JP2019173842A - 転がり軸受 - Google Patents

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JP2019173842A JP2018061829A JP2018061829A JP2019173842A JP 2019173842 A JP2019173842 A JP 2019173842A JP 2018061829 A JP2018061829 A JP 2018061829A JP 2018061829 A JP2018061829 A JP 2018061829A JP 2019173842 A JP2019173842 A JP 2019173842A
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雄也 田中
Yuya Tanaka
雄也 田中
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Abstract

【課題】軸受空間からのグリースの漏れを防止すること、およびシール部材のリップの吸着を防止することができる転がり軸受を提供する。【解決手段】外輪1と内輪3との間に形成される軸受空間Sを外部に対して塞ぐ2つのシール部材7、7を備え、内輪3の外周部が軸方向両側に形成されるシール溝部10と、軌道4とシール溝部10との間にそれぞれ形成される周溝部11とを有する。周溝部11は、これに嵌合される環状体8を周方向に沿ってその軸方向位置が変位する状態で保持するものであり、シール部材7がシール溝部10に摺接する主リップ25と、内輪3の外周部のシール溝部10と周溝部11との間の径方向内側に位置し、環状体8に向かって軸方向内向きに突出する突条部24を有する。【選択図】図1

Description

この発明は、各種機械装置の回転軸支持部に使用され、内輪と外輪との間に形成される軸受空間をシール部材により密封した転がり軸受に関する。
従来、各種機械装置の回転軸支持部に使用される転がり軸受は、内輪と外輪の間に形成される軸受空間へのダストや水の侵入を防止するために、軸受空間を円環状のシール部材で密封した密封型の転がり軸受が用いられている。
この密封型の転がり軸受としては、前記外輪の端部に形成された係止溝に外周縁部が固定され、内周縁部に主リップ、副リップおよび補助リップを有するシール部材を備え、そのシール部材で内輪と外輪との間に形成される軸受空間を密封するものがある(特許文献1 図6参照)。
特許文献1に記載された転がり軸受のシール部材は、主リップが内輪の端部に形成されたシール溝の側壁面に摺接する。副リップが、前記シール溝の軸方向内側の内輪の外周面に形成された環状の切欠きに配置される環状部材との間でラビリンスシールを形成する。補助リップが前記シール溝の軸方向外側の内輪の外周面との間でラビリンスシールを形成している。
このシール部材の主リップ、副リップおより補助リップにより、軸受空間への水や泥等の異物の侵入を防止するとともに、軸受空間からのグリース等の潤滑剤の漏れを防止することができる。
特開2007−192258号公報
ところで、特許文献1に記載の密封型の転がり軸受は、その回転よる温度上昇に伴い、密封された軸受内部の空気が膨張し、前記軸受空間内の気圧が上昇し、外部の気圧よりも高くなる。
この軸受空間内の気圧が上昇すると、シール部材の内周縁部が軸方向外向きに変位し、主リップと前記シール溝の側壁面との間にすき間が形成される。このすき間から軸受空間内の空気とともにグリースの漏れが生じることがある。
その後、軸受の温度が低下すると、軸受空間内の空気が収縮し、軸受空間内の気圧が外部よりも降下する。この軸受空間内の気圧の降下により、シール部材の内周部が軸方向内向きに吸い寄せられる吸着現象が生じる。
この吸着現象により、主リップのシール溝の側壁面に対する摺接圧が上昇して、トルク増大や主リップの摩耗の問題が生ずるおそれがある。
