JP2011247609A - 気中粒子検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】降下塵を含んだ気体を収集する収集部に降下塵が滞留することがない装置を提供する。
【解決手段】気中を降下する粒子を含んだ気体を収集する収集部(3)と、この収集部(3)により収集された気中の粒子を計測する計測部(26)とを備え、収集部(3)にシースエアを発生させるシースエア発生手段(11)を有させると共に、収集部(3)と計測部(26)との間に慣性力による分粒を行うインパクタ(21)を配置する。
【選択図】図1

Description

この発明は気中粒子検出装置に関する。
浮遊降下塵の集塵範囲を広げるために計測部に降下塵を含んだ気体を導入する漏斗を設けているものがある(特許文献1参照)。
特開平10−123043号公報
しかしながら、漏斗の傾斜部に計測対象の粒子(降下塵)が付着すると、その付着した粒子は計測部に到達しないため、計測部で気中の粒子を正確に計測できない。
そこで本発明は、降下塵を含んだ気体を収集する収集部に降下塵が滞留することがない装置を提供することを目的とする。
本発明は、気中を降下する粒子を含んだ気体を収集する収集部と、この収集部により収集された気中の粒子を計測する計測部とを備えている。前記収集部にシースエアを発生させるシースエア発生手段を有させると共に、前記収集部と計測部との間で慣性力による分粒を行うインパクタを配置する。
本発明によれば、シースエアによって、計測対象の粒子が収集部に付着して滞留することがなくなる。さらに、シースエアによる余分な気体をインパクタで排除することにより、計測可能な流量を計測部に流入できるので、計測対象粒子の計測精度が向上する。
本発明の第1実施形態の気中粒子検出装置を分解して示す概略斜視図である。 漏斗の概略平面図である。 インパクタの通常の使用方法とインパクタの本実施形態の使用方法との違いを説明するための概略図である。 本実施形態のシースエア発生手段及びインパクタの効果を合わせて説明するための概略図である。 第2実施形態の漏斗の概略斜視図である。 第2実施形態のシースエア発生手段の一部拡大断面図である。 第3実施形態の漏斗の概略斜視図である。 図7に一点鎖線で示す断面で漏斗を上から見た概略平面図である。 粗粒子の漏斗での滞留を説明するための概略図である。 従来装置による粗粒子の計測方法を示す概略図である。 従来装置による粗粒子の計測方法を示す概略図である。
図1は本発明の第1実施形態の気中粒子検出装置1の概略斜視図、図2は収集部としての漏斗3の概略平面図である。ただし、図1では気中粒子検出装置1の構成要素を分解して示している。気中粒子検出装置1は、漏斗3、シースエア発生手段11、インパクタ21、計測部26からなっている。
計測対象は空気中を降下する粒子(以下「降下塵」ともいう。)である。この降下塵を含んだ空気を吸い込ませるため、計測部26内部にブロアやポンプを備えている。降下塵の計測に際しては、このブロアやポンプを駆動することで、降下塵を含んだ空気は鉛直上方より漏斗3、インパクタ21を経て計測部26へと吸い込まれる。
漏斗3は、降下塵を含んだ空気を収集するものである。鉛直上方に開口するコーン状部材4と、コーン状部材4のすぼまる下方に接続される円筒部材5とからなっている。本実施形態では、降下塵を、後述するように相対的に小さい径の微粒子PS(第1粒子)と相対的に大きい径の粗粒子PL(第2粒子)とに区別して扱うこととなる。このため、鉛直上方に向けて開口しているコーン状部材4にこれら微粒子PS及び粗粒子PLの2種類の粒子が落下してくる。この上方より落下してくる微粒子PS及び粗粒子PLは、コーン状部材4の内壁4aに衝突した後、内壁4aに沿って落ち下方の円筒状部材5へと導入される。
漏斗3によって収集される降下塵は、滞りなく経路を通過して計測部26にまで運ばれることが理想である。これは、コーン状部材4の内壁4aに滞留した降下塵は計測部26で計測されないことになり、正確に降下塵を計測できなくなるためである。
