JP2019182951A - 成形材料および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時の高い流動性と樹脂の染み出しの抑制とを両立させ得る成形材料、および、磁気特性が良好で成形不良の少ない成形体を提供すること。【解決手段】本発明の成形材料1は、樹脂2と、軟磁性を示し鉄の含有率が85質量%以上である鉄基粒子3aと、軟磁性を示し粒径が3μm以下の微小粒子3bと、を含む磁性体粉末3と、を有する。また、前記鉄基粒子および前記微小粒子は、構成材料の組成が互いに異なることが好ましい。また、前記微小粒子の体積分率は、前記鉄基粒子の3〜25体積%であるのが好ましい。また、前記鉄基粒子は、第1粒子31と、構成材料の組成が前記第1粒子とは異なる第2粒子32と、を含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、成形材料および成形体に関するものである。
近年の電子機器の小型・軽量化に伴い、透磁率が高くかつ成形性が高い成形材料が求められている。
このような成形材料としては、磁性金属粉と、樹脂と、を含む材料が挙げられる。かかる成形材料においては、磁性金属粉のような無機粉末と樹脂との密着性を高めることが求められる。
そこで、特許文献1には、無機粉末とマトリクスとしての樹脂との密着性を改善するため、無機粉末の粒子表面にプラズマ処理を施すことが開示されている。
特開2015−137335号公報
しかしながら、プラズマ処理が施された無機粉末と樹脂とを混合して得られた成形材料では、流動性が低いという問題がある。
また、このような成形材料では、無機粉末と樹脂とが分離し易い。このため、成形する際に、分離した樹脂が成形型の意図しない領域に染み出すことによる不具合(例えば成形体の樹脂バリ等)の発生が懸念されている。
本発明の目的は、成形時の高い流動性と樹脂の染み出しの抑制とを両立させ得る成形材料、および、磁気特性が良好で成形不良の少ない成形体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 樹脂と、
軟磁性を示し鉄の含有率が85質量%以上である鉄基粒子と、軟磁性を示し粒径が3μm以下の微小粒子と、を含む磁性体粉末と、
を有することを特徴とする成形材料。
(2) 前記鉄基粒子および前記微小粒子は、構成材料の組成が互いに異なる上記(1)に記載の成形材料。
(3) 前記微小粒子の体積分率は、前記鉄基粒子の3〜25体積%である上記(2)に記載の成形材料。
(4) 前記鉄基粒子は、第1粒子と、構成材料の組成が前記第1粒子とは異なる第2粒子と、を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成形材料。
(5) 前記第1粒子の平均粒径は、10〜200μmである上記(4)に記載の成形材料。
(6) 前記第2粒子の平均粒径は、前記第1粒子の平均粒径より1〜100μm小さい上記(4)または(5)に記載の成形材料。
(7) 前記鉄基粒子の体積分率は、50〜90体積%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の成形材料。
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の成形材料の硬化物であることを特徴とする成形体。
(9) 比透磁率が、10以上である上記(8)に記載の成形体。
本発明によれば、成形時の高い流動性と樹脂の染み出しの抑制とを両立させ得る成形材料が得られる。
また、本発明によれば、磁気特性が良好で成形不良の少ない成形体が得られる。
本発明の成形材料の実施形態を示す図である。 図1に示す磁性体粉末に含まれる1つの粒子の断面図であって、表面処理の一例が施されている様子を示す概念図である。
以下、本発明の成形材料および成形体について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<成形材料>
まず、本発明の成形材料の実施形態について説明する。
図1は、本発明の成形材料の実施形態を示す図である。なお、図1は、含まれる要素を記号で示したものであり、各記号の種類は特に意味をなさない。
図1に示す成形材料1は、樹脂2と、第1粒子31および第2粒子32を含む鉄基粒子3aと微小粒子3bとを有する磁性体粉末3と、を有する。このような成形材料1は、各種成形法によって成形されることにより、目的とする形状の成形体を製造することができる。かかる成形体は、軟磁性を示し、例えば圧粉磁心等の磁性素子として用いられる。以下、成形材料1の各要素について詳述する。
(樹脂)
樹脂2は、例えば半硬化(固形)の状態で用意される。このような樹脂2は、成形時に加熱、加圧されることによって溶融し、所望の形状に成形されつつ硬化に至る。これにより、樹脂の特性を活かした成形体が得られる。
樹脂2としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはこれらの混合物等が挙げられる。樹脂2が熱硬化性樹脂を含むことにより、成形材料1の硬化物の機械的特性を高めやすくなる。また、樹脂2が熱可塑性樹脂を含むことにより、成形材料1の硬化物の低応力化を図り、硬化物の変形等を抑制することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ビスマレイミド化合物等のマレイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ジアリルフタレート樹脂;シリコーン系樹脂;ベンゾオキサジン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のシアネート樹脂等のシアネートエステル樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
このうち、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂を含むものが好ましく用いられる。
また、熱硬化性樹脂は、特に、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の固形のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。このような熱硬化性樹脂を含む樹脂2によれば、耐熱性が高く、成形に適した成形材料1が得られる。
また、熱硬化性樹脂は、特に、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂およびノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される1種以上の固形のフェノール樹脂を含むことが好ましい。このような熱硬化性樹脂を含む樹脂2によれば、耐熱性が高く、成形に適した成形材料1が得られる。
