JP2019190747A - 加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度センサーが加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを、適切に判定できる加熱調理器を提供する。【解決手段】加熱調理器は、加熱対象物を加熱する加熱部26、加熱対象物に接触した状態で加熱対象物の温度Tを検出する温度センサー46及び制御部を備えている。制御部は、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、加熱部26により加熱対象物を第1所定時間加熱する第1工程と、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間維持する第2工程とを実行する。制御部は、第2工程の温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度適切に検出できているか否かを判定する。【選択図】図3
Description
本開示は、加熱調理器に関する。
特許文献1には、ガス調理器が開示されている。このガス調理器は、調理容器に当接して調理容器の温度を検出する温度センサと、温度センサが異常状態であるか否かを判断するための異常状態判断手段とを備えている。異常状態判断手段は、ガスバーナが点火されてから所定時間が経過するまでの間に、温度センサによる検出温度の変化値が設定範囲内に留まる場合に、温度センサが異常状態であると判断する。
上述したガス調理器では、温度センサが調理容器に接していないときには、調理容器の温度を検出せずに室温を検出することから、温度センサが調理容器に接していない異常状態であることを判定する。しかし、ガスバーナによる加熱を開始した直後においては、ガスバーナで発生した熱の影響により、温度センサで検出する温度に変化が生じる場合があり、この場合、温度センサが異常状態であるにもかかわらず、異常状態ではないと判定してしまうおそれがある。
本開示は上記事由に鑑みてなされており、温度センサーが加熱対象物の温度を検出できているか否かを、適切に判定できる加熱調理器を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る加熱調理器は、加熱部、温度センサー及び制御部を備えている。前記加熱部は、加熱対象物を加熱する。前記温度センサーは、前記加熱対象物の温度を検出する。前記制御部は、前記温度センサーにて検出した温度に基づいて前記加熱部の加熱量を制御する。前記制御部は、第1工程と、第2工程とを続けて実行する。前記第1工程は、前記加熱部の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、前記加熱部により前記加熱対象物を第1所定時間加熱する工程である。前記第2工程は、前記第1工程の後、前記加熱部の単位時間当たりの加熱量を前記第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間維持する工程である。前記制御部は、前記第2工程の温度勾配に基づいて、前記温度センサーが前記加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを判定する。
本開示の一態様に係る加熱調理器は、温度センサーが加熱対象物の温度を検出できているか否かを、適切に判定できる。
(1)概要
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、グリル付きのガスこんろであって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。なお、本開示の技術は、グリルを備えたテーブルこんろ、又はこんろを備えないガスグリル等にも適用可能である。更に言えば、本開示の技術は、グリルを備えない加熱調理器にも適用可能であり、例えば、グリルを備えず、加熱部としてこんろバーナーを備えたガスこんろ、又は加熱対象物を電磁誘導加熱により加熱する加熱部を備えた電磁調理器等にも適用可能である。
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、グリル付きのガスこんろであって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。なお、本開示の技術は、グリルを備えたテーブルこんろ、又はこんろを備えないガスグリル等にも適用可能である。更に言えば、本開示の技術は、グリルを備えない加熱調理器にも適用可能であり、例えば、グリルを備えず、加熱部としてこんろバーナーを備えたガスこんろ、又は加熱対象物を電磁誘導加熱により加熱する加熱部を備えた電磁調理器等にも適用可能である。
以下、本実施形態の加熱調理器1について、加熱調理器1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、加熱調理器1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、加熱調理器1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
本実施形態の加熱調理器1は、加熱部26(図3参照)、温度センサー46(図3参照)及び制御部16(図6参照)を備えている。加熱部26は、加熱対象物を加熱する。温度センサー46は、加熱対象物の温度Tを検出する。制御部16は、温度センサー46にて検出した温度Tに基づいて加熱部26の加熱量を制御する。制御部16は、第1工程と、第2工程とを続けて実行する。第1工程は、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、加熱部26により加熱対象物を第1所定時間tA1加熱する工程である。第2工程は、第1工程の後、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間tA2維持する工程である。制御部16は、第2工程の温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを判定する。
本実施形態の加熱調理器1にあっては、加熱部26によって第1所定時間tA1加熱した後に、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を変更し、このときの温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを適切に判定することができる。
(2)構成
以下、加熱調理器1について詳述する。図1に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、ケーシング10と、グリル装置2と、複数のこんろバーナー11と、制御部16(図6参照)と、天板12とを備えている。
以下、加熱調理器1について詳述する。図1に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、ケーシング10と、グリル装置2と、複数のこんろバーナー11と、制御部16(図6参照)と、天板12とを備えている。
ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12を貫通して上方に突出している。
加熱調理器1は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ対応する複数のこんろ用操作部15を備えている。利用者は、各こんろ用操作部15を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
