JP4276340B2 - サイクロトロン用電磁石の設計方法及びサイクロトロンシステム - Google Patents
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- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイクロトロンの磁石のサイズを最小限とするための方法、及び、該方法によって得られた電磁石を用いたサイクロトロンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジオアイソトープの製造は、通常、イオンビーム(即ち、荷電粒子のビーム)が加速される適切な粒子加速器、例えばサイクロトロンを用いて行われる。ラジオアイソトープは、入射イオンビームと、加圧された気体、液体又は固体であるターゲット媒体間の核反応によって形成される。
【0003】
サイクロトロンは、加速されたイオンを円形軌道に偏向するために磁場を利用している。イオンビームは、加速過程においてエネルギを連続的に受け取り、イオンビームの軌跡は、磁極のエッジでイオンが最終エネルギに到達するまで、多回転の螺旋状となる。磁場内でのビーム通路はかなり長い螺旋であるので、イオンビームの収束状態を維持するため、磁場にはイオンビーム収束性が要求される。最近のサイクロトロンは、いわゆるセクタフォーカシング(sector focusing)を利用しており、磁極を扇形(セクタ)に形作ることによって、イオンビームの軸方向収束性を改良している。これは、磁石の磁極表面を磁極当たり3又は4、即ち、合計6又は8の扇形に分割することによって達成される。ポール間の、より長い距離を与える領域は、谷(valley)と呼ばれる。
【0004】
サイクロトロン内のイオンの加速は、サイクロトロン磁石システムの平均磁場及び加速されたイオンの質量/電荷比によって与えられる、サイクロトロン中のビームの軌道周回時間に対応する周期(又はその整数倍)で振動する高周波数(RF)電圧が印可される、いわゆるRF加速システムによって達成される。もともと、RF加速電極の形状は、2つの向き合った「D」形状の中空電極であり、加速されたイオンビームの軌道は、印加された磁場及びイオンのエネルギに依存している。ビームは、1つの電極に入り、出る毎に、エネルギを得て、その軌道半径を増していく。
【0005】
イオンビームは、その軌道半径を増加しつつ、磁極間の加速用真空スペース内を数多く軌道周回していく。最終的に、ビームは磁極のエッジでその軌道から引き出され、特別のターゲット材料上に入射される。磁極ギャップの違いにより、セクタ領域の磁場の方が、谷領域の磁場よりも強い。セクタと谷間の磁場強度の違いが大きいほど、軸方向のビーム収束性は強くなるが、その結果、平均磁場は勿論小さくなり、所望のエネルギを確実にするために磁石の直径は大きくなる。
【0006】
サイクロトロンを可能な限りコンパクトにする(即ち小さな磁極直径を有する)ようにするため、平均磁場は高く維持されなければならない。これは、磁極ギャップが、可能な限り小さく維持されるべきであることを意味する。これにより、電力消費は小さくなるが、2つの望ましくない効果を持たらす。
【0007】
まず第1に、真空引きのための磁極ギャップのコンダクタンスが小さくなり、第2に、RF加速電極のためのスペースが非常に小さくなる。
【0008】
第1の効果の性質は、開口面積が小さくなると、真空引きのためのコンダクタンスに負の効果を有し、真空の劣化につながるという事実を指している。PET(陽電子放出トモグラフィ)用のアイソトープ製造設備の場合、加速イオンは、原子に束縛された付加電子によって作り出された負の電荷を有する。付加電子の結合力は弱く、電子は、加速イオンと真空中に残留している気体元素間の相互作用によって、容易に取り除かれる。衝突イオンは、不可逆的に中性化され、その電気的及び磁気的な場に対する感受性を失う。真空コンダクタンスが低くなると、残留ガスの量が多くなり、従って、ビームの損失が大きくなる。真空コンダクタンスが大きくなれば、その逆となる。これは、特に、水素の負イオンの加速が必要なPET用の放射性トレーサ製造システムの場合、非常に重要な点である。