なお、熱硬化性樹脂は、必要に応じて硬化剤と併用される。
熱硬化性樹脂がノボラック型フェノール樹脂を含む場合、硬化剤としては例えばヘキサメチレンテトラミン等が用いられる。
また、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、硬化剤として、例えば脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドのようなアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物のような酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂のようなポリフェノール化合物、イミダゾール化合物等が用いられる。
また、熱硬化性樹脂がマレイミド樹脂を含む場合、硬化剤としては例えばイミダゾール化合物が用いられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン等)、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。また、成形材料1では、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
このうち、熱可塑性樹脂としては、エチレン系共重合体を含むものが好ましく用いられる。エチレン系共重合体は、金属親和性が高いという特性を有する。このため、樹脂2がエチレン系共重合体を含むことにより、成形材料1中における磁性体粉末3の分散性を高めることができる。その結果、成形材料1の均質性を高めるとともに、硬化物の機械的強度を高めることができる。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上が併用される。
これらの中でも、熱可塑性樹脂は、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、および、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)からなる群から選択される少なくとも1種類であるのがより好ましく、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)およびエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)の少なくとも一方であるのがさらに好ましい。
エチレン系共重合体は、単量体単位として、エチレンと極性基を有するビニル基とを含む。エチレン系共重合体において極性基を有するビニル基の割合は、エチレン系共重合体の全質量の5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。極性基を有するビニル基の割合が前記下限値を下回ると、成形材料1中における磁性体粉末3の分散性が低下するおそれがある。一方、極性基を有するビニル基の割合が前記上限値を上回ると、例えばエチレン系共重合体が熱硬化性樹脂と併用されるとき、双方の親和性が低下するおそれがある。
また、エチレン系共重合体は、その他の単量体単位を含んでいてもよい。
他の単量体単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル
等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上が併用される。このような他の単量体単位の含有量は、エチレン系共重合体の10質量%以下であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
また、エチレン系共重合体は、分子鎖中または分子鎖末端に、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基等の官能基を有していてもよい。
さらに、上述したエチレン系共重合体は、そのけん化物であってもよい。このけん化物は、エチレン系共重合体を、ナトリウム水酸化物、カリウム水酸化物、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシドのようなアルカリ金属化合物を用いてけん化させてなるものである。
一方、樹脂2は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の双方を含むことが好ましい。これにより、成形材料1の硬化物の機械的特性を高めつつ、硬化物の低応力化を図ることができる。その結果、例えば機械的強度が高く、かつ、変形や割れ等が発生しにくい磁性素子を実現することができる。
この場合、樹脂2における熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されないが、1〜50質量%であるのが好ましく、5〜40質量%であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が前記下限値を下回ると、樹脂2に含まれる熱硬化性樹脂の種類や樹脂2の配合比率等によっては、成形材料1の硬化物の低応力化を十分に図ることができないおそれがある。一方、熱可塑性樹脂の含有率が前記上限値を上回ると、樹脂2に含まれる熱硬化性樹脂の種類や樹脂2の配合比率等によっては、成形材料1の成形性が低下するおそれがある。
また、成形材料1の硬化物のガラス転移温度Tgは、特に限定されないが、150℃以上であるのが好ましく、170℃以上であるのがより好ましく、190℃以上であるのがさらに好ましい。このような成形材料1を用いることにより、高温環境下での使用に適した成形体を製造可能な成形材料1が得られる。
なお、成形材料1のガラス転移温度Tgは、例えば、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)により測定される。
このような樹脂2の質量分率は、成形材料1の2〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。これにより、樹脂2の含有率が最適化されるため、成形時の高い流動性と樹脂の染み出しの抑制とを特に両立させ得る成形材料1が得られる
なお、樹脂2の質量分率は、樹脂2に硬化剤が併用される場合、その硬化剤の質量も含んで計算される。
(磁性体粉末)
磁性体粉末3は、前述したように、第1粒子31および第2粒子32を含む鉄基粒子3aと、微小粒子3bと、を有する。
−鉄基粒子−
このうち、鉄基粒子3aに含まれる第1粒子31は、軟磁性を示し、鉄の含有率が85質量%以上である粒子である。
軟磁性とは、保磁力が小さい強磁性のことを指す。一般的には、保磁力が800A/m以下である強磁性のことを軟磁性という。