グリル装置2は、加熱室20を有している。図2及び図3に示すように、本実施形態の加熱室20は、前方に開口した箱状に形成されたグリル庫である。加熱室20は、ケーシング10と天板12とで囲まれた空間に配置されている。加熱室20は、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203を有している。加熱室20の内側には、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203で囲まれた加熱空間が形成されている。加熱空間には、肉又は魚等の調理対象物を含む加熱対象物が配置される。
図3に示すように、加熱室20の前端部には、開口部25が形成されている。加熱室20の内部空間は、開口部25を介してケーシング10(図1参照)の前方に開放される。加熱対象物は、開口部25を通して加熱室20に出し入れされる。
本実施形態のグリル装置2は、開口部25を開閉するグリル扉22(図1参照)と、グリル扉22を支持した支持機構21(図2)とを更に有している。支持機構21は、加熱室20に設置されており、グリル扉22を前後方向に移動可能に支持している。支持機構21は、例えば、一対のスライドレールで構成される。グリル扉22を前後方向に移動することで、加熱室20の開口部25はグリル扉22によって開閉される。
本実施形態のグリル装置2は、図2及び図3に示す調理対象物受け5を更に有している。グリル装置2で加熱される調理対象物は、調理対象物受け5に載せられた状態で加熱室20内に配置される。すなわち、本実施形態のグリル装置2で加熱される加熱対象物は、調理対象物とこれを受ける調理対象物受け5とで構成される。
調理対象物受け5は、金属製である。調理対象物受け5は、上方に開口した浅底の容器状に形成されている。調理対象物受け5は、上方から見て矩形状で水平方向に広がった板状の底板部50と、底板部50の周縁から上方に向けて突出した周壁部51とを有している。底板部50には、上下方向に貫通する孔が形成されていない。底板部50は、調理対象物が載せられる部分である。すなわち、本実施形態では、底板部50によって、調理対象物が載せられる板状の載置部が構成されている。
なお、調理対象物受け5は、上方に開口した容器状の本体と、この本体の上開口部を塞ぐ蓋とで構成されてもよい。この場合、本体の底部によって載置部が構成される。また、調理対象物受け5は、平板状の皿等であってもよく、この場合、調理対象物受け5の全体が載置部となる。
本実施形態のグリル装置2は、調理対象物受け5を取り外し可能に支持する支持体6を更に有している。支持体6は、調理対象物受け5を下方から支持している。支持体6は、上方から見て枠状に形成されている。支持体6は、例えば、金属製の線材を変形させ、この線材の両端を溶接等でつなぐことによって形成される。
支持体6の前端部は、グリル扉22に着脱可能に連結されている。支持体6及び調理対象物受け5は、グリル扉22と連動する。グリル扉22が図1に示すように開口部25を閉じる閉じ位置に配置されたとき、支持体6及び調理対象物受け5は、加熱室20内に配置される。利用者は、グリル扉22を閉位置より前方に動かすことで、支持体6及び調理対象物受け5を、加熱室20の開口部25よりも前方に配置することができる。
図2及び図3に示すように、グリル装置2は、加熱部26を更に有している。本実施形態の加熱部26は、加熱室20に配置された加熱対象物を加熱するためのグリルバーナーとして、複数のバーナー260,261を有している。なお、加熱部26は、バーナーを一つだけ有してもよい。
本実施形態の加熱部26は、複数のバーナーとして、上バーナー260及び下バーナー261を有している。上バーナー260及び下バーナー261の各々は、ブンゼンバーナーである。上バーナー260は、加熱室20の上部(詳しくは天井部203)に取り付けられている。上バーナー260は、加熱室20内に配置された調理対象物を上方から加熱する。この場合、調理対象物受け5に載せられた調理対象物は、上バーナー260からの輻射熱によって加熱される。
下バーナー261は、加熱室20の下部(詳しくは底部200)に設置されている。下バーナー261は、加熱室20内に配置された調理対象物受け5(詳しくは、底板部50)及び調理対象物を下方から加熱する。下バーナー261で生じた炎は、調理対象物受け5の底板部50に当たる。この場合、調理対象物受け5に載せられた調理対象物は、下バーナー261によって加熱された調理対象物受け5の熱が、調理対象物に伝達することで加熱される。
グリル装置2は、図4に示すガス供給路28を更に有している。ガス供給路28は、上バーナー260及び下バーナー261に都市ガス等の燃料ガスを供給する。本実施形態のガス供給路28は、主流路280と、主流路280から分岐した一対の分岐路281,282とを有している。主流路280には、燃料ガスが供給される。一対の分岐路281,282のうちの一方は、上バーナー260に通じる上バーナー用流路281であり、他方は下バーナー261に通じる下バーナー用流路282である。
加熱部26は、加熱部26の単位時間当たりの加熱量(火力)を変更する加熱量変更部27を有している。本実施形態の加熱量変更部27は、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274を有している。
主流路280には、開閉弁270が設けられている。開閉弁270は、例えば、電磁弁である。開閉弁270が開いた状態で、主流路280に供給された燃料ガスは、上バーナー260及び下バーナー261に供給される。
上バーナー260には、上バーナー260を点火するための上バーナー用点火プラグ271が設置されている。下バーナー261には、下バーナー261を点火するための下バーナー用点火プラグ273が設置されている。開閉弁270が開いた状態で、上バーナー用点火プラグ271が作動することにより、上バーナー260は点火される。開閉弁270が開いた状態で、下バーナー用点火プラグ273が作動することにより、下バーナー261は点火される。開閉弁270が閉じることで、上バーナー260及び下バーナー261は、消火される。
本実施形態の上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた電磁弁272aである。ガス供給路28は、上バーナー用流路281における電磁弁272aの上流側と下流側とを接続するバイパス路34を有している。バイパス路34の一部は、上バーナー用流路281よりも流路断面積が小さい流路35である。
上バーナー260の火力は、電磁弁272aが開閉されることにより、調節される。電磁弁272aが開いた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272aと流路35との両者を通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260の火力は、「強」になる。一方、電磁弁272aが閉じた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272a及び流路35のうちの流路35のみを通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁272aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、上バーナー260の火力は、「弱」になる。
