JP2019187001A - 突入電流抑制回路制御装置、電圧変換システム、突入電流抑制回路制御方法及びプログラム - Google Patents

突入電流抑制回路制御装置、電圧変換システム、突入電流抑制回路制御方法及びプログラム Download PDF

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雄紀 杉山
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Abstract

【課題】突入電流抑制回路の負荷を低減可能な突入電流抑制回路制御装置を提供する。【解決手段】マイコン12は、交流電源Pから突入電流抑制回路13へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するステップと、初回起動時において、ゼロクロスが検知されてから所定の時間が経過した時点で、リレースイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、駆動信号を出力してからリレースイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録するステップと、を実行する。また、駆動信号出力部は、2回目以降の起動時において、ゼロクロスが検知されてから、初回起動時に計測された遅延時間に対応する時間が経過した時点で、駆動信号を出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、突入電流抑制回路制御装置、電圧変換システム、突入電流抑制回路制御方法及びプログラムに関する。
コンデンサインプット型のコンバータ回路を備えたシステムでは、システム起動時(電源投入時)に、コンバータ回路の電解コンデンサを初期充電する電流が流れるため、突入電流と呼ばれる、定常電流より大きな電流が一時的に流れる。突入電流は、半導体素子等の回路素子への電気的負荷が大きいため、抑制されるのが望ましい。そこで、突入電流を抑制するために、抵抗素子とリレースイッチとを有してなる突入電流抑制回路が用いられている。
突入電流抑制回路は、リレースイッチのON/OFF制御により、電源投入時には抵抗素子を介してコンバータ回路に電流が流れるような回路を形成し、充電が終わった後には抵抗素子を介さないでコンバータ回路に電流が流れるような回路を形成する。これにより、電解コンデンサの初期充電時に流れる電流が抵抗素子で消費されるため、突入電流が抑制される。また、初期充電が完了した後には、リレースイッチにより回路が切り替えられて、抵抗素子を介さずにコンバータ回路に電流が流れるようになるため、損失を発生させない。
なお、特許文献1には、単純な回路構成で、より精度良く交流電源のゼロクロスにてリレー接点をオンさせることができるリレー制御装置が開示されている。
特開2014−216144号公報
上述した突入電流抑制回路では、抵抗素子を接続することで突入電流を抑制させることを説明した。しかし、交流電源から入力される入力電圧が高いタイミングでリレースイッチをオンさせると、突入電流抑制回路内に存在する寄生容量の影響により、リレースイッチに、瞬時的に突入電流が流れる。そうすると、リレースイッチの接点開閉寿命への影響が懸念される。
本発明の目的は、突入電流抑制回路の負荷を低減可能な突入電流抑制回路制御装置、電圧変換システム、突入電流抑制回路制御方法及びプログラムを提供する。
本発明の第1の態様によれば、突入電流抑制回路制御装置は、交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御装置である。突入電流抑制回路制御装置は、前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するゼロクロス検知部と、第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する駆動信号出力部と、前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録する遅延時間記録処理部と、を備える。前記駆動信号出力部は、第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する。
また、本発明の第2の態様によれば、前記駆動信号出力部は、前記第2の起動時において、前記第2の時間を、前記入力電圧の半周期から、事前に取得されているゼロクロス検知遅延時間と前記遅延時間とを差し引いて算出する。
また、本発明の第3の態様によれば、前記駆動信号出力部は、複数記録された前記遅延時間の代表値に対応する前記第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する。