第1粒子31の構成材料としては、構成元素としての鉄の含有率が85質量%以上である金属材料が挙げられる。このように構成元素としての鉄の含有率が高い金属材料は、透磁率や磁束密度等の磁気特性が比較的良好な軟磁性を示す。このため、例えば圧粉磁心等に成形されたとき、良好な磁気特性を示し得る成形材料が得られる。
また、この金属材料の形態としては、例えば、単体の他、固溶体、共晶、金属間化合物のような合金等が挙げられる。このような金属材料で構成された第1粒子31を用いることにより、鉄に由来する優れた磁気特性、すなわち、高透磁率や高磁束密度等の磁気特性を有する成形材料1を得ることができる。
また、上記金属材料は、構成元素として鉄以外の元素を含んでいてもよい。鉄以外の元素としては、例えば、B、C、N、O、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、上記金属材料の具体例としては、例えば、純鉄、ケイ素鋼、鉄−コバルト合金、鉄−ニッケル合金、鉄−クロム合金、鉄−アルミニウム合金、カルボニル鉄、ステンレス鋼、またはこれらのうちの1種もしくは2種以上を含む複合材料等が挙げられる。
鉄基粒子3aの平均粒径は、3μm超であれば特に限定されないが、4〜180μmであるのが好ましく、5〜150μmであるのがより好ましく、7〜100μmであるのがさらに好ましい。鉄基粒子3aの平均粒径が前記範囲内であることにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
なお、鉄基粒子3aの平均粒径が前記下限値を下回ると、構成材料の比重や粒子形状等によっては、成形材料1の成形性が低下するおそれがある。一方、鉄基粒子3aの平均粒径が前記上限値を上回ると、構成材料の比重や粒子形状等によっては、成形材料1中において鉄基粒子3aが沈降し易くなり、均一性が低下するおそれがある。
また、第1粒子31の平均粒径は、特に限定されないが、10〜200μmであるのが好ましく、12〜150μmであるのがより好ましく、15〜100μmであるのがさらに好ましい。第1粒子31の平均粒径が前記範囲内であることにより、成形材料1の透磁率等の磁気特性をより高めることができる。
なお、鉄基粒子3aや第1粒子31の平均粒径は、体積平均粒径を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、第1粒子31の構成材料は、結晶材料であってもよく、アモルファス材料であってもよく、粒子中でこれらが混在した材料であってもよい。
さらには、鉄基粒子3aには、結晶材料で構成された第1粒子31と、アモルファス材料で構成された第1粒子31と、が混在していてもよい。これにより、表面硬度の異なる2種類の第1粒子31が混在することとなる。その結果、流動時の第1粒子31同士の相互作用が最適化され、より高い流動性が確保される。
また、第1粒子31の球形度は、特に限定されないが、0.60〜1.00であるのが好ましく、0.70〜1.00であるのがより好ましい。第1粒子31の球形度が前記範囲内であることにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
なお、第1粒子31の球形度は、第1粒子31の走査型電子顕微鏡(SEM)像において、その面積に等しい真円を等面積円とするとき、等面積円相当径/外接円径で求めることができる。そして、任意に選択された10個以上の第1粒子31について等面積円相当径/外接円径を算出し、その平均値を「第1粒子31の球形度」とする。
第2粒子32は、軟磁性を示し、構成材料の組成が第1粒子31とは異なる粒子である。
第2粒子32の構成材料は、第1粒子31の構成材料として前述した材料から適宜選択される。
構成材料の組成が異なるとは、構成元素の含有率が1質量%以上異なる状態をいう。
このようにして構成材料の組成が第1粒子31と異なる第2粒子32を用いることにより、表面の化学的状態や表面硬度の異なる2種類の粒子が混在することとなる。その結果、流動時の第1粒子31と第2粒子32の相互作用が最適化され、より高い流動性が確保される。
また、第2粒子32の平均粒径は、特に限定されないが、第1粒子31の平均粒径と異なることが好ましい。すなわち、第2粒子32の平均粒径は、第1粒子31の平均粒径より大きくてもよいが、小さいことが好ましい。これにより、比較的粒径の大きい第1粒子31を含んでいても、成形材料1の流動性の低下を抑えることができる。すなわち、第1粒子31に由来する優れた磁気特性を確保しつつ、第2粒子32によって成形材料1の高流動性も確保することができる。
なお、第2粒子32の平均粒径が第1粒子31の平均粒径より小さい場合、第1粒子31の平均粒径と第2粒子32の平均粒径との差は、成形材料1の流動性を考慮して適宜設定されるが、一例として1〜100μmであるのが好ましく、3〜80μmであるのがより好ましく、5〜60μmであるのがさらに好ましく、8〜50μmであるのが特に好ましい。これにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
すなわち、平均粒径の差が前記下限値を下回ると、流動性を高める効果が減少するおそれがある。また、第1粒子31と第2粒子32の粒径差が小さくなるため、第2粒子32が第1粒子31同士の隙間を埋めるように配置されるという作用が弱くなり、磁性材料の充填性が低下するおそれがある。一方、平均粒径の差が前記上限値を上回ると、第1粒子
31の粒径によっては、第2粒子32の粒径が小さくなり過ぎるため、成形材料1の流動性が低下するおそれがある。
なお、第2粒子32の平均粒径は、体積平均粒径を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、第2粒子32の構成材料は、結晶材料であってもよく、アモルファス材料であってもよく、これらが混在した材料であってもよい。
また、第2粒子32の球形度は、特に限定されないが、0.60〜1.00であるのが好ましく、0.70〜1.00であるのがより好ましい。第2粒子32の球形度が前記範囲内であることにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
なお、第2粒子32の球形度は、第2粒子32の走査型電子顕微鏡(SEM)像において、その面積に等しい真円を等面積円とするとき、等面積円相当径/外接円径で求めることができる。そして、任意に選択された10個以上の第2粒子32について等面積円相当径/外接円径を算出し、その平均値を「第2粒子32の球形度」とする。
また、第2粒子32は、必要に応じて添加されればよく、省略されてもよい。
また、磁性体粉末3は、第1粒子31や第2粒子32以外の軟磁性粒子、例えばNi基軟磁性粒子、Co基軟磁性粒子等を含んでいてもよい。
また、第1粒子31および第2粒子32の少なくとも一方には、表面処理が施されていてもよい。
