JP2019175767A - 粒子加速器及び荷電粒子線のビーム形状調整方法 - Google Patents

粒子加速器及び荷電粒子線のビーム形状調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することが可能な粒子加速器、及び、荷電粒子線のビーム形状調整方法を提供する。【解決手段】粒子加速器は、荷電粒子が加速される加速平面を挟んで互いに対向するように配置され、周方向に交互に設けられた複数のヒル11及び複数のバレー12を有する一対の円板状の磁極10Aと、ヒル11が対向する領域において、磁極10Aの径方向の外側から荷電粒子線を出射させるフォイルストリッパーと、周方向に交差する複数のヒル11の側面に取り付けられた複数のシム16と、を備え、加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、一のヒル11に取り付けられたシム16の厚さTと、加速平面の中心Cを挟んで一のヒル11と対向する他のヒル11に取り付けられたシム16の厚さTとは互いに異なる。【選択図】図3

Description

本発明は、粒子加速器及び荷電粒子線のビーム形状調整方法に関する。
荷電粒子を加速する粒子加速器として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の粒子加速器は、それぞれが円板状に形成されて対向配置された一対の磁極と、加速された荷電粒子を取り出すためのフォイルストリッパーと、を備えている。一対の磁極が互いに対向する面には、谷領域(バレー)と山領域(ヒル)とが交互に連続して設けられている。
特開2009−231006号公報
ところで、磁極のヒルの径方向外側から荷電粒子線を取り出す場合、一対の磁極が対向する垂直方向に荷電粒子を発散させる発散力が働く。その結果、荷電粒子線のビーム形状は、垂直方向に延びた形状となり、フォイルストリッパーのフォイルへの熱負荷が大きくなる可能性がある。したがって、荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することが要請されている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することが可能な粒子加速器、及び、荷電粒子線のビーム形状調整方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る粒子加速器は、荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射する粒子加速器であって、荷電粒子が加速される加速平面を挟んで互いに対向するように配置され、周方向に交互に設けられた複数のヒル及び複数のバレーを有する一対の円板状の磁極と、加速された荷電粒子から電子を剥ぎ取り、ヒルが対向する領域において、磁極の径方向の外側から荷電粒子線を出射させるフォイルストリッパーと、周方向に交差する複数のヒルの側面に取り付けられた複数の磁性部材と、を備え、加速平面の中心から所定距離内の領域において、複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた磁性部材の厚さと、加速平面の中心を挟んで一のヒルと対向する他のヒルに取り付けられた磁性部材の厚さとは互いに異なる。
この粒子加速器では、加速平面の中心から所定距離内の領域において、複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた磁性部材の厚さと、加速平面の中心を挟んで一のヒルと対向する他のヒルに取り付けられた磁性部材の厚さとは互いに異なる。このように、加速平面の中心に対して磁性部材が非対称に配置されていることにより、径方向において、加速される荷電粒子の軌道の中心が加速平面の中心からずれる。その結果、荷電粒子線のビーム形状が径方向に広がる。したがって、一対の磁極が対向する垂直方向に荷電粒子を発散させる発散力が働く位置(すなわち、磁極のヒルの径方向外側)から荷電粒子線を出射させる場合、垂直方向及び径方向の両方向において荷電粒子線が広がるので、荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することができる。
