JP2015121273A - トランスファ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カップリングスリーブがニュートラル領域を通過する時間を短縮し、スリーブと変速歯車機構の係合時における差回転を縮小して、ギヤ鳴りを抑制できるトランスファ装置を提供する。
【解決手段】副変速機の低速側および高速側回転要素に択一的に嵌合するよう軸方向移動して副変速機を低速段と高速段に切り替えるカップリングスリーブと、このスリーブを軸方向に移動させるよう操作可能なシフトフォークシャフト36と、シフトフォークシャフト36を操作してカップリングスリーブによる副変速機の切替えを制御する電動パルスモータ61とを備え、カップリングスリーブがいずれの回転要素にも嵌合しないニュートラル領域にあるとき、カップリングスリーブがいずれかの回転要素に嵌合するまで、電動パルスモータ61による操作速度よりもシフトフォークシャフト36を速く移動させる加速手段をさらに備えている。
【選択図】図3
【解決手段】副変速機の低速側および高速側回転要素に択一的に嵌合するよう軸方向移動して副変速機を低速段と高速段に切り替えるカップリングスリーブと、このスリーブを軸方向に移動させるよう操作可能なシフトフォークシャフト36と、シフトフォークシャフト36を操作してカップリングスリーブによる副変速機の切替えを制御する電動パルスモータ61とを備え、カップリングスリーブがいずれの回転要素にも嵌合しないニュートラル領域にあるとき、カップリングスリーブがいずれかの回転要素に嵌合するまで、電動パルスモータ61による操作速度よりもシフトフォークシャフト36を速く移動させる加速手段をさらに備えている。
【選択図】図3
Description
本発明は、トランスファ装置、特に副変速機を備えたトランスファ装置に関する。
4輪駆動車等の車両においては、トランスファ装置内に副変速機を備え、悪路や岩石路等のオフロード走行時あるいは緊急避難時にその副変速機を高速段での動作モードから低速段での動作モードに切り替えることで、通常走行時に対し高減速比として、必要な駆動力を確保しつついわゆるウォーキングスピードでの走行を可能とするものがある。
このようなトランスファ装置として、例えば主変速機からの動力を入力する入力軸をプラネタリギヤで構成される変速歯車機構のサンギヤに結合するとともに、その変速歯車機構のリングギヤを変速機ケースに支持させ、サンギヤに連結した高速側回転要素とキャリアに連結した低速側回転要素とに、出力軸側のカップリングスリーブを択一的にスプライン嵌合させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、主変速機側がニュートラル状態にあるときに、副変速機側での高速段と低速段との間の切替えが許容されるように変速制御がなされ、カップリングスリーブを軸方向に切替操作するときに入力軸側と出力軸側の間に介在する油圧多板クラッチの作動油圧によってその油圧多板クラッチの摩擦を増加させるようになっている。
しかしながら、上述のような従来のトランスファ装置にあっては、副変速機における高・低変速段の切替え時にトランスファ入力軸が回転し始めた状態で高速側または低速側への切替えがなされると、回転停止しているカップリングスリーブを、トランスファ入力軸の回転に応じ回転している変速歯車機構の高速側回転要素または低速側回転要素にスプライン嵌合させることになり、ギヤ鳴りが生じるおそれがあった。
また、このギヤ鳴りは、スリーブと変速歯車機構の各回転要素との差回転が増加する副変速機の低速段から高速段への切替え時により大きくなり、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過する時間が長いほど大きくなるおそれがあった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過する時間を短縮することにより、スリーブと変速歯車機構の係合時における差回転を縮小することができ、ギヤ鳴りを有効に抑制可能なトランスファ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るトランスファ装置は、上記目的達成のため、低速側回転要素および高速側回転要素を有する変速歯車機構を備えたトランスファ装置であって、前記低速側回転要素および前記高速側回転要素に択一的に嵌合するよう軸方向に移動して前記変速歯車機構を低速段と高速段のうち任意の一方から他方に切り替えるカップリングスリーブと、前記カップリングスリーブを前記軸方向に移動させるよう操作可能なシフトフォークシャフトと、前記シフトフォークシャフトを操作して前記カップリングスリーブによる前記変速歯車機構の切替えを制御する電動アクチュエータと、を備え、前記カップリングスリーブが前記変速歯車機構の切替え中に前記低速側回転要素および前記高速側回転要素のうちいずれにも嵌合しなくなるニュートラル領域にあるとき、前記カップリングスリーブが前記低速側回転要素および前記高速側回転要素のうちいずれかに嵌合する嵌合領域に達するまで、前記電動アクチュエータによる前記シフトフォークシャフトの操作速度よりも前記シフトフォークシャフトを速く移動させる加速手段をさらに備えていることを特徴とする。
この構成により、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過するときの移動速度が大きくなってその通過時間が短縮され、スリーブと変速歯車機構の高速側回転要素または低速側回転要素との嵌合時における差回転が小さくなることで、ギヤ鳴りが有効に抑制されることになる。
前記加速手段は、前記シフトフォークシャフトに形成された径方向の凹凸部と、前記凹凸部に係合可能なロック部材および該ロック部材を前記シフトフォークシャフト側に付勢する第1の弾性部材を有し、前記ロック部材を前記凹凸部に係合させているときに前記シフトフォークシャフトの軸方向移動を抑制するロック機構と、前記電動アクチュエータと前記シフトフォークシャフトとの間に介在する第2の弾性部材を有し、前記ロック機構によって前記シフトフォークシャフトの軸方向移動が抑制されている状態で前記電動アクチュエータが作動するとき、前記ロック部材が前記凹凸部から離脱するまで前記第2の弾性部材を弾性変形させる待ち機構とを含んで構成されてもよい。
また、その場合、前記シフトフォークシャフトの前記凹凸部が、前記高速段側で前記ロック部材に係合する高速段側の凹凸部と、前記低速段側で前記ロック部材に係合するとともに前記高速段側の凹凸部より前記軸方向に長く形成された低速段側の凹凸部とによって構成され、前記ロック部材が前記低速段側の凹凸部に係合するときの前記第1の弾性部材の弾性変形量が、前記ロック部材が前記高速段側の凹凸部に係合するときの前記第1の弾性部材の弾性変形量より大きく設定されているのがよい。
このように構成すると、ロック機構により軸方向移動を抑制されるシフトフォークシャフトの切替え初期の操作抵抗が、高速段から低速段への切替え時よりも低速段から高速段への切替え時に大きくなり、さらに、前記ロック部材が前記凹凸部から離脱するまでの前記第2の弾性部材の弾性変形量が、高速段から低速段への切替え時よりも低速段から高速段への切替え時に大きくなる。しかも、低速段側の凹凸部が高速段側の凹凸部より前記軸方向に長く形成されることで、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過するときの移動距離も縮小される。その結果、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過するときの通過時間が十分に短縮されることになり、ギヤ鳴りをより有効に抑制できることになる。
本発明によれば、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過する時間を短縮することにより、スリーブと変速歯車機構の係合時における差回転を縮小することができ、ギヤ鳴りを有効に抑制可能なトランスファ装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図3は本発明の一実施形態に係るトランスファ装置の構成を示している。
まず、その全体の概略構成について説明する。
図1および図2に示すように、トランスファ装置10は、図外のエンジンから出力されて主変速機2により変速された動力(回転動力)を入力するように、主変速機2の後段に配置されている。そして、このトランスファ装置10から公知の車両の前輪側の差動装置8および後輪側の差動装置6に動力が分配されるようになっている。
