれの絶対値で比較したものを言うものとする。
4−3.かぶり現象の抑制
次に、尾引き現象を悪化させずに、かぶり現象を良化させるためには、現像領域Dにおいて磁気吸引力を大きくしつつ、感光ドラム1に向けて飛翔する穂を短くすることが有効である。このためには、現像領域Dにおいて、現像スリーブ10の表面に対して法線方向の磁束密度Bよりも、現像スリーブ10の表面に対して接線方向の磁束密度Bθの方を大きくすることにより、現像スリーブ10上の穂を寝かせることが有効である。
現像領域Dにおいては、現像スリーブ10上のトナーに対して電界の力と磁界の力とが働き、トナーが飛翔することになる。このとき、現像スリーブ10上に穂が立っている場合、穂の伸長方向に磁気吸引力が働くため、穂が分断されず、そのままの穂の状態で飛翔することが多い。一方、穂が現像スリーブ10上で寝ている(法線方向に対して傾いている)場合、穂の伸長方向とは異なる向きに磁気吸引力が働き、穂が分断された状態で飛翔するようになる。そのため、現像領域D内において磁気吸引力を大きくしつつ、現像スリーブ10上の穂を寝かせることにより、尾引き現象を抑制することができる。
4−4.磁束密度と磁気吸引力の具体例
次に、本実施例における磁束密度と磁気吸引力との関係について更に詳しく説明する。図5は、本実施例におけるBとBθとFrとの関係を示すレーダーチャートである。図5において、磁束密度と磁気吸引力とは、これらの関係性がわかるように規格化して示している(後述する図6も同様である。)。図5は、現像スリーブ10の回転方向において当接位置Cよりも上流側に位置する磁極Sを0°として示している。また、当接位置Cが50°の位置、現像領域Dが140°〜164°の領域である。
前述の式(1)に示すように、磁気吸引力Frは、磁束密度B、Bθの値から求められる。図5に示すように、当接位置Cから現像領域Dに至るまでの50°〜140°の領域では、磁束密度が現像領域Dよりも小さく、磁気吸引力が現像領域Dよりも小さくなっている。そのため、現像領域Dにおける穂の大きさよりも、当接位置Cから現像領域Dに至るまでの50°〜140°の領域における穂の大きさの方が小さい。これにより、現像領域Dにおいて現像スリーブ10上に存在する穂を十分に小さくすることができ、尾引き現象を良化させることができる。そして、現像領域D内においては、現像領域Dの後半にかけて、磁気吸引力Frが徐々に大きくなっている。つまり、現像領域Dにおいては、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの下流側の端部に向けて、磁気吸引力Frが徐々に大きくなっている。これは、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの下流側に比較的大きい磁束密度の磁極Sがあるためである。
このとき、現像領域D内において磁気吸引力Frが徐々に大きくなっているため、現像領域D内において穂は徐々に大きくなっていく。しかし、BとBθの値に着目してみると、現像領域D内においては、BよりもBθの方が大きくなっている。そのため、現像領域D内において穂を寝かせることができ、穂は分断された状態で現像スリーブ10から感光ドラム1に飛翔することになる。これにより、尾引き現象を良化させることができる。
5.評価
次に、本実施例の効果を確認した実験の結果について説明する。当接位置Cから現像領域Dに至るまで領域(ここでは、「搬送領域」ともいう。)の磁気吸引力、現像領域Dの磁気吸引力、現像領域Dの法線方向の磁束密度と接線方向の磁束密度の関係を変えた場合の、尾引き現象及びかぶり現象に与える影響について調べた。
画像形成装置100としては、基本的に本実施例に従うものを用いた。現像装置4については、搬送領域の磁気吸引力と現像領域Dの磁気吸引力との関係、現像領域DにおけるBとBθとの関係を変えたものを、8種類用意した(表1のNo.1〜No.8)。ここで、搬送領域の磁気吸引力と現像領域Dの磁気吸引力としては、1.0nNと4.0nNとの組み合わせを変えたものを用意した。搬送領域の磁気吸引力は、搬送領域における最大値で代表する。また、現像領域Dの磁気吸引力は、現像領域Dにおける最大値で代表する。ただし、搬送領域の磁気吸引力と現像領域Dの磁気吸引力とが異なる場合、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの上流側の端部までは搬送領域の磁気吸引力を維持することとし、現像領域D内で磁気吸引力を徐々に変化させることとした。ここで、表1のNo.6が本実施例である。また、表1のNo.1及びNo.7は従来例であり、現像領域Dで穂を立たせた構成である。
