JP2019189883A - 金属板用接着剤 - Google Patents

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剛正 吉野
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Abstract

【課題】ポリオレフィン樹脂の水性分散体からなる接着剤であって、形成された接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムに対しても、また接着層の上に積層された金属板に対しても優れた密着性を有することができる接着剤を提供する。【解決手段】ポリオレフィン樹脂と水性媒体を含有する水性分散体からなる接着剤であって、ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを含有し、オレフィン成分がプロピレンを60〜95質量%含有し、エチレンを含有せず、不飽和カルボン酸成分の含有量が、オレフィン成分の0.5〜15質量%であり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での重量平均粒子径が0.15μm以下であることを特徴とする金属板用接着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、金属板用の水性接着剤に関する。
家電製品、暖房機器、内装建材等の外板には、従来から塩ビ鋼板などの樹脂被膜金属板が使用されている。塩ビ鋼板は、鋼板にポリ塩化ビニル樹脂をコーティングした樹脂被膜鋼板であり、添加剤の処方により、優れた物性をポリ塩化ビニル樹脂に付与することができるので、自由度の高い材料である。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂は塩素を含む樹脂であるため、塩ビ鋼板は、近年、環境上問題視されつつある。
塩ビ鋼板の代替として、ポリオレフィン樹脂フィルムをラミネートした鋼板が注目されている。ポリオレフィン樹脂は、フッ素樹脂と同様に難接着性であるため、鋼板とポリオレフィン樹脂フィルムとの間に接着剤が介在されている。なかでも、塩素で変性した塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する溶剤系の接着剤は、接着性が非常に良好なものである。しかしながら、この接着剤は溶剤系であるため、環境上問題視されている。そこで、水系の接着剤の検討がおこなわれているが、鋼板などの金属板とポリオレフィン樹脂フィルムとの接着性が十分なものは得られていなかった。
ポリオレフィン樹脂に対して優れた接着性を有するものとして、例えば、特許文献1には、変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化したものが開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化してなる接着剤であっても、形成された接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムとの密着性に劣ることがあり、またポリオレフィン樹脂フィルムと鋼板などの金属板との接着性に劣ることがあった。
国際公開第2004/104090号
本発明の課題は、上記問題を解決し、ポリオレフィン樹脂の水性分散体からなる接着剤であって、形成された接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムに対しても、また接着層の上に積層された金属板に対しても優れた密着性を有することができる接着剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成成分を有するとともに、特定の重量平均粒子径を有するポリオレフィン樹脂を用い、これと水性媒体とを含有する水性分散体からなる接着剤が、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリオレフィン樹脂と水性媒体を含有する水性分散体からなる接着剤であって、
ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを含有し、
オレフィン成分がプロピレンを60〜95質量%含有し、エチレンを含有せず、
不飽和カルボン酸成分の含有量が、オレフィン成分の0.5〜15質量%であり、
ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での重量平均粒子径が0.15μm以下であることを特徴とする金属板用接着剤。
(2)オレフィン成分がブテンを含有することを特徴とする(1)記載の金属板用接着剤。
(3)水性分散体が不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないことを特徴とする(1)または(2)記載の金属板用接着剤。
(4)水性分散体がさらに架橋剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の金属板用接着剤。
(5)ポリオレフィン樹脂がγ線架橋されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の金属板用接着剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属板用接着剤から水性媒体を除去してなることを特徴とする接着層。
(7)ポリオレフィン樹脂フィルム、上記(6)記載の接着層、金属板が、この順に積層されてなることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板。
本発明の接着剤によれば、家電製品、暖房機器、内装建材等の外板などに使用される金属板に対して、ポリオレフィン樹脂フィルムを優れた密着性でラミネートすることが可能となる。本発明の接着剤は、水系の接着剤であるため、またポリオレフィン樹脂フィルムがラミネートされた金属板は、塩素を含有するものでないため、環境上、優れたものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属板用接着剤は、ポリオレフィン樹脂と水性媒体を含有する水性分散体からなり、本発明におけるポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを含有するものである。
本発明において、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルムに対する接着剤の密着性を向上させるために、オレフィン成分はプロピレンを含有することが必要である。オレフィン成分におけるプロピレンの含有量は60〜95質量%であることが必要であり、60〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が60質量%未満であると、得られる接着層は、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルムに対する密着性が低下する傾向にあり、一方、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%を超えると、ポリオレフィン樹脂は、水性分散化することが困難になる傾向があり、また水性分散体中での重量平均粒子径が大きくなる傾向がある。