主変速機2は、公知のものであり、特にその詳細な構成を図示しないが、複数の走行レンジ(複数の前進レンジ、後進レンジ)およびニュートラルレンジのうち任意のレンジに選択操作されるようになっており、選択されたレンジに応じてそれに対応する車両の走行レンジで、自動変速を行うようになっている。
トランスファ装置10は、トランスファケース13と、主変速機2側からの動力を入力する副変速機20(歯車変速機構)と、その副変速機20を高速と低速に切替操作する切替操作機構30と、例えばプラネタリギヤタイプの差動制限機能付のディファレンシャルギヤ装置からなるセンターデフ40とを備えている。
図2(a)および図2(b)に示すように、副変速機20は、主変速機2からの回転を入力する入力軸21と、入力軸21に一体形成されたサンギヤ22と、サンギヤ22の周りに配された複数のピニオン23と、ピニオン23を所定角度間隔で支持するキャリア24と、トランスファケース13に固定されたリングギヤ25とを有するプラネタリギヤ方式の変速歯車機構である。
入力軸21の内端部には高速段用の歯付ホイール26(高速側回転要素)が固定されており、副変速機20は、入力軸21の入力回転をこの歯付ホイール26からそのままの回転速度(速度比1:1)で出力するとき、高速出力状態となる。また、副変速機20は、入力軸21が例えば複数回転するとキャリア24が1回転するという減速出力を、キャリア24に固着された歯付の筒状体27(低速側回転要素)から出力するとき、低速出力状態となる。歯付ホイール26は、外歯のスプライン歯26aを有しており、一方、歯付の筒状体27は、内歯のスプライン歯27aを有している。
切替操作機構30は、高速側の切替位置(図2(a)参照)および歯付の筒状体27にスプライン嵌合する低速側の切替位置(図2(b)参照)に移動できるよう入力軸21に対し同軸に配置されつつセンターデフ40のハウジング41にスプライン嵌合したカップリングスリーブ33を有している。
このカップリングスリーブ33は、歯付ホイール26に係脱可能にスプライン嵌合する内歯のスプライン歯33aと、歯付の筒状体27に係脱可能にスプライン嵌合する外歯のスプライン歯33tとを一端側に有する一方、他端側に環状の切替操作部33gを有している。すなわち、カップリングスリーブ33は、歯付ホイール26および歯付の筒状体27に択一的にスプライン嵌合するよう、センターデフ40のハウジング41に軸方向に移動可能に支持され、副変速機20を低速段と高速段のうち任意の一方から他方に切り替えることができる部材となっている。
切替操作機構30は、また、カップリングスリーブ33の環状の切替操作部33gに軸方向に一体的にかつカップリングスリーブ33の回転を許容するように係合する高低切替え用のシフトフォーク35と、シフトフォーク35を支持するシフトフォークシャフト36とを有しており、シフトフォークシャフト36は、トランスファケース13に軸方向に移動可能に支持されている。
切替操作機構30は、さらに、シフトフォーク35およびシフトフォークシャフト36を介してカップリングスリーブ33を軸方向に移動させる電動アクチュエータユニット38を含んで構成されており、電動アクチュエータユニット38は、副変速機20を高速側および低速側の切替操作位置のうち任意の一方に切替制御するようになっている。
図3に示すように、この電動アクチュエータユニット38は、例えば減速機構が付設された電動パルスモータ61(電動アクチュエータ)と、電動パルスモータ61の回転をシフトフォークシャフト36を操作する直線運動に変換する運動変換機構63と、これら電動パルスモータ61および運動変換機構63の間に介在するねじりばね要素65と、電動パルスモータ61の回転またはそれに対応する直線変位を検出する図示しない変位検出器とを含んで構成されている。
運動変換機構63は、例えば図3に示すようなラック63aおよびピニオン63bによって構成されており、ピニオン63bは、電動アクチュエータユニット38のケース38a(図1参照)に回転自在に支持されている。
ねじりばね要素65は、例えばぜんまい状のうず巻きばね65a(第2の弾性部材)と、その外端部および内端部から所定半径位置付近に延びる一方および他方の係合部材65b、65cとで構成されている。そして、ばね定数が小さいうず巻きばね65aを所定量巻き上げた状態で、係合部材65b、65cの間には、電動パルスモータ61の出力部材66に設けられた扇形の軸方向突起部66aと、ピニオン63bに一体結合された回転部材67の扇形の軸方向突起部67aとが、相対回転可能に配置されている。
