JP2019189863A - 硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工時の作業性が良く、硬化物の物性も良好である、硬化性組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体、可塑剤及び充填剤を含む硬化性組成物であって、上記オキシアルキレン重合体が、1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体Aを含み、上記オキシアルキレン重合体A、可塑剤及び充填剤の合計に対して、上記オキシアルキレン重合体Aが5〜20質量%、充填剤が15〜90質量%、可塑剤が5〜65質量%であり、硬化性組成物の総質量に対して、上記オキシアルキレン重合体A、可塑剤及び充填剤の合計が80質量%以上である、硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、反応性ケイ素基を有する重合体を含む硬化性組成物、及び上記組成物の硬化物に関する。
反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体は、加水分解反応により硬化して、柔軟性を有するゴム状硬化物を形成し、シーリング材、接着剤等の用途に用いられる。
特許文献1には、主鎖末端に1個のジメトキシメチルシリル基が導入されたプロピレンオキシド重合体と、エポキシ化合物と、無機系充填剤と、非反応性液状成分を含有する不陸調整用組成物が記載されている。
特開2017−043975号公報
シーリング材又は接着剤に用いられる硬化性組成物は、硬化物の物性が良好であるとともに、施工時の作業性が良いことが求められる。作業性の点では、塗布しやすく、液垂れが生じ難く、糸曳きし難い(糸切れが良い)ことが望ましい。しかし、組成物の施工時の作業性と、硬化物の物性を両立させることは容易ではない。
本発明は、施工時の作業性が良く、硬化物の物性も良好である、硬化性組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの下式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体A、可塑剤及び充填剤を含む硬化性組成物であって、
上記オキシアルキレン重合体A、上記可塑剤及び上記充填剤の合計に対して、上記オキシアルキレン重合体Aが5〜20質量%、上記充填剤が15〜90質量%、上記可塑剤が5〜65質量%であり、
上記硬化性組成物の総質量に対して、上記オキシアルキレン重合体A、上記可塑剤及び上記充填剤の合計が80質量%以上である、硬化性組成物。
−SiX3−a 式1
[式中、Rは炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基又は加水分解性基を示す。aは1〜3の整数を示す。aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。]
[2]1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの上記式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体A、上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を1つの主鎖末端に1個有し、かつ1つの主鎖末端に平均して反応性ケイ素基を0.5個超1.0個以下有するオキシアルキレン重合体B、可塑剤及び充填剤を含む硬化性組成物であって、
上記オキシアルキレン重合体A、上記オキシアルキレン重合体B、上記可塑剤及び上記充填剤の合計に対して、上記オキシアルキレン重合体Aと上記オキシアルキレン重合体Bの合計が5〜20質量%、上記充填剤が15〜90質量%、上記可塑剤が5〜65質量%であり、
上記硬化性組成物の総質量に対して、上記オキシアルキレン重合体A、上記オキシアルキレン重合体B、上記可塑剤及び上記充填剤の合計が80質量%以上である、硬化性組成物。
[3]上記オキシアルキレン重合体Aと上記オキシアルキレン重合体Bの合計に対して、上記オキシアルキレン重合体Aが20質量%以上である、[2]の硬化性組成物。
[4]上記オキシアルキレン重合体Aは、少なくとも1つの主鎖末端が下式2で表される原子団である、[1]〜[3]のいずれかの硬化性組成物。
Figure 2019189863
(式中、R,Rはそれぞれ独立に2価の炭素数1〜6の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子である。R,Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。nは1から10の整数を示す。Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。Yはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を示す。bは1〜3の整数を示す。Rが複数存在する場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。Yが複数存在する場合、Yは互いに同一でも異なってもよい。)
[5]上記オキシアルキレン重合体Aが、1分子中に主鎖末端を2個有し、各主鎖末端に上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を2個有する、[1]〜[4]のいずれかの硬化性組成物。
[6]接着剤用途である、[1]〜[5]のいずれかの硬化性組成物。
[7]シーリング材用途である、[1]〜[5]のいずれかの硬化性組成物。
[8][1]〜[5]のいずれかの硬化性組成物の硬化物。
本発明によれば、施工時の作業性が良く、硬化物の物性にも優れる。
本発明の硬化物は物性に優れる。
本明細書における用語の定義は以下である。
「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により直接形成された原子団を意味する。
「オキシアルキレン重合体」とは、アルキレンオキシド単量体に基づく単位から形成される重合鎖を有する重合体を意味する。
「主鎖末端」とは、主鎖を構成する末端の原子に結合している原子団を意味する。
末端基としての「不飽和基」は、炭素−炭素不飽和結合を含む1価の基である。
「活性水素含有基」は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第二級アミノ基、ヒドラジド基及びスルファニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。
「活性水素」とは、上記活性水素含有基に基づく水素原子である。
「シリル化率」は、重合体の主鎖末端に導入された、反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基の数の合計に対する上記反応性ケイ素基の数の割合である。シリル化率の値はH−NMR分析によって測定できる。また、後述のシリル化剤により、重合体の主鎖末端に上記反応性ケイ素基を導入する際の、主鎖末端における末端基の数に対する添加した上記シリル化剤のシリル基の数の割合(モル%)としてもよい。
