JP2019173767A - 変速機用ギヤ接続機構 - Google Patents

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Yosuke Hayashi
陽介 林
宮崎 剛枝
Yoshie Miyazaki
剛枝 宮崎
大輔 齊藤
Daisuke Saito
大輔 齊藤
敦士 鈴木
Atsushi Suzuki
敦士 鈴木
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【課題】ギヤとシャフトとを一体回転可能に接続する場合に、ギヤとシャフトとの間に動力が伝達されない動力伝達遮断状態の発生を抑制することが可能な変速機用ギヤ接続機構を得る。【解決手段】変速機用ギヤ接続機構は、シンクロ機構とクラッチ機構とを備える。シンクロ機構は、シャフトの回転数とギヤの回転数とを近づける摩擦力を発生する動力伝達状態と、摩擦力を発生しない動力遮断状態と、に切り替わる。クラッチ機構は、シンクロ機構とは別に設けられ、シャフトと一体に回転する第1歯とギヤと一体に回転する第2歯とを有し、第1歯と前記第2歯との噛み合いによってシャフトとギヤとを一体に回転させる噛合状態と、第1歯と前記第2歯とが噛み合わずシャフトと前記ギヤとの相対回転を許容する非噛合状態と、に選択的に切り替わる。【選択図】図1

Description

本発明は、変速機用ギヤ接続機構に関する。
従来、シャフトと一体に回転するとともにシャフトの軸方向に移動可能なスリーブと、スリーブとギヤとの間に設けられたシンクロナイザリングと、を有した変速機用ギヤ接続機構が知られている。この変速機用ギヤ接続機構では、スリーブがシャフトの軸方向に移動してシンクロナイザリングをギヤに設けられたコーン面に押し付けることにより、ギヤの回転とシャフトの回転とを同期させる。その後、スリーブがさらに軸方向に移動してスリーブとギヤに設けられたドグ歯とが噛合うことにより、シャフトとギヤとが一体に回転するように接続される。
特開2013−24391号公報 独国特許出願公開第102013108300A1号公報
しかしながら、従来の変速機用ギヤ接続機構では、シンクロナイザリングによるシャフトの回転とギヤの回転との同期が完了してからスリーブの歯がシンクロナイザリングに設けられた歯同士の間を通過する過程で、ギヤに動力が伝達されない動力伝達遮断状態が発生する。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、ギヤとシャフトとを一体回転可能に接続する場合に、ギヤとシャフトとの間に動力が伝達されない動力伝達遮断状態の発生を抑制することが可能な変速機用ギヤ接続機構を得ることである。
本発明の変速機用ギヤ接続機構は、例えば、回転可能なシャフトと前記シャフトに対して回転可能に前記シャフトに設けられたギヤとを備え動力を伝達する変速機、に設けられる変速機用ギヤ接続機構であって、前記シャフトと前記ギヤとの間に介在し前記シャフトの回転数と前記ギヤの回転数とを近づける摩擦力を発生する動力伝達状態と、前記摩擦力を発生しない動力遮断状態と、に切り替わるシンクロ機構と、前記シンクロ機構とは別に設けられ、前記シャフトと一体に回転する第1歯と前記ギヤと一体に回転する第2歯とを有し、前記第1歯と前記第2歯との噛み合いによって前記シャフトと前記ギヤとを一体に回転させる噛合状態と、前記第1歯と前記第2歯とが噛み合わず前記シャフトと前記ギヤとの相対回転を許容する非噛合状態と、に選択的に切り替わるクラッチ機構と、備えている。
このような構成によれば、例えば、ギヤとシャフトとを一体回転可能に接続する場合、まずは、シンクロ機構を動力伝達状態にして、シャフトの回転数とギヤの回転数とを近づける。次に、シンクロ機構を動力伝達状態としたままで、クラッチ機構を非噛合状態から噛合状態に切り替える。これにより、クラッチ機構が非噛合状態から噛合状態に切り替わる間は、シンクロ機構によってシャフトとギヤとの間の回転の伝達が行なわれる。よって、上記構成によれば、ギヤとシャフトとを一体回転可能に接続する場合に、ギヤとシャフトとの間に動力が伝達されない動力伝達遮断状態の発生を抑制することが可能である。
また、前記変速機用ギヤ接続機構では、例えば、前記シンクロ機構は、前記ギヤに設けられ前記ギヤと一体に回転する第1コーン面と、前記シャフトの軸方向に前記シャフトに対して移動可能に設けられるとともに前記シャフトと一体に回転する第1スリーブと、前記第1スリーブと前記ギヤとの間に設けられ、前記第1コーン面に押し付けられることにより前記第1コーン面との間で前記摩擦力を発生する第2コーン面を有したシンクロナイザリングと、を有し、前記動力伝達状態では、前記第1スリーブが前記第2コーン面を前記第1コーン面に押し付け、前記動力遮断状態では、前記第1スリーブが前記第2コーン面を前記第1コーン面に押し付けず、前記クラッチ機構は、前記第1歯と前記第2歯とが噛み合う噛合位置と前記第1歯と前記第2歯とが噛み合わない非噛合位置との間で前記シャフトの軸方向に前記シャフトに対して移動可能に設けられるとともに、前記シャフトと一体に回転する第2スリーブを有している。
このような構成によれば、例えば、クラッチ機構が非噛合状態から噛合状態に切り替わった後は、シンクロ機構の摩擦力を発生させなくてもよい。すなわち、第2コーン面を第1コーン面へ押し付けなくてもよい。よって、シンクロナイザリングの伝達可能なトルクの大きさ(トルク容量)を小さくしやすい。また、第1コーン面および第2コーン面の楔効果によってシンクロ機構が発生する摩擦力が増大する。よって、楔効果によって増大した摩擦力の分だけ、シンクロナイザリングを押す力を小さくできる。これにより、例えば、第2スリーブを介してシンクロナイザリングを押すアクチュエータの出力が小さくてすむ。よって、当該アクチュエータの小型化や低コスト化がしやすい。
