JP2019188605A - 撥液性プラスチック成形体 - Google Patents

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Satoo Kimura
諭男 木村
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正毅 青谷
隆司 大貫
Ryuji Onuki
隆司 大貫
正弘 國則
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正弘 國則
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力 岩崎
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Abstract

【課題】液体、特に粘稠な流動体が常時接触している状態に保持されている場合にも、優れた撥液性が長期間にわたって維持され、しかも、包装材の分野にも適用可能な方法で製造し得る撥液性プラスチック成形体を提供する。【解決手段】撥液性表面を有する撥液性プラスチック成形体において、前記撥液性表面は、一方向に延びているリブ突条3が複数配列されており、リブ突条3は、長手方向に直交する断面でみて、すくなくとも底辺よりも長い拡径幅部が存在している形状を有していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、撥液性に優れた表面を有するプラスチック成形体に関する。
一般にプラスチックは、ガラスや金属等に比して成形が容易であり、種々の形状に容易に成形できるため、種々の用途に使用されている。その中でも、袋状容器(パウチ)やボトルなどの包装容器の分野は、プラスチックの用途の代表的な分野である。
ところで、上記の容器に粘稠な流体が収容されている場合には、その排出性が求められる。即ち、粘稠な流体を内容物とする場合には、このような内容物を、容器内に付着残存することなく、速やかに綺麗に排出させることが求められている。
粘稠な流動体に対する排出性を高めるためには、容器の内面を形成するプラスチック製表面の内容物に対する撥液性を高め、内容物に対する滑り性を向上させるという手段が採用される。
このような手段として、表面に凹凸を形成するという手段が知られている。
また、表面に凹凸を設けるという手段は、表面形状により物理的に撥液性を付与するというものである。即ち、凹凸面上を液が流れるときには、凹部にエアポケットが形成され、凹凸面と液体との接触状態が固液接触及び気液接触となり、しかも、気体(空気)は最も疎水性の高い物質である。このため、凹凸の粗密を適宜設定することにより、著しく高い撥液性が発現するというものである。しかしながら、かかる手段では、液が繰り返し凹凸面上を流れていくと、次第に凹部に液が溜まっていき、エアポケットが次第に失われていき、この結果、撥液性が次第に低下していくこととなる。
凹凸表面により撥液性を発現させたときの撥液性の経時的低下が抑制されたプラスチック成形体として、特許文献1には、表面に一次凹凸が形成され、この一次凹凸の少なくとも一部に微細な二次凹凸が形成されているフラクタル的な階層表面凹凸構造を有するプラスチック成形体が、本出願人により提案されている。
この成形体では、一次凹凸の領域内に、さらに微細な二次凹凸が形成されているため、一次凹凸内への液体の侵入が有効に抑制され、一次凹凸による撥液性が安定に維持されるというものである。
しかしながら、このような手段によっても、液切れ性や液転落性の低下を抑制するには限界がある。即ち、二次凹凸内への液体の侵入を完全に防止することはできず、二次凹凸に形成されるエアポケットによる撥液性は徐々に低下していき、従って、一次凹凸内に徐々に液体が侵入することとなり、やはり、撥液性の経時的低下は免れない。
また、特許文献2には、やはり、本出願人により上記のようなフラクタルな凹凸表面構造(粗面)が形成されている成形体に関して、かかる粗面をフッ素プラズマ処理することにより、表面を形成している樹脂中にフッ素原子を組み込むという手法が提案されている。
上記の手段は、表面にフッ素原子を分布させるという手段により凹凸表面の撥液性を化学的に向上させるというものであり、これにより、凹凸表面を液が繰り返し流れたときの撥液性の低下はかなり改善され、また、フッ素原子の表面分布はフッ素プラズマ処理により行われているため、表面からのフッ素原子膜の剥離による表面撥液性の低下を生じることもない。
