JP2019189207A - 外面に接触することなく航空機の胴体を支持する装置 - Google Patents

Abstract

【課題】翼および主脚の設置前に航空機の胴体に塗装または他の表面処理を施すことに関連する不都合を克服する。【解決手段】機体取扱装置は、部分的に組み立てられた航空機の胴体を支持および移動するように動作可能である。航空機の胴体は未完成であり、翼および主脚がない。本装置は、飛行荷重用に設計されている、航空機の胴体にある翼取り付け構造を利用して、翼および主脚の代わりに航空機の胴体に取り付け可能である。航空機の胴体が本装置に取り付けられることにより、翼および主脚が存在するかのように、航空機の胴体を移動および操作するために動作され得る本装置上に、胴体全体が支持される。装置が航空機の胴体に取り付けられることにより、装置による胴体の移動は、航空機の胴体に対して運搬による内部負荷を与えず、塗装および他の表面処理のための胴体の外面への遮られることのないアクセスを最大化する。【選択図】なし

Description

本開示は、航空機の胴体を支持および移動する機体取扱装置に関する。本装置の構成要素は、飛行荷重用に設計されている、航空機の胴体上の翼取り付け構造を利用して、航空機の胴体に取り付け可能である。航空機の胴体が本装置に取り付けられることにより、翼が存在するかのように航空機の胴体を支持しながら、航空機の胴体を移動および操作するために動作され得る本装置の２つの運搬機構上に、胴体全体が支持される。装置が航空機の胴体に取り付けられることにより、装置による胴体の移動は、航空機の胴体に対して運搬による内部負荷を与えず、塗装および他の表面処理のための胴体の外面への遮られることのないアクセスを最大化する。例えば、他の構成要素が互いに対して位置決めされ取り付けられるときに、個々の胴体の構成要素を支持する、他の構成要素が胴体アセンブリに利用される。

航空機の典型的な組み立てにおいて、翼、前脚（forward landing gear）、および翼の下にある主脚（the landing gear beneath the wing）は、組み立て工程の比較的早い段階で胴体に取り付けられる。これにより、組み立て工程中に、航空機の主脚で航空機を移動させることができる。

航空機の組み立てが航空機の胴体の外側が塗装されるべき段階に進むと、航空機は塗装格納庫（paint hanger）内に移動される。塗装格納庫は、航空機、特に航空機の翼を収容するために大きな設置面積を有し、航空機の翼および航空機の翼の下にある主脚は、組み立て工程を通して航空機を動かすのに必要とされている。

航空機用の大きな塗装格納庫を維持することに対する代替案が検討されてきた。代替案は、航空機の翼および翼の下にある主脚が航空機の胴体に組み付けられる前に航空機の胴体を塗装することを含む。これにより、翼および翼の下にある主脚が航空機に組み付けられた状態の航空機を塗装するのに必要とされるよりもはるかに小さい塗装格納庫で胴体を塗装することが可能になる。

例えば、航空機の胴体を吊り下げる天井クレーンが提案されている。しかしながら、このような懸架システムは、懸架システムの到達範囲を超えて航空機の胴体を動かすことができない。

別の例では、航空機の胴体を支持および移動するために無人搬送ビークル（ＡＧＶ）の使用が提案されている。しかしながら、これらの提案されたシステムは、それらが航空機の胴体に係合してそれを支持するところで航空機の胴体の表面領域を遮り、塗料がこれらの領域に達するのを妨げる傾向がある。

本開示の機体取扱装置は、翼および主脚の設置前に航空機の胴体に塗装または他の表面処理を施すことに関連する不都合を克服する。本装置は、航空機の胴体を支持および移動するように動作する。特に、本装置は、飛行荷重用に設計されている、航空機の胴体の下側にある翼取り付け構造を利用して、翼の代わりに航空機の胴体に取り付けられる。装置を一時的に、取り外し可能に航空機の胴体に取り付けることにより、航空機の胴体が２つの胴体運搬機構上に支持され得る。２つの運搬機構により、主脚が存在するかのように航空機の胴体を移動および操作できる。本装置は飛行荷重用に設計されている翼取り付け構造において航空機の胴体に取り付けられるため、本装置は、未完成の航空機の胴体構造に対して運搬による内部負荷を与えず、塗装および／または他の表面処理のために、航空機の胴体の外板のすべての外面領域への遮られることのないアクセスを最大化する。