このねじりばね要素65は、カップリングスリーブ33が歯付ホイール26および歯付の筒状体27に択一的にスプライン嵌合する際の双方のスプライン歯の回転位相のずれに起因して、電動パルスモータ61側からの駆動回転に対しシフトフォークシャフト36を軸方向移動させるピニオン63bが即座に追従回転できないとき、前記双方のスプライン歯の回転位相が合うまでピニオン63bの追従回転を待つ、いわゆる待ち機構としての機能を有している。
電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61は、トランスファ切替制御用の電子制御ユニットである後述のトランスファECU100によって制御される。
一方、トランスファ装置10は、カップリングスリーブ33が副変速機20の高速段と低速段の切替え中のニュートラル領域にあるとき、カップリングスリーブ33が歯付ホイール26および歯付の筒状体27のうちいずれかに嵌合する嵌合領域に達するまで、電動アクチュエータユニット38によるシフトフォークシャフト36の操作速度よりも速く移動させるようシフトフォークシャフト36を加速する加速手段70を有している。
ここにいう高速段と低速段の切替え中のニュートラル領域とは、カップリングスリーブ33の軸方向の移動範囲中で、カップリングスリーブ33が歯付ホイール26および歯付の筒状体27のうちいずれにも嵌合しなくなる移動領域である。
具体的には、例えば低速段から高速段への切替えの場合、その切替えのために、カップリングスリーブ33が高速側への軸方向移動により低速側回転要素である歯付ホイール26から離脱した後、高速側回転要素である歯付の筒状体27にスプライン嵌合する直前までの移動領域である。
また、カップリングスリーブ33が歯付ホイール26および歯付の筒状体27のうちいずれかに嵌合する嵌合領域に達するまでとは、例えば低速段から高速段への切替えの場合、その切替えのために、カップリングスリーブ33が低速側回転要素である歯付ホイール26から離脱した後、高速側回転要素である歯付の筒状体27にスプライン嵌合するまでを意味する。
図3に示すように、加速手段70は、シフトフォークシャフト36の外周に形成された高速段側のロック溝部71(高速段側の凹凸部)および低速段側のロック溝部72(低速段側の凹凸部)と、両ロック溝部71、72に択一的に係合するロックボール73(ロック部材)と、そのロックボール73をシフトフォークシャフト36側に付勢する圧縮コイルばね74(第1の弾性部材)とを含んで構成されている。
これら高速側および低速段側のロック溝部71、72、ロックボール73および圧縮コイルばね74は、ロック機構75を構成している。このロック機構75は、ロックボール73をロック溝部71または72に係合させているときにシフトフォークシャフト36の軸方向移動を抑制できるようになっている。
高速段側のロック溝部71は、シフトフォークシャフト36が高速段側に操作されたときにロックボール73に係合するように配置されており、低速段側のロック溝部72は、シフトフォークシャフト36が低速段側に操作されたときにロックボール73に係合するように配置されている。
ロックボール73は、例えば電動アクチュエータユニット38の近傍で、トランスファケース13内にシフトフォークシャフト36の径方向に変位可能に保持されている。
高速段側のロック溝部71および低速段側のロック溝部72は、それぞれシフトフォークシャフト36の外周面上で径方向の凹形状をなす一方、互いにシフトフォークシャフト36の軸方向に所定距離を隔てて離間することで、両ロック溝部71、72の間に凸形状部分36pを形成している。
具体的には、高速段側のロック溝部71は、シフトフォークシャフト36の軸方向における両側の側壁面71aが互いに逆方向に傾斜した略V字形状の凹形状をなしており、両側壁面71aの間に、シフトフォークシャフト36の軸方向に対して略平行な平面状の内底壁面71bを有している。また、低速段側のロック溝部72は、シフトフォークシャフト36の軸方向における両側の側壁面72aが互いに逆方向に傾斜した凹形状をなしており、両側壁面72aの間に、シフトフォークシャフト36の軸方向に対して略平行な平面状の内底壁面72bを有している。なお、内底壁面72bの法線に対する両側壁面72aの傾斜角度は、いずれも45度未満、例えば40度より若干小さい角度である。