前記表面処理とは、粒子表面を改質するための操作をいう。この操作としては、後述するように、例えば、粒子表面をカップリング剤で処理したり、粒子をプラズマ処理したりすることが挙げられる。
図2は、図1に示す磁性体粉末3に含まれる1つの粒子の断面図であって、表面処理の一例が施されている様子を示す概念図である。
図2に示す第1粒子31’は、第1粒子31の表面31Sに下記一般式(1)で表される官能基が結合したものである。すなわち、図2に示す第1粒子31’は、第1粒子31に表面処理を施した結果、その表面31Sを下記一般式(1)の官能基で覆ってなるものである。
*−O−X−R ・・・(1)
[式中、Rは、有機基を表し、Xは、Si、Ti、Al、またはZrであり、*は、第1粒子31を構成する原子の1つである。]
また、このような官能基は、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等の各種カップリング剤による表面処理によって形成された残基であるが、特にシラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤からなる群より選択されるカップリング剤の残基であることが好ましい。これにより、磁性体粉末3を樹脂組成物に配合して成形材料1としたとき、その流動性をより高めることができる。
なお、のちに詳述するが、第1粒子31は、樹脂組成物に配合した際、所定の粘度比率(チクソ比)を満足することが好ましい。かかる観点から、上述したような表面処理を施
すことにより、配合物の粘度比率を制御し、所定の条件を満足させることができる。
また、上述したような官能基を結合させる際には、第1粒子31に対する表面処理の一環としてあらかじめプラズマ処理を施すようにしてもよい。例えば、酸素プラズマ処理を施すことにより、第1粒子31の表面31SにOH基が生じて、図2に示すように、酸素原子を介した第1粒子31とカップリング剤の残基との結合が容易になる。これにより、より強固に官能基を結合させることができる。
なお、第1粒子31’において第1粒子31とカップリング剤の残基とが酸素原子を介して結合していることは、例えばフーリエ変換赤外分光光度計によって確認することができる。
また、上述したような表面処理は、第2粒子32に施されてもよく、第1粒子31と第2粒子32の双方に施されてもよい。
なお、成形材料1の流動性を高めるという観点からは、第1粒子31のみに表面処理を施すようにしてもよい。これにより、第1粒子31と第2粒子32とで表面の状態が相違するため、樹脂2との相互作用においてそれぞれが異なる挙動を示し、結果的に流動性を高めることに寄与する。
第1粒子31は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む樹脂組成物に配合した際に、温度条件30℃において下記の粘度比率(チクソ比)を満足するものであるのが好ましい。
まず、第1粒子31を前記樹脂組成物に配合し、粘弾性測定装置で粘度を測定する。
そして、ずりせん断速度を1とした際の粘度をη1とし、粘弾性測定装置のずりせん断速度を10とした際の粘度をη10とする。
このとき、η1/η10<3.4を満足するのが好ましい。
なお、この測定において用いられるエポキシ樹脂は、アリル化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物である。
また、この測定において用いられるフェノール樹脂は、2−アリルフェノールホルムアルデヒド重縮合物である。
また、第1粒子31を樹脂組成物に配合する際、第1粒子31の使用量は、樹脂組成物の合計100体積部に対して、15〜50体積部の範囲とする。
また、エポキシ樹脂の使用量は、樹脂組成物中の30〜60体積%とし、フェノール樹脂の使用量は、樹脂組成物中の10〜30体積%とする。
また、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計の使用量は、樹脂組成物中の50〜85体積%とする。
樹脂組成物には、溶媒が用いられてもよく、この溶媒としては、例えば、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
なお、粘度比率(チクソ比)η1/η10は、前述したように3.4未満とされるが、
1.5以上3.4未満であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることがより好ましく、2.1以上3.0未満であることがさらに好ましく、2.2以上2.8以下であることが特に好ましい。粘度比率(チクソ比)η1/η10が前記範囲内であることにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
なお、粘度の測定は、粘弾性測定装置(HAAKE社製「RheoStress RS150」)を用い、第1粒子31が配合された樹脂組成物にパラレルプレート20mmφの50〜1000μmのギャップ間においてずりせん断を与えつつ測定することができる。
また、粘度比率が上記範囲を満たすためには、前述したように酸素プラズマ処理やカップリング剤処理のような表面処理を施す方法が挙げられる。なかでも、酸素プラズマ処理とカップリング剤処理の双方を施すことが好ましく、その際、カップリング剤としてシラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤からなる群より選択されるカップリング剤を用いるのがより好ましい。
なお、このような表面処理は、必要に応じて施されればよく、省略されてもよい。
また、上述した表面処理の下地には、別のコート処理が施されてもよい。かかるコート処理としては、例えば、シリコーン樹脂のような樹脂コートの他、シリカコート等が挙げられる。このようなコート処理が施されることにより、鉄基粒子3aの絶縁性をより高めることができる。
なお、このようなコート処理は、必要に応じて施されればよく、省略されてもよい。
また、このコート処理は、上述した表面処理の下地としてではなく、単独で施されていてもよい。
このような鉄基粒子3aの体積分率は、成形材料1の50〜90体積%であるのが好ましく、55〜85体積%であるのがより好ましい。これにより、鉄基粒子3aの含有率が十分に高くなるため、良好な磁気特性を有する成形材料1が得られる。
なお、鉄基粒子3aの体積分率が前記下限値を下回ると、鉄基粒子3aの磁気特性によっては、成形材料1の磁気特性が低下するおそれがある。また、鉄基粒子3aの体積分率が前記上限値を上回ると、相対的に樹脂2の体積分率が低下するため、成形材料1の流動性が低下したり、硬化後の機械的特性が低下したりするおそれがある。
一方、各成分の比重によっても異なるものの、鉄基粒子3aの質量分率の一例は、成形材料1の75〜98質量%であるのが好ましく、80〜97質量%であるのがより好ましい。これにより、体積分率の場合と同様、良好な磁気特性を有する成形材料1が得られる。