しかしながら、上記の手段は、容器の口部を撥液性として液垂れを防止するなどの手段には好適であるが、粘稠な流動体が撥液性の表面に常時接触しているようなときには、撥液性が十分に発揮されないことがあり、さらなる改善が求められている。
また、特許文献3には、リエントラント構造を有するインクジェットヘッドのノズルプレートが開示されており、このような構造を有するノズルプレートが優れた撥液性を示し、ノズルヘッドのインク汚れを有効に防止することが記載されている。
しかしながら、このようなリエントラント構造体は、フォトリソグラフィーによりノズルプレートの所定の表面部分にマスク材を形成し、次いでドライエッチング装置を用いてのエッチングによりリエントラント構造を形成する凹部を作製し、この後、マスク材を除去するという極めて面倒な手段により製造されるものであり、シリコンなどからなるインクジェットヘッドのノズルプレートには適用できるが、コストや生産性のなどの観点から、包装材の分野には全く適用できない。さらに、粘稠な液が常時接触している状態での撥液性の寿命などについても、特許文献3では全く検討されていない。
特開2015−80929号 特開2016−88947号 特開2013−52546号
従って、本発明の目的は、液体、特に粘稠な流動体が常時接触している状態に保持されている場合にも、優れた撥液性が長期間にわたって維持され、しかも、包装材の分野にも適用可能な方法で製造し得る撥液性プラスチック成形体を提供することにある。
本発明者等は、先に、拡径した頭部を有するピラーの配列により形成されたリエントラント構造表面を有する撥液性プラスチック成形体を提案した(特願2017−77012号)。即ち、このようなリエントラント構造表面により優れた撥液性が長期にわたって維持され、しかも、かかるリエントラント構造表面は、エッチング等の面倒な手段を行うことなく形成できるため、包装材の分野にも容易に適用できるというものである。
本発明は、このようなリエントラント構造表面を有する成形体についての研究を推し進め、拡径した頭部を有するピラーの配列以外にも、拡径した部分を有するリブ突条を表面に配列することにより、優れた撥液性を示すリエントラント構造表面を形成し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明によれば、撥液性表面を有する撥液性プラスチック成形体において、
前記撥液性表面は、一方向に延びているリブ突条が複数配列されており、
前記リブ突条は、長手方向に直交する断面でみて、すくなくとも底辺よりも長い拡径幅部が存在している形状を有していることを特徴とする撥液性プラスチック成形体が提供される。
本発明の撥液性プラスチック成形体においては、
(1)前記断面でみて、前記拡径幅部が少なくとも1μm以上の高さの位置に存在していること、
(2)前記断面でみて、前記底辺の長さDが1〜1000μmの範囲にあり、隣り合うリブ突条の最小間隔Δdが1〜1000μmの範囲にあり、且つ隣り合うリブ突条間の最少間隔Δdと最大間隔ΔDとの関係がΔd<ΔDであること、
(3)前記リブ突条の少なくとも一部には、フッ素原子が分布している含フッ素表面が形成されていること、
(4)前記リブ突条の含フッ素表面が、フッ素プラズマ処理面であること、
(5)フィルムの形態を有していること、
(6)キャップの形態を有していること、
(7)前記フィルム形態の撥液性プラスチック成形体は、製袋して袋状容器として使用されること、
が好適である。
本発明の撥液性プラスチック成形体は、その表面にリブ突条が配列されており、かかるリブ突条は、軸方向(即ち、リブ突条の長手方向)に対して直交する断面でみて、底辺よりも長い拡径幅部が上部に形成されているという形態を有している。即ち、このような断面形状を有するリブ突条の配列により、リエントラント構造が形成されている。即ち、リブ突条間に形成されている凹部は、上部が狭くなった形状となっている。このようなリエントラント構造では、この表面を液が流れたとき、凹部内に液が入り難い構造となっており、所謂カシー(cassie)モード安定に維持されるため、安定した撥液性が持続して発現している。
さらに、本発明では、このようなリブ突条の表面にフッ素原子が分布しているときには、凹部内への液の侵入がより効果的に防止され、液体が常時接触して保持されていた場合にも、著しく長期にわたって、撥液性が安定に保持される。