本実施形態の下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた電磁弁274aである。ガス供給路28は、下バーナー用流路282における電磁弁274aの上流側と下流側とを接続するバイパス路44を有している。バイパス路44の一部は、下バーナー用流路282よりも流路断面積が小さい流路45である。
下バーナー261の火力は、電磁弁274aが開閉されることにより、調節される。電磁弁274aが開いた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274aと流路45との両者を通過して下バーナー261に供給される。この場合、下バーナー261の火力は、「強」になる。一方、電磁弁274aが閉じた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274a及び流路45のうちの流路45のみを通過して下バーナー261に供給される。この場合、下バーナー261に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁274aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、下バーナー261の火力は、「弱」になる。
上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274の各々は、電磁弁272a,274aに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた流量制御弁であってもよい。また、下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた流量制御弁であってもよい。また、上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274の各々は、対応するバーナー260,261の火力を3段階以上調節可能であってもよい。
グリル装置2は、図2及び図3に示す温度センサー46を有している。温度センサー46は、加熱室20に配置された調理対象物受け5の底板部50の温度Tを検出する。温度センサー46は、下バーナー261の平面視における中央部に設置されている。温度センサー46は、加熱室20内に配置された調理対象物受け5の下方に位置する。
温度センサー46は、温度センサー46の上端部に位置する検出部47を有している。検出部47は、上下方向に移動可能である。検出部47には、例えば、ばね等の付勢部材により、上方に向かう力が加えられている。
加熱室20内に調理対象物受け5が配置されたとき、検出部47は、調理対象物受け5の底板部50の下面に接触する。これにより、加熱対象物(詳しくは、調理対象物受け5の底板部50)の温度Tが、温度センサー46によって検出可能になる。
本実施形態の加熱調理器1は、グリル装置2を操作するための操作部として、図1に示すグリル用操作部14を備えている。グリル用操作部14は、ケーシング10の前面に設けられたカンガルーポケット方式の操作部である。グリル用操作部14は、不使用時にはケーシング10内に配置され、使用時にはケーシング10から前方に突出した位置に配置される。
グリル用操作部14は、図5に示す操作パネル17を有している。操作パネル17は、グリル用操作部14の上面を構成している。操作パネル17は、グリル用操作部14がケーシング10から前方に突出した位置に配置されたときにのみ露出して、操作可能になる。操作パネル17は、操作部分170と、操作部分171とを有している。操作部分170は、利用者が調理モードの選択を行うために用いられる。すなわち、本実施形態では、操作部分170が、複数の調理モードの中から任意の調理モードを選択するための調理モード選択部を構成している。操作部分171は、利用者が、選択した調理モードによるグリル装置2の自動調理の開始の指令を行うために用いられる。なお、グリル用操作部14は、例えば、ケーシング10の前面に固定的に設けられた操作パネル等であってもよい。
本実施形態の操作部分170は、調理メニューを選択するための第1操作部170aと、選択された調理メニューにおける火加減を選択するための第2操作部170bとを有している。すなわち、本実施形態の調理モードは、複数の調理メニューの中から選択された調理メニューと、調理メニュー毎に選択された火加減とを組み合わせたモードである。
本実施形態の加熱調理器1は、図6に示す制御部16を更に備えている。制御部16は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部16は、加熱量変更部27に電気的に接続されている。すなわち、制御部16は、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272(電磁弁272a)、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274(電磁弁274a)に、電気的に接続されている。また、制御部16は、温度センサー46及びグリル用操作部14にも、電気的に接続されている。
利用者は、グリル装置2によって自動調理を行うとき、まず、加熱室20内に加熱対象物を配置する。次に利用者は、操作パネル17の第1操作部170aを操作して、調理メニューを選択し、この後、第2操作部170bを操作して選択された調理メニューにおける火加減を選択する。これにより、複数の調理モードの中から任意の調理モードが決定される。次に、利用者は、操作部分171を操作して自動調理の開始の指令をする。
制御部16は、グリル用操作部14から自動調理の開始の指令を受けたとき、調理モード毎に設定された複数の制御条件の中から、選択された調理モードに対応する制御条件を決定し、この制御条件と、温度センサー46で検出した温度Tとに基づいて、加熱量変更部27を自動で制御する。このようにして、調理モードに応じた自動調理が実行される。
利用者が選択可能な調理モードとしては、例えば、パン、魚又は鶏等の調理対象物の種類の違い、切り身又は姿焼き等の調理対象物の状態の違い及び焼き加減の違い等に応じて制御条件が決定された複数の調理モードがある。
自動調理では、例えば、図7及び図8に示すフローチャートに従って、加熱量変更部27が制御部16によって制御され、これにより、調理モード毎に設定された自動調理工程が実行される。
図9は、自動調理工程が行われたときにおける、温度センサー46で検出した温度Tと、加熱部26の火力の各々の時間経過に伴う変化を示したグラフである。なお、図9に示したグラフにおける右の縦軸の値は、「上バーナーの火力/下バーナーの火力」を示している。例えば、「強/弱」は、上バーナー260の火力が「強」であり、下バーナー261の火力が「弱」であることを意味する。
図10に示すように、本実施形態の自動調理工程は、加熱工程及び余熱工程を有している。加熱工程は、複数の工程として、1次加熱工程、2次加熱工程及び3次加熱工程を有している。1次加熱工程、2次加熱工程、3次加熱工程及び余熱工程は、この順序で実行される。
以下、図7及び図8に基づいて、本実施形態の自動調理について説明する。制御部16(図6参照)は、自動調理の開始の指令を受けると、まず、ステップS1において1次加熱工程(加熱工程)を開始する。制御部16は、ステップS1において、開閉弁270、電磁弁272a及び電磁弁274aの各々を開いた状態とし、かつ上バーナー用点火プラグ271及び下バーナー用点火プラグ273を作動させる。これにより、上バーナー260及び下バーナー261の各々は、火力が「強」の状態で点火され、これら上バーナー260及び下バーナー261によって加熱対象物が加熱される。1次加熱工程においては、加熱部26の火力は変更されず、加熱部26の火力が固定された状態で、加熱対象物が加熱される。