本発明の一形態に係る荷電粒子線のビーム形状調整方法は、粒子加速器から出射される荷電粒子線のビーム形状調整方法であって、粒子加速器は、荷電粒子が加速される加速平面を挟んで互いに対向するように配置され、周方向に交互に設けられた複数のヒル及び複数のバレーを有する一対の円板状の磁極と、周方向における複数のヒルの側面に取り付けられた複数の磁性部材と、を備え、ビーム形状調整方法は、加速平面の中心から所定距離内の領域において、複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた磁性部材の少なくとも一部を取り外し、加速平面の中心を挟んで一のヒルと対向する他のヒルに取り付ける工程を含む。
この荷電粒子線のビーム形状調整方法は、加速平面の中心から所定距離内の領域において、複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた磁性部材を取り外し、加速平面の中心を挟んで一のヒルと対向する他のヒルに取り付ける工程を含む。このように、磁性部材が取り付けられる位置を調整することにより、径方向において、加速される荷電粒子の加速軌道の中心を加速平面の中心からずらすことができる。その結果、荷電粒子線のビーム形状が径方向に広がる。したがって、一対の磁極が対向する垂直方向に荷電粒子を発散させる発散力が働く位置(すなわち、磁極のヒルの径方向外側)から荷電粒子線を出射させる場合、垂直方向及び径方向の両方向において荷電粒子線が広がるので、荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することができる。
本発明によれば、荷電粒子線のビーム形状の変形を抑制することが可能な粒子加速器、及び、荷電粒子線のビーム形状調整方法が提供される。
(a)は本発明の一実施形態に係る粒子加速器を概略的に示す図であり、(b)は、(a)のIb−Ib線に沿った断面図である。 図1の粒子加速器の一対の磁極を示す斜視図である。 図1の粒子加速器の磁性部材の配置を示す平面図である。 (a)は荷電粒子線が取り出される位置を説明するための図であり、(b)は垂直方向に荷電粒子が拡散されることを説明するための図である。 図1の粒子加速器の作用を説明するための図である。
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る粒子加速器100について説明する。図1(a)は本発明の一実施形態に係る粒子加速器を概略的に示す図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線に沿った断面図である。図1に示される粒子加速器100は、例えば、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)を用いたがん治療を行う中性子捕捉療法システム等において、荷電粒子Pを加速して荷電粒子線Bを生成するために用いられるサイクロトロンである。また、粒子加速器100は、PET用サイクロトロン、RI製造用サイクロトロン、及び原子核実験用サイクロトロンとして用いることもできる。図1に示されるように、粒子加速器100は、一対の磁極10A,10B、及びそれぞれの磁極10A,10Bを囲むコイル20を含む加速部1と、荷電粒子を軌道上から逸らすことにより加速部1から荷電粒子線Bを取り出すフォイルストリッパー30と、を備えている。また、加速部1は、荷電粒子Pが周回する真空箱40と、一対の磁極10A,10Bの間に配置された一対の加速電極50と、フォイルストリッパー30によって軌道変更された陽子(荷電粒子線B)を取り出す出射口41と、を有している。荷電粒子Pは、例えばイオン源装置(不図示)からイオン供給口13を介して真空箱40内に供給される。なお、図1(a)においてはコイル20を、図1(b)においてはイオン供給口13、真空箱40、及び加速電極50を省略している。
図1及び図2に示されるように、磁極10A,10Bは、荷電粒子Pが加速される加速平面を挟んで互いに対向して配置されており、その形状はそれぞれ円板状である。磁極10A,10Bの互いに対向する面は、複数のヒル(山領域)11と複数のバレー(谷領域)12とを含む複数のセクタに分割されている。ヒル11とバレー12とは、磁極10A,10Bの周方向において交互に現れるように形成されている。これにより、ヒル11が対向する領域には相対的に強い磁場が形成され、バレー12が対向する領域には相対的に弱い磁場が形成される。このような構成により、セクターフォーカシングを利用して真空箱40内で加速される荷電粒子Pの収束が図られている。