本装置は、組み立てジグ、すなわち航空機の胴体の下側に取り外し可能に取り付け可能なジグを備える。ジグは、航空機の胴体の下側にある翼取り付け構造と整列する、または一致するようにジグ上にそれぞれ位置決めされている複数のロケータを有する。ロケータは、航空機の胴体の翼取り付け構造に取り付けられ、ウィングボックスのために設けられた航空機の胴体の下側の開口部にジグを固定し、それによって翼の代わりにジグを航空機の胴体に取り付け、航空機製造の特定の段階における、翼の下にある主脚の必要性を排除する。

航空機の胴体は、航空機の胴体の１つ以上の前方部分と航空機の胴体の１つ以上の後方部分との間に取り付け可能な航空機の胴体の中央部分を備える。

本装置はまた、ジグ運搬機構を備える。ジグ運搬機構は、ジグ運搬機構上でジグを支持するように構成される。ジグ運搬機構は、ジグおよびジグに取り付けられた航空機の胴体の中央部分を、組み立て格納庫、または航空機の胴体の前方部分を航空機の胴体の中央部分に取り付けでき、かつ航空機の胴体の後方部分を航空機の胴体の中央部分に取り付けできる領域に移動できるようにする。加えて、ジグ運搬機構は、完成した航空機の胴体を移動できるようにする。

本装置はまた、１対の胴体運搬機構を備える。各胴体運搬機構は、胴体運搬機構を支持する基部を有する。基部は、胴体運搬機構を格納庫または組み立て施設の床上で任意の方向に水平移動するように動作可能である。

胴体運搬機構はまた、複数の直立体すなわち基部から上方に延伸するジャッキタワーを備える。各ジャッキタワーは、ジャッキタワーから水平に突き出たジャッキツメ（jack tine）を有する。ジャッキタワーは、ジャッキツメをジャッキタワーに沿って上下に移動するように動作可能である。

ジグ運搬機構がジグおよびジグに取り付けられた胴体の中央部分を組み立て領域に移動した後、および胴体前方部分および胴体後方部分が中央部分に組み付けられた後、胴体運搬機構がジグの両側に移動され得る。次いで、胴体運搬機構は、ジグに向かって移動されて、タワーのツメがジグの中に延伸するようにする。これにより、ジグ、ジグ上の胴体中央部分、および胴体中央部分に接続された胴体前方部分および胴体後方部分が、１対の胴体運搬機構に取り外し可能に取り付けられる。ジグおよび組み立てられた航空機の胴体をジグ運搬機構から外して持ち上げるために、胴体運搬機構のツメを上げることができる。次いで、航空機の胴体の下からジグ運搬機構を移動できる。ジグおよびジグ上に組み立てられた航空機の胴体を支持する１対の胴体運搬機構により、航空機の胴体の外面または外板は、塗装または他の表面処理のために完全にアクセス可能である。

説明してきた形態、機能、および利点は、様々な実施形態において独立に達成されてもよいし、さらなる他の実施形態において組み合わされてもよく、このさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解され得る。

組み立てジグすなわち本開示の装置のジグの上面斜視図である。 航空機の胴体の中央部分がジグに取り付けられ、かつ本開示の装置のジグ運搬機構上にジグが支持された状態のジグの斜視図である。 格納庫または他の航空機製造施設の組み立て領域内においてジグ運搬機構上でさらに支持されるジグに取り付けられた、航空機の胴体の中央部分の図である。 航空機の胴体の中央部分、ジグ、ジグ運搬機構、および航空機の胴体の中央部分への取り付けのために航空機の胴体の中央部分に対して位置決めされた航空機の胴体の前方部分を示す図である。 航空機の胴体の中央部分、ジグ、ジグ運搬機構、ならびに航空機の胴体の中央部分への取り付けのために航空機の胴体の中央部分に対して位置決めされた航空機の胴体の前方部分および航空機の胴体の後方部分を示す図である。 胴体運搬機構のツメがジグの両側に挿入されるように位置決めされている、本開示の装置の１対の胴体運搬機構の図である。 胴体運搬機構のツメがジグの両側に挿入され、かつツメがジグおよびジグに取り付けられた航空機の胴体を持ち上げた状態の１対の胴体運搬機構の図である。 胴体運搬機構によって持ち上げられた航空機の胴体および取り付けられたジグの図である。 航空機の胴体の遮られていない外面が塗装され得る、および／または他の表面処理を受けることができる、塗装格納庫内における、ジグに取り付けられ、かつ胴体運搬機構によって持ち上げられた航空機の胴体の図である。 図９Ａの塗装格納庫の変形形態の図である。 航空機の胴体の遮られていない外面が塗装され得る、および／または他の表面処理を受けることができる、塗装格納庫内における、ジグに取り付けられ、かつ胴体運搬機構によって持ち上げられた航空機の胴体の図である。 胴体運搬機構がジグをジグ運搬機構上に下降して戻し、かつ航空機の胴体を支持架台上に下降する組み立て格納庫に、胴体運搬機構によって運搬して戻される航空機の胴体の図である。 ジグ運搬機構上で支持されたジグから係脱された胴体運搬機構の図である。 航空機の胴体の下に翼および翼の下にある主脚を取り付けるために、航空機の胴体の中央部分の下にアクセスを設けるために、航空機の胴体の下からジグを移動する、ジグ運搬機構の図である。 図１３の航空機の胴体の下への翼および主脚の取り付けの図である。 本開示の装置を使用して航空機の胴体を塗装する方法を表すフローチャートである。