また、上記構成によれば、クラッチ機構がシンクロ機構とは別に設けられているので、クラッチ機構の第2スリーブがシンクロナイザリングを通過する必要がない。よって、シンクロ機構の摩擦力によってシャフトの回転数とギヤの回転数とがある程度近づけば、シャフトの回転とギヤの回転とが完全には同期しない状態でも、クラッチ機構の第2スリーブを噛合位置に移動させることができる。すなわち、上記構成によれば、シャフトの回転とギヤの回転とに所定の差回転がある場合でも、ギヤをシャフトに接続することができるができる。よって、第1コーン面と第2コーン面との食い付き(ロック)の発生を抑制することができ、第1コーン面と第2コーン面との食いつきによってシャフトとギヤとが互いにロックされるシフトロック状態が発生することを抑制することができる。
また、上記のように、第1コーン面と第2コーン面との食い付き(ロック)の発生を抑制することができるので、第1コーン面と第2コーン面とのそれぞれのコーン角の鋭角化がしやすい。第1コーン面と第2コーン面とのそれぞれのコーン角の鋭角化により、楔効果が増大するので、第1コーン面と第2コーン面との間の摩擦力の増大化が図れる。したがって、例えば、第2スリーブを介してシンクロナイザリングを押すアクチュエータの出力が小さくてすむ。よって、当該アクチュエータの小型化や低コスト化がしやすい。また、このように、第1コーン面と第2コーン面との間の摩擦力の増大化が図れるので、その分、第1コーン面および第2コーン面、ひいてはシンクロナイザリングの小径化をすることができる。また、このように、第1コーン面および第2コーン面の小径化により、第1コーン面および第2コーン面の周速が低下するので、より高回転のモージェネレータを採用することが可能となる。
また、前記変速機用ギヤ接続機構では、例えば、前記第1スリーブと前記第2スリーブとは、前記ギヤに対して互いに反対側に位置されている。
このような構成によれば、例えば、第1スリーブと第2スリーブとの配置がしやすい。
図1は、実施形態の車両の概略的構成を示した例示的な図である。 図2は、実施形態の車両の概略的構成を示した例示的なブロック図である。 図3は、実施形態の車両の動作の一例を示した例示的なタイミングチャートである。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。なお、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために用いられており、順番や優先度を示すものではない。
図1は、本実施形態の車両1の概略的構成を示した例示的な図である。図1に示されるように、車両1は、走行用駆動源としてのモータジェネレータ11、変速機12、駆動輪としての車輪13L,13R、および従動輪としての車輪(不図示)等を備えている。車両1は、モータジェネレータ11の動力を変速機12を介して車輪13L,13Rに伝達して当該車輪13L,13Rを回転させることにより、走行する。
モータジェネレータ11は、シャフト11aと、ケース11bと、を有している。シャフト11aは、第1回転中心Ax1回りに回転可能にケース11bに支持されている。ケース11bは、車両1の車体(不図示)に支持されている。ケース11b内には、シャフト11aと一体に回転するロータ(不図示)と、ロータの外周を囲んだステータ(不図示)と、が収容されている。モータジェネレータ11は、電圧(電流)が印加されることにより、シャフト11aに第1回転中心Ax1回りのトルク(動力)を付与する。
変速機12は、入力側となるモータジェネレータ11と、出力側となる車輪13L,13Rと、の間に設けられている。変速機12は、モータジェネレータ11と結合された状態で、車体に支持されている。
変速機12は、インプットシャフト21と、アウトプットシャフト22と、複数のギヤ段30と、ギヤ接続機構23と、ケース24と、を有している。インプットシャフト21、アウトプットシャフト22、複数のギヤ段30、およびギヤ接続機構23は、ケース24内に収容されている。ケース24は、車体に支持されている。インプットシャフト21は、シャフトの一例であり、ギヤ接続機構23は、変速機用ギヤ接続機構の一例である。
インプットシャフト21とアウトプットシャフト22とは、互いに離間し、かつ平行に配置されている。インプットシャフト21は、第1回転中心Ax1回りに回転可能にケース24に支持され、アウトプットシャフト22は、第2回転中心Ax2回りに回転可能にケース24に支持されている。第1回転中心Ax1および第2回転中心Ax2は、回転軸とも称される。
インプットシャフト21は、モータジェネレータ11のシャフト11aと接続されており、当該シャフト11aと一体に、すなわち連動して回転する。以後、車両1の前進時のインプットシャフト21の回転方向を正回転方向と称する。なお、シャフト11aとインプットシャフト21とは直接接続されていなくてもよく、ギヤや、カップリング、ベルト等の別の回転伝達部材が介在してもよい。また、シャフト11aの回転速度とインプットシャフト21の回転速度とは、同じでなくてもよい。
複数のギヤ段30は、それぞれ、常時噛み合い式のギヤ段であり、インプットシャフト21とアウトプットシャフト22とに渡って設けられている。複数のギヤ段30は、互いにギヤ比(減速比)が異なる。ギヤ段は、ギヤ段やギヤ対とも称される。
複数のギヤ段30は、第1速ギヤ段31と、第2速ギヤ段32と、を含む。第1速ギヤ段31と第2速ギヤ段32とは、インプットシャフト21の第1回転中心Ax1の軸方向に互いに間隔を空けて配置されている。第2速ギヤ段32のギヤ比は、第1速ギヤ段31のギヤ比よりも小さい。第1速ギヤ段31は、ローギヤとも称され、第2速ギヤ段32は、ハイギヤとも称される。
