JP2019176761A - 大豆粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、飲料、製菓、製パン等の飲食品分野への用途に適した、風味と保存性に優れた大豆粉を提供することを課題とする。【解決手段】脱皮した大豆に対して水を添加して水分を8〜15重量%に調整する工程と、該加水処理された脱皮大豆に密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行い、開放雰囲気下にて冷却することによって該脱皮大豆の水分を14重量%以下まで低下させる工程と、及び該加熱処理大豆に対して乾式粉砕処理を行う工程とを有し、マイクロ波加熱処理後に乾燥工程を有さず、該マイクロ波加熱処理の処理条件が単位重量あたりのマイクロ波の照射量が200〜800J/gマイクロ波加熱をであること、を特徴とするNSIが12〜74の大豆粉の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、大豆粉の製造方法に関するものである。
大豆は固形分あたり、およそ炭水化物32%、蛋白質40%、油脂22%と3大栄養素をバランスよく有している。また、炭水化物中の6割が食物繊維であり生理機能面でも優れている。大豆の利用形態の1つとしては大豆粉があり、飲料・製菓・製パンなど様々な分野において使用されている。
一方、大豆には穀物臭や青臭味など独特の不快臭を有しており、不快臭を軽減する方法として様々な方法が開発されている。
例えば特許文献1では、酵素失活方法として、脱皮大豆を加圧下で130〜190℃の過熱蒸気による加熱処理が提案されている。また、特許文献2では、酵素失活方法として、85〜150℃の熱水、または水蒸気による蒸煮処理が提案されている。さらに、大豆の別の加熱処理の方法としては、大豆にマイクロ波を照射して加熱処理する方法も提案されている(特許文献3〜14)。
しかしながら、飲料、製菓、製パン等の飲食品分野において、大豆粉の利用が大きく拡大している状況にはなく、飲料、製菓、製パン等の飲食品への用途を考慮し、優れた保存性と風味を両立させた、最適な大豆粉の製造方法が十分に確立されているとは言い難い。
特許文献1,2では、何れも水蒸気や熱水を加えて湿熱加熱処理を行っているため、大豆に水が多量に吸水してしまう。そのため、大豆粉にするために、乾式粉砕を行うためには乾燥工程が不可欠となり、製造効率が悪くなる。また、乾燥工程により、大豆に余分な熱履歴が加わるため、大豆の風味劣化も生じやすくなるという欠点もあった。
そこで本発明は、飲料、製菓、製パン等の飲食品分野への用途に適した、風味と保存性に優れた大豆粉を提供することを課題とする。
特許文献1,2では、何れも水蒸気や熱水を加えて湿熱加熱処理を行っているため、大豆に水が多量に吸水してしまう。そのため、大豆粉にするために、乾式粉砕を行うためには乾燥工程が不可欠となり、製造効率が悪くなる。また、乾燥工程により、大豆に余分な熱履歴が加わるため、大豆の風味劣化も生じやすくなるという欠点もあった。
そこで本発明は、飲料、製菓、製パン等の飲食品分野への用途に適した、風味と保存性に優れた大豆粉を提供することを課題とする。
本発明者らは、加熱処理方式としてマイクロ波加熱処理を選択すること、及びそれに特定の諸条件を組み合わせることにより、上記課題を解決するに至った。
すなわち本発明は、下記の発明を包含するものである。
(1)脱皮した大豆 に対して水を添加し、水分を8〜15重量%に調整する工程、
該加水処理された脱皮大豆に、密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行い、開放雰囲気下にて冷却することにより、該脱皮大豆の水分を14重量%以下まで低下させる工程、
及び該加熱処理大豆に対して乾式粉砕処理を行う工程を有し、
マイクロ波加熱処理後に乾燥工程を有さず、
該マイクロ波加熱処理の処理条件は、単位重量あたりのマイクロ波の照射量が200〜800J/gであることを特徴とする、NSIが12〜74の大豆粉の製造方法。
(1)脱皮した大豆 に対して水を添加し、水分を8〜15重量%に調整する工程、
