以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。本明細書では、半導体基板の上面と垂直な方向から見ることを上面視と称し、上面視における図を上面図と称する。
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
本明細書においてドーピング濃度とは、ドナーまたはアクセプタ化した不純物の濃度を指す。本明細書において、ドナーおよびアクセプタの濃度差をドーピング濃度とする場合がある。また、ドーピング領域におけるドーピング濃度分布のピーク値を、当該ドーピング領域におけるドーピング濃度とする場合がある。
図1aは、本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、半導体基板10の上面においてトランジスタ部70と隣接して設けられたFWD(Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。
半導体基板10には、活性領域120が設けられる。活性領域120は、半導体装置100をオン状態に制御した場合に、半導体基板10の上面と下面との間で電流が流れる領域である。即ち、半導体基板10の上面から下面、または下面から上面に、半導体基板10の内部を深さ方向に電流が流れる領域である。トランジスタ部70またはダイオード部80が設けられた領域を活性領域120としてよい。また、上面視における半導体基板10の外周端140に沿って配置されたゲートランナー部で囲まれた領域を、活性領域120としてもよい。ゲートランナー部は、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。
半導体基板10の上面視において、活性領域120と半導体基板10の外周端140との間の領域を、外周領域90とする。外周領域90は、半導体基板10の上面視において活性領域120を囲んで設けられる。外周領域90には、上述したゲートランナー部が設けられてよい。外周領域90には、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和するエッジ終端構造部が設けられてもよい。エッジ終端構造部は、ゲートランナー部と、外周端140との間に配置される。エッジ終端構造部は、ガードリング、フィールドプレートおよびリサーフの少なくとも一つを有してよく、これらを組み合わせた構造を有してもよい。
活性領域120には、1つ以上のトランジスタ部70と、1つ以上のダイオード部80とが設けられている。本例の活性領域120には、所定の配列方向(図1aの例ではY軸方向)に沿って、トランジスタ部70とダイオード部80とが交互に配置されている。本明細書では、配列方向をY軸方向と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、配列方向とは垂直な延伸方向(図1aの例ではX軸方向)に延伸して設けられている。本明細書では、延伸方向をX軸方向と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、延伸方向が長手方向であってよい。
トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側にゲートトレンチ部等のゲート構造と、N+型のエミッタ領域とを含む単位構造が周期的に設けられた領域である。トランジスタ部70は、当該単位構造が周期的に設けられた領域を、半導体基板10の下面まで投影したときに当該領域が通過する半導体基板10の内部の領域を含む。
ダイオード部80は、半導体基板の下面側にN+型のカソード領域82が設けられた領域である。カソード領域82を、配列方向とは垂直な延伸方向(図1aの例ではX軸方向)に、後述するウェル領域11と接触する位置まで延長した領域も、ダイオード部80に含めてよい。ダイオード部80は、カソード領域82およびカソード領域82を延長した領域を、半導体基板10の下面まで投影したときに当該領域が通過する半導体基板10の内部の領域を含む。カソード領域82は、図1aの点線の枠に示すように、ウェル領域11と接しない範囲に設けられてよい。なお図1aにおいては、Y軸方向におけるカソード領域82の端部と、ダイオード部80の端部との位置をずらして示しているが、Y軸方向におけるカソード領域82の端部位置とダイオード部80の端部位置とは一致している。活性領域120のうち、ダイオード部80以外の領域をトランジスタ部70としてもよい。
半導体基板10の上方には、保護膜36が設けられる。保護膜36は、活性領域120の上方に設けられてよく、活性領域120および外周領域90の上方に設けられてもよい。上面視における保護膜36の端部は、活性領域120の端部よりも外周端140側に配置されてよい。保護膜36は、ポリイミドなどの有機系材料で形成されてよい。保護膜36は、シリコン系の樹脂材料で形成されてもよい。保護膜36の少なくとも一部は、半導体基板10の上面に設けられたエミッタ電極等の上面電極の上方に配置されている。
保護膜36には、複数の開口部84が設けられている。なお本明細書で「保護膜」と述べた場合、開口部84の領域を含まない。例えば保護膜36の上面視における面積には、開口部84の面積が含まれていない。図1aにおいて保護膜36には斜線のハッチングを付している。開口部84は、保護膜36に囲まれた領域である。開口部84は、エミッタ電極の上に配置されてよい。
少なくとも一つの開口部84は、配列方向(Y軸方向)においてトランジスタ部70およびダイオード部80の両方にまたがって、活性領域120の上方に配置されている。一つの開口部84は、配列方向(Y軸方向)における複数のトランジスタ部70にまたがって配置されてよい。一つの開口部84は、配列方向(Y軸方向)における複数のダイオード部80にまたがって配置されてよい。図1aの例では、全ての開口部84が、配列方向(Y軸方向)においてトランジスタ部70およびダイオード部80の両方にまたがって、活性領域120の上方に配置されている。
半導体基板10には、第2導電型のウェル領域11が設けられている。ウェル領域11は、半導体基板10の上面から、後述するベース領域14の下端よりも深い位置まで設けられる。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度が高くてよい。本例のウェル領域11はP+型である。
本例のウェル領域11は、半導体基板10の外周端140に沿って環状に設けられた部分を有する。ウェル領域11は、上面視において活性領域120を囲んで配置されていてよい。ウェル領域11は、後述するゲート金属層50に沿って、ゲート金属層50の下方に設けられてよい。ウェル領域11は、ゲート金属層50の下方において、ゲート金属層50と重なる範囲よりも広い範囲に設けられてよい。
本例のウェル領域11は、活性領域120に設けられた部分を有してよい。ウェル領域11は、上面視において、活性領域120の一端から他端まで活性領域120を横切るように設けられた部分を有してよく、活性領域120の一端から活性領域120の内部まで設けられてもよい。一例としてウェル領域11は、後述するゲートランナー53に沿って、ゲートランナー53の下方に設けられてよい。ウェル領域11は、ゲートランナー53の下方において、ゲートランナー53と重なる範囲よりも広い範囲に設けられてよい。またウェル領域11は、後述する温度センス部78および温度センス配線92に沿って、温度センス部78および温度センス配線92の下方に設けられてよい。ウェル領域11は、温度センス部78および温度センス配線92の下方において、温度センス部78および温度センス配線92と重なる範囲よりも広い範囲に設けられてよい。なお、ウェル領域11が設けられる位置は、上述した位置に限定されない。
保護膜36には、上面視においてウェル領域11に挟まれた単一の領域に、複数の開口部84が設けられている。ウェル領域11に挟まれた領域とは、配列方向(Y軸方向)または延伸方向(X軸方向)の少なくとも一方において、ウェル領域11に挟まれた領域を指してよい。例えば、活性領域120内の各位置について、当該位置を通る配列方向と平行な直線、および、延伸方向と平行な直線の少なくとも一方の直線について、当該直線が当該位置の両側においてウェル領域11と交差する場合に、当該位置はウェル領域11に挟まれているとする。なお、2つのウェル領域11の間に更にウェル領域11が配置されている場合、それぞれのウェル領域11の間の領域を、単一の領域とする。
例えば図1aの例では、複数の開口部84−1、84−2、84−3、84−4が、配列方向(および延伸方向)においてウェル領域11に挟まれた一つの領域に配置されている。なお、当該一つの領域をウェル領域11が挟む方向と、当該一つの領域に設けられた複数の開口部84が配列されている方向とは一致していてよく、一致していなくてもよい。ウェル領域11に挟まれた領域は、周囲全体がウェル領域11に囲まれていてもよい。
