JP2019172901A - 乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法 - Google Patents

乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法 Download PDF

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【課題】乳化重合ラテックスの凝固工程におけるノズルの吐出不良を簡便かつ正確に検知することができる乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、乳化重合ラテックスをノズルユニットを通じて凝固剤溶液に流出する凝固工程を含み、前記ノズルユニットは、複数の一列に配置された長尺のノズルを備え、前記各ノズルには、長手方向に沿ってマーカーが2点以上設けられ、前記凝固工程において、カメラで、所定の時間間隔で、前記ノズルユニット及び前記各ノズルの出口から流出する前記乳化重合ラテックスを一緒に撮像し、撮像した画像に対して、前記各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ前記各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、前記基準点における乳化重合ラテックスの状態から、前記各ノズルの吐出不良を検知する乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、凝固工程を含む乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法に関し、詳細には、凝固工程におけるノズルの吐出不良を検知することができる乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法に関する。
乳化重合により製造された乳化重合ラテックスから目的のグラフト共重合体を回収するためには、通常、乳化重合ラテックスを凝集させて回収する造粒操作が必要である。例えば、特許文献1には、増粘剤を含む乳化重合ラテックスをノズルから凝固剤溶液に流出して凝固させることで乳化重合ラテックス凝集粒子を製造することが記載されている。
国際公開第2015/146549号
しかしながら、揮発した凝固剤やスケール化したラテックスによってノズルが閉鎖し、それゆえ、ラテックスの吐出線速が上昇し、乳化重合ラテックス凝集粒子のかさ比重が低下するなどの品質劣化が生じることがある。これは、複数のノズルを備えたノズルユニットを用いた場合は、特に問題となる。通常は、乳化重合ラテックス凝集粒子の製造時に、所定の時間間隔でオペレータがノズルの詰まり等を点検することが行われているが、より簡便かつ正確にノズルの詰まり等のノズルの吐出不良を検知することが求められている。
本発明は、上述した問題を解決するため、乳化重合ラテックスの凝固工程におけるノズルの吐出不良を簡便かつ正確に検知することができる乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法を提供する。
本発明は、乳化重合ラテックスをノズルユニットを通じて凝固剤溶液に流出する凝固工程を含み、前記ノズルユニットは、複数の一列に配置された長尺のノズルを備え、前記各ノズルには、長手方向に沿ってマーカーが2点以上設けられ、前記凝固工程において、カメラで、所定の時間間隔で、前記ノズルユニット及び前記各ノズルの出口から流出する前記乳化重合ラテックスを一緒に撮像し、撮像した画像に対して、前記各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ前記各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、前記基準点における乳化重合ラテックスの状態から、前記各ノズルの吐出不良を検知することを特徴とする乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法に関する。
前記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法において、前記基準点における画像の輝度に基づいて、前記基準点の乳化重合ラテックスの状態を判断してもよい。また、前記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法において、前記基準点における画像の形状に基づいて、前記基準点の乳化重合ラテックスの状態を判断してもよい。前記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法において、前記カメラによる撮像は、所定の時間間隔で連続的に行うことが好ましい。
前記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法において、いずれかのノズルの吐出不良を検知したときに警報を発生してもよい。前記警報が発生されたときに、洗浄液を前記ノズルユニットに流し込み、ノズルの汚れを排出してもよい。前記警報は、いずれかのノズルの吐出不良を連続的に2回以上検知したときに発生することが好ましい。