該加水処理された脱皮大豆に、密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行い、開放雰囲気下にて冷却することにより、該脱皮大豆の水分を14重量%以下まで低下させる工程、
及び該加熱処理大豆に対して乾式粉砕処理を行う工程を有し、
マイクロ波加熱処理後に乾燥工程を有さず、
該マイクロ波加熱処理の処理条件は、単位重量あたりのマイクロ波の照射量が200〜800J/gであることを特徴とする、NSIが12〜74の大豆粉の製造方法。
本発明の大豆粉の製造法によれば、乾式粉砕処理の前の乾燥工程を短縮又は省略することができ、製造効率を向上させることができると共に、飲料、製菓、製パン等の飲食品分野への用途に適した、風味と保存性に優れた大豆粉を得ることができる。
本発明のNSIが12〜74の大豆粉の製造方法は、脱皮した大豆に対して水を添加して水分を8〜15重量%に調整する工程と、該加水処理された脱皮大豆に密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行い、開放雰囲気下にて冷却することによって該脱皮大豆の水分を14重量%以下まで低下させる工程と、及び該加熱処理大豆に対して乾式粉砕処理を行う工程とを有し、マイクロ波加熱処理後に乾燥工程を有さず、該マイクロ波加熱処理の処理条件が単位重量あたりのマイクロ波の照射量が200〜800J/gであること、を特徴とする。以下、より具体的な製造態様について示す。
(原料大豆)
本発明の大豆粉の製造に使用する大豆の種類としては、黄大豆,白大豆,青大豆,黒大豆などを限定なく使用することができるが、色調の点から黄大豆や白大豆が好ましい。また大豆に含まれる成分の栄養機能を考慮して、育種,遺伝子操作や発芽処理等により、7Sグロブリン,11Sグロブリン,イソフラボン,サポニン,ニコチアナミン,レシチン,オリゴ糖,ビタミン類,ミネラル類などの大豆中の特定の成分が富化された大豆を使用してもよい。
本発明の大豆粉の製造に使用する大豆の種類としては、黄大豆,白大豆,青大豆,黒大豆などを限定なく使用することができるが、色調の点から黄大豆や白大豆が好ましい。また大豆に含まれる成分の栄養機能を考慮して、育種,遺伝子操作や発芽処理等により、7Sグロブリン,11Sグロブリン,イソフラボン,サポニン,ニコチアナミン,レシチン,オリゴ糖,ビタミン類,ミネラル類などの大豆中の特定の成分が富化された大豆を使用してもよい。
(脱皮大豆)
本発明の加工処理に供する大豆は、予め脱皮したものであることが重要である。これにより、加熱処理された大豆から水分が蒸発する効率を高められる利点がある。脱皮大豆の剥皮率は特に制限はないが、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
大豆の脱皮方法は特に限定されないが、一般的に用いられる公知のいずれの方法を用いてもよい。具体的には、挽き割り方式、乾燥破砕方式、石臼による乾式脱皮方式、研磨方式、瞬間加熱方式などが挙げられ、市販の脱皮機を用いて行えばよい。また、大豆粉の風味の観点から脱皮工程と共に、大豆を半割れ状態にして胚軸部分も取り除く工程を経て、大豆の子葉部分のみ(脱皮脱胚軸大豆)を用いる方が、加熱処理の熱効率を高められる点でなお好ましい。なお、脱皮大豆や脱皮脱胚軸大豆は製造者自らが脱皮して調製しても良いし、予め脱皮された大豆を入手しても良い。
本発明の加工処理に供する大豆は、予め脱皮したものであることが重要である。これにより、加熱処理された大豆から水分が蒸発する効率を高められる利点がある。脱皮大豆の剥皮率は特に制限はないが、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
大豆の脱皮方法は特に限定されないが、一般的に用いられる公知のいずれの方法を用いてもよい。具体的には、挽き割り方式、乾燥破砕方式、石臼による乾式脱皮方式、研磨方式、瞬間加熱方式などが挙げられ、市販の脱皮機を用いて行えばよい。また、大豆粉の風味の観点から脱皮工程と共に、大豆を半割れ状態にして胚軸部分も取り除く工程を経て、大豆の子葉部分のみ(脱皮脱胚軸大豆)を用いる方が、加熱処理の熱効率を高められる点でなお好ましい。なお、脱皮大豆や脱皮脱胚軸大豆は製造者自らが脱皮して調製しても良いし、予め脱皮された大豆を入手しても良い。
