JP2019180358A - 農産加工品および農産加工廃棄物の酵母発酵の方法、及び食品、又は調味料の製造方法 - Google Patents

農産加工品および農産加工廃棄物の酵母発酵の方法、及び食品、又は調味料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、農産加工品及び農産加工廃棄物の用途開発を予想し、有用性を推測する酵母発酵の方法、例えば食品、又は調味料に好適な代謝産物を得ることができる酵母発酵の方法を提供する。【解決手段】本発明に係る、酵母発酵の方法は、酵母発酵の特性を発現できない条件で、糖類と、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方とを含有する培養液を調製することと、前記培養液に酵母を接種することと、前記培養液中で、前記酵母の代謝産物を生成させることと、を含む。前記農産加工廃棄物は、焙煎コーヒー粕を除く。【選択図】なし

Description

本発明は、農産加工品および農産加工廃棄物をワイン酵母の活性化物質とし、菓子類及び食品製造に用いる新規調味料及びその製造方法に関する。
農産加工品及び農産加工廃棄物の用途開発で特に、簡単な方法により生物学的な活性を類推できればその効果を製品開発に演繹できるものと考えられる。その用途開発は、一つの方法として、農産加工品および農産加工廃棄物をワイン酵母の活性化物質と捉え、酵母発酵の活性化の有無から得る事ができる。
大麦若葉をはじめとする農産物の搾汁により残渣として搾汁粕が大量に排出される。この搾汁粕の処理としては有効利用を目的とすることを第一に考える必要がある。搾汁粕の種類により再利用の形態は異なる。搾汁粕の再利用の方法としては、発酵原料、バイオマスとしての利用、飼料としての利用、肥料、その他多くの対象がある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
従来より、酵母は、酒、醤油、味噌等の製造に用いられてきた。
例えば、特許文献3は、焙煎コーヒー豆の抽出残渣(焙煎コーヒー粕ともいう)の利用の一つとしてアルコール飲料にコーヒー様の味と香りを付与することを目的としたものである。ところが、単に焙煎コーヒー粕からコーヒー様の成分が溶出してコーヒー様の飲料を得るのみではなく、ワイン様の芳香が新たに加わっていた。焙煎コーヒー粕は、ワイン酵母の生育とエタノール生成およびワイン酵母の特徴の一つと考えられるエステル類、アルコール類等に起因する芳香を発現させる作用を示唆しているが、対照として焙煎コーヒー抽出粕を加えない場合の実験が行われていないため、酵母に及ぼす効果については何ら効果も認めることが出来なかった。
発明者らは、特許文献3に基づく実験を、焙煎コーヒー抽出粕を加えない実験系を用いて再現した。その結果、焙煎コーヒー粕を加えない培地においては酵母発酵の生育とエタノールの生成は低く、また特徴的な芳香も得られなかった。この結果より、焙煎コーヒー粕には酵母発酵に関与する物質が含まれていると考えられ、これは農産加工品及び農産加工廃棄物による酵母発酵の活性化(特性と表現)を指標とする有用性を検出する一つの方法として用いることができると考えた。
この実験から焙煎コーヒー粕のような農産加工廃棄物に類似する農産物として、ほうじ茶、日本茶、紅茶などが考えられるが、発明者らは、出願人の製品の一つ、大麦若葉エキスの製造工程において廃棄物として大量に排出される搾汁粕の利用にこの結果を適用できるかを検討した。
この酵母発酵の手法は、農産加工品及び農産加工廃棄物の用途開発の一部として生理活性の測定と派生する効果を見ることができる。例えば、ある農産加工廃棄物が何に役立つのかを明確に理解できなくとも、用途開発を予想し有用性を推測することができる。
特開昭62−259570号公報 特開2002−153231号公報 特開平10−113163号公報
本発明の目的は、農産加工品及び農産加工廃棄物の用途開発を予想し有用性を推測するために酵母発酵の特性を評価し有用性のある発酵液を得る方法、食品、又は調味料に好適な代謝産物を得ることができる酵母発酵の方法、及びこの代謝産物を利用した食品、又は調味料の製造方法を提供することである。
本発明に係る酵母発酵の方法は、酵母発酵の特性を発現できない条件で、農産加工品及び農産加工廃棄物の有する活性を官能試験で検知する。
本発明に係る酵母発酵の方法は、酵母発酵の特性を発現できない条件で、糖類と、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方とを含有する培養液を調製することと、前記培養液に酵母を接種することと、前記培養液中で、前記酵母の代謝産物を生成させることと、を含む。前記農産加工廃棄物は、焙煎コーヒー粕を除く。
本発明に係る一態様において、前記代謝産物は、少なくともエタノール及びエステル類を含有する、ことが好ましい。
本発明に係る一態様において、前記農産加工廃棄物が大麦若葉搾汁粕である、ことが好ましい。
本発明に係る一態様において、前記農産加工品が茶類、又は柑橘類である、ことが好ましい。
本発明に係る食品、又は調味料の製造方法は、前記酵母発酵の方法で得られた発酵液を用いて食品、又は調味料を製造することを含む。
酵母発酵の特性は、官能試験により評価される。
本発明に係る酵母発酵の方法によれば、農産加工品及び農産加工廃棄物の用途開発の予想ができ、食品、又は調味料に好適な代謝産物を得ることができる。
本発明に係る食品、又は調味料の製造方法によれば、食品、又は調味料に好適な代謝産物を利用することができる。
図1は、発酵例2において、各本培養液における培養日数と酵母の菌体濃度との関係を示す増殖曲線である。 図2は、発酵例3において、各本培養液における培養日数と酵母の菌体濃度との関係を示す増殖曲線である。 図3は、発酵例4において、各本培養液の培養日数と酵母の菌体濃度との関係を示す増殖曲線である。 図4は、発酵例4において、各本培養液中で酵母を1日間培養させた結果を示す写真である。 図5は、発酵例4において、各本培養液中で酵母を2日間培養させた結果を示す写真である。 図6は、発酵例4において、各本培養液中で酵母を3日間培養させた結果を示す写真である。 図7は、発酵例5において、各本培養液における培養日数と酵母の菌体濃度との関係を示す増殖曲線である。 図8は、発酵例5において、各本培養液中で酵母を1日間培養させた結果を示す写真である。 図9は、発酵例5において、各本培養液中で酵母を2日間培養させた結果を示す写真である。 図10は、発酵例5において、各本培養液中で酵母を3日間培養させた結果を示す写真である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(酵母発酵の方法)
まず、一実施形態に係る、酵母発酵の方法を、以下に説明する。
本実施形態に係る、酵母発酵の方法(M1)は、酵母発酵の特性を発現できない条件で、農産加工品及び農産加工廃棄物の有する活性を官能試験で検知する。この場合、酵母発酵の特性を発現できない条件の組成物(B)に、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方の成分(A)が加えられた培養液中で酵母発酵を行う。そして、得られた発酵液の官能試験を行うことで、成分(A)が有する、酵母発酵に対する活性を検出する。このような検出結果から、成分(A)の、用途開発を予想でき、有用性を推測することができる。例えば、成分(A)を組成物(B)に加えても酵母発酵の特性を発現できない場合、培養液の官能試験で良好な香味を検出できない。また、組成物(B)に成分(A)を加えることで酵母発酵の特性を発現させることができる場合、培養液の官能試験で良好な香味を検出できる。
方法(M1)に用いられる成分(A)は農産加工品、又は農産加工廃棄物であればよく、成分(A)は任意の成分である。
組成物(B)は、水溶液であって酵母発酵の特性を発現できない組成からなっていればよく、組成物(B)の組成は任意に設定できる。
本実施形態では、成分(A)のうち、方法(M1)で良好な香味が得られた成分を用いて下記の方法(M2)が行われる。
本実施形態に係る、酵母発酵の方法(M2)は、酵母発酵の特性を発現できない条件で、糖類と、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方とを含有する培養液を調製することと、この培養液に酵母を接種することと、培養液中で酵母の代謝産物を生成させることと、を含む。
本実施形態に係る酵母発酵の特性を発現できない条件は、その条件の組成を有する組成物だけでは、酵母発酵により得られる良好な香味が得られにくいことを意味する。酵母発酵の特性を発現できない条件は、酵母が生育できない条件であってもよい。
培養液を調製するにあたって、まず、酵母を生育させるための基本成分と、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方の成分(以下、活性化成分ともいう)とを含有する混合液を調製する。そして、混合液に、酵母等の各種細菌が生育しない条件で、滅菌処理を施すことで培養液が調製される。調製直後の培養液中に細菌が生育できていなければ、任意の滅菌処理を採用できる。滅菌処理は、例えば、オートクレーブ滅菌装置中で行われてもよい。また、滅菌処理の条件は、例えば、121℃で15分間の加熱加圧滅菌であってもよい。