前記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法において、前記ノズルユニットは、各ノズルの出口が前記凝固剤溶液の液面よりも上方に位置するように設置されていることが好ましい。
本発明の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法によれば、乳化重合ラテックスの凝固工程におけるノズルの吐出不良を簡便に検知することができる。それゆえ、得られる乳化重合ラテックス凝集粒子のノズルの吐出不良に起因する品質劣化を防止することができる。
図1は、凝固工程において、ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像する工程を説明する模式的俯瞰図である。 図2A及び2Bは、基準点における画像の輝度に基づいて各ノズルの吐出不良を検知する実施形態を示すフローチャートである。 図3A及び3Bは、基準点における画像の形状に基づいて各ノズルの吐出不良を検知する実施形態を示すフローチャートである。 図4は、本発明の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法に用いる1例のシステムの模式的説明図である。
発明者らは、乳化重合ラテックス(以下において、単に「ラテックス」とも記す。)の凝固工程において、複数のノズルを有するノズルユニットを用いた場合、ノズルの詰まりやノズルが詰まる予兆などの吐出不良を簡便に検知するために検討を重ねた。その結果、上記ノズルユニットの各ノズルに、長手方向に沿ってマーカーを2点以上設け、凝固工程において、カメラで、所定の時間間隔で、ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像し、撮像した画像に対して、各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、基準点における乳化重合ラテックスの状態を確認することで、各ノズルの吐出不良を簡便かつ正確に検知することができることを見出した。
本発明において、乳化重合ラテックスは、特に限定されず、乳化重合により調製したコアシェルグラフト共重合体等の数々の重合体の重合反応液を意味する。例えば、下記のモノマー群から選ばれた1種又は2種以上のモノマーを主成分とする単量体組成物を共重合またはグラフト重合させた重合体粒子を含む乳化重合ラテックスが挙げられる。上記乳化重合ラテックスは、2種以上の乳化重合ラテックスの混合物であってもよい。
上記モノマー群としては、例えば、1)メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数が1以上10以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート類(アクリル酸エステル)、2)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の炭素数が1以上10以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類(メタクリル酸エステル)、3)スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類(芳香族ビニルモノマー)、4)アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、5)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類(シアン化ビニルモノマー)、6)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、7)酢酸ビニル、8)エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類、9)アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能性モノマー等が例示される。
乳化重合ラテックスとしては、具体的には、熱可塑性樹脂の品質改良剤(特に耐衝撃性改良剤)として広範に用いられている凝集粒子が得られる下記(1)〜(3)のいずれかの乳化重合ラテックスを好適に用いることができる。
(1)ブタジエン50重量%以上100重量%以下、芳香族ビニルモノマー0重量%以上40重量%以下、これらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上10重量%以下及び多官能性モノマー0重量%以上5重量%以下を重合してなり、ガラス転移温度が0℃以下のゴムラテックスの固形分50重量部以上95重量部以下と、メタクリル酸エステル10重量%以上100重量%以下、芳香族ビニルモノマー0重量%以上90重量%以下、シアン化ビニルモノマー0重量%以上25重量%以下並及びこれらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上20重量%以下からなる単量体混合物5重量部以上50重量部以下をグラフト重合(乳化重合)することにより得られる重合体ラテックスであって、ゴムラテックスの固形分と単量体混合物の合計量が100重量部である。
