JP2019181785A - ポリカーボネート樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面硬度、耐熱性、耐衝撃性に優れた光学歪みの少ないポリカーボネート樹脂積層体の提供。【解決手段】少なくともポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂積層体であって、以下の(I)〜(IV)を満たすポリカーボネート樹脂積層体。(I)3種類の特定エステル単位から構成される共重合ポリカーボネートであること。(II)フィルム層の厚さが0.05〜0.5mmであり、積層体の合計厚みが0.8〜5.0mmであること。(III)前記(A)のガラス転移温度が140℃以上であり、前記(B)のガラス転移温度との温度差が10℃以下であること。(IV)フィルム層のJISK5600に準拠して測定した鉛筆硬度が、基体の鉛筆硬度よりも高く、且つ積層体表層の鉛筆硬度がH以上であること。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂積層体に関する。更に詳しくは、特定の構造単位を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含む基体とを含むポリカーボネート樹脂積層体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性に優れることから幅広い分野において使用されている。一方、ポリカーボネート樹脂はJIS K5600−5−4に記載の塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して測定した鉛筆硬度は2B程度に過ぎず樹脂表面に傷が付きやすいことが知られている。そのため、製品の高付加価値化を目的に、ポリカーボネート樹脂成形品本体に対して別途成形された成形品を積層してなる多層構造体による改善が提案されている。
このような多層構造体を形成する方法としては、熱可塑性樹脂フィルムの表面に印刷やハードコートを付与し、フィルムを金型キャビティ表面またはコア表面にインサートし、金型キャビティ内に熱可塑性樹脂を射出成形法で充填することにより、フィルムと成形品を一体化させ、表面部分に付加価値を付与するインサート成形方法が一般的に用いられている。
そこで、ハードコートを施したポリカーボネート樹脂フィルムを積層することが提案されているが、インサート成形時の熱収縮によりハードコート層にクラックが生じること、光学的歪みが大きくなることが課題であった。
このような課題を解決するために、アクリル樹脂を積層する方法(例えば、特許文献1)が知られているが、基体であるポリカーボネート樹脂とのガラス転移温度差が大きいため、成形性に劣るとともにアクリル樹脂が耐衝撃性に劣るためクラックが入りやすいという課題があった。
また、高表面硬度ポリカーボネート樹脂を積層する方法(例えば、特許文献2,3)が知られているが、表面硬度は改善されるものの、インサート成形時の熱収縮により光学歪みが生じるため、自動車内装に用いられる各種表示装置、例えば、カーナビゲーションシステムの表示パネル前面板に用いられる積層フィルムとしては不十分であった。
従って、耐傷付性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、光学歪みの少ないポリカーボネート樹脂積層体は未だ存在しない。
特開2007−160892号公報 特許第5468896号公報 特許第5872058号公報
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、表面硬度、耐熱性、耐衝撃性に優れた光学歪みの少ないポリカーボネート樹脂積層体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造単位を含むポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含む基体とを含むポリカーボネート樹脂積層体とすることにより、上記目的を達成することを見出した。かかる知見に基づき更に検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記(構成1)〜(構成7)が提供される。
(構成1)
少なくともポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂積層体であって、以下の(I)〜(IV)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体。
(I)フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂が主たる構成単位として下記式(1)
Figure 2019181785
(式(1)中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
で表される構成単位(a)、
下記式(2)
Figure 2019181785
(式(2)中、R〜Rは夫々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Xは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
で表される構成単位(b)、および
下記式(3)
Figure 2019181785
(式(3)中、Wは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
で表される構成単位(c)から構成される共重合ポリカーボネートであること
(II)フィルム層の厚さが0.05〜0.5mmであり、積層体の合計厚みが0.8〜5.0mmであること
(III)ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が140℃以上であり、ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度との温度差が10℃以下であること
(IV)フィルム層のJIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度が、基体の鉛筆硬度よりも高く、且つ積層体表層の鉛筆硬度がH以上であること
(構成2)
前記ポリカーボネート樹脂(A)の全構成単位における構成単位(a)の割合が5〜15モル%、構成単位(b)の割合が20〜60モル%、構成単位(c)の割合が25〜75モル%であるポリカーボネート共重合体であることを特徴とする構成1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
(構成3)
前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が15,000〜40,000であり、前記ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量が10,000〜30,000であることを特徴とする構成1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