そこで、この発明が解決すべき課題としては、軸受空間からのグリースの漏れを防止すること、およびシール部材のリップの吸着を防止することができる転がり軸受を提供することにある。
上記の課題を解決するために、この発明は、内周部に軌道を有する外輪と、外周部に軌道を有する内輪と、前記外輪と内輪との間に介在される転動体と、前記転動体を転動可能に保持する保持器と、前記外輪と内輪との間に形成される環状の軸受空間を外部に対して塞ぐシール部材とを備え、前記外輪の内周部または前記内輪の外周部のうちの一方が、その軸方向両側に前記シール部材を保持するシール装着部を有し、前記外輪の内周部または前記内輪の外周部のうちの他方がシール溝部を有し、前記シール部材が前記他方との間でシール部を形成するリップ部を有する転がり軸受において、
前記他方がその他方の軌道と前記シール溝部との間に形成される周溝部を有し、前記周溝部は、これに嵌合される弾性を有する環状体を備え、前記環状体を周方向に沿ってその軸方向位置が変位する状態で保持するものであり、前記リップ部は、前記シール溝部と前記周溝部との間の径方向内側に位置し、前記環状体に向かって軸方向内向きに突出する突条部を有し、前記軸受空間内の気圧が外部に対して降下する状態で、前記突条部は、前記環状体に接触して軸方向内側への変位が規制されるようになっており、前記軸受空間内の気圧が外部に対して上昇する状態で、前記突条部は、前記他方の前記シール溝部と前記周溝部との間に接触するようになっている構成を採用することができる。
この構成によると、前記軸受空間内の気圧が外部に対して上昇すると、リップ部の突条部が、前記他方のシール溝部と周溝部との間に接触する。前記軸受空間内の気圧が外部に対して降下すると、リップ部の突条部は、前記環状体の周方向の一部に接触し、リップ部の軸方向内向きへの変位が規制される。
前記周溝部としては、その軸方向中央線が平面上に位置しており、前記平面がラジアル平面に対して傾斜角をもって傾斜した状態となっている構成を採用することができる。この場合、軸受空間内の気圧が外部に対して低くなると、リップ部の突条部は、環状体のうち、シール溝部に対して軸方向に最も近い部分にのみに接触する。
この構成において、前記保持器は、そのポケット部の軸方向外周部のうち前記周溝部寄りの縁部が、前記周溝部に嵌合する環状体の軸方向内側部分よりも軸方向外側に位置している構成を採用することができる。
この構成では、周溝部に嵌合する環状体により、前記他方と保持器のポケット部との間に存在するグリースが、軸方向外側へ移動し難くなり、転動体の潤滑性が確保される。
また、前記シール部は、前記リップ部が前記シール溝部の内側溝壁面に接する状態である接触シール部である構成を採用することができる。この場合、軸受空間内の気圧が外部に対して降下すると、リップ部は軸方向内向きへの変位が規制され、シール溝部の内側溝面との摺接による摩耗を抑制することができる。
前記シール部は、前記リップ部が前記シール溝部の内側溝面に非接触状態であるラビリンスシール部である構成を採用することができる。この構成においても、例えば、軸受空間内のグリースにより前記ラビリンス部が塞がれるなどの外乱要因や使用環境であっても、軸受空間内の気圧が外部に対して降下すると、リップ部は軸方向内向きへの変位が規制される。
また、前記環状体が合成ゴム製のOリングである構成を採用すると、例えば市販のOリングを環状体として使用可能となる。
前記環状体において、前記リップ部の突条部と前記環状体との少なくとも一方は、その表面に密着防止用コーティング部を有する構成を採用することができる。この場合、軸受空間内の気圧が外部に対して降下し、リップ部の突条部が前記環状体の周方向の一部に接触するとき、突条部と環状体との密着を防止することができる。
この発明は、軸受空間内の気圧が外部に対して上昇し、リップ部が軸方向外向きに変位すると、突条部がシール溝部と周溝部との間に全周にわたり接触し、軸受空間S内に入れられたグリースの外部への漏れを防止することができる。