それぞれの開口部84の内部には、金属で形成されたボンディングパッドが設けられる。それぞれのボンディングパッドの上方には、複数のボンディングパッドを接続するはんだ部が設けられる。はんだ部の上には、リードフレーム等の電極用金属板またはワイヤ等の配線が接続されてよい。
上述したように、ウェル領域11に挟まれた単一の領域に、複数の開口部84を設けることで、当該単一の領域に、複数のボンディングパッドを離散的に配置できる。トランジスタ部70およびダイオード部80の動作時の発熱によりボンディングパッドが熱膨張した場合、ボンディングパッドの上面に接するはんだ部、さらに、はんだ部の上面に接するパッケージの電極用金属板等との圧力分布に偏りが生じる場合がある。本例の半導体装置100は、上述した単一の領域において、開口部84とボンディングパッドを分散して配置させる。これにより、ボンディングパッドとはんだ部との接触面、および、はんだ部と電極用金属板との接触面の一部に生じる圧力分布の偏りを分散させ、それぞれの接触面の圧力分布を均一にすることができる。以上により、半導体装置100の特性不良を抑制し、半導体装置100の組立不良を減少させることができる。
また、開口部84がトランジスタ部70およびダイオード部80の上方において、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方にまたがって設けられているので、それぞれのボンディングパッドを、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方の上に配置できる。このため、トランジスタ部70およびダイオード部80のいずれが導通状態の場合でも、トランジスタ部70およびダイオード部80からの熱を放熱しやすくなる。
図1bは、ウェル領域11の上方に設けられる構成の一例を示す図である。図1bにおいては、図1aに示した保護膜36および開口部84を省略している。本例では、ウェル領域11の上方に、ゲート金属層50、ゲートランナー53、温度センス部78、温度センス配線92および1つ以上の制御用パッドが設けられている。制御用パッドには、半導体装置100と外部の装置とを接続するワイヤ等が固定される。制御用パッドは、ゲート制御用の端子、過熱温度や過電流のセンシング端子であってよい。本例の半導体装置100は、制御用パッドとして、温度測定用パッド94、ゲートパッド55、電流センスパッド58およびケルビンパッド57を含む。1つ以上の制御用パッドを形成した領域を、制御電極部102とする。制御電極部102は、外周領域90に設けられている。
また、図1bにおいては、半導体基板10の上面の上方に設けられるエミッタ電極52が設けられる範囲を、太い破線で示している。エミッタ電極52は、活性領域120を覆って設けられてよい。エミッタ電極52の端部の少なくとも一部分は、ゲート金属層50と、活性領域120との間のウェル領域11の上方に配置されてよい。
活性領域120の上方には、エミッタ電極52が設けられる。図1bにおいて、半導体基板10の上面視でエミッタ電極52が設けられる範囲(すなわちエミッタ電極52の端)を太い破線部101で示す。破線部で囲まれた内側の領域にエミッタ電極52が設けられる。エミッタ電極52は、半導体基板10の上面視において複数形成されてよい。例えば、後述する分割領域ごとに、エミッタ電極52が設けられてよい。活性領域120に設けられる全てのトランジスタ部70およびダイオード部80は、エミッタ電極52に覆われるように設けられてよい。複数のエミッタ電極52は、ワイヤ、リードフレームなどにより互いに電気的に接続されて、同一の電位を保つ。
図1bの例では、エミッタ電極52が、後述する温度センス部78および温度センス配線92と重ならないように設けられる。他の例ではエミッタ電極52は、温度センス部78および温度センス配線92と重なって設けられてもよい。この場合、エミッタ電極52と、温度センス部78および温度センス配線92との間には絶縁膜が設けられる。
ゲート金属層50およびゲートランナー53は、ゲートランナー部の一例である。ゲート金属層50およびエミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。ゲート金属層50は、半導体基板10の上面の上方に配置されている。ゲート金属層50および半導体基板10の間には、絶縁膜が配置されている。ゲート金属層50およびエミッタ電極52は、アルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成されてよい。ゲート金属層50は、トランジスタ部70に電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。エミッタ電極52は、図1aに示した開口部84に設けられるボンディングパッドを介して、外部の装置と電気的に接続されてよい。
ゲート金属層50は、半導体基板10の上面視で、活性領域120を囲うように設けられている。ゲート金属層50は、半導体基板10の外周端140に沿って設けられてよい。ゲート金属層50は、活性領域120の外に設けられるゲートパッド55と電気的に接続される。ゲートパッド55は、延伸方向(X軸方向)において、ゲート金属層50と活性領域120との間に配置されてよい。
ゲートランナー53は、ゲート金属層50と電気的に接続され、活性領域120の上方まで延伸する。ゲートランナー53は、ゲート金属層50と、トランジスタ部70のゲートトレンチ部のトレンチ内に設けられたポリシリコン等の導電部とを電気的に接続する。ゲートランナー53は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートランナー53は、半導体基板10の上面の上方に配置されてよく、半導体基板10の上面に形成されたトレンチ内に配置されてもよい。ゲートランナー53と半導体基板10との間には、絶縁膜が配置されている。
ゲートランナー53は、配列方向(Y軸方向)に活性領域120を横切って配置されてよい。ゲートランナー53の両端は、ゲート金属層50に接続されてよい。活性領域120をY軸方向に横切るゲートランナー53は、延伸方向(X軸方向)に複数配置されてよい。また、ゲートランナー53は、ゲート金属層50に沿って、活性領域120を囲んで配置された環状部分を有してもよい。活性領域120を横切るゲートランナー53は、活性領域120を囲む環状のゲートランナー53に接続されてよい。ゲートランナー53の環状部分は、コンタクトホールを介してゲート金属層50に接続されてよい。
また、ゲートランナー53は、外周領域90において少なくとも一つの制御用パッドと活性領域120との間にも、設けられてよい。外周領域90に設けられたゲートランナー53は、半導体基板10の上面視で温度センス配線92と交差してよい。当該ゲートランナー53は、温度センス配線92の下方をY軸方向に通過して設けられている。当該ゲートランナー53の両端は、ゲート金属層50に接続されている。
温度センス部78は、活性領域120の半導体基板10の上方に設けられる。温度センス部78は、半導体基板10の上面視で、活性領域120の中央に設けられてよい。温度センス部78は、活性領域120の温度を検知する。温度センス部78は、単結晶または多結晶のシリコンで形成されるpn型温度センスダイオードであってよい。本例の温度センス部78は、ウェル領域11の上方に設けられている。
温度センス配線92は、半導体基板10の上面視で、活性領域120の上方に設けられる。温度センス配線92は、温度センス部78と接続される。温度センス配線92は、外周領域90まで、予め定められた方向(本例においてはX軸方向)に延伸し、外周領域90に設けられた温度測定用パッド94と接続される。
温度センス配線92は、pn型温度センスダイオードのp型層に電気的に接続する配線89と、n型層に電気的に接続する配線91とを含んでよい。配線89は、温度測定用アノードパッド94−2に接続され、配線91は、温度測定用カソードパッド94−1に接続されている。温度測定用パッド94(本例では、温度測定用カソードパッド94−1および温度測定用アノードパッド94−2)を介して温度センス部78の電圧および電流等の特性を測定することで、温度センス部78の温度を検出できる。
図1bにおいては、温度センス配線92を長方形の実線で模式的に表しているが、温度センス配線92は、図1bにおいて点線で示される配線89、配線91のようにアノード用の配線およびカソード用の配線を有してよい。本例の温度センス配線92は、ウェル領域11の上方に配置されている。