また、本発明の第4の態様によれば、電圧変換システムは、上述の突入電流抑制回路制御装置と、前記突入電流抑制回路と、前記負荷であるコンバータ回路と、を備える。
また、本発明の第5の態様によれば、突入電流抑制回路制御方法は、交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御方法である。突入電流抑制回路制御方法は、前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するステップと、第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録するステップと、第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、を有する。
また、本発明の第6の態様によれば、プログラムは、交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御装置のコンピュータに、前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するステップと、第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録するステップと、第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、を実行させる。
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、突入電流抑制回路の負荷を低減できる。
第1の実施形態に係る電圧変換システムの回路構成を示す図である。 第1の実施形態に係る突入電流抑制回路の回路構成を示す図である。 第1の実施形態に係るマイコンの機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係るマイコンの処理フローを示す図である。 第1の実施形態に係るマイコンの処理を詳細に説明するための図である。 第1の実施形態に係るマイコンの処理フローを示す図である。 第1の実施形態に係るマイコンの処理を詳細に説明するための図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る電圧変換システム1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
(制御装置の全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る電圧変換システムの回路構成を示す図である。
図1に示す電圧変換システム1は、商用電源である交流電源Pから供給される交流電圧を直流電圧に変換させる電圧変換システムであって、例えば、空調機や冷凍機等に適用される。
図1に示すように、電圧変換システム1は、ゼロクロス検知回路11と、マイコン12と、突入電流抑制回路13と、コンバータ回路14と、を備えている。
ゼロクロス検知回路11は、交流電源Pから入力される入力電圧のゼロクロスのタイミングを検知して、当該ゼロクロスに同期してON/OFFが切り替わるゼロクロス信号を出力する。
マイコン12は、突入電流抑制回路13を制御する突入電流抑制回路制御装置の一態様である。マイコン12は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、突入電流抑制回路13を制御する。マイコン12は、ゼロクロス検知回路11からのゼロクロス信号、及び、電流センサSEを通じて電圧変換システム1に流れる電流の電流値を入力する。また、マイコン12は、突入電流抑制回路13(後述するリレースイッチSW1、SW2)のON/OFFを制御するための駆動信号を出力する。
突入電流抑制回路13は、マイコン12によって制御されることで、電源投入時に発生する突入電流を抑制する。突入電流抑制回路13の回路構成については、後述する。
コンバータ回路14は、交流電源Pから入力される交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ回路14は、図示しない整流回路と、電解コンデンサとを備える。電源投入時には、この電解コンデンサを初期充電する大きい電流(突入電流)が流れる。
(突入電流抑制回路の回路構成)
図2は、第1の実施形態に係る突入電流抑制回路の回路構成を示す図である。
図2に示すように、突入電流抑制回路13は、リレースイッチSW1、SW2と、抵抗素子Rと、を有してなる。
リレースイッチSW1は、接続(ON)することで、交流電源Pからコンバータ回路14まで、抵抗素子Rを介して電流が流れる回路を形成する。また、リレースイッチSW2は、接続(ON)することで、交流電源Pからコンバータ回路14まで、抵抗素子Rを介さないで電流が流れる回路を形成する。
