JP2019174604A - 転写フィルム、硬化膜及びその形成方法、並びに、電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 骨見え現象の抑制機能が向上された硬化膜を形成することができる転写フィルムを提供すること。【解決手段】 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層及び該第一の樹脂層上に設けられた、金属酸化物を含有する第二の樹脂層を含む積層体と、を備える転写フィルムであって、第一の樹脂層は感光性樹脂組成物層であり、硬化後の積層体の、第一の樹脂層における第二の樹脂層とは反対側から測定した反射色度b*は、−1.50以下である、転写フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、転写フィルム、硬化膜及びその形成方法、並びに、電子部品に関する。
パソコン、テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、スマートフォン、電子辞書等の小型電子機器、OA(Office Automation、オフィスオートメーション)・FA(Factory Automation、ファクトリーオートメーション)機器等の表示機器などには液晶表示素子及びタッチパネル(タッチセンサー)が用いられている。
タッチパネルには各種の方式が採用されているが、近年、投影型静電容量方式のタッチパネルの利用が進んでいる。一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標を表現するために、複数のX電極と、該X電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成している。これらの電極の材料として、ITO(Indium−Tin−Oxide、酸化インジウムスズ)が主流である。
タッチパネルの額縁領域はタッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。一般的に額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために銅等の金属配線が形成されている。
ところで、タッチパネルでは、指先が接触した際に、水分又は塩分等の腐食成分がセンシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、上記金属配線が腐食し、電極と駆動用回路との間の電気抵抗の増加、又は断線の恐れがある。
金属配線の腐食を防ぐために、タッチパネル用基材上に、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含有する感光性樹脂組成物層を設け、前記感光性樹脂組成物層の所定部分を活性光線の照射により硬化させた後に、前記所定部分以外を除去し、前記基材の一部又は全部を被覆する前記感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する方法が知られている(下記特許文献1を参照)。この手法によれば、タッチパネル用基材上に充分な低透湿性を有する硬化膜を形成することができる。
他方で、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、センシング領域において電極パターンが画面上に映りこむ、いわゆる「骨見え現象」の問題がある。
骨見え現象を抑制する手法として、特定の屈折率の範囲に調整された低屈折率の第一の硬化性透明樹脂層及び高屈折率の第二の硬化性透明樹脂層とを隣接して有する転写フィルムが開示されている(下記特許文献2を参照)。
特開2015−121929 国際公開第2014/084112号パンフレット
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、骨見え現象の抑制効果が充分ではない。
そこで、本発明は、骨見え現象の抑制機能が向上された硬化膜を形成することができる転写フィルム、該転写フィルムを用いて得られる硬化膜及びその形成方法、並びに、該硬化膜を備える電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記金属配線の腐食防止等に用いられる硬化膜の色度に着目し検討を行った結果、屈折率を向上させるための金属酸化物を含有する層(例えば上記高屈折率層)を備える硬化膜では、該硬化膜の反射色度b*を所定の範囲に調整することで、骨見え現象の抑制効果がより顕著に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一側面は、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層及び該第一の樹脂層上に設けられた、金属酸化物を含有する第二の樹脂層を含む積層体と、を備える転写フィルムに関する。この転写フィルムにおいて、第一の樹脂層は感光性樹脂組成物層であり、硬化後の積層体の、第一の樹脂層における第二の樹脂層とは反対側から測定した反射色度b*は、−1.50以下である。
上記転写フィルムによれば、積層体を硬化して得られる硬化膜(積層体の第一の樹脂層及び第二の樹脂層を硬化させて得られる硬化膜)における、骨見え現象の抑制機能を向上させることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、次のように推察している。すなわち、通常、感光性樹脂組成物層と、金属酸化物を含有する樹脂層(例えば波長633nmにおける屈折率が1.60以上である高屈折率層)と、を含む積層体を硬化して得られる硬化膜がITO等の透明電極パターン上に設けられた場合、該硬化膜により、ITO等の透明電極パターンが形成されている部分からの正反射光と、ITO等の透明電極パターンが形成されていない部分からの正反射光とが干渉し合い、光学的な反射による色差が小さくなるため、骨見え現象が抑制されると考えられている。しかしながら、従来の転写フィルムでは、450nm〜500nm付近の波長域の光を充分に干渉させることができず、該波長域の光が原因で骨見え現象が生じていたと推察される。これに対し、上記転写フィルムでは、積層体を硬化してなる硬化膜の反射色度b*が−1.50以下であることで、上記450nm〜500nm付近の波長域の光による骨見え現象が抑制され、結果として、より顕著な骨見え現象の抑制効果が得られると推察している。
金属酸化物は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。この場合、第二の樹脂層の波長633nmにおける屈折率を制御することが容易となり、骨見え現象の抑制効果が一層得られやすくなる。
第二の樹脂層は、酸価150mgKOH/g以上のポリマーを含有してよく、該酸価150mgKOH/g以上のポリマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有してよい。この場合、第二の樹脂層のアルカリ現像性に優れる。
第一の樹脂層は、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有してよい。
上記光重合開始剤は、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。この場合、薄膜(例えば厚さが10μm以下の薄膜)であっても充分な解像度でパターン状の硬化膜(硬化膜パターン)を形成することができる。
上記バインダーポリマーは、カルボキシル基を有してよく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有してよい。この場合、第一の樹脂層のアルカリ現像性、パターニング性及び透明性を向上させることができる。
第一の樹脂層は、エチレン性不飽和基を有するリン酸エステルを含有してよい。この場合、透明電極パターンに対する密着性を向上させることができ、現像残りの発生を低減することができる。
第二の樹脂層の厚さは40〜500nmであってよい。この場合、タッチパネルにおけるタッチ画面全体の反射光強度をより低減することが可能となる。
積層体の厚さは30μm以下であってよい。この場合、上記第一の樹脂層及び第二の樹脂層の基材へのラミネート時の追従性を向上させることができる。
本発明の一側面は、基材上に、上記転写フィルムの積層体を、第二の樹脂層が基材に密着するようにラミネートする工程と、基材上の積層体の所定部分を露光する工程と、露光された所定部分以外を除去し、パターン状の硬化膜を形成する工程と、を備える硬化膜の形成方法に関する。この方法によれば、骨見え現象の抑制機能に優れるパターン状の硬化膜が得られる。
本発明の一側面は、上記転写フィルムにおける積層体の、第一の樹脂層及び第二の樹脂層を硬化してなる、硬化膜に関する。この硬化膜は、骨見え現象の抑制機能に優れる。
本発明の一側面は、上記硬化膜を備える、電子部品に関する。この電子部品においては、上記骨見え現象が抑制されている。
本発明によれば、骨見え現象の抑制機能が向上された硬化膜を形成することができる転写フィルム、該転写フィルムを用いて得られる硬化膜及びその形成方法、並びに、該硬化膜を備える電子部品を提供することができる。
本発明の一実施形態の転写フィルムを示す模式断面図である。 本発明の一実施形態の転写フィルムを用いて形成した硬化膜パターンを透明電極パターン付き基材上に備える透明積層体を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態の電子部品を示す模式平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、数値範囲として個別に記載された上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本明細書において、「露光量」とは、i線(波長365nm)における測定値である。
<転写フィルム>
一実施形態の転写フィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層及び該第一の樹脂層上に設けられた、金属酸化物を含有する第二の樹脂層を含む積層体と、を備える。この転写フィルムにおいて、第一の樹脂層は感光性樹脂組成物層であり、硬化後の積層体の、第一の樹脂層における第二の樹脂層とは反対側から測定した反射色度b*は、−1.50以下である。
