JP2019175842A - 燃料電池用シール部材の製造方法及び成形用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】変性PPからなる基材を加硫時の熱で溶融させることなく、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と変性PP基材とを加硫接着してなる燃料電池用シール部材を製造する。
【解決手段】燃料電池用シール部材の製造方法は、変性PPシート2を金型6にセットするセット工程と、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体のゴム組成物1を前記変性PPシート2に接触させて前記金型6内で成形する成形工程と、金型温度を前記共重合体の加硫開始温度よりも高く且つ前記変性PPの融点よりも低い温度とした前記金型6内で、ゴム組成物1を加硫すると同時に、ゴム組成物1と変性PPシート2とを加硫接着させる加硫工程とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用シール部材の製造方法及び成形用ゴム組成物に関するものである。
燃料電池は、複数のセルを積層したスタック構造のものが代表的であり、各セルは、燃料極/電解質膜/空気極で構成される膜電極複合体と、燃料極又は空気極と電気的な接続を確保しつつ燃料又は空気を別々に供給するための流路を有する一対のセパレータと、セパレータ間において反応ガスを外部に漏らさないためのシール部材とから構成されている。
シール部材は弾性体が一般的であり、弾性材の材料としては特許文献1,2には、ヒドロシリル化反応により架橋(ヒドロシリコーン架橋)したエチレン・αオレフィン・非共役ポリエン共重合体からなる燃料電池シール部品、ハードディスクドライブトップカバーガスケット部品、又は電線コネクター用シール部品が開示されている。
特許第5334409号公報 特許第4241383号公報
現在、燃料電池シール部品の製品仕様案の一つとして、弾性体と樹脂基材とを接着してなるものが検討されている。なお、特許文献1,2には接着に関して、ハードディスクドライブトップカバーとガスケット部品とを接着剤で接着する旨の記載があるだけで、燃料電池シール部品については前記共重合体と樹脂基材とを接着してなるものは記載されていない。
本発明者は、そのような燃料電池シール部品の候補材として、耐熱性等の諸特性に優れたエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)と、接着可能な変性ポリプロピレン(PP)基材とを接着してなるものについて検討してきた。
その接着方法として、当初は、EPDMと変性PPとをそれぞれ成形した後に接着剤で接着することを検討したが、接着剤の塗布工程が必要であり、接着の位置含わせが難しく、製造効率が悪い等の問題があり、採用困難であった。
そこで次に、未加硫EPDMと変性PPとを合わせた状態で、加熱プレス下でゴムの加硫を実施しながら接着を同時に行う、いわゆる加硫接着を考えたが、従来の技術では困難であった。なぜならば、一般的な硫黄架橋からなるEPDMは一般的に150℃以上の加硫温度で加硫を行うが、変性PPは分子構造によっては融点が140℃付近のものがあり、上記加硫接着をゴム加硫温度で行うと、樹脂の溶融が起こり、積層体に変形、破損などが生じてしまうためである。
そこで、本発明は、変性PPからなる基材を加硫時の熱で溶融させることなく、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と変性PP基材とを加硫接着してなる燃料電池用シール部材を製造することを目的とする。
本発明者は、EPDMのヒドロシリコーン架橋に着目した。EPDMのヒドロシリコーン架橋の加硫開始温度は90℃よりも低いが、例えば90℃というのは混練時の温度であって、加硫は150〜160℃の加硫温度で行うのが通常である。その加硫を変性PPの融点よりも低い例えば90〜130℃といった低い加硫温度で行うことにより、変性PPに変形、破損などが生じない加硫接着体が得られることを見出した。
(1)本発明の燃料電池用シール部材の製造方法は、
変性PPからなる基材を金型にセットするセット工程と、
ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を前記基材に接触させて前記金型内で成形する成形工程と、
金型温度を前記ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体の加硫開始温度よりも高く且つ前記変性PPの融点よりも低い温度とした前記金型内で、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を加硫すると同時に、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と前記基材とを加硫接着させる加硫工程とを含むことを特徴とする。
前記金型温度を90〜130℃とすることが好ましく、100〜130℃とすることがより好ましい。前記金型温度が90℃未満だと、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体のヒドロシリコーン架橋による加硫が進行しにくく、130℃以上だと変性PPが溶融するおそれが生じてくる。
前記金型温度にまで昇温する時期は、成形工程の前又は途中でもよいし、加硫工程の前又は途中でもよい。
(作用)