(加水処理)
生大豆は産地、気候、保存状態などによって変動があるものの、おおよそ8.3〜12.5重量%程度の水分を含んでいるが、脱皮大豆の状態で保存している場合は乾燥により水分が6%程度に低下している場合もある。
本発明では脱皮大豆に水を添加する加水処理を行い、もともと含まれる水分と合わせて大豆中の水分が8〜15重量%となるように調整する工程を有する。
脱皮大豆の加水処理後の水分含量は、下限として8重量%以上が好ましく、9重量以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。また上限として15重量%以下が好ましく、12重量%以下がより好ましく、11重量%以下がさらに好ましい。
加水処理後の水分が低すぎる場合、マイクロ波加熱による過加熱により焙煎臭等の雑味が生じやすくなる。一方、該水分が高すぎると、粉砕工程においてスケーリングが発生し長時間の稼動が困難となるため、粉砕工程前に乾燥工程が余分に必要となる。
加水方法は特に限定されず、脱皮大豆に適量の水を噴霧したり、脱皮大豆を入れた容器内に適量の水を添加し、撹拌や振動させることにより均一に水を接触させる方法、あるいは浸漬などにより行うことができる。
生大豆は産地、気候、保存状態などによって変動があるものの、おおよそ8.3〜12.5重量%程度の水分を含んでいるが、脱皮大豆の状態で保存している場合は乾燥により水分が6%程度に低下している場合もある。
本発明では脱皮大豆に水を添加する加水処理を行い、もともと含まれる水分と合わせて大豆中の水分が8〜15重量%となるように調整する工程を有する。
脱皮大豆の加水処理後の水分含量は、下限として8重量%以上が好ましく、9重量以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。また上限として15重量%以下が好ましく、12重量%以下がより好ましく、11重量%以下がさらに好ましい。
加水処理後の水分が低すぎる場合、マイクロ波加熱による過加熱により焙煎臭等の雑味が生じやすくなる。一方、該水分が高すぎると、粉砕工程においてスケーリングが発生し長時間の稼動が困難となるため、粉砕工程前に乾燥工程が余分に必要となる。
加水方法は特に限定されず、脱皮大豆に適量の水を噴霧したり、脱皮大豆を入れた容器内に適量の水を添加し、撹拌や振動させることにより均一に水を接触させる方法、あるいは浸漬などにより行うことができる。
(マイクロ波加熱処理)
本発明では、上記の特定の水分量に加水処理した脱皮大豆を、密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行うことが特徴である。
マイクロ波加熱とは、電界の周波数がマイクロ波帯域(周波数300〜3000MHz)の電磁波を加熱に用いる方法で、従来の加熱方法とは異なり、被加熱物質が発熱源となるため、内部も外部も一様に温度が上昇する。このため、“内部加熱”と呼ばれ、従来の外側から熱する炎、蒸気、熱風、電熱などの“外部加熱”に比べ、次のような特長を持っている。まず、外部加熱では熱伝導によって物体の表面から温度が上がるため、内部の温度を上げるのに時間がかかるが、マイクロ波は高速で伝達し、対象物自体を発熱体にするため、短時間で内部まで加熱することができる。次に、波長が短いため、深部まで透過し、内部まで加熱することができる。さらに、エネルギー効率が高い、制御が容易で応答が速い、余熱時間が必要ない、などの利点が挙げられる。
本発明では、上記の特定の水分量に加水処理した脱皮大豆を、密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行うことが特徴である。
