JP2019174186A - 小型無人航空機及び降下煤塵濃度測定方法 - Google Patents

小型無人航空機及び降下煤塵濃度測定方法 Download PDF

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信明 伊藤
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Abstract

【課題】分解能を犠牲にすることなく、降下煤塵の空間濃度を計測可能な無人航空機を提供する。【解決手段】大気中の降下煤塵を調査するための小型無人航空機であって、進行方向へ向けて開口する煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気及び降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離して流出する煤塵濃縮器と、該煤塵濃縮器からの前記高濃度空気に含まれた降下煤塵を検出する為の煤塵検出部と、該煤塵検出部における前記高濃度空気の通過を促進させるブロワ又は圧縮機からなる促進部と、前記煤塵濃縮器からの前記低濃度空気の流出を促すファンと、を備えた小型無人航空機。【選択図】図3

Description

本開示は、大気中の降下煤塵を調査する小型無人航空機及び降下煤塵濃度測定方法に関する。
種々の生産活動および消費活動に伴って発生する降下煤塵は、重要な環境汚染項目のひとつとみなされており、その実態把握と対策が社会から求められている。降下煤塵は、例えば、農業活動や自動車の走行、あるいは、各種工業での生産時に発生する。近年では原子力発電所の事故に伴う発塵が注目されている。大気中の煤塵の実態把握のためには、大気中における煤塵の濃度分布を把握することが特に重要である。
大気中において自由落下し得る煤塵は、降下煤塵と呼ばれており、降下煤塵の直径は、概ね10μm以上とされている。降下煤塵の沈着速度を計測する計測装置としては、据え置き型のものが知られている(例えば、特許文献1から特許文献4参照)。
このような装置には、パーティクルカウンタを用いて数十秒周期での降下煤塵の捕集量を計測する装置がある。また、採取した大気中の煤塵を分級するためにバーチャルインパクタを用いる装置もあり、バーチャルインパクタの構造についても知られている(例えば、非特許文献1参照)。
航空機を用いた煤塵採取装置として、固定翼有人飛行機の機体外部にガラス板を設け、大気中の煤塵をこのガラスに付着させて捕集する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
なお、本明細書において、単に「航空機」と記載した際には、有人の航空機を示す。
また、固定翼有人飛行機にフィルタを内蔵した筒型の捕集器を搭載し、飛行中に捕集器内に流入した煤塵をフィルタで捕集する装置も知られている(例えば、非特許文献3参照)。
この他、非特許文献4において、火山上空での火山灰の測定として、直径10μm未満のエアロゾルと直径20μm未満の降下煤塵に限られるものの、無人航空機に大気の吸引装置および軽量の光散乱式煤塵濃度計(作業環境の浮遊粒子状物質やPM2.5を測定するために市販されているもの等)を搭載して、上空でのエアロゾル濃度を測定する技術や、無人航空機において、上空で少量(5L/min)の大気を直接吸引して大気中の火山灰をフィルタに捕集する技術も報告されている。
特許第4795280号報 特許第4795295号報 特許第4870243号報 特許第4870244号報
JIS規格 Z7152:2013 土木学会論文集B2(海岸工学)VOL.65−B2,No1,2009,1166-1170. 小原えり 他:「高空における放射能塵の調査研究」,防衛装備庁技術シンポジウム2015. 安田成夫 他:「XバンドMPレーダによる浮遊火山灰計測の試み」京都大学防災研究所年報, VOL.55B, 2012.
都市域における個々の煤塵発生源の大きさおよび継続時間は、火山等の自然由来の発塵源に比べて著しく小さいので、煤塵の空間濃度分布を測定するためには、高い時間および空間分解能で煤塵を計測できる装置が必要である。例えば、空間分解能には数〜数十m以下、時間分解能には数分程度以下が求められる。また、個々の発塵源は数m〜数十mと比較的小さいものの、発塵源の数が多数分布するのが都市域での発塵の特徴であり、多数の発塵源の影響を把握するためには、少なくとも水平方向に数十〜数百mの範囲での煤塵濃度分布を測定する必要がある。また、都市域の発塵源の高さは数m〜100m程度であることが多いので、この範囲での空間分布を測定する能力も必要である。
従来、このような都市域での降下煤塵の個々の発塵源に対応する降下煤塵の空間濃度分布を、所要の精度および時間・空間分解能で測定を行う手法は存在しなかった。
本開示は、このような問題に鑑みなされたものであり、測定精度と分解能を犠牲にすることなく、降下煤塵の空間濃度を計測可能な無人航空機を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するうえで、従来技術には以下に説明する問題点の存在することを、本発明者らは見出した。
上記の特許文献1〜4の据え置き型の装置では、測定精度が高く時間分解能も所要を満たしているものの、空間分布を求めるためには空間的に多数の装置を設置しなければならない。特に、数十m以上の高度にこれらの装置を多数配置するためにはその高さの架台を多数建設しなければならないので、経済的合理性を欠く。
また、ライダー等のリモートセンシング技術を用いて空間上の煤塵分布を地上から測定する手段も考えられる。確かに、直径10μmを大きく下回る微小粒子であるエアロゾルの場合には、粒子の比表面積が大きいので照射レーザ光を多量に反射・散乱し、これを測定することによって空間での濃度分布に換算しうる。しかし、比表面積の著しく小さい降下煤塵の場合、通常の大気中濃度のレベルでは、レーザ光の反射・散乱光は、通常、センサの検出精度を下回るので、このような方法も困難である。
そこで、単一の煤塵計測機を搭載した航空機を測定対象の空間内に飛行させ、時系列的に測定した煤塵濃度を飛行時に通過した空間上の点と照合して空間濃度分布に換算する方法をとらざるをえない。この方法の場合、例えば、数分程度の発塵源の現象を把握するためには、数分以内に対象空間を飛行させたうえで、この飛行時間を例えば、数十点の空間点に分割して各点での煤塵濃度を算出する。このため、計測機に求められる時間分解能は、数分の数十分の一、即ち、数秒〜数十秒程度の時間分解能が必要である。
上記の非特許文献2,3の技術では、有人固定翼機に煤塵捕集装置を搭載するので、1回の飛行で採取できる煤塵データは1種類しかないので、そもそも煤塵の空間分布を求めることは飛行間隔レベル(例えば、数十分)でしか行えない。このため、本願が対象とする計測時間分解能を満足できない。
また、仮に有人固定翼機に時間分解能の高い計測装置、例えば、特許文献4に記載の装置を搭載したとしても、有人固定翼飛行機の飛行速度は少なくとも30m/s以上でないと飛行を継続できないので、例えば、仮に時間分解能が1秒の計測機を用いたとしても空間分解能は30m以上となる。
実際には、大気中の存在確率がエアロゾルに比べて著しく小さい降下煤塵を統計的に有意な個数を採取するためには、既存の計測装置を前提とする限り1秒周期のサンプリングでは著しく困難であるので、空間分解能は、実質的に100m以上となってしまい、所要を満足できない問題がある。
有人固定翼機の代わりに有人回転翼機を用いれば、より低速での飛行が可能である。しかし、有人であるためには、重量が少なくとも数百kg以上の機体が必要であり、その回転翼の大きさも直径5〜10mに近いものが必要である。このような比較的大きな回転翼機を低速飛行しながら数m〜数十mのスケールの発塵に突入させて煤塵の捕集を行うとすると、回転翼や機体そのものが大気の流れ場を少なくとも数十mのスケールで乱すため、捕集される煤塵の代表性が著しく損なわれる問題がある。即ち、所要の空間分解能を満足できない。
さらに、有人機の場合、その飛行は公的な航空管制の指揮下にあり、都市の上空での飛行、特に、高度500m未満での飛行は、法律上、大きく規制されるため、目的とする発塵源の近くを飛行させること自身がそもそも容易ではない。
そこで、航空機を小型化するために小型の無人航空機(UAV(Unmanned aerial vehicle)。通称、ドローン)である小型無人航空機を用いることが考えられる。測定対象の発塵の大きさを考慮すると、小型無人航空機の大きさは、概ね直径1m程度以下であることが必要であり、無人航空機であっても航空法の規制をより厳しく受けて飛行場所の制約のより大きい25kg以上という条件に該当しないこと、即ち、離陸重量25kg未満であることが好ましい。
既存の無人航空機を前提にした場合、上記の直径1m以下の無人航空機の離陸重量は、通常10kg以下である。以下、本願で小型無人航空機とは、離陸重量が少なくとも25kg未満の無人航空機のことを意味する。また、無人航空機の離陸重量は、10kg未満が好ましい。
小型無人航空機に求められる典型的な作業時間である10分以上の飛行を実施する場合に、例えば、離陸重量10kgの無人航空機の搭載可能重量(バッテリー重量を除く)は、2〜3kgが上限である。このように、小型無人航空機は、搭載可能重量が比較的小さいため、通常、数十〜数百kgに達する装置である特許文献1〜4の装置を小型無人航空機の搭載することはできない。
特許文献1〜4の装置を小型無人航空機に搭載可能な2〜3kg程度まで軽量化できない理由は、降下煤塵の空間存在確率がエアロゾルに比べて著しく小さいため、統計的に有意な個数の降下煤塵数を所定の時間、例えば、数秒の間に計測機に導入するように、大流量で大気を吸引しなければならないからである。特に、これらの装置では、構造上、配管系内で抵抗体である煤塵フィルタを介したうえでの吸引が必要なため、少なくとも数kPa程度の揚程が必要であり、吸引装置としてブロワ、または、圧縮機によって全量の吸引を行う必要がある。
大容量、かつ、大揚程のブロワ、または、圧縮機は、軽量化が困難なため、小型無人航空機に搭載できない。例えば、容量100L/minの遠心ブロワは、通常、5〜10kg以上の重量を必要とする。尚、非特許文献2、3でのように有人固定翼機を用いれば、ブロワを用いなくても飛行速度に基づく動圧によって受動的に降下煤塵を計測機内に導入できる可能性もある。しかし、本願で想定する小型無人航空機の使用方法では、高々、10m/s程度の飛行速度しかないため、数千Paの動圧をえることは不可能である。
小型無人航空機に搭載する煤塵計測装置が非特許文献4での技術のように市販の作業環境測定用の光散乱式煤塵濃度計であるならば、計測機重量の点では実現可能である。しかし、降下煤塵は、前述のように比表面積がエアロゾルに比べて著しく小さいため、このような計測機で降下煤塵濃度を測定することは検出限界の観点から困難である。
また、市販の作業環境測定用の光散乱式煤塵喉濃度計でのように、単純に周囲の大気の吸引を行っても、大気中の降下煤塵を吸引大気とともに計測機に導入することはできない。これは、降下煤塵の慣性がエアロゾルに比べて極端に大きいため、降下煤塵周囲の大気が吸引されても、吸引大気に降下煤塵がほとんど追従しないからである。
この結果、時間・区間分解能の高い降下煤塵濃度測定を空中で行うことを目的として小型無人航空機を用いた場合、搭載可能な計測機の重量制約によって精度のより低い計測しか搭載できないため、空間濃度分布を測定しようとすると、計測機の精度制約によって測定分解能を十分に確保できないか、あるいは、測定精度が著しく低くなるという新たな問題が生じてしまうことがわかった。