さらに、この撥液性プラスチック成形体は、成形体表面を直接エッチングするなどの手法を採用することなく、連続的に製造することができるため、製造コストも安価であり且つ生産性が高いという利点を有している。
従って、本発明の撥液性プラスチック成形体は、液体が常時接触した状態で保持される包装分野(特に容器)に好適に適用され、例えば、カレーのような粘稠な流動体(例えば25℃での粘度が250mPa・s以上)を内容物として収容する袋状容器などとして使用した場合、レトルト処理を行い、かつ、製造から半年〜1年もの時間が経過した後でも、内部に付着残存することなく、速やかに内容物を排出することができる。
本発明の撥液性プラスチック成形体の表面形態の一例を示す部分斜視図。 粗面での液滴の接触パターンをCassie−Baxterモデル及びWenzelモデルで示す模式図。 リエントラント表面構造が示す撥液性の原理を説明するための図。 本発明のプラスチック表面に形成されているリブ突条の断面形状の例を示す概略図。 本発明のプラスチック表面に形成されているリブ突条の断面形状の他の例を示す概略図。 本発明の撥液性プラスチック成形体が有するリブ突条の形成方法を説明するための図。 図5の形成方法に使用可能な転写型の形態を示す図。
図1を参照して、本発明の撥液性プラスチック成形体は、所定のプラスチック基材1の表面に複数のリブ突条3が所定の間隔をおいて平行に延びており、このようなリブ突条3によりリエントラント構造表面が形成され、優れた撥液性が発現し、しかも、液体が常時接触する状態に保持された場合にも、この優れた撥液性は損なわれず、長期にわたって優れた撥液性を示すものである。尚、図示はしないが、リブ突条の伸びている方向は直線のみでなく、矩形のような直線の組み合わせ、曲線、同心円なども含む。
即ち、リエントラント構造表面とは、表面が凹凸を有する粗面となっているが、特に凹部が、底部が広く且つ上部が狭いという形態を有しているものである。このようなリエントラント構造が示す優れた撥液性に関して、その原理を以下に説明する。
粗面(凹凸表面)による撥液性の基本原理を説明するための図2を参照して、粗面100上に液滴が載ったCassieモードでは、粗面100中の凹部がエアポケットとなっており、液滴は固体と気体(空気)との複合接触となる。即ち、このような複合接触では、液滴の接触界面での半径Rは小さく、疎水性が最も高い空気に液体が接触するため、高い撥水性が発現することが知られている。
一方、液滴が粗面100中の凹部に侵入した場合には、液滴は複合接触ではなく、固体のみとの接触であり、Wenzelモードで示される。このようなWenzelモードでは固液界面が大きくなるので、固液界面の見かけの表面張力が大きくなり、撥液性を示すことが知られている。
このように、WenzelモードとCassieモードのいずれの状態でも、撥液性が向上することは知られているが、撥液性を高めるためには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持すること(凹部のエアポケットを安定に維持すること)が必要であると考えられている。即ち、Wenzelモードは液相と固相の界面が大きく、結果、界面に働く物理的な吸着力も大きくなるので、接触角は大きく撥液はしているが、液滴が容易に転落することはない。Cassieモードは界面が小さいため、液滴が転落する際乗り越えなければならないエネルギー障壁が低く、容易に転落し、何度でも繰り返し転落すると考えられるからである。
ところで、上記のCassieモードでの液滴の接触を有効に維持するためには、凹凸の形態がリエントラント構造となっていることが好適である。
図3を参照して、通常の凹凸構造の粗面100では、矩形状の断面を有する突条100aが配列され、その間に矩形状の凹部空間100bが形成されているが(図3a)、リエントラント構造では、凹部空間100bの上端が底部に比して狭くなっている形態であり、矩形状突条の上端に大径の頭部100cが形成されており、液滴が凹部空間100bの内部に入り難い構造となっており(図3b)、この結果、上述したCassieモードが長期にわたって安定に保持されることとなるわけである。