(2)アクリル酸エステル50重量%以上100重量%以下、芳香族ビニルモノマー0重量%以上40重量%以下、これらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上10重量%以下及び多官能性モノマー0重量%以上5重量%以下を重合してなり、ガラス転移温度が0℃以下のゴムラテックスの固形分50重量部以上95重量部以下に、メタクリル酸エステル10重量%以上100重量%以下、芳香族ビニルモノマー0重量%以上90重量%以下、シアン化ビニルモノマー0重量%以上25重量%以下及びこれらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上20重量%以下からなる単量体混合物5重量部以上50重量部以下をグラフト重合(乳化重合)することにより得られる重合体ラテックスであって、ゴムラテックスの固形分と単量体混合物の合計量が100重量部である。
(3)メタクリル酸メチル50重量%以上95重量%以下、炭素数2以上8以下のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5重量%以上50重量%以下、及びこれらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上20重量%以下である単量体混合物をまず乳化重合し、その生成重合体(a)のラテックス60重量部以上95重量部以下の存在下に、メタクリル酸メチル20重量%以上80重量%以下、アクリル酸エステル及びメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上の単量体20重量%以上80重量%以下及びこれらと共重合可能なビニルモノマー0重量%以上20重量%以下である単量体混合物5重量部以上40重量部以下を重合(乳化重合)することにより得られる重合体ラテックスであって、重合体(a)と単量体混合物の合計量が100重量部である。
乳化重合ラテックスは、特に限定されず、例えば、一般的な乳化重合ラテックスの製造方法と同様の製造方法で製造することができる。具体的には、上記(1)〜(3)のいずれかの乳化重合ラテックスは、特に限定されないが、例えば、特開平2−269755号公報、特開平8−217817号公報に記載されている製造方法と同様の製造方法で製造してもよい。
乳化重合ラテックス中のポリマーの体積平均粒子径は、例えば、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.06μm以上0.3μm以下、さらに好ましくは0.07μm以上0.2μm以下である。なお、上記乳化重合ラテックス中のポリマーの体積平均粒子径は、例えば、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定装置(日機装株式会社製「MICROTRAC UPA」)を用いて測定することができる。
乳化重合ラテックスのポリマー固形分の濃度は、例えば、10重量%以上40重量%以下が好ましく、25重量%以上40重量%以下がより好ましい。乳化重合ラテックスのポリマー固形分の濃度が、10重量%よりも低い場合は、乳化重合ラテックス凝集粒子の嵩比重が低下するおそれがある。上記ポリマー固形分の濃度が40重量%を超えると、乳化重合ラテックスをノズルから円滑に流出させることが困難となるおそれがある。
乳化重合ラテックスの25℃における粘度は、例えば、3mPa・s以上であることが好ましく、5mPa・s以上であることがより好ましく、10mPa・s以上であることがさらに好ましく、さらにより好ましくは15mPa・s以上であり、さらにより好ましくは20mPa・s以上である。また、乳化重合ラテックスの25℃における粘度は、例えば、100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは50mPa・s以下であり、さらに好ましくは30mPa・s以下である。25℃における粘度が10mPa・s未満である場合、凝固剤溶液に流出される乳化重合ラテックスが個々の球状として流出されやすくなり、微粉子量が多くなるおそれがある。一方、25℃における粘度が100mPa・s超である場合、乳化重合ラテックスがノズルから排出され難くなり、ノズルが詰まりやすくなり、凝固剤溶液中で連続して流出させることが困難となるおそれがある。上記粘度は、25℃における対象乳化重合ラテックスに対してキャノン・フェンスケ、キャノン・フェンスケ逆流形、ウベローデ等の粘度計を用いて測定することができる。参考として、蒸留水の25℃における粘度は、0.8899mPa・sである。
乳化重合ラテックスには、増粘剤を添加してもよい。上記増粘剤は、公知のものが適宜使用でき、特に水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子としては、例えば非イオン性水溶性高分子、アニオン性水溶性高分子、カチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子などを挙げることができる。水溶性高分子としては、非イオン性水溶性高分子が好ましく、具体的にはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリビニルアルコ―ル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ―ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等を挙げることができる。