プロピレン以外のオレフィン成分としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられる。ポリオレフィン樹脂の製造のし易さや水性分散化のし易さ、また得られる接着層のポリオレフィン樹脂フィルムに対する密着性、特にポリプロピレン樹脂フィルムに対する密着性、さらに形成される接着層の耐ブロッキング性等の点から、プロピレン以外のオレフィン成分は、ブテン(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、プロピレンの含有量が上記範囲となるように共重合されておればよく、その共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられ、重合のし易さの点から、ランダム共重合が好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、水性分散化を容易にするために、不飽和カルボン酸成分を含有することが必要である。不飽和カルボン酸成分の含有量は、オレフィン成分の0.5〜15質量%であることが必要であり、0.5〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましく、1〜7質量%であることがさらに好ましく、1.5〜7質量%であることが特に好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量が0.5質量%未満であると、ポリオレフィン樹脂を水性分散化することが困難になる傾向があり、一方、含有量が15質量%を超えると、ポリオレフィン樹脂の水性分散化は容易になるが、得られる接着層は、ポリプロピレン等の樹脂フィルムへの密着性が低下する傾向にある。本発明においては、後述する方法で水性分散化することで、不飽和カルボン酸成分の含有量が15質量%以下であるポリオレフィン樹脂であっても、微細かつ安定に水性分散化することができる。
不飽和カルボン酸成分としては、不飽和カルボン酸やその無水物が挙げられ、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等の他、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物を用いることができる。中でもポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
不飽和カルボン酸成分をポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤存在下、不飽和カルボン酸成分を含有しないポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とをポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、不飽和カルボン酸成分を含有しないポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により、不飽和カルボン酸成分を含有しないポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜選択して使用すればよい。
なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物成分は、乾燥状態では酸無水物構造となりやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部または全部が開環してカルボン酸またはその塩の構造となる傾向がある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、上記オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分以外の他の成分を、ポリオレフィン樹脂の10質量%以下含有していてもよい。他の成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
ポリオレフィン樹脂は、市販のものを用いて調製することができる。例えば、住友化学社製のエクセレン、タフセレンシリーズ、三井化学社製のタフマーシリーズ、REXtac社製のREXtacシリーズ(非晶性ポリアルファオレフィン)、グライアント社製のリコセンPPシリーズ、エボニック・デグサ社製のベストプラストなどを用い、これに上記の方法で不飽和カルボン酸成分を導入して、ポリオレフィン樹脂を調製することができる。
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましく、20,000〜120,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、35,000〜80,000であることが最も好ましい。重量平均分子量が5,000未満の場合は、得られる接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムとの密着性が低下したり、硬くてもろくなる傾向がある。重量平均分子量が200,000を超える場合は、ポリオレフィン樹脂の水性分散化が困難になる傾向がある。なお、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明の金属板用接着剤は、上記のポリオレフィン樹脂と水性媒体を含有する水性分散体である。本発明において、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、後述するポリオレフィン樹脂の水性分散化において水性媒体に添加された有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
本発明において、水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂は、得られる接着剤の低温造膜性の点から、重量平均粒子径が0.15μm以下であることが必要であり、0.12μm以下であることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましく、0.001〜0.10μmであることがさらに好ましい。水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径が0.15μmを超えると、得られる接着剤は、低温造膜性が低下することがある。水性分散体中においてこのような重量平均粒子径を有するポリオレフィン樹脂は、後述する水性分散体の製造方法によって調製することができる。
水性分散体におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、成膜条件、目的とする接着層の厚さや性能等により適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、接着剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させるために、1〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜45質量%であることが特に好ましい。