また、ステップS1において制御部16は、温度センサー46によって、加熱対象物の初期温度T0を検出してこれを記憶する。なお、初期温度T0は、ステップS1よりも前において、温度センサー46で検出された温度であってもよい。
制御部16は、ステップS1に続いてステップS2の処理を実行する。ステップS2において制御部16は、1次加熱工程が開始された時点(上バーナー260及び下バーナー261が点火された時点)から現時点までの経過時間tが、予め設定された1次加熱時間t1a以上であるか否かを判定する。1次加熱時間t1aは1次加熱工程の実施時間である。本実施形態の1次加熱時間t1aは、20秒である。なお、1次加熱時間t1aは、20秒に限られない。
ステップS2において、経過時間tが1次加熱時間t1a以上でなければ、制御部16は、ステップS3において一定時間待機し、この後、ステップS2の処理を実行する。ステップS2において、経過時間tが1次加熱時間t1a以上であれば、制御部16は、ステップS4の処理を実行する。
ステップS4において、制御部16は、1次加熱工程を終了し、2次加熱工程を開始する。2次加熱工程では、上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、「強」に維持される。
なお、1次加熱工程及び2次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、調理モード毎に設定される。また、1次加熱工程及び2次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の火力は、「強」に限られず、「弱」であってもよい。また、1次加熱工程及び2次加熱工程では、上バーナー260及び下バーナー261のうちの一方のみが点火されてもよい。
制御部16は、ステップS4の処理に続いて、ステップS5の処理を実行する。なお、ステップS5〜ステップS15の処理は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触しているか否かを検出するための処理であり、これについては後述する。
図8に示すように、制御部16は、ステップS8又はステップS14の処理の後に実行されるステップS16において、経過時間tが、予め設定された所定時間ta以上であるか否かを判定する。2次加熱工程が開始された時点から、経過時間tが所定時間taになるまでの期間は、データ取得期間である。制御部16は、データ取得期間で取得したデータを用いて、加熱対象物の熱容量の大きさの判定を行う。所定時間taから1次加熱時間t1aを減算した時間(ta−t1a)は、データ取得期間の長さである。所定時間taは、280秒に設定される。なお、所定時間taの値は、280秒に限られない。また、所定時間taは、調理モード毎に設定される。
データ取得期間において取得するデータは、加熱部26の加熱熱量Hと、温度センサー46によって検出される加熱対象物の温度Tである。すなわち、制御部16は、データ取得期間において、加熱部26の加熱熱量Hを検出し、また、加熱対象物の温度Tを所定時間毎に検出する。
制御部16は、ステップS16において、経過時間tが所定時間ta以上であれば、ステップS17の処理を実行し、経過時間tが所定時間ta以上でなければ、ステップS18の処理を実行する。
ステップS17において、制御部16は、加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を実行し、この熱容量判定の結果に基づいて3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aを設定する。なお、ステップS17において行われる処理は、後述するステップS24において行われる処理と同じである。制御部16は、ステップS17に続いて、ステップS20の処理を実行する。
ステップS18において、制御部16は、温度センサー46により加熱対象物の現時点での温度Tを検出し、この温度Tが所定の2次加熱終了温度T2以上であるか否かを判定する。2次加熱終了温度T2は、180℃に設定される。なお、2次加熱終了温度T2は、180℃に限られない。また、2次加熱終了温度T2は、調理モード毎に設定される。
ステップS18において、温度Tが2次加熱終了温度T2以上でなければ、制御部16は、ステップS19において一定時間待機し、この後、ステップS16の処理を実行する。ステップS18において、温度Tが2次加熱終了温度T2以上であれば、制御部16はステップS20の処理を実行する。
ステップS20において、制御部16は、2次加熱工程を終了し、3次加熱工程を開始する。ステップS20において、制御部16は、電磁弁274aを閉じて、下バーナー261の火力を「弱」に切り換え、かつ、上バーナー260の自動温度制御を開始する。すなわち、3次加熱工程では、下バーナー261の火力が「弱」であり、かつ、上バーナー260が自動温度制御された状態で、加熱対象物が加熱される。
自動温度制御は、温度センサー46により加熱対象物の温度を所定時間毎に検出し、この検出結果に基づいて上バーナー260の火力を自動で切り換える制御である。本実施形態の自動温度制御では、温度センサー46で検出した温度Tが、所定温度T3以上であるときには、電磁弁272aを閉じて上バーナー260の火力を「弱」にし、所定温度T3未満であるときには、電磁弁272aを開いて上バーナー260の火力を「強」にする。所定温度T3は、180℃に設定されている。なお、所定温度T3は、180℃に限られない。また、所定温度T3は、調理モード毎に設定される。また、3次加熱工程では、下バーナー261の火力が「強」又は「切」に設定されてもよい。また、3次加熱工程では、下バーナー261の火力が、自動温度制御されてもよい。この場合、上バーナー260の火力は、「強」、「弱」又は「切」のいずれに設定されてもよい。
制御部16は、ステップS20に続いてステップS21の処理を実行する。ステップS21において、制御部16は、ステップS16と同様に、経過時間tが所定時間ta以上であるか否かを判定する。制御部16は、ステップS21において、経過時間tが所定時間ta以上でなければ、ステップS22において一定時間待機し、この後、ステップS21の処理を実行する。制御部16は、ステップS21において、経過時間tが所定時間ta以上であれば、ステップS23の処理を実行する。
ステップS23において、制御部16は、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aが設定されているか否かを判定する。制御部16は、ステップS23において、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aが設定されていない場合、ステップS24の処理を実行し、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aが設定されている場合、ステップS25の処理を実行する。自動調理においてステップS17の処理が実行されていない状態で、ステップS21の処理が実行される場合、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aは未設定であるため、この場合、制御部16はステップS24の処理を実行する。