尾引き現象は次のようにして評価した。記録材Pとしての用紙に約200μm幅(記録材Pの搬送方向の幅)の横線(記録材Pの搬送方向と略直交する方向に伸びる線)を印字した。そして、横線の後端(記録材Pの搬送方向における後端)から延びている、尾引き現象を起こしたトナーの長さを比較した。そして、視認性の観点から、尾引き現象を引き起こしたトナーが40μm以下の場合はランク○(良好)、60μm以下の場合はランク○△(やや不良)、それより長い場合はランク△(不良)とした。
また、かぶり現象は、記録材Pとしての用紙を通紙して、かぶり量を比較することによって評価した。かぶり量は、反射式濃度計(東京電色社製リフレクトメーターTC−6DS)を用いて測定した。具体的には、下記式(3)により、プリント後の用紙の白地部分の白色度と、未使用の用紙の白色度との差から、かぶり濃度(%)を算出した。そして、かぶり濃度が2%以下の場合はランク○(良好)、3%以下の場合はランク○△(やや不良)、それより高い場合はランク△(不良)とした。
未使用紙反射率−画像白地部の反射率=かぶり(%) ・・・(3)
Figure 2019191294
実験結果を表1に示す。No.6(本実施例)では、尾引き現象及びかぶり現象の両方のランクが○となっている。
一方、No.4は、No.6(本実施例)と比較して、搬送領域の磁気吸引力の大きさが大きくなっている。この場合、搬送領域で大きな穂が形成されているため、尾引き現象のランクが△となっている。
また、No.8は、No.6(本実施例)と比較して、現像領域Dの磁気吸引力の大きさが小さくなっている。この場合、搬送領域と現像領域Dにおいて形成される穂は小さいものの、現像領域Dにおける磁気吸引力が小さいため、かぶり現象のランクが△となっている。
また、No.5は、No.6(本実施例)と比較して、現像領域DにおけるBとBθとの関係が変わっている。No.5では、BがBθよりも大きいため、現像領域Dにおいて穂が立っており、尾引き現象のランクが△となっている。
その他の条件においても、現像領域Dにおいて形成されている穂の大きさが大きい、もしくは磁気吸引力が小さいなどの理由で、尾引き現象及びかぶり現象の両方のランクが○になる構成はなかった。
なお、搬送領域における磁気吸引力は、尾引きを十分に抑制できるように、現像領域Dにおける穂の大きさよりも搬送領域における穂の大きさの方を十分に小さくできるように設定すればよい。これに限定されるものではないが、搬送領域における磁気吸引力(最大値)は、0.5nN以上、1.5nN以下程度が好適である。一方、現像領域Dにおける磁気吸引力(最大値)は、かぶり現象の抑制の観点などから、2.0nN以上であることが好適であり、典型的には5.0nN以下程度で十分であることが多い。また、BとBθとの割合は、尾引きを十分に抑制できるように、現像領域Dにおいて穂が十分に寝て(法線方向に対して傾いて)配置されるように設定すればよい。前述のように、BθがBよりも大きいほど、穂が現像スリーブ10の接線方向に近付くように寝て配置される(図4参照)。これに限定されるものではないが、現像領域DにおけるBのピーク値とBθのピーク値との割合Bθ/Bは、1.3以上が好適である。ちなみに、上記No.6(本実施例)では、Bθ/Bは1.6である。一方、上記No.5では、Bθ/Bは0.8である。
以上説明したように、現像剤担持体10の周面における、現像が行われる領域を現像領域D、規制部材11が当接する位置を当接位置Cとする。また、磁界発生手段9が発生する磁界により磁性トナーを現像剤担持体10の回転中心方向に引き付けるように働く力を磁気吸引力とする。このとき、本実施例では、現像剤担持体10の回転方向において当接位置Cから現像領域Dに至るまでの領域における磁気吸引力は、現像領域Dにおける磁気吸引力よりも小さい。また、現像領域Dにおける現像剤担持体10の周面に対して接線方向の磁束密度は、現像領域Dにおける前記現像剤担持体の周面に対して法線方向の磁束密度よりも大きい。ここで、本実施例では、現像領域Dにおける磁気吸引力は、現像剤担持体10の回転方向における現像領域Dの上流側の端部から下流側の端部に向けて徐々に大きくなっている。
このように、本実施例によれば、搬送領域の磁気吸引力を小さくし、現像領域D内で磁気吸引力を徐々に大きくし、現像領域D内で接線方向の磁束密度を大きくする。これにより、尾引き現象の抑制とかぶり現象の抑制とを両立することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1で説明したように、かぶり現象を良化させるために現像領域Dの後半において磁気吸引力を大きくすると、高温高湿環境などのトナーが劣化しやすい環境における現像性が悪化し、「濃度薄現象」が発生する場合がある。本実施例では、現像装置4は、現像領域D内の磁気吸引力の分布を最適化することにより、高温高湿環境などのトナーが劣化しやすい環境においても濃度薄現象の発生を抑制することのできる構成とする。