電流センスパッド58は、トランジスタ部70に流れる電流を検出する。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70に流れる電流に対応した電流が流れる電流センス部59を更に備える。一例として電流センス部59は、トランジスタ部70と同一の構造を有し、且つ、XY面における面積がトランジスタ部70よりも小さい領域である。電流センス部59は、外周領域90に配置されてよい。なお電流センス部59が配置される領域には、ウェル領域11が設けられていない。ケルビンパッド57は、エミッタ電極52と接続される。
図1cは、分割領域72の配置例を示す図である。図1cにおいては、保護膜36、エミッタ電極52、トランジスタ部70およびダイオード部80を省略している。分割領域72は、上面視においてウェル領域11に囲まれた活性領域120の部分を指す。活性領域120は、複数の分割領域72を有してよい。本例の活性領域120は、X軸方向において複数の分割領域72を有する。活性領域120は、Y軸方向において複数の分割領域72を有してもよい。
本例の活性領域120は、ウェル領域11により、複数の分割領域72−1、72−2、72−3、72−4に分割されている。少なくとも一つの分割領域72において、複数の開口部84が設けられてよい。本例では、全ての分割領域72において、複数の開口部84が設けられている。それぞれの分割領域72に設けられる開口部84の数は、同一であってよく異なっていてもよい。分割領域72の上面視における面積が大きいほど、分割領域72に設けられる開口部84の数は多くてよい。
少なくとも一つの分割領域72は、ゲートランナー部に挟まれていてよく、ゲートランナー部、温度センス部78および温度センス配線92の少なくともいずれかに挟まれていてもよい。分割領域72−1は、延伸方向(X軸方向)において、制御電極部102と最も離れて配置された分割領域72である。分割領域72−1には、温度センス部78および温度センス配線92が配置されていない。分割領域72−1は、配列方向(Y軸方向)においてゲート金属層50に挟まれており、延伸方向(X軸方向)においてゲート金属層50とゲートランナー53に挟まれている。
分割領域72−2は、延伸方向(X軸方向)において、他の2つの分割領域72の間に配置された分割領域72である。本例の分割領域72−2は、半導体基板10の上面のX軸方向における中央を含む領域である。分割領域72−2には、温度センス部78および温度センス配線92が配置されている。分割領域72−2は、配列方向(Y軸方向)においてゲート金属層50に挟まれた部分、および、ゲート金属層50と温度センス部78(および温度センス配線92)に挟まれた部分を有する。分割領域72−2は、延伸方向(X軸方向)においてゲートランナー53に挟まれた部分と、ゲートランナー53および温度センス部78に挟まれた部分とを有する。分割領域72−2は、上面視において最大の面積を有する分割領域72であってよい。分割領域72−2に設けられる開口部84の個数は、他のいずれの分割領域72に設けられる開口部84の個数よりも多くてよい。
分割領域72−3および分割領域72−4は、延伸方向(X軸方向)において、制御電極部102の最も近くに配置された分割領域である。分割領域72−3および分割領域72−4は、Y軸方向において温度センス配線92を挟んで配置されている。分割領域72−3および分割領域72−4は、配列方向(Y軸方向)においてゲート金属層50と温度センス配線92に挟まれており、延伸方向(X軸方向)においてゲート金属層50とゲートランナー53に挟まれている。
本例では、それぞれの分割領域72に、複数の開口部84が配置されている。それぞれの開口部84には、ボンディングパッド98が設けられている。つまり、それぞれの分割領域72には、複数のボンディングパッド98が分散して設けられている。ボンディングパッド98は、半導体装置100がパッケージに実装された場合に、半導体装置100と半導体装置100の外部とを電気的に接続する金属ワイヤ等の配線がボンディングされる領域である。ボンディングパッド98は、開口部84により露出したエミッタ電極52上に導電性金属をめっきすることにより形成されてよい。導電性金属としては、一例としてNi(ニッケル)が用いられる。
なお、開口部84で露出したエミッタ電極52の部分を、ボンディングパッド98としてもよい。例えば、開口部84で露出したエミッタ電極52の表面に、アルミニウム等のワイヤを超音波接合でボンディングする場合の、開口部84内のエミッタ電極52の露出面をボンディングパッド98としてよい。
分割領域72−1のように、一つの分割領域72における複数の開口部84は、所定の方向(図1cの例では配列方向)に沿って1列に配置されてよい。また分割領域72−2のように、一つの分割領域72における複数の開口部84は、2つ以上の方向(図1cの例では配列方向および延伸方向)に沿って配置されてもよい。一つの分割領域72に設けられる開口部84の上面視における面積は、それぞれ同一であってよく、異なっていてもよい。ある分割領域72に設けられた開口部84は、X軸方向において隣接する他の分割領域72に設けられたいずれかの開口部84と、X軸方向において対向する位置に配置されてよい。
また、X軸方向において両端に配置された分割領域72には、X軸方向に1つの開口部84が設けられてよい。X軸方向において両端以外に配置された少なくとも一つの分割領域72には、X軸方向に2つ以上の開口部84が設けられてよい。また、温度センス部78が設けられた分割領域72には、X軸方向において2つ以上の開口部84が配置されてもよい。
幅Wh1は、分割領域72−1の延伸方向(X軸方向)における幅である。幅Wh3は、分割領域72−3および分割領域72−4のX軸方向における幅である。幅Wh1と幅Wh3は、等しくてよい。
幅Wh2は、分割領域72−2のX軸方向における幅である。幅Wh2は、幅Wh1および幅Wh3よりも大きくてよい。幅Wh2、幅Wh1および幅Wh3は同一であってもよい。
図1dは、開口部84の配列方向および延伸方向における幅を説明する図である。幅Wcx4は、分割領域72−1に設けられた開口部84のX軸方向の幅である。幅Wcx3は、分割領域72−2に設けられた開口部84のうち、X軸方向において制御電極部102から最も離れる側に配置された開口部84の幅である。幅Wcx2は、分割領域72−2に設けられた開口部84のうち、X軸方向において制御電極部102に最も近い側に配置された開口部84の幅である。幅Wcx1は、分割領域72−3および分割領域72−4に設けられた開口部84のX軸方向の幅である。
幅Wcx1、幅Wcx2、幅Wcx3および幅Wcx4は、全て等しくてよい。図1dは、幅Wcx1、幅Wcx2、幅Wcx3および幅Wcx4が全て等しい一例である。幅Wcx1、幅Wcx2、幅Wcx3および幅Wcx4は、一部または全てが異なっていてもよい。幅Wcx1と幅Wcx4が等しく、幅Wcx2および幅Wcx3が等しく、幅Wcx1と幅Wcx2が異なっていてもよい。幅Wcx1、幅Wcx2、幅Wcx3および幅Wcx4は、1000μm以上3000μm以下であってよい。
幅Wcy1および幅Wcy4は、Y軸方向における両端に配置された開口部84のY軸方向における幅である。幅Wcy2は、幅Wcy1の開口部84の隣に配置された開口部84のY軸方向における幅である。幅Wcy3hは、幅Wcy4の開口部84の隣に配置された開口部84のY軸方向における幅である。
幅Wcy1、幅Wcy2、幅Wcy3および幅Wcy4は、全て等しくてよい。図1dは、幅Wcy1、幅Wcy2、幅Wcy3および幅Wcy4が全て等しい一例である。幅Wcy1、幅Wcy2、幅Wcy3および幅Wcy4は、一部または全てが異なっていてもよい。幅Wcy1と幅Wcy4が等しく、幅Wcy2および幅Wcy3が等しく、幅Wcy1と幅Wcy2が異なっていてもよい。幅Wcy1、幅Wcy2、幅Wcy3および幅Wcy4は、1500μm以上5000μm以下であってよい。
ゲートランナー53に挟まれる分割領域72(本例では分割領域72−2)には、ゲートランナー53に挟まれる方向(本例では延伸(X軸)方向)に、開口部84が3個以上配置されてもよい。当該3個以上の開口部84のX軸方向における幅は、等しくてもよいし異なっていてもよい。
図1eは、それぞれの開口部84を分離する分離領域を説明する図である。本例では、配列方向(Y軸方向)に隣り合う2つの開口部84の間に設けられた保護膜36を、第1分離領域86とする。第1分離領域86は、X軸方向において活性領域120を横切って、X軸方向に沿って延伸して設けられてよい。
第1分離領域86は、X軸方向において複数の開口部84にわたって設けられてよい。本例では、第1分離領域86が、X軸方向に4つの開口部84にわたって設けられている。第1分離領域86は、保護膜36に開口部84を形成した後に残存する、保護膜36の一部であってよい。本例においては、第1分離領域86はY軸方向において異なる位置に複数設けられる。それぞれの第1分離領域86は、配列方向に隣り合って設けられる開口部84をXY平面内において分離する。