また、軸受空間内の気圧が外部に対して降下し、リップ部が軸方向内向きに変位すると、突条部は環状体のうちシール溝部に対して軸方向に最も近い部分にのみに接触し、リップ部の軸方向内向きへの変位が規制される。この規制により、リップ部がシール溝部に吸着せず、吸着現象を防止することができる。
この発明に係る第一の実施形態の転がり軸受の縦断面図 同上の転がり軸受の要部を示す縦断面図 同上の転がり軸受の突条部と環状体との位置関係を示す縦断面図 同上の転がり軸受の軸受内部の気圧上昇状態でのリップ部を示す縦断面図 同上の転がり軸受の軸受内部の気圧降下状態でのリップ部を示す縦断面図 同上の転がり軸受の他形態のシール部材を備えた要部を示す縦断面図 この発明に係る第二の実施形態の転がり軸受の縦断面図 同上の転がり軸受の外輪および環状体を示す縦断面図
以下、この発明の第一の実施形態に係る転がり軸受を図1〜図3に基づいて説明する。この実施形態の転がり軸受は、図1に示すように、外輪1と、外輪1と同軸上に配置される内輪3と、外輪1と内輪3の間に介在される複数の転動体である玉5と、玉5を保持する保持器6と、外輪1と内輪3との間に形成される環状の軸受空間Sを外部に対して塞ぐ2つのシール部材7、7とを備える。
また、この転がり軸受は、内輪3の外周部に形成された周溝部11に嵌り合う弾性を有する環状体8を備え、軸受空間S内にはグリースが封入されている。
この転がり軸受は、転動体を玉5とした深溝玉軸受であるが、例えばアンギュラ玉軸受を適用することもできる。また、転動体をころとしたころ軸受であってもよい。
以下、「軸方向」とは、外輪1および内輪3の中心軸に沿った方向のことをいい、「径方向」とは、その軸方向に直角な方向のことをいい、「周方向」とは、その中心軸周りの円周方向のことをいう。
外輪1の内周部が軸方向中央部分に形成される軌道2と、内周部の軸方向両側に形成されるシール装着部9とを有する。軌道2は、径方向の断面形状が円弧状をなし、玉5の半径よりと同じか、またはわずかに大きい曲率半径を有している。
シール装着部9は、径方向外向きに凹んで全周にわたって形成される。内輪3の外周部において、シール装着部9に対して軸方向外側部分は、軸方向内側部分よりも小さい内径寸法となるように形成されている。
内輪3の外周部は、軸方向中央部分に形成される軌道4と、軸方向両側に形成されるシール溝部10と、軌道4とシール溝部10との間に形成される周溝部11と、軸方向両端部に形成される肩部12とを有する。
内輪3の軌道4は、径方向の断面形状が円弧状をなし、玉5の半径よりと同じか、またはわずかに大きい曲率半径を有している。シール溝部10は、外輪1のシール装着部9に径方向に対向し、軸方向内側の内側溝壁面10aと、溝底面10bと、軸方向外側の外側溝壁面10cとから形成されている。
内側溝壁面10aは、軸方向外側に向かって径方向内向きに傾斜している。溝底面10bは、円筒面であり、外側溝壁面10cは、軸方向外側に向かって径方向外向きに傾斜している。外側溝壁面10cの径方向外側縁部は、内側溝壁面10aの径方向外縁部の外径寸法より小さくなっている。
シール溝部10の軸方向外側に位置する肩部12は、その外径面が円筒面であり、肩部12の外径面と内輪3の軸方向外端面との間に面取り部が形成されている。
周溝部11は、内輪3の外周部に軌道4を挟んで両側に形成されており、径方向の断面形状が矩形をなしている。それぞれの周溝部11は、その軸方向の中央を通る線(中央線)が平面P1と平面P2上に位置している(図1中の一点鎖線参照)。
図1に示すように、平面P1と平面P2とは相互に平行であり、平面P1および平面P2は、ラジアル平面に対して微小な傾斜角αをもって傾斜する状態となっている。傾斜角αは、軸受の形式、規格、あるいは使用環境等によって設定される。