基本成分は、糖類と、栄養成分とを含有する。糖類は、酵母の解糖系で代謝される成分を含有する。このような糖類として、例えば、グルコース、スクロース、転化糖、及びハチミツが挙げられる。糖類の量は、培養液から活性化成分を除いた液量に対して、12質量%〜25質量%の範囲内である。すなわち、糖類の量は、12w/v%〜25w/v%の範囲内である。
栄養成分は、酵母の生育時に栄養源となる成分を含有する。このような栄養成分として、酵母エキス、海藻灰エキス、麦芽エキス、脱脂大豆粕、キナコ、ふすま抽出エキス、米糠抽出エキス、脱脂胚芽、脱脂コーン粕、及び脱脂ピーナッツ粕等の有機成分;並びにKHPO、(NHSO、及びMgSO等の無機成分が挙げられる。
活性化成分は、培養液中における酵母発酵を活性化させる成分であって、上記の通り、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方の成分である。このような活性化成分は、焙煎コーヒー粕を含まない。すなわち、農産加工廃棄物は、焙煎コーヒー粕を含まない。このように発酵時に焙煎コーヒー粕を用いなくても、酵母による発酵が活性化成分により活性化されることで、食品、又は調味料に好適な代謝産物を得ることができる。活性化成分により、培養液中における酵母発酵を活性化させることができればよく、活性化成分の量は特に限定されない。活性化成分の量は、例えば、培養液の液量に対して、0.1質量%〜3質量%の範囲内、すなわち0.1〜3w/v%の範囲内である。
農産加工品として、例えば、黒糖;ほうじ茶葉、日本茶葉、及び紅茶葉等の茶類;大麦若葉エキス末、及び大麦若葉粉砕末等の大麦若葉加工物;柑橘類果実の粉砕物を原料とした乾燥物である果実粉砕物、及び柑橘類搾汁エキスを原料とした乾燥物である果汁粉末等の柑橘類が挙げられる。これら農産加工品のうち、1種又は2種以上の成分を用いてもよい。大麦若葉エキス末は、大麦若葉の搾汁エキスの乾燥物(大麦若葉搾汁エキス末)であってもよく、後述の大麦若葉搾汁粕から可溶性分を冷水又は熱水で抽出させた抽出エキスの乾燥物(搾汁粕由来抽出エキス末)であってもよい。或いは、大麦若葉エキス末は、大麦若葉搾汁エキス末、及び搾汁粕由来抽出エキス末の混合物であってもよい。また、農産加工品が茶類である場合、茶類は、ほうじ茶葉、日本茶葉、及び紅茶葉の群から選択される少なくとも1つの茶葉であってもよい。農産加工品が柑橘類である場合、柑橘類は、その果汁粉末及び果実粉砕物の群から選択される少なくとも1つの成分であってもよい。
農産加工廃棄物としては、例えば、大麦若葉搾汁粕、野菜搾汁粕、及び果実搾汁粕等の搾汁粕が挙げられる。大麦若葉搾汁粕は、大麦若葉を搾汁した後に得られる残渣である。野菜搾汁粕は、ケール、セロリ、及び人参等の野菜を搾汁した後に得られる残渣である。果実搾汁粕は、リンゴ、パイナップル、及び柑橘類等の果実を搾汁した後に得られる残渣である。これら農産加工廃棄物のうち、1種又は2種以上の成分を用いてもよい。また、農産加工廃棄物は、ブドウ果皮を含まない。農産加工廃棄物が搾汁粕である場合、搾汁粕は、未処理のまま活性化成分として用いられてもよく、焙煎されてから活性化成分として用いられてもよく、或いは可溶化させてから活性化成分として用いられてもよい。搾汁粕が可溶化されている場合、高濃度の可溶化物を作製できれば、高濃度の可溶化物を活性化成分として利用することができる。
搾汁粕を焙煎する場合、搾汁粕の焙煎物が活性化成分として機能できればよく、具体的な焙煎条件は特に限定されない。搾汁粕の焙煎は、例えば、120〜150℃の下1〜2時間で行われる。
培養液の調製後、この培養液に酵母を接種する。このような酵母は、培養中に食品、又は調味料に好適な代謝産物を生成できれば、酵母の具体的は種類は特に限定されない。酵母は、例えば、ワイン、日本酒、ビール、及びしょう酎等の酒類の発酵醸造に使用される酵母(酒酵母ともいう)であってもよい。より詳細には、酒酵母としては、例えば、Saccharomyces cerevisiaeに属する協会6号酵母株、協会7号酵母株、協会9号酵母株、及び協会11号酵母等株の日本酒酵母;Saccharomyces cerevisiae W−3株、及びSaccharomyces cerevisiae KW−3株、及びSaccharomyces cerevisiae OC−2株等のワイン酵母;Saccharomyces cerevisiae IAM−4554株等のビール酵母;Saccharomyces cerevisiaeに属する協会焼酎酵母2号株等のしょう酎酵母が挙げられる。酵母は、例えば、ワイン酵母であってもよく、より詳細には、Saccharomyces cerevisiae OC−2株であってもよい。
酵母は任意の培地に接種され、例えば、5〜30℃、より詳細には10〜25℃の温度で2〜10日間、酵母を前培養することによって、前培養物を作製する。前培養物を得るための培地として、例えば、寒天培地等の固形培地、及び液体培地が挙げられる。
次に、前培養物を、上記の培養液(本培養液ともいう)に添加する。前培養時の培地が固形培地である場合、白金耳でひとかき程度の酵母を本培養液に接種する。
その後、本培養液中で、例えば5〜30℃、より詳細には10〜25℃の温度で1〜20日間、酵母を静置培養することで、酵母による発酵を行い、発酵時に代謝産物を生成させる。このようにして本培養液中で酵母による発酵を行うことで、発酵後に代謝産物を含有する発酵液が得られる。本培養液の温度は、20〜25℃の範囲内であってもよい。
また、酵母の接種後、活性化成分を由来とする有用成分が培養液中で不足すると、酵母による発酵は低下されやすくなる。すなわち、代謝産物が生成されにくくなる。このような有用成分は、酵母に対する生理活性を有するため、基本成分に係らず、発酵の活性化に有効的な成分である。また、有用成分は、活性化成分の種類に応じて異なってもよい。有用成分は、酵母による発酵を活性化できればよく、有用成分の具体的な種類は特に限定されない。有用成分としては、例えば、二価亜鉛化合物、ビタミン類、及びアミノ酸類が挙げられる。
有用成分が、例えば、二価亜鉛化合物である場合、二価亜鉛化合物のみを含有する水溶液に酵母を接種しても、この水溶液中で酵母は増殖しにくくなり、かつ酵母による発酵も行われにくくなる。また、ビタミン類及びアミノ酸類のうち少なくとも一方のみを含有する水溶液に酵母を接種しても、この水溶液中で酵母は増殖しにくくなり、かつ酵母による発酵も行われにくくなる。このように、有用成分は、それだけでは、酵母の生育に寄与しないため、基本成分とは異なる成分である。
本実施形態では、有用成分は活性化成分中に含まれているが、例えば、活性化成分から単離された有用成分を、活性化成分の代わりに、培養液に添加してもよい。
発酵終了後、発酵後の本培養液に遠心分離を施すことにより、酵母を沈殿させる。これにより、発酵後の本培養液を、酵母からなる固相と、上清とに分離させることができる。そして、この上清を回収してから濾過する。このようにして濾過された上清を、本実施形態では、発酵液とする。
代謝産物は、少なくともエタノール及びエステル類(エステル化合物ともいう)を含有する。エステル化合物は、発酵液に含まれる香気成分のうち、少なくとも一部の成分である。すなわち、エステル化合物は、発酵液に芳香を付与する成分である。また、エタノールも発酵液に芳香を付与する成分である。ここで、一般的な酒類の発酵醸造では、例えば、酢酸エチルの香気を基準にして、発酵液中のエステル化合物の有無が官能試験や、ガスクロマトグラフィーや、液体クロマトグラフィーで判断されている。さらに、発酵液の香気の種類の違いから、酢酸エチルの香気との違い、場合によっては、酢酸エチル以外のエステル化合物を、ある程度、嗅ぎ分けて判断されている。一般的な酒類の官能試験では、酢酸エチルのみではなく、高級脂肪酸およびそのエステル等を複合した香味を検出している。また、発酵液中のアルコール及びアルコール数は、例えば、日本薬局方第14改正の一般試験法に記載された「1.アルコール数測定法」に準拠して測定される。
発酵液中のエステル化合物は、活性化成分及び酵母の種類等に応じて異なりやすく、酵母の代謝は複雑であるため、ガスクロマトグラフィー等の分析機器を用いても十分に同定できない成分を含んでいる。このため、エステル化合物は、発酵液に芳香を付与できればよく、エステル化合物の具体的な種類は特に限定され得ない。エステル化合物として、例えば、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ベラルゴン酸エチル、及び酢酸フェニルエチルが挙げられる。これらのうち、1又は2種以上の成分を発酵液は含有してもよい。
発酵液は、エタノール及びエステル化合物とは異なる芳香成分(A)を含有してもよく、又は芳香成分(A)を含有しなくてもよい。発酵液が芳香成分(A)を含有する場合、芳香成分(A)は、発酵液に芳香を付与する成分である。芳香成分(A)の芳香性は、活性化成分及び酵母の種類、並びに発酵条件等により変化しやすい。しかし、活性化成分の組成及び酵母の代謝は複雑であるため、ガスクロマトグラフィー等の分析機器を用いても、芳香成分(A)の具体的な種類を十分に同定することは技術的に困難である。このため、芳香成分(A)は、エタノール及びエステル化合物とは異なり、かつ発酵液に芳香を付与できればよく、芳香成分(A)の具体的な種類は特に限定されない。