マイコン12からの駆動信号により、電源投入時には、リレースイッチSW1がONされ、リレースイッチSW2が開放(OFF)される。これにより、コンバータ回路14の電解コンデンサの初期充電に伴う突入電流が抵抗素子Rで消費され、突入電流が抑制される。また、電解コンデンサの初期充電が完了した後には、リレースイッチSW1がOFFされ、リレースイッチSW2がONされる。これにより、抵抗素子Rを介さずにコンバータ回路14に電流が流れるようになるため、損失を発生させない。
図2に示すように、抵抗素子Rには、寄生容量Cpが存在する。そのため、リレースイッチSW1をONするタイミングによっては、寄生容量Cpを充電する突入電流が流れる。
(マイコンの機能構成)
図3は、第1の実施形態に係るマイコンの機能構成を示す図である。
図3に示すように、マイコン12は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、ゼロクロス検知部120、タイマ処理部121、駆動信号出力部122及び遅延時間記録処理部123としての機能を発揮する。
ゼロクロス検知部120は、ゼロクロス検知回路11からのゼロクロス信号を取得する。
タイマ処理部121は、セットされた時間の経過を計測する。電圧変換システム1の初回の起動時には、予め規定された初回タイマ値Tx0(第1の時間)がセットされる。また、電圧変換システム1の2回目以降の起動時には、初回の起動時にて計測、記録された遅延時間Tyに対応する更新タイマ値Tx(第2の時間)がセットされる。遅延時間Ty、初回タイマ値Tx0、及び、更新タイマ値Txについては後述する。
駆動信号出力部122は、タイマ処理部121により所定時間(初回タイマ値Tx0、又は、更新タイマ値Tx)の経過が検知された時点で、リレースイッチSW1を接続させるためのリレー駆動信号を出力する。
遅延時間記録処理部123は、リレースイッチSW1の作動に要する遅延時間Tyを計測し、記録する。具体的には、遅延時間記録処理部123は、駆動信号出力部122がリレー駆動信号を出力してからリレースイッチSW1に流れる電流が検出されるまでの時間を、リレースイッチSW1の作動に要する遅延時間Tyとみなして計測し、これを記録する。
(初回起動時におけるマイコンの処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係るマイコンの処理フローを示す図である。
図5は、第1の実施形態に係るマイコンの処理を詳細に説明するための図である。
以下、図4、図5を参照しながら、電圧変換システム1の初回起動時におけるマイコン12の処理の流れについて詳細に説明する。
本実施形態において、図4に示す処理フローは、電圧変換システム1の初回起動時に実行される。なお、電圧変換システム1の起動直後の段階では、突入電流抑制回路13のリレースイッチSW1、SW2はいずれも開放されている。
マイコン12に電源が投入されると、まず、マイコン12は、タイマ処理部121に対し、予め規定された初回タイマ値Tx0(第1の時間)をセットする(ステップS01)。
次に、マイコン12のゼロクロス検知部120は、ゼロクロス検知回路11から入力されるゼロクロス信号を取得する。ここで、図5を参照しながら、ゼロクロス信号について詳しく説明する。
図5に示すように、交流電源Pからの入力電圧は、例えば、周期T=20msec(50Hz)の正弦波とされる。ゼロクロス検知回路11から出力されるゼロクロス信号は、周期Tの入力電圧のゼロクロスのタイミングで高電位(High)、低電位(Low)の間の遷移を繰り返す。なお、ゼロクロス信号は、図5に示すように、入力電圧の負の半周期から正の半周期に代わるゼロクロスのタイミングから、所定の遅延時間(ゼロクロス検知遅延時間Ta)だけ遅れたタイミングで、HighからLowに推移する。ゼロクロス検知遅延時間Taは、事前に行われる計測やシミュレーション等により予め計測されており、マイコン12に記録されている。
図4に戻り、マイコン12のタイマ処理部121は、図5に示すゼロクロス信号の立下り(High→Lowの遷移)を検知したか否かを判定する(ステップS02)。ゼロクロス信号の立下りを検知しない場合(ステップS02:NO)、タイマ処理部121は、タイマカウント処理を行うことなく、ステップS02の判定処理に戻る。
ゼロクロス信号の立下りを検知した場合(ステップS02:YES)、タイマ処理部121は、ステップS01でセットされたタイマ値(初回タイマ値Tx0)のタイマカウント処理を開始する(ステップS03)。
タイマ処理部121は、タイマ値がゼロとなったか否かを判定する(ステップS04)。タイマ値がゼロとなっていない場合(ステップS04:NO)、タイマ処理部121は、ステップS03のタイマカウント処理を繰り返す。タイマ値がゼロとなった場合(ステップS04:YES)、マイコン12の駆動信号出力部122は、リレースイッチSW1をONするリレー駆動信号を出力する(ステップS05)。