加硫工程では、金型温度を前記ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体の加硫開始温度よりも高く且つ前記変性PPの融点よりも低い温度とした前記金型内で、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を加硫すると同時に、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と変性PP基材とを加硫接着させるので、基材が加硫時の熱で溶融することがなく、また、別に接着剤を塗布する工程が不要である。
また、セット工程で基材を金型にセットしておけば(セット自体容易)、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体が、成形工程で基材に接触して成形され、加硫工程で基材に加硫接着されるため、接着の位置含わせが簡便(事実上不要)である。
(2)本発明の成形用ゴム組成物は、
エチレン・αオレフィン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体と、
エチレン・αオレフィン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体100質量部に対して、
架橋剤としてのヒドロシリコーン化合物1.0〜10.0質量部と、
ヒドロシリル化反応促進触媒0.1〜1.0質量部と、
反応抑制剤0.1〜1.2質量部とを含み、
加硫温度110℃における誘導時間t(10)(JIS K6300−2)が10分以上であることを特徴とする。
(作用)
ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と変性PPからなる基材とが加硫接着するメカニズムは、ヒドロシリコーン化合物のSiH基と変性PPの官能基による化学的相互作用であると推測される。ヒドロシリコーン化合物は、通常、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体と高速に反応して同共重合体を素速く架橋するため、同共重合体が優先的にヒドロシリコーン化合物と反応した箇所では、前記変性PPの官能基との化学的相互作用が生じず、変性PPと接着せず、ミクロ的に離間してしまう。
ゴム組成物を上記の配合とし、t(10)を10分以上に制御することにより、ヒドロシリコーン化合物の前記反応速度を遅らせる。すると、変性PP基材の表面をゴム組成物が流動する際に、ヒドロシリコーン化合物は、同共重合体と反応しながら、変性PP基材の官能基との化学相互作用も十分に生じるため、ゴムが変性PPと密着し接着する面積が大きくなり、高い強度で加硫接着することができる。t(10)の上限は、特にないが、成形効率の点では60分までとすることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、変性PPからなる基材を加硫時の熱で溶融させることなく、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と変性PP基材とを加硫接着してなる燃料電池用シール部材を製造することができ、接着剤の塗布工程が不要であり、接着の位置含わせが簡便である、という優れた効果が得られる。
本発明の成形用ゴム組成物によれば、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と基材との加硫接着性を高めて、剥離強度を向上させることができる。
図1(a)は実施例の試験片用のゴム組成物と変性PPシートの斜視図、(b)は実施例の試験片をプレスし加硫接着にて作製しているとき側面図、(c)は同試験片による90°剥離試験の概略図である。 図2(a)は燃料電池セル用形状の変性PPシートを金型にセットする工程の断面図、(b)は金型内に実施例のゴム組成物を注入し成形する成形工程の断面図である。 図3は実施例3,4,5におけるt(10)と剥離強度との関係を示すグラフ図である。
<1>ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体
αオレフィンとしては、特に限定されないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等を例示でき、このなかでプロピレン又は1−ブテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
非共役ジエンとしては、特に限定されないが、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等を例示でき、このなかで5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましい。
(架橋剤)
ヒドロシリコーン架橋は、ヒドロシリコーン化合物(SiH基を有する化合物)からなる架橋剤の添加により付与される。ヒドロシリコーン化合物としては、下記一般式[化1]で表される、分子両末端にSiH基を有し、一分子あたりSiH基を2個有する化合物と、下記一般式[化2]で表される、分子の3つの末端にSiH基を有し、一分子中にSiH基を3個有する化合物を例示できる。
Figure 2019175842