発酵液は、芳香性を有するため、例えば食品の着香料として用いられてもよい。また、芳香性が得られれば、発酵液の濃縮液又は乾燥粉末を、例えば食品の着香料として用いられてもよい。発酵液を濃縮又は乾燥させる際、発酵液に可食性吸着剤を添加することで、この可食性吸着剤に芳香成分(例えば、エタノール、エステル化合物)を吸着させることができる。これにより、発酵液の濃縮液又は乾燥粉末は、芳香成分を含有できる。
発酵液の濃縮液を作製するにあたって、還流により脱水することで発酵液を濃縮させる。また、発酵液の乾燥粉末を作製するにあたって、濃縮液に、凍結乾燥、又は噴霧乾燥等の乾燥処理を施すことで、濃縮液を粉末状に加工する。このような濃縮液、又は濃縮液の乾燥粉末は、揮発性の芳香成分と混合されてもよい。
可食性吸着剤は、芳香成分を吸着できればよく、可食性吸着剤の具体的な種類は特に限定されない。可食性吸着剤として、例えば、シクロデキストリン類が挙げられる。
(食品、又は調味料の製造方法)
次に、酵母発酵の生育に及ぼす農産加工品および農産加工廃棄物の効果が用途開発の類推ができる方法として実施例に例示し、一実施形態に係る、食品、又は調味料の製造方法を、以下に説明する。
本実施形態に係る食品、又は調味料の製造方法は、上記の発酵液を用いて食品、又は調味料を製造することを含む。
発酵液は、食品、又は調味料の製造途中に用いられてもよく、或いは食品、又は調味料を製造するための最終工程で用いられてもよい。
発酵液を用いる方法としては、任意の利用方法であればよく、例えば、塗布、混合、散布が挙げられる。
また、食品、又は調味料を製造する際、上記の通り、発酵液を着香料として用いてもよく、発酵液の濃縮液又は乾燥粉末を着香料として用いてもよい。
食品は可食性の製品であれば、食品の具体的な態様は特に限定されない。食品として、例えば、野菜加工食品、海藻加工食品、缶詰類、瓶詰め類、肉類加工品等の各種加工食品;ヨーグルト、スープ、スナック菓子、パン類、麺類、氷菓子類、お茶、ジュース、コーヒー、健康食品が挙げられる。
調味料は食品に風味付けできれば、調味料の具体的な態様は特に限定されない。調味料としては、例えば、砂糖、及びはちみつ等の甘味料;クリームチーズ、及びバター等の乳製品;並びにみりん、及び日本酒等の酒類が挙げられる。
以上より、発酵時に焙煎コーヒー粕を用いなくても、食品、又は調味料に好適な代謝産物を得ることができ、この代謝産物を利用した食品、又は調味料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。ただし、実施例の内容は、本発明の範囲を制限するものではない。
また、下記発酵例1〜5において、下記の培地成分を用いた。
・酵母エキス;Bacto REF:212750、
・KHPO;和光純薬工業株式会社製、
・(NHSO;和光純薬工業株式会社製、
・MgSO;林純薬工業株式会社製、
・海藻灰エキス;日本薬品開発株式会社製。
酵母発酵の特性の評価は、官能試験を行いエステル臭・アルコール臭・茶様香り・ワイン様香り・果実様香りなどの芳香や香りに甘味・酸味・アルコール味などが加わった香味が認められた場合を+(プラス)、認められなかった場合を−(マイナス)とした。
[発酵例1]
<<前培養1>>
前培養は斜面寒天培地を使用して行った。斜面寒天培地の作製は、水500mlに22.5gの寒天培地(BBL Malt Agar;ベクトンデッキンソン社)を加え加熱溶解し、寒天溶液を試験管1本あたり約8ml加える。そして試験管の口にシリコ栓を装着し121℃、15分の加熱加圧滅菌を行い、管内の寒天培地が固まる前に試験管を斜めに静置して、斜面寒天培地を作製した。作製した試験管の斜面寒天培地にワイン酵母Saccharomyces cerevisiae OC−2株を接種し室温にて増殖させた。
<<本培養1>>
水1Lに対し、250gのグルコース、2gの酵母エキス、1gのKHPO、0.5gの(NHSO、0.24gのMgSO、0.2gの海藻灰エキスを基本成分とし、この基本成分と水とを混合した。この混合液150mLを300ml容のエルレンマイヤーフラスコに注加した。また活性化成分を加える場合はこの時に加える。そして、滅菌を施した後、OC−2株を接種させ酵母培養をした。
下記本培養液E1〜E5及びC1〜C3を、それぞれ2つ用意した。これら本培養液E1〜E5及びC1〜C2の各に、前培養1で得られたワイン酵母を白金耳で集め菌懸濁液とし一白金耳に付着した菌数相当量を接種した。その後、本培養液E1〜E5及びC1〜C3を、室温24.5℃の恒温室内に静置させて、ワイン酵母の本培養を行った。また、本培養液C3には、ワイン酵母を接種しなかった。後掲の表1に本培養が1日目の結果を示し、表2に本培養が2日目の結果を示し、表3に本培養が6日目の結果を示す。
<本培養液C2及びC3>
水1Lに対し、250gのグルコース、2gの酵母エキス、1gのKHPO、0.5gの(NHSO、0.24gのMgSO、及び0.2gの海藻灰エキスを基本成分とし、この基本成分と、水とを混合した。そして、この混合液150mLを300ml容のエルレンマイヤーフラスコに注加した。その後、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌装置)内で混合液に121℃で15分間の加熱加圧滅菌を施すことで、本培養液C2及びC3を作製した。
<本培養液E1>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gの焙煎された大麦若葉搾汁粕(焙煎搾汁粕)を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液E1を作製した。ここで、焙煎搾汁粕は、大麦若葉搾汁粕をオーブン(Yamato Drying Oven DX300)内で120℃で1時間焙煎することで作製された。
<本培養液E2>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gの大麦若葉搾汁粕(搾汁粕)を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液E2を作製した。
<本培養液E3>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gのほうじ茶葉を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液E2を作製した。
<本培養液E4>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gの日本茶葉を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液E3を作製した。
<本培養液E5>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gの紅茶葉を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液E3を作製した。
<本培養液C1>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.0gの焙煎コーヒー熱水抽出粕(焙煎コーヒー粕;焙煎コーヒー豆粉末の熱水抽出粕)を添加した以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液C1を作製した。
[評価]
{外観}
酵母接種から1日後の本培養液E1〜E5及びC1〜C3を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちの有無を評価した。本培養液C3にはワイン酵母を接種しなかったので、外観評価をしなかった。
{泡高}
本培養液E1〜E5及びC1について、液面と泡の上端との間の距離を定規で測定し、この距離を泡高とした。本培養液C2では外観評価で泡立ちがなかったため、泡高を測定しなかった。また、本培養液C3にはワイン酵母を接種しなかったので、泡高を測定しなかった。
表1の結果から、焙煎搾汁粕、搾汁粕、ほうじ茶葉、日本茶葉、又は紅茶葉を活性化成分として添加した場合、酵母接種から1日後のフラスコ内液面に白い泡立ちが得られ、本培養液E1〜E5の泡高は、いずれも5mm〜10mmの範囲内であった。この結果から、活性化成分は、ワイン酵母の生育を抑制させることなく、ワイン酵母による発酵に関わる傾向が得られた。また、活性化成分を添加しなかった本培養液C2及びC3では、フラスコ内液面に白い泡立ちが得られなかった。なお、活性化成分として焙煎コーヒー粕を添加した本培養液C1では、フラスコ内液面に白い泡立ちが得られた。
[評価]
酵母接種から2日後の本培養液E1〜E5及びC1〜C3について、下記の評価を行った。
{糖度}
糖度は、手持屈折計(ATAGO N1(Brix0〜32%))により測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、日本薬局方第14改正の一般試験法に記載された「1.アルコール数測定法」に準拠して測定された。このアルコール数は、本培養液E1〜E5及びC1〜C3の各々に含まれるエタノールの量を示す。
{pH}
pHは、pHメーター(HORIBA pH METER F−52)により測定された。
{泡高}
本培養液E1〜E5及びC1について、液面と泡の上端との間の距離を定規で測定し、この距離を泡高とした。本培養液C2及びC3では外観評価で泡立ちが得られなかった。