このように従来技術を前提とした場合、都市域での降下煤塵の空間濃度分布を所要の分解能で測定することは著しく困難である。本態様は、時間分解能が数十秒以下、かつ、空間分解能が数十m以下で降下煤塵の空間濃度を高精度で計測可能な無人航空機を提供するために、本発明者らは、本願において以下の発明を行った。
態様1は、大気中の降下煤塵を調査するための小型無人航空機であって、進行方向へ向けて開口する煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気及び降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離して流出する煤塵濃縮器と、該煤塵濃縮器からの前記高濃度空気に含まれた降下煤塵を検出する為の煤塵検出部と、該煤塵検出部における前記高濃度空気の通過を促進させるブロワ又は圧縮機からなる促進部と、前記煤塵濃縮器からの前記低濃度空気の流出を促すファンと、を備えた小型無人航空機である。
ここで、本願において、小型無人航空機とは、日本の航空法において無条件に規制の存在する無人航空機のうち、その基準が最も緩やかなものである(より安全であるとみなされている)最大離陸重量(質量)が25kg未満のものとする。また、調査対象としては、一例として降下煤塵の空間濃度の分布が挙げられる。
態様2は、前記煤塵濃縮器がバーチャルインパクタである態様1に記載の小型無人航空機である。
態様3は、前記煤塵検出部は、降下煤塵の通過量を計測する連続計測手段を有し、時刻を計測する時刻計測手段と、飛行位置を計測する位置計測手段と、前記時刻計測手段で計測した時刻、前記位置計測手段により計測された飛行位置、及び前記連続計測手段で計測した通過量を関連付けて記録するデータ記録手段と、をさらに備えた態様1又は態様2に記載の小型無人航空機である。
態様4は、前記連続計測手段がパーティクルカウンタである態様3に記載の小型無人航空機。
態様5は、前記時刻計測手段で計測した時刻、前記位置計測手段により計測された飛行位置、及び前記連続計測手段で計測した通過量に基づいて、飛行経路上での降下煤塵の空中濃度分布を算出する演算手段をさらに備えた態様3又は態様4に記載の小型無人航空機である。
態様6は、前記ファンの吸引能力が、100 L/min以上である態様1から態様5のいずれかに記載の小型無人航空機である。
態様7は、前記進行方向における飛行中の大気との相対速度を測定する相対速度測定手段と、該相対速度測定手段で測定した相対速度を記録する相対速度記録手段と、をさらに備えた態様1から態様6のいずれかに記載の小型無人航空機である。
態様8は、前記煤塵採取口の開口面積及び前記相対速度を乗算した乗算値に基づいて前記ファンの回転数を制御するファン制御手段をさらに備えた態様7に記載の小型無人航空機である。
態様9は、態様1から態様8のいずれかに記載の小型無人航空機を用いて降下煤塵濃度の空中濃度を測定する降下煤塵濃度測定方法である。
本願技術の第1の特徴は、前進方向に開口を設けた筒状の煤塵採取口を備えたうえで無人航空機を前進飛行させることにより、無人航空機の前進にともなって煤塵採取口が移動した範囲の大気中を掃引し、この掃引範囲の大気中の降下煤塵を無人航空機に搭載された煤塵計測機内へ供給することができることである。
この際、煤塵採取口の下流端から吸引を行い、その吸引流量を、
[大気吸引流量]=[煤塵採取口の開口断面積]×[無人航空機の飛行速度]
に設定することにより、特に、飛行方向の大気の風速成分が十分に小さい場合には、煤塵採取口にて等速吸引もしくは等速吸引的な効果を発揮することができ、掃引大気中の降下煤塵のほぼ全量を、そのまま煤塵採取口内に導入することができる。このため、本装置では大気のサンプリングに関する計測誤差が小さいという効果が得られる。
従来技術、例えば、特許文献1,2の方法では、降下煤塵は、鉛直流束(地表への沈着速度)を測定するために煤塵採取口は、大気に対して実質的な吸引を行わない。このため、大気中の降下煤塵濃度を直接に測定することはできない(沈着速度を大気中の濃度に換算することはできるが、粒子によって粒子落下速度が大きく異なるため、その精度は高くない)。
特許文献3,4の方法では煤塵採取口に大気の風が自然に流入するように適用され、大気の積極的な吸引を行わない。このため、大気の風の風速が小さいときには降下煤塵を煤塵計測機に導入することができず、大気中の煤塵濃度を常に計測できるわけではない。
一方、本願技術では無人航空機の飛行によって大気を掃引するため、水平方向の速度成分を保持して飛行する限り、無風状態の大気であっても大気中の降下煤塵濃度を計測することができる。
非特許文献2の方法は、航空機の機体外面に煤塵の沈着面を設けて煤塵を捕集する方法であり、機体周囲の降下煤塵濃度と沈着面への沈着速度の関係が明確ではないため、大気中の降下煤塵濃度を高精度で測定することはできない。
非特許文献3の方法では、煤塵採取口の下流側で吸引を行わないため、煤塵採取口の先端(開口部)は、実質的に掃引領域で大気の多くを排除しながら前進するため、排除された大気に随伴して、掃引領域内の特に比較的小径の降下煤塵が煤塵採取口に流入しにくくなるため、大気のサンプリングに関する計測誤差が大きいという問題がある。逆に、市販の作業環境計測用の光散乱式煤塵濃度計を用いる方法では、大気を単純に吸引するため、煤塵採取口から流入する降下煤塵量は、大気中の降下煤塵濃度と定量的で固定的な関係をしめさず、大気のサンプリングに関する計測誤差が大きいという問題がある。以上のように、従来技術では降下煤塵の高精度でのサンプリングは、なしえなかった。
以上のように本願技術は、据置式の煤塵捕集装置、または、単純な吸引を行う携帯式煤塵計測装置を単に無人航空機に搭載しただけでは得られない、上空での降下煤塵を精度良く捕集・測定できる(即ち、上空大気中の降下煤塵濃度に常に比例した量の降下煤塵を捕集できる)という異質な効果を発揮するものである。この際、本願技術では、小型無人航空機の飛行速度を、搭載する煤塵捕集装置の吸引流量と対応する設定にすることによって降下煤塵の高精度での捕集を実現するので、小型無人航空機の一般的な機能と煤塵捕集装置の一般的な機能の単なる組み合わせでは予測しえない効果を発揮する。
本願技術の第2の特徴は、煤塵採取口から吸引した大気を、煤塵濃縮器、特に、バーチャルインパクタを経由させ、バーチャルインパクタの降下煤塵高濃度側出口をリアルタイム煤塵計測機であるパーティクルカウンタに供給するとともに、バーチャルインパクタの降下煤塵低濃度側出口をファンに接続することにより、所要の大流量の大気を処理可能な降下煤塵計測装置を小型無人航空機に搭載可能なレベルまで小型軽量化できることである。
前述のように、典型的な大気中の降下煤塵の個数濃度は、エアロゾルに比べて極端に小さい。このため、局所での降下煤塵濃度の計測値が統計的に有意であるためには、より大量の大気を計測装置内に導入して所要数の降下煤塵を採取する必要がある。
統計的に有意な煤塵個数とは、1つの濃度測定値に対して、平均的に、少なくとも1個以上の降下煤塵が採取される必要がある。なぜならば、一定流量で大気のサンプリングを行って、一定時間ごとに採取された降下煤塵数のデータそれぞれを降下煤塵濃度に換算する場合(実際、このようにして降下煤塵濃度を求める)、各サンプリングで検出される降下煤塵個数の期待値が1未満だとすると、特定のサンプリングで降下煤塵が1個検出され、別のサンプリングで1個も検出されないときに、この原因が、それぞれのサンプリングが対応する大気中の位置での降下煤塵濃度差による測定値の差であるのか(これが本来の計測の目的)、あるいは、大気中の降下煤塵濃度は一様であるが、大気中にランダムに存在する降下煤塵がたまたま特定のサンプリングの際に検出されたのかを区別できないからである。
また、濃度測定値の代表性の観点から(即ち、サンプルした降下煤塵数の平均値と、大気サンプル箇所に対応する位置での真の降下煤塵数濃度平均値との差の期待値が十分小さいこと)、1つの濃度測定値に対して、平均的に少なくとも10個以上、好ましくは、30個以上の降下煤塵が採取されることが好ましい。
具体例をあげると、典型的な粒子径である30μmの降下煤塵を仮定した場合、都市域での典型的な降下煤塵量である1t/kmMの降下煤塵量の生じる場所での降下煤塵の大気中での数密度は、約1000個/mである。10個以上の降下煤塵を採取するためには、10L以上の大気を計測機に導入する必要があることになる。
数分から数十分といった限られた飛行時間の間に都市域における小規模な降下煤塵プルーム(数十〜100m程度のスケール)を識別可能な空間分解能で計測を行うために、10個以上の降下煤塵を、たとえば、10か所/minの頻度(飛行速度5m/sの場合、30mの空間分解能に相当)で採取しようとすれば、計測機に導入すべき大気流量は、100L/min以上必要である。従って、大気の吸引流量は、100L/min以上であることが好ましい。
しかし、このような大流量の大気中の降下煤塵をフィルタで直接に捕集した場合、フィルタでの圧力損失が過大になってフィルタを破損する問題を生じるか、あるいは、フィルタの破損を回避するためにフィルタ面積を大きく設定するとフィルタ装置が巨大化して小型無人航空機には搭載できない問題を生じる。また、第3の特徴で述べるようにパーティクルカウンタを用いて100L/min以上の大気中の煤塵を直接、検出しようとすると、大型のパーティクルカウンタが必要となり、小型無人航空機の許容重量を超えてしまう問題がある。市販のパーティクルカウンタの重量を考慮すると、小型無人航空機に搭載可能なものは、処理流量が数L/min以下のものに限られる。
そこで、本願技術では、吸引した100L/minレベルの大気を、バーチャルインパクタを経由させることで大気中の降下煤塵を濃縮し、数L/minレベルの降下煤塵高濃度ガスとして、フィルタ、または、パーティクルカウンタ等の降下煤塵流量計測手段に供給することで、この問題を解決した。
但し、パーティクルカウンタを通過する大気中の降下煤塵濃度が著しく上昇することに伴って、パーティクルカウンタの下流に設置される吸引装置が高濃度の煤塵によって作動不良を生じないように、パーティクルカウンタの下流、かつ、吸引装置の手前には煤塵除去用のフィルタを設けなければならない。通気抵抗体であるフィルタを用いることによる圧力損失に対応するため、バーチャルインパクタの高濃度側の流路には吸引装置として揚程が少なくとも数kPa以上のブロワ、または、圧縮機を用いる。降下煤塵を濃縮することによってフィルタを通過する空気流量を低減しているので、ブロワ、または、圧縮機に小容量で軽量のものを用いることができる。
以上のように本願技術は、従来の軽量な煤塵捕集装置・計測装置を従来の小型無人航空機に単に搭載しただけでは得られない、大流量(従来装置の数十倍)での大気サンプリングを可能として大気中の降下煤塵濃度測定の時間・空間分解能を数十倍に向上するという、顕著な効果を示すものである。
本願技術の第3の特徴は、第1の特徴の煤塵採取法と組み合わせる前提で、バーチャルインパクタの高濃度側流路にパーティクルカウンタ等のリアルタイムでの降下煤塵流量計測手段を設けることにより、降下煤塵の空中濃度を求めることができることである。パーティクルカウンタ自体は特定の粒径範囲の粒子について計測機を通過する時間当たり個数を計測するものであるが、粒子の代表径から粒子体積を算出し、これに時間当たり通過個数を乗じれば、実質的に降下煤塵の体積流量を測定したことになる。
さらに、大気の総合的な吸引流量は、ほぼファンの吸引流量に等しく、かつ、測定中のこの流量の変化は小さいので、時間値の降下煤塵流量をファンの吸引流量で除すれば、実質的に、吸引した大気中の降下煤塵濃度を計測することができる。大気中の降下煤塵濃度こそが、測定すべき対象であるので、以下、パーティクルカウンタ等の降下煤塵の流量計を降下煤塵濃度計と同一視して説明する。