図6は、実施例1に従う2つの異なるBとBθとFrとの関係を示すレーダーチャートである。なお、図6のレーダーチャートの表し方は図5のレーダーチャートと同である。図6(a)は、磁極Sにおける垂直方向の磁束密度Bが相対的に小さい構成(パターン1)を示しており、現像領域Dにおける磁気吸引力は相対的に小さくなっている。一方、図6(b)は、磁極Sにおける垂直方向の磁束密度Bが相対的に大きい構成(パターン2)を示しており、現像領域Dにおける磁気吸引力は相対的に大きくなっている。なお、図6(b)のパターンは、実施例1に従う図5のパターンと実質的に同じである。表2は、パターン1、パターン2についての、尾引き現象、かぶり現象、濃度薄現象の評価結果を示す。
尾引き現象とかぶり現象の評価方法は、実施例1で説明したものと同じである。高温高湿環境における濃度薄現象は、画像濃度を比較することによって評価した。画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、5mm角のベタ黒画像の反射濃度を測定することにより測定した。また、測定は高温高湿環境(32.5℃、85%RH)で行った。そして、画像濃度が1.45以上の場合はランク○(良好)、1.35以上の場合はランク○△(やや不良)、それより低い場合はランク△(不良)とした。
Figure 2019191294
パターン1、パターン2のいずれについても、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの上流側の端部の磁気吸引力が小さく、現像領域Dにおける磁束密度がBθ>Bとなっている。そのため、尾引き現象のランクは○となっている。
一方、パターン1では、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの下流側の端部の磁気吸引力が小さいため、かぶり現象を起こしたトナーを引き戻す効果が不十分である。また、パターン2では、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの下流側の端部の磁気吸引力が大きいため、かぶり現象は良化しているものの、高温高湿環境で濃度薄現象が発生する。
そこで、本実施例では、現像領域Dにおける磁気吸引力の分布は、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの略中央から現像領域Dの下流側の端部に至るまでの間に変曲点を有する。そして、現像領域Dの下流側の端部における磁気吸引力が、現像領域Dにおける磁気吸引力のピーク(最大値)、すなわち、上記変曲点における磁気吸引力よりも小さくなっている。これにより、尾引き現象を抑制しつつ、かぶり現象の抑制と濃度薄現象の抑制とを両立することができる。
図7は、現像領域Dにおける磁気吸引力の分布の概略図である。パターン1、パターン2は、実施例1に従う磁気吸引力の分布の例であり、それぞれ図6(a)、(b)に示したように磁極Sにおける磁束密度の大きさを変えることにより、現像領域D内の磁気吸引力の大きさを変えた例である。一方、パターン3は、本実施例に従う磁気吸引力の分布の例である。すなわち、パターン3では、現像領域Dにおける磁気吸引力の分布は、現像スリーブ10の回転方向における現像領域Dの略中央から現像領域Dの下流側の端部に至るまでの間に変曲点を有する。そして、パターン3では、現像領域Dの下流側の部端における磁気吸引力が、現像領域Dにおける磁気吸引力のピークよりも小さくなっている。パターン3のような磁気吸引力の分布は、磁極Sを磁極Nに近づけ、極間の磁気吸引力を大きくすることによって達成することが可能である。
表3は、パターン1、パターン2、パターン3についての、尾引き現象、かぶり現象、濃度薄現象の評価結果を示す。これらの評価方法は、前述のものと同じである。
Figure 2019191294
前述のようにパターン1、パターン2では、尾引き現象を抑制しつつ、かぶり現象の抑制と濃度薄現象の抑制とを両立することが難しかった。一方、パターン3では、尾引き現象を抑制しつつ、かぶり現象の抑制と濃度薄現象の抑制とを両立することが可能となっている。パターン3は、パターン2と比較した場合、現像領域Dの下流側の端部における磁気吸引力が異なっている。これにより、濃度薄現象は良化しているが、かぶり現象の抑制については変わらないことで、これらの両立が可能となっている。次に、パターン3と、パターン1、パターン2との磁気吸引力の分布の違いが、かぶり現象及び濃度薄現象に与える影響について説明する。
かぶり現象は、トナーが現像スリーブ10から感光ドラム1に向けて飛翔する際に、静電像以外の部分に着地し、それが記録材Pに転写される現象である。ここで、かぶり現象に寄与するトナーはほとんどがプラスに帯電したトナー(ここでは、「ポジトナー」ともいう。)である。一方、濃度薄現象は、既に静電像に着地したトナーが現像スリーブ10側に引き戻された場合に発生する現象である。ここで、静電像に着地するトナーはマイナスに帯電したトナー(ここでは、「ネガトナー」ともいう。)とポジトナーとの両方があるが、多くはネガトナーである。