本発明における水性分散体は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明においては、不揮発性水性化助剤を含有しなくても、ポリオレフィン樹脂を重量平均粒子径0.15μm以下で水性媒体中に安定に維持することができる。このため、本発明の接着剤から形成された接着層は、低温乾燥における接着層特性、特に耐水性、ポリオレフィン樹脂フィルムとの密着性が優れており、これらの性能は長期的にほとんど変化しない。
上記「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、または、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
また「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、このような助剤を製造時(樹脂の水性化時)に用いず、得られる分散体が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、このような水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン樹脂成分に対して0.5質量%未満程度含まれていても差し支えない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
次に、本発明の接着剤を構成する水性分散体の製造方法について説明する。
本発明において水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができる。この方法において、水性媒体は、有機溶剤や塩基性化合物を含有することが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の水性分散化の際に、水性媒体に有機溶剤を添加することにより、ポリオレフィン樹脂は、水性分散化が促進され、分散粒子径を小さくすることができる。
水性媒体における有機溶剤の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。有機溶剤の含有量が50質量%を超えると、実質的に水性媒体とはみなせなくなり、安全衛生、環境保全の観点から好ましくなく、使用する有機溶剤によっては、水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤の、20℃における水に対する溶解性は、良好な水性分散体を得るという点から、10g/L以上であることが好ましく、20g/L以上であることがより好ましく、50g/L以上であることがさらに好ましい。
有機溶剤は、塗膜からの除去が容易であることから、沸点が150℃以下であることが好ましい。沸点が150℃を超える有機溶剤は、塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、特に低温乾燥して得られた接着層においては、耐水性や基材との密着性等が低下する場合がある。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、ポリオレフィン樹脂の水性化促進効果が高いことから、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
水性媒体は、上記有機溶剤とともに、塩基性化合物を含有していてもよい。
ポリオレフィン樹脂の水性分散化の際に、水性媒体に塩基性化合物を添加することにより、ポリオレフィン樹脂の分散を安定にすることができる。
塩基性化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量であることがより好ましく、0.9〜3.0倍当量であることさらに好ましい。塩基性化合物の添加量が0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、添加量が10倍当量を超えると、塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が低下する場合がある。
塩基性化合物としては特に限定されず、具体例としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等を挙げることができる。
水性分散体を製造する際に使用する容器としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。したがって、高速撹拌(例えば1,000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。
上記の装置にポリオレフィン樹脂、水性媒体などの原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を80〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは110〜200℃、特に好ましくは100〜190℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜300分間)攪拌を続ける。
次に、さらに系内に、塩基性化合物、有機溶剤、水から選ばれる少なくとも1種を追加し、密閉容器中で再度、80〜240℃の温度で加熱、攪拌をおこなう。このような溶媒等を追加して、加熱、攪拌をおこなうこと(以下、追加分散処理ともいう)により、ポリオレフィン樹脂は微細なものとなり、その重量平均粒子径を0.15μm以下にすることができる。塩基性化合物、有機溶剤、水を追加する方法は特に限定されないが、ギヤポンプを用いて加圧下で添加する方法や、いったん、系内温度を下げた後、開封して追加する方法などが挙げられる。追加する塩基性化合物、有機溶剤、水の量は、所望する固形分濃度や粒子径によって適宜決めることができるが、添加して得られる水性分散体における固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、2〜45質量%となる量がより好ましく、3〜40質量%となる量がさらに好ましい。
上記工程において、槽内の温度が80℃未満であると、ポリオレフィン樹脂の水性化の進行が困難になることがあり、槽内の温度が240℃を超えると、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下することがある。