降下塵の漏斗3への滞留の原因としては降下塵の粘着性がある。降下塵に例えばグリスが付着していれば、コーン状部材4の内壁4aに衝突したあとその位置に降下塵が滞留し、下方へと落下していかない。また、コーン状部材4の内壁4aに付着しないまま降下塵が円筒状部材5まで運ばれたとしても、円筒状部材5の内壁に付着し、その位置で滞留することも考えられる。これらの場合に、計測対象の降下塵の欠損が生じる。
コーン状部材4や円筒状部材5の内壁での降下塵の滞留を防止するため、本実施形態では、シースエア発生手段11を備えている。シースエア発生手段11は、漏斗3(収集部)の開口端4bの全周に設けられ、コーン状部材4の内壁4aに沿う均一な層が形成されるように清浄空気(クリーンエア)を吐出する機構である。当該機構は、ノズル12、供給配管、エアポンプ13から主に構成されている。
詳細には、コーン状部材4の上方開口端4bに周方向に等間隔で複数の先細ノズル12がその先端12aを下方に向けコーン状部材4の内壁4aに沿うように設けられている。エアポンプ13で清浄空気を加圧し、その加圧空気を供給するメイン空気供給管14には、開口端4bを取り囲むように設けられている環状管15が接続され、この環状管15から分岐する枝管16に各ノズル12の末端が接続されている。このため、エアポンプ13からの加圧空気は、メイン空気供給管14、環状管15、枝管16を介して各ノズル12に供給され、各ノズル12の先端12aから加圧空気がコーン状部材4の内壁4aに沿って噴出する。
図1のようにノズル先端12aから、ノズル12の軸心12bを中心として所定の噴射角を有する円錐状の空気12cが噴射されると、図2のように各円錐状の空気12cが互いに重なり合いコーン状部材4の内壁4aに沿って広がり、円筒状部材5へと流れる均一な層流を形成する。図2ではノズル先端12aからの噴射角を比較的狭く描いているために、開口端4b付近に空気による層流が形成されておらずコーン状部材4の内壁4aが露出している部分があるが、この露出部分はノズル先端12aからの噴射角を広くすることによってあるいはノズル12の数を増やすことによって減らすことができる。このようにして、コーン状部材4の内壁4a全体を被覆する層流を形成できる。
このように空気による層流をコーン状部材4の内壁4aに沿って均一な厚さで形成することで、鉛直上方よりコーン状部材4へと落下してくる降下塵は、この空気による層流によって、コーン状部材4の内壁4aに付着することなく、円筒状部材5へと押し流されることとなる。
この場合、コーン状部材4の内壁4aだけでなく、収集部としての漏斗3から計測部26の空気入口26aまでの経路の内壁面に空気による層流が形成され、降下塵の計測中ずっと層流が維持されるようにする。層流を維持させるには、漏斗3から計測部26の空気入口26aまでの経路(絞り(レデューサ)を含む)で臨界レイノズル数(Re)を超えることがないようすることである。特に円筒状部材5での断面積の減少により層流の流速が増したり層流の厚さが増えたりすると、臨界レイノズル数(Re)が増加する。そうならないように、円筒状部材5から計測部26の空気入口26aまでの経路の内壁にも層流が形成・維持されるようにノズル12の数、ノズル先端12aの形状、ノズル先端12aから噴出させる清浄空気の流量等を設定する。
このように、漏斗3から計測部26の空気入口26aまでの経路の内壁面に層流を形成・維持することで、漏斗の内壁4aに降下塵が付着することを防止する。これによって降下塵が粘着性を有していても、計測対象の降下塵の欠損を防止できる。なお、密度差による保護層効果を付与するため、空気よりも重い気体を層流の形成のために使用することが好ましい。
さて、従来から、環境に存在する浮遊塵(「パーティクル」ともいわれる。)を計測する手法としてパーティクルセンサ(パーティクルカウンタや粉塵計ともいわれる)が一般的に使用されている。これらはクリーンルーム等の清浄度を測定するために、主に1〜5μmサイズの粒子(以下「微粒子」という。)に計測範囲を設定されていることが多い。半導体の製造工程では当該の微粒子が直接生産歩留まりに影響するため、妥当な設定値であるということができる。しかしながら、5〜100μmサイズの粒子(以下「粗粒子」という。)が製品に対し、欠陥となる工程も多く存在する。例えば、電子回路の半田ヒュームが固体化したものが製品に落下し汚染物(コンタミネーション)化することや、自動車塗装面に付着した粗粒子が“ぶつ“の原因となること、さらには、二次電池製造工程における金属片の混入による不良などである。本発明ではこのような粗粒子は一般に空気中を落下(降下)するため、環境に存在する浮遊塵と区別し、「降下塵」と称する。