マイクロ波加熱とは、電界の周波数がマイクロ波帯域(周波数300〜3000MHz)の電磁波を加熱に用いる方法で、従来の加熱方法とは異なり、被加熱物質が発熱源となるため、内部も外部も一様に温度が上昇する。このため、“内部加熱”と呼ばれ、従来の外側から熱する炎、蒸気、熱風、電熱などの“外部加熱”に比べ、次のような特長を持っている。まず、外部加熱では熱伝導によって物体の表面から温度が上がるため、内部の温度を上げるのに時間がかかるが、マイクロ波は高速で伝達し、対象物自体を発熱体にするため、短時間で内部まで加熱することができる。次に、波長が短いため、深部まで透過し、内部まで加熱することができる。さらに、エネルギー効率が高い、制御が容易で応答が速い、余熱時間が必要ない、などの利点が挙げられる。
「密閉雰囲気下」とは、加水処理した脱皮大豆を容器や耐圧釜などに入れ、脱皮大豆が密閉された雰囲気内に存在する状態をいい、かかる雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行うことにより、脱皮大豆中の水分がすぐに放出されずに水蒸気となって雰囲気内を対流し、加熱効率を高め、より少ない熱量で効率的に大豆のNSIを所望の範囲に低下させることができる。
(マイクロ波の照射量)
本発明において、マイクロ波加熱処理は、単位重量あたりの照射量が、200〜800J/gであることが重要であり、好ましくは250〜600J/g、更に好ましくは250〜500J/gである。
該照射量が少なすぎる場合、大豆中の酵素失活が十分に行われないため、大豆粉において青臭味が感じられやすくなる。また、該照射量が多すぎる場合、大豆粉において焙煎臭が強く感じられやすくなる。
なお、該照射量は、下記式にて表現される。
「単位重量あたりのエネルギー量」=「マイクロ波の処理出力(W、ワット)」×「処理時間(秒)」÷「大豆の重量(g)」
本発明において、マイクロ波加熱処理は、単位重量あたりの照射量が、200〜800J/gであることが重要であり、好ましくは250〜600J/g、更に好ましくは250〜500J/gである。
該照射量が少なすぎる場合、大豆中の酵素失活が十分に行われないため、大豆粉において青臭味が感じられやすくなる。また、該照射量が多すぎる場合、大豆粉において焙煎臭が強く感じられやすくなる。
なお、該照射量は、下記式にて表現される。
「単位重量あたりのエネルギー量」=「マイクロ波の処理出力(W、ワット)」×「処理時間(秒)」÷「大豆の重量(g)」
マイクロ波加熱処理の出力は、上記単位重量あたりの照射量の範囲となるように処理するのであれば特に限定されないが、一つの好ましい態様として、500〜6000Wの範囲が望ましい。
マイクロ波加熱処理装置は、特に限定されないが、一般に、約1〜1000GHzの波長の電子線を照射して食品を加熱する機能を有する装置が利用可能であるが、実用的には915MHz又は2450MHzの波長のものが好適に利用される。尚、バッチ式の処理装置を使用する場合、1回で処理する量は設備の大きさによって変わるが、例えば数g〜数kg、より具体的には1〜10kgとすることができる。
また、マイクロ波加熱処理による加熱ムラを抑制するために振動や撹拌などを同時に行うことが好ましい。
また、マイクロ波加熱処理による加熱ムラを抑制するために振動や撹拌などを同時に行うことが好ましい。
(冷却)
次に、マイクロ波加熱処理を行った脱皮大豆を、密閉雰囲気下から開放雰囲気下に戻して内部の水蒸気を逸散させると共に、脱皮大豆の水分が14重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下となるまで、放冷又は冷風により冷却して、大豆中の水分を余熱により蒸発させる。放冷する際の開放雰囲気下の温度は、例えば1〜30℃とすることができる、10〜25℃がより好ましい。
次に、マイクロ波加熱処理を行った脱皮大豆を、密閉雰囲気下から開放雰囲気下に戻して内部の水蒸気を逸散させると共に、脱皮大豆の水分が14重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下となるまで、放冷又は冷風により冷却して、大豆中の水分を余熱により蒸発させる。放冷する際の開放雰囲気下の温度は、例えば1〜30℃とすることができる、10〜25℃がより好ましい。
本発明では、上記の特定の条件でマイクロ波加熱処理を行うことにより、大豆を効率的に変性させると同時に、加熱処理後の水分を単に蒸発させるだけで大豆の水分を14重量%以下とすることができるので、その後の乾燥工程を除くことができる。すなわち、本発明の好ましい態様は、マイクロ波加熱処理後、後の工程の乾式粉砕前に乾燥工程を有しないものである。