高速段側のロック溝部71と低速段側のロック溝部72とは、シフトフォークシャフト36の外周面からの半径方向の深さdp1、dp2が互いに相違しており、低速段側のロック溝部72の内底壁面72bの深さdp2は、高速段側のロック溝部71の内底壁面71bの深さdp1より段差hs分だけ浅くなっている。そして、これにより、ロックボール73が低速段側のロック溝部72に係合しているときの圧縮コイルばね74の弾性変形量は、ロックボール73が高速段側のロック溝部71に完全に係合しているときの圧縮コイルばね74の弾性変形量より大きく設定されている。したがって、ロック機構75がシフトフォークシャフト36の軸方向移動を抑制する力は、ロックボール73が高速段側のロック溝部71に係合するときよりも、ロックボール73が低速段側のロック溝部72に係合するときの方が大きくなる。
また、加速手段70は、ロック機構75によってシフトフォークシャフト36の軸方向移動が抑制されている状態で、電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61が副変速機20の切替えをなすよう作動するとき、ロックボール73が高速段側のロック溝部71または低速段側のロック溝部72から離脱するまでの間、ねじりばね要素65のうず巻きばね65aを弾性変形させて弾性エネルギを蓄積させるようになっている。
ロックボール73が低速段側のロック溝部72に係合している状態でロック機構75がシフトフォークシャフト36の軸方向移動を抑制する力は、ねじりばね要素65のうず巻きばね65aを組付け状態からさらに巻き上げ可能な大きさに設定されている。
したがって、副変速機20を低速段から高速段に切り替えるときには、図3に実線で示すロックボール73の停止位置でうず巻きばね65aが所定量巻き上げられ始め、ねじりばね要素65を介してピニオン63bからシフトフォークシャフト36に加えられる軸方向操作力が所定値に達してから、シフトフォークシャフト36が軸方向移動し始めるとともにロックボール73が低速段側のロック溝部72内で摺動する。その結果、副変速機20を低速段から高速段に切り替えるときには、副変速機20を高速段から低速段に切り替えるときよりも、うず巻きばね65aの弾性変形量(巻き上げ角度)が大きくなり、蓄積される弾性エネルギも大きくなる。
また、高速段側のロック溝部71と低速段側のロック溝部72とは、シフトフォークシャフト36の軸方向における長さも互いに相違しており、低速段側のロック溝部72の内底壁面72bの長さは、高速段側のロック溝部71の内底壁面71bの長さより大きくなっている。これにより、副変速機20の低速段から高速段への切替えに際してロックボール73が低速段側のロック溝部72から離脱するとき、カップリングスリーブ33のスプライン歯33tと歯付の筒状体27のスプライン歯27aとのスプライン嵌合長さは、その切替え前の低速段でのスプライン嵌合長さに対して十分に短くなる。そして、スプライン歯27a、33tの嵌合が外れる直前にうず巻きばね65aの弾性変形量が十分に増加し、既に摺動開始しているカップリングスリーブ33をさらに十分に加速可能な状態で、スプライン歯27a、33tの嵌合が外れるようになっている。
センターデフ40は、入力軸21と同一軸線上に配置された出力軸14に回転自在に支持されるハウジング41を有しており、カップリングスリーブ33は、ハウジング41のスプライン歯41aにスプライン嵌合している。このハウジング41の一端側には蓋状のキャリア42がスプライン嵌合しており、キャリア42に支持された複数のピニオン43がサンギヤ46およびリングギヤ47に噛み合っている。サンギヤ46は、フロント側出力部材45を介してフロントドライブ用のチェーンスプロケット44に回転方向一体に結合されている。一方、リングギヤ47は、内外周にスプラインが形成された内筒部材48を介して出力軸14に回転方向一体に結合されている。