ここで、硬化後の積層体とは、転写フィルムにおける積層体の第一の樹脂層及び第二の樹脂層を光硬化させて得られる硬化膜である。反射色度b*は、CIELAB表色系での反射色度b*であり、具体的には以下の方法で測定される。まず、保護フィルムを剥離した転写フィルムを株式会社倉本製作所製SiOスパッタガラスにラミネートする。その後、積層体に、行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して支持フィルムの主面垂直上より露光量6.0×10J/mで紫外線を照射する。その後、支持フィルムを剥離して除去し、更に上記積層体の主面垂直上より露光量3.5×102J/mで紫外線を照射する。その後、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、これを測定用サンプルとする。次いで、測定用サンプルの第一の樹脂層における第二の樹脂層とは反対側の面の反射色度b*を、コニカミノルタ株式会社製CM−5を用いて測定する。
反射色度b*は、骨見え現象の抑制機能を更に向上させることができる観点から、−1.45以下が好ましく、−1.50以下がより好ましく、−1.55が更に好ましい。反射色度b*は、フィルムの透明性を維持する観点から、−5.00以上が好ましく、−4.00以上がより好ましく、−3.00以上が更に好ましい。これらの観点から、反射色度b*は−5.00〜−1.45が好ましく、−4.00〜−1.50がより好ましく、−3.00〜−1.55が更に好ましい。
反射色度b*は、例えば、第一の樹脂層に含有させる樹脂の種類、第二の樹脂層に含有させる樹脂及び粒子の種類並びに該粒子の量、第一の樹脂層及び第二の樹脂層の厚さ等によって調整することができる。
以下、一実施形態の転写フィルムの好ましい態様について説明する。
図1は、一実施形態の転写フィルムを示す模式断面図である。図1に示される転写フィルム1は、支持フィルム10と、該支持フィルム10上に設けられた第一の樹脂層20、及び、該第一の樹脂層20上に設けられた第二の樹脂層30を含む積層体40と、を備える、感光性の屈折率調整フィルムである。なお、転写フィルムは、図1に示すように第二の樹脂層30の第一の樹脂層20とは反対側に設けられた保護フィルム15を含んでもよい。
図2は、一実施形態の転写フィルムを透明電極パターン付き基材へ用いた一実施形態を示す模式断面図である。図2において、ITO等の透明電極パターン50a付き基材50上に、パターン50aを覆うように第二の樹脂層の硬化物(第二の硬化樹脂層)32が設けられ、その上に第一の樹脂層の硬化物(第一の硬化樹脂層)22が設けられて、透明積層体100が構成されている。すなわち、図2は、一実施形態の転写フィルムを用いて形成したパターン状の硬化膜(硬化膜パターン)60を透明電極パターン50a付き基材50上に備える透明積層体100を示す。透明電極パターン50aは金属配線であってもよい。
上記転写フィルムを用いることで、例えばタッチパネルにおける透明電極又は額縁領域にある金属配線の保護機能と、透明電極パターンの可視化抑制又はセンシング領域の視認性向上の両機能を満たす硬化膜を一括で形成することができる。
<支持フィルム>
支持フィルム10としては、例えば重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー等のフィルムが挙げられる。
支持フィルム10の厚さは、被覆性の確保の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましい。支持フィルム10の厚さは、支持フィルム10を介して活性光線を照射する際の解像度の低下を抑制する観点から、100μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましく、35μm以下が特に好ましい。これらの観点から、支持フィルム10の厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、15〜40μmが更に好ましく、15〜35μmが特に好ましい。
<第一の樹脂層>
第一の樹脂層20は、所望の形状を有する硬化膜を容易に形成する観点から、感光性樹脂組成物によって形成される層(感光性樹脂組成物層)である。第一の樹脂層20は、バインダーポリマー(以下、「第一のバインダーポリマー」又は「(A)成分」ともいう)と、光重合性化合物(以下、(B)成分ともいう)と、光重合開始剤(以下、(C)成分ともいう)とを含有する感光性樹脂組成物から形成されることが好ましい。
((A)成分:第一のバインダーポリマー)
(A)成分としては、アルカリ現像によりパターニングを可能とする観点から、カルボキシル基を有するバインダーポリマーを用いることが好ましい。
(A)成分としては、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する共重合体が好適である。上記共重合体は、上記(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合し得るその他のモノマーを構造単位に含有していてもよい。具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等が挙げられる。
(A)成分は、エチレン性不飽和基を有してもよい。なお、エチレン性不飽和基を有する(A)成分は、本明細書においては(B)成分に含まれないものとする。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル等が挙げられる。
(A)成分は、アルカリ現像性(特に無機アルカリ水溶液に対するアルカリ現像性)、パターニング性、透明性等の観点から、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物由来の構造単位を有するバインダーポリマーが好ましい。これらの中でも、b*を所望の範囲に調整しやすい観点では、(メタ)アクリル酸ベンジル及びスチレンからなる群より選択される少なくとも一種の化合物由来の構造単位を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
(A)成分の重量平均分子量は、解像度の観点から、10,000以上が好ましく、15,000以上がより好ましく、30,000以上が更に好ましく、40,000以上が特に好ましい。(A)成分の重量平均分子量は、解像度の観点から、200,000以下が好ましく、150,000以下がより好ましく、100,000以下が特に好ましい。これらの観点から、(A)成分の重量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましく、15,000〜150,000がより好ましく、30,000〜150,000が更に好ましく、30,000〜100,000が特に好ましく、40,000〜100,000が極めて好ましい。なお、重量平均分子量は、本明細書の実施例を参考にゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定することができる。
(A)成分の酸価は、所望の形状を有する硬化膜をアルカリ現像で容易に形成する観点から、75mgKOH/g以上とすることが好ましい。(A)成分の酸価は、硬化膜形状の制御容易性と硬化膜の防錆性との両立を図る観点から、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下が更に好ましい。これらの観点から、(A)成分の酸価は、75〜200mgKOH/gが好ましく、75〜150mgKOH/gがより好ましく、75〜120mgKOH/gが更に好ましい。なお、酸価は、本明細書の実施例を参考に測定することができる。
(A)成分の含有量は、パターン形成性及び硬化膜の防錆性を維持する観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、35質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましく、55質量部以上が特に好ましい。(A)成分の含有量は、製膜性と基材追従性の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、85質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下が更に好ましく、65質量部以下が特に好ましい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、35〜85質量部が好ましく、40〜80質量部がより好ましく、50〜70質量部が更に好ましく、55〜65質量部が特に好ましい。
((B)成分:光重合性化合物)
(B)成分としては、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を用いることができる。エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、又は少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーが挙げられる。
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられるモノマーとして例示したものが挙げられる。
上記二官能ビニルモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーとしては、従来公知のものを特に制限無く用いることができる。金属配線又は透明電極の腐食防止及び現像性の観点から、上記多官能ビニルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;又はジグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;シアヌル酸由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
上記多官能ビニルモノマーは、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。金属配線及び透明電極の腐食抑制の観点から、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物として、下記一般式(1)である化合物を含むことが好ましい。
Figure 2019174604