トナーには、次の2つの力が働く。1つ目は、感光ドラム1と現像スリーブ10との間の電界の影響を受けた静電気力であり、ネガトナーには感光ドラム1に向けて飛翔する方向に、ポジトナーには現像スリーブ10に引き戻す方向に力が働く。2つ目は、感光ドラム1と現像スリーブ10との間の磁界の影響を受けた磁気吸引力であり、ネガトナー及びポジトナーのいずれにも現像スリーブ10に引き戻す方向に力が働く。この静電気力及び磁気吸引力の影響を受けて、それぞれのトナーがどのように飛翔するかが決まることになる。
ここで、感光ドラム1及び現像スリーブ10はいずれも円筒形であるため、これら2つの部材間の距離(ここでは、「SDギャップ」ともいう。)は一定ではない。そのため、現像領域D内においても、SDギャップに応じてトナーに働く静電気力及び磁気吸引力は徐々に変わっていく。現像領域Dは、SDギャップの観点から、現像スリーブ10の回転方向における、上流端部側領域、中央領域、下流端部側領域の3つに分けることができる。
まず、現像領域Dの上流端部側領域では、SDギャップが大きいため、トナーに働く静電気力は小さいものの、本実施例では磁気吸引力を小さくしているため、トナーは比較的飛翔しやすい。
次に、現像領域Dの中央領域では、SDギャップが小さくなるため、トナーに働く静電気力や磁気吸引力が大きくなる。一般的に、SDギャップが最も小さくなる、現像スリーブ10の表面の感光ドラム1との最近接位置では、静電気力の方が磁気吸引力よりも大きい。そのため、現像領域Dの中央領域では、ネガトナーを感光ドラム1へ飛翔させ、ポジトナーを現像スリーブ10に引き戻すことができる。
次に、現像領域Dの下流端部側領域では、上記の上流端部側領域と同様に、SDギャップが大きいため、トナーに働く静電気力は小さくなる。そのため、現像領域Dの下流端部側領域において磁気吸引力を大きくすると、既に静電像に着地したネガトナーまでも現像スリーブ10側に引き戻してしまう。つまり、現像領域Dの下流端部側領域において磁気吸引力を大きくすると、かぶり現象を良化させることはできるが、濃度薄現象が発生しやすくなる。
そこで、本実施例では、現像領域Dの中央領域においては、磁気吸引力を大きくして、静電気力と合わせて、十分に反転トナー(ポジトナー)を現像スリーブ10に引き戻すことで、かぶり現象を抑制する。そして、現像領域Dの下流端部側領域においては、磁気吸引力を現像領域Dの中央領域よりも小さくすることで、濃度薄現象を抑制する。
次に、本実施例の効果を確認した実験の結果について説明する。現像領域D内の磁気吸引力の分布を変えた場合の、かぶり現象及び尾引き現象に対する影響について調べた。画像形成装置100としては、基本的に本実施例に従うものを用いた。現像装置4については、マグネットローラ9の磁極Sの磁束密度と配置を変更することにより、現像領域D内の磁気吸引力の分布を変えたものを5種類用意した(表4のNo.9〜No.13)。ここで、現像領域D内の磁気吸引力の分布は、磁気吸引力のピークを、現像スリーブ10の回転方向において現像領域Dの中央位置から上流側に4°、下流側に0°、4°、8°、12°のそれぞれの角度位置に配置するように変更した。ただし、本実施例における現像領域Dは中央位置から±12°の領域であり、中央位置から下流側に12°の角度位置は現像領域Dの下流側の端部に対応する。なお、現像領域Dにおける磁気吸引力のピークの値は、該ピークが現像領域Dにおいて上流側にあるほど小さい(下流側にあるほど大きい)。
Figure 2019191294
実験結果を表4に示す。まず、かぶり現象については、中央位置〜下流側に8°の位置にピークを持たせたものではランクは○又は○△であった。一方、上流側に4°の位置にピークを設けたNo.9及び下流側に12°の位置にピークを設けたNo.13では、かぶり現象のランクが△となった。前者に関しては現像領域Dの下流端部側領域で、後者に関しては現像領域Dの中央領域で磁気吸引力が小さくなり、かぶり現象に対する効果が不十分であった。高温高湿環境での濃度薄現象については、磁気吸引力のピークが上流側にあるほど、また現像領域Dの下流端部側領域で磁気吸引力が小さいほどランクが良かった。一方、現像領域Dの下流端に磁気吸引力のピークが位置するNo.13では、濃度薄現象のランクが△になった。
以上説明したように、本実施例では、現像領域Dにおける磁気吸引力は、現像剤担持体10の回転方向における現像領域Dの上流側の端部より下流側かつ下流側の端部より上流側において変曲点を有する。そして、現像剤担持体10の回転方向における現像領域Dの下流側の端部における磁気吸引力は、現像領域Dにおける磁気吸引力の最大値よりも小さい。また、本実施例では、現像剤担持体の回転方向において、上記最大値は、現像領域Dの略中央、又は現像領域Dの略中央よりも下流側に存在する。