更に、マイコン12の遅延時間記録処理部123は、電流センサSEを通じて電流値をモニタリングする。そして、遅延時間記録処理部123は、駆動信号出力部122がリレースイッチSW1に向けてリレー駆動信号を出力してから当該リレースイッチSW1に流れる電流が検出されるまでの遅延時間Tyを計測し、これを不揮発性メモリに記録する(ステップS06)。
遅延時間Tyについて、図5を参照しながら詳しく説明する。
リレースイッチSW1(及びリレースイッチSW2)では、マイコン12からのリレー駆動信号の入力を受け付けてから実際にON状態(導通された状態)となるまでに、遅延が発生する。図5に示す例の場合、タイマカウント開始時刻から初回タイマ値Tx0の時間が経過したタイミング(時刻t1)で、駆動信号出力部122からリレースイッチSW1に対するリレー駆動信号が出力される。しかし、リレースイッチSW1が実際にON状態となるのは、リレースイッチSW1がリレー駆動信号の入力を受け付けてから遅延時間Tyだけ遅れた時刻t2である。遅延時間記録処理部123は、この遅延時間Tyを計測し、記録する。具体的には、遅延時間記録処理部123は、駆動信号出力部122がリレー駆動信号を出力した時点から、電流センサSEを通じて判定閾値Ithを上回る電流値を検出した時点までの時間を記録する。これにより、リレースイッチSW1に関する遅延時間Tyが計測される。
なお、図5に示す例によれば、リレースイッチSW1がON状態となった時刻t2における入力電圧は、ゼロ近傍にはない。そのため、図5に示すように、リレースイッチSW1がONとなった瞬間(時刻t2)、抵抗素子Rの寄生容量Cp(図2)に起因して突入電流I1が発生している。このように、リレースイッチSW1がONとなったタイミングで突入電流I1が発生するため、リレースイッチSW1が実際にONとなった時刻t2と、電流センサSEを通じて取得される電流値が判定閾値Ithを上回る時刻とがほぼ一致する。したがって、リレースイッチSW1にリレー駆動信号を出力した時刻t1から電流センサSEを通じて判定閾値Ithを上回る電流値が検出されるまでの時間を計測することで、リレースイッチSW1の遅延時間Tyを精度良く計測することができる。
他方、リレースイッチSW1がON状態となった時刻t2における入力電圧が、たまたまゼロ近傍であったとすると、リレースイッチSW1がONとなった瞬間に入力電圧が印加されていないため、突入電流I1が発生しない。そうすると、リレースイッチSW1が実際にONとなった時刻t2と、電流センサSEを通じて取得される電流値が判定閾値Ithを上回る時刻とが一致しなくなり、リレースイッチSW1の遅延時間Tyを正しく計測することができない。そのため、初回起動時に適用される初回タイマ値Tx0は、未知の遅延時間Tyを考慮して、リレースイッチSW1がONとなった瞬間に必ず突入電流I1が発生する(入力電圧がゼロ近傍にない)ように予め規定されているのが好ましい。
一例として、初回タイマ値Tx0は、当該初回タイマ値Tx0とゼロクロス検知遅延時間Taとの和が、入力電圧の位相90°付近(例えば、位相60°〜120°の範囲内)などとなるように予め規定されているのが好ましい。
(2回目以降の起動時におけるマイコンの処理フロー)
図6は、第1の実施形態に係るマイコンの処理フローを示す図である。
図7は、第1の実施形態に係るマイコンの処理を詳細に説明するための図である。
以下、図6、図7を参照しながら、電圧変換システム1の2回目以降の起動時におけるマイコン12の処理の流れについて詳細に説明する。
本実施形態において、図6に示す処理フローは、電圧変換システム1の2回目以降の起動時に実行される。なお、電圧変換システム1の起動直後の段階では、突入電流抑制回路13のリレースイッチSW1、SW2はいずれも開放されている。
マイコン12に電源が投入されると、まず、マイコン12は、不揮発性メモリに記録された遅延時間Tyを読み込んで取得する。そして、マイコン12は、更新タイマ値Tx(第2の時間)を、入力電圧の半周期T/2から、ゼロクロス検知遅延時間Taと遅延時間Tyとを差し引いて算出する(Tx=T/2−Ta−Ty)。マイコン12は、タイマ処理部121に対し、上記のように算出された更新タイマ値Txをセットする(ステップS11)。
次に、マイコン12のタイマ処理部121は、図7に示すゼロクロス信号の立下り(High→Lowの遷移)を検知したか否かを判定する(ステップS12)。ゼロクロス信号の立下りを検知しない場合(ステップS12:NO)、タイマ処理部121は、タイマカウント処理を行うことなく、ステップS12の判定処理に戻る。
ゼロクロス信号の立下りを検知した場合(ステップS12:YES)、タイマ処理部121は、ステップS11でセットされたタイマ値(更新タイマ値Tx)のタイマカウント処理を開始する(ステップS13)。