[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xは、ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有する2価の基を示し、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、n及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を示し、p及びqはそれぞれ独立に0以上の整数を示し、p+q=0〜10となるように選択される。]
上記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、プロピレン基はn−イソプロピレン基及びイソプロピレン基のいずれであってもよい。
上記一般式(1)において、n及びmは、メチレン基が、分子中にどの程度付加されているかを示すものである。p及びqは炭素数1〜4のアルコキシ基が、分子中にどの程度付加されているかを示すものである。p+qが2以上の場合、2つ以上のR及びRは、同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、Xに含まれるジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有する2価の基が、嵩高い構造を有することで、フィルムの低透湿性を実現し、金属配線及び透明電極の腐食抑制性が向上すると考えられる。
ジシクロペンタニル構造及びジシクロペンテニル構造は、それぞれトリシクロデカン骨格及びトリシクロデセン骨格ということもできる。「トリシクロデカン骨格」及び「トリシクロデセン骨格」とは、それぞれ以下の構造(それぞれ、結合手は任意の箇所である)をいう。
Figure 2019174604
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(2)で表される、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートが挙げられる。これは、A−DCP(新中村化学工業株式会社製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019174604

[上記一般式(1)において、Xがジシクロペンタニル構造を有する2価の基、m=n=1、p=q=0である化合物]
ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物の含有量は、金属配線及び透明電極の腐食抑制の観点から、(B)成分の合計量100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上が更に好ましい。ジシクロペンタニル構造又はジシクロペンテニル構造を有するジ(メタ)アクリレート化合物の含有量は、(B)成分の合計量100質量部に対して、100質量部であってもよい。
分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーと、一官能ビニルモノマー又は二官能ビニルモノマーを組み合わせて用いる場合、使用する割合に特に制限は無いが、光硬化性及び電極腐食を防止する観点から、分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーの割合が、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部のうち、30質量部以上であってよく、50質量部以上であってよく、75質量部以上であってよい。
((C)成分:光重合開始剤)
(C)成分としては、光重合開始剤であれば、従来公知のものを特に制限無く用いることができるが、透明性の高い光重合開始剤が好ましい。基材上に、厚さが10μm以下の薄膜であっても充分な解像度で硬化膜パターンを形成する点では、(C)成分はオキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、オキシムエステル化合物を含むことがより好ましい。
ホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等が挙げられ、IRGACURE TPO(BASFジャパン株式会社製、製品名)として入手可能である。
オキシムエステル化合物としては、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、及び下記式(5)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく用いられる。
Figure 2019174604
式(3)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基がより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基が更に好ましい。R13は、−H、−OH、−COOH、−O(CH)OH、−O(CHOH、−COO(CH)OH又は−COO(CHOHを示す。−H、−O(CH)OH、−O(CHOH、−COO(CH)OH、又は−COO(CHOHが好ましく、−H、−O(CHOH、又は−COO(CHOHがより好ましい。
Figure 2019174604
式(4)中、R14は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基を示し、プロピル基が好ましい。複数のR14は同一であっても、異なっていてもよい。R15は、NO又はArCO(ここで、Arは置換もしくは無置換のアリール基を示す。)を示し、Arとしては、トリル基が好ましい。置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。R16及びR17は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はトリル基を示し、メチル基、フェニル基又はトリル基が好ましい。
Figure 2019174604
式(5)中、R18は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、エチル基が好ましい。R19はアセタール結合を有する有機基であり、後述する式(5−1)に示す化合物が有するR19に対応する置換基が好ましい。R20及びR21は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、メチル基、フェニル基又はトリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R22は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは0〜4の整数を示す。
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、下記式(3−1)で表される化合物及び下記式(3−2)で表される化合物が挙げられる。下記式(3−1)で表される化合物はIRGACURE OXE01(BASFジャパン株式会社製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019174604
Figure 2019174604
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、下記式(4−1)で表される化合物が挙げられる。下記式(4−1)で表される化合物は、DFI−091(ダイトーケミックス株式会社製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019174604
上記式(5)で表される化合物としては、例えば、下記式(5−1)で表される化合物が挙げられる。下記式(5−1)で表される化合物は、アデカオプトマーN−1919(株式会社ADEKA製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019174604
その他のオキシムエステル化合物としては、下記式(6)で表される化合物、下記式(7)で表される化合物等を用いることが好ましい。
Figure 2019174604
Figure 2019174604
上記の中でも、b*を調整する観点から、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド及び上記式(3−1)で表される化合物が好ましく、上記式(3−1)で表される化合物が極めて好ましい。なお、上記式(3−1)で表される化合物が硬化膜に含まれているかどうかは、国際公開第2013/084875号パンフレット記載の硬化膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により確認できる。
(C)成分の含有量は、光感度及び解像度に優れる観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。(C)成分の含有量は、光感度及び解像度に優れる観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましく、2質量部以下が特に好ましい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部が更に好ましく、1〜2質量部が特に好ましい。
(添加剤)
第一の樹脂層20を形成する感光性樹脂組成物は、硬化膜の防錆性をより向上させる観点から、メルカプト基を有するトリアゾール化合物、メルカプト基を有するテトラゾール化合物、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物、アミノ基を有するトリアゾール化合物又はアミノ基を有するテトラゾール化合物(以下、(D)成分ともいう)をさらに含有することが好ましい。メルカプト基を有するトリアゾール化合物としては、例えば、3−メルカプト−トリアゾール(和光純薬工業株式会社製、製品名:3MT)等が挙げられる。また、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物としては、例えば、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬工業株式会社製、製品名:ATT)等が挙げられる。