{官能試験}
本培養液E1〜E5及びC1〜C3の各々の香りを嗅ぎ、各本培養液におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、以下のように評価した。
+:香りに、エステル臭とアルコール臭との両方が確認された。
−:香りに、アルコール臭だけが確認されたか、或いはエステル臭とアルコール臭とのどちらも確認されなかった。
[評価]
酵母接種から6日後の本培養液E1〜E5及びC1〜C3について、下記の評価を行った。
{糖度}
糖度は、酵母接種から2日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から2日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から2日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E1〜E5及びC1〜C3の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から2日後と同様にして評価した。
また、本培養液E1〜E5及びC1の各々の風味も評価した。活性化成分を添加した本培養液E1〜E5は、それぞれ特有の芳香のあるアルコール性の味と、酸味のあるアルコール臭とを呈した。具体的には、本培養液E1は、酸味を伴うアルコール性香気とレーズン様の味を呈した。本培養液E2は、酸味を伴う麦様香気とバランスのとれたアルコール性の良好な味を呈した。本培養液E3は、ほうじ茶様芳香のあるアルコール性の味を呈した。本培養液E4は、日本茶様芳香のあるアルコール性の味を呈した。本培養液E5は、紅茶の芳香と味が残るアルコール性の味を呈した。なお、本培養液C1は、酸味を伴うコーヒー様芳香とアルコール性の味を呈した。また、本培養液C2は、甘さのみを呈し、アルコール性香味を呈しなかった。
表2、表3の結果から、比較例としての本培養液C1;焙煎コーヒー粕が、酸味を伴うコーヒー様芳香とアルコール性の味を呈したことは、酵母発酵の特性の一つの様態を示し本発明の妥当性を示すものである。そして、本培養液E1〜E5のいずれもが、食品(例えば、飲料)又は調味料として利用できることが期待される。
[発酵例2]
<<前培養2>>
前培養は斜面寒天培地を使用して行った。斜面寒天培地の作製は、発酵例1の前培養1と同じ方法で作製した。そして作製した試験管の斜面寒天培地にワイン酵母Saccharomyces cerevisiae OC−2株を接種し室温にて増殖させた。以後、本培養の時にワイン酵母を白金耳で集めて予め菌懸濁液を作製してThoma血球計算器を用いて菌数(菌体濃度)を測定した。
<<本培養2>>
本培養2と同様の手順で、ワイン酵母の本培養を行った。下記本培養液E6〜E8及びC4〜C5を用意した。そして、初期菌濃度が7.8×10cells/ml−mediumとなるようにして、本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々に、前培養2で得られたワイン酵母を接種した。接種後、本培養液E6〜E8及びC4〜C5を、室温24.5℃の恒温室内に静置させて、ワイン酵母の本培養を行った。後掲の表4に本培養が1日目の結果を示し、表5に本培養が4日目の結果を示し、表6に本培養が7日目の結果を示す。また、図1は、酵母接種時からの培養日数と、本培養液中の菌体濃度との関係(酵母の増殖曲線)を示す。
<本培養液C5>
本培養液C2と同様の手順で、本培養液C5を作製した。
<本培養液E6>
まず、大麦若葉搾汁粕をオーブン(Yamato Drying Oven DX300)内で120℃で1時間焙煎させた。この焙煎物を焙煎搾汁粕1とした。その後、エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.5gの焙煎搾汁粕1を添加した以外は、以降、本培養液C5と同様の手順で、本培養液E6を作製した。
<本培養液E7>
まず、大麦若葉搾汁粕をオーブン(Yamato Drying Oven DX300)内で150℃で1時間焙煎させた。この焙煎物を焙煎搾汁粕2とした。その後、エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.5gの焙煎搾汁粕2を添加した以外は、以降、本培養液C5と同様の手順で、本培養液E7を作製した。
<本培養液E8>
レンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.5gの大麦若葉搾汁粕(搾汁粕)を添加した以外は、以降、本培養液C5と同様の手順で、本培養液E8を作製した。
<本培養液C4>
レンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として1.5gの焙煎コーヒー熱水抽出粕を添加した以外は、以降、本培養液C5と同様の手順で、本培養液C4を作製した。
[評価]
酵母接種から1日後の本培養液E6〜E8及びC4〜C5について、下記の評価を行った。
{菌数}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の菌数(菌体濃度)は、前培養2と同様にして測定された。
{糖度}
糖度は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、発酵例1と同様の手順で測定された。
{泡高}
泡高は、発酵例1と同様にして測定された。
{官能試験}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、発酵例1と同様にして評価した。
また、本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の風味も評価した。本培養液E6及びE7は、それぞれ、搾汁粕の香りを伴う僅かにアルコール性香味を呈した。本培養液E8は、青葉の香りを伴うアルコール性香味を呈した。ワイン酵母の特徴を発現させている。なお、本培養液C4は、特許文献1のようなコーヒー様香気を伴うコーヒー様ワイン風の味を呈した。また、本培養液C5は、酸味のある僅かなアルコール性香味のみを呈した。
[評価]
酵母接種から4日後の本培養液E6〜E8及びC4〜C5について、下記の評価を行った。
{菌数}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{泡高}
泡高は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の風味も評価した。本培養液E6及びE7は、それぞれ、エステル臭とアルコール臭とを伴う僅微な渋みのある味を呈した。本培養液E8は、青葉の芳香を伴うエステル臭とアルコール性香味を呈した。なお、本培養液C4は、特許文献1のようなコーヒー様香気を伴うコーヒー様ワイン風の味を呈した。また、本培養液C5は、酸味のあるアルコール性香味のみを呈した。
[評価]
酵母接種から7日後の本培養液E6〜E8及びC4〜C5について、下記の評価を行った。
{菌数}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{泡高}
泡高は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E6〜E8及びC4〜C5の各々の風味も評価した。本培養液E6及びE7は、それぞれ、ワイン様芳香と僅かな苦味を呈した。本培養液8は、アルコール性香味を呈した。なお、本培養液C4は、特許文献1のようなコーヒー様香気を伴うコーヒー様ワイン風の味を呈した。また、本培養液C5は、発酵臭のある甘味を呈したが、エステル臭を呈しなかった。
表4〜表6の結果から、本培養液E6〜E8のいずれも、酵母発酵により、エタノール及びエステル化合物が生成されることが示された。また、表6の結果で、本培養液C5のアルコール数が増加したのは、本培養時にワイン酵母の自己消化が生じ、この自己消化物を栄養物質とすることで、ワイン酵母による発酵が開始/促進されたと考えられる。
[発酵例3]
<<前培養3>>
前培養2と同様の手順で、ワイン酵母の前培養を行った。前培養終了後、液中の菌数(菌体濃度)をThoma血球計算器を用いて測定した。
<<本培養3>>
下記本培養液E9〜E14及びC6〜C7を用意した。そして、初期菌濃度が4.33×l0cells/ml−mediumとなるようにして、本培養液E9〜E14及びC6の各々に、前培養3で得られたワイン酵母を接種した。また、本培養液C7には、ワイン酵母を接種しなかった。接種後、本培養液E9〜E14及びC6〜C7を、室温24.5℃の恒温室内に静置させて、ワイン酵母の本培養を行った。後掲の表7に本培養が1日目の結果を示し、表8に本培養が4日目の結果を示す。また、図2は、酵母接種時からの培養日数と、本培養液中の菌体濃度との関係(酵母の増殖曲線)を示す。
<本培養液C6及びC7>
本培養液C2と同様の手順で、本培養液C6及びC7を作製した。
<本培養液E9>