本実施形態では、磁極10A,10Bのそれぞれは4つのヒル11と4つのバレー12とを有している。ヒル11は、一対の磁極10A,10Bが対向する垂直方向において、磁極10A,10Bの互いに対向する面から突出する凸部である。それぞれのヒル11は、磁極10A,10Bの中心を頂点とした扇状である。各ヒル11は、周方向に交差する(すなわち、磁極10A,10Bの径方向に沿って延びる)2つの側面14と、2つの側面14同士を接続し、磁極10A,10Bの径方向の外側に位置する側面15と、を有している。側面15は、磁極10A,10Bの周方向に沿って湾曲している。ヒル11の側面14には、複数のシム(磁性部材)16(図3参照)が取り付けられている。粒子加速器100では、例えばシム16の数及び/又は取り付け位置を調整することにより、等時性磁場が形成されている。なお、ここで「等時性」とは、荷電粒子Pの周回軌道の半径の大きさに関係なく一周に係る時間が等しいことである。このような等時性を有する磁場を形成することにより、荷電粒子Pを継続的に加速することが可能である。なお、シム16の配置の詳細については後述する。
図1に戻り、コイル20は円環状であり、磁極10A,10Bの周囲を囲むようにそれぞれ配置されている。コイル20に対して電流を供給することにより、一方の磁極10Aから他方の磁極10Bへ向かう磁場が発生する。すなわち、磁極10A(又は磁極10B)及びコイル20によって電磁石が形成されている。
フォイルストリッパー30は、磁極10A,10Bの径方向に沿って延在する支持部31と、支持部31の先端に設けられたフォイル部32と、支持部31及びフォイル部32を動かす駆動部33と、を備えている。駆動部33は、例えば高精度のモータ等を備えており、駆動部33の駆動制御によって、磁極10A,10Bの径方向に沿ってフォイル部32を動かすことが可能である。フォイルストリッパー30は、ヒル11が対向する領域に配置されており、磁極10A,10Bの径方向外側(すなわち、ヒル11の側面15側)から荷電粒子線Bを出射させる。
フォイル部32は、例えば炭素性の薄膜からなる。荷電粒子Pがフォイル部32に接触すると、フォイル部32は加速された荷電粒子Pから電子を剥ぎ取る。電子を剥奪されて負電荷から正電荷となった陽子は、周回軌道の曲率が反転し、その軌道は磁極10A,10Bの径方向の外側に飛び出す方向に向けて変更される。反転後の陽子の軌道上には、陽子を真空箱40から取り出すための出射口41が設けられている。より詳細には、フォイルストリッパー30によって軌道が変更される陽子の軌道上に出射口41が設けられている。したがって、フォイル部32は、荷電粒子Pから電子を奪うことにより、結果的に陽子を出射口41まで誘導することになる。
真空箱40は、例えば、箱本体(不図示)と箱蓋(不図示)とを有している。真空箱40の底壁部には、一方の磁極10Aの外径と略同径の開口部が設けられており、この開口部から、一方の磁極10Aのヒル11及びバレー12を備える面が、真空箱40内に突出している。また、箱本体には、真空排気用の排気口(不図示)が設けられており、この排気口には真空ポンプ(不図示)が接続されている。箱蓋は、真空ポンプによって真空箱40内を真空化できるように、箱本体の上部開口を塞いている。箱蓋には、箱本体と同様に、他方の磁極10Bのヒル11及びバレー12を備える面を真空箱40内に突出させるために、他方の磁極10Bの外形と略同径の開口部が設けられている。
一対の加速電極50は、それぞれ平面視において三角形状であり、それぞれの頂角を付き合わせるようにして対向配置されている。各加速電極50は、例えば、銅等の電気導体から構成されており、上下に二枚の三角形を底辺で連結して構成されている。そして、加速電極50の板面には、例えば冷却用の冷媒を通すための管が設けられている。
一対の加速電極50は、磁極10A,10Bのバレー12に配置されている。そして、加速電極50の先端部同士が、接続部材により機械的且つ電気的に接続されている。なお、接続部材の形態は特に限定されず、様々な形状を採用可能である。例えば、一対の加速電極50の先端部同士は電気的に接続されていなくてもよい。この場合、一対の加速電極50に対して別々に高周波の電圧を供給してもよい。