第1速ギヤ段31は、互いに噛み合うドライブギヤ33およびドリブンギヤ34を有し、第2速ギヤ段32は、互いに噛み合うドライブギヤ35およびドリブンギヤ36を有している。ドライブギヤ35は、ギヤの一例である。
ドライブギヤ33,35は、インプットシャフト21と相対回転可能にベアリング(不図示)を介してインプットシャフト21に支持されており、第1回転中心Ax1回りに回転する。また、ドライブギヤ33,35は、第1回転中心Ax1の軸方向への移動が制限されている。
また、第1速ギヤ段31のドライブギヤ33とインプットシャフト21との間には、ワンウェイクラッチ37が設けられている。ワンウェイクラッチ37は、ドライブギヤ33に対するインプットシャフト21の正回転方向への相対回転を禁止している。よって、ワンウェイクラッチ37は、インプットシャフト21からドライブギヤ33へ正回転方向への回転を伝達することができる。また、ワンウェイクラッチ37は、インプットシャフト21に対するドライブギヤ33の正回転方向への相対回転を許容している。このようなワンウェイクラッチ37を介してインプットシャフト21からドライブギヤ33にモータジェネレータ11の動力が伝達され、当該動力によってインプットシャフト21とドライブギヤ33とが正回転方向に回転する。正回転方向は、第1回転方向の一例である。
ドリブンギヤ34,36は、アウトプットシャフト22に固定され、アウトプットシャフト22と一体に第2回転中心Ax2回りに回転する。
また、アウトプットシャフト22には、ファイナルギヤ38が設けられている。ファイナルギヤ38は、アウトプットシャフト22に固定され、アウトプットシャフト22と一体に第2回転中心Ax2回りに回転する。ファイナルギヤ38は、ディファレンシャルギヤ39のケースに設けられたデフリングギヤ39aと噛み合っている。ディファレンシャルギヤ39は、ドライブシャフト40L,40Rを介して各車輪13L,13Rと接続されている。
ギヤ接続機構23は、クラッチ機構41と、シンクロ機構42と、を有している。クラッチ機構41とシンクロ機構42とは、互いに別に設けられている。すなわち、クラッチ機構41とシンクロ機構42とは、互いに独立して動作可能に設けられている。
クラッチ機構41は、第1速ギヤ段31のドライブギヤ33と第2速ギヤ段32のドライブギヤ35との間に設けられている。すなわち、クラッチ機構41は、ドライブギヤ35のドライブギヤ33側に配置されている。一方、シンクロ機構42は、ドライブギヤ35に対してドライブギヤ33の反対側に配置されている。すなわち、ドライブギヤ35が、クラッチ機構41とシンクロ機構42との間に配置されている。
クラッチ機構41は、ドグクラッチ機構として構成され、インプットシャフト21と、第1速ギヤ段31のドライブギヤ33および第2速ギヤ段32のドライブギヤ35との接続状態(結合状態)および遮断状態(非結合状態)を選択的に切り替える。すなわち、クラッチ機構41は、インプットシャフト21とドライブギヤ33,35との間の回転の伝達状態を切り替える。
クラッチ機構41は、ハブ43と、スリーブ44と、を有している。また、上述のワンウェイクラッチ37もクラッチ機構41に含まれる。ハブ43は、インプットシャフト21に結合され、インプットシャフト21と一体に第1回転中心Ax1回りに回転する。スリーブ44は、スプライン結合によってハブ43と結合され、ハブ43と一体に第1回転中心Ax1回りに回転するとともに、ハブ43に対してインプットシャフト21の軸方向に移動可能である。すなわち、スリーブ44は、インプットシャフト21と一体に第1回転中心Ax1回りに回転するとともに、インプットシャフト21に対してインプットシャフト21の軸方向に移動可能である。
スリーブ44は、第1速ギヤ段31のドライブギヤ33と第2速ギヤ段32のドライブギヤ35との間に位置されている。スリーブ44は、第2スリーブの一例である。
スリーブ44は、複数の歯44aと、複数の歯44bと、を有している。複数の歯44aは、スリーブ44のドライブギヤ33側の端部(図1では右側の端部)に設けられ、第1回転中心Ax1回りに互いに並べられている。複数の歯44aは、ドライブギヤ33に設けられた複数の歯33aと噛み合い可能である。複数の歯33aは、ドライブギヤ33
のスリーブ44側の部分(図1では左側の部分)に設けられ、ドライブギヤ33と一体に回転する。複数の歯44bは、スリーブ44のドライブギヤ35側の端部(図1では左側の端部)に設けられ、第1回転中心Ax1回りに互いに並べられている。複数の歯44bは、ドライブギヤ35に設けられた複数の歯35aと噛み合い可能である。複数の歯35aは、ドライブギヤ35のスリーブ44側の部分(図1では右側の部分)に設けられ、ドライブギヤ35と一体に回転する。歯33a,35a,44a,44bは、ドグ歯として構成されている。歯35aは、第2歯の一例であり、歯44bは、第1歯の一例である。
スリーブ44は、インプットシャフト21に対してインプットシャフト21の軸方向に移動可能である。詳細には、スリーブ44は、第1速噛合位置(不図示)と、非噛合位置(図1)と、第2速噛合位置(不図示)とに移動可能に設けられている。
非噛合位置(図1)は、スリーブ44の歯44aとドライブギヤ33の歯33aとが噛み合わずかつスリーブ44の歯44bとドライブギヤ35の歯35aとが噛み合わない位置である。第1速噛合位置は、非噛合位置よりもドライブギヤ33側(図1では右側)の位置であって、スリーブ44の歯44aとドライブギヤ33の歯33aとが噛み合う位置である。第2速噛合位置は、非噛合位置よりもドライブギヤ35側(図1では左側)の位置であって、スリーブ44の歯44bとドライブギヤ35の歯35aとが噛み合う位置である。すなわち、スリーブ44は、非噛合位置では、ドライブギヤ33およびドライブギヤ35と結合されず、第1速噛合位置では、ドライブギヤ33と結合され、第2速噛合位置では、ドライブギヤ35と結合される。非噛合位置は、中立位置とも称される。