上記アミノ基を有するトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、カルボキシベンゾトリアゾール等にアミノ基が置換した化合物、3−メルカプトトリアゾール、5−メルカプトトリアゾール等のメルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物などが挙げられる。
上記アミノ基を有するテトラゾール化合物としては、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノ−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−カルボキシメチル−5−アミノ−テトラゾール等が挙げられる。これらのテトラゾール化合物は、その水溶性塩であってもよい。具体例としては、1−メチル−5−アミノ−テトラゾールのナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
感光性樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、硬化膜の防錆性をより向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が更に好ましく、0.3質量部以上が特に好ましい。(D)成分の含有量は、アルカリ現像でパターン形成した際の、残渣発生の抑制の観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、5.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が更に好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。これらの観点から、0.05〜5.0質量部が好ましく、0.1〜2.0質量部がより好ましく、0.2〜1.0質量部が更に好ましく、0.3〜0.8質量部が特に好ましい。
感光性樹脂組成物は、ITO電極パターン付き基材に対する密着性と、現像残渣の発生を防ぐ観点から、エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル(以下、(E)成分ともいう)を含有することが好ましい。エチレン性不飽和基を有するリン酸エステルは、上記(B)成分と重複する場合があるが、本明細書においては(E)成分は(B)成分に含まれないものとする。
(E)成分であるエチレン性不飽和基を有するリン酸エステルとしては、形成する硬化膜の防錆性を充分確保しつつ、ITO電極パターン付き基材に対する密着性と現像性とを高水準で両立する観点から、ユニケミカル株式会社製のPhosmerシリーズ(Phosmer−M、Phosmer−CL、Phosmer−PE、Phosmer−MH、Phosmer−PP等)、又は日本化薬株式会社製のKAYAMERシリーズ(PM21、PM−2等)が好ましい。
感光性樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、その含有量は、ITO電極パターン付き基材に対する密着性を向上しつつ、現像残渣の発生を防ぐ観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が更に好ましい。(E)成分の含有量は、ITO電極パターン付き基材に対する密着性を向上しつつ、現像残渣の発生を防ぐ観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下が更に好ましい。
感光性樹脂組成物には、その他の添加剤として、必要に応じて、シランカップリング剤等の密着性付与剤、防錆剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤などを(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、各々0.01〜20質量部程度含有させることができる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。なお、上記の「感光性樹脂組成物」とは、後述する溶剤を含まない状態の組成物をいい、各成分の含有量は、後述する溶剤以外の成分全量に対する含有量である。
感光性樹脂組成物における金属酸化物の含有量は、通常、後述する第二の樹脂層を形成する樹脂組成物における金属酸化物の含有量よりも少ない。感光性樹脂組成物における金属酸化物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を基準として、10質量%以下、5質量%以下又は1質量%以下であってよく、0質量%であってもよい。
硬化後の第一の樹脂層の波長633nmにおける屈折率は、通常、後述する第二の樹脂層の波長633nmにおける屈折率よりも小さい。硬化後の第一の樹脂層の波長633nmにおける屈折率は、通常1.40以上であり、また、1.52以下である。第一の樹脂層20の波長633nmにおける屈折率は、硬化後の第一の樹脂層の波長633nmにおける屈折率が上記範囲となるように適宜設定してよい。例えば、第一の樹脂層20の波長633nmにおける屈折率は、1.40〜1.52であってよい。
第一の樹脂層20の厚さ(乾燥後の厚さ)は、保護膜として充分に効果を奏し、かつ透明電極パターン付き基材表面の段差を充分に埋め込む観点から、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がより好ましい。第一の樹脂層20の厚さ(乾燥後の厚さ)は、保護膜として充分に効果を奏し、かつ透明電極パターン付き基材表面の段差を充分に埋め込む観点から、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。すなわち、第一の樹脂層20の乾燥後の厚さは、2〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
<第二の樹脂層>
第二の樹脂層30は金属酸化物を含有するため、高い屈折率を有する。第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率は、例えば、1.60以上である。第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率が金属酸化物を含有し高い屈折率を有する(例えば1.60以上である)ことで、図2に示す透明積層体100とした場合、積層体を硬化してなる硬化膜の屈折率が、ITO等の透明電極パターン50aと、第一の硬化樹脂層22の上に使用される各種部材(例えば、モジュール化する際に使用するカバーガラスと透明電極パターンとを接着する透明粘着フィルム(OCA、Optical Clear Adhesive))との屈折率の中間値となりやすく、ITO等の透明電極パターンが形成されている部分と形成されていない部分での光学的な反射による色差を小さくすることが可能となり、骨見え現象を抑制することができる。また、画面全体の反射光強度を低減することが可能となり、画面上の透過率低下を抑制することができる。なお、屈折率は、本明細書の実施例を参考に測定することができる。
第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率は、1.90以下、1.85以下又は1.75以下であってよい。すなわち、第二の樹脂層30の波長633nmにおける屈折率は、例えば、1.60〜1.90、1.60〜1.85又は1.60〜1.75であってよい。本実施形態では、特に、第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率が1.60以上である場合に、反射色度b*を−1.50以下とすることによる効果が顕著となる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、第二の樹脂層30の633nmにおける屈折率が1.60以上である場合に、上述した450〜500nm付近の波長域の光の干渉が不充分となりやすいためであると推察している。
第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物は、硬化性(例えば光硬化性)の樹脂組成物であってよい。ただし、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物は、光重合性化合物、光重合開始剤等の光重合成分を必ずしも含有する必要はなく、隣接する樹脂層から移行する光重合成分に起因して光硬化する樹脂組成物であってよい。
次に、第二の樹脂層30を構成する各成分について説明する。第二の樹脂層30は、例えば、バインダーポリマー(以下、「第二のバインダーポリマー」ともいう)と、金属酸化物(以下、(F)成分ともいう)と、を含有する。すなわち、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物は、例えば、第二のバインダーポリマーと、金属酸化物と、を含有する。第二の樹脂層30(第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物)は、更に、第一の樹脂層20に用いられる(B)〜(E)成分及びその他の添加剤を含有してよい。なお、上記の「第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物」とは後述する溶剤を含まない状態の組成物をいい、後述する各成分の含有量は、後述する溶剤以外の成分全量に対する含有量である。
(第二のバインダーポリマー)
第二のバインダーポリマーとしては、上記第一の樹脂層20に用いられる(A)成分に例示されている化合物を好ましく用いることができる。
第二のバインダーポリマーの酸価は、第二の樹脂層30を第一の樹脂層20と張り合わせた際の、第二の樹脂層30のアルカリ現像性を向上させる観点から、例えば、150mgKOH/g以上である。酸価は、硬化膜形状の制御容易性と硬化膜の防錆性との両立を図る観点から、200mgKOH/g以下が好ましく、175mgKOH/g以下がより好ましく、160mgKOH/g以下が更に好ましい。これらの観点から、150〜200mgKOH/gが好ましく、150〜175mgKOH/gがより好ましく、150〜160mgKOH/gが更に好ましい。バインダーポリマーの酸価を向上させる方法として、バインダーポリマーの側鎖にカルボキシル基を付与することが挙げられる。なお、第二のバインダーポリマーの酸価は、上記第一のバインダーポリマーの酸価の測定と同様に測定することができる。