タイマ処理部121は、タイマ値がゼロとなったか否かを判定する(ステップS14)。タイマ値がゼロとなっていない場合(ステップS14:NO)、タイマ処理部121は、ステップS13のタイマカウント処理を繰り返す。タイマ値がゼロとなった場合(ステップS14:YES)、マイコン12の駆動信号出力部122は、リレースイッチSW1をONするリレー駆動信号を出力する(ステップS15)。
以上の処理によれば、ステップS15でリレー駆動信号を出力した時刻t3から遅延時間Tyが経過した時刻t4に、リレースイッチSW1がON状態となる。ここで、2回目以降の起動時において適用される更新タイマ値Txは、初回起動時にて計測された遅延時間Tyを用いて「Tx=T/2−Ta−Ty」のように規定されている。そのため、図5に示すように、リレースイッチSW1が実際にON状態となる時刻t4は、入力電圧がゼロとなるタイミングに一致する。これにより、時刻t4にてリレースイッチSW1がONとなった瞬間に、抵抗素子Rの寄生容量Cpに起因して流れる突入電流が抑制される。
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態に係るマイコン12は、交流電源Pと負荷であるコンバータ回路14との間に設けられ、電圧変換システム1の起動時に、交流電源Pとコンバータ回路14とを接続するリレースイッチSW1を有する突入電流抑制回路13の制御装置である。
このマイコン12は、交流電源Pから突入電流抑制回路13へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するゼロクロス検知部120と、第1の起動時(初回起動時)において、ゼロクロスが検知されてから第1の時間(初回タイマ値Tx0)が経過した時点で、リレースイッチを接続させるためのリレー駆動信号を出力する駆動信号出力部122と、リレー駆動信号を出力してからリレースイッチSW1に流れる電流が検出されるまでの遅延時間Tyを計測して記録する遅延時間記録処理部123とを備える。
そして、駆動信号出力部122は、第2の起動時(2回目以降の起動時)において、ゼロクロスが検知されてから遅延時間Tyに対応する第2の時間(更新タイマ値Tx)が経過した時点で、リレースイッチSW1を接続させるためのリレー駆動信号を出力する。
このようにすることで、初回起動時に計測されたリレースイッチSW1の実際の遅延時間Tyを加味して、精度良く、入力電圧のゼロクロス近傍でリレースイッチSW1をON状態とすることができる。
したがって、リレースイッチSW1の接点開閉寿命の低下を抑制することができる。
また、第1の実施形態に係るマイコン12は、初回起動時において、入力電圧のゼロクロスを基準に、予め規定された初回タイマ値Tx0が経過した時点でリレー駆動信号を出力するものとしている。
これにより、初回タイマ値Tx0を適切に規定することで、リレースイッチSW1がONとなった瞬間に、確実に、リレースイッチSW1に突入電流I1を発生させることができ、延いては、精度良く遅延時間Tyを計測することができる。
以上、第1の実施形態に係る電圧変換システム1について詳細に説明したが、電圧変換システム1の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
例えば、第1の実施形態に係るマイコン12は、ゼロクロス信号の立下りを検出してタイマカウント処理を開始する態様としたが、他の実施形態においてはこの態様に限定されず、マイコン12は、ゼロクロス信号の立ち上がりを検出してタイマカウント処理を開始する態様としてもよい。
また、第1の実施形態に係るマイコン12は、初回起動時において、リレースイッチSW1の遅延時間Tyを計測して記録し、2回目以降の起動時において、記録した遅延時間Tyに対応する更新タイマ値Txをセットするものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係るマイコン12は、以下のような態様であってもよい。
マイコン12は、例えば、1回目から10回目までの起動時には図4に示す処理フローを実行して、10個の遅延時間Ty00、Ty01、・・、Ty09を記録する。そして、マイコン12は、11回目以降の起動時には、図6に示す処理フローを実行し、10個の遅延時間Ty00、Ty01、・・、Ty09の代表値(平均値、中央値、最頻値等)を新たな遅延時間Tyとして演算し、当該代表値に対応する更新タイマ値Txを算出する。
このようにすることで、リレースイッチSW1についての遅延時間Tyの計測ばらつきを低減することができるので、一層精度良く、入力電圧のゼロクロス近傍でリレースイッチSW1をON状態とすることができる。
更に、他の実施形態に係るマイコン12は、以下のような態様であってもよい。
マイコン12は、例えば、1回目から10回目までの起動時に記録した10個の遅延時間Ty01、Ty02、・・、Ty10の代表値(平均値、中央値、最頻出値等)を、11回目から100回目までの起動時における更新タイマ値Txに適用する。また、マイコン12は、例えば、101回目から110回目までの起動時に記録した10個の遅延時間Ty10、Ty11、・・、Ty19の代表値(平均値、中央値、最頻出値等)を、111回目から200回目までの起動時における更新タイマ値Txに適用する。