ステップS24において、制御部16は、ステップS17と同様に、熱容量判定を実行し、この熱容量判定の結果に基づいて3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aを設定する。
ステップS17及びステップS24における熱容量判定は、データ取得期間における加熱部26の加熱熱量H及び温度センサー46の検出結果に基づき、判定値αを算出することで行われる。
制御部16は、判定値αを算出するにあたって、データ取得期間における加熱対象物に対する加熱部26の加熱熱量Hと、データ取得期間における加熱対象物の温度の積分値Fとを算出する。そして、制御部16は、加熱熱量Hを積分値Fで除算することにより、加熱対象物の熱容量と正の相関関係がある判定値αを算出する。すなわち、判定値αは、α=H/Fの演算式から求められる。
加熱熱量Hは、データ取得期間における加熱対象物に対する加熱部26の実際の総加熱熱量の指標となる値であって、実際の総加熱熱量と正の相関関係がある値である。加熱熱量Hは、例えば、加熱部26の火力に応じて設定された設定値と、データ取得期間において取得した加熱部26の火力情報の履歴とに基づいて算出される。
例えば、図9に示すように、データ取得期間において、加熱部26の火力を、「強/強」、「強/弱」、「弱/弱」及び「強/弱」の順に切り換えた場合、制御部16は、火力毎の加熱量を算出し、火力毎に算出した加熱量を積算することで、加熱熱量Hを算出する。上述した火力毎の加熱量の算出は、例えば加熱部26の火力が「強/強」である場合、火力「強/強」に割り当てられた設定値に対して、火力「強/強」で加熱した時間を乗算することによって算出される。加熱対象物の温度の積分値Fは、データ取得期間において温度センサー46で検出した温度に基づいて算出される、データ取得期間全体の時間積分値である。
なお、判定値αは、加熱対象物の熱容量の指標となる値であればよく、例えば、積分値Fを加熱熱量Hで除算することにより得られる値であってもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間全体において温度センサー46で取得した温度の積算値を求め、加熱熱量Hをこの積算値で除算した値を判定値αとしてもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間の開始時点における加熱対象物の温度と、データ取得期間の終了時点における加熱対象物の温度との差を算出し、この差によって加熱熱量Hを除算することで、判定値αを算出してもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間における温度変化の積分値を算出し、この積分値によって加熱熱量Hを除算することで、判定値αを算出してもよい。また、判定値αの演算において用いられる温度は、温度そのものの値であってもよいし、温度の指標となる値であってもよい。また、本実施形態のデータ取得期間は、2次加熱工程の開始時点から、経過時間tが所定時間taとなる時点までの期間であるが、1次加熱工程の開始時点(加熱工程の開始時点)から所定時間が経過する時点までの期間であってもよい。
ステップS17及びステップS24の各々において、制御部16は、3次加熱工程の実施時間である3次加熱時間t3aと、余熱工程の実施時間である余熱時間t4aとを設定する。3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aの各々は、熱容量判定で算出した判定値αと、1次加熱工程の開始時点で検出した初期温度T0とに基づいて設定される。判定値αは、初期温度T0が高くなる程小さくなり、初期温度T0と負の相関関係にある。このため、制御部16は、判定値αが大きくなり、かつ、初期温度T0が小さくなる程、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aが長くなるように、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aを設定する。
具体的に3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aの設定にあたっては、初期温度T0が異なる状態(例えば20℃と100℃)の各々において、熱容量が異なる加熱対象物(例えば、鶏肉1枚と鶏肉2枚)の各々を加熱する実験が予め行われ、これにより、各条件における最適な3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aが求められる。そして、この結果に基づいて、初期温度T0及び判定値αの両者を変数として、最適な3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aを算出するための演算式が設定される。すなわち、制御部16は、前述したステップS17及びステップS24の各々において、熱容量判定で算出した判定値αと、データ取得期間の開始時点で検出した初期温度T0と、前記演算式とに基づいて、最適な3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aを算出し、これを以後の3次加熱工程及び余熱工程の制御において用いられる3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aとして設定する。
3次加熱時間t3aは、例えば、380秒以上680秒以下の範囲内で設定される。余熱時間t4aは、例えば、0秒以上600秒以下の範囲内で設定される。なお、余熱時間t4aが0秒に設定された場合は、3次加熱工程が終了した時点で自動調理が終了する。
3次加熱時間t3aが設定される範囲及び余熱時間t4aが設定される範囲は、上記に限られない。また、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aの各々が設定される範囲は、調理モード毎に異なる。また、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aの各々は、判定値αのみに基づいて決定されてもよい。また、本実施形態では、3次加熱時間t3a及び余熱時間t4aの各々が変更されることにより、熱容量判定後における加熱量変更部27の制御方法が変更されるが、例えば、熱容量判定に基づいて、3次加熱工程及び余熱工程において設定される加熱部26の火力が変更されてもよい。
制御部16は、ステップS24に続いてステップS25の処理を実行する。ステップS25において、制御部16は、3次加熱工程が開始された時点から現時点までの時間である3次加熱経過時間t3が、3次加熱時間t3a以上であるか否かを判定する。
制御部16は、ステップS25において、3次加熱経過時間t3が3次加熱時間t3a以上でなければ、ステップS26において一定時間待機し、この後、ステップS25の処理を実行する。
制御部16は、ステップS25において、3次加熱経過時間t3が3次加熱時間t3a以上であれば、ステップS27の処理を実行する。ステップS27において、制御部16は、3次加熱工程を終了し、余熱工程を開始する。ステップS27において、制御部16は、開閉弁270を閉じて、上バーナー260及び下バーナー261の各々を消火する。すなわち、余熱工程では、上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力が「切」にされ、加熱室20内の余熱により加熱対象物が加熱される。