まず、大麦若葉搾汁粕1kgに対し、4.36kgの冷水を用意した。そして、大麦若葉搾汁粕を冷水に浸してから70℃で3時間加温することで、大麦若葉搾汁粕中の水溶性成分を水中に溶出させた。加温後、大麦若葉搾汁粕を濾別させて水溶液を回収し、この水溶液を噴霧乾燥することで、噴霧乾燥物を作製した。そして、この噴霧乾燥物を大麦若葉エキス末とした。ここで、大麦若葉エキス末の収率は0.007%であった。次に、エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として0.21gの大麦若葉エキス末(エキス末1)を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E9を作製した。
<本培養液E10>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として0.021gの大麦若葉エキス末(エキス末2)を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E10を作製した。ここで、エキス末2は、添加量が異なるだけで、本培養液E9と同様の大麦若葉エキス末である。
<本培養液E11>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として0.004gの大麦若葉エキス末(エキス末3)を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E11を作製した。ここで、エキス末3は、添加量が異なるだけで、本培養液E9と同様の大麦若葉エキス末である。
<本培養液E12>
まず、大麦若葉搾汁粕をオーブン(Yamato Drying Oven DX300)内で120℃で1時間焙煎させた。この焙煎物を焙煎搾汁粕1とした。次に、エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3gの焙煎搾汁粕1を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E12を作製した。
<本培養液E13>
まず、大麦若葉搾汁粕をオーブン(Yamato Drying Oven DX300)内で150℃で1時間焙煎させた。この焙煎物を焙煎搾汁粕2とした。次に、エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3gの焙煎搾汁粕2を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E13を作製した。
<本培養液E14>
レンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3gの大麦若葉搾汁粕(搾汁粕)を添加した以外は、以降、本培養液C6と同様の手順で、本培養液E14を作製した。
[評価]
酵母接種から1日後の本培養液E9〜E14及びC6〜C7について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E9〜E14及びC6〜C7を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちの有無を評価した。その結果、本培養液E9〜E14ではフラスコ内液面に白い泡立ちが確認され、本培養液C6〜C7ではフラスコ内液面に白い泡立ちが確認されなかった。
{菌数}
本培養液E9〜E14及びC6〜C7の各々の菌数(菌体濃度)は、前培養3と同様の手順で測定された。
{糖度}
糖度は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、発酵例1と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E9〜E14及びC6〜C7の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、発酵例1と同様にして評価した。
また、本培養液E9〜E14及びC6の各々の風味も評価した。本培養液E9は、酸味のある果実様芳香と甘味を呈した。本培養液E10は、甘みを伴うアルコール性香味を呈した。本培養液E11は、僅かな酸味を伴う甘味を呈した。本培養液E9〜E10の結果から、大麦若葉エキス末の効果は、濃度依存性を示した。本培養液E12及びE13は、それぞれ、茶様の香りとエステル臭とを呈した。本培養液E14は、梅様の芳香を伴うエステル臭を呈した。なお、本培養液C6は、酸味を伴う甘味のみを呈した。また、本培養液C7は、酵母接種されなかったため、風味評価はされなかった。
[評価]
酵母接種から4日後の本培養液E9〜E14及びC6〜C7について、下記の評価を行った。
{菌数}
本培養液E9〜E14及びC6〜C7の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{泡高}
泡高は、酵母接種から1日後と同様にして測定された。
{官能試験}
本培養液E9〜E14及びC6〜C7の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E9〜E14及びC6の各々の風味も評価した。本培養液E9は、酸味を伴うワイン様香味を呈した。本培養液E10は、弱い酸味を伴うアルコール性香味を呈した。本培養液E11は、エステル臭を伴う重い酸臭と甘味と苦味を呈した。本培養液E12及びE13は、それぞれ、茶様の香りと苦みを呈した。本培養液E14は茶様の香りと苦みのあるアルコール性香味とを呈した。なお、本培養液C6は、エステル臭とアルコール臭とを伴う甘味と辛味を呈したが、活性化成分に起因する香味を呈さなかった。ここで、本培養液C6がエステル臭とアルコール臭とを呈したのは、本培養時にワイン酵母の自己消化が生じ、この自己消化物を栄養物質とすることで、ワイン酵母による発酵が開始/促進されたと考えられる。
表8の結果から、本培養液E9〜E14のいずれもが、食品(例えば、飲料、ケーキ)又は食品の風味付加用調味料として利用できることが期待される。
[発酵例4]
<<前培養4>>
前培養2と同様の手順で、ワイン酵母の前培養を行った。以後、本培養の時にワイン酵母を白金耳で集めて予め菌懸濁液を作製してThoma血球計算器を用いて菌体濃度を測定した。
<<本培養4>>
基本成分が水1Lに対し120gのグルコースである以外は本培養1と同じ混合液を作製した。下記本培養液E15〜E17及びC8〜C11を用意した。そして、初期菌濃度が4.33×10cells/ml−mediumとなるようにして、本培養液E15〜E17及びC8〜C11の各々に、前培養4で得られたワイン酵母を接種した。また、本培養液C10及び11には、ワイン酵母を接種しなかった。接種後、本培養液E15〜E17及びC8〜C11を、室温24.5℃の恒温室内に静置させて、ワイン酵母の本培養を行った。後掲の表9に本培養が1日目の結果を示し、表10に本培養が2日目の結果を示し、表11に本培養が3日目の結果を示す。また、図3は、酵母接種時からの培養日数と、本培養液中の菌体濃度との関係(酵母の増殖曲線)を示す。さらに、図4〜図6は、それぞれ、酵母接種時からの1日目、2日目、及び3日目の各本培養液の外観を示す。
<本培養液C9及びC10>
基本成分が水1Lに対し120gのグルコースである以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液C9及びC10を作製した。
<本培養液E15>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの果実粉砕物(レポカ)を添加した以外は、以降、本培養液C9と同様の手順で、本培養液E15を作製した。ここで、レポカは、レモン、カボスおよびスダチの果実全体を粉砕して混合した後、糖類及び可食性多糖類が添加された混合液を噴霧乾燥することで製造された粉末である。また、レポカの製造は、具体的には、特開2004−350676号公報に記載された方法に基いて行われた。
<本培養液E16>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの黒糖を添加した以外は、以降、本培養液C9と同様の手順で、本培養液E16を作製した。
<本培養液E17>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの大麦若葉搾汁粕(搾汁粕)を添加した以外は、以降、本培養液C9と同様の手順で、本培養液E17を作製した。
<本培養液C8>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gのグラニュー糖を添加した以外は、以降、本培養液C9と同様の手順で、本培養液C8を作製した。
<本培養液C11>
グルコースの量を、水1Lに対して、120gにした以外は、本培養液C9と同様の手順で、本培養液C11を作製した。
[評価]