(構成4)
前記ポリカーボネート樹脂(B)が下記式(4)で表される構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする構成1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
Figure 2019181785
(構成5)
前記フィルム層の光弾性係数が70×10−12/N以下であることを特徴とする構成1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
(構成6)
前記フィルム層の複屈折が20×10−3以下であることを特徴とする構成1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
(構成7)
前記ポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(B)を射出成形することで形成されることを特徴とする構成1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、表面硬度、耐熱性、耐衝撃性に優れ、光学歪みが少ないため、自動車内装部品の各種表示装置に好適に用いられる。従って、その奏する産業上の効果は格別である。
本発明におけるフィルム層を製造する際に使用される装置の一例を示した概略図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、少なくともポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体である。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、主たる構成単位として、下記式(1)
Figure 2019181785
(式(1)中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
で表される構成単位(a)、
下記式(2)、および
Figure 2019181785
(式(2)中、R〜Rは夫々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Xは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
で表される構成単位(b)、および
下記式(3)
Figure 2019181785
(式(3)中、Wは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
で表される構成単位(c)から構成される共重合ポリカーボネートである。
ここで、“主たる”とは、末端を除く全カーボネート構成単位100モル%中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%の割合であることを示す。
前記式(1)で表される構成単位(A)において、RおよびRは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
構成単位(a)を誘導する二価フェノールとしては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。最も好適な二価フェノールは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)において全構成単位に対する、構成単位(a)の割合が好ましくは5〜15モル%である。構成単位(a)の割合が15モル%を超えると耐熱性は向上するが、耐衝撃性が劣ることがある。構成単位(a)の割合が5モル%未満では、耐熱性が劣ることがある。
前記式(2)で表される構成単位(b)において、R〜Rは夫々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、Xは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜5のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜5のアルキリデン基であることが好ましい。
構成単位(b)を誘導する二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールCと記載)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。最も好適な二価フェノールは、ビスフェノールCである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)において全構成単位に対する、構成単位(b)の割合が好ましくは20〜60モル%であり、より好ましくは30〜50モル%である。構成単位(b)の割合が60モル%を超えると、耐衝撃性、耐熱性が劣ることがある。構成単位(b)の割合が20モル%未満では、表面硬度が劣ることがある。
前記式(3)で表される構成単位(c)において、Wは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基であることが好ましい。
構成単位(c)を誘導する二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと記載)、4,4’−ジヒドロキシ−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン等が例示される。最も好適な二価フェノールは、ビスフェノールAである。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)において全構成単位に対する、構成単位(c)の割合が好ましくは25〜75モル%であり、より好ましくは30〜70モル%であり、さらに好ましくは35〜65モル%であり、特に好ましくは40〜60モル%である。構成単位(c)の割合が75モル%を超えると、耐傷付き性、アミン耐性が劣るため好ましくない。構成単位(c)の割合が25モル%未満では、耐衝撃性が劣るため好ましくない。