本例では、半導体基板10の上面視で、配列方向に直交する延伸方向(本例ではX軸方向)において隣り合う2つの開口部84の間に設けられた保護膜36を第2分離領域88とする。第2分離領域88は、Y軸方向において活性領域120を横切って、Y軸方向に沿って延伸して設けられてよい。第2分離領域88は、第1分離領域86と交差してよい。第1分離領域86および第2分離領域88は格子状に配置されてよい。第2分離領域88は、Y軸方向に複数の開口部84にわたって設けられてよい。本例では、第2分離領域88が、Y軸方向に4つの開口部84にわたって設けられている。
第2分離領域88は、延伸方向に隣り合う2つの開口部84に挟まれて設けられてよい。第2分離領域88は、保護膜36に開口部84を形成した後に残存する、保護膜36の一部であってよい。本例においては、第2分離領域88はX軸方向において異なる位置に複数設けられる。それぞれの第2分離領域88は、延伸方向に隣り合って設けられる2つの開口部84をXY平面内において分離する。
第2分離領域88は、少なくとも一部がトランジスタ部70およびダイオード部80の上方に配置されてよく、少なくとも一部がゲートランナー53またはゲート金属層50の上方に配置されていてもよく、少なくとも一部がウェル領域11(図1b参照)の上方に配置されていてもよい。
本例においては、分割領域72−1の開口部84と、分割領域72−2の開口部84とを分離する第2分離領域88は、ウェル領域11(およびゲートランナー53)の上方に配置され、且つ、ウェル領域11(およびゲートランナー53)に沿ってY軸方向に延伸している。また、分割領域72−3および72−4の開口部84と、分割領域72−2の開口部84とを分離する第2分離領域88は、ウェル領域11(およびゲートランナー53)の上方に配置され、且つ、ウェル領域11(およびゲートランナー53)に沿ってY軸方向に延伸している。分割領域72−2を横切る第2分離領域88は、トランジスタ部70およびダイオード部80の上方に配置される。他の例では、全ての第2分離領域88が、ウェル領域11に沿って配置されてよい。これにより、開口部84(すなわちボンディングパッド98)により覆われるトランジスタ部70およびダイオード部80の面積を大きくできる。
幅Wdx1は、分割領域72−3および72−4の開口部84と、分割領域72−2の開口部84とを分離する第2分離領域88のX軸方向の幅である。幅Wdx2は、分割領域72−2を横切る第2分離領域88のX軸方向の幅である。幅Wdx3は、分割領域72−1の開口部84と、分割領域72−2の開口部84とを分離する第2分離領域88のX軸方向の幅である。
幅Wdy1および幅Wdy3は、複数の第1分離領域86のうち、Y軸方向において両端に配置された第1分離領域86のY軸方向における幅である。幅Wdy2は、複数の第1分離領域86のうち、Y軸方向において両端以外に配置された第1分離領域86のY軸方向における幅である。幅Wdy2は、複数の第1分離領域86のうち、Y軸方向における中央に配置された第1分離領域86のY軸方向における幅であってもよい。
幅Wdx1と幅Wdx3は等しく、幅Wdx1と幅Wdx2は、異なっていてよい。図1eは、幅Wdx1と幅Wdx3が等しく、幅Wdx1と幅Wdx2が異なる一例である。幅Wdx1、幅Wdx2および幅Wdx3は、全て等しくてもよく、一部または全てが異なっていてもよい。幅Wdx1、幅Wdx2および幅Wdx3は、100μm以上400μm以下であってよい。
幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3は、全て等しくてよい。図1cは、幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3が全て等しい一例である。幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3は、一部または全てが異なっていてもよい。幅Wdy1と幅Wdy3が等しく、幅Wdy1と幅Wdy2が異なっていてもよい。幅Wdy1と幅Wdy2が等しく、幅Wdy1と幅Wdy3が異なっていてもよい。幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3は、100μm以上400μm以下であってよい。
幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3は、配列方向におけるダイオード部80の幅WFよりも小さくてよい。幅Wdy1、幅Wdy2および幅Wdy3が幅WFよりも小さいことで、半導体基板10の上面視において、第1分離領域86のY軸方向における位置にかかわらず、ダイオード部80のY軸方向における全体が、保護膜36(第1分離領域86)に覆われることがない。このため、ダイオード部80の導通時や逆回復時といったダイオード部80における発熱時の熱を、エミッタ電極52に放熱しやすくなる。
第1分離領域86は、トランジスタ部70の上方に配置されてよい。第1分離領域86は、ダイオード部80の上方には配置されなくてよい。さらに、第1分離領域86(すなわち保護膜36)は、隣り合う開口部84に挟まれていて、かつ当該保護膜36が、トランジスタ部70の上方に配置されてよく、さらに当該トランジスタ部70は、隣接する2つのダイオード部80に挟まれてよい。
第1分離領域86のY軸方向における幅Wdyは、トランジスタ部70のY軸方向における幅WIよりも小さくてよい。第1分離領域86のY軸方向における幅Wdyは、ダイオード部80のY軸方向における幅WFよりも小さくてよい。本例の半導体装置100は、第1分離領域86がトランジスタ部70の上方に配置され、ダイオード部80の上方に配置されないので、ダイオード部80の逆回復時における熱を放出しやすくなる。
分割領域72のそれぞれにおいて、半導体基板10の上面視で、開口部84とカソード領域82とが重なる第1面積は、保護膜36とカソード領域82とが重なる第2面積よりも大きくてよい。第1面積が第2面積よりも大きいとは、第2面積がゼロの場合、すなわち、保護膜36とカソード領域82とが重なる領域が存在しない場合も含んでよい。また、保護膜36とカソード領域82とが重なる第2面積がゼロでない有限の値を持ってよく、その場合で、開口部84とカソード領域82とが重なる第1面積は、保護膜36とカソード領域82とが重なる第2面積よりも大きくてよい。開口部84とカソード領域82とが重なる面積は、保護膜36とカソード領域82とが重なる面積の5倍以上あってよく、2倍以上であってもよい。
図1eの例では、複数の分割領域72のうちX軸方向において両端に配置された分割領域72(分割領域72−1、72−3、72−4)において、半導体基板10の上面視で保護膜36とカソード領域82とは重ならず、開口部84とカソード領域82の全体とが重なっている。他の例では、これらの分割領域72において、保護膜36とカソード領域82(またはダイオード部80)とが配列方向において少なくとも部分的に重なっていてもよい。少なくとも1つの分割領域72においては、半導体基板10の上面視で、第2分離領域88が、カソード領域82と交差してよい。本例では、分割領域72−2において第2分離領域88がカソード領域82と重なっている。
少なくとも1つの分割領域72においては、保護膜36とカソード領域82とが重なる第2面積よりも、開口部84とカソード領域82とが重なる第1面積の方が大きい。第1面積は、第2面積の10倍以上であってよく、20倍以上であってもよい。
本例では、分割領域72のそれぞれにおいて、開口部84とカソード領域82とが重なる第1面積が、保護膜36とカソード領域82とが重なる第2面積よりも大きい。このため、ダイオード部80の逆回復時等において生じた熱を、ボンディングパッド98等を介して放熱しやすくなる。
本例の半導体装置100は、保護膜36に設けられた複数の開口部84のそれぞれに、ボンディングパッド98が配置される。ボンディングパッド98は、全ての開口部84に設けられてよい。ボンディングパッド98は、第1分離領域86および第2分離領域88により、XY平面内において分離されている。
少なくとも一つの分割領域72の上方には、延伸方向(本例においてはX軸方向)に、ボンディングパッド98が複数配置されてよい。本例においては、分割領域72−2において、延伸方向(X軸方向)に沿ってボンディングパッド98が複数配置されている。
少なくとも一つのダイオード部80は、複数の開口部84の下方に設けられてよい。つまり、延伸方向(X軸方向)に連続して形成された一つのダイオード部80が、X軸方向に離散的に配置された二つ以上の開口部84と重なって配置されてよい。本例においては、分割領域72−2において、それぞれダイオード部80が、X軸方向に沿って設けられた複数のボンディングパッド98の下方に設けられる。なお、本例の分割領域72−1、72−3、72−4においては、X軸方向において1つのダイオード部80が1つのボンディングパッド98と重なって設けられる。