なお、余熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、「切」に限られず、「弱」又は「強」であってもよい。また、余熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、調理モード毎に設定される。
制御部16は、ステップS27に続いてステップS28の処理を実行する。ステップS28において、制御部16は、余熱工程が開始された時点から現時点までの時間である余熱経過時間t4が、余熱時間t4a以上であるか否かを判定する。
制御部16は、ステップS28において、余熱経過時間t4が余熱時間t4a以上でなければ、ステップS29において一定時間待機し、この後、ステップS28の処理を実行する。制御部16は、ステップS28において、余熱経過時間t4が余熱時間t4a以上であれば、ステップS30において余熱工程を終了し、自動調理を終了する。
なお、自動調理工程では、温度センサー46により加熱対象物の温度Tが所定時間毎に検出され、この温度Tが予め設定された危険温度を超えたときには、制御部16は、上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力を「切」にする。
ところで、加熱室20内に調理対象物受け5が配置されたとき、温度センサー46が調理対象物受け5に適切に接触しない状態となる可能性がある。この状態としては、例えば、温度センサー46の検出部47が調理対象物受け5に接触しない状態や、検出部47の調理対象物受け5に対する接触面積が小さい場合等が挙げられる。
上述のように温度センサー46が調理対象物受け5に適切に接触しない状態となると、温度センサー46によって加熱対象物の温度を適切に検出できなくなる可能性がある。このため、本実施形態の加熱調理器1では、制御部16は、上述した自動調理工程において、温度センサー46の状態、すなわち、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを判定するための、第1工程と、第2工程とを続けて実行する。
本実施形態の第1工程は、図7に示すステップS1〜ステップS6の制御により実行される工程であり、1次加熱工程と、2次加熱工程の一部とで構成される。すなわち、第1工程では、加熱部26の火力が「強/強」とされ、加熱部26の単位時間当たりの加熱量が第1加熱量とされる。また、本実施形態の第2工程は、ステップS9〜ステップS11の制御により実行される工程である。本実施形態の第2工程では、加熱部26の火力が「強/弱」とされ、加熱部26の単位時間当たりの加熱量が第1加熱量よりも小さい第2加熱量とされる。
以下、図7に基づいて、温度センサー46の接触状態を判定する方法について詳述する。ステップS5において、制御部16は、第1工程(1次加熱工程)の開始時点(ステップS1)から第1所定時間tA1が経過したか否かを判定する。すなわち、制御部16は、ステップS5において、経過時間tが、第1所定時間tA1以上であるか否かを判定する。
第1所定時間tA1は、第1工程の実施時間である。第1所定時間tA1は、例えば、調理対象物から出た水の大半が、第2工程の開始時点において液体となる時間に設定される。この理由は、第2工程において加熱部26の単位時間当たりの加熱量を小さくしたときに、前記水の状態変化が生じ難く、これにより、加熱対象物の温度変化が生じやすくするためである。本実施形態の第1所定時間tA1は、200秒である。なお、第1所定時間tA1は、200秒に限られない。
ステップS5において、第1工程の開始時点から第1所定時間tA1が経過していなければ、制御部16は、ステップS6において一定時間待機し、この後、ステップS5の処理を実行する。ステップS5において、第1工程の開始時点から第1所定時間tA1が経過していれば、制御部16はステップS7の処理を実行する。
ステップS7において、制御部16は、温度センサー46によって加熱対象物の温度Tを検出し、この温度Tを第1工程の終了時点の温度T1eとして記憶する。そして、制御部16は、初期温度T0である第1工程の開始時点の温度T1sと、ステップS7において検出した第1工程の終了時点の温度T1eとに基づいて、第1工程の開始時点から第1工程の終了時点までの時間tA1に対する温度勾配Tg1を算出する。ここで、温度勾配Tg1は、Tg1=|T1e−T1s|/tA1の演算式に基づいて算出される。すなわち、温度勾配Tg1は、温度T1eから温度T1sを減算した値の絶対値を時間tA1で除算した値である。
制御部16は、ステップS7に続いてステップS8の処理を実行する。ステップS8において、制御部16は、温度勾配Tg1が予め設定された閾値Tg1a以上であるか否かを判定する。ステップS8において温度勾配Tg1が閾値Tg1a以上であれば、制御部16は、ステップS16の処理を実行する。ステップS8において温度勾配Tg1が閾値Tg1a以上でなければ、制御部16は、ステップS9の処理を実行する。すなわち、本実施形態では、温度勾配Tg1が閾値Tg1a未満である場合にのみ、第2工程を実行し、温度勾配Tg1が閾値Tg1a以上である場合には、第2工程を実行しない。
上述したように、第1工程において加熱対象物が加熱部26によって加熱された場合、加熱対象物の温度は上昇する。この場合、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していれば、温度勾配Tg1は比較的高い値を示す。すなわち、温度勾配Tg1が閾値Tg1a以上であることは、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していることを意味する。
一方、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していなければ、温度センサー46で検出する温度Tは、加熱室20内の雰囲気温度に近い値となり、温度勾配Tg1は比較的低い値を示す。ただし、加熱対象物の熱容量が大きい場合にも、温度勾配Tg1は比較的低い値を示す。すなわち、温度勾配Tg1が閾値Tg1a未満であることは、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していないこと、又は、加熱対象物の熱容量が大きいことを意味する。
ステップS9において、制御部16は、第2工程を開始し、上バーナー260の火力を「強」に維持しつつ、電磁弁274aを閉じて、下バーナー261の火力を「弱」に切り換える。すなわち、第2工程では、加熱部26の火力は、「強/弱」に設定される。また、ステップS9において制御部16は、温度センサー46によって加熱対象物の温度Tを検出し、この温度Tを第2工程の開始時点の温度T2sとして記憶する。
制御部16は、ステップS9に続いて、ステップS10の処理を実行する。ステップS10において、制御部16は、第2工程の開始時点(ステップS9)から第2所定時間tA2が経過したか否かを判定する。すなわち、制御部16は、ステップS10において、経過時間tから第1所定時間tA1を減算した時間が、第2所定時間tA2以上であるか否かを判定する。第2所定時間tA2は、第2工程の実施時間である。本実施形態の第2所定時間tA2は、100秒である。なお、第2所定時間tA2は、100秒に限られない。