第二のバインダーポリマーの重量平均分子量は、解像度の観点から、10,000以上が好ましい。第二のバインダーポリマーの重量平均分子量は、解像度の観点から、200,000以下が好ましく、150,000以下がより好ましく、100,000以下が更に好ましく、85,000以下が特に好ましく、70,000以下が極めて好ましい。これらの観点から、第二のバインダーポリマーの重量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましく、10,000〜150,000がより好ましく、10,000〜100,000が更に好ましく、10,000〜85,000が特に好ましく、10,000〜70,000が極めて好ましい。なお、第二のバインダーポリマーの重量平均分子量は、第一のバインダーポリマーの重量平均分子量測定と同様に測定することができる。
第二の樹脂層30における第二のバインダーポリマーの含有量は、第二のバインダーポリマー及び(B)成分の合計量100質量部に対し、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上が更に好ましい。第二の樹脂層30における第二のバインダーポリマーの含有量は、第二のバインダーポリマー及び(B)成分の合計量100質量部に対し、80質量部以下が好ましい。これらの観点から、第二の樹脂層30における第二のバインダーポリマーの含有量は、第二のバインダーポリマー及び(B)成分の合計量100質量部に対し、40〜80質量部が好ましく、50〜80質量部がより好ましく、60〜80質量部が更に好ましい。ポリマー含有量を上記範囲にすることで、パターン形成性及び硬化膜の防錆性を向上することができる。
((F)成分:金属酸化物)
第二の樹脂層30に(F)成分を含有させることにより、第二の樹脂層30の波長633nmにおける屈折率を向上させることができ、優れた透明性を得ることができる。また、第二の樹脂層30の基材への吸着を抑制しつつ、現像性を向上させることができる。(F)成分としては、第二の樹脂層30の波長633nmにおける屈折率を制御することが容易となり、優れた透明性が得られやすい観点から、波長633nmにおける屈折率が1.60以上である金属酸化物が好ましい。(F)成分は粒子状であってよく、微粒子状であってよい。すなわち、(F)成分は金属酸化物粒子であってよく、例えば金属酸化物微粒子であってよい。(F)成分は、一種の粒子を単独で又は二種以上の粒子を組み合わせて使用できる。
金属酸化物としては、骨見え現象抑制の観点から、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、酸化ジルコニウム及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
酸化ジルコニウム粒子としては、透明電極の材料がITOの場合、屈折率向上と、ITO及び透明基材との密着性の観点から、酸化ジルコニウムナノ粒子を用いることが好ましい。酸化ジルコニウムナノ粒子の粒度分布Dmaxは40nm以下が好ましい。
酸化ジルコニウムナノ粒子は、OZ−S30K(日産化学工業株式会社製、製品名)、OZ−S40K−AC(日産化学工業株式会社製、製品名)、SZR−K(酸化ジルコニウムメチルエチルケトン分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)、SZR−M(酸化ジルコニウムメタノール分散液、堺化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。
(F)成分として酸化チタンナノ粒子を用いることも可能である。酸化チタンナノ粒子の粒度分布Dmaxは50nm以下が好ましく、また、10nm以上が好ましい。すなわち、酸化チタンナノ粒子の粒度分布Dmaxは10〜50nmが好ましい。
(F)成分以外の成分として、上記金属酸化物のほかに、例えばMg、Al、Si、Ca、Cr、Cu、Zn、Ba等の原子を含む硫化物を用いることもできる。
(F)成分の含有量は、第二の樹脂層30の屈折率を向上させることができ、より優れた透明性が得られやすい観点、及び、現像性向上の観点から、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましく、70質量部以上が更により好ましく、80質量部以上が特に好ましい。(F)成分の含有量は、第二の樹脂層30の屈折率及び現像性向上の観点から、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物100質量部に対し、90質量部以下が好ましく、85質量部以下が好ましい。これらの観点から、(F)成分の含有量は、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物100質量部に対し、20〜90質量部が好ましく、35〜85質量部がより好ましく、50〜85質量部が更に好ましく、70〜85質量部が更により好ましく、80〜85質量部が特に好ましい。
第二の樹脂層30の厚さ(乾燥後の厚さ)は、40nm以上が好ましい。第二の樹脂層30の厚さ(乾燥後の厚さ)は、500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、80nm以下が特に好ましく、70nm以下が極めて好ましい。すなわち、第二の樹脂層30の厚さ(乾燥後の厚さ)は、40〜500nmが好ましく、40〜200nmがより好ましく、40〜100nmが更に好ましく、40〜80nmが特に好ましく、40nm〜70nmが極めて好ましい。第二の樹脂層30の厚さ(乾燥後の厚さ)が40〜500nmであることにより、上述の画面全体の反射光強度をより低減することが可能となる。
<他の層>
実施形態の転写フィルムは、本発明の効果が得られる範囲で、適宜選択した他の層を備えていてもよい。他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、クッション層、酸素遮蔽層、剥離層、接着層等が挙げられる。転写フィルムは、これらの層を一種単独で有していてもよく、二種以上を有してもよい。また、同種の層を2以上有していてもよい。転写フィルム1において、第一の樹脂層20と第二の樹脂層30とは隣接していることが好ましいが、第一の樹脂層20と第二の樹脂層30との間に、上記他の層が存在していてもよい。また、第一の樹脂層20と支持フィルム10とは隣接していることが好ましいが、第一の樹脂層20と支持フィルム10との間に、上記他の層が存在していてもよい。
<保護フィルム>
保護フィルム15としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体のフィルム、及びこれらのフィルムとポリエチレンの積層フィルム等が挙げられる。
保護フィルム15の厚さは、5μm以上であってよく、また、100μm以下であってよい。保護フィルム15の厚さは、ロール状に巻いて保管する観点から、70μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、40μm以下が特に好ましい。
本実施形態の転写フィルムが用いられるITO等の透明電極の屈折率は、第二の樹脂層による骨見え現象の抑制効果が得られ易い観点から、1.80以上が好ましく、1.85以上がより好ましく、1.90以上が更に好ましく、また、2.10以下が好ましく、2.05以下がより好ましく、2.00以下が更に好ましい。OCA等の部材の屈折率は、第二の樹脂層による骨見え現象の抑制効果が得られ易い観点では、1.45以上が好ましく、1.47以上がより好ましく、1.48以上が更に好ましく、また、1.55以下が好ましく、1.53以下がより好ましく、1.51以下が更に好ましい。
[転写フィルムの製造方法]
転写フィルム1は、例えば、第一の樹脂層20を形成する樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を含有する塗布液、及び、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物を含有する塗布液をそれぞれ調製し、これらを各々支持フィルム10又は保護フィルム15上に塗布、乾燥し、貼り合わせることにより得ることができる。また、転写フィルム1は、支持フィルム10上に第一の樹脂層20を形成する樹脂組成物を含有する塗布液を塗布し、乾燥した後、第一の樹脂層20上に、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物を含有する塗布液を塗布し、乾燥し、必要に応じ保護フィルム15を貼り付けることにより形成することもできる。
塗布液は、上述した本実施形態に係る第一の樹脂層20を形成する樹脂組成物、第二の樹脂層30を形成する樹脂組成物を構成する各成分を溶剤に均一に溶解又は分散することにより得ることができる。
塗布液として用いる溶剤は、特に制限は無く、公知のものが使用できる。塗布液として用いる溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
塗布方法としては、例えばドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
乾燥条件に特に制限は無いが、乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、0.5〜30分とすることが好ましい。
第一の樹脂層20及び第二の樹脂層30を含む積層体40の厚さは、ラミネート時の追従性向上の観点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。さらに、防錆性の観点から、基材の突起物によるピンホールが発生する可能性を加味すると、1μm以上が好ましく、2μm以上が好ましく、2μm以上が更に好ましい。3μm以上であれば、基材の突起物による影響を抑制し、防錆性を保つことが可能となる。
[硬化膜の形成方法]
転写フィルムを用いた硬化膜の形成方法は、基材50上に、上記転写フィルム1の積層体40を、第二の樹脂層30が基材50に密着するようにラミネートする工程と、基材50上の積層体40の所定部分を露光する工程と、露光された所定部分以外を除去し、パターン状の硬化膜60を形成する工程と、を備える。この方法によれば、転写フィルムにおける上記積層体40を硬化してなる、硬化膜60が得られる。硬化膜60の形成方法の詳細を以下に説明する。
(基材)