「シリル化剤」とは、活性水素含有基又は不飽和基と反応する官能基と反応性ケイ素基とを有する化合物を意味する。
数平均分子量(以下、「Mn」と記す)及び重量平均分子量(以下、「Mw」と記す)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によって得られるポリスチレン換算分子量である。分子量分布は、MwとMnより算出した値であり、Mnに対するMwの比率である。
充填剤の「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られた画像から50個の粒子を任意に選択し、画像上で測定した値の平均値である。
本発明の第1の実施形態の硬化性組成物は、1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの下記反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体A(以下、「重合体A」という。)と、可塑剤と、充填剤を含む。
本発明の第2の実施形態の硬化性組成物は、前記重合体Aと、下記反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を1つの主鎖末端に1個有し、かつ1つの主鎖末端に平均して反応性ケイ素基を0.5個超1.0個以下有するオキシアルキレン重合体B(以下、「重合体B」という。)と、可塑剤と、充填剤を含む。
<反応性ケイ素基>
反応性ケイ素基は、下式1で表わされる。反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成して架橋し得る。シロキサン結合を形成する反応は硬化触媒によって促進される。
−SiX3−a 式1
式1において、Rは炭素数1〜20の1価の有機基を示す。Rは加水分解性基を含まない。
Rは、炭素数1〜20の炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、α−クロロアルキル基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、α−クロロメチル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基及びトリフェニルシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。反応性ケイ素基を有する重合体の硬化性と安定性のバランスが良い点からメチル基又はエチル基が好ましい。硬化物の硬化速度が速い点からα−クロロメチル基が好ましい。容易に入手できる点からメチル基が特に好ましい。
式1において、Xは水酸基又は加水分解性基を示す。
加水分解性基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、スルファニル基、アルケニルオキシ基が例示できる。
加水分解性が穏やかで取扱いやすい点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基であると、シロキサン結合を速やかに形成し硬化物中に架橋構造を形成しやすく、硬化物の物性値が良好となりやすい。
式1において、aは1〜3の整数を示す。aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
aは1又は2が好ましく、aは2がより好ましい。
式1で表される反応性ケイ素基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、(α−クロロメチル)ジメトキシシリル基、(α−クロロメチル)ジエトキシシリル基が例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましく、ジメトキシメチルシリル基及びトリメトキシシリル基がより好ましい。
<重合体A>
硬化性組成物に含まれる重合体Aは1種でもよく、2種類以上でもよい。
重合体Aの主鎖は、1種以上のアルキレンオキシド単量体の重合により形成されたオキシアルキレン重合体からなる重合鎖である。2種以上のアルキレンオキシド単量体の重合により形成された共重合鎖である場合、それらのアルキレンオキシド単量体は、ブロック重合体を形成していてもよくランダム重合体を形成していてもよい。
オキシアルキレン重合体からなる重合鎖として、エチレンオキシド単量体からなる重合鎖、プロピレンオキシド単量体からなる重合鎖、ブチレンオキシド単量体からなる重合鎖、テトラメチレンオキシド単量体からなる重合鎖、エチレンオキシド単量体とプロピレンオキシド単量体の共重合鎖、プロピレンオキシド単量体とブチレンオキシド単量体の共重合鎖が例示できる。特にプロピレンオキシド単量体からなる重合鎖が好ましい。
重合体Aは、1つの主鎖末端に平均して1.0個超4.0個以下の上記反応性ケイ素基を有するものが好ましく、伸び物性の観点から、1.1〜3.0個であるものがより好ましく、1.2〜2.0個であるものがさらに好ましい。
重合体Aは、主鎖末端に2個以上の上記反応性ケイ素基を含む構造を有することが好ましい。
1つの主鎖末端に含まれる2価以上の原子の合計数は、80個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、40個以下がさらに好ましい。
1つの主鎖末端に含まれる2価以上の原子の合計数は、1個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、10個以上がさらに好ましく、20個以上が特に好ましい。
2価以上の原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子が好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子がより好ましく、炭素原子、酸素原子及びケイ素原子から選ばれる1種以上の原子がより好ましい。
重合体Aは、1分子中に主鎖末端を2〜8個有するものが好ましく、2〜6個有するものがより好ましく、2個又は3個有するものがさらに好ましく、2個有するものが特に好ましい。
重合体Aは、1分子中に主鎖末端を2個有し、各主鎖末端に上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を2個有することが好ましく、さらに1分子中に上記末端基を4個以上有し、シリル化率が50モル%超100モル%以下であることが好ましい。
上記末端基を、1つの主鎖末端に2個有しており、1分子中に上記末端基を4個有する場合、分子量とシリル化率が同じであれば、上記末端基を、1つの主鎖末端に1個有しており、1分子中に上記末端基を4個有する重合体と比較して伸び物性が大きくなる傾向がある。