【0009】
第2の問題は、RF加速電極を磁石ギャップが最大である谷に配置することによって、ある程度補償することができる。これにより、RF加速電極の負荷容量を小さく維持することができ、RF電力消費の観点から有利となる。自明な解決策は、セクタ領域の磁場を高く維持するために、セクタ間の距離を小さく維持し、RF加速電極用のより良い環境を作り出し、同時に、より良い真空コンダクタンスを得るために、ある程度、谷のギャップを広げることである。
【0010】
しかしながら、既に説明したように、谷のギャップが大きすぎると、谷における磁場強度がセクタの磁場強度に比べて小さくなり過ぎ、νz(軌道周回当りの 軸方向イオンビームの振動数)によって表わされる軸方向ビーム収束性が大きくなり、時として、安定なビーム加速を妨げるνz=1/2の共鳴状態になってし まう。
【0011】
最近のサイクロトロンの幾つか(陽子エネルギ20MeV未満)は、いわゆる深い谷(deep valley)設計に基づいており、大きな(厚い)セクタ板からなる磁極が、磁石ヨーク上に直接固定され、RF加速電極に適した非常に大きな谷ギャップができており、このタイプのサイクロトロンでは、νzの値が、νz=1/2の共鳴値よりも十分大きな値に維持されている。このようなサイクロトロンは、任意に与えられたイオンエネルギに対して、大きな谷ギャップによって、より低い平均磁場を有し、結果として、より大きな磁極半径を持たらす。従って、このようなサイクロトロンは、νz=1/2の共鳴値以下のνz値に基づく設計よりも物理的に大きくなる。この点に関して、より多くの情報が、例えば、John J. Livingood著の「Principles of cyclic particle accelerators(周期的粒子加速器の原理)」(D. Van Nostrand Company,Inc.,Princeton, New Jersuy,USA)に載せられている。
【0012】
結果として、コンパクトなサイクロトロン磁石を設計する際には、2つの利用可能な選択肢がある。即ち、上記の臨界νz=1/2共鳴値から外すため、νzの値を0.5より十分に小さくするか、又は、0.5よりも十分に大きくするかである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
最初の選択は、コンパクトな磁石をもたらすが、谷のギャップが小さすぎる設計であると、低消費電力のRF加速システム、及び、満足すべき真空コンダクタンスをもたらすことができない。他方の選択は、サイズの要請を満足するには磁石が大きくなり過ぎる。コンパクトなサイクロトロン磁石のための最適化の設計を行なうことは、軸方向収束性に関する制約のため、廃れたように見える。
【0014】
しかし、PETアイソトープ製造設備に適したサイクロトロンを設計するには、つまり、スペースが限定されているのが通常である病院に据え付けるのに適した、非常にコンパクトな装置を実現するには、相反するパラメータを考慮して、サイクロトロンのサイズを最適化する必要がある。サイクロトロン自体のコンパクトさは、将来、一体化された放射線シールドを含むシステム全体のサイズの小形化を促進するであろうし、このような設備に対する黄金の基準(golden standard)となるであろう。更に、このような利点を有するシステムに対する要請もある。