このように、本実施例によれば、現像領域Dにおける磁気吸引力は現像領域Dの略中央から現像領域Dの下流側の端部に至るまでの間に変曲点を有し、現像領域Dの下流側の端部の磁気吸引力は現像領域Dにおける磁気吸引力のピークよりも小さい。これにより、尾引き現象を抑制しつつ、かぶり現象の抑制と濃度薄現象の抑制とを両立することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、現像装置はプロセスカートリッジとして画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とされていた。これに対し、現像装置は、実質的に単体で画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なカートリッジ(現像カートリッジ)とされていてもよい。また、現像装置は、画像形成装置から容易には着脱できないようになっていてもよい。
1 感光ドラム
4 現像装置
9 マグネットローラ
10 現像スリーブ
11 規制ブレード
100 画像形成装置
120 プロセスカートリッジ

Claims (8)

  1. 周面に磁性トナーを担持する、回転可能な円筒状の現像剤担持体と、
    周方向に沿って複数の磁極を有し、前記現像剤担持体の中空部内に固定して配置された磁界発生手段と、
    前記現像剤担持体に当接し、前記現像剤担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材と、
    を有し、
    静電像を担持する像担持体と前記現像剤担持体との間に間隔を有するように配置され、前記現像剤担持体に電圧が印加されて、前記像担持体上の静電像を磁性トナーで現像する現像装置において、
    前記現像剤担持体の周面における、前記現像が行われる領域を現像領域、前記規制部材が当接する位置を当接位置とし、前記磁界発生手段が発生する磁界により磁性トナーを前記現像剤担持体の回転中心方向に引き付けるように働く力を磁気吸引力としたとき、前記現像剤担持体の回転方向において前記当接位置から前記現像領域に至るまでの領域における前記磁気吸引力は、前記現像領域における前記磁気吸引力よりも小さく、前記現像領域における前記現像剤担持体の周面に対して接線方向の磁束密度は、前記現像領域における前記現像剤担持体の周面に対して法線方向の磁束密度よりも大きいことを特徴とする現像装置。
  2. 前記現像領域における前記磁気吸引力は、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像領域の上流側の端部から下流側の端部に向けて徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記現像領域における前記磁気吸引力は、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像領域の上流側の端部より下流側かつ下流側の端部より上流側において変曲点を有し、前記現像剤担持体の回転方向における前記現像領域の下流側の端部における前記磁気吸引力は、前記現像領域における前記磁気吸引力の最大値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  4. 前記現像剤担持体の回転方向において、前記最大値は、前記現像領域の略中央、又は前記現像領域の略中央よりも下流側に存在することを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
  5. 静電像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電像を現像する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置と、を有し、画像形成装置の装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジ。
  6. 請求項5に記載のプロセスカートリッジが着脱可能であり、前記像担持体に形成された静電像が前記現像装置によって現像された画像が転写される記録材を搬送する搬送手段を有する画像形成装置。
  7. 静電像を担持する像担持体と、前記像担持体上の静電像を現像する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置と、前記像担持体に形成された静電像が前記現像装置によって現像された画像が転写される記録材を搬送する搬送手段と、を有する画像形成装置。
  8. 前記現像装置は、前記画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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