−微小粒子−
成形材料1は、軟磁性を示し、粒径が3μm以下である微小粒子3bを含んでいる。
このような微小粒子3bを含む成形材料1は、前述したように成形時において高い流動性を示すとともに、成形時における樹脂2の染み出しが抑制される。このため、成形材料1の成形性が良好になり、磁性体粉末3の充填性と均一性とをより高めることができるので、成形体において良好な磁気特性が得られる。また、樹脂2の染み出しが抑制されることによって、成形体における樹脂バリ等の発生が抑制される。加えて、樹脂2の染み出し
に伴って成形材料1の成分バランスが崩れてしまい、成形体の機械的特性が低下するのを防止することができる。したがって、成形不良の少ない成形体が得られる。
なお、樹脂2の染み出しが抑制される理由としては、成形時における樹脂2の染み出しの経路に微小粒子3bが詰まることにより、この経路が塞がれることが挙げられる。
また、微小粒子3bが含まれることにより、成形材料1における磁性材料の体積分率をより高めることができる。すなわち、微小粒子3bは隙間に入り込み易いため、その分、磁性材料の充填性が高くなる。その結果、成形材料1の磁気特性をさらに高めることができる。
微小粒子3bの構成材料としては、例えば、第1粒子31の構成材料として前述した材料から適宜選択されてもよく、それ以外の軟磁性材料(例えばソフトフェライト、Ni基軟磁性材料、Co基軟磁性材料等)であってもよい。
また、微小粒子3bの構成材料の組成は、第1粒子31や第2粒子32の構成材料の組成と同じであっても異なっていてもよい。
構成材料の組成が異なるとは、構成元素の含有率が1質量%以上異なる状態をいう。
このようにして構成材料の組成が第1粒子31や第2粒子32とは異なる微小粒子3bを用いることにより、成形材料1中において表面の化学的状態や表面硬度の異なる粒子が混在することとなる。その結果、流動時の鉄基粒子3aと微小粒子3bの相互作用が最適化され、より高い流動性が確保される。
微小粒子3bの粒径は、3μm以下であれば特に限定されないが、0.1〜2.8μmの微小粒子3bが含まれているのが好ましい。このような粒径は、微小粒子3bが樹脂2の染み出し経路を埋めるのに必要な粒径であって、かつ、樹脂2の溶融物とともに流れ易い粒径となる。
また、微小粒子3bの球形度は、特に限定されないが、0.30〜1.00であるのが好ましく、0.50〜1.00であるのがより好ましい。微小粒子3bの球形度が前記範囲内であることにより、微小粒子3b自体の転がりを活かして成形材料1の流動性を確保する一方、微小粒子3bが隙間等に詰まり易くなって樹脂2の染み出しを抑制し易くなる。すなわち、成形材料1の流動性と、微小粒子3bの染み出しの抑制と、を両立させることができる。
なお、微小粒子3bの球形度は、微小粒子3bの走査型電子顕微鏡(SEM)像において、その面積に等しい真円を等面積円とするとき、等面積円相当径/外接円径で求めることができる。そして、任意に選択された10個以上の微小粒子3bについて等面積円相当径/外接円径を算出し、その平均値を「微小粒子3bの球形度」とする。
成形材料1は、上述したように、粒径3μm以下である微小粒子3bを含んでいればよいが、磁性体粉末3における微小粒子3bの含有率は、鉄基粒子3aに対する相対比として規定される。
すなわち、微小粒子3bの体積分率は、鉄基粒子3aの3〜25体積%であるのが好ましく、5〜20体積%であるのがより好ましい。また、微小粒子3bの質量分率は、鉄基粒子3aの3〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましい。これにより、微小粒子3bの含有率が最適化されるため、十分な流動性を有するととも
に、樹脂2の染み出しをより確実に抑制可能な成形材料1が得られる。
なお、微小粒子3bの体積分率または質量分率が前記下限値を下回ると、微小粒子3bがもたらす流動性向上の効果が低減するため、成形材料1の流動性が低下するとともに、樹脂2の染み出しを抑制する効果も低減するおそれがある。また、微小粒子3bの体積分率または質量分率が前記上限値を上回ると、相対的に鉄基粒子3aの体積分率が減少したり樹脂2の体積分率または質量分率が減少したりするため、成形材料1の磁気特性や流動性の低下を招くおそれがある。
一方、各成分の比重によっても異なるものの、微小粒子3bの質量分率の一例は、成形材料1の0.5〜25質量%であるのが好ましく、3〜20質量%であるのがより好ましい。これにより、体積分率の場合と同様、十分な流動性を有するとともに、樹脂2の染み出しをより確実に抑制可能な成形材料1が得られる。
なお、微小粒子3bの粒径および体積分率は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
(非磁性体粉末)
成形材料1は、必要に応じて、非磁性を示す非磁性体粉末を含んでいてもよい。
非磁性体粉末は、非磁性を示し、平均粒径が3μm以下であり、かつ、平均粒径が鉄基粒子3aより小さい粉末である。
非磁性とは、強磁性を有さないことを指す。
このような非磁性体粉末を含む成形材料1は、前述したように成形時においてより高い流動性を示すとともに、成形時における樹脂2の染み出しがさらに抑制される。このため、成形材料1の成形性がより良好になり、磁性体粉末3の充填性と均一性とをさらに高めることができるので、成形体においてとりわけ良好な磁気特性が得られる。また、樹脂2の染み出しが抑制されることによって、成形体における樹脂バリ等の発生が抑制される。加えて、樹脂2の染み出しに伴って成形材料1の成分バランスが崩れてしまい成形体の機械的特性が低下するのを防止することができる。したがって、成形不良の少ない成形体が得られる。
なお、樹脂2の染み出しが抑制される理由としては、成形時における樹脂2の染み出しの経路に非磁性体粉末が詰まることにより、この経路が塞がれることが挙げられる。
非磁性体粉末の構成材料としては、例えば、セラミックス材料、ガラス材料等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含む材料が用いられる。このうち、セラミックス材料を含むものが好ましく用いられる。このような非磁性体粉末は、成形材料1の溶融粘度を低減させるように作用するため、成形材料1の流動性をさらに高めることができる。
セラミックス材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、カルシア等の酸化物系セラミックス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウムのような窒化物系セラミックス材料、炭化ケイ素、炭化ホウ素のような炭化物系セラミックス材料等が挙げられる。また、これらの中の1種を単独で用いてもよいし、これらの中の1種を含む混合物を用いてもよい。