スリーブ44は、非噛合位置(図1)から第2速噛合位置(図1では左側)へ移動する過程で後述のシンクロナイザリング49をドライブギヤ35側に押して、シンクロナイザリング49のコーン面49bをドライブギヤ35のコーン面35bに押し付ける。
スリーブ44は、第1移動機構45によって、ドライブギヤ33との第1速噛合位置、ドライブギヤ35との第2速噛合位置、および非噛合位置のうちいずれかに選択的に位置されうる。第1移動機構45は、モータ等のアクチュエータ45a(図2)と、アクチュエータ45aの駆動力をスリーブ44に伝達する伝達機構(不図示)と、を有している。
スリーブ44がドライブギヤ33との第1速噛合位置に位置された状態では、インプットシャフト21とドライブギヤ33とは一体に回転可能である。この場合、インプットシャフト21から、ドライブギヤ33、ドリブンギヤ34、アウトプットシャフト22、ファイナルギヤ38、ディファレンシャルギヤ39、およびドライブシャフト40L,40Rに至る第1速の回転の伝達経路が構成される。ここで、本実施形態では、ワンウェイクラッチ37によってもインプットシャフト21とドライブギヤ33とが一体に正回転方向に回転可能である。すなわち、車両1の前進時には、ワンウェイクラッチ37とクラッチ機構41との両方によって、インプットシャフト21からドライブギヤ33への回転(動力)の伝達が行なわれる。ワンウェイクラッチ37が伝達する動力とクラッチ機構41が伝達する動力との比率は、任意である。なお、車両1の前進時に、スリーブ44が第1速噛合位置に位置された状態でクラッチ機構41が動力を伝達しない構成であってもよい。車両1の後進時には、ワンウェイクラッチ37は動力を伝達せず、クラッチ機構41がインプットシャフト21からドライブギヤ33に動力を伝達する。
一方、スリーブ44がドライブギヤ35との第2速噛合位置に位置された状態では、インプットシャフト21とドライブギヤ35とは一体に回転可能である。この場合、インプットシャフト21から、ドライブギヤ35、ドリブンギヤ36、アウトプットシャフト22、ファイナルギヤ38、ディファレンシャルギヤ39、およびドライブシャフト40に至る第2速の回転の伝達経路が構成される。
以上のように、クラッチ機構41は、スリーブ44の歯44aと第1速ギヤ段31のドライブギヤ33の歯33aとの噛み合いによってインプットシャフト21とドライブギヤ33とを一体に回転させる第1速噛合状態と、スリーブ44の歯44bと第2速ギヤ段32のドライブギヤ35の歯35aとの噛み合いによってインプットシャフト21とドライブギヤ35とを一体に回転させる第2速噛合状態と、歯44aと歯33aとの噛み合わずかつ歯44bと歯35aとが噛み合わず、インプットシャフト21とドライブギヤ33およびドライブギヤ35との相対回転を許容する非噛合状態と、に選択的に切り替わることができる。詳しくは、非噛合状態において、インプットシャフト21とドライブギヤ33との相対回転が許容される相対回転は、ワンウェイクラッチ37が許容する、インプットシャフト21に対するドライブギヤ33の正回転方向への相対回転である。
シンクロ機構42は、インプットシャフト21とドライブギヤ35との間に設けられている。シンクロ機構42は、インプットシャフト21とドライブギヤ35との間に介在しインプットシャフト21の回転数とドライブギヤ35の回転数とを近づける摩擦力を発生する動力伝達状態(摩擦力発生状態)と、当該摩擦力を発生しない動力遮断状態(非摩擦力発生状態)と、に切り替わる。シンクロ機構42は、上記摩擦力によって、ドライブギヤ35の回転とインプットシャフト21の回転とを同期させることが可能である。
シンクロ機構42は、ハブ47と、スリーブ48と、シンクロナイザリング49と、を有している。ハブ47、スリーブ48、およびシンクロナイザリング49は、ドライブギヤ35に対してスリーブ44およびドライブギヤ33の反対側に位置されている。スリーブ48は、第1スリーブの一例である。
シンクロナイザリング49は、ドライブギヤ35に対して回転可能かつインプットシャフト21の軸方向に移動可能に、スリーブ48とドライブギヤ35との間に設けられている。
シンクロナイザリング49は、被押圧部49aと、コーン面49bと、を有している。被押圧部49aは、第1回転中心Ax1回りの円環状の平面である。被押圧部49aは、スリーブ48と接触可能であって、当該スリーブ48によって押圧される。コーン面49bは、ドライブギヤ35に設けられドライブギヤ35と一体に回転するコーン面35bと第1回転中心Ax1の周方向に摺動可能である。コーン面49bは、スリーブ48によってコーン面35bに押し付けられることによりコーン面35bとの間で摩擦力を発生する。コーン面35bは、第1コーン面の一例であり、コーン面49bは、第2コーン面の一例である。
ハブ47は、インプットシャフト21に結合され、インプットシャフト21と一体に第1回転中心Ax1回りに回転する。
スリーブ48は、シンクロナイザリング49の被押圧部49aを押す押圧部48aを有している。押圧部48aは、第1回転中心Ax1回りの円環状の平面である。スリーブ48は、スプライン結合によってハブ47と結合され、ハブ47と一体に第1回転中心Ax1回りに回転するとともに、ハブ47に対してインプットシャフト21の軸方向に移動可能である。すなわち、スリーブ48は、インプットシャフト21と一体に第1回転中心Ax1回りに回転するとともに、インプットシャフト21に対してインプットシャフト21の軸方向に移動可能である。