上記水溶性高分子としては、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロースが特に好ましい。上記増粘剤は、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤の添加量(固形分基準)は、乳化重合ラテックスのポリマー固形分100重量部に対し、0.01重量部以上3.0重量部以下(100ppm以上30000ppm以下)が好ましく、0.015重量部以上0.05重量部以下(150ppm以上500ppm以下)がより好ましい。増粘剤の添加量が0.01重量部よりも少ない場合は、軟凝集状の形成が起こりにくくなる傾向にあり、また、その後の造粒挙動で微粒子量が増加する傾向にある。一方、増粘剤の添加量が3.0重量部よりも多い場合は、ノズルから吐出した乳化重合ラテックスの粘度が高く、凝集速度が遅くなる傾向があり、凝固槽での滞留時間を長く要する必要がある。また、未凝集ラテックスとなる場合があり、製造コストの高騰の面でも好ましくない。上記増粘剤の添加方法には特に制限はなく、所定量の増粘剤を上記ラテックスに一括して添加することができ、分割して添加することができ、あるいは連続的に添加することができる。
本発明に用いることのできる凝固剤溶液としては、乳化重合ラテックスを凝析・凝固し得る性質を有する無機酸(塩)及び/または有機酸(塩)等の凝固剤の水溶液を用いることができる。
上記凝固剤溶液としては、特に限定されないが、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物;硫酸アンモニウム;塩化アンモニウム;硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどのアルカリ金属硝化物;塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバンなどの無機塩類の水溶液、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸類の水溶液、酢酸、ギ酸などの有機酸類及びそれらの水溶液、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウムなどの有機酸塩類の水溶液が挙げられる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウムなどの一価または二価の無機酸の塩の水溶液、塩酸、硫酸などの一価若しくは二価の無機酸の水溶液などが好適に使用できる。上記凝固剤溶液は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記凝固剤溶液への凝固剤の添加方法には特に制限は無く、一括添加、分割添加、あるいは連続的添加を用いることができる。
本発明において、乳化重合ラテックスは、複数の一列に配置された長尺のノズルを備えたノズルユニットを通じて凝固剤溶液に流出する。乳化重合ラテックスをノズルユニット、すなわち長尺ノズルから流出させると、乳化重合ラテックスの凝集体(凝固体)を容易に異方形状化(たとえば長尺形状化)できる。そのため、微粒子状凝集物をより低減できると共に凝固剤溶液との界面から凝集体の中心までの距離(深さ)を小さくでき、内部の未凝固を防止するのにも有利である。したがってこの凝固物を粒子化の為に粉砕したとしても、粉砕時の微粒子の発生も防止できる。
本発明において、ノズルユニットの各ノズルは、その出口が凝固剤溶液中に浸漬するように配置されていてもよいが、ノズルの詰まりを防止する観点から、各ノズルの出口が上記凝固剤溶液の液面よりも上方に位置するように設置され、乳化重合ラテックスを各ノズルの出口から凝固剤溶液の液面に向けて流出させることが好ましい。
上記ノズルユニットは、複数の一列に配置された長尺のノズルを備えればよく、特に限定されない。また、ノズルユニットの各ノズルは、その一方の端部が、本体部、例えば主配管等と連結されていてもよい。上記ノズルユニットを、凝固剤溶液を収容している凝固槽の外側に、各ノズルの出口が上記凝固剤溶液の液面よりも上方に位置するように設置することができる。上記ノズルユニットにおけるノズルの本数は、生産規模などに合わせて適宜設定すればよく、例えば、2本以上20本以下であってもよい。
上記各ノズルは、特に限定されないが、例えば、流出(吐出)部内径が1mm以上4mm以下の円管型ノズル、又は、長径が4mm以上300mm以下、短径が1mm以上4mm以下の扁平型断面の出口を有するノズルを用いることができる。上記各ノズルは、特に限定されないが、例えば、長さが10mm以上300mm以下であってもよく、50mm以上10mm以下であってもよい。
上記凝固工程は、特に限定されないが、例えば、凝固剤溶液に流れを起こし、この流れ方向の±90°以内となる方向に乳化重合ラテックスを流出するノズルの出口を向け、かつノズル出口での乳化重合ラテックスの線速度を0.3m/s以上2m/s以下にし、凝固剤溶液中で乳化重合ラテックスを異方形状に凝固させることにより行ってもよい。乳化重合ラテックスの流出方向と凝固剤溶液の流れ方向の角度は、60°以下であることがより好ましく、30°以下であることがさらに好ましく、10°以下であることが特に好ましい。ノズル出口での乳化重合ラテックスの線速度は、好ましくは0.5m/s以上2m/s以下であり、より好ましくは0.7m/s以上1.5m/s以下である。