パーティクルセンサとしては今まで計測対象としてこなかった粗粒子(降下塵)を効果的に計測する手法としては、既存のパーティクルセンサの計測範囲を相対的に小さい径の微粒子から相対的に大きい径の粗粒子に変更して使用することが効率的(技術的に用意に可能)であるものの、いくつかの問題がある。
仮に製品上で粗粒子が発生したとして、その発生・降下の状態をパーティクルセンサで捕らえようとすると、粗粒子(降下塵)は、気体流れの影響を受けづらくなる(特に数十μmサイズのとき)ため、主として鉛直落下の挙動を示す。そのため、発生源の下部にパーティクルセンサの計測部を設定することになる。しかしながら、パーティクルセンサの計測部は一般に数mm〜数十mmであるため、計測対象である粗粒子(降下塵)を含んだ気体の全体を計測部に導流する漏斗(プローブ)等を設定する必要がある。これを従来技術により解決しようとすると、漏斗に粗粒子(降下塵)が落下・付着しその場に滞留することが起こる。これは漏斗の傾斜、凹凸または粗粒子(降下塵)自身の粘着性(もしくは粘着性のものが粗粒子(降下塵)に付着している)によるものである。このことにより計測部に計測対象である粗粒子(降下塵)の全てを通過させることができなくなり、正確な計測を行うことができなくなる。例えば、図9に示したように粘着性のある粗粒子(降下塵)は漏斗に滞留し計測部まで導かれることがないのである。このように粗粒子(降下塵)が落下することよる、漏斗等の収集部に発生する粗粒子(降下塵)の滞留のため、正しく計測できないという問題(第1の問題)があった。
さらに、計測部はその入口で計測に適した流速となるように漏斗等による導流を調整したとしても、計測部によって流量が制限される。計測部で流量が制限されるのは、その制限流量で計測部が設計されているためである。これにより、漏斗に向けて進入してくる気体を吹き返す、または過剰な流量による校正範囲の流速を超えたことによる計測精度の低下を誘発するといったことが起こる。例えば、図10に示したように漏斗に向かう空気のダウンフローが1000L/minある場合に、計測部の入口で20L/minに制限される場合を考えると、図11上段に示したように漏斗(収集部)から空気がオーバーフローしてしまう。一方、オーバーフローさせないように全て計測部に流すとすれば、図11下段に示したように計測部での流速が過度に大きくなり、異常計測が生じる。このように計測部の流量に制限があり、収集部からの粗粒子(降下塵)を含んだ空気の流量がこの流量に制限されてしまうため、正しく計測できないという問題(第2の問題)もある。
これに対して本実施形態によれば、シースエア発生手段11を備えさせる第1の工夫によって、上記第1の問題を解決できることになった。
ところで、生物分析などで液体内に細胞を浮遊させているサンプル液を計測器に流すときに、サンプル液が直接計測器に接触しないように流体力学的な特性(層流同士は混ざらない)を利用してサンプル液を包み込むように液体を流すことが行われている。このサンプル液を包み込む液体をシース液といってサンプル液と区別している。サンプル液の流れはサンプル流(Sample flow)、シース液の流れはシース流(Sheath flow)といわれる。以上は生物分析などにおける液体の流れについての考え方を述べたものである。以下では降下塵がコーン状部材4の内壁4aに付着しないように内壁4aに沿って層状に流す清浄空気(気体)を「シースエア」、この清浄空気により形成される層流を「シース流」という。また層状のシースエアを「シースエア層」という。
これを図4を用いて詳述すると、図4は本実施形態のシースエア発生手段11及び後述するインパクタ21の効果をイメージで説明した概略図である。