詳細には、スリーブ48は、シンクロナイザリング49と接触する押付位置(不図示)と、シンクロナイザリング49から離間する非押付位置(図1)との間でインプットシャフト21の軸方向に沿って移動可能に設けられている。非押付位置では、押圧部48aと被押圧部49aとが離間し、スリーブ48は、コーン面49bをコーン面35bに押し付けない。押付位置では、押圧部48aと被押圧部49aとが接触し、スリーブ48は、コーン面49bをコーン面35bに押し付ける。押付位置は、被押付位置よりもドライブギヤ35側(図1では右側)の位置である。スリーブ48は、第2移動機構50によって、押付位置と非押付位置との間を移動される。第2移動機構50は、モータ等のアクチュエータ50a(図2)と、アクチュエータ50aの駆動力をスリーブ48に伝達する伝達機構(不図示)と、を有している。非押付位置は、中立位置とも称される。
スリーブ48が押付位置に位置されることによりスリーブ48がコーン面49bをコーン面35bに押し付け、シンクロ機構42が動力伝達状態となる。一方、スリーブ48が押付位置に位置されることにより、スリーブ48がコーン面49bをコーン面35bに押し付けず、シンクロ機構42が動力遮断状態となる。
以上の構成の変速機12では、クラッチ機構41がインプットシャフト21とドライブギヤ33との間で回転を伝達しかつインプットシャフト21とドライブギヤ35との間で回転を伝達しない状態で、スリーブ48が非押付位置から押付位置へ移動可能である。そして、スリーブ48が非押付位置から押付位置へ移動する間、クラッチ機構41によるインプットシャフト21とドライブギヤ33との間の回転の伝達が可能である。
図2は、本実施形態の車両1の概略的構成を示した例示的なブロック図である。図2に示されように、車両1は、制御装置14を備えている。制御装置14は、変速機12とともに動力伝達システム15を構成している。
制御装置14には、モータジェネレータ11、第1移動機構45のアクチュエータ45a、および第2移動機構50のアクチュエータ50a等が接続されており、制御装置14は、モータジェネレータ11、アクチュエータ45a,50aを制御する。また、制御装置14には、記憶装置55や各種のセンサ(不図示)が接続されている。
制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを備えたECU(Electronic Control Unit)である。制御装置14のプロセッサは、記憶装置14等にインストールされたプログラムにしたがって演算処理を実行することで、各種の処理を実行する。なお、制御装置14は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアを含むことができ、これらハードウエアによって各部の制御を実行してもよい。
制御装置14は、機能的構成として、モータ制御部14aと、クラッチ制御部14bと、シンクロ制御部14cと、を備えている。これらの機能的構成は、制御装置14のプロセッサが記憶装置55等にインストールされたプログラムを実行した結果として実現される。なお、実施形態では、これらの機能的構成の一部または全部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。モータ制御部14aは、モータジェネレータ11を制御し、クラッチ制御部14bは、クラッチ機構41を制御し、シンクロ制御部14cは、シンクロ機構42を制御する。
記憶装置55は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶装置55は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等を含んでいてもよい。各種のセンサは、車両1の速度を示す値を計測するセンサや、アクセルペダルの踏み込み量を計測するセンサ、スリーブ44,48の位置を検出するセンサ等を含む。
次に、制御装置14が実行する処理の一例として、前進する車両1の加速中に、ギヤ段が第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段32に切り替えられる場合の加速変速処理について説明する。
加速変速処理は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量(ストローク)の増大に応じて実行される。当該処理において、制御装置14は、車両1の加速中に第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段32に切り替える間、常に車両1の加速度が零よりも大きくなるように、モータジェネレータ11、シンクロ機構42およびクラッチ機構41を制御する。また、制御装置14は、第1速ギヤ段31から第2速ギヤ段32に切り替える間、常に、シンクロ機構42とクラッチ機構41との少なくとも一方によってインプットシャフト21とアウトプットシャフト22との間で動力が伝達されるとともに、シンクロ機構42とクラッチ機構41とのそれぞれの動作開始時点からシンクロ機構42が動力伝達状態になるまでの間、常にモータジェネレータ11がトルクを発生している状態となるように、モータジェネレータ11、シンクロ機構42およびクラッチ機構41を制御する。
以下、加速変速処理について図3に基づいて詳細に説明する。図3は、本実施形態の車両1の動作の一例を示した例示的なタイミングチャートである。
図3において、線L1は、クラッチ機構41のスリーブ44の位置の変化を表す。線L2は、シンクロナイザリング49のコーン面49bと、ドライブギヤ35のコーン面35bとの間で伝達されるトルク(以後、シンクロコーントルクとも称する)の変化を表す。線L3は、モータジェネレータ11が発生するトルク(以後、モータトルクとも称する)の変化を表す。線L4は、車両1の加速度の変化を表す。線L5は、モータジェネレータ11のシャフト11aの回転数(回転速度)の変化を表す。なお、インプットシャフト21の回転数(回転速度)の変化も線L5と同様である。また、図3においては、時刻t1〜時刻t6の順に時が経過する。