また、セラミックス材料は、特にシリカを含むのが好ましい。シリカは、樹脂2との親和性が高く、絶縁性が高いため、成形材料1に用いられる非磁性体粉末の構成材料として
有用である。
非磁性体粉末の構成材料の真比重は、1.0〜6.0g/cmであるのが好ましく、1.2〜5.0g/cmであるのがより好ましく、1.5〜4.5g/cmであるのがさらに好ましい。このような非磁性体粉末は、比重が小さいため、樹脂2の溶融物とともに流動し易い。このため、成形時において樹脂2の溶融物が成形型の隙間等に向かって流動するとき、その溶融物とともに非磁性体粉末が流れ易くなる。その結果、隙間が非磁性体粉末によって塞がれ、樹脂2の染み出しをより確実に抑制することができる。なお、成形型の隙間とは、例えば、トランスファー成形機のプランジャーとシリンダーとの隙間(クリアランス)等が挙げられる。
非磁性体粉末の平均粒径は、3μm以下であれば特に限定されないが、0.1〜2.8μmであるのが好ましく、0.5〜2.5μmであるのがより好ましい。このような粒径は、非磁性体粉末が樹脂2の染み出し経路を埋めるのに必要な粒径であって、かつ、樹脂2の溶融物とともに流れ易い粒径となる。
なお、非磁性体粉末の平均粒径は、体積平均粒径を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、非磁性体粉末の平均粒径は、3μm以下であってかつ磁性体粉末3の平均粒径より小さければよいが、その差が5μm以上であるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましく、15〜60μmであるのがさらに好ましい。
また、非磁性体粉末の球形度は、特に限定されないが、0.50〜1.00であるのが好ましく、0.75〜1.00であるのがより好ましい。非磁性体粉末の球形度が前記範囲内であることにより、非磁性体粉末自体の転がりを活かして成形材料1の流動性を確保する一方、非磁性体粉末が隙間等に詰まり易くなって樹脂2の染み出しを抑制し易くなる。すなわち、成形材料1の流動性と、樹脂2の染み出しの抑制と、を両立させることができる。
なお、非磁性体粉末の球形度は、非磁性体粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)像において、その面積に等しい真円を等面積円とするとき、等面積円相当径/外接円径で求めることができる。そして、任意に選択された10個以上の非磁性体粉末について等面積円相当径/外接円径を算出し、その平均値を「非磁性体粉末の球形度」とする。
このような非磁性体粉末の体積分率は、磁性体粉末3の3〜25体積%であるのが好ましく、5〜20体積%であるのがより好ましい。また、非磁性体粉末の質量分率は、磁性体粉末3の0.5〜10質量%であるのが好ましく、1〜5質量%であるのがより好ましい。これにより、非磁性体粉末の含有率が最適化されるため、十分な流動性を有するとともに、樹脂2の染み出しをより確実に抑制可能な成形材料1が得られる。
なお、非磁性体粉末の体積分率または質量分率が前記下限値を下回ると、非磁性体粉末がもたらす流動性向上の効果が低減するため、成形材料1の流動性が低下するとともに、樹脂2の染み出しを抑制する効果も低減するおそれがある。また、非磁性体粉末の体積分率または質量分率が前記上限値を上回ると、相対的に磁性体粉末3の体積分率または質量分率が減少したり樹脂2の体積分率または質量分率が減少したりするため、成形材料1の磁気特性や流動性の低下を招くおそれがある。
一方、各成分の比重によっても異なるものの、非磁性体粉末の質量分率の一例は、成形材料1の0.5〜15質量%であるのが好ましく、0.7〜10質量%であるのがより好
ましい。これにより、体積分率の場合と同様、十分な流動性を有するとともに、樹脂2の染み出しをより確実に抑制可能な成形材料1が得られる。
(その他の成分)
成形材料1は、上述した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、溶媒、離型剤、硬化促進剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、充填材、染料、顔料、難燃剤等が挙げられる。
以上のような成形材料1は、粉末状の他、顆粒状や所望の形状に打錠してなるタブレット状等にされてもよい。
<成形材料の製造方法>
次に、成形材料1を製造する方法の一例について説明する。なお、ここでは、第1粒子31に表面処理を施すことによって成形材料1を製造する例について説明する。
本例に係る成形材料1を製造する方法は、第1粒子31にプラズマ処理を施す工程(i)と、工程(i)でプラズマ処理が施された第1粒子31とカップリング剤とを反応させる工程(ii)と、カップリング剤と反応させた第1粒子31を含む磁性体粉末3、樹脂2およびその他の添加物を混合して成形材料1を得る工程(iii)と、を有する。
(工程(i))
まず、第1粒子31にプラズマ処理を施す。このとき、第1粒子31の表面31Sに対して均一にプラズマ処理を施すことが好ましい。これにより、第1粒子31の表面31Sを活性化させ、カップリング剤を効率よく反応させることができる。
均一にプラズマ処理を施すには、例えば、第1粒子31を空中に分散させてプラズマ処理する方法が挙げられる。
また、プラズマ処理は、酸素プラズマ処理であるのが好ましい。これにより、第1粒子31の表面31Sに対して効率よくOH基を修飾することができる。
酸素プラズマ処理の圧力は、特に限定されないが、100〜200Paであることが好ましく、120〜180Paであることがより好ましい。
酸素プラズマ処理における処理ガスの流量は、特に限定されないが、1000〜5000mL/分であることが好ましく、2000〜4000mL/分であることがより好ましい。
酸素プラズマ処理の出力は、特に限定されないが、100〜500Wであることが好ましく、200〜400Wであることがより好ましい。
酸素プラズマ処理の処理時間は、上述した各種条件に応じて適宜設定されるが、5〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。
また、酸素プラズマ処理を施す前に、さらにアルゴンプラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、第1粒子31の表面31SにOH基を修飾するための活性点を形成することができるので、OH基の修飾をより効率よく行うことができる。
