JP6065459B2 - 密封型転がり軸受 - Google Patents
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Description
しかしながら、前記軸受構造を組み立てる場合には、転がり軸受とオイルシールを回転軸とハウジングとの間に取り付ける必要があるので、組み立てに供する部品の点数が多いことに加えて、組立性が十分ではなくコストアップに繋がるという問題があった。
このような特許文献1に開示の技術は、オイルシール106が転がり軸受と一体とされているため、オイルシールが回転軸とハウジングとの間に介在されている前述の場合と比べると、軸受構造の組み立てに供する部品の点数が少ないことに加えて、組立性が向上している。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、組立性が優れている密封型転がり軸受を提供することを課題とする。
さらにまた、前記内側突出部の径方向内側面には、前記リップ部が形成されている軸方向位置とは異なる軸方向位置に、前記内輪の外周面に滑り接触する副リップ部が形成されていることが好ましい。
また、本発明の他の態様に係る密封型転がり軸受は、軌道面を備えた内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を備えた外輪と、前記内輪の軌道面及び前記外輪の軌道面の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える転がり軸受であって、前記オイルシールが、前記内輪及び前記外輪に同心に配され、前記支持面を前記外輪の側面に接触させつつ前記凸部を前記外輪の内周面の径方向内側に軸方向外側から嵌め込み、前記リップ部を前記内輪の外周面に接触させることにより取り付けられていることを特徴とする。
また、前記オイルシールの外径が前記外輪の外径よりも大きく、前記オイルシールの外周面が前記外輪の外周面よりも径方向外方に突出していることが好ましい。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明に係る密封型転がり軸受の第一実施形態である深溝玉軸受の構成を示す部分縦断面図である。この深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを備えた内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に備えた外輪2と、内輪1の軌道面1a及び外輪2の軌道面2aの間に転動自在に配された複数の転動体(玉)3と、転動体3を保持する保持器4と、内輪1及び外輪2に同心に配された略環状のシール5及びオイルシール6と、を備えている。
外輪2は一般的なものであるので、図1から分かるように、転動体3の軸方向中央位置(一点鎖線で示す軸方向位置)を基準として軸方向左右両側の幅(軸方向幅)は同一である。また、外輪2には一般的なものが使用されているので、本実施形態の深溝玉軸受は、製造コストを抑えることができる。一方、内輪1は、転動体3の軸方向中央位置を基準として例えば軸方向左側が幅広となっており、反対側の軸方向右側の軸方向幅は外輪2と同一となっている。以下、内輪1の軸方向幅が幅広となっている軸方向左側を「幅広側」、内輪1の軸方向幅が外輪2の軸方向幅と同一である軸方向右側を「幅狭側」と記すこともある。
このようなシール5は、径方向外端部に形成された取り付け部5bが、外輪2の内周面の軸方向右端部に形成されたシール溝2bに圧入されることにより取り付けられており、径方向内端部に形成されたリップ5cが、内輪1の外周面の軸方向右端部に形成された溝状のシール接触面1bに滑り接触するようになっている。
また、芯金6aは、オイルシール6の強度を補強できる材質で構成されていればよく、例えば金属やプラスチック等があげられるが、これに限定されるものではない。また、オイルシール6は、弾性材料のみで構成されていてもよく、芯金6aを有していなくてもよい。
オイルシール6の芯金6aは、外側突出部63から環状基部61にわたる部分に内包されており、芯金6aの断面形状(軸方向に沿う平面で切断した断面の形状)は、図1に示すように、外側突出部63及び環状基部61に沿って略L字状をなしている。