本開示の機体取扱装置は、基本的に４つの構成要素、すなわち、組み立てジグすなわちジグ１２と、ジグ運搬機構１４と、１対の胴体運搬機構１６、１８と、から構成される。これらの構成要素のそれぞれは、それらの意図された機能のために十分な構造強度を構成要素に提供する材料から構築される。

図１は、ジグ組み立て体すなわちジグ１２の上面斜視図を表したものである。ジグ１２は、前面パネル２２と、それとは反対側を向いた背面パネル２４と、右側面パネル２６と、それとは反対側を向いた左側面パネル２８と、によって画定された略矩形の構成を有する。ジグ１２は、ジグ１２の四隅に配置された４本の支柱３２に支持されている。図１では２本の支柱３２しか見えていない。補強骨格３４が、前面パネル２２および背面パネル２４、ならびに右側面パネル２６および左側面パネル２８を相互に連結している。補強骨格３４は、ジグ１２の構造に構造的剛性を与える。３つの補強された受け入れ部３６が、右側面パネル２６および左側面パネル２８に沿って空間的に配置されている。図１には、右側面パネル２６上の受け入れ部３６のみが示されている。左側面パネル２８上の受け入れ部３６の位置および構造は、右側面パネル２６上の受け入れ部３６の位置および構造と同じである。受け入れ部３６は、矩形断面構成を有する略管状の構造を有する。受け入れ部３６は、後述のように、胴体運搬機構１６、１８と接合するように構築および構成されている。ジグ１２はまた、ジグの頂部に複数のロケータ３８を有する。各ロケータ３８は翼取り付け構造である。図１には、４つのロケータ３８が表されている。ロケータ３８はジグ１２の構造の重要な部分である。ロケータ３８は、後述するように、航空機の胴体の下側にある翼取り付け構造と整列する、または一致するようにジグ１２上に互いに位置決めされている。図１には、ジグ１２の四隅に隣接して、矩形のパターンで配置された４つのロケータ３８が表されているが、ジグ上のロケータの数およびそれらの相対位置は、機体取扱装置が使用される航空機の胴体の構造によって異なる。

図２は、航空機の胴体４２の中央部分４０に取り外し可能に取り付けられたジグ１２を表したものである。この時点で、航空機の胴体４２は、ジグ１２上に組み立てられた部分的に組み立てられた航空機の胴体（すなわち、中央部分４０）である。航空機の胴体４２の中央部分４０は、後述のように、航空機の胴体４２の１つ以上の前方部分と航空機の胴体４２の１つ以上の後方部分との間に取り付け可能である。先に述べたように、複数のロケータ３８は、航空機の胴体４２の中央部分４０の下側にある翼取り付け構造４４と整列する、または一致するようにジグ１２上に位置決めされている。ロケータ３８は、航空機の翼のウィングボックスのために設けられた航空機の胴体４２の中央部分４０の下側の開口部にある翼取り付け構造４４の位置に対応するようにジグ１２上に配置されている。ロケータ３８は、航空機の胴体４２の翼取り付け構造４４に取り付けられ、ウィングボックスのために設けられた航空機の胴体４２の下側の開口部にジグ１２を固定し、それによって翼の代わりに、そして翼の下にある主脚の代わりにジグ１２を航空機の胴体４２に取り付ける。図２に示すように、ロケータ３８のそれぞれは、胴体４２の２つのイプシロンすなわちリブ４６の両側の下端部において、翼が胴体４２に組み付けられるときに航空機の翼に取り付けられる翼取り付け構造４４に取り付けられる。航空機の胴体４２の部分を各ロケータ３８に固定することにより、ジグ１２に対して航空機の胴体４２の中央部分４０が正確に位置決めされる。ロケータ３８の位置は、２つのリブ４６の下端にある翼取り付け構造４４を正確に位置決めする。翼取り付け構造４４を有する２つのリブ４６がジグ１２上のロケータ３８に固定されたことにより、航空機の胴体４２の残りの部分が２つのリブ４６およびジグ１２上に組み付けられる。これにより、航空機の胴体４２、より具体的には航空機の胴体４２の中央部分４０が、航空機の胴体４２の構築が完了したときにジグ１２の代わりに航空機の翼が航空機の胴体４２に組み付けられるように、翼取り付け構造４４が正確に位置決めされた状態で構築される。