【0015】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、放射性トレーサ製造用のサイクロトロンの電磁石のサイズ、特に磁極の直径を最小とすることを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、放射性トレーサ製造用のサイクロトロンシステムの磁極のサイズを小型化するための方法であって、軌道周回当りの軸方向イオンビームの振動数νzが臨界的な共鳴値νz=1/2以下で規定されるような動作モードを選択するステップと、RF加速電極を受け入れ、水素の負イオンの加速に適した十分に低い圧力を得るのに必要な真空コンダクタンスを助ける谷のギャップを規定する第1の磁極パラメータを選択することによって、深い谷の代わりに浅い谷を選ぶステップと、水素の負イオンの加速器に適当な十分に低い圧力を得るために必要な真空コンダクタンスを可能とする、15−30mmのオーダーのセクタギャップを設定することによって、第2の磁極パラメータを規定するステップと、セクタ領域の磁場を増大させて、方位方向磁場の形状を、矩形波形状からほぼ正弦波状になるように変えるステップと、増やされたセクタ領域の磁場及び第1及び第2の磁極パラメータから、平均磁場を計算するステップと、平均磁場から、磁極半径を規定する第3の磁極パラメータを計算し、これにより、サイクロトロンシステム用の電磁石システムの小型のデザインを獲得するステップとを有することにより、前記課題を解決したものである。
【0017】
更に、谷領域の磁場を磁極の飽和状態以下に維持しつつ、磁極セクタ材料の、より高い飽和状態を利用して、セクタ磁場を増大させ、飽和効果によって、更に前記νzの値を減少させるステップを含むようにしたものである。
【0018】
更に、4つの同じサイズのセクタギャップと、各谷の周方向サイズが、対応する磁極セクタの周方向サイズの2/3のオーダーである、4つの対応する谷領域を呈する磁極を選択するステップを含むようにしたものである。
【0019】
本発明は、又、放射性トレーサ製造用の水素の負イオンを加速するためのサイクロトロンの磁極の直径が小型化されたサイクロトロンシステムであって、一対のコイルと、磁極セクタ及び谷領域を呈する第1及び第2の円形磁極を含むヨークを有し、少なくとも2つの対向する谷領域が、RF加速電極及び第1及び第2の円形磁極を含み、含まれたRF加速電極が、これらに適切なRF加速電圧を印加したときに、中央のイオン源から引き出された負イオンのためのサイクロトロン加速システムを形成する真空箱中に位置され、電磁石システムによって印加された磁場により、第1及び第2の磁極間でイオンビームが偏向され収束されるような電磁石システムとを有し、これにより、各磁極が4つのセクタ部分と4つの谷部分を形成し、4つのセクタ部分のギャップの長さが、15−30mmのオーダーとされ、4つの谷部分のギャップの長さが、イオンビームを加速するときに必要な真空を達成するためのイオンビーム真空コンダクタンス用の適切なスペースを許容し、電磁場が、4つのセクタ部分を飽和させるが、谷部分は飽和させず、方位磁場の形状を矩形波形状からほぼ正弦波状に変換するようにし、臨界共鳴値ν z =1/2以下の軌道周回当りの軸方向イオンビームの振動数ν z で動作するモードを、動作モードとして選ぶことにより、前記課題を解決したものである。
【0021】
又、医療診断、特に陽電子放出トモグラフィ用の放射性トレーサ製造用のサイクロトロンシステムを達成するために、円形磁極の最大直径を700mmのオーダーとしたものである。
【0022】
本発明の方法及び、この方法によるサイクロトロンは、臨界共鳴値νz=1/ 2よりも十分に小さいνzを有する動作モードを利用している。まず、セクタの 磁極ギャップは、比較的少ないアンペアターンを与える小さな値(典型的には15−30mm)に固定される。次に、谷の磁極ギャップは、真空引きに良好なコンダクタンスを与え、且つ、容量及び電力消費が許容できる程度のスペースを確保したRF加速システムを収容するのに十分な大きさを持った値に固定される。並みの磁場強度にすれば、νzの値はνz=1/2よりも小さいが、1/2に近すぎる。この方法は、セクタの磁場が、軟鉄の磁場の飽和値である約2.15テスラよりも大きくなるように、コイル電流当りのアンペアターンを高くする。これは、νzの値に対して、2つの望ましい効果をもたらす。
【0023】
1.谷の磁場が、セクタの飽和効果によって、セクタの磁場に対する磁極ギャップ比例値よりも増える。