(NSI)
上記のマイクロ波加熱処理により、脱皮大豆の蛋白質の溶解性の指標であるNSI(窒素溶解性指数:Nitrogen Solubility Index)を低変性の状態から12〜74、好ましくは20〜70となるように低下させる。より好ましいNSIの下限値は40以上、より好ましくは41以上、さらに好ましくは43以上、最も好ましくは45以上とすることができる。より好ましいNSIの上限値は68以下である。
上記のマイクロ波加熱処理により、脱皮大豆の蛋白質の溶解性の指標であるNSI(窒素溶解性指数:Nitrogen Solubility Index)を低変性の状態から12〜74、好ましくは20〜70となるように低下させる。より好ましいNSIの下限値は40以上、より好ましくは41以上、さらに好ましくは43以上、最も好ましくは45以上とすることができる。より好ましいNSIの上限値は68以下である。
NSIが低くなりすぎると、過加熱による焙煎臭等の雑味が生じやすくなる。逆にNSIが高すぎると蛋白質の変性が十分ではなく、風味は青臭みが強くなる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
(乾式粉砕処理)
酵素失活大豆を粉砕機にて粉砕し大豆粉を生産する。粉砕方法は特に限定されないが、大豆の粉砕処理に一般的に用いられるいずれの方法を用いてもよい。具体的には、ピンミル、ハンマーミル、軸流ミル、ジェットミルが挙げられる。大豆粉への品質への影響の観点から粉砕時に生じる磨砕熱による粉砕温度上昇に伴う風味変化を避ける点でジェットミルが好ましい。
また、大豆粉の粒度に関して特に限定されないが、一般的には平均粒子径(コールターカウンターにて測定)が50μm以下が好ましく、平均粒子径100μm以上の粒子が10%以下となるのがより好ましい。
酵素失活大豆を粉砕機にて粉砕し大豆粉を生産する。粉砕方法は特に限定されないが、大豆の粉砕処理に一般的に用いられるいずれの方法を用いてもよい。具体的には、ピンミル、ハンマーミル、軸流ミル、ジェットミルが挙げられる。大豆粉への品質への影響の観点から粉砕時に生じる磨砕熱による粉砕温度上昇に伴う風味変化を避ける点でジェットミルが好ましい。
また、大豆粉の粒度に関して特に限定されないが、一般的には平均粒子径(コールターカウンターにて測定)が50μm以下が好ましく、平均粒子径100μm以上の粒子が10%以下となるのがより好ましい。
(飲食品への利用)
以上により得られる大豆粉はNSI12〜74程度の蛋白質の変性度を有しており、風味が良好で保存性にも優れるため、各種飲食品に配合することができる。
例えば、調製豆乳、豆乳飲料及び清涼飲料等の飲料、豆腐、プリン、ババロア、ゼリー、ホイップクリーム及びフィリング等の生菓、ヨーグルト、チーズ及び乳酸発酵豆乳等の発酵食品、団子や饅頭等の和菓子、スナック等の膨化菓子、ビスケット、クッキー等の菓子類、パン類及びケーキ等のベーカリー製品、チョコレート、マーガリン、スプレッド、ドレッシング様食品やマヨネーズ様食品の調味料、ソース類、スープ、フライ食品、水産練製品、鳥獣魚肉製品等に使用できる。
以上により得られる大豆粉はNSI12〜74程度の蛋白質の変性度を有しており、風味が良好で保存性にも優れるため、各種飲食品に配合することができる。
例えば、調製豆乳、豆乳飲料及び清涼飲料等の飲料、豆腐、プリン、ババロア、ゼリー、ホイップクリーム及びフィリング等の生菓、ヨーグルト、チーズ及び乳酸発酵豆乳等の発酵食品、団子や饅頭等の和菓子、スナック等の膨化菓子、ビスケット、クッキー等の菓子類、パン類及びケーキ等のベーカリー製品、チョコレート、マーガリン、スプレッド、ドレッシング様食品やマヨネーズ様食品の調味料、ソース類、スープ、フライ食品、水産練製品、鳥獣魚肉製品等に使用できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明がこれらによってその技術的範囲が限定されるものではない。なお、以下「%」や「部」は、特に断りがない限り「重量%」や「重量部」を意味するものとする。