図3の例では、時刻t1以前では、スリーブ44が第1速噛合位置(図3では、1ST)に位置され、第1速ギヤ段31が選択されている。この場合、時刻t2以前では、スリーブ48は、押付位置に位置されず、シンクロ機構42が発生するシンクロコーントルクは、零である。また、時刻t2以前では、制御装置14は、車両1が加速する規定の正の電圧(電流)をモータジェネレータ11に印加しており、これにより、モータジェネレータ11のシャフト11aの回転数が時間経過とともに上昇する。
上記のように第1速ギヤ段31が選択されている状態で、例えば、モータジェネレータ11のシャフト11aの回転数が規定の回転数に達した場合、クラッチ制御部14bは、スリーブ44が第1速噛合位置(1ST)から非噛合位置(図3では、N)に移動するように、第1移動機構45のアクチュエータ45aを制御する。これにより、スリーブ44が、時刻t1に第1速噛合位置(1ST)から非噛合位置(N)への移動を開始し、時刻t2に非噛合位置(N)へ至る。時刻t1は、クラッチ機構41の動作開始時点である。上述のように、時刻t1〜t2の間は、スリーブ48は、押付位置に位置されず、シンクロコーントルクを発生していない。このような状況で、スリーブ44が第1速噛合位置(1ST)から非噛合位置(N)に移動できるのは、インプットシャフト21からドライブギヤ33への回転(動力)の伝達を、ワンウェイクラッチ37とクラッチ機構41(ハブ43、スリーブ44)とで分担しているまたはワンウェイクラッチ37のみが行なっているからである。スリーブ44は、時刻t2〜時刻t4までの間、非噛合位置(N)に位置される。
また、シンクロ制御部14cは、時刻t2でシンクロ機構42のシンクロコーントルクの発生が開始されるように、第2移動機構50のアクチュエータ50aを制御する。これにより、一例として、シンクロ機構42のスリーブ48が、時刻t1から非押付位置から押付位置への移動を開始し、時刻t2で押付位置に至る。時刻t1は、シンクロ機構42の動作開始時点であり、時刻t2は、シンクロ機構42が動力伝達状態となった時点である。また、シンクロ制御部14cは、時刻t2以降から時刻t5までの間、アクチュエータ50aによって、スリーブ48に、被押付位置から噛合位置に向かう方向の力を付与し続ける。これにより、シンクロコーントルクは、時間経過とともに上昇する(時刻t2〜t3)。シンクロコーントルクは、規定の上限値となると、その後、上限値(閾値)で一定となる(時刻t2〜t4)。この規定の上限値は、シンクロナイザリング49のコーン面49bとドライブギヤ35のコーン面35bとの間で伝達可能な最大のトルク(許容トルク)である。
次に、クラッチ制御部14bは、シンクロコーントルクが上限値となっている時刻t4で、スリーブ44が非噛合位置(N)から第2速噛合位置(図3では、2ST)に移動するように、第1移動機構45のアクチュエータ45aを制御する。これにより、スリーブ44が、時刻t4に非噛合位置(N)から第2速噛合位置(2ST)への移動を開始し、時刻t5に第2速噛合位置(2ST)へ至る。すなわち、時刻t5で、ギヤ段が第2速ギヤ段32に切り替わる。ここで、本実施形態では、シンクロ機構42によってドライブギヤ35の回転とインプットシャフト21の回転とが完全に同期される前に、ギヤ段が第2速ギヤ段32に切り替わるように、すなわち、ドライブギヤ35の回転数とインプットシャフト21の回転数とに差(差回転)が有る状態で、ギヤ段が第2速ギヤ段32に切り替わるように、制御が行なわれる。
また、シンクロ制御部14cは、スリーブ44が第2速噛合位置(2ST)へ移動して、ギヤ段が第2速ギヤ段32に切り替わるのと略同時に(時刻t5)、スリーブ48が押付位置から非押付位置への移動を開始してシンクロコーントルクの減少が開始されるように、アクチュエータ50aを制御する。これにより、時刻t6にシンクロコーントルクが零になる。
上記の制御の間、モータ制御部14aは、次のようにモータジェネレータ11を制御する。モータ制御部14aは、シンクロコーントルクが発生する時刻t2以前は、モータトルクが規定の第1トルクとなるように、モータジェネレータ11に電圧を印加する。すなわち、モータ制御部14aは、シンクロ機構42とクラッチ機構41とのそれぞれの動作開始時点である時刻t1からシンクロ機構42が動力伝達状態になる時刻t2までの間、常に、モータジェネレータ11がトルクを発生している状態となるように、モータジェネレータ11、シンクロ機構42およびクラッチ機構41を制御する。
また、モータ制御部14aは、シンクロコーントルクが発生す時刻t2からモータトルクが減少するように、モータジェネレータ11を制御する。また、モータ制御部14aは、時刻t3から時刻t4の間で、モータジェネレータ11が負のモータトルクを発生するように、モータジェネレータ11に電圧を印加する。このとき、例えば、モータ制御部14aは、モータジェネレータ11に負の電圧を印加して、負のトルクを発生させる。このように、負のトルクを発生させることにより、モータジェネレータ11のシャフト11aおよびインプットシャフト21の回転にブレーキを掛けることができるので、インプットシャフト21の回転数とドライブギヤ35の回転数とをより速く近づけることができる。
次に、モータ制御部14aは、時刻t4〜t6の間にモータトルクが第1トルクよりも大きい規定の第2トルクになるまで増大するように、モータジェネレータ11を制御する。詳細には、モータ制御部14aは、時刻t4〜t5の間のモータトルクの増大率よりも時刻t5〜時刻t6の間のモータトルクの増大率の方が大きくなるように、制御する。