なお、チェーンスプロケット44はドリブン側のチェーンスプロケット51とチェーン52によって連結されており、このチェーンスプロケット51を介してフロント側のプロペラシャフトを駆動する。また、出力軸14にリヤ側のプロペラシャフトが連結される。また、ハウジング41にはデフロック切替え用のスリーブ53もスプライン嵌合しており、このスリーブ53がフロント側出力部材45に固着された歯付ホイール54にスプライン嵌合したとき、ハウジング41とチェーンスプロケット44を回転方向一体に結合することができるようになっている。
トランスファECU100については、詳細なハードウェア構成を図示しないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップメモリを備え、さらに、A/D変換器等を含む入力インターフェース回路と、リレー回路等を含む出力インターフェース回路等と、エンジン制御および主変速機2の制御を行う他のECUや統合制御用コントロールコンピュータとの間で通信を行うための通信インターフェースを含んで構成されている。このトランスファECU100は、トランスミッション制御用のコントロールコンピュータの一部で構成されてもよい。
トランスファECU100の入力インターフェース回路には、図示しない車室側に装備された高低切替スイッチ101が接続されており、この高低切替スイッチ101は、副変速機20の高速段と低速段のうち任意の一方から他方への切替えを要求する操作入力がなされたとき、その操作入力に対応する切替指令信号を出力する。また、トランスファECU100の通信インターフェースには、主変速機2を変速制御するためのECU等から主変速機2で選択されているレンジを示すレンジ信号(例えばD、L、2、R等)と車速情報が取り込まれるようになっている。すなわち、トランスファECU100は、高低切替スイッチ101と協働してトランスファモードの切替え(副変速機20の高速段と低速段の切替え)を要求する指令を検知するとともに、車速と、主変速機2のシフト位置とを検出するようになっている。
トランスファECU100の前記ROMには、トランスファモードの切替制御プログラムが格納されている。
トランスファECU100は、この切替制御プログラムに従って、車速等の車両走行状態に関する情報を入力するとともに、前記レンジ信号で示される主変速機2のレンジおよび高低切替スイッチ101の切替位置信号等を入力し、予め設定された切替えの条件に従ってトランスファ装置10の副変速機20の切替えの適否を判断する。そして、トランスファECU100は、副変速機20の切替えに適した状態であると判断すると、適当な切替操作位置にシフトフォーク35を移動させるように電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61を駆動制御するようになっている。
ここにいう切替えの条件とは、例えば予め設定された低速の所定車速[km/h]以下、例えば車速ゼロであって、主変速機2がニュートラルレンジであることである。すなわち、トランスファECU100は、切替え時のギヤ鳴り防止のため、主変速機2がニュートラルレンジのときにのみ電動アクチュエータユニット38によるトランスファモードの切替動作を開始させるようになっている。
次に、本実施形態のトランスファ装置10における副変速機20の切替動作の一例について説明する。
図4は、副変速機20の低速段L(低速段の4輪駆動L4)から高速段H(高速段の4輪駆動H4)への切替え時における切替操作荷重[N]の推移を示しており、図5は、その切替操作ストロークに対する電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61の作動による切替操作荷重の変化を示している。
図4において、まず、電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61が作動し始めると(時刻t0)、電動パルスモータ61からの操作荷重に加えて、静止状態でねじりばね要素65のうず巻きばね65aが巻き上げられることにより、切替操作荷重が増加する。
切替操作荷重が増加してロックボール73が静止状態を脱し、低速段側のロック溝部72内で摺動し始めると、切替操作荷重が一時的に上昇停止するが、うず巻きばね65aの巻き上げ状態が維持されつつ、ロックボール73が低速段側のロック溝部72の凸形状部分36p側の側壁面72aに達する(時刻t1)。