本願技術の第4の特徴は、上記バーチャルインパクタの低濃度側流出口に吸引用のファンを接続することにより吸引装置を小型無人航空機に搭載可能なレベルまで軽量化できること、並びに、所要の計測時間応答性(約数秒)を満足できることである。
まず、軽量化の効果について説明する。吸引装置としてのファンの特徴は、装置重量当たりの吸引流量がブロワや圧縮機に比べて一般に小さいこと、並びに、揚程の能力がブロワや圧縮機に比べて著しく小さいことである。さらにファンとして単段の軸流ファン、特に、10000rpm以上の回転数のものを用いることによって所要流量を満足するための羽根の直径を小さくでき、一層、軽量化できる。
但し、小型で単段の軸流ファンでは、構造上、所要流量(100L/min)を前提とした場合に実現可能な揚程は、約100Paを大きく超えることは困難である。従来の煤塵計測装置においては、大気の吸引を行う際に少なくとも1kPa以上の吸引装置が必要であった。例えば、小型無人航空機に搭載可能な小型フィルタ(例:直径100mm)を流路の途中に配置して粒子を捕集する方式の場合、100L/minの流量をフィルタに通過させれば、通常、数kPaの圧力損失が生じるので、これに対応する吸引装置(ブロワまたは圧縮機)を用いることが必要である。
バーチャルインパクタを用いる場合であっても、従来、吸引装置にはブロワまたは圧縮機のみが用いられてきた。その理由は、第1に、従来の煤塵測定装置では低濃度側の流出口の下流に通常、フィルタを配置する構造であるので、数kPa以上の圧力損失が低濃度側の流路でも生じることである。低濃度側の流出口の下流にフィルタを設置してきた理由は、次のとおりである。
第1に、従来、バーチャルインパクタ等の分級器を用いて大気環境測定を行う場合の目的が、浮遊粒子状物質等のより小さな粒子の測定を行うこと、あるいは、より小さい粒子も含めた粒径別の測定を行うことである場合が多かったことである。
第2に、低濃度側の流路中にフィルタを配置しない場合であっても、従来の据え置き式煤塵測定装置においては、装置構造を簡略化するために、一般に、低濃度側の流路の吸引装置を高濃度側の流路の吸引装置と共用し、各流路で可変流体抵抗式流量制御装置を用いた流量制御を行うことが行われてきたため、装置保護の観点からフィルタが必要な高濃度側の吸引装置の必要条件から、吸引装置にはブロワまたは圧縮機が用いられる。この場合、吸引装置の重量は増大するが、据え置き式の装置ではあまり問題視されてこなかった。
第3に、仮に、低濃度側の吸引装置を高濃度側の吸引装置と別に設け、低濃度側流路にフィルタを設けない場合があったとしても、従来の据置式バーチャルインパクタの設計においては低濃度側の吸引装置に少なくとも500Pa以上の揚程が必要であり、揚程制約から単段の軸流ファンを適用することはできなかった。これは、据置式バーチャルインパクタにおいては、吸引装置等が大型化し、かつ、振動の影響を避けるため、バーチャルインパクタと吸引装置の距離を十分離して配置することが一般的であり、両者を結ぶ管路抵抗が容易に500Pa以上に到達するものであるからである。
第4に、低濃度側の吸引流量調整を調整する際には一般に可変流体抵抗式の流量調節器を用いる場合が多いが、ファンのように低揚程な装置の場合、可変流体抵抗式の流量調節器は、大型化、かつ、高価なものになるので、小型で高揚程を得られるブロワまたは圧縮機の採用が指向されてきた。本願技術では、飛行速度の設定変更等を用いて、必ずしも低濃度側流路での流量調整を行う必要はないので、容易にファンを適用できる。
バーチャルインパクタには粒子の分級装置として適用可能な流量範囲が比較的狭いこと(特に、大流量側の制約が大きい)、並びに、分級装置内での流路が他の方式よりも短いために分級装置内でより強い慣性力を与える必要があること(即ち、同じ大きさの粒子を分級するためには分級装置内でより高速な気流を発生させることが必要なこと)という欠点がある。このため、工業的には、主として粒子の50%分離直径が5〜7μm以下の粒子(例えば浮遊粒子状物質用やPM2.5用)の分級に適用されてきた。これより大きな50%分離直径の場合、特に、20μm以上の場合、バーチャルインパクタと同様に乾式分級方式が可能なサイクロンセパレータ等の連続式分級装置が専ら適用されている。
50%分離直径が5〜7μm以下の分級ではサイクロンセパレータでは効率的に分級できないので、バーチャルインパクタが適用されうる。バーチャルインパクタでは吸引粒子の慣性力を利用して粒子の分級を行うので、表面力に対して慣性力の影大きな流速を生じさせる必要がある。
従来のバーチャルインパクタではいずれも5〜7μm以下の分級を行っていたので、20m/sを超える流速(約240Pa以上の動圧)を発生させる必要があった。このため、バーチャルインパクタ装置内の形状抵抗等を考慮すると一般に500Pa以上の圧力損失が発生することが避けられなかった。
また、軽量化のために、低濃度吸引装置には100Pa程度までの揚程しか期待できない軽量ファンを用いることが必要であるので、数m/sの流速があれば対象とする分級性能である10μm超の粒子を分離可能なサイクロンセパレータを適用することが考えられる。
しかし、本発明者が実験したところサイクロンセパレータを用いる場合には吸引された降下煤塵が分級器内壁に付着して少なくともすぐには煤塵濃度計に粒子を供給できない粒子の割合の大きいことが判明した。この現象は、サイクロンセパレータ内での流速をファンの限界能力である約12m/sにしても改善しなかった。これは、サイクロンセパレータでの流路は広いので広範囲に降下煤塵が吸着するのに対し、サイクロンセパレータ内で高速化可能な領域はごく一部に限られ、一旦、壁面に付着した粒子は容易には再飛散できないからである。このことは、数秒〜数十秒程度の時間分解能での煤塵濃度計測が必要な所要性能からみて致命的な問題である。
そこで、本発明者らは、フィルタ等の大きな通気抵抗を排除した配管系をバーチャルインパクタの低濃度側流出口に接続し、限界流速である約12m/sといった従来のバーチャルインパクタの設定流速に比べて極端に小さい流速で降下煤塵の分級を行った。その結果、50%分離粒径として約14μmが得られ、かつ、10μmの粒子であっても約10%の粒子を高濃度側に分離できる(即ち分級効率が10%)ことが判明した。
対象とする降下煤塵の定義は直径10μmを超える粒子であり、直径10μmの粒子の判別は例えば、パーティクルカウウンタ等の煤塵濃度計の検知しきい値を調整することで可能である。また、バーチャルインパクタの分級効率は、流速一定の条件で実験などによって予め求めることができる。
従って、ある粒径での煤塵濃度計による煤塵濃度測定値が得られれば、この値にバーチャルインパクタの分級効率を補正することによって、直径10μm超の粒子の濃度値を正確に求めることができる。このように、低揚程なファンを用いてバーチャルインパクタを用いて降下煤塵を有効に(高精度に)濃縮可能かどうかは、従来、自明ではなかった。
次に、計測時間応答性の効果について説明する。本発明者らのバーチャルインパクタを用いた分級試験では、煤塵採取口から流入した降下煤塵は少なくとも数秒以内、その大半は1秒以内に煤塵濃度計に到達することがわかった。これは、バーチャルインパクタ内での流路が短く、かつ、狭いため約12m/s程度の流れを分級装置内で生じさせれば、分級装置内の少なくとも高濃度側の流路においてはいたるところでこの流速に近い比較的高速な流れ場となるため、高濃度側流路内の煤塵が流路壁に付着したとしても容易に再飛散するからと考えられる。低濃度側の流路では構造上、流れが低速化するので、壁面に付着した粒子が直ちに再飛散するとは限らないが、低濃度側流路の煤塵の測定を行わないので問題ない。このように、所要の時間応答性で降下煤塵濃度を測定することができる。
これに対して、同様の条件でバーチャルインパクタの代わりにサイクロンセパレータを用いた場合には、サイクロンセパレータ内に進入した降下煤塵粒子のうち、少なくとも30%以上の粒子が壁面に付着し、降下煤塵の供給を止めた後にも吸引を続けた際には、供給停止後5分間にわたってサイクロンセパレータ内に付着した粒子の再飛散が生じて煤塵濃度計に到達した。このように、煤塵採取口から流入した降下煤塵が煤塵濃度計に至るまでの時間は、サイクロンセパレータにおいては不定であるため、サイクロンセパレータを用いた場合の計測時間応答性は、定義できないことがわかった。
上記構成により、小型無人航空機に搭載可能な軽量で大流量の大気を処理可能、かつ、計測時間応答性も十分に高い小型無人航空機を提供することができ、降下煤塵の空間濃度分布を正確に測定することができる。
本開示の小型無人航空機によれば、時間・空間分解能を犠牲にすることなく、降下煤塵の空間濃度を精度よく計測することが可能となる。
第一実施形態に係る無人航空機の構造の模式図である。 第一実施形態の無人航空機の飛行経路の一例を示す説明図である。 第一実施形態の無人航空機の搭載機の構成を示すブロック図である。 第二実施形態の無人航空機の搭載機の構成を示すブロック図である。 第三実施形態の無人航空機の搭載機の構成を示すブロック図である。 第四実施形態の無人航空機の搭載機の構成を示すブロック図である。
<第一実施形態>
以下、第一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態に係る小型無人航空機(UAV、即ち、通称、ドローン)は、大気中の降下煤塵の調査を行うものであり、この小型無人航空機を、図1に示すとともに、その飛行経路26の一例を図2に示す。
ここで、本明細書において、降下煤塵とは、自重により大気中を自由落下し得る10μm以上の直径の煤塵を示す。
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る小型無人航空(以下、無人航空機とも呼称する)10を示す図であり、無人航空機10の無人航空機本体12の下部には、搭載機14が設けられている。
この無人航空機10は、操縦装置16で操作されるとともに運航監視装置18で運行状況が監視される。無人航空機10は、地上24の操縦装置16及び運航監視装置18と通信できるように構成されている。
(無人航空機本体)
無人航空機本体12は、無人航空機10が飛行するために必要な最低限の装置、制御機構、並びに、動力源および動力装置を備えている。無人航空機本体12としては、四ロータ以上のマルチコプタ、シングルロータ式のヘリコプタ、または、固定翼式の航空機を使用することができ、本実施形態では、四つのロータ20を有したマルチコプタが用いられる。
この無人航空機本体12は、市販のものであっても、自作したものであってもよい。無人航空機10の推進機構には、プロペラ方式、ファン方式、ジェット方式、ロケット方式、または、これらの任意の方式の組み合わせなどを用いることができる。
無人航空機本体12には、フライトコントローラ22が設けられている。このフライトコントローラ22は、図示しないGPS等の機体位置計測装置、高度計、及び方位計等のセンサを備えている。また、フライトコントローラ22は、地上24からの遠隔操作信号を無線で受信する受信機を備えており、操縦装置16や運航監視装置18との間でデータをやり取りすることができる。
フライトコントローラ22は、プロセッサや計算機を備え、飛行を安定的に継続するための機体の推進機構や飛行方向調整装置等の操作対象の操作量をリアルタイムで計算して制御する。
このフライトコントローラ22は、例えば図2に示した飛行経路26を内蔵の記憶装置に予め記憶し、この飛行経路26に沿って自動で飛行するように操作対象を制御しても良い。また、このフライトコントローラ22は、操縦装置16や運航監視装置18からの遠隔操作信号を操作対象の操作量に変換し、操作対象を制御するラジオコントロールシステム型のコントローラであってもよい。