ステップS10において、第2工程の開始時点から第2所定時間tA2が経過していなければ、制御部16は、ステップS11において一定時間待機し、この後、ステップS10の処理を実行する。ステップS11において、第2工程の開始時点から第2所定時間tA2が経過していれば、制御部16はステップS12の処理を実行する。
ステップS12において、制御部16は、温度センサー46によって加熱対象物の温度Tを検出し、この温度Tを第2工程の終了時点の温度T2eとして記憶する。そして、制御部16は、ステップS9において検出した第2工程の開始時点の温度T2sと、ステップS12において検出した第2工程の終了時点の温度T2eとに基づいて、第2工程の開始時点から第2工程の終了時点までの時間tA2に対する温度勾配Tg2を算出する。ここで、温度勾配Tg2は、Tg2=|T2e−T2s|/tA2の演算式によって算出される。すなわち、温度勾配Tg2は、温度T2eから温度T2sを減算した値の絶対値を時間tA2で除算した値である。
制御部16は、ステップS12に続いて、ステップS13の処理を実行する。ステップS13において、制御部16は、温度勾配Tg2が予め設定された閾値Tg2a以上であるか否かを判定する。ステップS13において温度勾配Tg2が閾値Tg2a以上であれば、制御部16は、ステップS14の処理を実行する。ステップS13において温度勾配Tg2が閾値Tg2a以上でなければ、制御部16は、ステップS15の処理を実行する。
上述のように第1工程から第2工程に移行することで、加熱部26の単位時間当たりの加熱量が、第1加熱量から第2加熱量に低下した場合、加熱対象物の温度は低くなる。この場合、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していれば、温度勾配Tg2は比較的大きい値を示す。一方、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していなければ、温度センサー46で検出する温度Tは、加熱室20内の雰囲気温度に近い高い値となり、温度勾配Tg2は比較的小さい値を示す。すなわち、温度勾配Tg2が閾値Tg2a未満であることは、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していないことを意味し、温度勾配Tg2が閾値Tg2a以上であることは、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していることを意味する。
ステップS14において、制御部16は、上バーナー260の火力を「強」に維持しつつ、電磁弁274aを開いて、下バーナー261の火力を「強」に切り換える。制御部16は、ステップS14に続いて、ステップS16の処理を実行する。
ステップS15において、制御部16は、開閉弁270を閉じて、上バーナー260及び下バーナー261の各々を消火する。また、ステップS15において、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していない状態であることを、加熱調理器1が備えた報知手段によって利用者に報知する。なお、報知手段は、例えば、モニター又はスピーカー等であり、文字又は絵柄等による表示、あるいは、音声又は発信音等の音等によって、利用者に報知する。
図11は、上述した制御に基づいて、加熱調理器1により加熱対象物を加熱したときにおける、温度センサー46で検出した温度Tと、経過時間tとの関係を示したグラフである。図11中の「a1」は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触した状態において、熱容量が小さい加熱対象物を加熱したときにおける温度Tの変化を示している。図11中の「b1」は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触した状態において、熱容量が大きい加熱対象物を加熱したときにおける温度Tの変化を示している。図11中の「c1」は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していない状態における温度Tの変化を示している。なお、「a1」の場合、第1所定時間tA1経過後は、第2工程に移行しない。このため、図11では、第1所定時間tA1経過後における「a1」の図示を省略している。
「a1」の場合、加熱対象物の熱容量は小さいため、温度勾配Tg1は閾値Tg1a以上になる。この場合、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できている状態であると判定する。また、「b1」の場合、加熱対象物の熱容量は大きいため、温度勾配Tg1は閾値Tg1a未満になり、温度勾配Tg2は閾値Tg2a以上となる。この場合、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できている状態であると判定する。また、「c1」の場合、温度センサー46は雰囲気温度を測定するため、温度勾配Tg1は閾値Tg1a未満になり、温度勾配Tg2は閾値Tg2a未満になる。この場合、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できていない状態であると判定する。
以上説明したとおり、本実施形態の加熱調理器1では、加熱部26によって第1所定時間tA1加熱した後に、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を変更し、このときの温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46の状態を判定する。このため、加熱部26による加熱の開始の直後において、温度センサー46で検出した温度Tに変化が生じた場合にも、温度センサー46の状態を適切に判定できる。
なお、本実施形態の第1工程の開始時点は、加熱部26による加熱を開始した時点と一致しているが、加熱部26による加熱を開始した時点から所定時間が経過した時点を、第1工程の開始時点としてもよい。
また、本実施形態の第1工程及び第2工程は、調理モード選択部によって選択された調理モードに基づいて実行される自動調理工程に含まれているが、自動調理工程とは別に行われてもよい。また、第2加熱量(第2工程における加熱部26の単位時間当たりの加熱量)は、第1加熱量(第1工程における加熱部26の単位時間当たりの加熱量)よりも小さければよく、第2工程における加熱部26の火力は、「切/切」であってもよい。
また、本実施形態の第2加熱量は、第1加熱量よりも小さいが、第2加熱量は第1加熱量よりも大きくてもよい。この場合、例えば、前述した自動調理工程の2次加熱工程の開始時(ステップS4)における加熱部26の火力を「強/弱」とし、かつ、第2工程における加熱部26の火力を「強/強」とする。
図12は、上述のように、第2加熱量を第1加熱量よりも大きくしたときにおける、温度センサー46で検出した温度T及び加熱部26の火力の時間経過に伴う変化を示したグラフである。図12中の「a2」は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触した状態における温度Tの変化を示している。図12中の「b2」は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していない状態における温度Tの変化を示している。