【0024】
2.方位磁場(azimuthal field)の形状が、方形波形状から、ほぼ正弦波状に変わる。
【0025】
【発明の実施例の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明の改良により、PETアイソトープ製造設備に適用可能なサイクロトロン装置が開示されている。本発明による装置は、相反するパラメータを考慮して、設備を非常にコンパクトな設計としている。この設計が適用された装置は、同時に、医療診断に用いられる短寿命の放射性トレーサを作り出すためのPETアイソトープ製造システム用の一体型放射線シールドをも構成している。
【0027】
この装置の小型磁石設計は、0.5以下のνz値に基づいているにもかかわらず、RF加速電極及び良好な真空コンダクタンスのために十分なスペースを有する。以下、この新しい概念によるシステムについて、説明する。
【0028】
図1は、本発明の図示実施形態によりサイクロトロンに用いられる一対の磁極、第1の磁極1及び第2の磁極2を示している。両方の磁極は、同数のセクタ4、例えば開示した実施形態に示すように、4セクタを有している。磁極セクタ4の間に谷6が作り出されている。従って、図示実施形態では、4つの谷6がある。ヨーク(図示省略)上に配置されたコイル(図示省略)によって、磁極1及び2の間に電磁場が作り出される。コイル巻線には高電流が供給され、サイクロトロン装置のイオンビームを偏向し収束するために利用される磁場を生成する強い電磁石が形成される。図2において、第1の磁極1は、セクタ表面4に対して平行な面内に描かれている。図2には、更に、作り出された浅い谷の2つの中に、RF加速電極8、9の2つのペアの各部分が配置されることを示している。開示された実施例では、セクタ4の表面積が、谷6の面積よりも大きいことに注意されたい。
【0029】
サイクロトロンにおいては、セクタ磁場の強度を、約2.15テスラとされる軟鉄の飽和値以下に限定するのが通常である。しかしながら、コイルの巻数を増やし、より大きなアンペアターンを与えて、セクタ上の磁場強度を増大させれば、2つの効果が発生して、共にνzの値が小さくなる。
【0030】
完全に飽和したセクタ鋼のため、谷に漏洩するかなりの漏洩磁場が存在し、これにより、セクタの磁場よりも谷の磁場の方が磁極ギャップ比例値より大きく増加する。これは、軸方向の収束性を減らし、νzの値が小さくなる。
【0031】
図3に、中央面内の磁場Bの変化が、2つの磁極1及び2間のほぼ円形の軌跡に沿って描かれている。角度範囲90°−180°及び角度範囲270°−360°に位置する磁極の谷には、図示されたRF加速電極が存在し、そこには、イオンビームのために、対向する磁極セクタ4間のギャップと同じような、ギャップが確保されている。
【0032】
セクタ磁場を強くすることによって、飽和効果により、方位場形状は、矩形波形状から正弦波形状に変化する。このような磁場形状の変化は、更に、νzの値 を減らす。
【0033】
この方法を利用することによって、νzをνz=1/2の共鳴条件よりも十分に小さく保ちつつ、従来のセクタ磁場で可能であったよりも大きな谷のギャップを選択することが可能となる。このような方法の総合的な結果によって、サイクロトロンの直径が減らされ、PETアイソトープ製造システム用のサイクロトロンが、よりコンパクトな磁石システムとなる。
【0034】
磁極システム、及び、例えば中央に配置されたイオン源(図示省略)及び引出システム(図示省略)のメンテナンス及びそれらへのアクセスを更に改良するため、電磁石は、好ましくは、磁極1及び2の面が垂直になるように配置すれば、磁石ヨークと共に配列された垂直に取り付けられたヒンジのセットによって、磁極を磁石ヨークから簡単に分割することが可能となる。その時、磁極がメンテナンスのアクセスのために分割された状態では、図1の磁極1は、図2と同様な位置に配置されている。RF加速電極8及び9は、イオンビームがその間で加速される上及び下電極板の双方からなる単一のユニットとして構成されている。この分割は、磁極が位置する真空箱の真空を開放し、ヒンジにより、真空箱を、第1の磁極1及びRF加速電極システム8及び9を含む部分と、第2の磁極2を含む、もう一方の旋回軸で回転する部分からなる2つの部分に分けることによってなされる。