即ち、このような凹凸表面上に液滴が載っている状態において、図3aの矩形構造では、凹凸表面100を構成する材料に対する液滴の接触角θEが90°よりも大きい撥液状態の場合(図3aでは、例えばθE=130°)、液滴の表面張力により形成されるメニスカスは下に凸の形状になるため(ピン止め効果)、上向きの毛管力Δpが発生し、液滴は凹部100bに侵入しない。しかし液滴の接触角θEが90°以下の親液状態の場合、メニスカスは上に凸の形状になり、液滴は凹部100bに侵入することとなる。
これに対して、図3(b)のリエントラント構造では、液滴の接触角θEが90°以下の親液状態であっても(図3ではθE=20°)、表面張力により形成されるメニスカスは下に凸の形状になるため(ピン止め効果)、上向きの毛管力Δpが発生し、液滴は凹部100bに侵入しない。
しかるに、本発明の撥液性プラスチック成形体では、基材1の表面に形成されているリブ状突条3により、上述したリエントラント構造表面が形成されており、優れた撥液性を示す。
即ち、上記リブ状突条3について、その軸方向(長手方向)に垂直な断面を示す図4を参照して、このリブ突条3は、上部に拡径幅部3aを有しており、この結果、隣り合うリブ突条3,3間に形成される凹部10は、底辺が広く、上部が狭くなっている空間となっており、このような凹部10の形態により前述したリエントラント表面構造が形成されて、ピン止め効果が大きく、凹部10内への液の侵入が有効に抑制され、優れた撥液性が持続して得られるわけである。
従って、本発明の撥液性プラスチック成形体においては、リエントラント構造表面による優れた撥液性を確保するために、リブ突条3,3間に形成される凹部10の形態が重要である。
例えば、図4に示されているように、拡径幅部3aの高さhが少なくとも1μm以上、特に5〜100μmの範囲にあり、さらに、リブ突条3の底辺の長さD(凹部10のピッチに相当)が1〜1000μm、特に5〜100μmの範囲にあり、隣り合うリブ突条の最小間隔Δd(凹部10の底辺に相当)が1〜1000μmの範囲にあり、且つ隣り合うリブ突条間の最少間隔Δd(凹部10の上辺に相当)と最大間隔ΔDとの関係がΔd<ΔDであることが好ましい。
凹部10が上記のような形態を有することにより、空気層による撥液性が十分に発揮され、しかも十分なピン止め効果も発揮されることとなる。
尚、図1及び図4では、リブ突条3の断面形状がT字型となっているが、リブ突条3,3間に形成される凹部10が上記の条件を満足するように配列されている限り、T字型の断面形状に限定されるものではなく、種々の断面形状を有することができる。
図5には、リブ突条3の他の断面形態を示した。
図5(a)では、リブ突条3がキノコ型の断面形状を有しており、図5(b)では、上端が拡径した楔形の断面形状を有しており、図5(c)では、円形の断面形状を有している。何れの形態においても、所定の高さh(即ち、少なくとも1μm以上、特に5μm以上)の高さの部分が底辺よりも長い拡径部となっており、さらに、隣り合うリブ突条の最大間隔ΔD、及び隣り合うリブ突条間の最少間隔Δdとの関係がΔd<ΔDにあれば、リエントラント構造表面に特有の撥液性が発現する。従って、図示はされていないが、断面形状が楕円形であってもよいし、さらには半円形状或いは半楕円形状であってもよい。
また、図5(d)に示されている形態は、所謂ダブルリエントラント構造表面を形成するものであり、この断面では、上部の拡径部の周縁が垂下して、凹部10の内部にもう一つの凹部13が形成されている。このような形態では、2つの凹部10,13によりピン止め効果が発揮されるため、凹部10内への液の侵入がより効果的に抑制され、その撥液性の持続性がより優れたものとなっている。
また、本発明において、上記のリブ突条3の表面には、フッ素原子が分布するように形成されていてもよい。フッ素原子を分布することにより、より撥液性を向上させることができる。
リブ突条3の表面にフッ素原子を分布させる手段としては、プラスチック基材1を形成する樹脂中に含フッ素化合物をブレンドしておくという手段や、リブ突条3の表面をフッ素プラズマ処理するという手段を採用することができる。
本発明において、上記のようなリブ突条3を表面に有するプラスチック基材1は、所定形状に成形され得る限り任意のプラスチック、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などにより形成されていてよく、この成形体の用途に応じて、適宜の樹脂を選択すればよく、多層構造とすることも可能である。