図２はまた、ジグ運搬機構１４上で支持されたジグ１２を表したものである。ジグ運搬機構１４は、ジグ１２の矩形の構成に厳密に対応する略矩形の構成を有する。ジグ運搬機構は、前方バー５２と、それとは反対側にある後方バー５４と、右側バー５６と、それとは反対側にある左側バー５８と、で構築された基部を有する。４つのバー５２、５４、５６、５８により、ジグ運搬機構１４は、ジグ１２の矩形の構成に厳密に一致するその矩形の構成が与えられる。ジグ運搬機構１４はまた、ジグ運搬機構１４の四隅に配置された４つの駆動輪アセンブリ６２を有する。駆動輪アセンブリ６２は、ジグ運搬機構１４を格納庫または製造施設の床上で任意の方向に移動するように制御され得る。また、４本の支柱６４が、ジグ運搬機構１４の四隅から上方に延伸している。支柱６４は、ジグ１２の４本の支柱３２と係合し、これを支持するように配置されており、これによりジグ運搬機構１４上にジグ１２を支持している。ジグ１２の支柱３２は、支柱３２を支柱６４に取り付けることなく、ジグ運搬機構１４の支柱６４の頂部に係合し、これに支持されている。これにより、ジグ１２を支持しているジグ運搬機構１４からジグ１２を持ち上げることができる。ジグ運搬機構１４の構造はまた、前方バー５２および後方バー５４、ならびに右側バー５６および左側バー５８を連結する補強フレーム６６によって補強されている。

図６は、１対の胴体運搬機構１６、１８を表したものを示している。図６には、一方の胴体運搬機構１６のみが明確に示されている。しかしながら、両方の胴体運搬機構１６、１８は同じ構造を有する。胴体運搬機構１６は、実質的に任意の所望の方向への移動のために運搬機構１６を支持する基部７２を有する。基部７２は、２つの無限軌道の無人搬送ビークル７４上に支持されている。無人搬送ビークル７４は、基部７２および胴体運搬機構１６を任意の所望の方向に移動するように制御され得る。胴体運搬機構１６はまた、基部７２上に３つの直立体すなわちジャッキタワー７６を有する。３つのジャッキタワー７６は、実質的に同じ構造であり、基部７２上に並んで配置されている。ジャッキタワー７６のそれぞれは、ジャッキタワーから水平に突き出たフォークツメ（fork tine）７８を有する。３つのフォークツメ７８は平行であり、ジグ１２の両側にある、３つの補強された受け入れ部３６間の距離に対応する距離だけ互いに水平に離れて配置されている。これにより、ジグ１２の両側にある３つの補強された受け入れ部３６を通して、３つのフォークツメ７８を挿入することが可能になる。ジャッキタワー７６は、それらに関連するツメ７８を垂直方向上方および下方に選択的に移動するように動作可能である。

機体取扱装置の使用において、航空機の胴体４２、より具体的には航空機の胴体４２の中央部分４０が、最初にジグ１２上に組み立てられる。これは、ジグ１２がジグ運搬機構１４上にまだ位置決めされていない組み立て領域において行われる。航空機の胴体４２は、航空機の胴体４２の翼取り付け構造４４がロケータ３８に接続された状態で、ジグ１２上に組み立てられる。翼取り付け構造４４は、翼取り付け構造４４およびロケータ３８を通して挿入されるピンまたはボルトによってロケータ３８上に正確に配置される。これにより、ジグ１２上に航空機の胴体４２を正確に構築することができ、完成した航空機の胴体に翼を取り付ける際に翼の取り付け構造４４に接続する航空機の翼の構造と、翼の取り付け構造４４が整列し一致する。