さらに、構成単位(a)、(b)および(c)以外の構成単位を誘導する二価フェノールとして、好適には、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、炭素数1〜3のアルキル基で置換されたレゾルシノール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オール、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロインダン、1−メチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−イソプロピルシクロヘキサン、1−メチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]シクロヘキサン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン等が例示される。かかるポリカーボネートのその他詳細については、例えばWO03/080728号パンフレット、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報、および特開2002−117580号公報等に記載されている。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、二価フェノールと、カーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。また、3官能成分を重合させた分岐ポリカーボネートであってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、並びにビニル系単量体を共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。
カーボネート前駆物質として例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
カーボネート前駆物質として例えば炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆体としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、1−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、イソオクチルフェノール、p−長鎖アルキルフェノール等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、必要に応じて脂肪酸を共重合することができる。例えば、1,10−ドデカンジオン酸(DDDA)、アジピン酸、ヘキサンジオン酸、イソフタル酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、テレフタル酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−ヒドロキシ安息香酸(mHBA)、及び4−ヒドロキシ安息香酸(pHBA)が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネートを含む。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、およびイコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が好ましく挙げられる。これらのカルボン酸は、目的を阻害しない範囲で共重合してもよい。本発明のポリカーボネート樹脂は、必要に応じてポリオルガノシロキサン単位を含有する構成単位を、共重合することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、必要に応じて三官能以上の多官能性芳香族化合物を含有する構成単位を、共重合し、分岐ポリカーボネートとすることもできる。分岐ポリカーボネートに使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、および4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノールが好適に例示される。中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。かかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、他の二価成分からの構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.03〜1.5モル%、より好ましくは0.1〜1.2モル%、特に好ましくは0.2〜1.0モル%である。
また分岐構造単位は、多官能性芳香族化合物から誘導されるだけでなく、溶融エステル交換法による重合反応時に生じる副反応の如き、多官能性芳香族化合物を用いることなく誘導されるものであってもよい。尚、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)は、その粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは15,000〜40,000であり、より好ましくは16,000〜30,000であり、さらに好ましくは18,000〜28,000である。Mvが15,000未満のポリカーボネート樹脂では、実用上十分な靭性や割れ耐性が得られないことがある。一方、Mvが40,000を超えるポリカーボネート樹脂は、高い成形加工温度を必要とするか、または特殊な成形方法を必要とすることから汎用性に劣り、更に溶融粘度の増加により、成形品の光学歪みが大きくなりやすく、外観不良等により歩留まりが低下することがある。
本発明におけるポリカーボネート樹脂(A)のMvは、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は140℃以上であり、140〜160℃であることが好ましく、140〜155℃であることがより好ましく、140〜150℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が140℃以上であると耐熱性が充分となる。また、ガラス転移温度が160℃以下であると成形加工温度を高温にする必要がなく、成形が容易となる。
<ポリカーボネート樹脂(B)>
本発明のポリカーボネート樹脂積層体の基体として用いられるポリカーボネート樹脂(B)はフィルム層に用いられるポリカーボネート樹脂(A)とは異なるものである。ポリカーボネート樹脂(B)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。特に、ビスフェノールAから誘導されるカーボネート構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂が好ましい。
反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂は前記二価フェノールまたは二官能性アルコールに加えて、3官能以上の多官能成分を重合させた分岐ポリカーボネートであってもよい。また3官能フェノール類の如き多官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、ポリオルガノシロキサン成分、並びにビニル系単量体を共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。カーボネート前駆体、末端停止剤、3官能以上の多官能成分、ジカルボン酸成分は、<ポリカーボネート樹脂(A)>の段落で説明したものと同様の物が使用できる。
二価フェノールの代表的な例として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールAが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量は好ましくは10,000〜30,000であり、より好ましくは15,000〜28,000であり、さらに好ましくは18,000〜25,000である。かかる粘度平均分子量の範囲であると、実用上十分な機械的特性が得られ、成形加工性にも優れる。