水性分散体の製造時に有機溶剤を用いた場合には、ポリオレフィン樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって、系外へ留去させ、水性分散体中の有機溶剤量の低減を図ることができる。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤の含有量を、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい水性分散体が得られる。ストリッピングにより、水性化に使用した有機溶剤を実質的にすべて留去することができるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、生産性を考慮すると、有機溶剤量の下限は0.01質量%程度である。なお、さらに有機溶剤量を低減して0.01質量%未満としても、特に性能面での影響はなく、良好に使用することができる。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるので、例えば、粘度が上昇し作業性が低下するような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。
このようにして得られた水性分散体の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法が挙げられる。
上記の製造方法により、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散された均一な液状の水性分散体が得られる。なお、「均一な液状」とは、外観上、水性分散体中に、沈殿、相分離あるいは皮張りなどの、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
本発明の金属板用接着剤は、上記水性分散体からなるものであり、この接着剤から形成される接着層において、耐水性等の各種の性能をさらに向上させるために、水性分散体が架橋剤を含有したり、ポリオレフィン樹脂がγ線架橋されていることが好ましい。
水性分散体が含有する架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
水性分散体における架橋剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.01〜80質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、0.5〜30質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が0.01質量部未満であると、接着層の性能を向上する効果が小さく、80質量部を超えると、加工性等の性能が低下することがある。
γ線架橋されたポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂またはこれを含有する水性分散体にγ線照射することによって調製することができる。γ線の照射量は、1〜100kGyであることが好ましく、5〜50kGyであることがより好ましい。γ線照射量が1kGy未満であると、接着層の性能を向上する効果が小さく、100kGyを超えると、得られる接着層が脆くなり、また密着性が低下する。γ線照射の方法としては、公知の方法を採ることができる。
本発明における水性分散体には、性能をさらに向上させるため、他の重合体の水性分散体、粘着付与剤、無機粒子、顔料、染料等を添加することができる。
水性分散体に添加する他の重合体の水性分散体としては、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ロジンやテルペンなどの粘着付与樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散体を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化すず等の金属酸化物、炭酸カルシウム、シリカ等の無機粒子や、バーミキュライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ハイドロタルサイト、合成雲母等の層状無機化合物が挙げられる。酸化亜鉛を添加することにより紫外線遮蔽性能が得られ、酸化すずを添加することにより帯電防止性能が得られる。これらの無機粒子は、2種以上を混合して使用してもよい。
無機粒子の平均粒子径は、水性分散体の安定性の面から、0.005〜10μmであることが好ましく、0.005〜5μmであることがより好ましい。
顔料、染料としては、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の一般的に市販されているものが挙げられる。
水性分散体には、さらに必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種薬剤を添加することも可能である。
次に、水性分散体からなる本発明の接着剤の使用方法について説明する。
上記構成の水性分散体は、塗膜形成能に優れているので、本発明の接着剤は、公知の成膜方法により、ポリオレフィン樹脂フィルムの表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な接着層をポリオレフィン樹脂フィルム表面に密着させて形成することができる。
本発明の接着剤を塗布するポリオレフィン樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂等が挙げられ、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム(TPO)等からなる樹脂フィルムに対して、本発明の接着剤が塗布されると、密着性に特に優れた接着層を得ることができる。ポリオレフィン樹脂フィルムの具体的なものとして、未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、エチレン-プロピレンゴムシート(TPO、EPDM)等が挙げられる。
成膜方法としては、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、はけ塗り法等が挙げられる。
乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。
また、加熱温度や加熱時間は、被塗布物であるポリオレフィン樹脂フィルムの特性や、架橋剤を含有する場合はその種類、配合量等により適宜選択される。経済性を考慮すると、加熱温度は、30〜250℃であることが好ましく、60〜230℃であることがより好ましく、80〜210℃であることがさらに好ましい。加熱時間は、1秒〜20分であることが好ましく、5秒〜15分であることがより好ましく、5秒〜10分であることがさらに好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
また、ポリオレフィン樹脂フィルムへの接着剤の塗布量は、その用途によって適宜選択されるが、乾燥後の塗布量として、0.01〜100g/mが好ましく、0.1〜50g/mがより好ましく、0.2〜30g/mがさらに好ましい。塗布量が0.01〜100g/mの範囲となるように成膜すれば、均一性に優れた接着層が得られる。
なお、塗布量を調節するためには、塗布に用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする接着層の厚さに適した濃度の水性分散体を使用することが好ましい。水性分散体の濃度は、調製時の仕込み組成により調節することができ、また、一旦調製した水性分散体を、希釈または濃縮することによって調節してもよい。