以上のモータトルクの制御により、モータジェネレータ11のシャフト11aの回転数は、時刻t3過ぎまで上昇し、時刻t3と時刻t5の間で下降し、時刻t5以降で再び上昇に転ずる。
上記の制御および各部の動作により、変速ギヤの切替動作(変速動作)が開始される時刻t1から変速動作が完了する時刻t6までの間、インプットシャフト21とアウトプットシャフト22との間、ひいてはモータジェネレータ11と車輪13L,13Rとの間で、常に動力が伝達されている。詳細には、切替動作が開始される時刻t1からシンクロ機構42のシンクロコーントルクが立ち上がる時刻t2までの間は、少なくともワンウェイクラッチ37によってインプットシャフト21とドライブギヤ33との間の動力伝達が行なわれ、インプットシャフト21とアウトプットシャフト22との間で動力が伝達される。また、時刻t2〜時刻t6の間は、少なくともシンクロ機構42のシンクロトルクによって、インプットシャフト21とドライブギヤ35との間で動力伝達が行なわれ、インプットシャフト21とアウトプットシャフト22との間で動力が伝達される。また、時刻t5〜時刻t6の間は、クラッチ機構41によってもインプットシャフト21とドライブギヤ35との間で動力伝達が行なわれている。このような動作によって、ギヤ段の切替動作(変速動作)が開始される時刻t1から切替動作が完了する時刻t6までの間、車両1の加速度が零よりも大きくなる。
以上のように、本実施形態のギヤ接続機構23は、例えば、シンクロ機構42と、クラッチ機構41と、備えている。シンクロ機構42は、インプットシャフト21(シャフト)とドライブギヤ35(ギヤ)との間に介在しインプットシャフト21の回転数とドライブギヤ35の回転数とを近づける摩擦力を発生する動力伝達状態と、摩擦力を発生しない動力遮断状態と、に切り替わる。クラッチ機構41は、シンクロ機構42とは別に設けられ、インプットシャフト21と一体に回転する歯44b(第1歯)とドライブギヤ35と一体に回転する歯35a(第2歯)とを有し、歯44bと歯35aとの噛み合いによってインプットシャフト21とドライブギヤ35とを一体に回転させる噛合状態と、歯44bと歯35aとが噛み合わずインプットシャフト21とドライブギヤ35との相対回転を許容する非噛合状態と、に選択的に切り替わる。
このような構成によれば、例えば、ドライブギヤ35とインプットシャフト21とを一体回転可能に接続する場合、まずは、シンクロ機構42を動力伝達状態にして、インプットシャフト21の回転数とドライブギヤ35の回転数とを近づける。次に、シンクロ機構42を動力伝達状態としたままで、クラッチ機構41を非噛合状態から噛合状態に切り替える。これにより、クラッチ機構41が非噛合状態から噛合状態に切り替わる間は、シンクロ機構42によってインプットシャフト21とドライブギヤ35との間の回転の伝達が行なわれる。よって、上記構成によれば、ドライブギヤ35とインプットシャフト21とを一体回転可能に接続する場合に、ドライブギヤ35とインプットシャフト21との間に動力が伝達されない動力伝達遮断状態の発生を抑制することが可能である。
また、本実施形態のギヤ接続機構23では、例えば、シンクロ機構42は、コーン面35b(第1コーン面)と、スリーブ48と、シンクロナイザリング49と、を有している。コーン面35bは、ドライブギヤ35に設けられドライブギヤ35と一体に回転する。スリーブ48は、インプットシャフト21の軸方向にインプットシャフト21に対して移動可能に設けられるとともにインプットシャフト21と一体に回転する。シンクロナイザリング49は、スリーブ48とドライブギヤ35との間に設けられ、コーン面35bに押し付けられることによりコーン面35bとの間で摩擦力を発生するコーン面49b(第2コーン面)を有している。シンクロ機構42は、動力伝達状態では、スリーブ48がコーン面49bをコーン面35bに押し付け、動力遮断状態では、スリーブ48がコーン面49bをコーン面35bに押し付けない。また、クラッチ機構41は、スリーブ44を有している。スリーブ44は、歯44bと歯35aとが噛み合う噛合位置と歯44bと歯35aとが噛み合わない非噛合位置との間でインプットシャフト21の軸方向にインプットシャフト21に対して移動可能に設けられるとともに、インプットシャフト21と一体に回転する。
このような構成によれば、例えば、クラッチ機構41が非噛合状態から噛合状態に切り替わった後は、シンクロ機構42の摩擦力を発生させなくてもよい。すなわち、コーン面49bをコーン面35bへ押し付けなくてもよい。よって、シンクロナイザリング49の伝達可能なトルクの大きさ(トルク容量)を小さくしやすい。また、コーン面35bおよびコーン面49bの楔効果によってシンクロ機構42が発生する摩擦力が増大する。よって、楔効果によって増大した摩擦力の分だけ、シンクロナイザリング49を押す力を小さくできる。これにより、例えば、スリーブ44を介してシンクロナイザリング49を押すアクチュエータ50aの出力が小さくてすむ。よって、当該アクチュエータ50aの小型化や低コスト化がしやすい。
また、本実施形態では、クラッチ機構41がシンクロ機構42とは別に設けられているので、クラッチ機構41のスリーブ44がシンクロナイザリング49を通過する必要がない。よって、シンクロ機構42の摩擦力によってインプットシャフト21の回転数とドライブギヤ35の回転数とがある程度近づけば、インプットシャフト21の回転とドライブギヤ35の回転とが完全には同期しない状態でも、クラッチ機構41のスリーブ44を噛合位置に移動させることができる。すなわち、本実施形態によれば、インプットシャフト21の回転とドライブギヤ35の回転とに所定の差回転がある場合でも、ドライブギヤ35をインプットシャフト21に接続することができるができる。よって、コーン面35bとコーン面49bとの食い付き(ロック)の発生を抑制することができ、コーン面35bとコーン面49bとの食いつきによってインプットシャフト21とドライブギヤ35とが互いにロックされるシフトロック状態が発生することを抑制することができる。