中央を計測対象エアが下方へと吸い込まれ、その計測対象エアを包むようにしてシース流が流れ、シースエア層が形成されている。図4ではこのシースエア層に影をつけている。計測対象のエア中に粗粒子PL及び微粒子PSが存在している。シースエア層を粗粒子PL及び微粒子PSが流れ方向と異なる向きに移動することはない。これによって漏斗3の内壁(つまりコーン状部材の内壁4a)に粗粒子PL及び微粒子PSが付着することを防止し測定対象の粒子の欠損を防止することができる。ここで、直接の計測対象はエア(空気)中の粗粒子であるが、この計測対象である粗粒子を含むエアを「計測対象エア」といっている。
次に、上記第2の問題に対する工夫(第2の工夫)を説明する。これはインパクタの用い方の工夫である。図3上段はインパクタ21の通常の使用方法を説明するための概略図、図3下段はインパクタ21の本実施形態の使用方法を説明するための概略図である。
インパクタ21は、漏斗3からのシースエア及び計測対象エアを導く直管23と、この直管23の全周に均等に配置される吸引口(排気口)とからなり、慣性力による分粒を行うものである。なお、直管23の全周に均等に配置される吸引口を図示することは困難であるため、図3ではこの吸引口を直管23から分岐する1つの吸引管24で、また図1、図4では左右2つの吸引管24で表すこととする。
管内の流れは実際にはその中心線を回転軸とした回転体のように均一である。このため、シースエア及び微粒子PSを含む余剰空気の分離に関し、吸引管24を直管23に対して左右の2箇所に設けたり1箇所にだけ設けたりしたのでは、シースエア及び微粒子PSを含む余剰空気を吸引しているところと、シースエア及び微粒子PSを含む余剰空気を吸引していないところとで空気流れに差異が生じてしまう。つまり、シースエア及び微粒子PSを含む余剰空気の吸引管は直管23の管周に均一でなければいけない。管周に均一な吸引管を図示するのが実際には困難であるため、図1、図4に示したように左右2つの吸引管24で、あるいは図3下段に示したように1つの吸引管24で代表させている。
先に、インパクタ21の通常の使用方法を説明する。図3上段においてシースエア及び計測対象エアを導入する直管23は、下方が開口している状態で収納箱22内に上下方向に配置されている。直管23の上端は円筒状部材5と接続される。直管23から水平方向に分岐する吸引管24は収納箱22の壁を貫通して外部に露出している。この吸引管24は空気吸引通路25を介して計測部26と接続される。
計測部26内部のブロアまたはファンを作動し吸引管24を介して計測対象エアを計測部26へと吸引する。すると、粗粒子PL及び微粒子PSは、計測器の上方より直管23へと吸い込まれる。粗粒子PLと微粒子PSとでは、慣性力が相違し、粗粒子PLのほうが微粒子PSよりも慣性力が大きい。この慣性力の相違により、粗粒子PLは直管23内を曲がることなく真下へと落下して排除され、微粒子PSのみが直管23から吸引管24へと曲がって入り込み計測部26へと吸引される。このようにして、粗粒子PLを慣性力により排除し微粒子PSのみを計測部26へと導き、微粒子PS(の数)を計測する。
一方、本実施形態では、微粒子PSではなく、微粒子PSより径の大きな粗粒子PLを計測することを目的としている。このため、図3上段に示したようなインパクタ21の通常の使用方法を用いることはできない。そこで、図3下段のようにする。すなわち、直管23の下端を収納箱22の下壁を貫通して外部に露出させ、空気吸引通路25を介して計測部26と接続する。吸引管24は収納箱22の横壁を貫通して外部に露出させ、空気吸引通路27を介してブロア28(またはファン)と接続する。ブロア28はシースエアの大部分および微粒子PSを含む余剰空気を吸引するためのものである。
この場合に、2種類の粒子PS、PLの慣性力の相違により、相対的に大きな径の粗粒子PLのほうは曲がることなく直管23内を真下へと落下して計測器26により計測され、相対的に小さな径の微粒子PSのほうは吸引管24、空気吸引通路27を介してブロア28により排除されるようにする。このように、本実施形態では、インパクタで行われる慣性力による分粒方式を逆手に利用して最適化する。