一般に、包装材分野では、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンもしくはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などに代表されるオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルが代表的である。
また、上記の樹脂には、前述した含フッ素化合物などがブレンドされていてもよい。
このような含フッ素化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフオロエチレン共重合体(ECTFE)、含フッ素アクリル樹脂や、含フッ素シリコーン樹脂が好適である。
特にマイグレーション性や基材ポリマーとの親和性の観点から、含フッ素アルキル基を有する変性オレフィン系樹脂や、含フッ素アルキル基を有するシランカップリング剤、含フッ素系界面活性剤などを挙げることができる。特に、プラスチック基材1の成形用樹脂としてオレフィン系樹脂が使用される場合には、上記の変性オレフィン系樹脂が好適である。
かかる含フッ素変性オレフィン系樹脂としては、例えば下記式で表されるフルオロアルキル基2鎖型ポリマーが知られている。(例えば、川瀬徳三;超撥水・超撥油技術,繊消誌,55(6),2014参照)
上記式中、nは、繰り返し単位の数を示す整数であり、
Rfは、パーフロロヘキシル基(C13)である。
上記のような含フッ素化合物は、通常、成形用樹脂の成形性が損なわれない程度の範囲で使用され、その種類によっても異なるが、例えば、成形用樹脂100質量部当り50質量部以下、特に0.01〜10質量部の量で配合するのがよい。
<撥液性プラスチック成形体の製造>
上述したリブ突条3を表面に有する本発明の撥液性プラスチック成形体は、転写法により製造される。
この方法は、図6に示されているようなプロセスで実施されており、転写用型を用意する工程、転写工程については、以下で示す公知技術等を利用しても良い。(例えば、Keisuke Nagato et al;J.mat.Proc.Tech,214,2444−2449(2014)参照)
先ず、射出成形、押出成形等により所定形状に成形されたプラスチック基材1と、転写用型30とを用意する。
この転写用型30は、石英ガラス等のレーザー光透過性の透明基板31と、該基板31の一方の表面に形成された転写部33とから形成される(図6(a)参照)。転写部33は、レーザー吸収性の高い材料を蒸着することにより形成されたものであり、例えばダイヤモンドライクカーボン等からなる蒸着膜により形成されている。この転写部33では、それ自体公知のフォトグラフィー法及びドライエッチングにより、断面が矩形状のリブを転写するための溝33aが配列されており、これにより、リブ突条3の前駆体形状を形成するための転写面が形成されている。
透明基板31の表面自体を転写面とするときには、レーザーは透明板を透過してしまうので、プラスチック基材1の材料にはレーザー吸収性の高い材料に限定されてしまう。しかるに、転写面を有する転写部33をレーザー吸収性の材料(即ちーカーボンなど)で形成することにより、プラスチック基材1を任意の材料で成形することができる。
上記のような転写用型30を使用し、図6(a)に示されているように、プラスチック基材1の表面を、転写用型30の転写面に対面させる。
次いで、図6(b)に示されているように、プラスチック基材1に圧力Pを加えて転写面に圧接しながら、透明基板31側からレーザー光を照射して転写部33を局部的に加熱し、熱伝導により当接する基材表面を溶融し、溝33aにプラスチック基材1の表面が押し込まれていく。用いるレーザー光は、転写部33が吸収する限り、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、半導体レーザー等、任意のレーザーを用いることができる。
このようにプラスチック基材1を転写面に圧接しながら、レーザー光の照射位置をスキャンさせていくことにより、スポット加熱と冷却を繰り返して行くことになるので、図6(c)に示されているように、プラスチック基材1の表面全体にわたって、溝33aが押し込まれる。
スポット加熱によりプラスチック基材1の表面だけが加熱、押し込みされるので、プラスチック基材1の全体が熱変形することがなく、特に基材1がフィルム状の剛性が無い製品であっても、熱変形によるシワは発生しない。