酵母接種から1日後の本培養液E15〜E17及びC8〜C10について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図4参照)。本培養液E15では、フラスコの液面全体に白色の泡が発生しており、泡高は5mm〜10mmであった。さらに、本培養液E15のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E16では、濁りがあり、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。さらに、本培養液E16のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E17では、フラスコ内の麦繊維が液内全体に広がり、麦繊維が液面を押し上げるようにして泡が発生し、液面の上で麦繊維と泡とが混合された層の泡高は液面から20mmであり、泡のみの層の泡高は5mm〜8mmであることが確認された。本培養液C8の2つのフラスコのうち、一方のフラスコでは液面に泡が発生しなかったが、一方のフラスコでは液面の縁に沿って泡がわずかに発生していた。また、本培養液C9では、フラスコ内の液面の縁に沿って泡がにわずかに発生し、泡高は2mm〜4mmであった。さらに本培養液C9のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡立ちが液内でも確認された。なお、本培養液C10は酵母接種されなかったので、本培養液C10の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の菌数(菌体濃度)は、前培養3と同様の手順で測定された。
{生菌率}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の菌懸濁液を作製しThoma血球計算器を用いて生菌数を倒立顕微鏡にて算出する。菌懸濁液は計数する視野において菌数が100個以上となるように予め希釈しておく。下記式(1)に基いて、生菌率を算出した。
生菌率(%)=(生菌数/(生菌数+死菌数)×100 ・・・(1)。
{糖度}
糖度は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、発酵例1と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、発酵例1と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、発酵例1と同様にして評価した。
また、本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の風味も評価した。本培養液E15は、重厚で、柑橘類に特有の酸性ある芳香と、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキの調味料に好適な味とを有する。本培養液E16は、糖蜜の甘い香りとワイン様の芳香を有し、甘みのある味を呈するものの、アルコール性の香味は感じられない。本培養液E17は、麦を刈り取った直後のみずみずしい香りと、緑茶のような香りと、ワイン様の芳香とを有し、酸味のあるアルコール性の香味を呈する。本培養液C8は、培地臭がある苦みと辛味を感じさせる香りを有し、本培養液E16よりも甘さはありものの、アルコール性の香味は感じられない。本培養液C9は、培地臭を伴う甘味を有する。
[評価]
酵母接種から2日後の本培養液E15〜E17及びC8〜C10について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図5参照)。本培養液E15では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い色の泡が発生し、泡高は1日目の場合よりも低いことが確認された。具体的には、2つのフラスコのうち、一方のフラスコでは泡高は2mm程度であり、他方のフラスコでは泡高は5mm程度であった。さらに、本培養液E15のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E16では、濁りがあり、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。さらに、本培養液E16のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E17では、フラスコ内の麦繊維が液内全体に広がり、麦繊維が液面を押し上げるようにして泡が発生し、泡高は液面から3mm程度であることが確認された。さらに、本培養液E17の本培養液E15のフラスコを振盪すると、麦繊維が液内全体に拡散されるものの、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C8では、フラスコ内の液面に泡が発生し、泡高は8mm〜9mmであることが確認された。さらに、本培養液C8のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が12mm程度になることも確認された。本培養液C9では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生し、泡高は2mm〜4mmであることが確認された。さらに、本培養液C9のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。なお、本培養液C10は酵母接種されなかったので、本培養液C10の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{生菌率}
生菌率は、酵母接種から1日後と同様の手順で算出された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の風味も評価した。本培養液E15は、柑橘類果皮に特有の酸性ある芳香と、アルコール性の香味と、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキの調味料に好適な味とを有する。本培養液E16は、糖蜜の甘い香りと、ワイン様の芳香とを有し、甘みのある味を呈するものの、アルコール性の香味は感じられない。このような本培養液E16は、飲料及びケーキなどの調味料に好適な性質を有する。本培養液E17は、緑茶のような香りと、苦味のある大麦様の香りとを有し、アルコール性の香味を呈する。本培養液C8は、酸味と共に、甘味と僅かに酸味のあるアルコール性の香味を有する。本培養液C9は、培地臭に伴う苦味と僅かな甘味とを有する。
[評価]
酵母接種から3日後の本培養液E15〜E17及びC8〜C11について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図6参照)。本培養液E15では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い色の泡が発生していることが確認された。さらに、本培養液E15のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E16では、濁りがあり、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。さらに、本培養液E16のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E17では、フラスコ内の麦繊維が液内に取り込まれており、液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。さらに、本培養液E17の本培養液E15のフラスコを振盪すると、麦繊維が液内全体に拡散されるものの、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C8では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡が発生し、測定位置にもよるが、泡高は5mm〜7mmであることが確認された。本培養液C9では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生し、泡高が2mm〜4mmであることが確認された。さらに、本培養液C9のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。なお、本培養液C10及びC11は酵母接種されなかったので、本培養液C10及びC11の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{生菌率}
生菌率は、酵母接種から1日後と同様の手順で算出された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E15〜E17及びC8〜C9の各々の風味も評価した。本培養液E15は、柑橘類果皮に特有の酸性ある芳香と、アルコール性の香味と、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキの調味料に好適な味とを有する。本培養液E16は、糖蜜の甘い香りとワイン様の芳香とを有すると共に、甘味とアルコール性の香味とを有する。本培養液E17は、大麦葉の搾汁液に特有の香りを有すると共に、酸味と苦みとアルコール性の香味とを有する。本培養液C8は、本培養液E16よりも甘さは僅かに強く、僅かに酸味を感じさせるアルコール性の微香を有するものの、好適なアルコール性の香味は感じない。本培養液C9は、培地臭に伴う苦味と僅かな甘味とを有する。なお、本培養液C11は、酵母エキス特有の香りと、甘みとを有する。
[発酵例5]
<<前培養5>>
前培養2と同様の手順で、ワイン酵母の前培養を行った。以後、本培養の時にワイン酵母を白金耳で集め菌懸濁液を作製してThoma血球計算器を用いて菌体濃度を測定した。
<<本培養5>>