重合体AのMnは2,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、4,000〜30,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、重合体Aの質量あたりの反応性ケイ素基の導入量が多くなりすぎず、伸び物性が優れる。上限値以下であると、粘度が充分に低くなり作業性に優れる。
重合体Aの分子量分布は1.80以下が好ましい。粘度低減の点から、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.50以下がより好ましく、1.40以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
重合体Aの少なくとも1つの主鎖末端が下式2で表される原子団であることが好ましい。
Figure 2019189863
式2において、R,Rはそれぞれ独立に2価の炭素数1〜6の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子である。
、Rとしては−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−C12−、−C(CH−、−CH−O−CH−、−CH−O−CH−O−CH、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−が例示できる。
は−CHOCH−、−CHO−、−CH−が好ましく、―CHOCH−がより好ましい。
は、−CH−、−C−が好ましく、−CH−がより好ましい。
式2において、R,Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。上記炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が例示できる。
分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2−プロピルブチル基、3−メチルブチル基、3−エチルブチル基、3−プロピルブチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルペンチル基、2−プロピルペンチル基、3−メチルペンチル基、3−エチルペンチル基、3−プロピルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−エチルペンチル基、4−プロピルペンチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、3−プロピルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、4−プロピルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、5−プロピルヘキシル基が例示できる。
、Rは、それぞれ、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
式2において、nは1〜10の整数を示す。nは1〜7が好ましく、1〜5がより好ましく、1がさらに好ましい。
式2において、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Yはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を示す。bは1〜3の整数を示す。Rが複数存在する場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。Yが複数存在する場合、Yは互いに同一でも異なってもよい。
式2のRは、式1のRと同様である。
式2のYは、式1のXと同様である。
式2のbは式1のaと同様である。
重合体Aは、前駆重合体の1つの主鎖末端に平均して上記反応性ケイ素基を1.0個より多く導入して得られる。
重合体Aの製造方法は、前駆重合体の1つの主鎖末端に対して平均して不飽和基を1.0個よりも多く導入した後、上記不飽和基と上記シリル化剤を反応させる方法が好ましい。
前駆重合体は、活性水素含有基を有する開始剤の活性水素に、開環重合触媒の存在下で、アルキレンオキシド単量体を開環付加重合させたオキシアルキレン重合体である。開始剤の活性水素の数と、前駆重合体の主鎖末端の数と、重合体Aの主鎖末端の数は同じである。
前駆重合体は、水酸基を有する開始剤にアルキレンオキシド単量体を開環付加重合させた、主鎖末端の末端基が水酸基である重合体が好ましい。
上記開始剤としては、水酸基を2〜8個有する開始剤が好ましく、水酸基を2〜6個有する開始剤がより好ましく、水酸基を2個有する開始剤又は水酸基を3個有する開始剤がさらに好ましい。開始剤は1種類を単独で使用してもよく2種類以上を併用してもよい。
水酸基を2個有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、低分子量のポリオキシプロピレングリコールが例示できる。上記開始剤は1種類を単独で使用してもよく2種類以上を併用してもよい。
水酸基を3個有する開始剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、低分子量のポリオキシプロピレントリオールが例示できる。
重合体Aの主鎖は、硬化物の伸び物性に優れる点から直鎖状が好ましい。そのために、開始剤としては、活性水素含有基を2個有する化合物が好ましく、水酸基を2個有する化合物がより好ましい。
上記前駆重合体を得る際の、開始剤にアルキレンオキシド単量体を開環付加重合させる触媒としては、複合金属シアン化物錯体、有機アルミニウム化合物等の遷移金属化合物とポルフィリンを反応させて得られる錯体のような金属ポルフィリン、ホスファゼン等が例示できる。得られる重合体の分子量分布を狭くすることができ、粘度の低い硬化性組成物が得られやすい点から、複合金属シアン化物錯体が好ましい。
複合金属シアン化物錯体は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化物錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用することができる。例えば、国際公開第2003/062301号、国際公開報第2004/067633号、特開2004−269776号公報、特開2005−15786号公報、国際公開第2013/065802号、特開2015−010162号公報などに開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
複合金属シアン化物錯体としては、触媒骨格に、有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体が好ましい。触媒骨格は、Zn[Co(CN)(すなわち、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)がより好ましい。