磁極10A,10Bの中心位置には、負イオン源装置で生成された荷電粒子Pを真空箱40内に供給するイオン供給口13が設けられている。負イオン源装置は、水素ガス等の原材料中でアーク放電を行って荷電粒子Pを生成する装置である。負イオン源装置で生成された荷電粒子Pは、イオン供給口13を介して真空箱40内に引き込まれるように供給され、高周波の電圧がかけられている加速電極50によって周回しながら加速し、次第にエネルギーを増していく。エネルギーが増すと荷電粒子Pの回転半径は大きくなり、螺旋運動をしているような周回軌道を描く。周回軌道は、一対の磁極10A,10Bの間の中央の平面である加速平面(メディアンプレーン)上に位置する。なお、負イオン源装置は、粒子加速器100の外部に配置されていてもよいし、粒子加速器100の内部に設けられていてもよい。
次に、図3を参照して、シム16の配置、及び荷電粒子線Bのビーム形状調整方法について詳細に説明する。図3は、図1の粒子加速器100のシム16の配置を示す平面図である。なお、図3においては、一方の磁極10Aのみを示し、他方の磁極10Bを省略している。図3に示されるように、複数のシム16は、ヒル11の側面14に取り付けられている。荷電粒子が加速される加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、複数のヒル11のうち一のヒル11に取り付けられたシム16の厚さTと、加速平面の中心Cを挟んで一のヒル11と対向する他のヒル11に取り付けられたシム16の厚さTとは、互いに異なっている。本実施形態では、一のヒル11において略同一形状のシム16を取り付ける数を変更することによって厚さTを調整している。ここで、厚さT」とは、シム16が取り付けられたヒル11の側面14に直交する方向におけるシム16の合計の寸法である。また、加速平面の中心Cから「所定距離内の領域R」とは、例えば、中心Cから、磁極10A,10Bの半径の5%〜50%の距離以内の領域とすることができる。一例として、領域Rは、中心Cから半径100mm以内の領域とすることができる。なお、図3においては、領域Rより外に配置されたシム16を省略している。
本実施形態では、4つのヒル11をヒル11A〜11Dとすると、ヒル11Aとヒル11Cとが中心Cを挟んで対向しており、ヒル11Bとヒル11Dとが中心Cを挟んで対向している。ヒル11Aの側面14にはシム16が取り付けられておらず、ヒル11Cの側面14には、2つのシム16が重ねられた状態で取り付けられている。ヒル11B,11Dの側面14には、それぞれ1つのシム16が取り付けられている。このようにシム16を非対称に取り付けることにより、シム16が取り付けられていないヒル11Aの近傍の磁場は、シム16が取り付けられたヒル11Cの近傍の磁場より弱くなっている。
以上説明したように、粒子加速器100では、加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、一のヒル11(ヒル11A)に取り付けられたシム16の厚さTと、加速平面の中心Cを挟んで一のヒル11(ヒル11A)と対向する他のヒル11(ヒル11C)に取り付けられたシム16の厚さTとは互いに異なる。一般的に、粒子加速器では、荷電粒子Pの加速軌道の中心と加速平面の中心Cとを一致させることが好ましいとされている。このため、シム16は加速平面の中心Cに対して略回転対称となるように配置されている。しかしながら、このような粒子加速器においては、図4(a)に示されるように磁極のヒルの径方向外側から荷電粒子線Bを取り出す場合(すなわち、荷電粒子線Bとヒルの径方向外側の端面における接線とがなすエッジ角εが0より小さくなる場合)、エッジ効果により一対の磁極が対向する垂直方向に荷電粒子を発散させる発散力が働く。その結果、荷電粒子線Bのビーム形状は、図4(b)に示されるように、垂直方向に延びた形状となる。
これに対し、本実施形態のように、加速平面の中心Cに対してシム16が非対称に配置されていることにより、径方向において、加速される荷電粒子Pの軌道の中心が加速平面の中心Cからずれる。すなわち、中心Cから所定距離内の領域Rの近傍においてセンタリングが悪くなる。その結果、荷電粒子線Bのビーム形状が径方向に広がる。したがって、一対の磁極10A,10Bが対向する垂直方向に荷電粒子Pを発散させる発散力が働く位置(すなわち、磁極10A,10Bのヒル11の径方向外側)から荷電粒子線Bを出射させる場合、垂直方向及び径方向の両方向において荷電粒子線Bが広がるので、荷電粒子線Bのビーム形状の変形を抑制することができる。これにより、荷電粒子線Bのビーム形状を円形状に近づけることができるので、フォイルストリッパーのフォイルへの熱負荷を低減できる。