基材50(透明電極パターン付き基材)としては、例えばタッチパネルに用いられる、ガラス、プラスチック、セラミック、樹脂製の基材等が挙げられる。樹脂製の基材として、例えばポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂製の基材等が挙げられる。これらの基材は透明であることが好ましい。
(透明電極及び金属配線)
前記基材50上には、硬化膜60を形成する対象となる、透明電極パターン50aが設けられる。
透明電極は、例えばITO及びIZO(Indium Zinc Oxide、酸化インジウム−酸化亜鉛)等の導電性金属酸化膜を用いて、形成することができる。また透明電極は、銀繊維、カーボンナノチューブ等の導電性繊維を用いた光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、形成することもできる。
透明電極パターン50aは、金属配線であってもよい。金属配線は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Mo、C等の導電性材料を用いて、スクリーン印刷、蒸着等の方法により形成することができる。基材50と、透明電極及び金属配線との間には、例えば屈折率調整層、絶縁層等が設けられていてもよい。
−ラミネート工程−
まず、転写フィルム1の必要に応じて存在する保護フィルム15を除去した後、転写フィルム1の積層体40を基材50(透明電極パターン付き基材)の表面に、第二の樹脂層30が密着するよう支持フィルム10側から圧着することにより、ラミネートする。圧着手段としては、圧着ロールが挙げられる。圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよい。
加熱圧着する場合の加熱温度は、第二の樹脂層30と基材50との密着性と、第一の樹脂層20及び第二の樹脂層30の構成成分が熱硬化又は熱分解されにくいようにする観点から、25〜160℃とすることが好ましく、25〜150℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることが更に好ましい。
加熱圧着時の圧着圧力は、第二の樹脂層30と基材50との密着性を充分確保しながら、基材50の変形を抑制する観点から、線圧で50〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることが更に好ましい。
転写フィルム1を上記のように加熱圧着すれば、基材50の予熱処理は必ずしも必要ではないが、第二の樹脂層30と基材50との密着性をさらに向上させる点から、基材50を予熱処理してもよい。このときの処理温度は、30〜150℃とすることが好ましい。
−露光工程−
次に、転写後の第二の樹脂層30及び第一の樹脂層20の所定部分に、例えばフォトマスクを介して、活性光線をパターン状に照射する。活性光線を照射する際、第一の樹脂層20上の支持フィルム10が透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができ、不透明の場合には支持フィルム10を除去してから活性光線を照射する。活性光線の光源としては、公知の活性光源を用いることができる。なお、本明細書においてパターンとは、回路を形成する微細配線の形状にとどまらず、他基材との接続部のみを矩形に除去した形状及び基材の額縁部のみを除去した形状等も含まれる。
活性光線の照射量は、1×10〜1×10J/mであり、照射の際に、加熱を伴うこともできる。この活性光線の照射量が、1×10J/m以上であれば、光硬化を充分に進行させることが可能となり、1×10J/m以下であれば、第一の樹脂層20及び第二の樹脂層30の変色を抑制することができる傾向がある。
−現像工程−
続いて、活性光線照射後の第一の樹脂層20及び第二の樹脂層30の未露光部を現像液で除去して、透明電極の一部又は全部を被覆する硬化膜パターンを形成する。なお、活性光線の照射後、第一の樹脂層20上に支持フィルム10が積層されている場合にはそれを除去した後、現像工程が行われる。
現像工程は、アルカリ水溶液を現像液として、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により行うことが好ましい。中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いて、スプレー現像することが好ましい。なお、現像温度及び時間は従来公知の範囲で調整することができる。
<硬化膜>
硬化膜60は、転写フィルム1の、第一の樹脂層20及び第二の樹脂層30を含む積層体40を硬化して得られる硬化膜(硬化後の積層体、積層体の硬化物)であり、例えば、パターン状に形成されている。硬化膜60は、第一の硬化樹脂層22と、第二の硬化樹脂層32とを含む。
硬化膜60は、例えばタッチパネル用電極保護膜;液晶、有機EL等の表示素子用の平坦化膜及び層間絶縁膜;カラーフィルター用保護膜;プリント配線板用ソルダーレジスト膜などに用いることが可能である。
硬化膜60の透湿度は、金属配線及び透明電極の腐食抑制の観点から、350g/m・24h以下が好ましく、300g/m・24h以下がより好ましく、250g/m・24h以下が更に好ましく、200g/m・24h以下が特に好ましい。なお、透湿度は、本明細書の実施例を参考に測定することができる。
硬化膜60の、波長400〜700nmにおける透過率の最小値は90%以上が好ましい。より詳しくは、90.00%以上が好ましく、90.50%以上がより好ましく、90.70%以上が更に好ましい。一般的な可視光波長域である波長400〜700nmにおける透過率が90%以上であれば、タッチパネルのセンシング領域の透明電極を保護する場合において、センシング領域での画像表示品質、色合い、輝度が低下することを充分抑制することができる。透過率の最大値は、通常100%以下である。なお、可視光線透過率は、本明細書の実施例を参考に測定することができる。
<電子部品>
本実施形態に係る電子部品は、転写フィルムを用いて形成した硬化膜を備えている。この硬化膜はパターン状に形成されていることが好ましい。電子部品としては、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッサンス、太陽電池モジュール、プリント配線板、電子ペーパ等が挙げられる。
図3は、静電容量式のタッチパネルの一例を示す模式上面図である。図3に示されるタッチパネルは、透明基材101の片面にタッチ位置座標を検出するためのセンシング領域102があり、この領域の静電容量変化を検出するための透明電極103及び透明電極104が基材101上に設けられている。
透明電極103及び透明電極104はそれぞれタッチ位置のX位置座標及びY位置座標を検出する。
透明基材101上には、透明電極103及び透明電極104からタッチ位置の検出信号を外部回路に伝えるための金属配線105が設けられている。また、金属配線105と、透明電極103及び透明電極104とは、透明電極103及び透明電極104上に設けられた接続電極106により接続されている。また、金属配線105の透明電極103及び透明電極104との接続部と反対側の端部には、外部回路との接続端子107が設けられている。
図3に示すように、硬化膜パターン123を形成することによって、透明電極103、透明電極104、金属配線105、接続電極106及び接続端子107の保護膜の機能と、透明電極パターンから形成されるセンシング領域102の骨見え抑制機能(例えば屈折率調整機能)を同時に奏する。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<バインダーポリマー溶液(A1)の作製>
反応容器中にプロピレングリコールモノメチルエーテル(株式会社ダイセル製)85.7質量部を加え80℃に昇温した。他方で、メタクリル酸シクロヘキシル46質量部、メタクリル酸メチル2質量部、メタクリル酸52質量部、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業株式会社製、V−601)1質量部を混合し、混合溶液を得た。この混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、80℃の上記反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、上記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.5質量部、及びテトエチルアンモニウムブロマイド8.4質量部を加えた後、メタクリル酸グリシジル32質量部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら80℃で4時間反応させ後、固形分濃度が30質量%になるように溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、重量平均分子量が60,000、酸価が130.0mgKOH/gのバインダーポリマー溶液A1を得た。なお、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、及びメタクリル酸グリシジルのモル比(x:l:y:z)が24mol%:8mol%:48mol%:20mol%になるように、添加量を調整した。なお表1において、各成分の配合量の単位は質量部である。
<バインダーポリマー溶液(A2)の作製>
メタクリル酸シクロヘキシルに代えてメタクリル酸ベンジルを用いたこと、及び、配合量を表1のとおりに変更したこと以外は、上記(A1)と同様にし、バインダーポリマーの溶液(固形分30質量%)(A2)を得た。
<バインダーポリマー溶液(A3)の作製>
反応容器中にプロピレングリコールモノメチルエーテル(株式会社ダイセル製)65質量部を加え80℃に昇温した。他方で、メタクリル酸ブチル17.3質量部、アクリル酸ブチル15.2質量部、メタクリル酸メチル43.5質量部、メタクリル酸24質量部、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業株式会社製、V−601)1.3質量部を混合し、混合溶液を得た。この混合溶液を、窒素ガス雰囲気下、80℃の上記反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させた後、固形分濃度が50質量%になるように溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、重量平均分子量が30,000、酸価が156.6mgKOH/gのバインダーポリマー溶液(A3)を得た。