有機配位子としてt−ブチルアルコールを用いることで、分子量分布が1.20以下である前駆重合体を得ることができ、上記前駆重合体を用いて得られるオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物は、低粘度となりやすい。
前駆重合体の1つの主鎖末端に平均して不飽和基を1.0個よりも多く導入する方法としては、前駆重合体に、アルカリ金属塩を作用させた後、不飽和基を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法が好ましい。
不飽和基を有するエポキシ化合物としては、下式3で表される化合物が好ましい。
Figure 2019189863
式3のR,Rは、式2のR,Rと同じである。
不飽和基を有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシド、1,4−シクロペンタジエンモノエポキシドが例示できる。アリルグリシジルエーテルが好ましい。
前駆重合体の1つの主鎖末端に不飽和基を1個よりも多く導入する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、国際公開第2013/180203号公報、国際公開第2014/192842号公報、特開2015−105293号、特開2015−105322号、特開2015−105323号、特開2015−105324号、国際公開第2015/080067号公報、国際公開第2015/105122号公報、国際公開第2015/111577号公報、国際公開第2016/002907号公報、特開2016−216633号、特開2017−39782号に記載される方法を用いることができる。
上記反応により、前駆重合体の主鎖末端に上記不飽和基を有するエポキシ化合物に由来する不飽和基が導入され、次いで上記ハロゲン化炭化水素化合物に由来する不飽和基が導入された中間体が得られる。中間体は主鎖末端における末端基の一部が未反応の活性水素含有基であってもよい。
上記中間体の1分子中に含まれる活性水素含有基の数は、貯蔵安定性の点から0.3個以下が好ましく、0.1個以下がより好ましい。
上記中間体の不飽和基とシリル化剤とを反応させて、主鎖末端に反応性ケイ素基を導入して重合体Aを得る。
シリル化剤としては、不飽和基と反応して結合を形成し得る基(例えばスルファニル基)及び上記反応性ケイ素基の両方を有する化合物、ヒドロシラン化合物(例えばHSiX3−a、ただし、X、R、aは上記式1と同じである。)が例示できる。具体的には、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリス(2−プロペニルオキシ)シラン、トリアセトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、(α−クロロメチル)ジメトキシシラン、(α−クロロメチル)ジエトキシシランが例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシランが好ましく、ジメトキシメチルシラン又はトリメトキシシランがより好ましい。
上記反応により、主鎖末端における末端基は上記反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかであり、1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの上記反応性ケイ素基を有する重合体Aが得られる。
重合体Aの「シリル化率」は50モル%超100モル%以下が好ましく、60〜97モル%がより好ましく、65〜95モル%がさらに好ましい。
1つの主鎖末端に上記末端基を2個有する場合、シリル化率が50%超であれば、上記1つの主鎖末端に平均して反応性ケイ素基が1.0個より多く存在する。
シリル化率は、上記中間体の不飽和基に対して反応させる上記反応性ケイ素基含有化合物の量によって調整することができる。
硬化性組成物が2種以上の重合体Aを含む場合、重合体A全体における平均のシリル化率が上記の範囲内であればよい。
<重合体B>
硬化性組成物に含まれる重合体Bは1種でもよく、2種以上でもよい。
重合体Bの主鎖の例示は、重合体Aの主鎖の例示と同じである。
重合体Bは、伸び物性の観点から、上記反応性ケイ素基を、1つの主鎖末端に平均して0.55〜0.97個有するものが好ましく、0.65〜0.95個有するものがより好ましい。
重合体Bの1つの主鎖末端に含まれる2価以上の原子の合計数は、80個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、40個以下がさらに好ましい。
重合体B2の1つの主鎖末端に含まれる2価以上の原子の合計数は、1個以上が好ましく、2個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましく、8個以上が特に好ましい。
2価以上の原子は、重合体Aと同様であり、好ましい範囲も同様である。
重合体BのMnは、2,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、4,000〜30,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化物の伸び物性に優れ、上限値以下であると、粘度が充分に低くなりやすく作業性に優れる。
重合体Bの分子量分布は1.80以下が好ましい。粘度低減の点から、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.50以下がより好ましく、1.40以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
重合体Bは、上記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を、1つの主鎖末端に1個有しており、かつ1分子中に上記末端基を2個以上有することが好ましく、上記末端基を2個有することがより好ましい。
重合体Bは1分子中に2個以上の末端基を有し、末端基として上記反応性ケイ素基を有し、1つの主鎖末端に平均して上記反応性ケイ素基を0.5個超1.0個以下有するものが好ましい。
重合体Bは、反応性ケイ素基以外の末端基として、未反応の活性水素含有基又は不飽和基を1つの主鎖末端に平均して1.0個有していてもよい。
重合体Bは、前駆重合体の1つの主鎖末端に上記反応性ケイ素基を平均して0.5個超1.0個以下導入して得られる。
重合体Bの製造方法は、前駆重合体の1つの主鎖末端に平均して不飽和基を0.5個超1.0個以下導入した後、不飽和基とシリル化剤を反応させる方法が好ましい。
前駆重合体は、重合体Aの前駆重合体と同様の方法で製造することができる。
重合体Bの製造方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特公昭45−36319号、特開昭50−156599号、特開昭61−197631号、特開平3−72527号、特開平8−231707号、米国特許3632557、米国特許4960844等の各公報に提案されている方法が挙げられる。