基本成分が水1Lに対し120gのグルコースであり酵母エキスが含まれない以外本培養1と同じ混合液を作製した。下記本培養液E18〜E20及びC12〜C16を用意した。そして、初期菌濃度が4.33×10cells/ml−mediumとなるようにして、本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々に、前培養5で得られたワイン酵母を接種した。また、本培養液C15及び16には、ワイン酵母を接種しなかった。接種後、本培養液E18〜E20及びC12〜C16を、室温24.5℃の恒温室内に静置させて、ワイン酵母の本培養を行った。後掲の表12に本培養が1日目の結果を示し、表13に本培養が2日目の結果を示し、表14に本培養が3日目の結果を示す。また、図7は、酵母接種時からの培養日数と、本培養液中の菌体濃度との関係(酵母の増殖曲線)を示す。さらに、図8〜図10は、それぞれ、酵母接種時からの1日目、2日目、及び3日目の各本培養液の外観を示す。
<本培養液C14及びC15>
基本成分が水1Lに対し120gのグルコースであり酵母エキスが含まれない以外は、本培養液C2と同様の手順で、本培養液C14及びC15を作製した。
<本培養液E18>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの果実粉砕物(レポカ)を添加した以外は、以降、本培養液C14と同様の手順で、本培養液E18を作製した。ここで、レポカは、本培養液E15と同様のものである。
<本培養液E19>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの黒糖を添加した以外は、以降、本培養液C14と同様の手順で、本培養液E19を作製した。
<本培養液E20>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの大麦若葉搾汁粕(搾汁粕)を添加した以外は、以降、本培養液C14と同様の手順で、本培養液E20を作製した。
<本培養液C12>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gのグラニュー糖を添加した以外は、以降、本培養液C14と同様の手順で、本培養液C12を作製した。
<本培養液C13>
エルレンマイヤーフラスコ内の混合液に、液量150mLに対して、活性化成分として3.75gの焙煎コーヒー熱水抽出粕(焙煎コーヒー粕;焙煎コーヒー豆粉末の熱水抽出粕)を添加した以外は、以降、本培養液C14と同様の手順で、本培養液C13を作製した。
<本培養液C16>
グルコースの量を、水1Lに対して、120gにした以外は、本培養液C14と同様の手順で、本培養液C16を作製した。
[評価]
酵母接種から1日後の本培養液E18〜E20及びC12〜C15について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図8参照)。本培養液E18では、液に濁りがあり、液面全体に白い色が発生し、泡高は0.3mm〜0.5mmであることが確認された。さらに、本培養液E18のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E19では、液に濁りがあり、液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。さらに、本培養液E19のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E20では、フラスコ内の麦繊維が液内全体に広がり、麦繊維が液面を押し上げるようにして泡が発生し、泡高は8mm〜10mmであることが確認された。さらに、本培養液E20のフラスコを振盪すると、麦繊維が液内全体に拡散されるものの、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C12では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。本培養液C13では、静置状態で焙煎コーヒー粕が液体上部に移動していると共に、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生し、泡高は0.3mm〜0.6mm程度であることが確認された。さらに、本培養液C13のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C14では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生していることが確認された。しかし、本培養液C14のフラスコを振盪しても、発酵に伴う泡が液内で発生していることは確認されなかった。なお、本培養液C15は酵母接種されなかったので、本培養液C15の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の菌数(菌体濃度)は、前培養5と同様の手順で測定された。
{生菌率}
生菌率は、発酵例4と同様にして算出された。
{糖度}
糖度は、発酵例4と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、発酵例4と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、発酵例4と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E18〜E20及びC12〜C15の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、発酵例4と同様にして評価した。
また、本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の風味も評価した。本培養液E18は、柑橘類に特有の芳香と、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキの調味料に好適な味とを有する。本培養液E19は、糖蜜の甘いワイン様の芳香と甘味とを有するものの、アルコール性の香味は感じられない。このような本培養液E19は、ケーキまたは食品の調味料に好適な性質を有する。本培養液E20は、麦を刈り取った直後のみずみずしい香りと、緑茶のような香りと、ワイン様の芳香とを有し、酸味のあるアルコール性の香味を呈する。このため、搾汁粕を可溶化させて高濃度の原料にすることができれば、この原料から好適な調味料を製造できると期待される。本培養液C12では、好適な香りが得られなかった。この結果から、グラニュー糖は、酵母による発酵を活性化しにくい傾向があると考えられる。本培養液C13は、新鮮なコーヒー様の香りとコーヒー様の味とを有する。本培養液C14は、殆んど無臭で、甘味を有する。なお、本培養液C15は、特に匂いはなく、甘味のある液体である。
[評価]
酵母接種から2日後の本培養液E18〜E20及びC12〜C15について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図9参照)。本培養液E18では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生し、泡高は4mm〜5mm程度であることが確認された。さらに、本培養液E18のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E19では、液に濁りがあるものの、液面に泡がないことが確認された。本培養液E20では、フラスコ内の麦繊維が液内全体に広がり、麦繊維が液面を押し上げるようにして泡が発生し、泡高は、液面から4mm〜5mm程度であることが確認された。さらに、本培養液E20のフラスコを振盪すると、麦繊維が液内全体に拡散されるものの、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C12では、液面に泡がないことが確認された。本培養液C13では、液面中央部で塊となって液面全体に泡が発生し、泡高は、液面から6mm程度であることが確認された。さらに、本培養液C13のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡がフラスコ内面に沿って発生し、泡高は12m程度になることも確認された。本培養液C14では、液にわずかな濁りがあるものの、泡の発生がなかったため、酵母による発酵は確認されなかった。なお、本培養液C15は酵母接種されなかったので、本培養液C15の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{生菌率}
生菌率は、酵母接種から1日後と同様にして算出された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E18〜E20及びC12〜C15の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の風味も評価した。本培養液E18は、柑橘類の果皮に特有の酸性ある芳香と、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキ等の調味料に好適な味とを有する。本培養液E19は、糖蜜の甘い香りとワイン様の芳香を有し、甘みのある味を呈する。このような本培養液E19は、飲料及びケーキ等の調味料に好適な性質を有する。本培養液E20は、緑茶のような香りと、苦味のある大麦様の香りとを有し、アルコール性の香味を呈する。本培養液C12は、糖味であって、僅かな甘味を呈する。本培養液C13は、コーヒー様の風味と、甘みとを有する。本培養液C14は、わずかな甘味を有する。