配列方向(Y軸方向)では、一つの開口部84と重なって、一つ以上のダイオード部80が設けられている。開口部84の配列方向における端部は、ダイオード部80とは重ならずに、トランジスタ部70と重なる位置に設けられてよい。それぞれの開口部84は、少なくとも一つのダイオード部80の配列方向における幅全体を覆って配置されてよい。また、それぞれの分割領域72において、配列方向に設けられた複数のダイオード部80のそれぞれが、少なくとも部分的に開口部84の下方に配置されてよい。
また、少なくとも一つの分割領域72において、配列方向に離散的に設けられたダイオード部80の個数は、配列方向に離散的に設けられた第1分離領域86の個数より多くてよい。例えば、分割領域72−1においては、ダイオード部80は配列方向に8個設けられ、第1分離領域86は配列方向に3個設けられている。全ての分割領域72において、配列方向に離散的に設けられたダイオード部80の個数は、配列方向に離散的に設けられた第1分離領域86の個数より多くてよい。これにより、ダイオード部80の逆回復時等における発熱を、半導体基板10の上方に放熱しやすくなる。
図1eにおいて幅WIは、トランジスタ部70の配列方向(Y軸方向)の幅である。幅WFは、ダイオード部80の配列方向の幅である。幅WIは、幅WFよりも大きくてよい。幅WIは、幅WFの2倍以上5倍以下であってよい。幅WIは、一例として幅WFの3倍である。
幅WIは、1200μm以上1800μm以下であってよい。幅WIは、一例として1500μmである。幅WFは、100μm以上900μm以下であってよい。幅WFは、一例として500μmである。
配列方向に配置されたトランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向の幅が同じであれば、幅WIと幅WFの比は、すべてのトランジスタ部70およびすべてのダイオード部80の面積比となる。すべてのトランジスタ部70に対するすべてのダイオード部80の面積比は、1/12以上、1/2以下であってよい。
一方、トランジスタ部70の内部に囲まれるようにダイオード部80が配置される場合は、トランジスタ部70に対するダイオード部80の面積比と、幅WIと幅WFの比は異なることがある。このような場合も、すべてのトランジスタ部70の面積に対するすべてのダイオード部80の面積比が、1/12以上、1/2以下であってよい。
図2は、半導体装置100の他の例における上面を示す図である。本例の半導体装置100は、保護膜36に設けられた開口部84の配置が、図1aから図1eにおいて説明した例と相違する。開口部84の配置に伴い、ボンディングパッド98の配置、第1分離領域86および第2分離領域88の配置も、図1aから図1eにおいて説明した例と相違する。他の構造は、図1aから図1eにおいて説明した例と同様である。
本例では、分割領域72−2に設けられた開口部84の延伸方向(X軸方向)における幅が、他の分割領域72に設けられた開口部84の延伸方向における幅よりも小さい。分割領域72−2に設けられたそれぞれの開口部84の当該幅は同一であってよく、異なっていてもよい。それぞれの開口部84の配列方向(Y軸方向)における幅は、図1aから図1eにおいて説明した例と同様である。また、分割領域72−2に設けられた第2分離領域88の延伸方向(X軸方向)における幅は、他の第2分離領域88の幅よりも小さくてよい。
このような構成により、分割領域72−2において、比較的に面積が小さい開口部84およびボンディングパッド98を配置できる。このため、比較的に面積が大きい分割領域72−2における上述した圧力分布の偏りを更に分散でき、ボンディングパッド98とはんだ部との接触面、および、はんだ部と電極用金属板との接触面の圧力分布を均一にすることができる。以上により、半導体装置100の特性不良を抑制し、半導体装置100の組立不良を減少させることができる。
図3は、比較例の半導体装置150の上面を示す図である。図3においては、半導体装置100と同様の構造を有する構成要素に、半導体装置100と同一の符号を付している。半導体装置150は、複数の開口部284が設けられた保護膜236を備える。また、半導体装置150は、ウェル領域11に囲まれた複数の分割領域172を備える。
半導体装置150においては、一つの分割領域172に、一つの開口部284が設けられる。このため、トランジスタ部70およびダイオード部80の動作時の発熱によりボンディングパッドが熱膨張した場合、ボンディングパッドの上面に接するはんだ部、さらに、はんだ部の上面に接するパッケージの電極用金属板等との圧力分布に偏りが生じやすくなる。これに対して半導体装置100は、一つの分割領域72に、複数の開口部84を設けるので、当該圧力分布をより均一にできる。
図4は、図1bにおける領域Aの拡大図である。領域Aは、X軸方向において活性領域120から外周端140までを含む領域である。領域Aは、Y軸方向に隣り合う2つのダイオード部80の外周端140側の一部と、当該2つのダイオード部80にY軸方向に挟まれるトランジスタ部70の外周端140側の一部とを含む領域である。
本例の半導体装置100は、半導体基板10の内部に設けられ、且つ、半導体基板10の上面に露出するゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。
エミッタ電極52およびゲート金属層50と、半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられるが、図4では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール56、コンタクトホール49およびコンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。
エミッタ電極52は、コンタクトホール56を通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52とダミー導電部との間には、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料で形成された接続部25が設けられてよい。接続部25と半導体基板10の上面との間には、酸化膜等の絶縁膜が設けられる。
ゲート金属層50は、コンタクトホール49を通って、ゲートランナー48と接触する。ゲートランナー48は、半導体基板10の上面視でゲート金属層50と重なって設けられてよい。ゲートランナー48は、半導体基板10の上面視で、活性領域120を囲んで設けられる周回状のゲート金属層50と重なって、活性領域120を囲んで周回状に設けられてよい。
ゲートランナー48は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成される。ゲートランナー48は、半導体基板10の上面において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と接続される。ゲートランナー48は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。
本例のゲートランナー48は、コンタクトホール49の下方から、ゲートトレンチ部40の先端部まで形成される。ゲートランナー48と半導体基板10の上面との間には、酸化膜等の絶縁膜が形成される。
ゲートトレンチ部40の先端部において、ゲート導電部は半導体基板10の上面側が露出している。ゲートトレンチ部40は、ゲート導電部の当該露出した部分にて、ゲートランナー48と接触する。
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。バリアメタルに関しては後述する。また、エミッタ電極52およびゲート金属層50は、コンタクトホール内においてタングステン等で形成されたプラグを有してもよい。
1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、所定の配列方向(本例ではY軸方向)に沿って所定の間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではX軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分39と、2つの延伸部分39を接続する接続部分41を有してよい。接続部分41の少なくとも一部は、曲線状に形成されることが好ましい。ゲートトレンチ部40の2つの延伸部分39の端部を接続することで、延伸部分39の端部における電界集中を緩和することができる。本明細書では、ゲートトレンチ部40のそれぞれの延伸部分39を、一つのゲートトレンチ部40として扱う場合がある。ゲートランナー48は、ゲートトレンチ部40の接続部分41において、ゲート導電部と接続してよい。