重合体Bのシリル化率は50モル%超100モル%以下が好ましく、60〜97モル%がより好ましく、65〜95モル%がさらに好ましい。
硬化性組成物が、2種以上の重合体Bを含む場合、重合体B全体における平均のシリル化率が上記の範囲内であればよい。
<可塑剤>
可塑剤は、25℃で液状であり、硬化性組成物の低粘度化に寄与する有機化合物(重合体A、重合体Bは含まない)である。
可塑剤は、数平均分子量が2,000〜10,000のオキシアルキレン重合体であって、1つの主鎖末端における末端基が不活性な1価の有機基であり、1つの主鎖末端に平均して上記式1で表される反応性ケイ素基を0個超0.5個以下有するオキシアルキレン重合体C(以下、「重合体C」という。)を含んでよい。
可塑剤は、数平均分子量が100〜10,000であり、下記反応性ケイ素基を有しない化合物D(以下、「化合物D」という。)を含んでよい。
可塑剤が、重合体C及び化合物Dの一方又は両方を含むことが好ましい。
[重合体C]
硬化性組成物に含まれる重合体Cは1種でもよく、2種類以上でもよい。重合体Cは硬化性組成物の低粘度化に寄与する。
重合体Cの主鎖の例示は、重合体Aの主鎖の例示と同じである。
重合体Cは、1つの主鎖末端に平均して0.23〜0.5個の上記反応性ケイ素基を有するものが好ましく、伸び物性の観点から、0.27〜0.43個であるものがより好ましい。
重合体CのMnは2,000〜12,000であり、2,200〜10,000がより好ましく、2,500〜9,000がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の伸び物性に優れ、上限値以下であると作業性に優れる。
重合体Cの分子量分布は1.80以下が好ましい。粘度低減の点から、分子量分布は小さいほうが好ましく、1.60以下がより好ましく、1.50以下がさらに好ましく、1.40以下が特に好ましい。
重合体Cは、1つの主鎖末端における末端基が不活性な1価の有機基である前駆重合体に、上記反応性ケイ素基を、1つの主鎖末端に平均して0個超0.5個以下導入して得られる。不活性な1価の有機基としては、例えば R10−O−(R10は1価の炭化水素基)が挙げられる。R10としては、炭化水素基の炭素数は1〜20の分岐状又は直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10の分岐状又は直鎖状のアルキル基がより好ましいく、炭素数1〜4の分岐状又は直鎖状のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はt−ブチル基が特に好ましい。
重合体Cの前駆重合体は、活性水素含有基を1個有する開始剤を用いる他は、重合体Aの前駆重合体と同様の方法で得られる。開始剤は1種類でもよく2種類以上を併用してもよい。
開始剤の活性水素含有基は水酸基が好ましい。前駆重合体は、主鎖末端における末端基として水酸基を1個有する重合体が好ましい。
水酸基を1個有する開始剤としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素基を有する1価のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、低分子量のポリオキシアルキレンモノオールが例示できる。
重合体Cの製造方法は、従来公知の方法を用いることができ、重合体Bと同様の方法を用いることができる。
重合体Cは、1分子中に主鎖末端を2個有し、一方の主鎖末端の末端基が上記反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかであり、他方の主鎖末端の末端基が開始剤から活性水素を1個除いた残基(不活性な1価の有機基)であるものが好ましく、1分子中の2個の主鎖末端がそれぞれ末端基を1個のみ有し、一方の上記末端基は、上記反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかであり、他方の上記末端基は、上記開始剤から活性水素を1個除いた残基であるものがより好ましい。
重合体Cのシリル化率は45〜100モル%が好ましく、50〜97モル%がより好ましく、55〜95%がさらに好ましい。
硬化性組成物が、2種以上の重合体Cを含む場合、重合体C全体における平均のシリル化率が上記の範囲内であればよい。
[化合物D]
硬化性組成物に含まれる化合物Dは1種でもよく、2種類以上でもよい。化合物Dは硬化性組成物の低粘度化に寄与し、硬化物の硬度や伸びを調整する。
化合物Dの数平均分子量は、100〜20,000が好ましく、150〜10,000がより好ましい。化合物Dの数平均分子量が上記範囲内であると、硬化物の伸び物性と作業性が両立しやすい。
化合物Dとしては、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014−88481号公報、特開2015−10162号公報、特開2015−105293号公報、特開2017−039728号公報、特開2017−214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。
化合物Dとしては、フタル酸エステル、脂肪族カルボン酸、エポキシ系可塑剤、Mnが10,000以下のポリエーテルポリオールが好ましく、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが入手容易性及び硬化性組成物の貯蔵安定性の点で好ましい。
<充填剤>
充填剤は、25℃で固体であり、無機化合物でも有機化合物でもよい。
充填剤としては、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014−88481号公報、特開2015−10162号公報、特開2015−105293号公報、特開2017−039728号公報、特開2017−214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。
充填剤としては、重質炭酸カルシウム、硬質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ケイソウ土、焼成カオリン、無機質の中空体(無機バルーン)、有機樹脂中空体(有機バルーン)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムが好ましい。炭酸カルシウムや酸化チタンは表面処理が施されていてもよい。伸び物性と破断時強度のバランスが良好である点で、炭酸カルシウムがより好ましい。
充填剤は、入手容易性及び硬化性組成物の貯蔵安定性の点で無機化合物を含むことが好ましい。充填剤の総質量に対して無機化合物が1〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
特に入手しやすい点で、重質炭酸カルシウム、表面処理された膠質炭酸カルシウム及び表面処理された酸化チタンの合計量が、充填剤の総質量に対して5〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%がさらに好ましい。