本実施形態のインパクタ21による分粒方法のよいところは、ブロア28によってシースエアの大部分及び微粒子PSを含む余剰空気を廃棄し、計測部26への空気流入量を減少させることができる点にある。計測部26においては通常は吸引流量あたりの粒子数を計測するため、一般に慣性力による分粒でも流量を絞ることが行われている。この流量絞りが本実施形態ではブロア28によって効果的に行われるのである。
本実施形態のインパクタ21の働きを再び図4で見てみると、計測対象エアとシースエアとが吸引管24の位置まできたとき、吸引管24によってシースエアの大部分および微粒子PSを含む余剰空気が吸引されるため、シースエア層の厚さが減少するものの、シースエア層は計測部26の入口まで維持されている。このように、シースエアの大部分および微粒子を含む余剰空気をインパクタ21で分離しかつ廃棄することで、計測部26の制限流量まで計測対象エアの流量を減少させことができる。かつ、測定対象の粗粒子の欠損を防止することができる。
なお、シースエアを全て吸引管24によって吸引することはできないし、小量のシースエアは吸引管24から計測部26の空気入口までの内壁にも必要である。従って、小量のシースエアは計測対象エアと共に計測部26に入る。環境にはシースエアはそもそも存在しないのであるから、計測対象エアがシースエアの分だけ増えることとなり、計測値の誤差となり得る。しかしながら、どのくらいのシースエアが計測対象エアと共に計測部に入るかは予め計測しておくことができるので、その計測したシースエアの量を考慮して計測値を補正することで計測値を正しいものとすることができる。
次に、気中粒子検出装置の設計方法を説明する。シースエアの供給量とインパクタ21の吸引管24からの吸引量の両方が流量(供給量、吸引量)を調整する機能を持っている構造にする。これによって、シースエア層の流速を臨界レイノズル数以下に制御しシースエア層を錐形に維持できることとなる。
漏斗のサイズとセンサ入口(計測部26の空気入口)の寸法とシースエアの供給量の各適正値を具体的に検討する。本発明を適用しない場合の流量から先に述べると、センサ許容量(計測部26の制限流量)を例えば130L/minとしたとき、収集部としての漏斗3の流量はこの値と同じ130L/minとする必要がある。
これに対して、本発明を適用した場合の流量はどうなるかを計算してみる。例えばφ7mmの管に最大流速(音速の1/2〜1/3が現実的)を流すとした場合に、インパクタ21の吸引管24による減量を300L/minまで行うことができるようにする。一方、シースエア層の厚さが5mmでかつ臨界レイノズル数が500,000(板が500,000程度と知られているのでこの値を適用する)であるときの流速とする。漏斗は、φ200mm、角度45°の漏斗とする。そして漏斗の最狭部で臨界流速に達したとする。このとき、シースエア発生手段11により、34L/min(MAX値)までシースエアを増量するとする。センサ許容量を本発明を適用しない場合と同じ30L/minとしたとき、漏斗の流量は30+300−34=296L/minとなる。このようにして、粗粒子が1ft^3の体積にいくつあるかを常時、精度良く計測することが可能となった。なお、パーティクルセンサ(計測部)では、粒子を含む計測対象エアにレーザ光を照射し、粒子からの反射光を拾うことにより、吸引流量あたりの粒子の数をカウントする。
次に、シースエア層の形成が可能であるか否かを検討する。インパクタ21の吸引管24による吸引量がシースエアの供給量よりも少ないときにはシースエアの供給過剰となり、適切な量の計測対象エアを計測部26に取り込めなくなる。そこで、この場合には計測対象エアをオーバフローさせる(このような設定にはしない)。