そして、側壁面72aのきつい傾斜角とロック機構75の圧縮コイルばね74の作用とによって、切替操作荷重が急増し、切替操作荷重が所定の離脱荷重に達すると(時刻t2)、ロックボール73が低速段側のロック溝部72から離脱し、その直後にカップリングスリーブ33のスプライン歯33tと歯付の筒状体27のスプライン歯27aとのスプライン嵌合が解除される。
このとき、切替操作荷重が急に低下するものの、カップリングスリーブ33は、ねじりばね要素65に蓄積された弾性エネルギによって十分に加速され(時刻t3)、図6に示すように、カップリングスリーブ33のスプライン歯33tと歯付の筒状体27のスプライン歯27aとの嵌合が外れた後も、カップリングスリーブ33がニュートラル領域を十分な移動速度で通過する(時刻t4)。
次いで、カップリングスリーブ33のスプライン歯33tと歯付ホイール26のスプライン歯26aとが近接した後(時刻t5)、ロックボール73が高速段側のロック溝部71に係合すると(時刻t6)、切替操作荷重が低下するとともに(時刻t7)、ロックボール73が高速段側のロック溝部71内に落ち込み(時刻t8)、次いで、電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61が停止する(時刻t9)。
この間のカップリングスリーブ33の切替操作ストロークは、図5に示すように、電動アクチュエータユニット38の電動パルスモータ61の出力回動角度に対応するストローク値Lsに達するものとなる。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態のトランスファ装置10では、副変速機20の高速段と低速段の間の切替えに際して、カップリングスリーブ33が歯付ホイール26および歯付の筒状体27のうちいずれにも嵌合しなくなるニュートラル領域を通過するとき、加速手段70によってカップリングスリーブ33が加速され、カップリングスリーブ33の移動速度が大きくなる。
したがって、カップリングスリーブ33がニュートラル領域を通過する通過時間が短縮され、出力軸14側にスプライン嵌合して回転停止しているカップリングスリーブ33と、主変速機2側から入力軸21に入力される引き摺りトルクにより回転し始める歯付ホイール26もしくは歯付の筒状体27との嵌合時における差回転が小さくなることで、ギヤ鳴りが有効に抑制される。
また、本実施形態では、ロック機構75により軸方向移動を抑制されるシフトフォークシャフト36の切替え初期の操作抵抗と、ねじりばね要素65のうず巻きばね65aの弾性変形量とが、高速段から低速段への切替え時よりも低速段から高速段への切替え時に大きくなり、カップリングスリーブ33がニュートラル領域を通過するときの移動速度が十分に大きくなる。それに加えて、低速段側のロック溝部72がニュートラル領域側に拡張されて、高速段側のロック溝部71よりシフトフォークシャフト36の軸方向に長くなっているので、カップリングスリーブ33がニュートラル領域を通過するときの移動距離も縮小され、その通過時間が図6に示すように十分に短縮されることになる。その結果、図6中に点線の楕円Nで囲んだ部分に示すように、ギヤ鳴り音圧[kPa]を有効に抑制できることになる。
このように、本実施形態においては、カップリングスリーブ33がニュートラル領域を通過する時間を短縮することにより、カップリングスリーブ33と副変速機20の歯付ホイール26または歯付の筒状体27との係合時における差回転を縮小することができ、ギヤ鳴りを有効に抑制可能なトランスファ装置10を提供することができる。
因みに、図7には、比較例について、その切替操作時間に対するカップリングスリーブ33のシフトストロークの変化を示している。この比較例は、ロック機構の圧縮コイルばねのばね定数を前述の一実施形態の場合より小さくするとともに、高速段側および低速段側のロック溝を共に一実施形態のロック溝部71のように短くしつつそれらの両側壁面の傾斜角度を45度以上に大きくし、低速段から高速段への切替操作初期にねじりばね要素65による弾性エネルギの蓄積を実行しないようにしたものである。