また、上記のように、コーン面35bとコーン面49bとの食い付き(ロック)の発生を抑制することができるので、コーン面35bとコーン面49bとのそれぞれのコーン角(第1回転中心Ax1に対する角度)の鋭角化がしやすい。コーン面35bとコーン面49bとのそれぞれのコーン角の鋭角化により、楔効果が増大するので、コーン面35bとコーン面49bとの間の摩擦力の増大化が図れる。したがって、例えば、スリーブ48を介してシンクロナイザリング49を押すアクチュエータ50aの出力が小さくてすむ。よって、当該アクチュエータ50aの小型化や低コスト化がしやすい。また、このように、コーン面35bとコーン面49bとの間の摩擦力の増大化が図れるので、その分、コーン面35bおよびコーン面49b、ひいてはシンクロナイザリング49の小径化をすることができる。また、このように、コーン面35bおよびコーン面49bの小径化により、コーン面35bおよびコーン面49bの周速が低下するので、より高回転のモータジェネレータ11を採用することが可能となる。
また、本実施形態のギヤ接続機構23では、例えば、スリーブ48とスリーブ44とは、ドライブギヤ35に対して互いに反対側に位置されている。このような構成によれば、例えば、スリーブ48とスリーブ44との配置がしやすい。
なお、上記実施形態では、ギヤ接続機構23のクラッチ機構41が、歯44aを有する例が示されたが、歯44aは設けられていなくてもよい。このような構成のギヤ接続機構23を、例えば、マニュアルトランスミッション(MT)のギヤ段に適用してもよい。
また、上記実施形態では、ドライブギヤ33,35がインプットシャフト21に相対回転可能に設けられ、ドリブンギヤ34,36がアウトプットシャフト22に固定されてアウトプットシャフト22と一体に回転する例が示されたが、これに限定されない。すなわち、ドライブギヤ33,35がインプットシャフト21に固定されてインプットシャフト21と一体に回転し、ドリブンギヤ34,36がアウトプットシャフト22に相対回転可能に設けられていてもよい。この場合には、シンクロ機構42とクラッチ機構41とをアウトプットシャフト22(第1シャフト)に設ければよい。また、この場合には、ドリブンギヤ34(一方)からクラッチ機構41を介してアウトプットシャフト22(他方)にモータジェネレータ11の動力が伝達される。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、または変更を行うことができる。また、上述した実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…車両、11…モータジェネレータ、12…変速機、13L,13R…車輪、21…インプットシャフト(第1シャフト)、22…アウトプットシャフト(第2シャフト)、23…ギヤ接続機構(変速機用ギヤ接続機構)、31…第1速ギヤ段(第1ギヤ段)、32…第2速ギヤ段(第2ギヤ段)、35…ドライブギヤ(ギヤ)、35a…歯(第2歯)
35b…コーン面(第1コーン面)、41…クラッチ機構、42…シンクロ機構、44…スリーブ(第2スリーブ)、44b…歯(第1歯)、49…シンクロナイザリング、49b…コーン面(第2コーン面)、48…スリーブ(第1スリーブ)。

Claims (3)

  1. 回転可能なシャフトと前記シャフトに対して回転可能に前記シャフトに設けられたギヤとを備え動力を伝達する変速機、に設けられる変速機用ギヤ接続機構であって、
    前記シャフトと前記ギヤとの間に介在し前記シャフトの回転数と前記ギヤの回転数とを近づける摩擦力を発生する動力伝達状態と、前記摩擦力を発生しない動力遮断状態と、に切り替わるシンクロ機構と、
    前記シンクロ機構とは別に設けられ、前記シャフトと一体に回転する第1歯と前記ギヤと一体に回転する第2歯とを有し、前記第1歯と前記第2歯との噛み合いによって前記シャフトと前記ギヤとを一体に回転させる噛合状態と、前記第1歯と前記第2歯とが噛み合わず前記シャフトと前記ギヤとの相対回転を許容する非噛合状態と、に選択的に切り替わるクラッチ機構と、
    を備えた変速機用ギヤ接続機構。
  2. 前記シンクロ機構は、
    前記ギヤに設けられ前記ギヤと一体に回転する第1コーン面と、
    前記シャフトの軸方向に前記シャフトに対して移動可能に設けられるとともに前記シャフトと一体に回転する第1スリーブと、
    前記第1スリーブと前記ギヤとの間に設けられ、前記第1コーン面に押し付けられることにより前記第1コーン面との間で前記摩擦力を発生する第2コーン面を有したシンクロナイザリングと、
    を有し、前記動力伝達状態では、前記第1スリーブが前記第2コーン面を前記第1コーン面に押し付け、前記動力遮断状態では、前記第1スリーブが前記第2コーン面を前記第1コーン面に押し付けず、
    前記クラッチ機構は、前記第1歯と前記第2歯とが噛み合う噛合位置と前記第1歯と前記第2歯とが噛み合わない非噛合位置との間で前記シャフトの軸方向に前記シャフトに対して移動可能に設けられるとともに、前記シャフトと一体に回転する第2スリーブを有した、請求項1に記載の変速機用ギヤ接続機構。
  3. 前記第1スリーブと前記第2スリーブとは、前記ギヤに対して互いに反対側に位置された、請求項2に記載の変速機用ギヤ接続機構。
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