本例のダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10の上面においてU字形状を有してよい。即ち、本例のダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分29と、2つの延伸部分29を接続する接続部分31を有してよい。
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に形成される。ウェル領域11は、ゲート金属層50が設けられる側の活性領域120の端部から、予め定められた範囲で形成される。ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域は、ウェル領域11に形成される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域11に覆われてよい。
半導体基板10の上面と平行な面内において、Y軸方向には各トレンチ部に隣接してメサ部が設けられる。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分である。メサ部は、半導体基板10の上面から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。隣り合う2つのトレンチ部の延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
トランジスタ部70においては、各トレンチ部に隣接して第1メサ部60が設けられる。境界部71においては、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に第2メサ部62が設けられる。ダイオード部80においては、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に第3メサ部64が設けられる。
第1メサ部60、第2メサ部62および第3メサ部64のX軸方向における両端部には、一例として、半導体基板10の上面に露出して、第2導電型のベース領域14−eが設けられる。本例のベース領域14は、一例としてP−型である。なお、図4は、当該ベース領域14のX軸方向の一方の端部のみを示している。
第1メサ部60の上面には、ゲートトレンチ部40と接してエミッタ領域12が設けられる。本例のエミッタ領域12は第1導電型である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーピング濃度は、ドリフト領域のドーピング濃度よりも高い。
エミッタ領域12は、第1メサ部60を挟んでX軸方向に延伸する2本のトレンチ部の一方から他方まで、Y軸方向に設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してよく、接しなくてもよい。本例においては、エミッタ領域12がダミートレンチ部30と接して設けられる。
第1メサ部60の上面には、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域15が設けられる。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。
第1メサ部60において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40の延伸方向に交互に設けられてよい。コンタクト領域15は、第1メサ部60を挟んでX軸方向に延伸する2本のトレンチ部の一方から他方まで、Y軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40と接してよく、接しなくてもよい。また、コンタクト領域15は、ダミートレンチ部30と接してよく、接しなくてもよい。本例においては、一例として、コンタクト領域15がダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接して設けられる。
第2メサ部62の上面には、コンタクト領域15が設けられる。一つの第2メサ部62の上面に設けられるコンタクト領域15の面積は、一つの第1メサ部60の上面に設けられるコンタクト領域15の面積よりも大きい。一つの第2メサ部62の上面に設けられるコンタクト領域15の面積は、一つの第3メサ部64の上面に設けられるコンタクト領域15の面積よりも大きくてよい。第2メサ部62において、コンタクト領域15はコンタクトホール54の下方にも設けられている。
第2メサ部62の上面におけるコンタクト領域15は、第2メサ部62のX軸方向における両端部に設けられるベース領域14−eに挟まれる領域全体に設けられてよい。第2メサ部62では、第1メサ部60と比べてターンオフ時のキャリアの引き抜きを効果的に行う。
第3メサ部64の上面には、X軸方向における両端部にコンタクト領域15が設けられる。また、第3メサ部64の上面において、第3メサ部64のX軸方向における両端部に設けられるコンタクト領域15に挟まれる領域には、ベース領域14が設けられる。ベース領域14は、X軸方向において当該コンタクト領域15に挟まれる領域全体に設けられてよい。第3メサ部64において、ベース領域14は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられてよい。
第3メサ部64には、コンタクト領域15およびベース領域14が、第3メサ部64を挟む一方のダミートレンチ部30から、他方のダミートレンチ部30に渡って形成される。即ち、半導体基板10の上面において、第3メサ部64のY軸方向の幅と、第3メサ部64に設けられたコンタクト領域15またはベース領域14のY軸方向の幅は、等しい。
第3メサ部64には、エミッタ領域12が形成されなくてよく、形成されてもよい。本例においては、第3メサ部64にエミッタ領域12が形成されない。
本例の半導体装置100は、ダイオード部80において、ダミートレンチ部30が設けられる。隣接するダミートレンチ部30のそれぞれの直線状の延伸部分29は、接続部分31で接続されてよい。第3メサ部64は、それぞれのダミートレンチ部30に挟まれる領域である。
ダイオード部80は、半導体基板10の下面側において、第1導電型のカソード領域82を有する。本例のカソード領域82は、一例としてN+型である。図4に、半導体基板10の上面視でカソード領域82が設けられる領域を破線部で示している。ダイオード部80は、カソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域であってよい。また、カソード領域82が部分的に設けられた第3メサ部64全体と、当該第3メサ部64に隣接するダミートレンチ部30とをダイオード部80に含めてもよい。カソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域は、コンタクト領域15からX軸方向正側に離れていてよい。
トランジスタ部70は、Y軸方向における両端において、半導体基板10の下面側に設けられたコレクタ領域22を有する。本例のコレクタ領域22は、第2導電型である。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。コレクタ領域22は、カソード領域82に隣接して設けられてよい。
境界部71を除くトランジスタ部70において、コンタクトホール54は、コンタクト領域15およびエミッタ領域12の各領域の上方に形成される。境界部71を除くトランジスタ部70において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第1メサ部60のX軸方向最も負側に設けられるコンタクト領域15の上方から、X軸方向の最も正側に設けられるコンタクト領域15の上方まで、連続して設けられてよい。コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第1メサ部60のX軸方向最も負側に設けられるコンタクト領域15の少なくとも一部と重なるように設けられてよい。コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第1メサ部60のX軸方向最も正側に設けられるコンタクト領域15の少なくとも一部と重なるように設けられてよい。
境界部71において、コンタクトホール54は、コンタクト領域15の上方に形成される。境界部71において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第2メサ部62に設けられるコンタクト領域15の上方に、X軸方向に連続して設けられてよい。