(試験例1)
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分6%)110gを耐圧プラスチック容器に入れ密閉し、マイクロ波加熱装置(日本ハイコム(株)製)に入れ、出力800Wにて25秒から100秒まで処理時間を7条件に変化させ、それぞれマイクロ波加熱処理を行い、容器を開封して常温(20℃)に放置し、冷却すると共に、水分を蒸発させた。
得られた各加熱処理大豆を粉砕機「Force Mill」(大阪ケミカル(株))にて乾式粉砕し、大豆粉を製造した。
得られた各大豆粉について、水分(常圧加熱乾燥法:サンプル2gに対し105℃、4時間にて加熱処理)とNSIを測定すると共に、大豆粉の風味(青草味とコゲ臭)と性状についての品質を確認した。
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分6%)110gを耐圧プラスチック容器に入れ密閉し、マイクロ波加熱装置(日本ハイコム(株)製)に入れ、出力800Wにて25秒から100秒まで処理時間を7条件に変化させ、それぞれマイクロ波加熱処理を行い、容器を開封して常温(20℃)に放置し、冷却すると共に、水分を蒸発させた。
得られた各加熱処理大豆を粉砕機「Force Mill」(大阪ケミカル(株))にて乾式粉砕し、大豆粉を製造した。
得られた各大豆粉について、水分(常圧加熱乾燥法:サンプル2gに対し105℃、4時間にて加熱処理)とNSIを測定すると共に、大豆粉の風味(青草味とコゲ臭)と性状についての品質を確認した。
◆品質評価
(1)大豆粉の風味(青草味とコゲ臭)については、大豆の風味評価に関して十分に訓練されたパネラー3名の官能検査による合議にて、以下の評価基準で判定した。評価結果を表1に示した。
◇評価基準
・青臭味
○:青臭味が認められない、
×:青臭味が認められる
(○を合格とした。)
・コゲ臭
◎:コゲ臭・香ばしさが認められない、
○:香ばしさが認められるが、コゲ臭は認められない、
×:コゲ臭のみ認められる
(○以上を合格とした。)
(2)大豆粉の性状については、目視にて大豆粉の粒度の状態を観察した。
○:粒度が細かく、良好
△:粒度がやや荒く、やや良好
×:粒度が荒く、不良
(○以上を合格とした。)
(1)大豆粉の風味(青草味とコゲ臭)については、大豆の風味評価に関して十分に訓練されたパネラー3名の官能検査による合議にて、以下の評価基準で判定した。評価結果を表1に示した。
◇評価基準
・青臭味
○:青臭味が認められない、
×:青臭味が認められる
(○を合格とした。)
・コゲ臭
◎:コゲ臭・香ばしさが認められない、
○:香ばしさが認められるが、コゲ臭は認められない、
×:コゲ臭のみ認められる
(○以上を合格とした。)
(2)大豆粉の性状については、目視にて大豆粉の粒度の状態を観察した。
○:粒度が細かく、良好
△:粒度がやや荒く、やや良好
×:粒度が荒く、不良
(○以上を合格とした。)
脱皮大豆の水分が6%の場合、得られる大豆粉の水分は十分に低くなり、大豆粉の性状は良好であったが、官能検査において青臭味又はコゲ臭が全条件で感じられたため、全て不合格と判断された。
(試験例2〜7)
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分6%)に対し、水分が8.7%(試験例2)、10%(試験例3)、12%(試験例4)、15%(試験例5)、18%(試験例6)、20%(試験例7)となるように水を加え撹拌することにより、加水を行った。
加水された脱皮脱胚軸大豆110gを耐圧プラスチック容器に入れ密閉し、以降は試験例1と同様にして各試験例でそれぞれ加熱時間を7条件に変化させてマイクロ波加熱処理を行い、それぞれ大豆粉を製造した。得られた各大豆粉について、試験例1と同様にして分析と官能検査を行った。評価結果を表2〜7に示した。
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分6%)に対し、水分が8.7%(試験例2)、10%(試験例3)、12%(試験例4)、15%(試験例5)、18%(試験例6)、20%(試験例7)となるように水を加え撹拌することにより、加水を行った。