一般式[化1]中、Rは炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよい。Rの具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、フェニル基、フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等であり、好ましくはメチル基、エチル基、およびフェニル基である。
aは0〜20の整数であり、bは0〜20の整数である。好ましくは、aおよびb共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはaとbが等しく2以下である。
は炭素数1〜30の二価の有機基または酸素原子である。
ゴム組成物が、分子両末端にSiH基を有し、一分子あたりSiH基を2個有する化合物[化1]を含有する場合には、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体100質量部に対して、1.0〜10.0質量部含有することが好ましい。
Figure 2019175842
一般式[化2]中、Rは炭素数1〜10の一価の基で、非置換あるいは置換の飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、1分子内で同種でも異種でもよい。Rの具体例は、Rの具体例と同様であり、好ましくはメチル基、エチル基、およびフェニル基である。
a、bおよびcはそれぞれ独立に0〜20の整数であり、好ましくは、a、bおよびcが共に10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは2以下であり、最も好ましくはa、bおよびcが等しく2以下である。
は炭素数1〜30の三価の有機基であり、好ましくは、ケイ素を含有する炭素数1〜30の三価の有機基である。
ゴム組成物が、分子の3つの末端にSiH基を有し、一分子中にSiH基を3個有する化合物[化2]を含有する場合には、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体100質量部に対して、1.0〜10.0質量部含有することが好ましい。
<2>ヒドロシリル化反応促進触媒
エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体のアルケニル基等と、ヒドロシリコーン架橋剤のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応等)を促進する触媒(付加反応触媒)を添加することが好ましい。
このヒドロシリル化反応促進触媒の具体例は、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応用触媒であり、好ましくは、周期律表8族元素金属(特に好ましくは白金)と、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物との錯体である。
カルボニル基を含む化合物としては、カルボニル、オクタナル等が好ましい。
ビニル基を含む化合物としては、ビニル基含有オルガノシロキサンが好ましく、特にビニル基含有環状オルガノシロキサンが好ましい。
これらと白金との錯体の具体例としては、白金−カルボニル錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液、白金−ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−オクタナル/オクタノール錯体等が好ましく、特に白金−カルボニルビニルメチル環状シロキサン錯体が好ましい。
これらの錯体からなる触媒は、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物以外の成分(例えば溶媒)をさらに含んでいてもよい。この溶媒の具体例は、各種アルコールや、キシレン等である。
ヒドロシリル化反応促進触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体100質量部に対して、0.1〜1.0質量部含有することが好ましい。
<3>反応抑制剤
ヒドロシリコーン架橋は、従来の硫黄架橋や過酸化物架橋と比較して、架橋速度が非常に速いため、上記のヒドロシリル化反応促進触媒とともに反応抑制剤を用いることが好ましい。反応抑制剤としては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド等のアミド化合物、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
反応抑制剤の含有量は、特に限定されるものではないが、エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体100質量部に対して、0.1〜1.2質量部含有することが好ましい。
<4>その他の配合材料
上記の配合材料のほか、充填材、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、受酸剤、スコーチ防止剤、着色剤等を、適宜配合することができる。
充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、焼成クレー等を例示できる。
可塑剤としては、プロセスオイル(パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等)潤滑油、石油アスファルト、ワセリン等の石油系可塑剤や、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系可塑剤、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質、トール油、サブ(ファチス)等を例示できる。