この平面P1上に中央線が位置する周溝部11は、内輪3の直径方向一方に位置する部分(図1中での上端部分)が、シール溝部10に対して軸方向に最も接近する位置となり、内輪3の直径方向他方に位置する部分(図1中での下端部分)が、シール溝部10に対して軸方向に最も離間する位置となる。
平面P2上に中央線が位置する周溝部11は、内輪3の直径方向他方に位置する部分(図1中での下端部分)が、シール溝部10に対して軸方向に最も接近する位置となり、内輪3の直径方向他方に位置する部分(図1中での上端部分)が、シール溝部10に対して軸方向に最も離間する位置となる。
それぞれの周溝部11は、環状体8が締め代をもって嵌め合わされ、その環状体8を内輪3の周方向に沿ってその軸方向位置が変位する状態で保持するものとなる。なお、周溝部11は、例えば、内輪3の周方向に沿って、シール溝部10寄りの位置と軌道4寄りの位置の間を波形に湾曲する状態、あるいは、ジグザグに屈曲する状態に形成されるものであってもよい。要は、周溝部11が内輪3の周方向に沿って、軌道4とシール溝部10との間で軸方向位置が変位する状態に形成されていればよい。
環状体8は、断面円形であり、弾性を有する合成ゴム製のOリングである。環状体8は、自然状態での内径寸法が周溝部11の溝底面10bの外径寸法よりもわずかに小さいものである。また、環状体8は、直径が周溝部11の深さよりも大きくかつ、周溝部11の軸方向幅よりもわずかに大きいものである。
周溝部11に嵌め合わされた環状体8は、図2に示すように、周溝部11と軌道4との間の内輪3の外周部よりも径方向外側に突き出す状態となっている。環状体8の素材は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたFKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムを使用可能である。
また、環状体8は、その表面にフッ素系コーティング剤、シリコーン樹脂などからなる密着防止用コーティング部を有する。このコーティング部により、環状体8は後述するリップ部22の突条部24との密着が防止される。
なお、この実施形態の環状体8としては、弾性を有する環状の部材であればよく、例えば、金属製の止め輪や、断面三角形状のVリングなどを採用可能である。環状体8がOリングであれば、周溝部11への嵌合が容易であって、周溝部11内での軸方向の位置決めが容易であるので好ましい。
保持器6は、図2に示すように、一対の波形の環状部材13、13をリベット14により結合した合せ保持器である。環状部材13は、玉5が収容されるポケット部13aと平板状の連結部13bとを周方向に交互に複数配置して円環状に接続したものである。
保持器6は、ポケット部13aの軸方向外周部のうち周溝部11寄りの縁部がそれぞれの周溝部11に嵌合する環状体8の軸方向内側部分よりも軸方向外側に位置している。また、ポケット部13aは、周溝部11に嵌合する環状体8に対して径方向に離間する状態である。
シール部材7は、環状の芯金20と、芯金20に一体に固着される弾性体21とを有する。弾性体21は、芯金20の径方向中間部の内側面を除き芯金20の全体を覆うように設けられる。弾性体21の素材として、水素添加ニトリルゴム、または耐エステルアクリルゴムなどの合成ゴムを採用することができる。
シール部材7は、弾性体21の内周部分にリップ部22が形成され、弾性体21の外周部分が、外輪1の軸方向両側のシール装着部9に圧入固定される。この圧入固定により、シール部材7は、シール装着部9にそれぞれ保持され、外輪1と内輪3との間に形成される環状の軸受空間Sを外部に対して塞いでいる。
リップ部22は、軸方向にくびれた腰部23を有し、腰部23よりも径方向外側で軸方向内向きに突出する突条部24と、腰部23よりも径方向内側で二股状に分岐する軸方向内側の主リップ25および軸方向外側の副リップ26とを有する。
図3に示すように、腰部23は、リップ部22での径方向位置が、シール溝部10の内側溝壁面10aの径方向外側縁部と同じ径方向位置となっている。