本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明におけるポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度は140〜160℃であることが好ましく、140〜155℃であることがより好ましく、140〜150℃であることがさらに好ましい。また、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度とポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度との温度差は10℃以下であり、8℃以下が好ましく、6℃以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度が140℃以上であると耐熱性が充分で、160℃以下であると成形加工温度を高温にする必要がなく、成形が容易となる。また、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度とポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度との温度差が上記上限を超えるとインサート成形時の熱収縮により光学歪みが大きくなるため好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂(B)は、本発明の効果を著しく損なわない限り、適宜、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
<ポリカーボネート樹脂以外の成分>
本発明においてポリカーボネート樹脂(A)および/またはポリカーボネート樹脂(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、流動改質剤および帯電防止剤などのそれ自体公知の機能剤を含有できる。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂に添加剤を配合させる方法は、特に限定されるものではなく公知の方法が利用できる。最も汎用される方法として、ポリカーボネート樹脂および添加剤を予備混合した後、押出機に投入して溶融混練を行い、押出されたスレッドを冷却し、ペレタイザーにより切断して、ペレット状の成形材料を製造する方法が挙げられる。
上記方法における押出機は単軸押出機、および二軸押出機のいずれもが利用できるが、生産性や混練性の観点からは二軸押出機が好ましい。かかる二軸押出機の代表的な例としては、ZSK(Werner & Pfleiderer社製、商品名)を挙げることができる。同様のタイプの具体例としてはTEX((株)日本製鋼所製、商品名)、TEM(東芝機械(株)製、商品名)、KTX((株)神戸製鋼所製、商品名)などを挙げることができる。押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部手前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
更に添加剤は、独立して押出機に供給することもできるが、前述のとおり樹脂原料と予備混合することが好ましい。かかる予備混合の手段には、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、および押出混合機などが例示される。より好適な方法は、例えば原料樹脂の一部と添加剤とをヘンシェルミキサーの如き高速攪拌機で混合してマスター剤を作成した後、かかるマスター剤物を残る全量の樹脂原料とナウターミキサーの如き高速でない攪拌機で混合する方法である。
押出機より押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の更なる低減、運送または輸送時に発生する微小粉の更なる低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を行うことが好ましい。ミスカットの低減には、ペレタイザーでの切断時のスレッドの温度管理、切断時のイオン風の吹き付け、ペレタイザーのすくい角の適正化、および離型剤の適切な配合などの手段、並びに切断されたペレットと水との混合物を濾過してペレットと水およびミスカットとを分離する方法などが挙げられる。その測定方法の一例は例えば特開2003−200421号公報に開示されている。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。
成形材料(ペレット)におけるミスカット量は、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。ここで、ミスカットとは、目開き1.0mmのJIS標準篩を通過する所望の大きさのペレットより細かい粉粒体を意味する。ペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱(楕円柱を含む)であり、かかる円柱の直径は好ましくは1.5〜4mm、より好ましくは2〜3.5mmである。楕円柱において長径に対する短径の割合は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上である。一方、円柱の長さは好ましくは2〜4mm、より好ましくは2.5〜3.5mmである。
<フィルム層>
本発明のポリカーボネート樹脂積層体を構成するフィルム層を製造する方法としては、Tダイから押出した溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)を、挟持加圧若しくは片面タッチ方式の複数個の鏡面冷却ロールで冷却してフィルムに成形する方法が好ましく採用される。かかる方法により厚さ0.05〜0.5mmのポリカーボネート樹脂フィルムが製造できる。この際使用する装置としては特別な装置である必要はなく、フィルムまたはシートの製造に使用される装置が任意に採用される。本発明におけるフィルム層を製造する方法を図により説明する。図1は本発明におけるフィルムの製造を実施するに適したフィルムの製造装置の一例を示す概略図である。図中の1はTダイス、2は第1冷却ロール、3は第2冷却ロール、4は第3冷却ロール、5は一対の引取ロールであり、第1〜第3冷却ロールはいずれもその表面は鏡面仕上げになっており、その内部には熱媒体が循環し、温度を制御できるようになっている。
まず溶融ポリカーボネート樹脂(A)をTダイス1からフィルム状に押出す。この際の溶融押出しには格別の条件を必要とせず、通常のポリカーボネート樹脂のフィルムの溶融押出し条件が任意に採用される。次いで押出されたフィルム状物は、そのままの状態で第1冷却ロール2と第2冷却ロール3との間に供給しながら当該2本のロールで圧延または中央の第2冷却ロール3に密着させてから他端の第3ロール4に受け継がれた後、一対の引取ロール5によって引取られる。