航空機の胴体４２の中央部分４０がジグ１２上に構築された後、ジグは組み立て領域から移動され、図２に示すようにジグ運搬機構１４上に配置される。ジグ１２をジグ運搬機構１４上に持ち上げることは、クレーンまたは他の同等の機構によって実現される。ジグ１２が航空機の胴体４２に取り外し可能に取り付けられ、ジグ運搬機構１４上に配置された状態で、航空機の胴体構造の残りの部分が航空機の胴体４２の中央部分４０に取り付けされ得る位置にジグを移動するように、ジグ運搬機構が動作され得る。胴体運搬機構１６、１８は、ジグ１２を水平に複数の方向に移動させ、ジグ１２を垂直に選択的に上下させるように動作可能である。航空機の胴体４２の中央部分４０を支持し、かつジグ運搬機構１４上に支持されたジグ１２の組み立て領域への移動が図３に示されている。ジグ運搬機構１４によるジグ１２および航空機の胴体４２の中央部分４０の組み立て領域への移動は、コンピュータ数値制御（ＣＮＣ）システムによって制御される。これにより、組み立て領域内において、航空機の胴体４２の中央部分４０に取り外し可能に取り付けられ、かつジグ運搬機構１４上に支持されたジグ１２が正確に位置決めされる。ジグ１２およびジグ運搬機構１４は、１つ以上の航空機の胴体前方部分および１つ以上の航空機の胴体後方部分に航空機の胴体４２の中央部分４０を接合することができるように、正確な垂直高さ位置で航空機の胴体４２の中央部分４０を支持するように構築される。

図４は、航空機の胴体４２の中央部分４０に取り付けられている航空機の胴体前方部分８２を表したものである。図４では、航空機の胴体前方部分８２は、従来の剛体運動システム８４上に支持されている。航空機の胴体前方部分８２を航空機の胴体４２の中央部分４０に対して適切な垂直高さ位置に支持し、次いで航空機の胴体前方部分８２を航空機の胴体４２の中央部分４０に組み立てるために、航空機の胴体４２の中央部分４０に航空機の胴体前方部分８２を移動させるために、剛体運動システム８４はＣＮＣシステムによって制御される。航空機の胴体４２の中央部分４０と航空機の胴体前方部分８２との間の接続は、任意の既知の方法で実現され得る。

図５は、航空機の胴体４２の中央部分４０に取り付けられている航空機の胴体後方部分８６を表したものである。航空機の胴体後方部分８６もまた、従来の剛体運動システム８８上に支持されている。航空機の胴体後方部分８６を航空機の胴体４２の中央部分４０に取り付けるために、航空機の胴体後方部分８６を航空機の胴体４２の中央部分４０に対して適切な垂直高さまで上昇させ、次いで、航空機の胴体後方部分８６を航空機の胴体４２の中央部分４０に接合させ得る場所まで、航空機の胴体後方部分８６を航空機の胴体４２の中央部分４０に移動させるために、剛体運動システム８８は、ＣＮＣシステムによって制御される。同様に、航空機の胴体後方部分８６の航空機の胴体４２の中央部分４０への取り付けは、任意の既知の従来の方式で実現され得る。

ジグ運搬機構１４が、ジグ１２およびジグに取り付けられた航空機の胴体４２の中央部分４０を組み立て領域に移動させた後、および航空機の胴体前方部分８２および航空機の胴体後方部分８６が航空機の胴体４２の中央部分４０に組み付けられた後、１対の胴体運搬機構１６、１８が移動され、ジグ１２の両側に配置される。このことを図６に示す。次いで、胴体運搬機構１６、１８がジグ１２に向かって移動され、ジグ１２の両側にある、３つの補強された受け入れ部３６の中にそしてそれらを通して、胴体運搬機構１６、１８のジャッキタワー７６上のフォークツメ７８を移動させる。これにより、１対の胴体運搬機構１６、１８は、ジグ１２、航空機の胴体４２の中央部分４０、航空機の胴体前方部分８２、および航空機の胴体後方部分８６に取り外し可能に取り付けられる。

胴体運搬機構１６、１８が、ジグ１２と、ジグ１２上に支持された、航空機の胴体４２の中央部分４０、航空機の胴体前方部分８２、および航空機の胴体後方部分８６から構成される組み立てられた航空機の胴体９２と、に取り外し可能に取り付けられることにより、胴体運搬機構１６、１８は、組み立てられた航空機の胴体９２全体を支持する。次いで、胴体運搬機構１６、１８は、ジグ１２および組み立てられた航空機の胴体９２を、ジグ運搬機構１４から離してその上方に、また剛体運動システム８４、８８から離してその上方に持ち上げることができる。このことを図７に示す。組み立てられた航空機の胴体９２全体がジグ運搬機構１４および剛体運動システム８４、８８の上方に持ち上げられることにより、ジグ運搬機構１４および剛体運動システム８４、８８は、組み立てられた航空機の胴体９２から離れるように移動させることができる。このことを図８に示す。次いで、組み立てられた航空機の胴体９２は、図９Ａおよび図１０に示すように、胴体運搬機構１６、１８によって塗装格納庫に移動させることができる。図９Ａおよび図１０に示されるように、胴体運搬機構１６、１８のフォークツメ７８は、塗料格納庫において自動塗装装置９６の塗料噴霧ヘッド９４が、塗料または他の表面処理を施すために、組み立てられた航空機の胴体９２の外板のすべての外面にアクセスできるように、胴体運搬機構１６、１８のジャッキタワー７６を、組み立てられた航空機の胴体９２から水平に十分な距離離間させる。