動力源および動力装置には、燃料タンクおよび内燃機関や、固体ロケット燃料用の容器を含む燃料タンクおよびロケットの噴射ノズルを含む外燃機関を用いることができる。また、動力源および動力装置には、電池(燃料電池であってもよい)および電気式モータや、ガス圧力容器およびガス駆動ポンプなどを用いることができる。
あるいは、電源または燃料タンクを地上に配置するとともに、無人航空機10との間に電線または燃料供給用のチューブを設け、無人航空機10の推進機構にエネルギを供給してもよい。
無人航空機10の代表寸法(例えば、最大幅)は、測定対象である周囲大気へのロータ回転等による悪影響(測定の外乱)を低減するために、2m以下であることが好ましく、1m以下であることがさらに好ましい。
無人航空機10の離陸重量(質量)は、日本国の航空法による制約より少ない条件である、25kg未満であることが運用上、好ましく、後述する搭載機14の実用的な重量(離陸重量(質量)に含まれる)を考慮すると、少なくとも1kg以上が必要である。
(操縦および運航監視装置)
無人航空機本体12の飛行操作および監視、無人航空機本体12に搭載される搭載機の操作および監視を地上24から行うことができる。
これらの操作および監視に用いる信号は、無線や有線で送られ、この信号を用いて地上24と無人航空機10との間で通信を行う。無線通信には、市販のラジオコントロール用の操作機や無線機能を用いることができ、操作および監視を行うためのソフトウェアを備えた操作・監視用の計算機などを用いることができる。
操作・監視用計算機には、無人航空機10の飛行経路26を予め記憶しておくことができる。この場合、操作および監視に用いる信号を、飛行中または飛行前に無人航空機10のフライトコントローラ22に送信することで、予め設定された飛行経路26に沿って無人航空機10が飛行するオートパイロットを行うことができる。
なお、このオートパロット機能をフライトコントローラ22のみで実施できる場合には、地上24における操縦装置16及び運航監視装置18は必ずしも必要ない。
(搭載機)
搭載機14は、図1に示したように、無人航空機本体12に搭載される装置群であり、各装置が連携して空中での降下煤塵を捕集するとともに、特定の降下煤塵の濃度を選択的に計測する。
搭載機14は、図3に示すように管路系装置28及び搭載機用動力源装置を含んで構成される。
管路系装置28は、図3に示したように、降下煤塵を含んだ大気を煤塵検出部32に供給するための装置である。計測系装置30は、管路系装置28に供給された大気中の降下煤塵濃度を計測するための装置である。この管路系装置28の詳細については、後述する。
搭載機用動力源装置は、管路系装置28に動力を供給するための装置である。
(管路系装置)
管路系装置28の一例を、図3に従って説明する。管路系装置28は、煤塵採取口34を有する採取部36、煤塵濃縮器38、煤塵検出部32、促進部40、及びファン42等の装置要素を備えている。
採取部36の煤塵採取口34から流入した大気は、煤塵濃縮器38で降下煤塵濃度の高い高濃度空気44と降下煤塵濃度の低い低濃度空気46とに分離される。この煤塵濃縮器38は、粒子の慣性力と遠心力を利用した慣性分級方式のバーチャルインパクタで構成される。
煤塵濃縮器38からの高濃度空気44は、降下煤塵を検出する為の煤塵検出部32へ送られる。煤塵検出部32は、一例としてフィルタで構成され、フィルタは、通過する高濃度空気に含まれた降下煤塵を捕集する。煤塵検出部32の詳細は、後述する。
促進部40は、ブロワや圧縮機で構成され、煤塵検出部32における高濃度空気44の通過を促進し、高濃度空気44を外部へ排出する。また、煤塵濃縮器38からの低濃度空気46の流出はファン42で促され、外部へ排出される。
採取部36は、飛行に伴う煤塵採取口34からの大気の掃引を効率的に行うため、飛行時における進行方向Fに開口した筒体を用いることができる。煤塵採取口34の鉛直断面形状は、円、楕円、多角形等、大気の流入を大きく阻害しない形状であれば、どのようなものであってもよい。
煤塵採取口34の設置位置は、飛行時に無人航空機10の構造物の後流領域に入らない場所とする。このため、煤塵採取口34は、無人航空機10の進行方向Fに向けて機体から突出させることが好ましい。
これは管路系装置28において大気を等速吸引することを目指している。しかし、機体が無風の大気中を飛行する場合、機体の形状抵抗によって機体の前端から機体の代表長さの約0.1倍の範囲において、機体に対する大気の相対速度が低下する。これにより、実質的な飛行速度が低下し、等速吸引を行う際の吸引流量が減少するという問題が存在するからである。
したがって、機体の鉛直断面積が大きな部分の代表長さの0.1倍以上、煤塵採取口34を飛行の進行方向Fに突出させることが好ましい。機体の鉛直断面積が大きな部分としては、マルチコプターの場合、ロータ支柱を支える構造体、フライトコントローラ、各種センサ、バッテリ、搭載機等が集中する中心軸付近の領域が挙げられる。
なお、煤塵採取口34を無人航空機10の主要構造物から上方、または、下方に十分な距離を設けて配置してよい。
煤塵採取口34の開口面積は、大気が無風、または、飛行速度に比べて十分小さい場合を前提として、次式に示すようにすることが好ましい。なお、本実施形態の各式で用いる単位は、総て国際単位系 (SI)とする。
[開口面積]=([ファンの吸引流量]+[ブロワまたは圧縮機の吸引流量])/[飛行速度]
促進部40を構成するブロワまたは圧縮機の吸引流量は、煤塵検出部32であるフィルタの閉塞程度によって飛行中に変動する。また、煤塵採取口34からの大気を煤塵濃縮器38で分けるため、ファン42の吸引流量は、ブロワまたは圧縮機の吸引流量より十分に大きい([ファンの吸引流量] >> [ブロワまたは圧縮機の吸引流量])。このため、[開口面積]=[ファンの吸引流量]/[飛行速度]としてもよい。
煤塵濃縮器38を構成するバーチャルインパクタは、大気を流入する流入路の中心軸が鉛直方向に延在する。このため、煤塵採取口34から略水平方向に流入した大気を鉛直方向に方向転換する必要がある。このため、煤塵採取口34を有した採取部36は、例えば90度の曲り管を用いることができる。
採取部36の材質は、自身の構造を保ち得るものであれば、どのようなものでもよいが、少なくとも、計測対象である降下煤塵を含有する大気と接する部分は、降下煤塵の付着を避ける材料を用いることが好ましい。
例えば、採取部36をアルミニウムやチタン等の金属管で構成したり、採取部36の内面に金属箔や導電性塗料を塗布・貼付したりすることができる。なお、管路系装置28の他の部分に関しても、このような降下煤塵の付着の少ない材料を用いることが好ましい。
煤塵濃縮器38は、煤塵採取口34から流入した降下煤塵を含む大気を、降下煤塵の濃度が高濃度である高濃度空気44と降下煤塵の濃度が低い低濃度空気46とに分離する分級装置である。この煤塵濃縮器38は、分離した高濃度空気44を高濃度空気流出路48から流出するとともに、低濃度空気46を低濃度空気流出路50から流出する。
なお、本実施形態では、煤塵濃縮器38としてバーチャルインパクタを用いる場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、煤塵濃縮器38としてサイクロンセパレータ等を用いることができる。
煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタは、粒径の大きさに基づいて大気に含まれる粒子を分離する。このバーチャルインパクタは、内部の気流流速に応じて、粒径の大きな粒子を高濃度空気流出路48から流出し、粒径の小さな粒子を低濃度空気流出路50から流出する。
煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタ内での最大の気流流速を、例えば12m/sに設定することで、粒子径(密度1000kg/m、球形)が14μmの粒子を、高濃度空気流出路48と低濃度空気流出路50とに、50%ずつ流出させることができる。
この場合、降下煤塵の定義である下限の粒径10μmの粒子であっても、約10%の粒子を高濃度空気流出路48から流出させることができる。このため、煤塵濃縮器38を用いて計測する場合、粒径10μmと認識された粒子の濃度計測値に、補正係数、例えば「10」を乗ずることによって、高濃度空気44に含まれる粒径10μmの粒子の濃度を煤塵濃縮器38で計測することができる。
降下煤塵が一様に分布する大気を前提とし、煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタ内での最大の気流流速を例えば、12m/sとした場合、20μmを超える大径粒子の少なくとも80%以上を高濃度空気流出路48から流出させることができる。
また、バーチャルインパクタの構造上、低濃度空気46の吸引流量は高濃度空気44の吸引流量の4〜20倍程度の値である。したがって、高濃度空気44を流出する流出口では、おおよそ、3倍(70%の粒子が高濃度空気44へ、低濃度空気吸引流量/高濃度空気吸引流量=4)〜20倍(95%の粒子が高濃度空気44へ、低濃度空気吸引流量/高濃度空気吸引流量=10)以上の濃度に降下煤塵を濃縮できる。このような性能を有するバーチャルインパクタの圧力損失係数(バーチャルインパクタ内での最高流速(通常、バーチャルインパクタ流入管出口での平均速度)を基準)は、0.5程度に設計することができる。
バーチャルインパクタの低濃度空気流出路50から流出した低濃度空気46は、ファンへ42送られる。ファン42は誘引式のものを用いる。ファン42の形式は、軸流ファン、シロッコファンなど様々なものを用いることができるが、大流量を小型の装置で実現するためには、軸流ファンが好ましい。装置を軽量化するために、軸流ファンは、単段なことがさらに好ましい。この軸流ファンには市販のものを用いることができる。
ファン42の流量は、所要の煤塵個数を測定周期の単位時間で吸引する必要があるので、100L/min以上の能力のあることが好ましい。また、上記の流速条件12m/s時の空気の動圧は、約90Paなので、ファン42の揚程は、原理的にこの値以上でなければならない。さらに、バーチャルインパクタでの圧力損失(例えば、45Pa(圧力損失係数=0.5))、上記の煤塵採取口34での曲り管部での圧力損失、並びに、その他の管路での圧力損失を考慮すると、ファン42の揚程は、少なくとも200Pa以上あることが好ましい。
これらの流量・揚程条件を同時に満たし、かつ、小型の無人航空機10に搭載する部品として許容される重量(質量)(例えば、100g)を満たすため、軸流ファンの回転数は、10000rpm以上であることが好ましい。
ファン42として、10000rpm以上の軸流ファンを用いたとしても200Paを大きく超える圧力を得ることは簡単ではない。従って、低濃度空気流出路50とファン42の間の管路では圧力損失を極力低減する構造が必要である。
この低濃度空気流出路50には、フィルタ等の抵抗体を配置しないことが好ましい。フィルタを設置しないと、低濃度とはいえ降下煤塵の一部がファン42に到達する。測定場所が特に高濃度の発塵地域である場合には、ファン運転への煤塵による悪影響が考えられる。この場合には、市販の防塵ファンを用いればよい。
ファン42は、一般に回転羽根とケーシング間の隙間をブロワや圧縮機に比べてより大きく設定でき、煤塵の噛みこみトラブルに対して有利である。防塵ブロワや防塵圧縮機で防塵対策をする場合、効率の低いダイヤフラム式のものを採用するなど、装置の大型化・重量増が避けられない。これに対し、防塵ファンの場合、装置の重量増は比較的小さい。
したがって、ファン42を用いることが、軽量化のためにより有利である。また、管路の径も十分大きく(例:管路内流速が10m/s未満となるような管径)、かつ、曲り部も少なくする。ファン42の排気は、そのまま大気に放出してよい。
煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタからの高濃度空気流出路48は、煤塵検出部32に接続する。煤塵検出部32としては、煤塵捕集器が挙げられる。この煤塵捕集器としては、バグフィルタやメンブレンフィルタ等のフィルタが除塵能力の観点から好ましい。
なお、本実施形態では、煤塵検出部32として、フィルタを用いたが、これに限定されるものではない。煤塵検出部32として、例えば、サイクロンセパレータ等の空気力学的分級機を用いてもよい。この場合には、後述するブロワまたは圧縮機からなる促進部40の能力に十分な余裕を持たせ、空気力学的分級器内で十分な流速を発生させ、確実に降下煤塵を分級器内から流出させない配慮が必要である。
煤塵検出部32を構成するフィルタは、ブロワまたは圧縮機からなる促進部40の手前で煤塵を除去し、煤塵の流入に起因したトラブルを未然に抑制する。また、煤塵検出部32を構成するフィルタは、採取した降下煤塵を保持して無人航空機10内に留める。これにより、この採取された降下煤塵を回収し、各種の分析に用いることができる。
煤塵検出部32を構成するフィルタの目開きは、少なくとも降下煤塵の定義である、10μmの粒子をほぼ100%捕集できることが好ましい。また、ブロワまたは圧縮機で問題となる寸法の煤塵の大半を捕集できることが好ましい。例えば、3μm以上の粒子を捕集するタイプのフィルタを用いることができる。
煤塵検出部32を構成するフィルタの下流には、ブロワまたは圧縮機からなる促進部40が配置されている。ブロワまたは圧縮機の形式は、遠心式、斜流式、容積式等の各種の市販のものを用いることができる。ブロワまたは圧縮機の流量は、軽量化のため、例えば、10L/min以下のものを用いることができる。
これは、煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタによって低濃度空気46の流量が大幅に低減(降下煤塵が濃縮)されているため、煤塵採取口34から吸引された大量の大気のうちのごく一部をブロワまたは圧縮機で処理すればよいからである。
促進部40であるブロワまたは圧縮機の揚程は、主に煤塵検出部32であるフィルタでの圧力損失を補償できる能力が必要であり、公称10000Pa以上、かつ、本装置の運転条件での流量時に少なくとも1000Pa以上、好ましくは5000Pa以上であるものを用いることができる。このように高い揚程の装置であっても、処理流量が比較的小さいので、無人航空機10に搭載可能な軽量なブロワまたは圧縮機(例:200g)を用いることができる。ブロワまたは圧縮機の排気は、大気に放出する。
これら搭載機14を構成する各装置は、共通の基板上に固定したうえで、無人航空機本体12にボルト等で結合することができる。あるいは、これらの各装置を個別に無人航空機10のフレームなどに結合してもよい。
(搭載機用動力源装置)
ファン42やブロワまたは圧縮機からなる促進部40の搭載機14の各装置の動力には電気を用いることができる。このための動力源としては、無人航空機本体12と搭載機14との間に電線を設け、無人航空機10の動力源から搭載機14に電力を供給してもよい。あるいは、搭載機14に電池を搭載してこれを動力源としてもよい。必要に応じて、動力源からの電気の電流や電圧を搭載機14の各装置にとって適切な値に変換・制御を行う電源装置、例えば、DC−DCコンバータを搭載機14に設けることができる。
なお、煩雑になるので本実施形態の図中には、動力源装置および動力配線の記載を省略しているが、電力を必要とする装置(ファン、ブロワ、センサ、計算機等)には、適宜、適切な電力が動力源装置から供給されるように設計する。
(降下煤塵捕集方法)
このように構成された無人航空機10で降下煤塵を捕集する際には、図2に示したように、飛行経路26に沿って無人航空機10を飛行する。なお、無人航空機10が測定対象空域52に達するまでは、ファン42およびブロワまたは圧縮機の促進部40を停止する。
この飛行経路26に設定された測定対象空域52において、煤塵採取口34の開口方向を進行方向Fとして無人航空機10を水平に飛行させる。これにより、測定対象空域52中の大気を掃引して掃引大気中の降下煤塵を、管路系装置28内に取り込みフィルタからなる煤塵検出部32で捕集する。この際、ファン42およびブロワまたは圧縮機の促進部40によって大気の吸引を行う。
煤塵採取口34での大気の吸引速度が無人航空機10と周囲大気との相対速度と一致するとき、等速吸引の状態が成立し、掃引大気中の降下煤塵の量が増減せず、そのまま管路系装置28内に取り込まれる。このため、大気中の降下煤塵濃度を正確に測定するためには、無人航空機10及び周囲大気の相対速度が煤塵採取口34での吸引速度と一致するように飛行することが望ましい。
煤塵濃縮器38を構成するバーチャルインパクタの好適な流量範囲は比較的狭いので、吸引流量を初期の設定値から大きく変更することはできない。このため、等速吸引を行うためには、主に飛行速度の設定・調整によって行う。
操業上の制約等の理由で等速吸引条件が成立しない場合、例えば、煤塵採取口34での吸引流速が無人航空機10の相対飛行速度よりも遅い場合、飛行にともなって煤塵採取口34は進行方向Fの大気の一部を押し分けながら無人航空機10が進むことになる。
この場合、押し分けられ排除された大気中の降下煤塵、特に、粗大な粒子の一部は、その慣性によって排除された大気の流れに追従せず、そのまま煤塵採取口34から管路系装置28内に流入する。このため、吸引大気中の降下煤塵濃度が上昇する。
この濃度上昇の影響代は、吸引流速と相対飛行速度との差と、煤塵粒子の条件(大きさ、形)が分かれば、実験や数値解析等の手法を用いて予め求めることができる。したがって、等速吸引条件が成立しない場合には、濃度変化の影響代を補正するための補正係数を用いて、捕集された降下煤塵量から算出される降下煤塵空中濃度の値を補正すればよい。
上記の降下煤塵の条件を知る方法としては、例えば、捕集された降下煤塵の粒径分布を画像処理計測等の手法で計測する方法が挙げられる。
また、上記の相対飛行速度を求める際には、無人航空機10の絶対飛行速度を無人航空機10搭載のGPS測定値や地上からのレーダ、レーザ等を用いた位置計測値などで求める。また、その際の風速を地上に設置した風向風速計で測定し、この測定値と無人航空機10の絶対飛行速度とを用いることで、相対飛行速度を求めることができる。
そして、降下煤塵の空中濃度測定算出時の精度向上のため、測定対象空域52での飛行時間は、測定対象空域52までの往復に要する飛行時間よりも十分に長いことが好ましい。
(降下煤塵の空中濃度算出方法)
測定対象空域52での飛行から帰還した無人航空機10の煤塵検出部32であるフィルタを地上で回収し、フィルタから捕集された降下煤塵の総質量、または、総体積を、例えば秤量や画像処理計測により測定する。
また、無人航空機10で記録した各記録時刻での無人航空機10の位置情報から飛行経路26の時系列記録値の分析し、無人航空機10が測定対象空域52を飛行した測定対象空域飛行時間を求める。あるいは、無人航空機10が測定対象空域52を飛行した時間を地上24からの観察によっての計測し、その計測結果から、無人航空機10が測定対象空域52を飛行した測定対象空域飛行時間を求める。
さらに、ファン42およびブロワまたは圧縮機からなる促進部40の吸引流量の設定値または計測値から煤塵採取口34での吸引流量を求める。ブロワまたは圧縮機の流量は、フィルタの閉塞度合いによって飛行中に変動すること、およびこの流量がファン流量に比べて十分に小さいことから、煤塵採取口34での吸引流量をファン42の吸引流量としてもよい。
これらの結果を用いて、次式から測定対象空域52における降下煤塵の空中濃度の平均値を求める。
[降下煤塵の空中濃度]=[補正係数]×[降下煤塵の総質量(総体積)]/([測定対象空域飛行時間]×[煤塵採取口での吸引流量])
ここで、「補正係数」は、上記の等速級吸引条件からの偏差に対応する降下煤塵濃度の補正係数であり、等速吸引の場合には、補正係数は、「1」である。降下煤塵量(降下煤塵の下向き鉛直流束)を求める場合には、降下煤塵濃度に代表的な降下煤塵の落下速度(例:平均粒径とストークス則を用いて計算できる)を乗じればよい。
(本実施形態の第1の特徴)
この無人航空機10は、煤塵採取口34の開口方向へ向けて無人航空機10を前進飛行させることで、煤塵採取口34が移動した範囲の大気を掃引し、この掃引範囲の大気中の降下煤塵を煤塵流路54へ送ることができる。
この際、煤塵採取口の下流端から吸引を行い、その大気吸引流量を次式で示す。
[大気吸引流量]=[煤塵採取口の開口断面積]×[無人航空機の飛行速度]
これにより、進行方向Fの大気の風成分が十分に小さい場合でも、煤塵採取口34にて等速吸引もしくは等速吸引的な効果を発揮することができ、掃引大気中の降下煤塵のほぼ全量を、そのまま煤塵採取口34内に導入することができる。このため、大気のサンプリングに関する計測誤差を小さくすることができる。
すなわち、降下煤塵の鉛直流束(地表への沈着速度)を測定する従来の降下煤塵の計測方法では(前記した特許文献1、2)、煤塵採取口34は、大気に対して実質的な吸引を行わない。このため、大気中の降下煤塵濃度を直接に測定することはできない。また、沈着速度を大気中の濃度に換算することはできるが、粒子によって粒子落下速度が大きく異なるため、その精度は高くない。
また、煤塵採取口34に大気の風が自然に流入する構成の従来の降下煤塵の計測方法では(前記した特許文献3、4)、大気の積極的な吸引を行わない。このため、大気の風の風速が小さいときには降下煤塵を煤塵計測機に導入することができず、大気中の煤塵濃度を常に計測できるわけではない。
これらに対して、本実施形態では、無人航空機10の飛行によって大気を掃引する。このため、無風状態の大気であっても大気中の降下煤塵濃度を計測することができる。
また、航空機の機体外面に煤塵の沈着面を設けて煤塵を捕集する方法では(前記した非特許文献2)、機体周囲の降下煤塵濃度と沈着面への沈着速度の関係が明確ではないため、大気中の降下煤塵濃度を高精度で測定することはできない。
煤塵採取口34の下流側で吸引を行わない方法では(非特許文献3)、煤塵採取口34は、実質的に掃引領域で大気の多くを排除しながら前進するため、排除された大気に随伴して、掃引領域内の特に比較的小径の降下煤塵が煤塵採取口34に流入しにくくなる。このため、大気のサンプリングに関する計測誤差が大きいという問題がある。
また、市販の作業環境計測用の光散乱式煤塵濃度計を用いる場合、大気を単純に吸引する。このため、煤塵採取口34から流入する降下煤塵量は、大気中の降下煤塵濃度と定量的で固定的な関係を示さず、大気のサンプリングに関する計測誤差が大きいという問題がある。
このように、従来技術では、降下煤塵を高精度にサンプリングすることができなかったが、本実施形態では、降下煤塵を高精度にサンプリングすることができる。
(本実施形態の第2の特徴)
本実施形態では、煤塵採取口34から吸引した大気を、煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタで高濃度空気44と低濃度空気46に分離し、高濃度空気44を煤塵検出部32であるフィルタへ供給するとともに、低濃度空気46をファン42で外部へ排出する。これにより、所要の大流量の大気を処理する降下煤塵計測装置を小型の無人航空機10に搭載可能なレベルまで小型軽量化することができる。
典型的な大気中の降下煤塵の個数濃度は、エアロゾルに比べて極端に小さい。このため、局所での降下煤塵濃度の計測値が統計的に有意であるためには、より大量の大気を計測装置内に導入して所要数の降下煤塵を採取する必要がある。統計的に有意な煤塵個数とは、1つの濃度測定値に対して、平均的に、少なくとも1個以上の降下煤塵が採取される必要がある。