加水された脱皮脱胚軸大豆110gを耐圧プラスチック容器に入れ密閉し、以降は試験例1と同様にして各試験例でそれぞれ加熱時間を7条件に変化させてマイクロ波加熱処理を行い、それぞれ大豆粉を製造した。得られた各大豆粉について、試験例1と同様にして分析と官能検査を行った。評価結果を表2〜7に示した。
試験例2〜5(脱皮大豆の水分8.7〜15%)では、単位重量あたりのエネルギー量が182J/g以外の官能検査は全て合格であった。また加熱処理後の水分は14%以下となっており、大豆粉は乾燥工程なしでも問題なく乾式粉砕ができ、効率的に大豆粉を生産できた。
一方、試験例6,7(脱皮大豆の水分18〜20%)では、単位重量あたりのエネルギー量が291J/g以上の官能検査は全て合格であった。しかし、殆どの加熱条件で粉砕処理前の大豆の水分が高すぎたためか、乾燥工程なしで乾式粉砕を行うと大豆から水分が染み出して粒度の粗い大豆粉が生産された。そのため、性状の良い大豆粉に製造するには加熱処理後に別途の乾燥工程が必要であった。
(比較例1)
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分10%)12000gを「リボコーン」((株)大川原製作所)に投入し、予備加熱(0.15MPaの水蒸気にて10分間ジャケット加熱)と加圧加熱処理(0.15MPaの水蒸気にて3分間加熱)を行った。次に、加熱処理された大豆を30℃程度まで放冷し、その後オーブンにて乾燥(60℃、2時間)し、試験例と同様に粉砕機で粉砕し、大豆粉を製造した。
製造した大豆粉について、試験例1と同様にして分析と官能検査を行った。評価結果を表8に示した。
脱皮及び脱胚軸を行った半割れ大豆(水分10%)12000gを「リボコーン」((株)大川原製作所)に投入し、予備加熱(0.15MPaの水蒸気にて10分間ジャケット加熱)と加圧加熱処理(0.15MPaの水蒸気にて3分間加熱)を行った。次に、加熱処理された大豆を30℃程度まで放冷し、その後オーブンにて乾燥(60℃、2時間)し、試験例と同様に粉砕機で粉砕し、大豆粉を製造した。
製造した大豆粉について、試験例1と同様にして分析と官能検査を行った。評価結果を表8に示した。
比較例1では、マイクロ波加熱処理を行った試験例と異なり、加熱処理を行うことによる水分上昇が確認された。そのため、加熱処理後の水分が14%以上となり、乾式粉砕を行うと大豆から水分が染み出し粒度の粗い大豆粉が生産された。そのため、性状の良い大豆粉に製造するには加熱処理後に別途の乾燥工程が必要であった。
以上より、水分8〜15%となるように予め加水処理を行った脱皮大豆を用いて、単位重量あたりの照射量200〜800J/gにてマイクロ波加熱処理を密閉雰囲気下で行うことにより、非常に風味良好なNSIが12〜74程度の大豆粉が生産された。
また、マイクロ波加熱処理をすることによって、処理前後にて脱皮大豆の水分が低下し、脱皮大豆の水分が15%以下の場合においては、マイクロ波加熱処理の後に別途乾燥工程がなくとも乾式粉砕を問題なく行うことができ、大豆粉の生産効率を悪化させることなく生産できた。
また、マイクロ波加熱処理をすることによって、処理前後にて脱皮大豆の水分が低下し、脱皮大豆の水分が15%以下の場合においては、マイクロ波加熱処理の後に別途乾燥工程がなくとも乾式粉砕を問題なく行うことができ、大豆粉の生産効率を悪化させることなく生産できた。
Claims (1)
- 脱皮した大豆に対して水を添加し、水分を8〜15重量%に調整する工程、
該加水処理された脱皮大豆に、密閉雰囲気下でマイクロ波加熱処理を行い、開放雰囲気下にて冷却することにより、該脱皮大豆の水分を14重量%以下まで低下させる工程、
及び該加熱処理大豆に対して乾式粉砕処理を行う工程を有し、
マイクロ波加熱処理後に乾燥工程を有さず、
該マイクロ波加熱処理の処理条件が、単位重量あたりのマイクロ波の照射量が200〜800J/gであることを特徴とする、
NSIが12〜74の大豆粉の製造方法。
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