加工助剤としては、ステアリン酸等の脂肪酸を例示できる。
<5>変性PP
変性PPとしては、特に限定されないが、酸変性PP、塩素化PP等を例示できる。酸変性PPの酸の種類としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等を例示できる。
<6>成形工程
成形工程としては、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を金型内に注入することにより基材に接触させて金型内で成形する態様や、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を基材に置いて金型内でプレス成形する態様を例示できる。
次の表1に示す実施例1,2及び比較例1,2,3の、ゴム配合物と基材(変性PPシート)とを加硫接着した試験片を作製し、評価した。ゴム配合物の配合数値は質量部である。
Figure 2019175842
ここで、ゴム配合物に使用した各成分の詳細は次のとおりである。
・EPDMは、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体(VNB−EPDM)(エチレン量54重量%、ジエン量1.4重量%、100℃におけるムーニー粘度39)である。下記架橋剤によるヒドロシリコーン架橋EPDMの加硫開始温度は90℃である。
・充填材は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化カルシウム等の混合物である。
・可塑剤は、パラフィン系プロセスオイルである。
・架橋剤のヒドロシリコーン化合物は、下記の式[化3]で表される化合物である。
Figure 2019175842
・架橋剤のパーオキサイドは、ジクシルペルオキシド40%品(60%炭酸カルシウム)である。
・ヒドロシリル化反応促進触媒の白金系触媒は、0.5wt%白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体イソプロパノール溶液である。
・反応抑制剤は、1−エチニル−1−シクロヘキサノールである。
また、基材としての変性PPシートは、三井化学株式会社の商品名「アドマーQE840」(無水マレイン酸変性PP)(MFR9.2g/10分,融点140℃)の厚さ0.13mmのシートである。
<ゴム組成物の調整>
実施例1,2のゴム配合物をバンバリーミキサー及びオープンロールを用いて混練することにより、ゴム組成物を調整した。比較例1,2,3のゴム配合物も同様に混練することにより、ゴム組成物を調整した。
<試験片の作製>
図1(a)に示すように、各ゴム組成物を、幅10mm、長さ70mm、厚さ1.0mmの平板状のゴム組成物1にした。
この平板状のゴム組成物(未加硫)を、幅10mm、長さ70mm、厚さ0.13mmの変性PPシート2の表面に重ね合わせて配置した。
続いて、図1(b)に示すように、この重ね合わせたものを、表1に示した加硫温度に保持した2枚の金属板4,4の間に挟み、ゴム組成物1側からプレスしながら表1に示した加硫時間保持して、ゴム組成物1を加硫すると同時に、ゴム組成物1と変性PPシート2とを加硫接着させて、試験片3を作製した。実施例1,2の加硫温度は、ヒドロシリコーン架橋EPDMの加硫開始温度よりも高く且つ変性PPの融点よりも低い。
<評価項目>
この加硫時における加硫進行の有無は、別途キュラストメーターによる加硫度試験から判別し、有の場合を良、無の場合を不可と評価した。
この加硫時における基材の溶融の有無は、上記試験片作製後の変性PPシートの目視判断で判別し、無の場合を良、有の場合を不可と評価した。
図1(c)に示すように、試験片3の変性PPシート2側を所定の治具5に接着剤を用いて固定し、室温にて試験速度10mm/分にて、ゴム組成物1側を引っ張って90°剥離試験を行った。この剥離試験による破壊時の試験片1の目視から破壊形態を判別し、凝集破壊の場合を良とし、界面破壊の場合を不可と評価した。
これらの評価結果を表1に示す。
実施例1,2は、すべての評価項目が良であり、総合評価が合格の良品が得られた。
一方、比較例1,3のように、従来ゴム(パーオキサイド加硫品)で通常の加硫温度(140℃以上)にすると、変性PPシートの溶融が起こり、良品が得られない。比較例2のように、従来ゴム(パーオキサイド加硫品)で加硫温度を低くすると、温度不足で加硫が進行しない。
続いて、次の表2に示す実施例3,4,5及び比較例4,5(以下、これらを「実施例3等」ということがある。)の、ゴム配合物と基材とを加硫接着した試験片を作製し、評価した。ゴム配合物の配合数値は質量部である。
Figure 2019175842
ここで、EPDM、可塑剤、架橋剤、ヒドロシリル化反応促進触媒、反応抑制剤及び基材は、上述した表1と同じものである。
・カーボンブラックは、東海カーボン株式会社の商品名「シーストG−FY」である。
・炭酸カルシウムは、備北粉化工業株式会社の商品名「ホワイトンSB赤」である。
・酸化カルシウムは、井上石灰工業株式会社の商品名「VESTA−PP」である。
・パラフィン系プロセスオイルは、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW380」である。