この際、第2冷却ロール3に対する第3冷却ロール4の回転速度を1.001〜1.015倍にすることが好ましい。第2冷却ロール3に対する第3冷却ロール4の回転速度を1.001倍より小さくすると冷却が緩やかに進行するが速度が遅いため良好なシーティングができなくなることがあり、1.015倍より大きくすると引取速度が速くなるのでシーティングは良好になるが該ポリカーボネート樹脂フィルムは押出方向に延伸作用が働くため、押出方向の加熱伸縮が大きくなり、巾方向の加熱伸縮とバランスが崩れ実用に供し難くなることがある。
さらに、前記第1冷却ロール2の温度は130〜145℃、第2冷却ロール3の温度は135〜150℃、第3冷却ロール4の温度は145〜155℃に設定することが好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)は260〜280℃で通常押出されるのに対して、各冷却ロール2〜4の温度がそれぞれ下限未満では冷却が速すぎて熱収縮が大きくなり、また各冷却ロールの温度が上限を超えると十分に冷却されないため冷却ロールに取られてシーティングできなくなることがある。なお、これら第1〜3冷却ロール2〜4の温度制御は、従来のロール温度制御手段により容易に行える。
フィルム層の厚みは0.05〜0.5mmであり、好ましくは0.05〜0.3mmであり、より好ましくは0.06〜0.2mmである。フィルム層の厚みが0.05mより薄いと積層体表面の鉛筆硬度が劣るため好ましくない。一方、0.5mmよりも厚くなるとインサート成形時の光学歪みが大きくなるため好ましくない。なお、フィルム層を複数層使用する場合であっても、上述のフィルム層の厚みは、それぞれ(単層)のフィルム層の厚みを意味する。
フィルム層のJIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度はH以上が好ましく、2H以上が好ましい。鉛筆硬度が上記範囲を満足すると積層体表面に傷が付き難くなるため好ましい。
フィルム層の光弾性係数は70×10−12/N以下が好ましく、65×10−12/N以下がより好ましく、60×10−12/N以下がさらに好ましい。上記上限より小さいとインサート成形時の光学歪みが小さくなるため好ましい。
フィルム層の複屈折は20×10−3以下が好ましく、15×10−3以下がより好ましい。上記上限より小さいとインサート成形時の光学歪みが小さくなるため好ましい。
<ポリカーボネート樹脂積層体>
本発明で使用される上記ポリカーボネート樹脂(A)からなるフィルム層は、インサート成形する際に、金型内にインサートするフィルムとして好適に使用することができる。かかるフィルムは、少なくとも片面を表面加工して使用されることができる。この表面加工としては、例えばハードコート加工、防曇加工、帯電防止加工、無反射加工、プライマー加工、印刷、スタンピング、蒸着、スパッタリング等があげられ、加工層は単層であっても複層であってもよい。蒸着、スパッタリング以外のこれらの層の厚さは好ましくは0.1〜20μmである。片面を加工されたフィルムの場合は加工された面(両面加工の場合は所望の面)を金型表面側にし、フィルムをセッティングする。次いでポリカーボネート樹脂(B)を射出して成形する。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体を製造するには、通常、射出成形法が用いられる。具体的には、フィルム層を金型内にインサートし、金型を閉じて、ポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体の原料を射出成形することにより、本発明のポリカーボネート樹脂積層体を得ることができる。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂積層体は、ポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層とポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体とを含み、該フィルム層を表層とした構造を有する。ここで“フィルム層を表層とした構造”とは、積層体の最上層および/または最下層にフィルム層が存在する構造であることを意味する。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体を成形する際の金型温度に特に制限はないが、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。金型温度が高すぎると、成形時の冷却時間を長くする必要があり、成形体の製造サイクルが長くなり、生産性が低下する場合がある。また、金型温度が低すぎると、基体を構成する樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、均一な成形体が得られなかったり、成形体表面にムラが生じたりする可能性があるため、通常、30℃以上が好ましく、中でも50℃以上が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体を成形する際の射出速度は、特に制限はないが、
200mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以下がさらに好ましく、100mm/sec以下が最も好ましい。また、1mm/sec以上が好ましく、5mm/sec以上がさらに好ましく、10mm/sec以上が最も好ましい。射出速度が高すぎると射出成形時にフィルムが破れる可能性がある。一方、射出速度が低すぎると成形体がショートショットになる可能性がある。
積層体の合計厚みは0.8〜5mmであり、好ましくは1〜4.5mmであり、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.5mmである。積層体の厚みが0.8mmより薄いと積層体の機械的強度が劣るため好ましくない。一方、5mmよりも厚くなると成形時に光学歪みが大きくなるため好ましくない。
積層体のJIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度はH以上であり、2H以上が好ましい。鉛筆硬度が上記範囲を満足すると積層体表面に傷が付き難くなるため好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、表面硬度が高いだけではなく、耐衝撃性、耐熱性に優れ、光学歪みが少ないため、屋根材や壁材、窓材等の建築物の他、車両用窓材、ヘッドランプ材、メーターカバー、カーナビゲーション、ヘッドアップディスプレイ等の車両用部材、携帯電話等のボタンやキーボード、筐体、LED照明部材、ディスプレー前面板等の電気・電子機器部材、遊技用部材、メガネ部材、レンズ部材等の各種分野で使用できる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例、および比較例において、各特性の測定法は次のとおりである。
(1)粘度平均分子量