インパクタ21の吸引管24による吸引量(設定流量)はシースエアの供給量(設定流量)よりも多くする。シースエアはインパクタ21に向けて供給されるので、インパクタ21の吸引管24による吸引量とシースエアの供給量とが同量である場合にはシースエアの全量をインパクタ21の吸引管24が吸引することになる。インパクタ21の吸引管24による吸引量を多くすることでシースエアに加えて計測対象エアを吸い込むことが可能で、シースエア層を形成している流体が臨界レイノズル数を超えない限りシースエア層は破綻しない。よって、断面変化を伴っても臨界レイノズル数以下であればシースエア層は破壊されない。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態によれば、空気中を降下する粒子を含んだ空気(気体)を収集する漏斗3(収集部)と、この漏斗3により収集された空気中の粒子を計測する計測部26とを備え、漏斗3にシースエアを発生させるシースエア発生手段11を有させると共に、漏斗3と計測部26との間に慣性力による分粒を行うインパクタ21を配置するので、シースエアによって、計測対象(検出対象)の粒子が漏斗3に付着して滞留することがなくなる、さらに、シースエアとして供給した余分な空気をインパクタ21で排除することにより、計測可能な流量を計測部26に流入できるので、計測対象粒子(検出対象粒子)の計測精度が向上する。
本実施形態によれば、シースエア発生手段11は、漏斗3(収集部)の開口端4aの全周に設けられ、漏斗3の内壁4aに沿う均一な層が形成されるように清浄空気(クリーンエア)または清浄な空気を吐出する機構であるので、漏斗3の内壁4a全体にシースエア層を形成できる。
本実施形態によれば、インパクタ21は、漏斗3(収集部)からのシースエア及び計測対象エア(計測対象の粒子を含んだ空気)を導く直管23と、この直管23の全周に均等に配置される吸引口(吸引管24)とからなり、粗粒子PL(第2粒子)のみを慣性力によって計測部26に導き、シースエアの大部分及び微粒子PS(第1粒子)を含んだ余剰空気を前記吸引口から排除するので、効率的にシースエア及び計測非対象の微粒子を含む余剰空気を排出することができる。
図5は第2実施形態の漏斗3の概略斜視図、図6は第2実施形態のシースエア発生手段11の一部拡大断面図である。図1、図2と同一部分には同一番号を付している。なお、図5と図6との間で空気噴出孔35の数は相違させている。
第2実施形態では、シースエア発生手段11は、エアポンプ13、メイン空気供給管14、リング状空気溜まり部31、空気噴出孔35からなる。
第1実施形態と相違する部分を主に説明すると、第1実施形態のノズルに代えて、第2実施形態ではリング状空気溜まり部31と空気噴出孔35とを設けている。まず、コーン状部材4の開口端4bから径方向外側に向けて所定幅で延設される上側板材32、開口端4bよりも所定高さ低い位置のコーン状部材4から径方向外側に向けて前記所定幅と同じ幅で延設される下側板材33、両部材32、33と接続される曲面形状の外周部材34及びこの外周部材34に対向するコーン状部材4から断面が平行四辺形のリング状空気溜まり部31が構成されている。このリング状空気溜まり部31は、コーン状部材4の開口端4bの周縁に形成されている。
外周部材34に対向するコーン状部材4には、コーン状部材4の開口端4bから円筒状部材5に向かう線に沿って並ぶ複数の空気噴出孔35の列を穿ち、この複数の空気噴出孔35が並ぶ列を図5に示したようにコーン状部材4の周方向に等間隔で設けている。
リング状空気溜まり部31には、図6に示したようにエアポンプ13により加圧した清浄空気をメイン空気供給管14を介して導入する。これによって、空気噴出孔35から清浄空気がコーン状部材4内へと噴出する。このコーン状部材4内へと噴出する空気はコーン状部材4の内壁4aに沿って層状に流れるシース流を生成させるためのものである。しかしながら、単にコーン状部材4に空気噴出孔35を穿っただけだと、空気はコーン状部材の壁に対して直交する方向に噴き出し、コーン状部材4の内壁4aに沿う流れとならない。そこで、図6に示したように空気噴出孔35には、空気の噴出方向を規制するガイド36を設けておき、空気が各空気噴出孔35からコーン状部材4の内壁4aに沿って噴き出し、かつ噴き出した空気が合流してコーン状部材4の内壁4aの全体を覆うシース流となり、シースエア層が形成されるようにする。
このようにすると、各空気噴出孔35から噴き出す空気は合流してコーン状部材4の内壁4aに沿って流れると共にコーン状部材4の内壁4aの全体を覆うシース流となり、コーン状部材4の内壁4aにシースエア層が形成される。