上記方法により、ポリオレフィン樹脂フィルムに形成された接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムに対して、優れた密着性、耐水性を有する。そして形成された接着層上には、金属板を積層することができる。接着層上に積層される金属板としては、鉄板、ガルバニウム鋼板、ステンレス板、アルミニウム板、チタン板等が挙げられ、亜鉛メッキ、スズメッキ、クロムメッキ、易接着処理等の表面処理がなされたものでもよい。接着層上に金属板が積層されたポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板においても、接着層は、金属板に対しても優れた接着性を有することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
(1)オレフィン成分の構成
無水マレイン酸を反応させる前のポリオレフィン樹脂について、オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、オレフィン成分の構成を求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
(2)不飽和カルボン酸成分の含有量
オレフィン成分に対する不飽和カルボン酸成分の含有量は、下記に示す方法(A)または(B)を用いて求めた。
(A):ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から不飽和カルボン酸の含有量(グラフト率)を次式から求めた。
含有量(質量%)=(グラフトした不飽和カルボン酸の質量)/(原料ポリオレフィン樹脂の質量)×100
(B):赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計 System−2000、分解能4cm−1)を行い、不飽和カルボン酸成分の含有量を求めた。
(3)ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはTSK−GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して、40℃で測定し、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から求めた。試料がテトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンに溶解した。
(4)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均および重量平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、水性分散体中のポリオレフィン樹脂の数平均粒子径(mn)および重量平均粒子径(mw)を求めた。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
(5)密着性
得られた接着剤を未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(三井化学東セロ社製、CP−S#30)に、乾燥後の塗布量が約5g/mになるようにメイヤーバーで塗布し、100℃で30秒間乾燥させて、未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム上に接着層を形成した。未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム上に形成された接着層にセロハンテープ(ニチバン社製CT−15M)を貼り、勢いよくセロハンテープを剥がして、テープ剥離試験にて、接着層と未延伸ポリプロピレン樹脂フィルムとの密着性を評価した。
○:接着層の剥離なし
△:接着層の一部が剥離
×:接着層の全面が剥離
(6)接着性
上記(5)に記載された方法により未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム上に接着層を形成した。次いで、接着層と金属板(ガルバニウム鋼板)とを、100℃、0.2MPa、5秒の条件で貼り合わせた。得られたポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板について、剥離試験(インテスコ社製、万能剥離試験機)をおこない、未延伸ポリプロピレン樹脂フィルムと金属板との剥離強度から、接着性を評価した。
◎:15N/15mm以上
○:10N/15mm以上、15N/15mm未満
△:5N/15mm以上、10N/15mm未満
×:5N/15mm未満
(7)耐水接着性
上記(6)に記載された方法によりポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を作成し、40℃の温水に1日、浸漬した。温水から取り出し、表面の水分を取り除いた後、上記(6)の剥離試験方法により、剥離強度を測定し、耐水接着性を評価した。
○:10N/15mm以上
△:5N/15mm以上、10N/15mm未満
×:5N/15mm未満
(8)低温乾燥での耐水接着性
乾燥温度を100℃から50℃に変更して未延伸ポリプロピレン樹脂フィルム上に接着層を形成した以外は、上記(6)と同様にして、ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を作成し、40℃の温水に1日、浸漬した。温水から取り出し、表面の水分を取り除いた後、上記(6)の剥離試験方法により、剥離強度を測定し、低温乾燥して得られたポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板の耐水接着性を評価した。
○:10N/15mm以上
△:5N/15mm以上、10N/15mm未満
×:5N/15mm未満
ポリオレフィン樹脂は、下記の方法によって製造した。
(1)ポリオレフィン樹脂(P−1)
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/ブテン=80/20(質量%))280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸25.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してポリオレフィン樹脂(P−1)を得た。
(2)ポリオレフィン樹脂(P−2)
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/ブテン=65/35(質量%))を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂(P−2)を得た。
(3)ポリオレフィン樹脂(P−3)
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=92/8(質量%))を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂(P−3)を得た。
(4)ポリオレフィン樹脂(P−4)
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/ブテン=97/3(質量%))を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂(P−4)を得た。