【0035】
RF加速電極は、従来と同様に、両方の電極8及び9がお互いに接続され、他方の端子が両方の磁極に接続される。
【0036】
表1は、PETアイソトープ製造設備に適用されるサイクロトロン装置の本発明による改良による方法の設計計画を示す。この表は、本発明法と、いわゆる深い谷の技術による従来の典型的な方法の間の主な相違を示している。
【0037】
【表1】
【0038】
本発明の改良によるサイクロトロン装置の好適な実施例は、図1に示される磁極の最大直径700mmを与える。各磁極の高さは、約120mmであり、セクタ4の有効物理半径は、エッジが斜めにカットされているため320mmのオーダーとなる。このような磁極は、磁極セクタ4を形成する材料でもある低炭素鋼からなり、同時に、谷6も形成する。図1及び2は、電気コイルが取り付けられたヨークを示していない。このヨークは、ヒンジによって分割される。つまり、2つの対向する磁極1及び2は、水平面内で、ヨークの一方を、そのヒンジによる旋回軸によって回転することにより分割される。施回位置において、磁極1は、図2に示されるようにアクセスできる。ヨークの分割は、エアギャップが生じないように高精度でなされ、更に、強い磁場が印加されると、エアギャップは取り除かれるように作用する。
【0039】
好適な実施例によるサイクロトロンは、電磁場中のRF加速電極に誘導されたRF電圧によって、イオンビームが約80回周回する間に、水素の負イオンを10MeVのオーダーのエネルギまで加速する。この装置は、4次高調波加速装置として設計されている。即ち、イオンビームが1回軌道を周回する間に、加速用RF電圧は4周期を有している。動作RF周波数は、従って、100MHzを少し上回るものとなる。RF加速電極システムが2つの対向する谷間に位置しているので、イオンビームは周回毎に4回エネルギで押されることになる。好適な実施例において、セクタ4は、約55°であり、谷は従って35°のオーダーとなる。それぞれ2つの対向する銅板からなる2つのRF加速電極は、ヨークが閉じられたときに、磁極セクタ間のギャップ距離と同様な距離の対向面を有する。このRF加速電極は、印加される高周波フィールドに関して適切な高耐圧絶縁が維持されるように、2つの谷間に取り付けられるよう設計されている。このRF加速電極は、勿論、これらを囲む磁石の銅メッキされた材料に対して静電容量を構成する。RF構造体のインダクタンスは、RF加速電極の浮遊容量と共に、RF加速システムに最大限のRF電力を伝送するのに望ましい作動RF周波数と一致すべき共振周波数を規定する。その結果、可能な限り最大のRF加速フィールドを得ることができる。
【0040】
RF加速電極システムに印加される高周波フィールドは、固定された周波数の変調されない正弦波状RF信号であり、これは、開示された実施例のサイクロトロンが等時性セクタ集束システムとして動作することを意味する。RF発生システムは、システムの最適なマッチングを維持するよう、フィードバックシステムによって制御されている。サイクロトロン制御システムは、更に、作り出された水素の負イオンビームを最適な動作条件とするために、加速用RFフィールド周波数に関して電磁場を制御している。
【0041】
好適なイオン源は、イオン加速装置の当業者にとって既に周知であるため、そのような装置については、ここでは更に論じない。
【0042】
当業者にとって自明なように、磁場は、いくつかの公知の影響を補償するように作用させることができる。これは、本発明の一部ではないと考えられるので、これ以上論じないが、文献で見つけることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば放射性トレーサ製造用のサイクロトロンの電磁石のサイズ、特に磁極の直径を最小として、システム全体のサイズを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンパクトなサイクロトロンのための一対の磁極の斜視図