ここで、図5を参照して、粒子加速器の作用について説明する。図5(a)は、シムが加速平面の中心Cに対して略回転対称となるように配置された場合の荷電粒子線Bのビーム形状を示すシミュレーション結果であり、図5(b)は、本実施形態のように、加速平面の中心Cに対してシム16が非対称に配置されている場合の荷電粒子線Bのビーム形状を示すシミュレーション結果である。図5(a)に示されるように、シムが加速平面の中心Cに対して略回転対称となるように配置された場合の荷電粒子線Bのビーム形状は、径方向(X軸方向)のビーム径が5.9mm、垂直方向(Z軸方向)のビーム径が11.5mmであり、垂直方向に延びた楕円形状となっている。一方、図5(b)に示されるように、加速平面の中心Cに対してシム16が非対称に配置されている場合の荷電粒子線Bのビーム形状は、径方向(X軸方向)のビーム径が12.8mm、垂直方向(Z軸方向)のビーム径が11.9mmであり、円形状に近いビーム形状となっている。以上のシミュレーション結果から、加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、加速平面の中心Cに対してシム16が非対称に配置されていることにより、荷電粒子線Bのビーム形状の変形を抑制できるので荷電粒子線Bのビーム形状を円形状に近づけることができ、フォイルストリッパーのフォイルへの熱負荷が低減されることが確認できる。
次に、再び図3を参照して、本発明の一実施形態に係る荷電粒子線Bのビーム形状調整方法について説明する。本実施形態に係る荷電粒子線Bのビーム形状調整方法は、加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、複数のヒル11のうち一のヒル11に取り付けられたシム16の少なくとも一部を取り外し、加速平面の中心Cを挟んで一のヒルと対向する他のヒル11に取り付ける工程を含んでいる。すなわち、本実施形態では、一のヒル11において略同一形状のシム16の数を変更することによって厚さTを調整している。
一般的な粒子加速器においては、図3の点線部に示されるように、ヒル11Aにもシム16が配置されている。すなわち、加速平面の中心Cに対して略回転対称となるようにシム16が配置されている。これに対し、本実施形態では、ヒル11Aに取り付けられていたシム16を取り外し、ヒル11Aに対向するヒル11Cに取り外したシム16を取り付ける。これにより、ヒル11Aにはシム16が取り付けられておらず、ヒル11Cには2つのシム16が取り付けられた状態となっている。このようにシム16が取り付けられる位置を調整することにより、シム16が取り付けられていないヒル11Aの近傍の磁場は弱くなり、シム16が取り付けられたヒル11Cの近傍の磁場は強くなる。より具体的には、シム16が取り付けられていたヒル11Aの側面14の位置を周方向の0°とし、シム16が追加されたヒル11Cの側面14の位置を周方向の180°とすると、0°の位置で弱く、180°の位置で強い磁場が形成される。このため、ヒル11Aに取り付けられていたシム16をヒル11Cに取り付けた場合であっても、磁場の等時性を保つことができる。
上記のように、荷電粒子線Bのビーム形状調整方法は、加速平面の中心Cから所定距離内の領域Rにおいて、複数のヒル11のうち一のヒル11(ヒル11A)に取り付けられたシム16の少なくとも一部を取り外し、加速平面の中心Cを挟んで一のヒル11(ヒル11A)と対向する他のヒル11(ヒル11C)に取り付ける工程を含む。換言すると、荷電粒子線Bのビーム形状調整方法は、複数のヒル11のうち一のヒル11(ヒル11A)に取り付けられたシム16の厚さTを薄くし、加速平面の中心Cを挟んで一のヒル11(ヒル11A)と対向する他のヒル11(ヒル11C)のシム16の厚さTを厚くする工程を含む。このように、シム16が取り付けられる位置を変更してシム16の厚さTを調整することにより、径方向において、加速される荷電粒子Pの軌道の中心を加速平面の中心Cからずらすことができる。すなわち、中心Cから所定距離内の領域Rの近傍においてセンタリングが悪くすることができる。その結果、荷電粒子線Bのビーム形状が径方向に広がる。