Figure 2019174604
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
[GPC条件]
ポンプ:L−6000(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:L−3300(RI検出器、株式会社日立製作所製、製品名)
<酸価の測定方法>
酸価は下記に示すような、JIS K0070に基づいた中和滴定法により測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、上記固形分のバインダーポリマー1gを精秤した後、このバインダーポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解し、樹脂溶液を得た。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその樹脂溶液に適量添加して、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いて中和滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×V×f×56.1/(Wp×I/100)
(式中、Vは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の滴定量(mL)、fは0.1mol/L水酸化カリウム水溶液のファクター(濃度換算係数)、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)、Iは測定した上記樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。)
<第一の樹脂層を形成する塗布液の作製>
表2に示す各成分を撹拌機によって15分間混合し、第一の樹脂層を形成する塗布液1〜4を調製した。表2において、各成分の配合量の単位は質量部である。また、(A)成分の配合量は固形分量である。
Figure 2019174604
表2中の成分の記号は以下の意味を示す。
・(A)成分
(A1):バインダーポリマー溶液(A1)
(A2):バインダーポリマー溶液(A2)
・(B)成分
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名)
・(C)成分
IRGACURE OXE01:1,2−オクタンジオン,1−[(4−フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASFジャパン株式会社製、製品名)
IRGACURE TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(BASFジャパン株式会社製、製品名)
・(E)成分
PM−21:エチレン性不飽和基を有するリン酸エステル(日本化薬株式会社製、製品名)
・防錆剤
B6030:5−アミノ−1H−テトラゾール(千代田ケミカル株式会社製、製品名)
・重合禁止剤
Antage W−500(AW−500):2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(川口化学株式会社製、製品名)
・レベリング剤
8032ADDITIVE:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名)
<第二の樹脂層を形成する塗布液の作製>
後述する表3に示す成分を、撹拌機を用いて15分間混合し第二の樹脂層を形成する塗布液、IM−1〜IM−3を作製した。表3において、各成分の配合量の単位は質量部である。また、(A)成分及び(F)成分の配合量は固形分量である。
Figure 2019174604
表3中の成分の記号は以下の意味を示す。なお、表2と重複する記号の説明は省略する。
・(A)成分
(A3):バインダーポリマー溶液(A3)
・(F)成分
OZ−S30K:ジルコニア分散液(日産化学工業株式会社製、製品名:ナノユースOZ−S30K)
(実施例1)
<第一の樹脂層を備える単層フィルムAの作製>
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム、東レ株式会社製、製品名:FB40)の上に、表2に示された前記第一の樹脂層を形成するための塗布液1を塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、第一の樹脂層を形成した。乾燥後の厚さが8μmになるよう、塗布液の量を調整して塗布した。
<第二の樹脂層を備える単層フィルムBの作製>
厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(保護フィルム、王子エフテックス株式会社製)上に、表3に示された前記第二の樹脂層を形成する塗布液IM−1を塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、第二の樹脂層を形成した。乾燥後の厚さが60nmになるよう、塗布液の量を調整して塗布した。
<樹脂層の厚さの測定>
上記で作製した単層フィルムAにおける第一の樹脂層(単層)の厚さを、デジタルシックネスゲージ(株式会社ニコン製、製品名:DIGIMICROSTAND MS−5C)で測定した。また、上記で作製した単層フィルムBにおける第二の樹脂層(単層)の厚さをF20(フィルメトリクス株式会社製、製品名)で測定した。第一の樹脂層の厚さは8μmであり、第二の樹脂層の厚さは60nmであった。
<第一の樹脂層及び第二の樹脂層を備えた転写フィルムの作製>
得られた第一の樹脂層を有する単層フィルムAと、第二の樹脂層を有する単層フィルムBと、をラミネータ(日立化成株式会社製、製品名HLM−3000型)を用いて、第一の樹脂層と第二の樹脂層とが密着するように、23℃で張り合わせて、支持フィルム上に第一の樹脂層及び第二の樹脂層からなる積層体を備える、実施例1の転写フィルムを得た。
<b*の測定>
転写フィルムにおける積層体(第一の樹脂層及び第二の樹脂層)を硬化して得られる硬化膜の反射色度b*を以下の方法により測定した。まず、保護フィルムを剥離した転写フィルムを株式会社倉本製作所製SiOスパッタガラスにラミネートした。その後、積層体に、行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して支持フィルムの主面垂直上より露光量6.0×10J/mで紫外線を照射した。支持フィルムを剥離して除去し、更に上記積層体の主面垂直上より露光量3.5×102J/mで紫外線を照射した。その後、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、b*測定用サンプル(測定用サンプルA)を得た。次いで、コニカミノルタ株式会社製CM−5を用い、測定用サンプルAの第一の樹脂層における第二の樹脂層とは反対側の面の反射色度b*を測定した。結果を表4に示す。
<屈折率の測定>
第二の樹脂層を形成するための塗布液IM−1を、厚さ0.7mm、縦10cm×横10cmのガラス基材上にスピンコーターで均一に塗布し、100℃の熱風滞留式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、第二の樹脂層を形成した。次いで、上記で得られた第二の樹脂層を、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、第二の樹脂層を有する屈折率測定用サンプル(測定用サンプルB)を得た。次いで、ETA−TCM(AudioDevGmbH株式会社製、製品名)にて得られた測定用サンプルBの波長633nmにおける屈折率を測定した。結果を表4に示す。測定に使用した第二の樹脂層の膜厚は、上記転写フィルムにおける第二の樹脂層の膜厚と同じ(60nm)とした。
(実施例2)
表2に示された前記第一の樹脂層を形成するための塗布液2を用いて実施例1と同様にして第一の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムAとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定を行った。
(実施例3)
表2に示された前記第一の樹脂層を形成するための塗布液3を用いて実施例1と同様にして第一の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムAとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定を行った。
(比較例1)
表2に示された前記第一の樹脂層を形成するための塗布液4を用いて実施例1と同様にして第一の樹脂層を備える単層フィルムを作製し、表3に示された前記第二の樹脂層を形成するための塗布液IM−2を用いて実施例1と同様にして第二の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。これらの単層フィルムをそれぞれ単層フィルムA及び単層フィルムBとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例2)
実施例1で作製した単層フィルムAの第一の樹脂層上に、厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(保護フィルム、王子エフテックス株式会社製、製品名E−201F)を張り合わせ、比較例2の転写フィルムとした。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例3)
比較例1で作製した単層フィルムAの第一の樹脂層上に、厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(保護フィルム、王子エフテックス株式会社製、製品名E−201F)を張り合わせ、比較例3の転写フィルムとした。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例4)
第二の樹脂層の膜厚を80nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、第二の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムBとして用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例5)