すなわち、一定流量で大気のサンプリングを行って一定時間ごとに採取された降下煤塵数のデータそれぞれを降下煤塵濃度に換算する際、各サンプリングで検出される降下煤塵個数の期待値が1未満であると仮定する。この場合、特定のサンプリングで降下煤塵が1個検出され、別のサンプリングで1個も検出されない場合、次の問題が生じる。
降下煤塵が1個検出された場合と1個も検出されない場合とにおいて、対応する大気中の位置での降下煤塵濃度差によるものか、大気中の降下煤塵濃度は一様であるが大気中にランダムに存在する降下煤塵がたまたま検出されたのか判別できない。
また、濃度測定値の代表性の観点から、1つの濃度測定値に対して、平均的に少なくとも10個以上、好ましくは、30個以上の降下煤塵が採取されることが好ましい。これにより、サンプルした降下煤塵数の平均値と、大気サンプル箇所に対応する位置での真の降下煤塵数濃度平均値との差の期待値を十分小さくする。
粒子径が30μmの典型的な降下煤塵の場合、都市域での典型的な降下煤塵量である1t/kmの降下煤塵量の生じる場所での降下煤塵の大気中での数密度は、約1000個/mである。10個以上の降下煤塵を採取するためには、10L以上の大気を計測機に導入する必要があることになる。
数分〜数十分の飛行時間で数十〜100m程度の小規模な降下煤塵プルームを識別可能な空間分解能で計測をするため、10個以上の降下煤塵を10箇所/minの頻度(飛行速度5m/sの場合、30mの空間分解能に相当)で採取しようとする。この場合、計測機に導入すべき大気流量は、100L/min以上必要である。従って、大気の吸引流量は、100L/min以上であることが好ましい。
しかし、このような大流量の大気中の降下煤塵を直接、フィルタで捕集した場合、フィルタでの圧力損失が過大になってフィルタを破損する問題を生じる。また、フィルタの破損を回避するために、フィルタ面積を大きくするとフィルタ装置が巨大化して小型の無人航空機には搭載できなくなる。
また、後述する第二実施形態で用いるパーティクルカウンタで100L/min以上の大気中の煤塵を直接検出しようとすると、大型のパーティクルカウンタが必要となり、小型の無人航空機10の許容重量(質量)を超えてしまう虞がある。市販のパーティクルカウンタの重量(質量)を考慮すると、小型の無人航空機10に搭載可能なものは、処理流量が数L/min以下のものに限られる。
そこで、本実施形態では、吸引した100L/minレベルの大気を、煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタで分離して濃縮し、数L/minレベルの高濃度空気44として、煤塵検出部32を構成するフィルタに供給することで、この問題を解決した。
(本実施形態の第3の特徴)
煤塵濃縮器38であるバーチャルインパクタは小型軽量である。そして、この煤塵濃縮器38の低濃度空気流出路50に吸引用のファン42を設け、吸引装置を小型の無人航空機10に搭載可能なレベルまで軽量化するとともに、所要の計測時間応答性(約数秒)を満足した。
まず、軽量化の効果について説明する。ファン42の特徴は、装置重量(質量)当たりの吸引流量がブロワや圧縮機に比べて一般に小さい。また、ファン42は、揚程の能力がブロワや圧縮機に比べて著しく小さい。
本実施形態では、ファン42として単段の軸流ファン、特に、10000rpm以上の回転数のものを用いることによって所要流量を満足するための羽根の直径を小さくでき、一層、軽量化できる。但し、小型で単段の軸流ファンでは、構造上、所要流量(100L/min)を実現可能な揚程である約100Paを大きく超えることは困難である。
従来の煤塵計測装置においては、大気の吸引を行う際に少なくとも1000Pa(1kP)以上の吸引装置が必要であった。例えば、小型の無人航空機10に搭載可能な小型フィルタ(例:直径100mm)を流路の途中に配置して粒子を捕集する方式の場合、100L/minの流量をフィルタに通過させれば、通常、数kPaの圧力損失が生じる。このため、これに対応する促進部40であるブロワまたは圧縮機を用いることが必要である。
また、バーチャルインパクタを用いる場合であっても、従来、吸引装置にはブロワまたは圧縮機のみが用いられてきた。
その理由は、第1に、従来の煤塵測定装置では低濃度側の流出口の下流に通常、フィルタを配置する構造であるため、低濃度空気流出路50でも数kPa以上の圧力損失が生じる。
第2に、低濃度空気流出路50にフィルタを配置しない場合であっても、従来の据え置き式煤塵測定装置においては、装置構造を簡略化するために、一般に低濃度空気流出路50の吸引装置を高濃度空気流出路48の吸引装置と共用し流量制御が行われていた。このため、高濃度空気流出路48における吸引装置の必要条件からブロワまたは圧縮機が用いられる。この場合、吸引装置の重量(質量)は増大するが、据え置き式の装置ではあまり問題視されてこなかった。
第3に、仮に、低濃度空気流出路50の吸引装置を高濃度空気流出路48の吸引装置と別に設け、低濃度空気流出路50にフィルタを設けないとしても、従来のバーチャルインパクタは低濃度側の吸引装置に500Pa以上の揚程が必要である。このため、単段の軸流ファンを適用することはできない。
一方、バーチャルインパクタには、次の欠点がある。第一に、粒子の分級装置として適用可能な流量範囲が比較的狭い(特に、大流量側の制約が大きい)。第二に、分級装置内での流路が他の方式よりも短いため、分級装置内でより強い慣性力を与える必要がある(即ち、同じ大きさの粒子を分級するためには分級装置内でより高速な気流を発生させることが必要である)。このため、工業的には、主として粒子の50%分離直径が5〜7μm以下の粒子(例えば浮遊粒子状物質用やPM2.5用)の分級に適用されてきた。
これより大きな50%分離直径の場合、特に、20μm以上の場合、バーチャルインパクタと同様に乾式分級方式が可能なサイクロンセパレータ等の連続式分級装置が専ら適用されている。50%分離直径が5〜7μm以下の分級ではサイクロンセパレータでは効率的に分級できないので、バーチャルインパクタが適用され得る。
バーチャルインパクタでは吸引粒子の慣性力を利用して粒子の分級を行うので、表面力に対して慣性力の影響が大きな流速を生じさせる必要がある。従来のバーチャルインパクタでは、いずれも5〜7μm以下の分級を行っていたので、20m/sを超える流速(約240Pa以上の動圧)を発生させる必要があった。このため、バーチャルインパクタ装置内の形状抵抗等によって一般に500Pa以上の圧力損失が発生することが避けられなかった。
本実施形態では、軽量化のために低濃度空気流出路50の吸引装置として、大流量時には100Pa程度までの揚程しか期待できない軽量ファンを用いることが必要である。このため、数m/sの流速があれば本実施形態が対象とする分級性能である10μm超の粒子を分離可能なサイクロンセパレータを適用することが考えられる。
しかし、本発明者が実験したところサイクロンセパレータを用いる場合には吸引された降下煤塵が分級器内壁に付着して少なくともすぐには煤塵濃度計に粒子を供給できない粒子の割合の大きいことが判明した。この現象は、サイクロンセパレータ内での流速をファン42の限界能力である約12m/sにしても改善しなかった。
これは、サイクロンセパレータでの流路は広いので広範囲に降下煤塵が吸着するのに対し、サイクロンセパレータ内で高速化可能な領域はごく一部に限られ、一旦、壁面に付着した粒子は容易には再飛散できないからである。このことは、数秒〜数十秒程度の時間分解能での煤塵濃度計測が必要な本実施形態の所要性能からみて問題が生じ得る。
そこで、本発明者らは、フィルタ等の大きな通気抵抗を排除した配管系をバーチャルインパクタの低濃度側流出口に接続し、限界流速である約12m/sといった従来のバーチャルインパクタの設定流速に比べて極端に小さい流速で降下煤塵の分級を行った。その結果、50%分離粒径として約14μmが得られ、かつ、10μmの粒子であっても約10%の粒子を高濃度側に分離できる(即ち分級効率が10%)ことが判明した。
本実施形態が対象とする降下煤塵の定義は、直径10μmを超える粒子であり、このような粒子の判別は、例えばパーティクルカウウンタ等の煤塵濃度計の検知しきい値を調整することで可能である。また、バーチャルインパクタの分級効率は、流速一定の条件で実験などによって予め求めることができる。従って、ある粒径での煤塵濃度計による煤塵濃度測定値が得られれば、この値にバーチャルインパクタの分級効率を補正することによって、直径10μm超の粒子の濃度値を正確に求めることができる。
次に、計測時間応答性の効果について説明する。本発明者らのバーチャルインパクタを用いた分級試験では、煤塵採取口34から流入した降下煤塵は少なくとも数秒以内、その大半は1秒以内に煤塵濃度計に到達することがわかった。
これは、バーチャルインパクタ内での流路が短く、かつ、狭いため約12m/s程度の流れを分級装置内で生じさせれば、分級装置内の少なくとも高濃度側流路内においては、至る所でこの流速に近い比較的高速な流れ場となる。このため、高濃度側流路内の煤塵が流路壁に付着したとしても容易に再飛散するからと考えられる。
低濃度側流路では、構造上、流れが低速化するので、壁面に付着した粒子が直ちに再飛散するとは限らないが、本実施形態では低濃度側流路の煤塵の測定を行わないので問題ない。このように、本実施形態では所要の時間応答性で降下煤塵濃度を測定することができる。
これに対して、同様の条件でバーチャルインパクタの代わりにサイクロンセパレータを用いた場合、サイクロンセパレータ内に進入した降下煤塵粒子のうち、少なくとも30%以上の粒子が壁面に付着した。また、降下煤塵の供給を止めた後にも吸引を続けた際には、供給停止後5分間にわたってサイクロンセパレータ内に付着した粒子の再飛散が生じて煤塵濃度計に到達した。
このように、煤塵採取口34から流入した降下煤塵が煤塵濃度計に至るまでの時間は、サイクロンセパレータにおいては不定であるため、サイクロンセパレータを用いた場合の計測時間応答性は、定義できないことがわかった。
これらから、本実施形態にあっては、大流量の大気を処理可能であって計測時間応答性も高い管路系装置28を軽量とすることで、管路系装置28の小型の無人航空機10への搭載可能となり、降下煤塵の空間濃度分布を正確に測定することができる。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態の無人航空機10は、煤塵採取口34の開口方向へ向けて無人航空機10を前進飛行させることで、煤塵採取口34が移動した範囲の大気を掃引し、この掃引範囲の大気中の降下煤塵を煤塵流路54へ送ることができる。
この際、大気吸引流量は、煤塵採取口の開口断面積に無人航空機の飛行速度を乗算した値になるように設定されている。
このため、進行方向Fの大気の風成分が十分に小さい場合でも、煤塵採取口34にて等速吸引もしくは等速吸引的な効果を発揮することができ、掃引大気中の降下煤塵のほぼ全量を、そのまま煤塵採取口34内に導入することができる。これにより、大気のサンプリングに関する計測誤差を小さくすることができる。
小型の無人航空機10は、煤塵採取口34より流入した空気を、煤塵濃縮器38によって降下煤塵濃度の高い高濃度空気44と、降下煤塵濃度の低い低濃度空気46に分離する。そして、調査対象としない低濃度空気46は、ファンに42よって煤塵濃縮器38から流出する。
一方、調査対象とする高濃度空気44が通流する高濃度空気流出路48では、降下煤塵を煤塵検出部32であるフィルタで検出する。このため、通流抵抗が大きくなり、吸引力が大きなブロワ又は圧縮機からなる促進部40が必要となる。