したがって、一対の磁極10A,10Bが対向する垂直方向に荷電粒子Pを発散させる発散力が働く位置(すなわち、磁極10A,10Bのヒル11の径方向外側)から荷電粒子線Bを出射させる場合、垂直方向及び径方向の両方向において荷電粒子線Bが広がるので、荷電粒子線Bのビーム形状の変形を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記の実施形態では、ヒル11Aにシム16が取り付けられておらず、ヒル11Cに2つのシム16が取り付けられている例について説明したが、加速平面の中心Cを挟んで互いに対向するヒル11に取り付けられたシム16の厚さが非対称になっていればよく、磁場の等時性が保たれる範囲内で、シム16の厚さは適宜変更可能である。例えば、ヒル11Cに3つ以上のシム16が取り付けられていてもよく、この場合、ヒル11Aには1つ又は2つのシム16が取り付けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、ヒル11Aに取り付けられるシム16の厚さとヒル11Cに取り付けられるシム16の厚さとが互いに異なる例について説明したが、ヒル11Bに取り付けられるシム16の厚さとヒル11Dに取り付けられるシム16の厚さとも互いに異なっていてもよい。
また、上記の実施形態では、一のヒル11において略同一形状のシム16を取り付ける数を変更することによって厚さTを調整する例について説明したが、例えば、異なる厚さを有するシムをシム16と取り替えることによって厚さTを調整してもよい。
また、上記の実施形態では、ヒル11Aから1つのシム16を取り外してヒル11Cに取り付ける方法について説明したが、ヒル11Aから複数のシム16を取り外してヒル11Cに取り付けてもよい。また、ヒル11Bからシム16を取り外してヒル11Dに取り付けてもよい。
なお、フォイルストリッパー30が配置される位置はヒル11が対向する領域であればよく、シム16が非対称に配置されたヒル11の位置に限定されない。すなわち、上記の実施形態では、ヒル11Aとヒル11Cとでシム16の数が異なる構成となっているが、ヒル11Aが対向する領域、ヒル11Bが対向する領域、ヒル11Cが対向する領域、及びヒル11Dが対向する領域のいずれの領域にフォイルストリッパー30を配置してもよい。
10A,10B…磁極、11…ヒル、12…バレー、14,15…側面、16…シム、30…フォイルストリッパー、100…粒子加速器、B…荷電粒子線、C…中心、P…荷電粒子、R…領域。

Claims (2)

  1. 荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射する粒子加速器であって、
    前記荷電粒子が加速される加速平面を挟んで互いに対向するように配置され、周方向に交互に設けられた複数のヒル及び複数のバレーを有する一対の円板状の磁極と、
    加速された前記荷電粒子から電子を剥ぎ取り、前記ヒルが対向する領域において、前記磁極の径方向の外側から前記荷電粒子線を出射させるフォイルストリッパーと、
    前記周方向に交差する前記複数のヒルの側面に取り付けられた複数の磁性部材と、を備え、
    前記加速平面の中心から所定距離内の領域において、前記複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた前記磁性部材の厚さと、前記加速平面の中心を挟んで前記一のヒルと対向する他のヒルに取り付けられた前記磁性部材の厚さとは互いに異なる、粒子加速器。
  2. 粒子加速器から出射される荷電粒子線のビーム形状調整方法であって、
    前記粒子加速器は、
    荷電粒子が加速される加速平面を挟んで互いに対向するように配置され、周方向に交互に設けられた複数のヒル及び複数のバレーを有する一対の円板状の磁極と、
    前記周方向における前記複数のヒルの側面に取り付けられた複数の磁性部材と、を備え、
    前記ビーム形状調整方法は、
    前記加速平面の中心から所定距離内の領域において、複数のヒルのうち一のヒルに取り付けられた前記磁性部材の少なくとも一部を取り外し、前記加速平面の中心を挟んで前記一のヒルと対向する他のヒルに取り付ける工程を含む、荷電粒子線のビーム形状調整方法。
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