第二の樹脂層の膜厚を100nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、第二の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムBとして用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例5の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例6)
第二の樹脂層の膜厚を120nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、第二の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムBとして用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例6の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
(比較例7)
表3に示された前記第二の樹脂層を形成するための塗布液IM−3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして第二の樹脂層を備える単層フィルムを作製した。得られた単層フィルムを単層フィルムBとして用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例7の転写フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、b*の測定及び屈折率の測定を行った。
<評価>
実施例及び比較例の転写フィルムを用いて以下の手順で骨見えの評価、硬化膜の透過率の測定及び硬化膜の透湿度評価試験を行った。結果を表4に示す。
[骨見え評価]
まず、以下の手順で、評価サンプルを作製した。上記で作製した転写フィルムの保護フィルムを剥離し、ITOパターン基材の両面に、第二の樹脂層が密着するようにラミネータ(日立化成株式会社製、製品名:HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基材送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが0.1mm、縦10cm×横10cmのITOパターン基材を用いたため、このときの線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートした。次いで、上記積層体の両主面に、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、該両主面垂直上より露光量60J/mで紫外線を照射した。次いで、支持フィルムを剥離して除去し、更に上記積層体の両主面に、該両主面垂直上より露光量3.5×102J/mで紫外線を照射した。
得られた硬化後の積層体の片面にOCAとガラス基材とをこの順に貼り合せた。更に、上記積層体のOCAとガラス基材を貼っていない面を、純水を滴下したブラックボードに貼り合わせ、骨見え評価用サンプルとした。
次いで、得られた上記サンプルのOCAとガラス基材を貼った面を目視で観察し、以下の観点から、骨見えの抑制機能を評価した。
A:ITOパターンがほとんど見えない
B:見る角度によってITOパターンが僅かに見える
C:角度によらず、ITOパターンが僅かに見える
D:ITOパターンがはっきりと見える
[硬化膜の透過率の測定]
上記で作製した転写フィルムの保護フィルムを剥離し、厚さ0.7mm、縦10cm×横10cmのガラス基材上に、第二の樹脂層が密着するようにラミネータ(日立化成株式会社製、製品名:HLM−3000型)を用いて、ロール温度120℃、基材送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが0.7mm、縦10cm×横10cmの基材を用いたため、このときの線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートして、ガラス基材、第二の樹脂層、第一の樹脂層及び支持フィルムがこの順で積層された積層サンプルを作製した。
次いで、得られた積層サンプルに、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して、第一の樹脂層(感光性樹脂組成物層)側上方より露光量6.0×10J/m(波長365nmにおける測定値)で、紫外線を照射した後、支持フィルムを除去し、更に上記積層体の主面垂直上より露光量3.5×102J/mで紫外線を照射した。その後、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、透過率測定用サンプルを得た。
次いで、得られた透過率測定用サンプルをヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、製品名:NDH 7000)を使用して、測定波長域400〜700nmで透過率を測定した。
[硬化膜の透湿度評価試験]
得られた転写フィルムの保護フィルムを剥離し、これをろ紙(アドバンテック社製、No.5C、φ90mmの円形、厚さ130μm)上に、第二の樹脂層が密着するようにロール温度100℃、基材送り速度0.6m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)0.5MPaの条件でラミネートした。上記積層体を、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して支持フィルム面垂直上より露光量6.0×10J/mで紫外線を照射した。次いで、支持フィルムを剥離して除去し、更に積層体の、垂直上より露光量3.5×102J/mで紫外線を照射した。その後、140℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に30分間静置し、これにより、ろ紙上に硬化膜(積層体を硬化して得られる硬化膜)が形成された透湿度測定用サンプルを得た。
次いで、JIS規格(Z0208、カップ法)を参考に、透湿度測定を実施した。測定カップ(φ60mm、深さ15mm、株式会社村井元製作所)内に、吸湿材(20gの塩化カルシウム(無水))を入れた。上記透湿度測定用サンプルから直径70mmの大きさにはさみで切り取った円形試料片を用いて、上記測定カップに蓋をした。恒温恒湿槽内にて60℃、90%RHの条件で24時間放置した。放置前後の測定カップ、吸湿剤及び円形試料片の合計質量の変化から透湿度を算出し、以下の評点に従って透湿度を評価した。
A:透湿度≦300(g/m・24h)である。
B:300<透湿度≦400(g/m・24h)である。
C:400<透湿度(g/m・24h)である。
Figure 2019174604
1…転写フィルム、10…支持フィルム、15…保護フィルム、20…第一の樹脂層、30…第二の樹脂層、22…第一の硬化樹脂層、32…第二の硬化樹脂層、40…積層体、50…透明電極パターンつき基材、50a…透明電極パターン、60…積層体の硬化物(硬化膜)、100…透明積層体、101…透明基材、102…センシング領域、103、104…透明電極、105…金属配線、106…接続電極、107…接続端子、123…硬化膜パターン。

Claims (14)

  1. 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた第一の樹脂層及び該第一の樹脂層上に設けられた、金属酸化物を含有する第二の樹脂層を含む積層体と、を備える転写フィルムであって、
    前記第一の樹脂層は感光性樹脂組成物層であり、
    硬化後の前記積層体の、前記第一の樹脂層における前記第二の樹脂層とは反対側から測定した反射色度b*は、−1.50以下である、転写フィルム。
  2. 前記金属酸化物が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 前記第二の樹脂層が、酸価150mgKOH/g以上のポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の転写フィルム。
  4. 前記酸価150mgKOH/g以上のポリマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有する、請求項3に記載の転写フィルム。
  5. 前記第一の樹脂層が、バインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  6. 前記光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載の転写フィルム。
  7. 前記バインダーポリマーがカルボキシル基を有する、請求項5又は6に記載の転写フィルム。
  8. 前記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  9. 前記第一の樹脂層が、エチレン性不飽和基を有するリン酸エステルを含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  10. 前記第二の樹脂層の厚さが40〜500nmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  11. 前記積層体の厚さが30μm以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  12. 基材上に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の転写フィルムの前記積層体を、前記第二の樹脂層が前記基材に密着するようにラミネートする工程と、
    前記基材上の前記積層体の所定部分を露光する工程と、
    露光された前記所定部分以外を除去し、パターン状の硬化膜を形成する工程と、
    を備える硬化膜の形成方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の転写フィルムにおける前記積層体の、前記第一の樹脂層及び前記第二の樹脂層を硬化してなる、硬化膜。
  14. 請求項13に記載の硬化膜を備える、電子部品。
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