突条部24は、図3に示すように、内輪3の外周面のシール溝部10と周溝部11との間の径方向内側に位置し、環状体8に向かって軸方向内向きに突出している。突条部24は、その表面にフッ素系コーティング剤、シリコーン樹脂などからなる密着防止用コーティング部を有する。なお、密着防止用コーティング部は、環状体8と突条部24との密着防止が目的であり、環状体8および突条部24の少なくとも一方の表面が有していればよい。
主リップ25は、シール溝部10の内側溝壁面10aに向かって延び出している。主リップ25は、シール溝部10の内側溝壁面10aに接してシール部としての接触シール部を形成している。
副リップ26は、内輪3の肩部12の外周面に向かって延び出している。副リップ26は、肩部12の外周面に接してシール部としての接触シール部を形成している。
第一の実施形態に係る転がり軸受は、以上のように構成される。この転がり軸受は、図2に示すように、シール部材7が外輪1のシール装着部9に取り付けられると、シール部材7の主リップ25がシール溝部10の内側溝壁面10aに接触し、副リップ26が肩部12の外周面に接触する。このとき、シール部材7の突条部24は、図3に示すように、周溝部11に嵌合する環状体8および内輪3に対して離間している。
この主リップ25および副リップ26の接触により、内輪3とシール部材7との間がシールされ、外輪1と内輪3との間に形成される環状の軸受空間Sが外部に対して密封された状態となる。
この密封された状態で、例えば、外輪1に対して内輪3が回転し、玉5が外輪1の軌道2および内輪3の軌道4上を転動することにより、軸受空間Sが高温になる。これに伴い、軸受空間Sの空気が膨張し、軸受空間S内の気圧が外部の気圧よりも上昇する。
軸受空間S内の気圧上昇により、シール部材7に軸方向外向きの力が作用する。ここで、シール部材7は、弾性体21の外周部分が外輪1のシール装着部9に圧入固定されている。このため、シール部材7は、弾性体21の外周部分を中心にして揺動し、リップ部22が軸方向外向きに変位する。
この揺動に伴ってリップ部22が軸方向外向きに変位すると、図4に示すように、突条部24が内輪3の外周面のシール溝部10と周溝部11との間に全周にわたり接触する。突条部24が内輪3の外周面に接触することにより、軸受空間S内に入れられたグリースの外部への漏れを防止することができる。
内輪3の回転停止後、外気温により軸受空間S内の空気が冷やされ、軸受空間S内の気圧が外部に対して低下する。この軸受空間S内と外部との気圧差によりシール部材7は、弾性体21の外周部分を中心にして揺動し、リップ部22が軸方向内向きに変位する。
この揺動に伴ってリップ部22の軸方向外向きが変位すると、図5に示すように、突条部24は、環状体8の周方向の一部に接触し、リップ部22の軸方向内向きへの変位が規制される。
すなわち、リップ部22の突条部24は、環状体8のうちシール溝部10に対して軸方向に最も近い部分にのみに接触し、リップ部22の軸方向内向きへの変位が規制される。
この規制によって、リップ部22の主リップ25がシール溝部10の内側溝壁面10aに吸着せず、主リップ25の吸着現象を防止することができる。さらに、主リップ25は、内側溝壁面10aに対する摺接圧の上昇に伴うトルク増大や摩耗の発生を防止することができる。
また、図5に示すように、リップ部22の突条部24は、環状体8の周方向の一部のみに接触することから、トルクの増大が抑制される。
図3に示すように、保持器6のポケット部13aの軸方向外周部のうち周溝部11寄りの縁部が、周溝部11に嵌合する環状体8の軸方向内側部分よりも軸方向外側に位置している。
この位置関係により、内輪3の外周部と保持器6のポケット部13aとの間にグリースが保持されて、転がり軸受の潤滑性が維持される。
なお、シール部材7としては、図6に示すように、主リップ25がシール溝部10の内側溝壁面10aに対して非接触状態とし、シール部としてのラビリンスシール部を形成してもよい。また、副リップ26が肩部12の外周面に対して非接触状態とし、シール部としてラビリンスシール部を形成するようにしてもよい。