ここで、煤塵採取口34より流入した空気のうち調査対象としない低濃度空気46は、ファン42によって煤塵濃縮器38からの流出されており、高濃度空気流出路48での通流量は、抑制される。このため、煤塵採取口34より流入した空気の総てをブロワ又は圧縮機からなる促進部40によって通過を促進しなければならない場合と比較して、促進部40を構成するブロワ又は圧縮機を小型化することができ、軽量化を図ることができる。
これにより、小型の無人航空機10に、より大流量(例えば、100 L/min以上)の大気サンプリング装置、特に、吸引装置を搭載可能となる。
したがって、分解能を犠牲にすることなく、降下煤塵の空間濃度の計測が可能となる。
また、煤塵濃縮器38をバーチャルインパクタで構成することで、吸引装置をより軽量化できるとともに煤塵濃縮器内壁への降下煤塵の付着による測定応答性の悪化を抑制できる。
<第二実施形態>
図4は、第二実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態は、主に搭載機14に計測系装置30を追加した点や、降下煤塵の濃度算出方法が第一実施形態と異なる。
(管路系装置)
管路系装置28には、降下煤塵の量を連続的に測定する検出部の一例である連続計測手段60が設けられている。この連続計測手段60は、煤塵濃縮器38とフィルタ62との間に設けられ、高濃度空気流出路48を通過する高濃度空気44内の降下煤塵を計測する。連続計測手段60の計測値は、検出値処理部72で処理され、後述する計算機70へ送られる。連続計測手段60及び検出値処理部72によって降下煤塵濃度検出機74が構成される。
(計測系装置)
計測系装置30は、少なくとも、時刻計測手段64、無人航空機10の位置を計測する位置計測手段66、並びに、データ記録手段68を備えている。
時刻計測手段64としては、時計や、GPS等の現在時刻を含んだ信号の受信装置およびこの信号を解読して時刻に変換する装置の組み合わせや、計算機70の内部時刻等を用いることができる。
無人航空機10の位置計測手段66としては、例えばGPSや、ジャイロコンパス・加速度計・角加速度計等を組み合わせて用いた慣性式位置測定装置等を用いることができる。位置計測手段66をGPSで構成する場合、GPSは、GPSアンテナ66Aを備える。
データ記録手段68としては、計算機70が備えるハードディスク等のストレージを用いることができる。また、無人航空機10からデータを無線で送信して地上24に設置したデータ記録装置に記録する場合、地上24に設置したデータ記録装置でデータ記録手段68を構成することができる。
また、時刻計測手段64や位置計測手段66が無人航空機本体12に存在する場合には、必ずしも搭載機14にこれらの装置を設ける必要はない。しかし、降下煤塵の空中濃度分布を高精度に求めるためには、降下煤塵の量の計測時刻と無人航空機10の位置測定時刻の対応を厳密に記録する必要がある。
この観点からは、同一の時計を用いて、降下煤塵量の計測時刻と位置情報の計測時刻とを記録することが有効である。例えば、降下煤塵の量の計測値および無人航空機10の位置の計測値のデータ送信を、搭載機14上の同一の計算機70に対して行い、受信時の計算機70の内部時刻を時刻計測手段64として用いる。これにより、それぞれの装置が持ち得る固有の計測時刻とは無関係に、降下煤塵の量の計測時刻と位置計測手段66の計測時刻を精度よく対応付けることができる。
(降下煤塵濃度計測機)
降下煤塵の量の連続計測手段60は、乾式の測定法であることが好適であり、ベータ線吸収式質量計、パーティクルカウンタ、または、TEOM原理を用いた質量計等の市販のもの等を用いることができる。
パーティクルカウンタは、採取された粒子に照射された光の散乱光強度を検出および計測することにより、通過した粒子の数および大きさをそれぞれ測定することができる。この情報をもとに、個々の粒子の体積を算出することができる。このため、これを単位時間ごとに集計することで、採取された粒子の総体積を降下煤塵として求めることができるとともに、採取された粒子の粒径分布を求めることができる。
降下煤塵の解析においては、落下速度に大きな影響を与える粒径の情報を得ることが特に有益である。このため、粒径分布を求めることが可能なパーティクルカウンタを用いることがより好ましい。降下煤塵の量の連続計測手段60での時間分解能は、飛行時の空間分解能を数十m以下に維持できるように1分以下であることが必要であり、10秒以下であることが好ましい。
ベータ線吸収式質量計は、質量を測定できる点で利点である。なお、PM2.5等の測定において一般的に用いられる各種計測機、例えば、連続式の光散乱式煤塵濃度計(労働環境測定において規格化されたもの等)では、本実施形態での測定対象である降下煤塵のように粒子の比表面積と大気中の粒子個数密度の小さな粒子を正確に測定することは、困難である。
(降下煤塵の濃度算出方法)
無人航空機10の測定対象空域52での飛行中において、同一時刻に対応する降下煤塵の量と無人航空機10の位置の測定値とを常に記録する。この記録されたデータに対して、飛行中に、または、事後的に次式を用いて降下煤塵の濃度を算出する。
降下煤塵の濃度=降下煤塵の量/(ファン吸引流量×降下煤塵の量の連続計測手段の時間分解能)
この降下煤塵量を上記記録された無人航空機10の位置と対応付けることによって(降下煤塵の量の測定タイミングと同じ時刻における無人航空機10の位置を互いに対応付ける)、降下煤塵濃度の空間分布が求められる。
このデータ処理は、演算手段として、無人航空機搭載の計算機、または、オフラインの計算機上にソフトウェアを構築し、自動的または手動起動によって行う。また、このデータ処理を手計算によって行ってもよい。
(本実施形態の特徴)
本実施形態では、煤塵濃縮器38を構成するバーチャルインパクタからの高濃度空気流出路48に連続計測手段60を設けることで、降下煤塵の空中濃度をリアルタイムで測定することができる。その結果、一回のフライトで連続的に測定した降下煤塵量のデータから、その飛行経路に沿った降下煤塵濃度分布を算出することができる。
特に、連続計測手段60の1形態であるパーティクルカウンタを用いる場合、装置をより軽量化できるとともに、機械的可動部を有しないため飛行時に不可避的に生じる振動に対する耐性も高いため、小型無人航空機10への搭載に有利である。
パーティクルカウンタ自体は特定の粒径範囲の粒子について計測機を通過する時間当たり個数を計測するものであるが、粒子の代表径から粒子体積を算出し、これに時間当たり通過個数を乗じれば、実質的に降下煤塵の体積流量を測定したことになる。
また、大気の吸引流量は、ほぼファン42の吸引流量に等しく、この流量変化は小さいので、単位時間当たりの降下煤塵流量をファン42の吸引流量で除すれば、実質的に、吸引した大気中の降下煤塵濃度を計測することができる。
ここで、連続計測手段60であるパーティクルカウンタは、高濃度空気流出路48に設けられており、パーティクルカウンタを通過する高濃度空気44は、降下煤塵濃度が著しく高い。このため、下流側の促進部40を構成するブロワや圧縮機が高濃度の煤塵によって作動不良を生じないように、パーティクルカウンタとブロワまたは圧縮機からなる促進部40の間に煤塵除去用のフィルタ62を設けることが望ましい。
通気抵抗体であるフィルタ62を用いることによる圧力損失に対応するため、高濃度空気流出路48には、揚程が少なくとも数kPa以上のブロワまたは圧縮機を設ける。この際、本実施形態では、バーチャルインパクタによって低濃度空気46が分離されており、フィルタ62の通過流量を低減することができる。このため、ブロワまたは圧縮機に小容量で軽量のものを用いることができる。
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用効果に加えて、一回のフライトで複数の空間点での降下煤塵濃度を得ることができる。
また、本実施形態では、連続計測手段60にパーティクルカウンタを用いる場合、降下煤塵濃度に加えて降下煤塵の粒径分布を測定することができ、より詳細な解析に適用可能なデータを供することができる。
<第三実施形態>
図5は、第三実施形態を示す図であり、第一実施形態及び第二実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、風の影響を考慮した測定を行う。本実施形態は、無人航空機10と大気との相対速度における進行方向成分をモーションセンサ84を用いて測定する相対速度測定手段80および相対速度記録手段82が追加された点で第二実施形態と異なる。
飛行中の無人航空機10と大気との相対速度のうち無人航空機10の進行方向成分は、無人航空機10の飛行速度から、無人航空機10の進行方向Fへ向けた周囲の風の速度を(以下、風成分という)を引いたものである。なお、無人航空機10の進行方向Fと風が同じ方向である場合は追い風であり、逆の場合には向かい風になる)。
風成分が飛行速度に比べて十分に小さくない場合には、煤塵採取口34に流入する降下煤塵量は、等速吸引条件とは異なるものになる。すなわち、風の有無によらずにファン吸引流量は、ほとんど変化せず、煤塵採取口34における流入速度が一定である。これに対して、煤塵採取口34の無人航空機10の進行方向F上流側において、風の増減に応じて無人航空機10と周囲大気の相対流速に増減が生じ、煤塵採取口34での流入速度とファン吸引流量とが異なる値になるためである。
その結果、風成分が負の場合(=向かい風の場合)、無人航空機10と周囲の相対流速とが煤塵採取口34における流入速度よりも大きくなる。すると、煤塵採取口34において、煤塵採取口34を無人航空機10の進行方向F上流へ投影しながら延長して周囲大気中に形成される領域のなかの一部の大気が煤塵採取口34によって排除され煤塵採取口34に流入できなくなる。
一方、この排除される大気領域中に含まれる特に粗大な粒子の大半は、その慣性によって排除される大気の流れに十分には追従せず、そのまま煤塵採取口34に進入する。その結果、煤塵採取口34に進入する煤塵量は、等速吸引時よりも多くなる。
これに対して風成分が正の場合(=追い風の場合)、上記の煤塵採取口34を無人航空機10の進行方向F上流側へ投影しながら延長して周囲大気中に形成される領域以外からも大気が吸引され煤塵採取口34に流入する。その結果、粗大な粒子の一部が大気流れの変化に追従できず、煤塵採取口34に流入できない。これにより、煤塵採取口34に進入する煤塵量が等速吸引時に比べて減少する。したがって、風成分が大きい場合、等速吸引を仮定した煤塵濃度のモデル式では誤差が生ずる。
そこで、風成分が煤塵濃度に与える影響を補正する。その補正の方法としては、降下煤塵の量の計測値に対して補正係数γを乗じた上で濃度を算出することによって風の影響による流入煤塵量の増減を補正する。
補正係数γを求める方法は、例えば、γを風速度と煤塵粒径の関数として表現し、例えば、次式のようにモデル化する。そして、オフラインでの試験、または、数値解析等を用いて、この関数を調整する。具体的に、次式の場合、C、C、Cを決定する)。
γ={C+(1−C)(飛行速度−風速度)/飛行速度(煤塵粒径)}
=C×D+C
:煤塵粒径、C、C、C:モデル定数
このように、瞬時の風成分を正確に把握することによって降下煤塵濃度の測定精度を向上することができる。
瞬時の風成分を正確に把握する手段として、本実施形態では、無人航空機10の飛行中の大気との相対速度のうち無人航空機10の進行方向成分を測定する相対速度測定手段80を用いる。相対速度の値が分かれば、これから瞬時の飛行(対地)速度を減ずることによって風速度を求めることができる。
瞬時の飛行(対地)速度を求める方法には、例えば、単位時間当たりの無人航空機10の位置の移動量をGPS等で測定して用いる。