次いで、図6(c)の状態で冷却し、プラスチック成形体1を転写面から引き離すことにより、転写面の凹凸が反転したリブ突条3の前駆体40がプラスチック基材1の所定の表面全体にわたって形成される。
このようなリブ突条3の前駆体40は、図6(d)に示されているように、先端が先細の鉛筆型断面形状を有している。
このようにして形成された断面が鉛筆型の上端先細形状のリブ突条前駆体40の上端を加熱、加圧或いは加圧下で加熱することにより、この前駆体40の上端部が拡径した拡径部3aが形成され(図6(e)参照)、かくして底辺よりも長さの長い拡径幅部3aを有するリブ突条3が形成されることとなる。
また、上記のような転写型30において、転写部33を蒸着により形成する代わりに、金属や熱硬化性樹脂等を用いて転写部33を形成することもできる。
即ち、図7に示されているように、金属や熱硬化樹脂などにより転写板(転写部)33を形成する。この転写板33には、貫通孔33aが延びており、この貫通孔33aの上端部に面取り部33bが形成されている。
このような転写板33を、その上端面が透明基板31に対面するようにして、該透明基板31にビス止め等により固定する。その後透明基板31のレーザー照射面側にレーザー吸収剤を塗工する。(例えば黒色塗料)このようにして形成された転写型33を用いて、上記のようにしてレーザー光を照射しての加圧圧着により、プラスチック基材1の表面にリブ突条3を形成することができる。かかる方法によれば、リブ突条前駆体40を経由することなく、拡径幅部3aを有するリブ突条3をプラスチック基材1の表面に形成することができる。
また、上記のようにしてT字型形状のリブ突条3を形成した後、この上端に形成されている拡径幅部3aを再度加熱し、適当な治具を用い、この拡径幅部3aの周縁部を押し曲げることにより、図5(d)に示されているようなダブルリエントラント表面構造となる形状のリブ突条3を形成することができる。
また、本発明においては、先にも述べたように、上記のようにして形成されたリブ突条3の表面をフッ素プラズマ処理することにより、リブ突条3の表面にフッ素原子を分布させることができる。
このようなフッ素プラズマ処理は、それ自体公知の方法で行うことができる。例えば、CFガスやSiFガスなどを使用し、リブ突条3を有するプラスチック基材1を、一対の電極間に配置し、高周波電界を印加することにより、フッ素原子のプラズマ(原子状フッ素)を生成させ、これをリブ突条3の表面に衝突させることによって、リブ突条3を形成している樹脂の分子鎖中にフッ素原子を組み込むことができる。即ち、表面の樹脂が気化乃至分解し、同時に、フッ素原子が組み込まれることとなる。
上記のようなプラズマ処理により表面にフッ素原子を分布させる場合、その分布量は、例えば単位面積当たりのフッ素原子とカーボンとの元素比(F/C)が40%以上、特に50〜300%の範囲にあるとき、安定した超撥液性を確保することができる。
このようにして得られた本発明の撥液性プラスチック成形体は、種々の流動体に対して優れた撥液性もしくは滑り性を有しているため、これを利用して種々の用途に適用される。特に、本発明の撥液性プラスチック成形体は、液体が常時接触保持されている場合にも長期にわたって初期と同様、優れた撥液性が発揮され、しかも、上述したリエントラント構造となるリブ突条3はレトルト殺菌等の加熱処理によっても損なわれないため、包装分野に好適に適用される。
例えば、フィルムの形態を有するものは、製袋等の後加工により、内容物が長期保存される袋状容器或いはチューブ容器として最も好適に使用される。特に粘度(25℃)が250mPa・s以上の粘稠なペースト状の内容物が収容されている場合にも、優れた撥液性により、速やかに且つ容器内に内容物が付着残存せず、きれいに排出することができる。
このようなペースト状の内容物としては、カレー、とろみを付けた各種食品、プリンやヨーグルトなどのゲル状物質、ジャム、シャンプー、コンディショナー、液体洗剤、練り歯磨きなどが代表的である。
勿論、袋状容器あるいはチューブ容器に限らず、カップ形態或いはトレイ形態の容器にも本発明を適用できる。
<実験1>
(供試サンプル作製方法)
ポリプロピレン(プライムポリマーJ246M)のペレットを電動ホットプレスで加熱加圧し、厚さ150umのフィルムを成形した。
成形したフィルムに対し、ニッケル製の転写用型を用いて、幅60μm、高さ90μm、ピッチ200μmのリブ突条を転写した。