[評価]
酵母接種から3日後の本培養液E18〜E20及びC12〜C16について、下記の評価を行った。
{外観}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14を、それぞれ目視で確認し、フラスコ内液面における白い泡立ちを評価した(図10参照)。本培養液E18では、フラスコ内の液面の縁に沿って白い泡が発生し、泡高は3mm〜4mmであることが確認された。さらに、本培養液E18のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液E19では、液面に泡の発生がなく、液上部は透明で茶色を呈し、液下部に白い濁りがあることが確認された。また、本培養液E19のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることが確認された。本培養液E20では、フラスコ内の麦繊維が液内に取り込まれており、液面の縁に沿って白い泡がわずかに発生し、泡高は4mm〜5mmであることが確認された。さらに、本培養液E20のフラスコを振盪すると、麦繊維が液内全体に拡散されるものの、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C12では、液面にに泡の発生がなく、液下部に濁りがあることが確認された。さらに、本培養液C12のフラスコを振盪すると、液に濁りがあるものの、発酵に伴う泡が液内で発生しないことも確認された。本培養液C13では、液面全体に泡が発生していることが確認された。さらに、本培養液C13のフラスコを振盪すると、発酵に伴う泡が液内で発生していることも確認された。本培養液C14では、液面に泡の発生がないことが確認された。さらに、本培養液C14のフラスコを振盪しても、発酵に伴う泡が液内で発生しないことも確認された。なお、本培養液C15及びC16は酵母接種されなかったので、本培養液C15及びC16の外観評価はされなかった。
{菌数}
本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の菌数(菌体濃度)は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{生菌率}
生菌率は、酵母接種から1日後と同様にして算出された。
{糖度}
糖度は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{Al数(アルコール数)}
アルコール数は、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{pH}
pHは、酵母接種から1日後と同様の手順で測定された。
{官能試験}
本培養液E18〜E20及びC12〜C16の各々におけるエタノール及びエステル化合物の有無を、酵母接種から1日後と同様にして評価した。
また、本培養液E18〜E20及びC12〜C14の各々の風味も評価した。本培養液E18は、柑橘類の果皮に特有の酸性ある芳香と甘味を有すると共に、柑橘類搾汁粕様の芳香のあるアルコール性飲料またはケーキの調味料に好適な味を有する。本培養液E19は、糖蜜の甘い香りとワイン様の芳香を有し、甘みのある味を呈する。さらに、本培養液E19は、アルコール性の香味も有する。本培養液E20は、大麦葉の搾汁液に特有の香りと酸味と苦みとを有すると共に、アルコール性の香味を有する。本培養液C12は、本培養液E19よりも僅かに強い甘みを有する。本培養液C13は、コーヒー様の風味と、甘みとを有する。本培養液C14は、僅かな香りと甘味とを有する。なお、本培養液C16は、甘味を有する液体である。
また、表14の結果から、本培養液E18及びE19は、本培養液E20及びC13と比べて、酵母の生育を抑制する傾向があることが確認された。
図7の結果から、本培養液が酵母エキスを含有していなくても、本培養液に活性化成分を添加することで、ワイン酵母は活発に増殖することが確認された。
さらに、発酵例1〜5の結果、特に官能試験及び風味評価の結果から、大麦若葉搾汁粕、大麦若葉搾汁エキス末、ほうじ茶葉、日本茶葉、及び紅茶葉の各々が活性化成分として用いられた発酵液は、飲料に好適であり、柑橘類の果実粉砕物、及び黒糖の各々が活性化成分として用いられた発酵液は、飲料、菓子類、及びケーキ類を風味付けするための調味料に好適であることが期待される。
[発酵例1〜5の考察]
発酵例1〜5では、活性化成分の生理活性を総合的に検出するための測定系を構築するため、酵母による発酵の指標として、アルコール生成、エステル類に起因する芳香、味覚、外観、及び増殖などを評価した。
培養例1〜4の本培養液は、グルコース、酵母エキス、KHPO、(NHSO、MgSO、及び海藻灰エキスを含有している。このような本培養液に活性化成分が添加されていない場合、ワイン酵母Saccharomyces cerevisiae OC−2を接種しても、酵母による発酵は極めて低調になりやすい。これは、活性化成分の以外の各成分が酵母の生育を支持しにくいことを示している。
活性化成分として、柑橘類の果実粉砕物であるレポカ、黒糖、大麦若葉搾汁粕の焙煎物、大麦若葉搾汁粕の未焙煎物、ほうじ茶葉、日本茶葉、紅茶葉、大麦若葉搾汁エキス末のいずれかが添加された本培養液では、ワイン酵母による発酵が活性化されると共に、酵母の生育は支持された。これにより、アルコール生成、エステル類に起因する芳香、旺盛な生育の外観、酵母数の増加が確認された。すなわち、活性化成分は、ワイン酵母による発酵を活性化されると共に、酵母の生育を支持することが確認された。
このように活性化成分を添加することで、酵母の増殖、糖消費及びエタノール生成を促進させ、活性化成分に起因する香味と、ワイン酵母による発酵で生じたと考えられる芳香とが得られた。このため、活性化成分は、有用な加工食品、例えば飲料、調味料の製造にも役立つものであると考えられる。
なお、焙煎コーヒー熱水抽出粕を活性化成分として添加された本培養液でも、ワイン酵母による発酵が活性化されると共に、酵母の生育は支持されたが、活性化成分として焙煎コーヒー熱水抽出粕を用いなくても、食品又は調味料に好適な香味などが得られることが確認された。
また、活性化成分の好適な量は、本培養液の液量に対して、0.1質量%〜3質量%程度、すなわち0.1〜3w/v%程度であると考えられる。
培養例1〜5において、同じ活性化成分を用いても、結果にバラツキが生じるのは、活性化成分が粗固形物であることに起因するものと考えられる。
活性化成分は酵母の生育に対するストレッサーとして機能することが想定でき、さらに、出現する生理学的応答反応は、酵母の増殖に直結する測定値と、酵母の特性に起因する香気成分に関係すると考えられる。
また、活性化成分には酵母発酵に大きく関わる成分が存在すると考えられ、酵母に対するストレスの種類に関係なく、発酵時に少なくともエタノールとエステル化合物とが生成されることで共通する。また、活性化成分が異なっていても、各活性化成分で共通の代謝系が作用すると仮定すると、各活性化成分に特有の発酵液(特にエステル化合物)が得られると考えられる。
発酵例1〜5の結果から、活性化成分は、ワイン酵母による発酵に関わることから、酵母発酵に対する活性化作用があることが確認された。すなわち、活性化成分の存在下でワイン酵母を生育させることで、その結果から、活性化成分が酵母発酵に関わるか否かを簡便に判定することができると考えられる。この酵母発酵における官能試験の評価方法は、酵母発酵による農産加工品及び農産加工廃棄物の有効利用を予測する方法となり得ることがわかる。
また、ワイン酵母は、真核生物であるため、動物細胞に対する活性化成分による効果を検討する前段階として役割を果たすものとも考えられる。

Claims (6)

  1. 酵母発酵の特性を発現できない条件で、農産加工品及び農産加工廃棄物の有する活性を官能試験で検知できることを特徴とする酵母発酵の方法。
  2. 酵母発酵の特性を発現できない条件で、糖類と、農産加工品及び農産加工廃棄物のうち少なくとも一方とを含有する培養液を調製することと、
    前記培養液に酵母を接種することと、
    前記培養液中で、前記酵母の代謝産物を生成させることと、
    を含み、
    前記農産加工廃棄物は、焙煎コーヒー粕を除く、
    酵母発酵の方法。
  3. 前記代謝産物は、少なくともエタノール及びエステル類を含有する、請求項1又は2に記載の酵母発酵の方法。
  4. 前記農産加工廃棄物が大麦若葉搾汁粕である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵母発酵の方法。
  5. 前記農産加工品が茶類、又は柑橘類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酵母発酵の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵母発酵の方法で得られた発酵液を用いて食品、又は調味料を製造することを含む、食品、又は調味料の製造方法。
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