アルゴンプラズマ処理の圧力は、特に限定されないが、10〜100Paであることが好ましく、15〜80Paであることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理における処理ガスの流量は、特に限定されないが、10〜100mL/分であることが好ましく、20〜80mL/分であることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理の出力は、100〜500Wであることが好ましく、200〜400Wであることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理の処理時間は、5〜60分であることが好ましく、10〜40分であることがより好ましい。
(工程(ii))
次に、工程(i)でプラズマ処理が施された直後の第1粒子31とカップリング剤とを反応させる。この方法としては、例えば、工程(i)でプラズマ処理が施された直後の第1粒子31をカップリング剤の希釈溶液に浸漬したり、第1粒子31にカップリング剤を直接噴霧したりする方法が挙げられる。これにより、反応がより進行し易くなり、第1粒子31の表面31Sをより改質し易くなる。なお、プラズマ処理が施された直後とは、プラズマ処理を施してから0〜24時間の範囲をいう。
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらのうち、特に、シラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。これにより、成形材料1の流動性をより高めることができる。
カップリング剤の使用量は、第1粒子31の100質量部に対して、0.05〜1質量部であるのが好ましく、0.1〜0.5質量部であるのがより好ましい。
カップリング剤と反応させるときの溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
カップリング剤の使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1〜2質量部であるのが好ましく、0.5〜1.5質量部であるのがより好ましい。
また、カップリング剤との反応時間(例えば希釈溶液に対する浸漬時間等)は、1〜24時間であることが好ましい。
このような製造方法によれば、樹脂組成物と配合した際の流動性を高められる磁性体粉末3を効率よく製造することができる。
(工程(iii))
次に、カップリング剤と反応させた第1粒子31を含む磁性体粉末3、樹脂2およびその他の添加物を、ミキサーを用いて混合した後、ロールを用いて120℃、5分混練することにより混練物を得る。
次に、この混練物を冷却後粉砕することで、粉末状の成形材料1を得る。
なお、その後、必要に応じて顆粒状や粉末状の成形材料1を打錠してタブレット状に圧粉してもよい。
このような成形材料1は、例えばトランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、プレス成形法等の各種成形法により成形される。これにより、樹脂2が溶融するとともに流動し、目的とする形状に成形される。
その後、樹脂2が硬化し、成形体が得られる。かかる成形体は、例えば、自動車のリアクトル、インダクター、モーター磁石固定材等に用いられる。
<成形体>
次に、本発明の成形体の実施形態について説明する。
本実施形態に係る成形体は、上述した成形材料1(実施形態に係る成形材料)の硬化物である。すなわち、この成形体は、成形材料1が加熱されつつ成形されることにより、樹脂2が硬化し、磁性体粉末3や非磁性体粉末が樹脂2を介して結着する。その結果、磁気特性が良好で成形不良の少ない成形体が得られる。
このような成形体は、比透磁率が10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、18以上であることがさらに好ましい。このような成形体は、磁気特性が良好であるため、高性能なリアクトル、インダクター、モーターといった磁性デバイスの実現に寄与する。また、成形体の高透磁率化に伴って、これらの磁性デバイスの小型化を図ることができる。
なお、成形体の比透磁率は、以下のようにして測定される。
まず、成形材料1を低圧トランスファー成形機により成形し、直径16mm、高さ32mmの円柱状成形物を得る。
次に、得られた成形物について、電磁石型磁化器および交直流磁化特性記録装置(メトロン技研(株)製、MTR-1488)を用いて磁化曲線(B−H曲線)を取得する。そ
して、得られた初磁化曲線の傾きの最大値(最大透磁率)を求めるとともに、求めた最大透磁率を真空中の透磁率で除することにより、比透磁率を算出する。
以上、本発明を、実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の成形材料および成形体は、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.成形材料の製造
(実施例1)
[1]鉄基粒子の第1粒子に対するプラズマ処理
まず、回転式卓上真空プラズマ装置((株)魁半導体製、YHS−DΦS)を用いて、アモルファス磁性粉(エプソンアトミックス(株)製、KUAMET6B2、球形度0.85)に対し、Arプラズマで前処理(ガス種Ar、圧力20Pa、流量50mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施した。次いで、同装置を用いて、Oプラズマ処理(ガス種HOバブリング/O、圧力150Pa、流量3000mL/分、出力300W、処理時間40分)を実施した。
[2]鉄基粒子の第1粒子に対するカップリング剤処理
次に、Oプラズマ処理終了後の粉体(20g)を、Oプラズマ処理後5分後に、シラン系カップリング剤(0.3g、信越化学工業(株)製、KBM303)とエタノール(20g)との溶液に浸漬させて、シェーカーで終夜撹拌した。次いで、遠心分離機で固形分を分離し、エタノールで3回洗浄後、85℃で2時間乾燥して、表面処理を施したアモルファス鉄粉(第1粒子)を得た。
[3]混合処理
次に、鉄基粒子の第1粒子として、上述した表面処理を施したアモルファス磁性粉(エプソンアトミックス(株)製、KUAMET6B2、球形度0.85)を用意した。
また、鉄基粒子の第2粒子として、合金鋼粉末(大同特殊鋼(株)製、DAPMSC5、球形度0.80)を用意した。なお、第1粒子と第2粒子からなる鉄基粒子の体積分率は、各成分の比重と質量分率から算出されるが、成形材料全体の69.6体積%であった。
また、微小粒子として、カルボニル鉄粉(BASF社製、CIP−HQ、球形度0.90)を用意した。なお、微小粒子の体積分率は、各成分の比重と質量分率から算出されるが、鉄基粒子の11.7体積%であった。
また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60)を用意した。
また、硬化剤として、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製、PR−HF−3)を用意した。