図12に示すように、第2加熱量を第1加熱量よりも大きくした場合にも、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触しているか否かで、温度勾配Tg2が変化する。すなわち、「a2」の場合、温度勾配Tg2は閾値Tg2a以上となり、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触している状態であると判定する。また、「b2」の場合、温度勾配Tg2は閾値Tg2a未満となり、制御部16は、温度センサー46が加熱対象物に適切に接触していない状態であると判定する。
なお、上述のように第2加熱量を第1加熱量よりも大きくする場合、第1所定時間tA1は、第1工程を実行することで、食材から水分が出る時間に設定することが好ましい。この場合、第1工程で食材から出た水分(液体)が、第2工程において煮詰まって一部が気体となり、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量から第2加熱量に上げた際には、加熱対象物の温度は、食材からの水分による影響を受け難くなる。このため、加熱対象物の温度変化は、生じやすくなる。この場合、第1所定時間tA1は、例えば、400秒に設定される。
(3)態様
上述した実施形態から明らかなように、第1の態様の加熱調理器1は、加熱部26、温度センサー46及び制御部16を備えている。加熱部26は、加熱対象物を加熱する。温度センサー46は、加熱対象物の温度Tを検出する。制御部16は、温度センサー46にて検出した温度Tに基づいて加熱部26の加熱量を制御する。制御部16は、第1工程と、第2工程とを続けて実行する。第1工程は、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、加熱部26により加熱対象物を第1所定時間tA1加熱する工程である。第2工程は、第1工程の後、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間tA2維持する工程である。制御部16は、第2工程の温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出しているか否かを判定する。
上述した実施形態から明らかなように、第1の態様の加熱調理器1は、加熱部26、温度センサー46及び制御部16を備えている。加熱部26は、加熱対象物を加熱する。温度センサー46は、加熱対象物の温度Tを検出する。制御部16は、温度センサー46にて検出した温度Tに基づいて加熱部26の加熱量を制御する。制御部16は、第1工程と、第2工程とを続けて実行する。第1工程は、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、加熱部26により加熱対象物を第1所定時間tA1加熱する工程である。第2工程は、第1工程の後、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間tA2維持する工程である。制御部16は、第2工程の温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出しているか否かを判定する。
この態様によれば、加熱部26によって第1所定時間tA1加熱した後における加熱対象物の温度勾配Tg2に基づいて、温度センサー46の状態を判定することができる。このため、加熱部26による加熱の開始の直後において、温度センサー46で検出した温度Tに変化が生じた場合にも、温度センサー46が加熱対象物を検知できているか否かを適切に判定できる。
また、第2の様態の加熱調理器1は、第1の様態との組み合わせにより実現され得る。この態様の第2加熱量は、第1加熱量よりも小さい。
この態様によれば、第1工程から第2工程に移行した時に、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を小さくして、温度センサー46の接触状態を適切に判定できる。
また、第3の様態の加熱調理器1は、第1の様態との組み合わせにより実現され得る。この態様の第2加熱量は、第1加熱量よりも大きい。
この態様によれば、第1工程から第2工程に移行した時に、加熱部26の単位時間当たりの加熱量を大きくして、温度センサー46の接触状態を適切に判定できる。
また、第4の様態の加熱調理器1は、第1〜第3のいずれか一つの様態との組み合わせにより実現され得る。この態様の加熱調理器1は、複数の調理モードの中から任意の調理モードを選択するための調理モード選択部を更に備えている。制御部16は、調理モード選択部によって選択された調理モードに基づいて、加熱部26を制御する自動調理工程を実行する。自動調理工程は、第1工程と、第2工程とを含んでいる。
この態様によれば、利用者によって選択された自動調理工程の実施時において、温度センサー46の接触状態を適切に判定できる。
また、第5の様態の加熱調理器1は、第1〜第4のいずれか一つの様態との組み合わせにより実現され得る。この態様の制御部16は、第1工程の温度勾配Tg1に基づいて第2工程を行うか否かを決定する。
この態様によれば、第1工程の温度勾配Tg1に基づいて、温度センサー46が加熱対象物の温度を適切に検出できていない可能性がある場合にのみ、第2工程を実行することができる。
T 温度センサーの検出温度
tA1 第1所定時間
tA2 第2所定時間
Tg1 温度勾配
Tg2 温度勾配
1 加熱調理器
16 制御部
170 操作部分(調理モード選択部)
26 加熱部
46 温度センサー
tA1 第1所定時間
tA2 第2所定時間
Tg1 温度勾配
Tg2 温度勾配
1 加熱調理器
16 制御部
170 操作部分(調理モード選択部)
26 加熱部
46 温度センサー
Claims (5)
- 加熱対象物を加熱するための加熱部と、
前記加熱対象物の温度を検出する温度センサーと、
前記温度センサーにて検出した温度に基づいて前記加熱部の加熱量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加熱部の単位時間当たりの加熱量を第1加熱量として、前記加熱部により前記加熱対象物を第1所定時間加熱する第1工程と、
前記第1工程の後、前記加熱部の単位時間当たりの加熱量を前記第1加熱量とは異なる第2加熱量とした状態を第2所定時間維持する第2工程とを続けて実行し、
前記制御部は、前記第2工程の温度勾配に基づいて、前記温度センサーが前記加熱対象物の温度を適切に検出できているか否かを判定する、
加熱調理器。 - 前記第2加熱量は、前記第1加熱量よりも小さい、
請求項1に記載の加熱調理器。 - 前記第2加熱量は、前記第1加熱量よりも大きい、
請求項1に記載の加熱調理器。 - 複数の調理モードの中から任意の調理モードを選択するための調理モード選択部を更に備え、
前記制御部は、前記調理モード選択部によって選択された調理モードに基づいて、前記加熱部を制御する自動調理工程を実行し、
前記自動調理工程は、
前記第1工程と前記第2工程とを含んだ、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。 - 前記制御部は、前記第1工程の温度勾配に基づいて前記第2工程を行うか否かを決定する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
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2018
- 2018-04-25 JP JP2018084578A patent/JP2019190747A/ja active Pending
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