ポリカーボネート樹脂のMvを、以下の方法で測定した。ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定した。そして、下記式により算出されるMvを粘度平均分子量とした。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
Mv:粘度平均分子量
(2)組成比
ポリカーボネート樹脂40mgを0.6ml重クロロホルム溶液に溶解し、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)により、H−NMRを測定し、各構成単位に特徴のあるスペクトルピーク面積比より、ポリカーボネート樹脂の組成比を算出した。
(3)ガラス転移温度
TAインスツルメンツ社製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(4)高速面衝撃試験
島津製作所製ハイドロショットHTM−1を使用し、試験速度7m/秒、衝撃芯半径6.4mmにて積層体の衝撃エネルギーを測定し、目視にて破壊形態を観察した。
(5)鉛筆硬度
フィルム、基体、積層体の鉛筆硬度をJIS K5600に則して測定した。
(6)フィルム厚み
フィルムの厚みを連続厚み計(アンリツ(株)製フィルムシックネステスター、型式KG601A)を用いて測定した。
(7)透明性
積層体の全光線透過率およびヘーズ値をJIS K 7361−1およびJIS K 7136に準拠し測定した。
(8)光弾性係数
長さ50mm、幅20mmのフィルムを60℃で2時間乾燥させた後、日本分光(株)製エリプソメータ(型式:M−220)を用いて測定を行った。測定条件は、フィルムに1N以下の荷重をかけ、各荷重における位相差を測定し、下記式により光弾性係数を算出した。
Re=F×c×d
Re:位相差[nm]
F:応力[N/m
c:光弾性定数[m/N]
d:厚み[nm]
(9)複屈折率(位相差発現性)
幅10mm、長さ100mmの形状にフィルムを切削し、120℃で2時間乾燥させ、所定延伸温度(ガラス転移温度+10℃)にて長さ方向に延伸速度15mm/分で一軸延伸を行い、長さ200mmの2倍延伸フィルムを得た。該フィルムを偏光板にて観察を行い、均一に延伸されていることを確認後、日本分光(株)製エリプソメータ(型式:M−220)にて位相差を測定した。得られた位相差から下記式により位相差発現性を算出した。
Δn(×10―3)=Ret/d
Δn;位相差発現性
Ret;位相差[nm]
d;フィルム厚み[μm]
(10)クロスニコル観察
長さ100mm×幅100mm×厚み3mmの積層体上に位相差を90°ずらした偏光板を配置し、一方の偏光板側から白色光を入射し、積層体に現れる干渉色を目視にて観察することにより、複屈折の程度を評価した。評価は、○:干渉縞模様0〜1本、×:干渉縞2本以上、として行った。
[実施例1]
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液4,555部およびイオン交換水22,730部を仕込み、これに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(本州化学製、以下BCFと略す)596部、ビスフェノールC(本州化学製、以下BPCと略す)1,213部、ビスフェノールA(新日鐵化学製、以下BPAと略す)2,159部、およびハイドロサルファイト7.94部(和光純薬製)を溶解した後、塩化メチレン13,415部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2,000部を約70分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液650部およびp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBP)89.9部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン3.94部を加え、さらに28〜35℃で1時間撹拌して反応を終了した。
反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸を加え、酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下し、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。
その後、該パウダー100重量部に対して、ADEKA製アデカスタブPEP−36(ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)を0.05重量部、BASF製イルガノックス1076(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル)を0.07重量部となるように添加し、均一に混合した後、得られたパウダーを110℃に加熱した溶融押出機の加熱ホッパーに投入して、280℃で溶融押出しした。溶融ポリマーの異物を除去するため、平均目開き10μmであるステンレス不織布製のディスク形状フィルターを用いた。
濾過後の溶融樹脂を290℃に設定したダイにより、回転する直径800mm、ロール面長1800mmの冷却ロール面に押出した。押出しダイのリップ幅は1500mm、リップ間隙は約2mmとした。フィルムを均一に冷却して引き取るために、フィルム全幅を静電密着法により冷却ロール面に密着させた。静電密着のための電極にはステンレス製ピアノ線を清浄に磨いたものを用いた。このピアノ線に直流電源のプラス電極をつなぎ、冷却ドラム側は接地した。印加電圧は7KVとした。かくして厚みが100μmのフィルムを冷却ロール回転速度10m/分で、テイクオフロールを介して引き取った。
さらに引き続いて、フィルムをロール懸垂型熱処理機に通膜して熱処理した。ロール懸垂型熱処理機内に100mmφのロールを上下交互に配置した。上下ロール間距離を1.6m、ひとつ置いた隣のロールとの距離をロール径と同じ100mmφとした。そして、処理すべきフィルムが、このロール懸垂型熱処理機内のオーブン中にとどまる長さを約50mになるように作成した(滞留時間60秒)。熱処理機内のオーブン中の熱風温度は145℃、オーブン出口でのフィルム張力は3.0Kg/(厚み100μm×フィルム全幅1440mm)であった(断面荷重あたり2.1Kg/平方センチメートルであった)。オーブンを出た後のフィルムを60℃以下まで同様にロール懸垂型処理機で冷却してのち室温に取り出した。熱処理後のフィルムの両端部を70mmずつ切り除いて1300mm幅のフィルムを得た。該フィルムを用いて評価した結果を表1に示した。