また、その他の成分(添加剤)として、離型剤(クラリアントケミカルズ(株)製、エステルワックスWE−4)、および、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業(株)製、キュアゾール2PZ−PW)を用意した。
次に、これらの各成分を混合し、成形材料を得た。なお、各成分の特性、配合比率等は、表2に示す通りである。
(実施例2〜8および比較例1、2)
成形材料の各成分および配合比率を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。なお、鉄基粒子の体積分率は、成形材料全体の65〜85体積%であった。また、微小粒子の体積分率は、鉄基粒子の5〜20体積%であった。
また、表2に記載している磁性体粉末の構成材料の合金組成は、表1の通りである。なお、表2中の「カルボニル鉄粉YW1」の合金組成は、表1に示すカルボニル鉄粉CIP−HQの合金組成とほぼ同等である。

また、表2に記載している記号は、以下の意味である。
NC3000:日本化薬(株)製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
BAPP:和歌山精化工業(株)製、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
ABP−N:三井化学(株)製、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3−(3’−(3’’−アミノフェノキシ)フェニル)アミノ−1−(3’−(3’’−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンの混合物
2.成形材料の評価
2.1 流動性の評価
各実施例および各比較例で得られた成形材料について、低圧トランスファー成形機およびスパイラルフロー金型を用いて、スパイラルフロー量を求める評価を行った。
具体的には、低圧トランスファー成形機として、コータキ精機社製「KST−30」を用意した。また、スパイラルフロー金型として、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー金型を用意した。そして、低圧トランスファー成形機のプランジャーを降下させて成形材料をスパイラルフロー金型内に注入した。このときの金型温度は175℃、注入圧力は6.9MPa、保圧時間は120秒とした。以上のようにして注入した成形材料の到達長さ等に基づいてスパイラルフロー量を求めた。
求めたスパイラルフロー量を表2に示す。
2.2 樹脂染み出しの評価
まず、2.1で行った低圧トランスファー成形機による成形プロセス後、プランジャーの上部に染み出した樹脂の有無を目視にて確認した。
次に、確認結果を以下の評価基準に照らして樹脂染み出しを評価した。
<樹脂染み出しの評価基準>
○:プランジャーの上部に樹脂が全く認められない
△:プランジャーの上部にわずかな樹脂が認められる
×:プランジャーの上部に多量の樹脂が認められる
以上の評価結果を表2に示す。
2.3 磁気特性の評価
各実施例および各比較例で得られた成形材料を低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、直径16mm、高さ32mmの円柱状成形物を得た。
次いで、得られた成形物を175℃、4時間で後硬化して試験片を作製した。
次に、得られた試験片について、最大透磁率に基づく比透磁率μを、電磁石型磁化器および交直流磁化特性記録装置(メトロン技研(株)製、MTR−1488)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
2.4 機械的特性の評価
各実施例および各比較例で得られた成形材料を低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、幅10mm、厚み4mm、長さ80mmの成形品を得た。
次いで、得られた成形品を175℃、4時間で後硬化して試験片を作製した。
そして、得られた試験片の曲げ強度を測定した。測定結果を表2に示す。
2.5 ガラス転移温度の評価
各実施例および各比較例で得られた成形材料を低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、15mm×4mm×4mmの成形品を得た。
次いで、得られた成形品を175℃、4時間で後硬化して試験片を作製した。
そして、得られた試験片に対して、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜300℃、昇温速度5℃/分の条件下でガラス転移温度Tgを測定した。測定結果を表2に示す。

表2から明らかなように、各実施例で得られた成形材料は、流動性が高く、かつ、樹脂染み出しを抑制可能であることが認められた。
したがって、成形材料の成形性が良好になり、磁性体粉末の充填性と均一性とをより高めることができるので、良好な磁気特性を有する成形体が得られること、および、樹脂の染み出しが抑制されることによって、成形体における樹脂バリ等の発生が抑制され、成形不良の少ない成形体が得られること、等が裏付けられた。
1 成形材料
2 樹脂
3 磁性体粉末
3a 鉄基粒子
3b 微小粒子
31 第1粒子
31’ 第1粒子
31S 表面
32 第2粒子

Claims (9)

  1. 樹脂と、
    軟磁性を示し鉄の含有率が85質量%以上である鉄基粒子と、軟磁性を示し粒径が3μm以下の微小粒子と、を含む磁性体粉末と、
    を有することを特徴とする成形材料。
  2. 前記鉄基粒子および前記微小粒子は、構成材料の組成が互いに異なる請求項1に記載の成形材料。
  3. 前記微小粒子の体積分率は、前記鉄基粒子の3〜25体積%である請求項2に記載の成形材料。
  4. 前記鉄基粒子は、第1粒子と、構成材料の組成が前記第1粒子とは異なる第2粒子と、を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の成形材料。
  5. 前記第1粒子の平均粒径は、10〜200μmである請求項4に記載の成形材料。
  6. 前記第2粒子の平均粒径は、前記第1粒子の平均粒径より1〜100μm小さい請求項4または5に記載の成形材料。
  7. 前記鉄基粒子の体積分率は、50〜90体積%である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の成形材料。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の成形材料の硬化物であることを特徴とする成形体。
  9. 比透磁率が、10以上である請求項8に記載の成形体。
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