このようにすることで、リレースイッチSW1の遅延時間が経時的に変化する場合であっても、精度良く、入力電圧のゼロクロス近傍でリレースイッチSW1をON状態とすることができる。
上述の各実施形態においては、上述したマイコン12の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、マイコン12は、上述の各種機能を全て具備する1台のコンピュータで構成されていても良いし、その機能の一部ずつを具備し、互いに通信可能に接続された複数台のコンピュータで構成されていてもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 電圧変換システム
11 ゼロクロス検知回路
12 マイコン(突入電流抑制回路制御装置)
120 ゼロクロス検知部
121 タイマ処理部
122 駆動信号出力部
123 遅延時間記録処理部
13 突入電流抑制回路
14 コンバータ回路
SW1、SW2 リレースイッチ
R 抵抗素子
Cp 寄生容量

Claims (6)

  1. 交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御装置であって、
    前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するゼロクロス検知部と、
    第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する駆動信号出力部と、
    前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録する遅延時間記録処理部と、
    を備え、
    前記駆動信号出力部は、第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する
    突入電流抑制回路制御装置。
  2. 前記駆動信号出力部は、前記第2の起動時において、前記第2の時間を、前記入力電圧の半周期から、事前に取得されているゼロクロス検知遅延時間と前記遅延時間とを差し引いて算出する
    請求項1に記載の突入電流抑制回路制御装置。
  3. 前記駆動信号出力部は、複数記録された前記遅延時間の代表値に対応する前記第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力する
    請求項1又は請求項2に記載の突入電流抑制回路制御装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか一項に記載の突入電流抑制回路制御装置と、
    前記突入電流抑制回路と、
    前記負荷であるコンバータ回路と、
    を備える電圧変換システム。
  5. 交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御方法であって、
    前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するステップと、
    第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、
    前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録するステップと、
    第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、
    を有する突入電流抑制回路制御方法。
  6. 交流電源と負荷との間に設けられ、起動時に、前記交流電源と前記負荷とを接続するスイッチを有する突入電流抑制回路の制御装置のコンピュータに、
    前記交流電源から前記突入電流抑制回路へと入力される入力電圧のゼロクロスを検知するステップと、
    第1の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから所定の第1の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、
    前記駆動信号を出力してから前記スイッチに流れる電流が検出されるまでの遅延時間を計測して記録するステップと、
    第2の起動時において、前記ゼロクロスが検知されてから前記遅延時間に対応する第2の時間が経過した時点で、前記スイッチを接続させるための駆動信号を出力するステップと、
    を実行させるプログラム。
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