ダイオード部80において、コンタクトホール54は、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に形成される。ダイオード部80において、コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第3メサ部64のX軸方向最も負側に設けられるコンタクト領域15の上方から、X軸方向の最も正側に設けられるコンタクト領域15の上方まで、連続して設けられてよい。コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第3メサ部64のX軸方向負側に設けられるコンタクト領域15の少なくとも一部と重なるように設けられてよい。コンタクトホール54は、半導体基板10の上面視で、第3メサ部64のX軸方向正側に設けられるコンタクト領域15の少なくとも一部と重なるように設けられてよい。
半導体基板10の内部において、ベース領域14の下方には第1導電型の蓄積領域16が設けられてよい。蓄積領域16とは、ドリフト領域よりもドーパントが高濃度に蓄積された領域である。即ち、蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域のドーピング濃度よりも高い。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。蓄積領域16を設けることで、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減することができる。図4において、蓄積領域16が形成される範囲を破線で示している。蓄積領域16は、半導体基板10の上面視で、+X軸方向の端のコンタクト領域15とコンタクトホール54とが重なる領域から、−X軸方向側に形成されてよい。
外周領域90にはガードリング93が設けられる。ガードリング93は、第2導電型である。本例のガードリング93は、一例としてP+型である。ガードリング93は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。
ガードリング93は、複数設けられてよい。本例においては、一例として、ガードリング93−1、ガードリング93−2およびガードリング93−3の3つが設けられる。ガードリング93は、半導体基板10の上面視で活性領域120を囲って設けられる外周領域90と重なって、周回状に設けられてよい。
図4において、保護膜36と、開口部84との境界位置を、一点鎖線で示している。保護膜36は、ウェル領域11よりも、エミッタ領域12側まで設けられてよい。本例の保護膜36は、X軸方向において少なくとも一つのエミッタ領域12を覆っているが、他の例では、保護膜36は、エミッタ領域12と重ならない位置に設けられてもよい。本例の保護膜36は、X軸方向において少なくとも一つのコンタクト領域15を覆っているが、他の例では、保護膜36は、コンタクト領域15と重ならない位置に設けられてもよい。保護膜36のX軸方向における端部は、ベース領域14−eの上方に配置されてもよい。
また図4の例では、保護膜36は、延伸方向(X軸方向)においてカソード領域82と重なる位置まで設けられている。つまりカソード領域82の延伸方向における外周端140側の端部は、上面視で保護膜36の内部に位置してよい。他の例では、図1a等において模式的に示されているように保護膜36は、カソード領域82と重ならない位置に設けられてもよい。
図5は、図1bにおける領域Bの拡大図である。図5は、ゲートランナー53のX軸方向における両側に設けられるトランジスタ部70およびダイオード部80の近傍を、拡大して示している。ゲートランナー53のX軸方向の両側において、トランジスタ部70およびダイオード部80は、図4に示したゲートランナー48の近傍と同様の構造を有する。例えば、ゲートトレンチ部40の接続部分41は、ゲートランナー53と重なる位置に設けられている。
領域Bにおいて、ウェル領域11は、ゲートランナー53に沿って、Y軸方向に延伸して設けられている。ゲートランナー53は、ゲートトレンチ部40の導電部と接続され、ゲートトレンチ部40にゲート電圧を供給する。本例のゲートランナー53は、活性領域120を囲んで設けられる周回状のゲートランナー48と接続される。
保護膜36および開口部84のX軸方向における端部の位置は、図4における開口部84と同様であってよい。つまり、保護膜36は、ウェル領域11よりも、エミッタ領域12側まで設けられてよい。本例の保護膜36は、X軸方向において少なくとも一つのエミッタ領域12を覆っているが、他の例では、保護膜36は、エミッタ領域12と重ならない位置に設けられてもよい。本例の保護膜36は、X軸方向において少なくとも一つのコンタクト領域15を覆っているが、他の例では、保護膜36は、コンタクト領域15と重ならない位置に設けられてもよい。保護膜36のX軸方向における端部は、ベース領域14−eの上方に配置されてもよい。
保護膜36および開口部84のY軸方向における端部の位置は、トランジスタ部70と重なる位置に設けられてよい。開口部84のY軸方向における端部は、第2メサ部62の上方に配置されてよく、第1メサ部60の上方に配置されてよく、第2メサ部62と第1メサ部60との間のトレンチ部の上方に配置されてもよい。
図6aは、図5におけるa−a'断面の一例を示す図である。a−a'断面は、トランジスタ部70においてX軸方向において隣り合う2つの開口部84の一部と、2つの開口部84の間に配置された第2分離領域88を通るXZ面である。
半導体基板10は、第1導電型のドリフト領域18を備える。本例のドリフト領域18は、一例としてN−型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において、他のドーピング領域が設けられずに残存した領域であってよい。
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板または酸化ガリウム基板等であってもよい。本例の半導体基板10はシリコン基板である。
ドリフト領域18の下方には、第1導電型のバッファ領域20が設けられてよい。本例のバッファ領域20は、一例としてN+型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
バッファ領域20の下方には、半導体基板10の下面23に露出してコレクタ領域22が設けられる。下面23にはコレクタ電極24が設けられる。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。
ドリフト領域18の上方には、半導体基板10の上面21に露出してウェル領域11およびベース領域14−eが設けられる。ウェル領域11は、X軸方向において2つのベース領域14−eに挟まれて設けられる。
ウェル領域11の上方には、上面21に接して層間絶縁膜38が設けられる。層間絶縁膜38のX軸方向の幅は、ウェル領域11のX軸方向の幅よりも小さくてよい。
ウェル領域11の上方には、上面21から離間して、ゲートランナー53が設けられる。ゲートランナー53は、XZ平面内において層間絶縁膜38に囲まれるように設けられてよい。なお、ゲートランナー53は、ウェル領域11の内部にトレンチ形状に設けられてもよい。
層間絶縁膜38のX軸方向における両側において、上面21の上方にエミッタ電極52が設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上にも設けられてよい。
エミッタ電極52の上方には、保護膜36が設けられる。保護膜36は、2つのエミッタ電極52に挟まれた領域にも設けられてよい。
保護膜36に設けられた開口部84には、エミッタ電極52の上面に接してボンディングパッド98が配置される。開口部84はエミッタ電極52の上に設けられてよい。ボンディングパッド98は、エミッタ電極52の上面に、Ni(ニッケル)等の導電性金属をめっきすることにより形成されてよい。
ボンディングパッド98の上面には、Au等の金属で形成された酸化防止膜28が設けられてよい。酸化防止膜28は、ボンディングパッド98の酸化を防止する。酸化防止膜28は、ボンディングパッド98の上面に、Au等の金属をめっきすることにより形成されてよい。
幅WEは、エミッタ電極52のZ軸方向の厚みである。幅Wpは、エミッタ電極52の上面に設けられた保護膜36のZ軸方向の厚みである。幅Wmkは、エミッタ電極52の上面に設けられたボンディングパッド98のZ軸方向における厚みである。
保護膜36をX軸方向に挟んで配置される2つのボンディングパッド98のZ軸方向の幅Wmkは、等しくてよい。それぞれの開口部84に配置される全てのボンディングパッド98のZ軸方向の幅Wmkは、等しくてよい。他の例では、少なくとも一部のボンディングパッド98のZ軸方向の幅Wmkは、他のボンディングパッド98の幅Wmkと異なっていてもよい。