転写したリブ突条に対し、160℃に加熱したSUS304製の成形板を押し当て、リブ突条の先端を直径120μmまで拡径変形した。ここまでの工程によって、フィルムの表面にリエントラント構造が形成される。
このフィルムに対し、CFを原料ガスとしたフッ素プラズマ処理を6秒間行い、表面にフッ素原子を分布させた。
このフィルムを、厚さ7umのアルミ箔、厚さ12umの二軸延伸PETフィルムと接着剤を介してドライラミネートした後、2枚のフィルムを互いにポリプロピレン樹脂面が向き合うように重ね、3方をヒートシールし供試パウチを得た。
パウチにカレーを充填した後、1方をヒートシールし密封し、供試サンプルを得た。
供試サンプルを125℃−30分に設定したオートクレーブ内で加熱した後、常温まで自然冷却した。
(評価方法・結果)
供試サンプルが常温に戻った後、ヒートシールした1方を切り取り、カレーを注ぎ出した。
注ぎ出した後、サンプル内面を目視したところ、カレーの残滓も無く、かつ、カレー色素の吸着も見られなかった。
<実験2>
(供試サンプル作製方法)
ポリプロピレン(プライムポリマーJ246M)に含フッ素ポリマー(ダイキン工業ダイフリーFB962)を0.5質量部でブレンドしたものを、ニーダーでポリプロピレン樹脂の融点以上の温度で溶融混練した。
形成された混練物を電動ミルにて破砕し、ペレット状に成形した。
ペレットを電動ホットプレスで加熱加圧し、厚さ150umのフィルムを成形した。
成形したフィルムに対し、ニッケル製の転写用型を用いて幅60μm、高さ90μm、ピッチ200μmのリブ突条を転写した。
転写したリブ突条に対し、160℃に加熱したSUS304製の成形板を押し当て、リブ突条の先端を直径120μmまで拡径変形した。ここまでの工程によって、フィルムの表面にリエントラント構造が形成される。
成形したフィルムを、厚さ7umのアルミ箔、厚さ12umの二軸延伸PETフィルムと接着剤を介してドライラミネートした後、2枚のフィルムを互いにポリプロピレン樹脂面が向き合うように重ね、3方をヒートシールし供試パウチを得た。
パウチにカレーを充填した後、1方をヒートシールし密封し、供試サンプルを得た。
供試サンプルを125℃−30分に設定したオートクレーブ内で加熱した後、常温まで自然冷却した。
(評価方法・結果)
供試サンプルが常温に戻った後、ヒートシールした1方を切り取り、カレーを注ぎ出した。
注ぎ出した後、サンプル内面を目視したところ、カレーの残滓も無く、かつ、カレー色素の吸着も見られなかった。
1:プラスチック基材
3:リブ突条
3a:拡径幅部
100:粗面
160:一次凹凸
160a:凹部
160b:凸部
165:二次凹凸
170:液滴

Claims (9)

  1. 撥液性表面を有する撥液性プラスチック成形体において、
    前記撥液性表面は、一方向に延びているリブ突条が複数配列されており、
    前記リブ突条は、長手方向に直交する断面でみて、すくなくとも底辺よりも長い拡径幅部が存在している形状を有していることを特徴とする撥液性プラスチック成形体。
  2. 前記断面でみて、前記拡径幅部が少なくとも1μm以上の高さの位置に存在している請求項1に記載の撥液性プラスチック成形体。
  3. 前記断面でみて、前記底辺の長さDが1〜1000μmの範囲にあり、隣り合うリブ突条の最小間隔Δdが1〜1000μmの範囲にあり、且つ隣り合うリブ突条間の最少間隔Δdと最大間隔ΔDとの関係がΔd<ΔDである請求項2に記載の撥液性プラスチック成形体。
  4. 前記リブ突条の少なくとも一部には、フッ素原子が分布している含フッ素表面が形成されている請求項1〜3の何れかに記載の撥液性プラスチック成形体。
  5. 前記リブ突条の含フッ素表面が、フッ素プラズマ処理面である請求項4に記載の撥液性プラスチック成形体。
  6. 前記リブ突条の表面には、含フッ化化合物のブリーディングにより、フッ素原子が表面に分布している請求項4に記載の撥液性プラスチック成形体。
  7. フィルムの形態を有している請求項1〜6の何れかに記載の撥液性プラスチック成形体。
  8. キャップの形態を有している請求項1〜6の何れかに記載の撥液性プラスチック成形体。
  9. 請求項7に記載のフィルム形態の撥液性プラスチック成形体を製袋してなる袋状容器。
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