図7は第3実施形態の漏斗3の概略斜視図、図8は図7に一点鎖線で示す断面で漏斗3を上から見た概略平面図である。図1、図2と同一部分には同一番号を付している。なお、図7と図8との間で空気取入孔42の数は相違させている。
第1、第2の実施形態では、清浄空気をシースエアとして用いたが、第3実施形態は計測対象エアと同じエアをシースエアとして便宜的に用いるものである。このため、エアポンプやメイン空気供給管は不要であることがある。
第3実施形態のシースエア発生手段11は、コーン状部材4の開口端4bの近くにおいてコーン状部材4の周方向に等間隔で複数設けたフィン41と、漏斗3をその軸の周りに回転駆動するアクチュエータ(図示しない)とから主に構成されている。すなわち、コーン状部材4の開口端4b近くに周方向に等間隔でコの字状の切り込みを入れ、この切り込み部分を外側に向かって開くことでフィン41を形成する。切り込み部分が開いた後には空気取入孔42が形成される。漏斗3はその軸を中心として回転し得るように支持する。
今、図8において漏斗3をアクチュエータで反時計方向に回転させたとき、フィン41の形成のためにコーン状部材4に穿たれた空気取入孔42を介して、コーン状部材4外周の空気(計測対象エアと同じエア)がコーン状部材4の内部へと供給される。図8においてこのときコーン状部材4の内部へと供給される空気の流れを矢印で示している。
この場合、各空気取入孔42からコーン状部材4の内部へと供給される空気がコーン状部材4の内壁4aに沿って螺旋状に流れ、かつこれら複数の螺旋状流れが合流してコーン状部材4の内壁4a全体を覆うシース流となり、シースエア層が形成されるように、空気取入孔42やフィン41の位置、空気取入孔42やフィン41の形状を設定する。
このように、コーン状部材4の開口端4bの近くにおいてフィン41をコーン状部材4の周囲に等間隔で複数設けると共に、フィンの形成のために開けた孔を空気取入孔とし、漏斗3を回転させることで、各空気取入孔42からコーン状部材4の内部に供給される空気が、コーン状部材4の内壁4aを層状に伝うシース流となり、コーン状部材4の内壁4a全体にシースエア層が形成される。
計測対象エアに含まれる粗粒子の割合は小さいものなので、シースエアとして計測対象エアと同じエアを用いていても、計測値に影響することはないと考えられる。この意味では、第1、第2の実施形態においても清浄空気を用いる必要は必ずしも無いこととなる。
最後に、本発明の気中粒子検出装置は、例えばリチウムイオン二次電池等の二次電池の製造ラインの各所に配置することが考えられる。これによって、粗粒子が製品に付着することによる不具合の発生を検査工程を経ずに検知することができ、生産の歩留まりの向上とそれに伴うコスト低減が可能となる。
3 漏斗(収集部)
11 シースエア発生手段
21 インパクタ
24 吸引管(吸引口)
26 計測部

Claims (3)

  1. 気中を降下する粒子を含んだ気体を収集する収集部と、
    この収集部により収集された気中の粒子を計測する計測部と
    を備え、
    前記収集部にシースエアを発生させるシースエア発生手段を有させると共に、前記収集部と計測部との間で慣性力による分粒を行うインパクタを配置することを特徴とする気中粒子検出装置。
  2. 前記シースエア発生手段は、前記収集部の開口端の全周に設けられ、前記収集部の内壁に沿う層が形成されるように空気を吐出する機構であることを特徴とする請求項1に記載の気中粒子検出装置。
  3. 前記気中を降下する粒子が相対的に小さい径の第1粒子と相対的に大きい径の第2粒子とから構成される場合に、
    前記インパクタは、前記収集部からのシースエア及び計測対象の粒子を含んだ気体を導く直管と、この直管の全周に均等に配置される吸引口とからなり、
    前記第2粒子のみを慣性力によって前記計測部に導き、前記シースエア及び前記第1粒子を含んだ余剰空気を前記吸引口から排除することを特徴とする請求項1または2に記載の気中粒子検出装置。
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