幅WEは、幅Wpと等しくてよく、異なっていてもよい。幅Wmkは、幅Wpよりも小さくてよい。幅WEおよび幅Wpは、2μm以上10μm以下であってよい。幅WEおよび幅Wpは、一例として5μmである。幅Wmkは、1μm以上8μm以下であってよい。幅Wmkは、一例として4μmである。
なお、コレクタ電極24の下方に、コレクタ電極24の下面に接してめっき部110が設けられてよい。めっき部110のZ軸方向の幅、即ち厚さは、ボンディングパッド98の幅Wmkと等しくてもよい。
図6bは、図5におけるb−b'断面の一例を示す図である。b−b'断面は、トランジスタ部70におけるエミッタ領域12を通過するYZ面である。本例の半導体装置100は、b−b'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、上面21および層間絶縁膜38の上面の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を介して、半導体基板10と接続されてよい。コンタクトホール54には、一つ以上のチタン膜および一つ以上の窒化チタン膜が積層されたバリアメタル26が設けられてよい。また、コンタクトホール54には、タングステンで形成されたプラグを設けてもよい。
半導体基板10の上面21には、1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30が設けられる。各トレンチ部は、上面21から、ベース領域14を貫通して、ドリフト領域18に到達して設けられている。
ゲートトレンチ部40は、上面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。即ち、ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
ゲート導電部44は、深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んで、少なくとも隣接するベース領域14と対向する領域を含む。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、上面21側に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。
ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えば、ダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。当該断面におけるダミートレンチ部30は、上面21において層間絶縁膜38により覆われる。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は下方側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。
第1メサ部60において、ドリフト領域18の上方には、ゲートトレンチ部40に接して蓄積領域16が設けられてよい。蓄積領域16とは、ドリフト領域18よりもドーパントが高濃度に蓄積された領域である。蓄積領域16を設けることで、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減することができる。
第1メサ部60において、蓄積領域16はダミートレンチ部30に接していてよいが、離れていてもよい。図6bは、蓄積領域16がダミートレンチ部30と接して設けられる一例を示している。
第1メサ部60には、上面21に接して、且つ、ゲートトレンチ部40と接して、エミッタ領域12が設けられる。図5に示すように、第1メサ部60には、X軸方向に沿って、エミッタ領域12およびコンタクト領域15とが交互に設けられてよい。
エミッタ電極52の上面には、保護膜36が設けられる。保護膜36に設けられた開口部84には、エミッタ電極52の上面に接してボンディングパッド98が配置される。ボンディングパッド98の上面には、酸化防止膜28が設けられてよい。ボンディングパッド98は、一例としてニッケルメッキである。
図7は、本実施形態に係る半導体装置100の上面の一例を示す図である。図7は、図1aに示す半導体装置100における保護膜36の上方に設けられる、はんだ部99を示している。図7においては、はんだ部99に斜線のハッチングを付している。また図7においては保護膜36のハッチングを省略している。また、分割領域72の図示を省略している。また、半導体基板10の上面視で開口部84が設けられる位置を、一点鎖線部にて示している。
本例の半導体装置100は、複数の開口部84に配置されたボンディングパッド98の上方に、複数のボンディングパッド98を電気的に接続するはんだ部99をさらに備える。はんだ部99は、パッケージのエミッタ電極端子に接続する。パッケージのエミッタ電極端子は、例えばリードフレーム、所定の厚さに成形された銅やモリブデンなどの金属板であってよい。
本例においては、一例として、はんだ部99は、半導体装置100に設けられるボンディングパッド98の全てを電気的に接続する。他の例では、半導体装置100は複数のはんだ部99を備えてもよい。それぞれのはんだ部99は、一つ以上のボンディングパッド98と接続する。半導体装置100に設けられるボンディングパッド98のそれぞれは、いずれかのはんだ部99に接続されてよい。
端部Eは、複数の開口部84のうちY軸方向における端に配置された開口部84の、Y軸方向の外周端140側の端部である。端部Eは、ボンディングパッド98の端部であってもよい。ボンディングパッド98がめっきにより形成される場合は、端部Eは、Y軸方向の端に設けられるめっき部の端部であってよい。
端部Fは、複数の開口部84のうちX軸方向における端に配置された開口部84の、X軸方向の外周端140側の端部である。端部Fは、ボンディングパッド98の端部であってもよい。ボンディングパッド98がめっきにより形成される場合は、端部Fは、X軸方向の端に設けられるめっき部の端部であってよい。
端部Gは、はんだ部99のY軸方向の端部である。端部Hは、はんだ部99のX軸方向の端部である。
端部Gは、半導体基板10の上面視で、端部Eと外周端140との間に配置されてよい。端部Hは、半導体基板10の上面視で、端部Fと外周端140との間に配置されてよい。さらに、端部Gおよび端部Hは、エッジ終端領域の内端95よりも内周側に配置されてよい。エッジ終端領域は、ガードリング、フィールドプレート、リサーフ等の耐圧構造が設けられた領域である。
端部Gが端部Eと外周端140との間に配置され、端部Hが端部Fと外周端140との間に配置されることで、はんだ部99が下面23側に設けられるめっき部110と接触しにくくなる。このため、はんだ部99とめっき部110とのショートを防ぐことができる。また、エッジ終端領域は外周端140に向かって、エミッタ電極52よりも高い電圧となる。そのため、はんだ部99がエッジ終端領域よりも外周側にはみ出ると、放電のおそれがある。よってエッジ終端領域の内端95よりもはんだ部99を内周側に位置させることで、放電を抑制できる。
さらに、制御電極部102側の端部Hは、制御電極部102よりも内周側に位置してよい。制御電極部102はパッケージの各制御端子に接続する。そのため、はんだ部99が制御電極部102に接触して短絡しないよう、はんだ部99を制御電極部102より内周側に後退させて設けてよい。
図8aは、図6aに示した構造にはんだ部99を加えて示す図である。図7において説明したように、本例のはんだ部99は、保護膜36およびボンディングパッド98の上方に設けられる。
幅Whdは、はんだ部99のZ軸方向の厚みである。幅Whdは、幅Wpの20倍以上であってよく、10倍以上であってよく、5倍以上であってもよい。
幅Whdは、はんだ部99のXY平面内における異なる位置において、等しくてよい。即ち、はんだ部99の厚さは、図7におけるはんだ部99の全体にわたり、等しい厚さであってよい。
幅Whdは、100μm以上であってよく、50μm以上であってよく、25μm以上であってもよい。本例の幅Whdは、一例として100μmである。
図8bは、図6bに示した構造にはんだ部99を加えて示す図である。図7において説明したように、本例のはんだ部99は、保護膜36およびボンディングパッド98の上方に設けられる。
なお、本例では半導体装置100がトレンチ型ゲートの場合を説明したが、ゲート電極およびチャネルが上面21と平行な方向に設けられるプレーナ型ゲートの半導体装置の場合においても、本例と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。