図９Ａおよび図１０に示すように、自動塗装装置９６は複数のペイントタワー９８から構成される。図９Ａおよび図１０には、６つのペイントタワー９８が示されている。自動塗装装置９６は、表されている６つのペイントタワー９８よりも多くのペイントタワーを備えることもできるし、表されている６つのタワーよりも少ないタワーを備えることもできる。ペイントタワー９８のそれぞれは、軌道１０２に沿って移動するようにＣＮＣによって自動化され制御される。自動塗装装置９６において、軌道１０２は、平行であり、かつジグ１２に取り付けられ、ジャッキタワー７６によって支持された航空機の胴体９２の両側に沿って延伸する。ペイントタワー９８は無人搬送ビークルであり、軌道１０２に沿って前後に移動し、組み立てられた航空機の胴体９２の長さに完全に沿って移動するように制御される。ペイントタワー９８のそれぞれは、下部部分１０４と上部部分１０６とから構成される。ペイントタワー９８の下部部分１０４と上部部分１０６とは、互いに対して垂直に動く。これにより、組み立てられた航空機の胴体９２の下方の位置および組み立てられた航空機の胴体９２の上方の位置まで、組み立てられた航空機の胴体９２に対して垂直に、ペイントタワー９８の上部部分１０６を移動させることができる。

ペイントタワー９８のそれぞれはまた、ペイントタワー９８の上部部分１０６に取り付けられたペイントタワーアーム１０８を備える。ペイントタワーアーム１０８は、ペイントタワー９８の上部部分１０６に対して水平方向に前後に動くように動作可能である。これにより、自動塗装装置９６において組み立てられた航空機の胴体９２に向かって、また組み立てられた航空機の胴体９２から離れるように、ペイントタワーアーム１０８を移動させることができる。ペイントタワーアーム１０８はまた、ペイントタワー９８の上部部分１０６に対して水平軸を中心に旋回するようにペイントタワー９８の上部部分１０６に取り付けられてもよい。

ペイントタワー９８のそれぞれはまた、ペイントタワー９８のペイントタワーアーム１０８の遠位端に接続されたロボット噴霧ヘッド９４を備える。本開示では、この噴霧ヘッド９４は、塗料噴霧ヘッド９４として説明される。しかしながら、噴霧ヘッド９４は、航空機の胴体９２上に任意の種類のコーティングまたは物質を塗布または噴霧するために使用され得る。塗料噴霧ヘッド９４は、ペイントタワーアーム１０８に対して上下両方の垂直方向に旋回運動し、ペイントタワーアーム１０８に対して左右両方の水平方向に旋回運動するために、それぞれのペイントタワーアーム１０８に接続される。塗料噴霧ヘッド９４は、自動塗装装置９６のＣＮＣによって制御される塗料噴霧ヘッド９４から塗料を噴霧するように動作可能である。

ペイントタワー９８を軌道１０２に沿って移動させることによって、ペイントタワーの下部部分１０４とペイントタワーの上部部分１０６とを相対的に移動させることによって、ペイントタワーアーム１０８を移動させることによって、また塗料噴霧ヘッド９４を移動させ、自動塗装装置９６のＣＮＣによって制御される塗料噴霧ヘッド９４から塗料を吐出することによって、ジグ１２に取り外し可能に取り付けられ、胴体運搬機構１６、１８上に支持された組み立てられた航空機の胴体９２を、塗料、または他の同様の種類の表面処理で完全に覆うことができる。組み立てられた航空機の胴体９２がジグ１２によって支持されていることにより、組み立てられた航空機の胴体９２の外面は自動塗装装置９６によって遮られない。これにより、組み立てられた航空機の胴体９２の外面全体が塗料または他の表面処理を受けることが可能になる。

図９Ｂは、図９Ｂの自動塗装装置９６が軌道１０２を備えていないことを除いて、図９Ａの自動塗装装置９６を表したものである。代わりに、ペイントタワー９８のそれぞれは、無人搬送ビークル（ＡＧＶ）１１０に搭載されている。ＡＧＶは、組み立てられた航空機の胴体９２の両側に沿って、そして組み立てられた航空機の胴体９２の長さに完全に沿って前後に移動するようにＣＮＣによって制御される。ＡＧＶ １１０は、自動塗装装置９６の図９Ａの表現の軌道１０２に沿った動きに限定されない。これとは別に、図９Ｂの自動塗装装置９６は、図９Ａの自動塗装装置９６と同様に動作する。