相対速度測定手段80には、マルチコプタの場合、例えば、無人航空機10の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角の値)の測定値(大半の無人航空機では姿勢計を搭載してそのデータをもとに姿勢制御を行う)から算出することができる。なぜならば、マルチコプタの姿勢は、通常、周囲の風環境のなかで、所要の対地速度を維持するように制御されるからである。
同じ飛行速度であっても追い風がより大きい場合には、無人航空機のピッチ角は、より小さな値になるように制御される。従って、ピッチ角の大きさが分かれば、風の向き及び強さ概略推定できる。より正確に推定するためには、ロール角とヨー角の影響も反映すればよい。これらの影響に関する式は、各種のものが知られている。
この風の推定用の演算には、無人航空機10に搭載の計算機、または、オフラインの計算機を用いればよい。事後的に風補正値を算出する場合、または、事後的に風補正係数の妥当性を評価するために相対速度を記録しておく必要がある。相対速度記録手段82としては、計算機70のストレージ(ハードディスク等)を用いればよい。
なお、風成分の増減がファン吸引流量にほとんど影響を与えない理由は、次のとおりである。例えば、飛行(対地)速度4m/s(本実施形態での典型的な飛行速度条件)時に風成分が−3m/sの場合、等速吸引を行おうとすれば、ファン吸引流量を75%増大させる必要がある。
一方、煤塵採取口34における風による相対速度増大による風の動圧差は、高々、20Pa程度である。軸流ファンの流量−圧力特性曲線において、差圧数百Paでの操業時(本発明における典型的な差圧条件)にこの動圧差に相当する20Paの増圧を与えた場合の流量増分は、通常、数%以下であり、上記の所要増分75%には遠く及ばないからである。
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態及び第二実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態では、飛行中における進行方向Fでの大気との相対速度が記録されているので、この相対速度をリアルタイム、又は事後的に解析することで、風向きによって生じ得る測定値の誤差を補正することができ、より正確な降下煤塵濃度を得ることができる。
<第四実施形態>
図6は、第四実施形態を示す図であり、第一実施形態から第三実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態は、ファン42の回転数を変更して吸引流量を制御するファン制御手段90、ファン42の吸引流量を記録するファン流量記録手段92、ファン42の吸引流量を調整する流量調整手段94が追加された点で第三実施形態と異なる。
ファン制御手段90は、計算機70を用いて構成することができる。ファン制御手段90は、風向きによって変化する相対速度の計測値を相対速度測定手段80から取り込む。そして、ファン制御手段90は、煤塵採取口34でのファン吸引流速を、この相対速度値にするためのファン吸引流量(=所要ファン吸引流速×煤塵採取口の断面積(開口面積))およびファン回転速度を求める。次に、ファン制御手段90は、このファン回転速度となるためのファン42への供給電圧目標値を流量調整手段94に出力する。
所要のファン吸引流量から目標ファン回転数を算出する方法には、当該ファン42の流量−圧力−回転数の特性曲線をもとに公知の方法を用いればよい。
ファン流量記録手段92は、ファン制御手段90が定めた流量目標値の時系列変化を記録する。ファン流量記録手段92は、計算機70のストレージで構成される。
流量調整手段94は、ファン制御手段90からの目標回転数に従って、ファン42への供給電圧を変更する供給電圧変更装置で構成される。この供給電圧変更装置としては、例えば、市販の可変出力電圧型のDC−DCコンバータを用いることができる。あるいは、出力電圧一定のもとに単位時間当たりの電流の供給時間を調整する市販のスイッチ回路(PWM制御装置)を用いてもよい。
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態から第二実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態では、飛行中における進行方向Fでの大気との相対速度に煤塵採取口34の開口面積を乗算した乗算値に基づいてファン42の回転数を制御することで、煤塵採取口34での大気の吸引速度に合わせてファン42の回転数を制御することができる。
これにより、捕集する大気流量を常に一定に制御することができ、風向きによって生じ得る大気捕集量の変動に基づく測定誤差を抑制することができる。
第二実施形態の無人航空機10を用いて、上空での降下煤塵のサンプリングを行った。装置条件は、以下のとおりである。
(無人航空機本体)
機体形式: マルチロータ式無人航空機(6ロータ)
寸法: 直径1m
機体重量(質量): 5kg
フライトコントローラ: PIXHAWK(登録商標)
操縦: 無線機を用いた手動操縦および自動操縦(オートパイロット機能)
(搭載機)
第二実施形態で説明した図4の搭載機14又は第三実施形態で説明した図5の搭載機14で構成した。
重量(質量): 2.5kg
寸法: 300mm×300mm×200mm
煤塵採取口: 無人航空機の進行方向Fに延在する直径20mmの円管
煤塵濃縮器: バーチャルインパクタ
流入流速: 12m/s
フィルタ: 直径25mmのメンブランフィルタ(捕集径5μm、市販品)
圧縮機: 市販品。4L/min(最大)、揚程40kPa(最大)。2L/minおよび10kPaの条件で運転した。
ファン: 市販品。軸流単段式。最大16000rpm。流量500L/min(最大)、揚程300Pa(最大)、100L/minおよび揚程150Paの条件で運転した。
パーティクルカウンタ: 10μm以上の粒子の総数と大きさの分布を常時測定し、10s周期で出力(市販品)
位置検出: GNSS受信機。1s周期で位置情報を出力(市販品)
計算機: マイクロコンピュータ(市販品)。時刻計測(内蔵時計を使用)、パーティクルカウンタ測定値、GNSS測定値を有線で受信し、内蔵ハードディスクに保存。
電池: リチウムポリマバッテリ(市販品)
電源装置: 各装置に必要な電圧を、市販の電圧変換器を用いて供給した。
(試験条件)
オートパイロット機能を用いて、所定の飛行経路26を飛行させて時刻、位置、煤塵量を連続測定し、搭載機14のマイクロコンピュータ上に測定値を記録した。
飛行経路: 高度20m、水平距離200m
飛行条件: 進行方向Fに飛行。速度4m/s。
(降下煤塵濃度の算出)
無人航空機10の着陸後にマイクロコンピュータ上のデータを取り出し、データ処理して空間位置上の降下煤塵濃度分布を、粒径区分ごとに算出した。粒径約30μmの区分での濃度分布は、40mピッチ(飛行速度4m/s×バーティクルカウンタ出力周期10s)の空間位置上で5点、得られた。値は以下であった。
この結果から、高度20mで起点からの水平距離120〜160mの位置の風上方向に顕著な発塵源のあることが推定できる。
第三実施形態の図5で説明した搭載機14を有する無人航空機10を用いて煤塵濃度を測定した。
相対速度を検出する相対速度検出手段は、市販のモーションセンサ84(6軸式、ロール角、ピッチ角、ヨー角に変換した測定値を出力するもの)を用いた。
着陸後に計算機から回収したデータをもとに、ピッチ角から算出された進行方向Fの相対速度平均値は、3m/sであった(追い風1m/s)。
これから、降下煤塵濃度の補正係数を事前に調査した回帰式から求め、濃度補正係数0.85を得た。補正後の降下煤塵濃度分布は、以下のとおりである(比較のため、補正のない場合の降下煤塵濃度も併記する)。この例では、測定対象空域52内での分布差の小さいことがわかった。
第四実施形態の図6で説明した搭載機14を有する無人航空機10を用いて煤塵濃度を測定した。
ファン制御手段90は計算機70内に構築した制御ソフトウェアを、流量調整手段94は市販のファン供給電圧の変更装置(PWM装置)を用いた。モーションセンサ84の出力から流量調整手段94の設定までの処理の流れは、第四実施形態に記載したとおりである。これ以外の条件は、「実施例2」と同様とした。
測定領域飛行中の測定結果において、ピッチ角測定値から算出された進行方向Fの相対速度平均値は、3m/sであった(追い風1m/s)。その結果、ファン吸引流量の平均値は、75L/minに設定された。得られた降下煤塵濃度分布は、以下のとおりである。
10 無人航空機
14 搭載機
22 フライトコントローラ
26 飛行経路
28 管路系装置
30 計測系装置
32 煤塵検出部
34 煤塵採取口
36 採取部
38 煤塵濃縮器
40 促進部
42 ファン
44 高濃度空気
46 低濃度空気
48 高濃度空気流出路
50 低濃度空気流出路
52 測定対象空域
60 連続計測手段
64 時刻計測手段
66 位置計測手段
68 データ記録手段
70 計算機
72 検出値処理部
74 降下煤塵濃度検出機
80 相対速度測定手段
82 相対速度記録手段
84 モーションセンサ
90 ファン制御手段
92 ファン流量記録手段
94 流量調整手段

Claims (9)

  1. 大気中の降下煤塵を調査するための小型無人航空機であって、
    進行方向へ向けて開口する煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気及び降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離して流出する煤塵濃縮器と、
    該煤塵濃縮器からの前記高濃度空気に含まれた降下煤塵を検出する為の煤塵検出部と、
    該煤塵検出部における前記高濃度空気の通過を促進させるブロワ又は圧縮機からなる促進部と、
    前記煤塵濃縮器からの前記低濃度空気の流出を促すファンと、
    を備えた小型無人航空機。
  2. 前記煤塵濃縮器がバーチャルインパクタである請求項1に記載の小型無人航空機。
  3. 前記煤塵検出部は、降下煤塵の通過量を計測する連続計測手段を有し、
    時刻を計測する時刻計測手段と、
    飛行位置を計測する位置計測手段と、
    前記時刻計測手段で計測した時刻、前記位置計測手段により計測された飛行位置、及び前記連続計測手段で計測した通過量を関連付けて記録するデータ記録手段と、
    をさらに備えた請求項1又は請求項2に記載の小型無人航空機。
  4. 前記連続計測手段がパーティクルカウンタである請求項3に記載の小型無人航空機。
  5. 前記時刻計測手段で計測した時刻、前記位置計測手段により計測された飛行位置、及び前記連続計測手段で計測した通過量に基づいて、飛行経路上での降下煤塵の空中濃度分布を算出する演算手段をさらに備えた請求項3又は請求項4に記載の小型無人航空機。
  6. 前記ファンの吸引能力が、100 L/min以上である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の小型無人航空機。
  7. 前記進行方向における飛行中の大気との相対速度を測定する相対速度測定手段と、
    該相対速度測定手段で測定した相対速度を記録する相対速度記録手段と、
    をさらに備えた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の小型無人航空機。
  8. 前記煤塵採取口の開口面積及び前記相対速度を乗算した乗算値に基づいて前記ファンの回転数を制御するファン制御手段をさらに備えた請求項7に記載の小型無人航空機。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の小型無人航空機を用いて降下煤塵濃度の空中濃度を測定する降下煤塵濃度測定方法。
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