(5)ポリオレフィン樹脂(P−5)
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/ブテン=50/50(質量%))を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂(P−5)を得た。
得られたポリオレフィン樹脂(P−1)〜(P−5)の特性を表1に示す。
Figure 2019189883
実施例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび137.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却して、水性分散体(A)を得た。
ガラス容器を開封して、水性分散体(A)に、45.0gのテトラヒドロフラン、5.0gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび30.0gの蒸留水を添加した後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌して、追加分散処理をおこなった。
その後、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体(B)を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。得られた水性分散体の固形分濃度は、20質量%であった。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の性能を表2に示した。
実施例2、比較例2、3、参考例2
ポリオレフィン樹脂として、実施例2ではポリオレフィン樹脂(P−2)を、また参考例2では(P−3)を、比較例2では(P−4)を、比較例3では(P−5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、それぞれ水性分散体を得た。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の性能を表2に示した。
実施例4、5
実施例1で得られた水性分散体に、架橋剤としてオキサゾリン(日本触媒社製、エポクロスWS−700、固形分25質量%)を、水性分散体の固形分100質量部に対して、実施例4では固形分1質量部添加し、また実施例5では固形分80質量部添加して、それぞれ乳白色の均一な水性分散体を得た。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の性能を表2に示した。
実施例6、7
実施例1で得られた水性分散体に、γ線を実施例6では5kGy、実施例7では100kGy照射(コーガアイソトープ社製照射装置)し、それぞれ乳白色の均一な樹脂水性分散体を得た。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の性能を表2に示した。
比較例1
実施例1に記載された方法で調製した水性分散体(A)について、追加分散処理をおこなわず、室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。次いで、得られた水性分散体を水で希釈し、固形分濃度を20質量%に調整した。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の塗膜性能を表2に示した。
参考例1
実施例1において、不揮発性の水性化助剤であるノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)を固形分全質量に対して3質量%となるように添加した以外は実施例1に準じた方法で樹脂の水性化を行って水性分散体を得た。得られた水性分散体の特性、および水性分散体からなる接着剤の性能を表2に示した。
Figure 2019189883
実施例1〜2、4〜7の接着剤から得られた接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムに対する密着性に優れ、また未延伸ポリプロピレン樹脂フィルムと金属板とは、接着性に優れるものであった。
比較例1では、水性分散体の調製時に、追加分散処理を行わなかったため、また比較例2では、ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が本発明で規定する範囲を超えるものであったため、いずれもポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径が本発明で規定する範囲を超え、低温造膜性に劣るものであり、接着層形成時の乾燥温度が低いと、得られたポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板は、耐水接着性に劣るものであった。比較例3では、ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が本発明で規定する範囲より少ないものであったため、参考例1では、水性分散体が、不揮発性水性化助剤乳化剤を含有するため、いずれも、得られた接着層は、ポリオレフィン樹脂フィルムに対する密着性が劣り、また未延伸ポリプロピレン樹脂フィルムと金属板とは、接着性や耐水接着性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂と水性媒体を含有する水性分散体からなる接着剤であって、
    ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを含有し、
    オレフィン成分がプロピレンを60〜95質量%含有し、エチレンを含有せず、
    不飽和カルボン酸成分の含有量が、オレフィン成分の0.5〜15質量%であり、
    ポリオレフィン樹脂の水性分散体中での重量平均粒子径が0.15μm以下であることを特徴とする金属板用接着剤。
  2. オレフィン成分がブテンを含有することを特徴とする請求項1記載の金属板用接着剤。
  3. 水性分散体が不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1または2記載の金属板用接着剤。
  4. 水性分散体がさらに架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属板用接着剤。
  5. ポリオレフィン樹脂がγ線架橋されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属板用接着剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の金属板用接着剤から水性媒体を除去してなることを特徴とする接着層。
  7. ポリオレフィン樹脂フィルム、請求項6記載の接着層、金属板が、この順に積層されてなることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板。

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