胴体９２の塗装が完了すると、胴体運搬機構１６、１８は、胴体９２を塗装装置９６から組み立て領域に移動させることができ、組み立て領域において、ジグ運搬機構１４は、胴体９２に取り付けられたジグ１２の下に再び配置され得る。次いで、胴体運搬機構１６、１８は、胴体９２およびジグ１２を下げて、ジグ運搬機構１４上に戻すことができる。同時に、胴体運搬機構１６、１８は、胴体９２を支持するために持ち上げられていた剛体運動システム８４、８８上に胴体９２を下降させる。胴体９２が剛体運動システム８４、８８上に支持されたことにより、胴体運搬機構１６、１８をジグ１２から取り外すことができる。胴体運搬機構１６、１８をジグ１２から取り外したことにより、ジグ１２を胴体９２から取り外すことができる。次いで、剛体運動システム８４、８８は、ジグ運搬機構１４上に支持されたジグ１２の上方に胴体９２を持ち上げるように動作され得る。次いで、ジグ運搬機構１４は、胴体８６の下からジグ１２を外して移動させるように動作され得る。このことを図１３に示す。ジグ１２を胴体９２および翼取り付け構造４４から取り外したことにより、航空機の翼を胴体９２に取り付けることができる。このことを図１４に示す。

本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明および図示した装置の構造およびその動作方法に様々な修正を加えることができるため、上記の説明に含まれている、または添付の図面に示されているすべての事項は、限定ではなく例示として解釈されるべきである。よって、本開示の範囲（breadth and scope）は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の下記特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。

１２ ジグ
１４ ジグ運搬機構
１６ 胴体運搬機構
１８ 胴体運搬機構
２２ 前面パネル
２４ 背面パネル
２６ 右側面パネル
２８ 左側面パネル
３２ 支柱
３４ 補強骨格
３６ 受け入れ部
３８ ロケータ
４０ 中央部分
４２ 航空機の胴体
４４ 翼取り付け構造
４６ リブ
５２ 前方バー
５４ 後方バー
５６ 右側バー
５８ 左側バー
６２ 駆動輪アセンブリ
６４ 支柱
６６ 補強フレーム
７２ 基部
７４ 無人搬送ビークル
７６ ジャッキタワー
７８ フォークツメ
８２ 胴体前方部分
８４ 剛体運動システム
８６ 胴体後方部分
８８ 剛体運動システム
９２ 組立てられた航空機の胴体
９４ 塗料噴霧ヘッド、ロボット噴霧ヘッド
９６ 自動塗装装置
９８ ペイントタワー
１０２ 軌道
１０４ ペイントタワーの下部部分
１０６ ペイントタワーの上部部分
１０８ ペイントタワーアーム
１１０ 無人搬送ビークル

Claims (20)