【図2】上磁極側から見た、下磁極のセクタを示すと共に、谷の2つのRF加速電極の部分を示す上面図
【図3】本発明による装置中のイオンビーム軌跡に沿う磁場の変化を示す線図
【符号の説明】
1、2…円形磁極
4…磁極セクタ
6…谷領域
8、9…RF加速電極
Claims (5)
- 放射性トレーサ製造用のサイクロトロンシステムの磁極のサイズを小型化するための方法であって、
軌道周回当りの軸方向イオンビームの振動数νzが臨界的な共鳴値νz=1/2以下で規定されるような動作モードを選択するステップと、
RF加速電極を受け入れ、水素の負イオンの加速に適した十分に低い圧力を得るのに必要な真空コンダクタンスを助ける谷のギャップを規定する第1の磁極パラメータを選択することによって、深い谷の代わりに浅い谷を選ぶステップと、
水素の負イオンの加速器に適当な十分に低い圧力を得るために必要な真空コンダクタンスを可能とする、15−30mmのオーダーのセクタギャップを設定することによって、第2の磁極パラメータを規定するステップと、
セクタ領域の磁場を増大させて、方位方向磁場の形状を、矩形波形状からほぼ正弦波状になるように変えるステップと、
増やされたセクタ領域の磁場及び第1及び第2の磁極パラメータから、平均磁場を計算するステップと、
平均磁場から、磁極半径を規定する第3の磁極パラメータを計算し、これにより、サイクロトロンシステム用の電磁石システムの小型のデザインを獲得するステップと、
を有することを特徴とするサイクロトロン用電磁石の設計方法。 - 請求項1において、更に、谷領域の磁場を磁極の飽和状態以下に維持しつつ、磁極セクタ材料の、より高い飽和状態を利用して、セクタ磁場を増大させ、飽和効果によって、更に前記νzの値を減少させるステップを含むことを特徴とするサイクロトロン用電磁石の設計方法。
- 請求項2において、更に、4つの同じサイズのセクタギャップと、各谷の周方向サイズが、対応する磁極セクタの周方向サイズの2/3のオーダーである、4つの対応する谷領域を呈する磁極を選択するステップを含むことを特徴とするサイクロトロン用電磁石の設計方法。
- 放射性トレーサ製造用の水素の負イオンを加速するためのサイクロトロンの磁極の直径が小型化されたサイクロトロンシステムであって、
一対のコイルと、磁極セクタ及び谷領域を呈する第1及び第2の円形磁極を含むヨークを有し、少なくとも2つの対向する谷領域が、RF加速電極及び第1及び第2の円形磁極を含み、含まれたRF加速電極が、これらに適切なRF加速電圧を印加したときに、中央のイオン源から引き出された負イオンのためのサイクロトロン加速システムを形成する真空箱中に位置され、電磁石システムによって印加された磁場により、第1及び第2の磁極間でイオンビームが偏向され収束されるような電磁石システムとを有し、
これにより、各磁極が4つのセクタ部分と4つの谷部分を形成し、4つのセクタ部分のギャップの長さが、15−30mmのオーダーとされ、4つの谷部分のギャップの長さが、イオンビームを加速するときに必要な真空を達成するためのイオンビーム真空コンダクタンス用の適切なスペースを許容し、電磁場が、4つのセクタ部分を飽和させるが、谷部分は飽和させず、方位磁場の形状を矩形波形状からほぼ正弦波状に変換するようにされ、
臨界共鳴値ν z =1/2以下の軌道周回当りの軸方向イオンビームの振動数ν z で動作するモードが、動作モードとして選ばれていることを特徴とするサイクロトロンシステム。 - 請求項4において、医療診断用の放射性トレーサ製造用のサイクロトロンシステムを達成するために、円形磁極の最大直径が700mmのオーダーであることを特徴とするサイクロトロンシステム。
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