また、図14に示す従来技術の転がり軸受の場合は、前述したように、一般的な転がり軸受よりも幅広に形成された外輪102の内周面に、軸方向に延びる基端部111が圧入され、図14から分かるように外輪102の内周面とオイルシール106の基端部111との接触面積が大きいので、オイルシール106の圧入固定において内輪101と外輪102の間にオイルシール106を挿入する際に比較的大きな力が必要であった。そのため、オイルシール106を転がり軸受に取り付ける際の組立性に問題があった。
詳述すると、図1から分かるように、外輪2の内周面の軸方向左端部にはシール溝2bが形成されているので、凸部64の根元部分は外輪2の内周面に接触しているものの、凸部64の先端部は外輪2の内周面に接触していない。すなわち、凸部64と外輪2の内周面との接触面積が小さいので、凸部64を外輪2の内周面の径方向内側に圧入する際しては、小さな圧入力で十分に嵌め込むことができる。しかも、支持面66及びリップ部62aの接触により、オイルシール6は深溝玉軸受に確実に固定される。よって、本実施形態の深溝玉軸受は、オイルシール6の取り付けが容易で組立性が優れているので、製造コストが低く、量産性に優れている。
さらに、オイルシール6の外径は外輪2の外径よりも大きく、オイルシール6の外周面6bが外輪2の外周面よりも径方向外方に突出していることが好ましい。図1の例では、オイルシール6の外周面6bが波形に形成されていて、波形の頂部は外輪2の外周面よりも径方向外方に突出している。
なお、本実施形態においては、深溝玉軸受の軸方向一端側にシール5を取り付け、他端側にオイルシール6を取り付けたが、図5に示すように両端にオイルシール6を取り付けてもよい。この場合には、内輪1は、図1の例よりも幅広となる。すなわち、転動体3の軸方向中央位置を基準として軸方向左右両側の軸方向幅を同一とし、左右両側いずれも、転動体3の軸方向中央位置から外輪2の側面までの軸方向幅の1.3倍以上1.8倍以下とする。
図6は、本発明に係る密封型転がり軸受の第二実施形態である深溝玉軸受の構成を示す部分縦断面図である。なお、第二実施形態の深溝玉軸受の構成及び作用効果は、シール5及びオイルシール6を除いて第一実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。図6においては、図1と同一又は相当する部分には、図1と同一の符号を付してある。
オイルシール6は、環状基部61と、環状基部61の径方向内端から略直角に屈曲して軸方向内側(図6では右側)に突出する内側突出部62と、環状基部61の径方向外端から略直角に屈曲して内側突出部62と同一方向に突出する外側突出部63と、環状基部61の径方向中央部近傍から前記2つの突出部62,63と同一方向に突出する凸部64と、を備えている。
さらに、図10に示す変形例のように、回転軸と外周面と内輪1の内周面との間に密封性を付与するために、Oリング8を配してもよい。すなわち、内輪1の内周面に、周方向に沿って連続して凹状に窪ませた凹溝9を形成し、この凹溝9内にOリング8を装着してもよい。Oリング8により密封性が付与されるとともに、深溝玉軸受のクリープを防ぐことができる。
図11,12の変形例においても、内輪1の内周面に、周方向に沿って連続して凹状に窪ませた凹溝9を形成し、この凹溝9内にOリング8を装着してもよい。Oリング8により密封性が付与されるとともに、深溝玉軸受のクリープを防ぐことができる。
例えば、第一及び第二実施形態においては、オイルシール6は外輪2に取り付けられ、内輪1の外周面に滑り接触する構成とされていたが、これとは逆に、内輪1に取り付けられ、外輪2に滑り接触する構成としてもよい。その場合には、内輪幅と外輪幅の大きさの関係も逆にし、内輪を幅狭(一般的な内輪幅)とし外輪を幅広とする。
また、このような転がり軸受を用いて、回転軸が転がり軸受を介してハウジングに回転自在に支持されている軸受構造を組み立てることができる。一例として、第一実施形態の深溝玉軸受を組み込んだ軸受構造を、図13を参照しながら説明する。
このとき、オイルシール6をハウジング11の軸方向外部側に向けて、深溝玉軸受が取り付けられている。また、内輪1の両側面のうちハウジング11の内部側に向く側面(図13では右側の側面)が、回転軸12に形成された段部の端面12aに突き当てられていて、深溝玉軸受と回転軸12との相対的軸方向位置が位置決めされている。
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