ゴム組成物の調整と試験片3(図1)の作製は、次の加硫条件を除いて、実施例1,2及び比較例1,2,3(以下、これらを「実施例1等」ということがある。)と同様に行った。
・実施例1等では、加硫温度を相互に変えたが、実施例3等では、加硫温度を110℃とした。
・実施例1等では、加硫時間を50%加硫時間(加硫反応の中間点)t(50)(JIS K6300−2)としたが、実施例3等では、加硫時間を90%加硫時間(最適加硫点)t(90)(JIS K6300−2)とした。
実施例1等と同様の評価項目に、次の評価項目を加えた。
・加硫特性として、誘導時間(加硫開始点)t(10)(JIS K6300−2)を測定した。
・剥離試験の破壊時の剥離強度を測定した。
これらの評価結果を表2に示す。
実施例3でt(10)が39分となったのは、反応抑制剤を他よりも多くしたためと考えられる。
実施例4でt(10)が25分となったのは、乾燥剤として機能する酸化カルシウムを抜いた結果、組成物中の水分量が多くなり、ヒドロシリル化反応促進触媒の活性が阻害されたためと考えられる。
実施例5でt(10)が10分となったのは、炭酸カルシウムを抜いた分、組成物中の架橋剤濃度が高くなった反面、カーボンブラックを他よりも減らした結果、熱伝導率が悪くなり架橋が遅れたためと考えられる。
比較例2で、t(10)が8分となったのは、炭酸カルシウムを抜いた分、組成物中の架橋剤濃度が高くなったためと考えられる。
このように、実施例3,4,5はt(10)が10分以上であり、すべての評価項目が良であり、総合評価が合格の良品が得られた。また、図3に実施例3,4,5のt(10)と剥離強度との関係を示すように、t(10)が長いほど剥離強度が高くなった。
一方、比較例4のように、従来ゴム(パーオキサイド加硫品)で加硫温度を110℃にすると、加硫時間をかけても加硫が進行しない。また、比較例5のように、ヒドロシリコーン架橋であっても、t(10)が8分であると、破壊形態が界面破壊となり、剥離強度も低かった。
<金型内での成形と加硫接着>
上記試験片3の作製では、ゴム組成物1の成形と、ゴム組成物1と変性PPシート2との加硫接着とを別々に行ったが、次に、以下述べる工程(図2)で、ゴム組成物1の成形と、ゴム組成物1と変性PPシート2との加硫接着とを金型6内で同時に行って、燃料電池セル用のシール部材を作製した。
(1)図2(a)に示すように、燃料電池セル用の形状に加工した変性PPシート2を、開いた金型6にセットするセット工程を行った。
(2)図2(b)に示すように、閉じた金型6内に実施例1〜5の前記調整したゴム組成物1を注入し成形する成形工程を行った。
(3)金型温度を実施例1〜5の加硫温度とした前記金型6内で、ゴム組成物1を加硫すると同時に、ゴム組成物1と変性PPシート2とを加硫接着させる加硫工程を行った。
以上により作製した燃料電池セル用のシール部材は、上記のすべての評価項目が良であり、総合評価が合格の良品が得られた。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
1 ゴム組成物
2 変性PPシート
3 試験片
4 金属板
5 治具
6 金型

Claims (5)

  1. 変性ポリプロピレンからなる基材を金型にセットするセット工程と、
    ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体を前記基材に接触させて前記金型内で成形する成形工程と、
    金型温度を前記ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体の加硫開始温度よりも高く且つ前記変性ポリプロピレンの融点よりも低い温度とした前記金型内で、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム組成物を加硫すると同時に、ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体と前記基材とを加硫接着させる加硫工程と
    を含むことを特徴とする燃料電池用シール部材の製造方法。
  2. 前記金型温度を90〜130℃とする請求項1記載の燃料電池用シール部材の製造方法。
  3. 前記ヒドロシリコーン架橋エチレン・αオレフィン・非共役ジエン共重合体は、架橋剤としてのヒドロシリコーン化合物と、ヒドロシリル化反応促進触媒と、反応抑制剤とが添加されているゴム組成物である請求項1又は2記載の燃料電池用シール部材の製造方法。
  4. 前記ゴム組成物は、110℃における誘導時間t(10)(JIS K6300−2)が10分以上である請求項3記載の燃料電池用シール部材の製造方法。
  5. エチレン・αオレフィン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体と、
    エチレン・αオレフィン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体100質量部に対して、
    架橋剤としてのヒドロシリコーン化合物1.0〜10.0質量部と、
    ヒドロシリル化反応促進触媒0.1〜1.0質量部と、
    反応抑制剤0.1〜1.2質量部とを含み、
    110℃における誘導時間t(10)(JIS K6300−2)が10分以上であること
    を特徴とする燃料電池用シール部材の成形用ゴム組成物。
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