充填剤の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、15nm〜5μmがより好ましく、30nm〜3μmがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘度が低くなりやすく作業性の点で好ましい。上限値以下であると硬化物の伸び物性が優れた硬化性組成物が得られやすい。
<その他の成分>
硬化性組成物は、上記重合体A、B、可塑剤及び充填剤以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、硬化性化合物、硬化触媒(シラノール縮合触媒)、チキソ性付与剤、安定剤、接着性付与剤、物性調整剤、粘着性付与樹脂、フィラーなどの補強材、表面改質剤(界面活性剤)、難燃剤、発泡剤、溶剤、シリケートが例示できる。
その他の成分は、それぞれ、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014−88481号公報、特開2015−10162号公報、特開2015−105293号公報、特開2017−039728号公報、特開2017−214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。
<硬化性組成物>
硬化性組成物は、硬化性組成物に配合する重合体を合成し、得られた重合体と、重合体以外の配合成分を混合して得られる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態において、重合体A、可塑剤及び充填剤の合計に対して、重合体Aは5〜20質量%であり、8〜20質量%が好ましく、8〜18質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の伸び物性に優れ、上限値以下であると作業性が優れる。
重合体A、可塑剤及び充填剤の合計に対して、充填剤は15〜90質量%であり、20〜82質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。上記範囲内であると硬化物の伸び物性により優れる。
重合体A、可塑剤及び充填剤の合計に対して、可塑剤は5〜65質量%であり、7〜62質量%が好ましく、12〜32質量%がより好ましい。上記範囲内であると硬化物の伸び物性と作業性により優れる。
硬化性組成物の総質量に対して、重合体A、可塑剤及び充填剤の合計は80質量%以上であり、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の伸び物性が優れた硬化性組成物が得られやすい。
硬化性組成物が重合体Cと化合物Dを含む場合、重合体C及び化合物Dの合計に対する重合体Cの含有量は5〜60質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
本実施形態の硬化性組成物は、重合体Aが末端付近に複数のシリル基を有するため、重合体Aの含有割合が5〜20質量%であり、可塑剤及び充填剤を併用した硬化性組成物は、塗り広げやすく、垂れが抑制され、硬化物の伸び物性が良好である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態において、重合体Aと重合体Bと可塑剤と充填剤との合計に対して、重合体Aと重合体Bの合計は5〜20質量%であり、8〜20質量%が好ましく、8〜18質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
重合体Aと重合体Bと可塑剤と充填剤との合計に対して、充填剤は15〜90質量%であり、20〜82質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。上記範囲内であると硬化物の伸び物性により優れる。
重合体Aと重合体Bと可塑剤と充填剤との合計に対して、可塑剤は5〜65質量%であり、7〜62質量%が好ましく、12〜32質量%がより好ましい。上記範囲内であると硬化物の伸び物性と作業性により優れる。
硬化性組成物の総質量に対して、重合体A、重合体B、可塑剤及び充填剤の合計は80質量%以上であり、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
重合体Aと重合体Bの合計に対して、重合体Aは20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の伸び物性と最大強度の両立した硬化性組成物が得られやすい。特に、硬化物の伸び物性、最大強度及びチキソ性のバランスに優れる点で、50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。
硬化性組成物が重合体Cと化合物Dを含む場合、重合体C及び化合物Dの合計に対する重合体Cの含有量は5〜60質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
本実施形態の硬化性組成物は、重合体Aが末端付近に複数のシリル基を有するため、重合体A及びBの合計の含有割合が5〜20質量%であり、可塑剤及び充填剤を併用した硬化性組成物は、塗り広げやすく、垂れが抑制され、硬化物の伸び物性が良好である。
第1の実施形態及び第2の実施形態の硬化性組成物の用途としては、接着剤又はシーリング材(例えば建築用弾性シーリング材、複層ガラス用シーリング材、ガラス端部の防錆・防水用封止材、太陽電池裏面封止材、建造物用密封材、船舶用密封材、自動車用密封材、道路用密封材)が好適である。
特に、施工時に、チキソ性(構造粘性指数)及び糸切れが良好であることが好ましい用途に好適であり、例えばコテやヘラで塗り広げる接着剤、コーキングガンで塗布する接着剤又はシーリング材が例示できる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例においては、以下の測定方法を用いた。
[Mn及び分子量分布]
HLC−8220GPC(東ソー社製品名)を用い、テトラヒドロフランを溶離液として、ポリスチレン換算のMwとMnを測定した。これらを用いて分子量分布(以下、「Mw/Mn」と記す。)の値を算出した。
[水酸基換算分子量]
JIS K 1557に基づいて算出した水酸基価の値を用いて、「56,100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数)」の式から算出した。
[シリル化率]
主鎖末端に塩化アリルを用いて不飽和基を導入し、シリル化剤を上記不飽和基と反応させて反応性ケイ素基を導入する方法において、主鎖末端に導入された不飽和基に対する、シリル化剤の反応性ケイ素基の仕込み当量(モル比)をシリル化率とした。
塩化アリルを用いて導入された不飽和基とシリル化剤の反応において、副反応によりシリル化剤と反応しない不飽和基はおよそ10%である。したがって不飽和基の90モル%未満をシリル化剤と反応させる場合には、上記仕込み当量がシリル化率となる。
[引張特性の評価(ダンベル試験)]