2b シール溝(係止凹部)
3 転動体
6 オイルシール
6a 芯金
6b オイルシールの外周面
61 環状基部
62 内側突出部
62a リップ部
62b 副リップ部
63 外側突出部
64 凸部
64a 係止凸部
66 平面部分(支持面)
Claims (4)
- 軌道面を備えた内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を備えた外輪と、前記内輪の軌道面及び前記外輪の軌道面の間に転動自在に配された複数の転動体と、オイルシールと、を備える転がり軸受であって、
前記オイルシールは、前記内輪及び前記外輪に同心に配され、前記外輪の内周面の径方向内側に圧入される凸部と、前記外輪の側面に接触する支持面と、前記内輪の外周面に滑り接触するリップ部とを有し、前記支持面を前記外輪の側面に接触させつつ前記凸部を前記外輪の内周面の径方向内側に軸方向外側から嵌め込み、前記リップ部を前記内輪の外周面に接触させることにより取り付けられており、
また、前記オイルシールは、環状基部と、該環状基部の径方向内端から略直角に屈曲して軸方向に突出し且つ前記リップ部が形成された内側突出部と、前記環状基部の径方向外端から略直角に屈曲して前記内側突出部と同一方向に突出する外側突出部と、を備え、
前記凸部は、前記2つの突出部とは逆方向に前記環状基部から突出して、前記環状基部に対して略直角をなしており、前記凸部の先端部は前記外輪に接触せず、
前記支持面は、前記環状基部の前記凸部よりも径方向外方側に形成されており、
さらに、前記転動体の軸方向中央位置を基準として軸方向右側及び軸方向左側の少なくとも一方が、前記外輪よりも前記内輪の方が幅広になっており、前記外輪よりも前記内輪の方が幅広になっている側に前記オイルシールが取り付けられており、
前記オイルシールの外径が前記外輪の外径よりも大きく、前記オイルシールの外周面が前記外輪の外周面よりも径方向外方に突出していることを特徴とする密封型転がり軸受。 - 軌道面を備えた内輪と、前記内輪の軌道面に対向する軌道面を備えた外輪と、前記内輪の軌道面及び前記外輪の軌道面の間に転動自在に配された複数の転動体と、オイルシールと、を備える転がり軸受であって、
前記オイルシールは、前記内輪及び前記外輪に同心に配され、前記外輪の内周面の径方向内側に圧入される凸部と、前記外輪の側面に接触する支持面と、前記内輪の外周面に滑り接触するリップ部とを有し、前記支持面を前記外輪の側面に接触させつつ前記凸部を前記外輪の内周面の径方向内側に軸方向外側から嵌め込み、前記リップ部を前記内輪の外周面に接触させることにより取り付けられており、
また、前記オイルシールは、環状基部と、該環状基部の径方向内端から略直角に屈曲して軸方向に突出し且つ前記リップ部が形成された内側突出部と、前記環状基部の径方向外端から略直角に屈曲して前記内側突出部と同一方向に突出する外側突出部と、を備え、
前記凸部は、前記2つの突出部と同一方向に前記環状基部から突出して、前記環状基部に対して略直角をなしており、前記凸部の先端部は前記外輪に接触せず、
前記支持面は、前記外側突出部の先端に形成されており、
さらに、前記転動体の軸方向中央位置を基準として軸方向右側及び軸方向左側の少なくとも一方が、前記外輪よりも前記内輪の方が幅広になっており、前記外輪よりも前記内輪の方が幅広になっている側に前記オイルシールが取り付けられており、
前記オイルシールの外径が前記外輪の外径よりも大きく、前記オイルシールの外周面が前記外輪の外周面よりも径方向外方に突出していることを特徴とする密封型転がり軸受。 - 前記オイルシールは、強度を補強する芯金を前記外側突出部から前記環状基部にわたる部分に内包しており、前記芯金の断面形状は、前記外側突出部及び前記環状基部に沿って略L字状をなすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の密封型転がり軸受。
- 前記内側突出部の径方向内側面には、前記リップ部が形成されている軸方向位置とは異なる軸方向位置に、前記内輪の外周面に滑り接触する副リップ部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封型転がり軸受。
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