1. 航空機の翼の代わりに航空機の胴体に取り外し可能に取り付け可能であるジグと、
   前記ジグを自身の上で支持する運搬機構であって、前記運搬機構が前記ジグを移動するように動作可能である、運搬機構と、
   を備える、機体取扱装置。
2. 前記ジグ上のロケータであって、前記ロケータが、航空機の胴体に航空機の翼を取り付けるように構築された前記航空機の胴体上の翼取り付け構造と一致するように前記ジグ上に位置決めされる、ロケータ
   をさらに備える、請求項１に記載の機体取扱装置。
3. 前記ジグ上のロケータであって、前記ロケータが、航空機の翼のウィングボックスのために設けられた航空機の胴体の下側の開口部にある翼取り付け構造と一致するように前記ジグ上に位置決めされる、ロケータ
   をさらに備える、請求項１に記載の機体取扱装置。
4. 前記運搬機構が、１対の胴体運搬機構のうちの１つであり、前記１対の胴体運搬機構が、前記ジグの両側で前記ジグに取り外し可能に取り付けられるように構成され、前記胴体運搬機構が、前記ジグを水平に複数の方向に移動し、前記ジグを垂直に選択的に上下させるように動作可能である、請求項１に記載の機体取扱装置。
5. 前記ジグが航空機の胴体に取り外し可能に取り付けられている場合、かつ前記１対の胴体運搬機構が前記ジグに取り外し可能に取り付けられている場合、前記１対の胴体運搬機構が前記航空機の胴体の外面へのアクセスを妨げない、請求項４に記載の機体取扱装置。
6. 前記ジグを自身の上で支持するジグ運搬機構であって、前記ジグ運搬機構が前記ジグを移動および運搬するように動作可能である、ジグ運搬機構
   をさらに備え、
   前記１対の胴体運搬機構が前記ジグ運搬機構とは別体である、請求項４に記載の機体取扱装置。
7. 前記ジグが、前記航空機の胴体上の翼取り付け構造を通して、組み立てられた航空機の胴体の荷重を支持するように動作可能である、請求項１に記載の機体取扱装置。
8. 航空機の胴体の下側の翼取り付け構造において、前記航空機の胴体の前記下側に取り外し可能に取り付け可能であるジグと、
   運搬機構であって、前記運搬機構が前記運搬機構上に配置された前記ジグを支持し、前記運搬機構が前記運搬機構上に支持された前記ジグを移動するように動作可能である、運搬機構と、
   を備える、機体取扱装置。
9. 前記ジグ上のロケータであって、前記ロケータが前記ジグ上に相対的に位置決めされ、航空機の胴体の一部を各ロケータに固定することで前記ジグに対して前記航空機の胴体を正確に位置決めする、ロケータ
   をさらに備える、請求項８に記載の機体取扱装置。
10. 各ロケータが航空機の胴体のリブの下端に固定される、請求項９に記載の機体取扱装置。
11. 前記ロケータが、前記航空機の胴体の下側の前記翼取り付け構造の位置に対応するように前記ジグ上に相対的に位置決めされる、請求項９に記載の機体取扱装置。
12. 前記ロケータが、航空機の翼のウィングボックスのために設けられた前記航空機の胴体の前記下側の開口部にある翼取り付け構造の位置に対応するように前記ジグ上に相対的に位置決めされる、請求項９に記載の機体取扱装置。
13. 前記ジグが、航空機の翼の代わりに航空機の胴体の下側に取り外し可能に取り付け可能である、請求項８に記載の機体取扱装置。
14. 前記運搬機構が、１対の胴体運搬機構のうちの１つであり、前記１対の胴体運搬機構が、前記ジグに取り外し可能に取り付けられ、かつ航空機の胴体が前記ジグに取り付けられた状態で前記ジグを支持するように構成され、前記１対の胴体運搬機構が、航空機の胴体が前記ジグに取り付けられた状態で前記ジグを水平に移動するように動作可能であり、前記１対の胴体運搬機構が、航空機の胴体が前記ジグに取り付けられた状態で前記ジグを垂直に移動するように動作可能である、請求項８に記載の機体取扱装置。
15. 前記１対の胴体運搬機構が前記ジグに取り外し可能に取り付けられている場合、前記１対の胴体運搬機構が、前記ジグの両側の上方で垂直に向けられ、
    前記１対の胴体運搬機構が、前記１対の胴体運搬機構が前記ジグに取り外し可能に取り付けられた航空機の胴体の両側から水平に離間している状態で、前記ジグに取り外し可能に取り付けられている前記航空機の胴体の両側の上方で垂直に延びる、請求項１４に記載の機体取扱装置。
16. ジグ運搬機構であって、前記ジグ運搬機構が前記ジグ運搬機構上で位置決めされた前記ジグを支持し、前記ジグ運搬機構が前記ジグ運搬機構上で支持された前記ジグを移動するように動作可能であり、
    前記ジグ運搬機構が前記１対の胴体運搬機構とは別体である、ジグ運搬機構
    をさらに備える、請求項１４に記載の機体取扱装置。
17. 航空機の胴体を取り扱う方法であって、前記方法が、
    航空機の胴体の翼取り付け構造においてジグを前記航空機の胴体に取り付けるステップと、
    前記ジグおよび前記ジグに取り外し可能に取り付けられた前記航空機の胴体を移動するように動作可能である運搬機構上で前記ジグを支持するステップと、
    を含む、方法。
18. 前記ジグを運搬機構上で支持するステップが、前記航空機の胴体上の前記翼取り付け構造を通して前記航空機の胴体の荷重を前記ジグに伝達するステップを含む、
    請求項１７に記載の方法。
19. 前記運搬機構上で支持された前記ジグを水平に移動させるために、前記運搬機構を動作させることによって前記航空機の胴体を水平に移動するステップと、
    前記ジグおよび前記ジグに取り外し可能に取り付けられた前記航空機の胴体を垂直に移動させるために、前記運搬機構を作動させることによって前記航空機の胴体を垂直に移動するステップと、
    をさらに含む、請求項１７に記載の方法。
20. 前記運搬機構の動作によって前記航空機の胴体を塗装装置に移動するステップと、
    前記ジグに取り外し可能に取り付けられた前記航空機の胴体上に、前記塗装装置の塗料噴霧ヘッドから塗料を噴霧するステップと、
    をさらに含む、請求項１７に記載の方法。

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