この場合、図4中の時刻t1より前の荷重ピーク時にロック解除され、同図中に点線で示すように、切替操作中の切替操作荷重は時刻t1からt3の間でも単純に低下する。そして、図7に示すように、カップリングスリーブ33のシフトストロークが切替操作時間に略比例して変化し、カップリングスリーブ33のニュートラル領域通過時間が長くなる。そのため、回転停止中のカップリングスリーブ33と、カップリングスリーブ33がニュートラル領域に入った後に主変速機2側から入力軸21に入力される引き摺りトルクにより回転し始める歯付ホイール26との嵌合時における差回転が大きくなり、図7中に点線の楕円N´で囲んだ部分に示すように、ギヤ鳴り音圧が大きくなってしまう。
以上説明したように、本発明は、カップリングスリーブがニュートラル領域を通過する時間を短縮することにより、スリーブと変速歯車機構の係合時における差回転を縮小することができ、ギヤ鳴りを有効に抑制可能なトランスファ装置を提供するものであり、副変速機を備えたトランスファ装置全般に有用である。
2…主変速機、10…トランスファ装置、13…トランスファケース、14…出力軸、20…副変速機(歯車変速機構)、21…入力軸、22…サンギヤ、23…ピニオン、24…キャリア、25…リングギヤ、26…歯付ホイール(高速側回転要素)、26a…スプライン歯、27…歯付の筒状体(低速側回転要素)、27a…スプライン歯、30…切替操作機構、33…カップリングスリーブ、33a,33t…スプライン歯、33g…環状の切替操作部、35…シフトフォーク、36…シフトフォークシャフト、36p…凸形状部分、38…電動アクチュエータユニット、40…センターデフ、45…フロント側出力部材、61…電動パルスモータ(電動アクチュエータ)、63…運動変換機構、63a…ラック、63b…ピニオン、65…ねじりばね要素(待ち機構)、65a…うず巻きばね(第2の弾性部材)、66…出力部材、66a…軸方向突起部、67…回転部材、67a…軸方向突起部、70…加速手段、71…ロック溝部(高速段側の凹凸部)、71a…側壁面、71b…内底壁面、72…ロック溝部(低速段側の凹凸部)、72a…側壁面、72b…内底壁面、73…ロックボール(ロック部材)、74…圧縮コイルばね(第1の弾性部材)、75…ロック機構、100…トランスファECU(変速制御手段)、101…高低切替スイッチ(切替指示操作手段)、dp1,dp2…半径方向の深さ、hs…段差
Claims (1)
- 低速側回転要素および高速側回転要素を有する変速歯車機構を備えたトランスファ装置であって、
前記低速側回転要素および前記高速側回転要素に択一的に嵌合するよう軸方向に移動して前記変速歯車機構を低速段と高速段のうち任意の一方から他方に切り替えるカップリングスリーブと、
前記カップリングスリーブを前記軸方向に移動させるよう操作可能なシフトフォークシャフトと、
前記シフトフォークシャフトを操作して前記カップリングスリーブによる前記変速歯車機構の切替えを制御する電動アクチュエータと、を備え、
前記カップリングスリーブが前記変速歯車機構の切替え中に前記低速側回転要素および前記高速側回転要素のうちいずれにも嵌合しなくなるニュートラル領域にあるとき、前記カップリングスリーブが前記低速側回転要素および前記高速側回転要素のうちいずれかに嵌合する嵌合領域に達するまで、前記電動アクチュエータによる前記シフトフォークシャフトの操作速度よりも前記シフトフォークシャフトを速く移動させる加速手段をさらに備えていることを特徴とするトランスファ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013265502A JP2015121273A (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | トランスファ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013265502A JP2015121273A (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | トランスファ装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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2013
- 2013-12-24 JP JP2013265502A patent/JP2015121273A/ja active Pending
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