基体となるポリカーボネート樹脂(帝人製パンライトL−1225Y、BPAを原料としたポリカーボネート樹脂)を120℃で5時間熱風乾燥機を用いて乾燥した後、シリンダー内径45mmφの射出装置を備えた射出圧縮成形機(住友重機械工業(株)製ULTRA220NIV・A)を使用し成形を行った。成形は成形品本体とほぼ同じ長さおよび幅に切り出した前記フィルムを金型内に静電気を利用して金型キャビティ表面に装着した。成形条件としてシリンダー温度280℃、射出速度50mm/秒にてポリカーボネート樹脂を金型キャビティ内に充填した。冷却後成形品を金型内から取出しポリカーボネート樹脂積層体を得た。かかる積層体は本体の長さ100mm×幅100mm×厚み3mmの板状成形品であった。ゲートはフィルム状ゲート(ゲート部の厚み1.5mm)を有し、金型温度は金型温調機を使用して100℃に保った。得られた成形品について上記に示した評価を行い、評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
BPC1,618部、BPA1,799部、PTBP87.6部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[実施例3]
BPC2,023部、BPA1,440部、PTBP82.8部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[実施例4]
BCF298部、BPC1,820部、BPA1,799部、PTBP71.0部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[実施例5]
BCF894部、BPC1,213部、BPA1,979部、PTBP106.5部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例1]
BCF179部、BPC2,023部、BPA1,691部、PTBP92.3部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例2]
BCF1,193部、BPC1,618部、BPA1,439部、PTBP92.3部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例3]
BPAを使用せず、BCF566部、BPC3,452部、PTBP80.1部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例4]
BPCを使用せず、BCF596部、BPA3,238部、PTBP71.0部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例5]
BCFを使用せず、BPC2,023部、BPA1,799部、PTBP87.6部とした以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例6]
帝人製ポリカーボネート樹脂パンライトL−1225Y(BPAを原料としたポリカーボネート樹脂)を使用しポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例7]
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液5,126部およびイオン交換水22,377部を仕込み、これに、BCF2,349部、BPA2,125部、およびハイドロサルファイト8.95部(和光純薬製)を溶解した後、塩化メチレン13,209部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2,000部を約70分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液640部およびPTBP116.6部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン3.94部を加え、さらに28〜35℃で1時間撹拌して反応を終了した。
反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸を加え、酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。
その後、該パウダー100重量部に対して、イルガフォス168(チバスペシャリティケミカルズ製)を0.05重量部、S−100A(理研ビタミン製)を0.1重量部、ケミソーブ79 0.3重量部(ケミプロ化成製)添加し、均一に混合した後、かかるパウダーを用いた以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例8]
攪拌機および蒸留塔を備えた反応器に、BPC56.3部(0.22モル)、ジフェニルカーボネート49.2部(0.23モル)および触媒として水酸化ナトリウム0.000005部とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.0016部を仕込み、窒素置換した。この混合物を180℃まで加熱しながら溶解させた。その後、撹拌機を回転させ、反応器の内温を220℃に保った。副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応器内の圧力を101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。続いて、応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
内圧を絶対圧で13.3kPaから2kPaまで減圧し、さらに260℃まで温度を上げ、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、反応器内が0.3Pa以下に到達後、内圧を保持し、重縮合反応を行った。反応器内の最終的な内部温度は295℃とした。反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。反応器での重合反応時間は140分であった。次に溶融状態のままで、触媒中和剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を0.0023部(4×10−5モル/ビスフェノール1モル)添加して295℃、10Torr以下で10分間反応を継続し、得られたポリマーをギアポンプでベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]に送った。押出機の途中で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、亜リン酸を加え、入口のバレル温度230℃、出口のバレル温度270℃、ポリカーボネート樹脂出口温度285℃、脱気しながら溶融混錬押出し、2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化し、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。該ペレットを用いた以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
[比較例9]