この場合であっても、例えば、軸受空間内のグリースによりラビリンスシール部が塞がれるなどの外乱要因が生じたり、そのような使用状況になったりすることがある。このとき、軸受空間S内の気圧が外部に対して低下すると、環状体8のうち、シール溝部10に対して軸方向に最も近い部分にのみに接触し、リップ部22の軸方向内向きへの変位が規制される。
この発明の第二の実施形態に係る転がり軸受を図に基づいて説明する。この実施形態は、外輪1の内周面が軸方向両側に形成されるシール溝部10と、軌道2とシール溝部10との間に形成される周溝部11と、肩部12とを有する点、内輪3の外周面がシール装着部9を有する点、およびシール部材7が弾性体21の外周部分にリップ部22を有する点で、上述の第一の実施形態と相違する。その他の構成で第一の実施形態と同じ構成と考えられるものは、同じ符号を付してその説明を省略する。
この第二の実施形態では、外輪1の内周部が軌道2とシール溝部10との間のそれぞれに形成される周溝部11を有している。図8に示すように、それぞれの周溝部11は、その中央線が平面P3、P4上に位置している 。平面P3と平面P4とは相互に平行であり、平面P3および平面P4は、ラジアル平面に対して微小な傾斜角βをもって傾斜する状態となっている。
環状体8は、弾性を有する合成ゴム製のOリングである。環状体8は、自然状態での外径寸法が周溝部11の溝底面の内径寸法よりもわずかに大きいものである。環状体8は、わずかに縮径した状態で周溝部11内に嵌合されている。
周溝部11に嵌め合わされた環状体8は、周溝部11と軌道4との間の外輪1の内周部よりも径方向内側に突き出す状態となっている。周溝部11は、環状体8を内輪3の周方向に沿ってその軸方向位置が変位する状態で保持するものとなる。
保持器6は、ポケット部13aの軸方向外周部のうち周溝部11寄りの縁部が、周溝部11に嵌合する環状体8の軸方向内側部分よりも軸方向外側に位置するものである。
シール部材7は、環状の芯金20と、芯金20に一体に固着される弾性体21を有し、弾性体21の外周側部分によりリップ部22が形成され、弾性体21の内周部分が外輪1のシール装着部9に圧入固定される。
リップ部22は、軸方向にくびれた腰部23を有し、腰部23よりも径方向内側で軸方向内向きに突出する突条部24と、腰部23よりも径方向外側で二股状に分岐する軸方向内側の主リップ25および軸方向外側の副リップ26とを有する。
突条部24は、外輪1の内周面のシール溝部10と周溝部11との間の径方向外側に位置し、環状体8に向かって軸方向内向きに突出している。主リップ25はシール溝部10の内側溝壁面10aに接し、シール部としての接触シール部を形成している。また、副リップ26は、肩部12の外周面に接し、シール部としての接触シール部を形成している。
第二の実施形態の転がり軸受は、シール部材7の主リップ25がシール溝部10の内側溝壁面10aに接触し、副リップ26が肩部12の外周面に接触する。このとき、シール部材7の突条部24は、周溝部11に嵌合する環状体8および外輪1に対して離間している。
この転がり軸受は、例えば、内輪3に対して外輪1が回転して、軸受空間S内の気圧が外部の気圧よりも上昇すると、シール部材7は弾性体21の内周部分を中心にして揺動し、リップ部22が軸方向外向きに変位する。
この揺動に伴ってリップ部22の軸方向外向きが変位すると、突条部24が外輪1の内周面のシール溝部10と周溝部11との間に全周にわたり接触する。この接触により、軸受空間S内に入れられたグリースの外部への漏れを防止することができる。
外輪1の回転停止後、軸受空間S内の気圧が外部に対して降下すると、シール部材7は弾性体21の内周部分を中心にして揺動し、リップ部22が軸方向内向きに変位する。このとき、突条部24は、環状体8のうちシール溝部10に対して軸方向に最も近い部分にのみに接触し、リップ部22の軸方向内向きへの変位が規制される。