硬化性組成物を厚み2mmのポリエチレン製の型枠に気泡が入らないよう充填し、23℃、相対湿度50%で3日間、さらに50℃で4日間養生することにより硬化物を得た。得られた硬化物から、JIS K 6251に準拠して3号ダンベル形の試験片を打ち抜いた。得られた試験片について、テンシロン試験機にて引張り試験(引張り速度500mm/分、23℃、相対湿度50%)を行い、50%伸張時のモジュラス(M50)、破断時強度(TB)、破断時伸び率(EB)を測定した。
M50の値は大きいほど硬化物が硬く、0.20N/mm以上が好ましく、0.25N/mm以上がより好ましく、0.30N/mm以上がさらに好ましい。TBの値は大きいほど硬化物の引張強度が高く、EBの値は大きいほど硬化物の伸びが良い。
[粘度・構造粘性指数(チキソ性)の評価]
JIS K 7117−1に準拠してBS型回転粘度計(東京計器社製)にて、No.7のローターを用い、測定温度25℃、回転数10rpmで硬化性組成物の粘度を測定した。
測定温度25℃において、回転数が10rpmであるときの粘度の測定値に対する、回転数が1rpmであるときの粘度の測定値の比を、構造粘性指数として算出した。
施工時の作業性に優れる点で、回転数10rpmでの上記粘度は20〜1,000Pa・sが好ましく、50〜600Pa・sがより好ましく、200〜400Pa・sがさらに好ましい。
硬化性組成物をコテで塗り広げる際の施工性に優れ、かつ水平面に対して略垂直な面に塗布する際の液垂れが生じ難い点で、上記構造粘性指数の値は5.0以上が好ましく、6.0以上がより好ましく、6.5以上がさらに好ましい。
[糸切れ性の評価]
内径60mmの円筒形容器に、底面から50mmの高さまで試料(硬化性組成物)を充填し、外径4mmのガラス棒の先端40mmを試料に垂直に沈めた。直ちにガラス棒を引き上げ、ガラス棒に試料が引かれて糸状となった状態を目視で観察し、下記の基準で糸切れ性を評価した。
〇:糸状となった試料がすぐに切れる(糸切れする)。
△:糸状となった試料がすぐに切れずに(糸曳きする)、10cm未満の糸状の試料が形成される。
×:糸状となった試料がすぐに切れずに(糸曳きする)、10cm以上の糸状の試料が形成される。
(合成例1:重合体A1)
Mnが約2,000で、末端水酸基を2個有するポリオキシプロピレングリコールを開始剤として使用し、配位子がt−ブチルアルコールの亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA−DMC触媒」という。)を触媒として使用してプロピレンオキシドを重合し、ポリオキシプロピレンを得た。ポリオキシプロピレンは、両末端に水酸基を有し、水酸基換算分子量は15,000であった。
得られたポリオキシプロピレンの水酸基に対して1.15モル当量のナトリウムメトキシドの濃度が28質量%であるメタノール溶液を添加した。減圧条件下でメタノールを留去した後、ポリオキシプロピレンの水酸基に対して1.05モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加し、130℃で2時間反応させた。その後、0.28モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに2.10モル当量の塩化アリルを添加して130℃で2時間反応を行い、末端基をアリル基に変換し、減圧下で系中から未反応の塩化アリルを除去し、主鎖末端にアリル基を有するアリル基末端オキシアルキレン重合体を得た。系中には、副生塩としてNaClが含まれていた。
次いで、副生塩であるNaCl含むアリル基末端オキシアルキレン重合体の100質量部に対して、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体を1質量部、及び水を5質量部加え、窒素雰囲気下、液温80℃で撹拌混合して、副生塩であるNaClを水で抽出した。
次いで、反応器内に窒素を流しながら、80℃に加温し5時間保持して水分を蒸発させてNaClの結晶を析出させた後、濾過し、得られた濾液を減圧条件下で脱水して、主鎖末端にアリル基が導入されたポリオキシプロピレン重合体(重合体Q1)を得た。重合体Q1の1つの主鎖末端に導入されたアリル基は平均2.0個であった。
次いで、白金ジビニルジシロキサン錯体の存在下、重合体Q1のアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下で除去し、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端に導入された重合体(重合体A1)を得た。
得られた重合体について、Mn、Mw/Mn、シリル化率を表1に示す。また重合体の主鎖末端の数、前駆重合体における1分子あたりのアリル基の平均数、シリル化率に基づいて算出した1分子あたりの反応性ケイ素基の平均数及び1つの主鎖末端あたりの反応性ケイ素基の平均数を表1に示す(以下、同様。)。
(合成例2:重合体B1)
プロピレングリコールを開始剤とし、配位子がTBA−DMC触媒の存在下に、プロピレンオキシドを重合し、水酸基換算分子量が15,000の前駆重合体b1を得た。次いで、前駆重合体b1の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して前駆重合体b1をアルコラート化した。次に、加熱減圧によりメタノールを留去し、さらに前駆重合体b1の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加して主鎖末端における末端基をアリル基に変換した。次に、塩化白金酸六水和物の存在下、前駆重合体b1の変換されたアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させ、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体B1)を得た。
(合成例3:重合体B2)
グリセリンを開始剤とし、TBA−DMC触媒の存在下に、プロピレンオキシドを重合し、水酸基換算分子量が24,000の前駆重合体b2を得た。末端基がアリル基に変換された前駆重合体b2のアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加する他は、合成例2と同様にして、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体B2)を得た。
(合成例4:重合体C1)
n−ブチルアルコールを開始剤とし、TBA−DMC触媒の存在下に、プロピレンオキシドを重合し、水酸基換算分子量が5,000の前駆重合体c1を得た。前駆重合体c1の水酸基側の末端基がアリル基に変換された前駆重合体c1のアリル基に対して0.80モル当量のジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて5時間反応させ、反応性ケイ素基としてジメトキシメチルシリル基が主鎖末端に導入されたオキシプロピレン重合体(重合体C1)を得た。
(その他の成分)
表2に記載の添加剤は以下の通りである。
