JP5781318B2 - 旋回軸受のシール構造 - Google Patents
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シールリップ部を上記形状とすると、軸受内部空間の圧力が高まってシールリップ部が軸方向外側へ撓むとき、シールリップ部の軸方向部分は他方の軌道輪の側へ移動し、この軸方向部分が前記第2の被接触面に良好に接触する。
この構成の場合、シールリップ溝の軸方向外側の壁面によりシールリップ部の軸方向の動きが拘束される。そのため、軸受内部空間の圧力が極度に高まった場合でも、シールリップ部が外側に押し出されず、軸受内部空間内のグリースが一気に漏れ出すのを防げる。
シールリップ部と第2の被接触面との最短の径方向距離、すなわちラジアルすきまが大きすぎると、シールリップ部が第1の被接触面に接触する状態から第2の被接触面に接触する状態に切り換わる過程で、シールリップ部が第1の被接触面および第2の被接触面のどちらとも接触しない状態が生じてしまう。そのため、ラジアルすきまは、限りなく零に近いのが理想である。しかし、実際には製造誤差等があるため、ラジアルすきまを小さくしすぎると、シールリップ部が第1の被接触面および第2の被接触面の両方に同時に接触することが起こりうる。この場合、シール摺動トルクの増大や過大発熱の要因となってしまう。そこで、シール部材のシールリップ部や、他方の軌道輪の第1の被接触面および第2の被接触面の製造誤差を考慮して、ラジアルすきまを上記値に設定した。
この構成の場合、一方の軌道輪の周面にシール取付凹部を設ける場合に比べて、一方の軌道輪の軸方向長さを短くできる。
この構成の場合、軸受内部空間からグリースが漏れ出しても、その漏れ出したグリースをシール部材の凹み部にある程度保持することができる。そのため、仮にグリースがシール部材の外側へ漏れ出したとしても、大半のグリースは凹み部に保持されているので、グリースが完全に失われることを防げる。
この構成の場合、軸受内部空間の端部にラビリンスが構成され、軸受内部空間からのグリースの漏れ出しを抑制することができる。
薄肉部が設けられていると、軸受内部空間からの大きな圧力がシール部材に作用した場合、薄肉部を基点にしてシールリップ部を含むシール部材の部分が変形し、前記圧力を逃がす。そのため、シール部材の基部が一方の軌道輪から外れることを防げる。
この構成の場合、軸受外部から軸受内部空間へのゴミ等の異物の侵入を防ぐことができると共に、さらなるグリース漏れ防止効果が期待できる。
同様に、内輪1の下端面に環状溝からなるシール取付凹部10が形成されると共に、外輪2の内周面における下端近傍に環状のシールリップ溝11が形成され、これらシール取付凹部10とシールリップ溝11を利用してシール部材12を設けることで、下側のシール構造とされている。
上記シールリップ溝11の形式により、その側壁部分で、内輪1および外輪2に、シール部材11のシールリップ部11cを軸方向外側から覆う覆い部1c,2cが形成されている。
通常時は、図2(A)に示すように、シール部材12のシールリップ部12cが他方の軌道輪である外輪2の第1の被接触面11aに接触している。つまり、シールリップ部12cがアキシアル接触している。軸受内部空間5の圧力が高まると、図2(B)に示すように、シールリップ部12cが軸方向外側へ撓んで外輪2の第2の被接触面11bに接触する。つまり、シールリップ部12cがラジアル接触する。このように、軸受内部空間5の圧力変化に応じて、シールリップ部12cがアキシアル接触とラジアル接触とに切り換わることにより、常に軸受内部空間5が密封された状態に保たれ、軸受内部空間5に封入されたグリースの漏れ出しが防がれる。
1a…軌道溝
2…外輪(軌道輪)
2a…軌道溝
3…転動体
5…軸受内部空間
10…シール取付凹部
11…シールリップ溝
11a…第1の被接触面
11b…第2の被接触面
12…シール部材
12a…基部
12c…シーリップ部
12ca…径方向部分
12cb…軸方向部分
12d…ダストリップ部
13…凹み部
15…薄肉部
Claims (9)
- 軌道輪である内輪および外輪にそれぞれ軌道溝が形成され、これら内外輪の軌道溝間に複数の転動体が設けられ、内外輪における軸受内部空間の軸方向の両端をそれぞれ封止する一対の弾性体製のシール部材を備えた旋回軸受のシール構造において、
前記シール部材は、前記内外輪のいずれか一方の軌道輪に基部が固定され、この基部から他方の軌道輪に向けて延び、通常時は、その先端のシールリップ部が、前記他方の軌道輪における軸方向と交差する面からなる第1の被接触面のみに接触し、
前記他方の軌道輪に、前記第1の被接触面における前記一方の軌道輪と反対側端から軸方向外側へ延びる周面からなる第2の被接触面を設け、前記軸受内部空間の圧力が高まると、前記シールリップ部が軸方向外側へ撓んだ状態で同シールリップ部を前記第2の被接触面のみに接触させるようにしたことを特徴とする旋回軸受のシール構造。 - 請求項1おいて、前記シール部材のシールリップ部は、他方の軌道輪に向けて径方向に延びる径方向部分と、この径方向部分の先端部から前記第1の被接触面に向かって軸方向に延びる軸方向部分とを有し、この軸方向部分の先端が前記第1の被接触面に接触する旋回軸受のシール構造。
- 請求項1または請求項2において、前記他方の軌道輪の前記一方の軌道輪と対向する周面に、前記シール部材のシールリップ部が嵌り込む環状のシールリップ溝を設け、このシールリップ溝の軸方向内側の壁面を前記第1の被接触面とし、かつ底面を前記第2の被接触面とした旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記シール部材に前記軸受内部空間からの圧力が作用しない状態で、前記シールリップ部と前記第2の被接触面との最短の径方向距離を0.3mmないし0.6mmの範囲内とした旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記一方の軌道輪の側面にシール取付凹部を設け、このシール取付凹部に前記シール部材の基部を嵌め込んで固定した旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記シール部材の前記軸受内部空間を向く面に、グリース溜りとなる凹み部を設けた旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記軸受内部空間の軸方向端の開口幅のうちの径方向寸法で1/2以上の範囲を、前記シール部材で遮蔽した旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記シール部材における前記シールリップ部よりも前記基部側の箇所に、周辺箇所よりも肉厚の薄い薄肉部を設けた旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記シール部材に、前記他方の軌道輪における前記第1の被接触側面よりも軸方向外側の箇所に接触して、前記軸受内部空間への異物の侵入を防ぐダストリップ部を設けた旋回軸受のシール構造。
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