この規制によって、主リップ25がシール溝部10の内側溝壁面10aに吸着せず、主リップ25の吸着現象を防止することができる。さらに、主リップ25は、内側溝壁面10aに対する摺接圧の上昇に伴うトルク増大や摩耗の発生を防止することができる。
1 外輪
2、4 軌道
3 内輪
5 玉
6 保持器
7 シール部材
8 環状体
9 シール装着部
10 シール溝部
10a 内側溝壁面
10b 溝底面
10c 外側溝壁面
11 周溝部
12 肩部
13 環状部材
13a ポケット部
13b 連結部
14 リベット
20 芯金
21 弾性体
22 リップ部
23 腰部
24 突条部
25 主リップ
26 副リップ
P1、P2、P3、P4 平面
S 軸受空間
α、β 傾斜角

Claims (7)

  1. 内周部に軌道(2)を有する外輪(1)と、外周部に軌道(4)を有する内輪(3)と、前記外輪(1)と内輪(3)との間に介在される転動体(5)と、前記転動体(5)を転動可能に保持する保持器(6)と、前記外輪(1)と内輪(3)との間に形成される環状の軸受空間を外部に対して塞ぐシール部材(7)とを備え、
    前記外輪(1)の内周部または前記内輪(3)の外周部のうちの一方が、その軸方向両側に前記シール部材(7)を保持するシール装着部(9)を有し、前記外輪(1)の内周部または前記内輪(3)の外周部のうちの他方がシール溝部(10)を有し、前記シール部材(7)が、前記他方との間でシール部を形成するリップ部(22)を有する転がり軸受において、
    前記他方がその他方の軌道と前記シール溝部(10)との間に形成される周溝部(11)を有し、前記周溝部(11)は、これに嵌合される弾性を有する環状体(8)を備え、前記環状体(8)を周方向に沿ってその軸方向位置が変位する状態で保持するものであり、
    前記リップ部(22)は、前記シール溝部(10)と前記周溝部(11)との間の径方向内側に位置し、前記環状体(8)に向かって軸方向内向きに突出する突条部(24)を有し、
    前記軸受空間内の気圧が外部に対して降下する状態で、前記突条部(24)は、前記環状体(8)に接触して軸方向内側への変位が規制されるようになっており、前記軸受空間内の気圧が外部に対して上昇する状態で、前記突条部(24)は、前記他方の前記シール溝部(10)と前記周溝部(11)との間に接触するようになっていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記周溝部(11)は、その軸方向中央線が平面上に位置しており、前記平面がラジアル平面に対して傾斜角をもって傾斜した状態となっていることを特徴とする請求項1に記載された転がり軸受。
  3. 前記保持器(6)は、そのポケット部(13a)の軸方向外周部のうち前記周溝部(11)寄りの縁部が、前記周溝部(11)に嵌合する環状体(8)の軸方向内側部分よりも軸方向外側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載された転がり軸受。
  4. 前記シール部は、前記リップ部(22)が前記シール溝部(10)の内側溝壁面(10a)に接する状態である接触シール部であることを特徴とする請求項1乃至3に記載された転がり軸受。
  5. 前記シール部は、前記リップ部(22)が前記シール溝部(10)の内側溝壁面(10a)に非接触状態であるラビリンスシール部であることを特徴とする請求項1乃至3に記載された転がり軸受。
  6. 前記環状体(8)が合成ゴム製のOリングであることを特徴とする請求項1乃至5に記載の転がり軸受。
  7. 前記リップ部(22)の突条部(24)と前記環状体(8)の少なくとも一方は、その表面に密着防止用コーティング部を有することを特徴とする請求項6に記載の転がり軸受。
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