ネオライトSP:脂肪酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム、平均粒子径0.08μm、竹原化学工業社製品名。
ホワイトンSB:重質炭酸カルシウム、平均粒子径2.2μm、白石カルシウム社製品名。
タイペークR820:表面処理された酸化チタン(表面処理剤:Al、Si、Zn)、平均粒子径0.26μm、TiO含有量93%、石原産業社製品名。
DIDP:フタル酸ジイソデシル、三菱ケミカル社製。
クレバラックSL:アマイドワックス、クレバリー社製品名。
TINUVIN327:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製品名。
サノールLS770:ヒンダートアミン系光安定剤、三共ライフテック社製品名。
KBM−1003:ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製品名。
KBM−603:3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製品名。
U−220H:ジブチル錫ジアセトアセネート、日東化成社製品名。
<硬化性組成物の調製>
例1〜5は第1の実施形態の実施例、例6〜12は比較例、例13〜20は第2の実施形態の実施例である。
(例1〜20)
表3、4に示す配合の重合体及び表2に示す配合量の添加剤を添加して硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物について、上記の測定方法で評価した。結果を表3、4に示す。
Figure 2019189863
Figure 2019189863
Figure 2019189863
Figure 2019189863
表3に示されるように、例1〜5は、硬化性組成物の粘度、チキソ性(構造粘性指数)及び糸切れ性が良好であり、かつ硬化物のM50、TB、EBも良好であった。
また、表4に示されるように、例13〜20は、硬化性組成物の粘度、チキソ性及び糸切れ性が良好であり、かつ硬化物のM50、TB、EBも良好であった。
例8〜10に示されるように、重合体Aを含まない硬化性組成物では、充填剤の含有率を増加させると、チキソ性及び糸切れ性は向上するものの、M50が低下した。
一方、例1〜3に示されるように、重合体Aを含む硬化性組成物では、充填剤の含有率を増加させてもM50が低下せずに高い値に維持されながら、チキソ性は向上し、糸切れ性も良好であった。

Claims (8)

  1. 1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの下式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体A、可塑剤及び充填剤を含む硬化性組成物であって、
    前記オキシアルキレン重合体A、前記可塑剤及び前記充填剤の合計に対して、前記オキシアルキレン重合体Aが5〜20質量%、前記充填剤が15〜90質量%、前記可塑剤が5〜65質量%であり、
    前記硬化性組成物の総質量に対して、前記オキシアルキレン重合体A、前記可塑剤及び前記充填剤の合計が80質量%以上である、硬化性組成物。
    −SiX3−a 式1
    [式中、Rは炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基又は加水分解性基を示す。aは1〜3の整数を示す。aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。]
  2. 1つの主鎖末端に平均して1.0個より多くの下式1で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体A、下式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を1つの主鎖末端に1個有し、かつ1つの主鎖末端に平均して反応性ケイ素基を0.5個超1.0個以下有するオキシアルキレン重合体B、可塑剤及び充填剤を含む硬化性組成物であって、
    前記オキシアルキレン重合体A、前記オキシアルキレン重合体B、前記可塑剤及び前記充填剤の合計に対して、前記オキシアルキレン重合体Aと前記オキシアルキレン重合体Bの合計が5〜20質量%、前記充填剤が15〜90質量%、前記可塑剤が5〜65質量%であり、
    前記硬化性組成物の総質量に対して、前記オキシアルキレン重合体A、前記オキシアルキレン重合体B、前記可塑剤及び前記充填剤の合計が80質量%以上である、硬化性組成物。
    −SiX3−a 式1
    [式中、Rは炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Xは水酸基又は加水分解性基を示す。aは1〜3の整数を示す。aが1の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。]
  3. 前記オキシアルキレン重合体Aと前記オキシアルキレン重合体Bの合計に対して、前記オキシアルキレン重合体Aが20質量%以上である、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記オキシアルキレン重合体Aは、少なくとも1つの主鎖末端が下式2で表される原子団である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
    Figure 2019189863
    (式中、R,Rはそれぞれ独立に2価の炭素数1〜6の結合基を示し、結合基中の炭素原子に結合している原子は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子である。R,Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。nは1から10の整数を示す。Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。Yはそれぞれ独立に水酸基又は加水分解性基を示す。bは1〜3の整数を示す。Rが複数存在する場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。Yが複数存在する場合、Yは互いに同一でも異なってもよい。)
  5. 前記オキシアルキレン重合体Aが、1分子中に主鎖末端を2個有し、各主鎖末端に前記式1で表される反応性ケイ素基、活性水素含有基又は不飽和基のいずれかである末端基を2個有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 接着剤用途である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. シーリング材用途である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
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