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液4,555部およびイオン交換水22,730部を仕込み、これに、BPC2,023部、BPA1,799部、およびハイドロサルファイト7.94部(和光純薬製)を溶解した後、塩化メチレン13,415部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2,000部を約70分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液650部およびp−tert−ブチルフェノール89.9部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン3.94部を加え、さらに28〜35℃で1時間撹拌して反応を終了した。
反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸を加え、酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダー(A)を得た。
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液4,936部およびイオン交換水21,550部を仕込み、これに、BCF1,696部、BPA2,388部、およびハイドロサルファイト8.17部(和光純薬製)を溶解した後、塩化メチレン19,080部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2,000部を約70分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液617部およびp−tert−ブチルフェノール85.3部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン3.94部を加え、さらに28〜35℃で1時間撹拌して反応を終了した。
反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸を加え、酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダー(B)を得た。
パウダー(A)90重量部、パウダー(B)10重量部、イルガフォス168(チバスペシャリティケミカルズ製)を0.05重量部、S−100A(理研ビタミン製)を0.1重量部、ケミソーブ79 0.3重量部(ケミプロ化成製)添加し、均一に混合した。かかるパウダーを用いた以外は実施例1と同様の手法にてポリカーボネート樹脂フィルムおよび積層体を得た。各種評価した結果を表1に示した。
Figure 2019181785
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、耐傷付性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、光学歪みが小さいため、例えば、液晶表示装置等の光学用途の樹脂成形品、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーション前面板等の各種表示装置、保護部品、透光部品などの自動車内装部品に利用できる。
1 Tダイス
2 第1冷却ロール
3 第2冷却ロール
4 第3ロール
5 一対の引取ロール

Claims (7)

  1. 少なくともポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(A)とは異なるポリカーボネート樹脂(B)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂積層体であって、以下の(I)〜(IV)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体。
    (I)フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂が主たる構成単位として下記式(1)
    Figure 2019181785
    (式(1)中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
    で表される構成単位(a)、
    下記式(2)
    Figure 2019181785
    (式(2)中、R〜Rは夫々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Xは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
    で表される構成単位(b)、および
    下記式(3)
    Figure 2019181785
    (式(3)中、Wは単結合、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜10のアルキリデン基である。)
    で表される構成単位(c)から構成される共重合ポリカーボネートであること
    (II)フィルム層の厚さが0.05〜0.5mmであり、積層体の合計厚みが0.8〜5.0mmであること
    (III)ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が140℃以上であり、ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度との温度差が10℃以下であること
    (IV)フィルム層のJIS K5600に準拠して測定した鉛筆硬度が、基体の鉛筆硬度よりも高く、且つ積層体表層の鉛筆硬度がH以上であること
  2. 前記ポリカーボネート樹脂(A)の全構成単位における構成単位(a)の割合が5〜15モル%、構成単位(b)の割合が20〜60モル%、構成単位(c)の割合が25〜75モル%であるポリカーボネート共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が15,000〜40,000であり、前記ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量が10,000〜30,000であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂(B)が下記式(4)で表される構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
    Figure 2019181785
  5. 前記フィルム層の光弾性係数が70×10−12/N以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  6. 前記フィルム層の複屈折が20×10−3以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  7. 前記ポリカーボネート樹脂(A)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(B)を射出成形することで形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
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