本発明において、乳化重合ラテックスの流出方向と凝固剤溶液の流れ方向の角度は、ノズルが乳化重合ラテックスを流出する方向(乳化重合ラテックス流出方向ベクトル)と、凝固剤溶液の流れ方向(凝固剤溶液流れ方向ベクトル)とを同一平面(例えば凝固剤溶液の液面)に投影した場合、乳化重合ラテックス流出方向ベクトルと、凝固剤溶液流れ方向ベクトルとがなす角度であり、角度の大きい優角と角度の小さい劣角のうち、劣角に相当するものである。また、同一平面は、凝固剤溶液の液面と平行な面であってもよく、上記ベクトルのいずれもがこの平行な面に存在してもよい。
上記凝固剤溶液はあらかじめ凝固槽内に供給されていてもよいし、乳化重合ラテックスがノズルから吐出されている間に同時に槽内に添加されてもよい。
上記乳化重合ラテックスは凝固剤溶液に流出することで凝固され、異方形状(例えば液束状、長尺状、連続体状、ストランド状、紐状)の乳化重合ラテックス凝集体となりやすい。上記異方形状の乳化重合ラテックス凝集体は、平均の大きさが0.01cm3以上100cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.1cm3以上5cm3以下である。
上記ノズルユニットの各ノズルには、長手方向に沿ってマーカーが2点以上設けられている。上記マーカーは、2点以上であってもよく、3点以上であってもよく、ノズルの長さやマーカー間の距離等に応じて適宜設定することができる。マーカーは、特に限定されず、例えば、ノズルと異なる色のプラスチック製のテープ等を各ノズルの長手方向に沿って所定の箇所に貼り付けることで設けることができる。プラスチック製のテープとしては、特に限定されず、例えば、カラービニールテープ等を用いることができる。異なる位置に設けたマーカーは異なる色であってもよい。マーカーを2点設ける場合は、第1マーカーは、本体部の近辺に設け、第2マーカーはノズル出口の近辺に設けてもよい。このように、各ノズルにおいて長手方向に沿ってマーカーを2点以上設けることで、ノズルから流出する乳化重合ラテックスの状態を確認する基準点を正確に決めることができる。
上記凝固工程において、カメラで、所定の時間間隔で、ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像する。メラによる撮像は、所定の時間間隔で連続的に行うことが好ましい。例えば、1分以上10分以下の間隔で撮像を連続的に行ってもよい。
上記カメラは、特に限定されないが、水しぶきや蒸気などの影響を低減する観点から、ノズル出口との水平距離が20cm以上300cm以下であることが好ましく、より好ましくは50cm以上150cm以下である。また、上記カメラは、特に限定されないが、水しぶきや蒸気などの影響を低減する観点から、ノズル出口との垂直距離が20cm以上300cm以下であることが好ましく、より好ましくは30cm以上100cm以下である。上記カメラは、特に限定されないが、撮像時の歪みを低減する観点から、水平画角が約20°以上30°以下のレンズを使用することが好ましい。なお、ノズルユニットにおいて、各ノズルの出口が凝固剤溶液中に浸漬している場合は、カメラとしては防水性能が高いものを用い、凝固剤溶液中に配置してもよい。
撮像した画像に対して、上記各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ上記各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、上記基準点における乳化重合ラテックスの状態から、上記各ノズルの吐出不良を検知することができる。上記基準点の乳化重合ラテックスの状態は、上記基準点における画像の輝度に基づいて判断してもよい。或いは、上記基準点の乳化重合ラテックスの状態は、上記基準点における画像の形状に基づいて判断してもよい。
上記において、いずれかのノズルの吐出不良を検知したときに警報を発生することができる。上記警報が発生されたときに、水等の洗浄液を上記ノズルユニットに流し込み、ノズルの汚れを排出してもよい。上記警報は、誤報のリスクを減らす観点から、いずれかのノズルの吐出不良を連続的に複数回、例えば、2回以上、好ましくは3回以上検知したときに発生する。
以下、図面に基づいて、基準点における乳化重合ラテックスの状態から各ノズルの吐出不良を検知する異なる実施形態の具体例について詳細に説明する。本発明は、下記の具体例に限定されない。
図2A及び図2Bは、基準点における画像の輝度に基づいて各ノズルの吐出不良を検知する実施形態を示すフローチャートである。
(1)基準点(以下において、検出部とも記す。)の位置を決める(図2A)。
(a)カメラ等の画像検知装置にて1分間隔で画像を連続的に撮像する。時間間隔は、適宜決めてもよい。
(b)カメラから画像処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、以下において、PCとも記す。)に画像データを転送する。画像データの転送は、USBメモリやUSBケーブル等を用いて行うことができる。
(c)画像処理プログラム、例えば、Pythonに画像データを読み込む。読み込んだ画像データについて前処理を行う。具体的には、サイズ変更を行い、ノイズを除去する。
(d)前処理した画像データをRGB色空間からHSV色空間に変換する。
(e)ノズルに取り付けたマーカーの色に相当するHSV値を与え、この値で画像をフィルタリングする。
(f)フィルタリング後の画像からマーカーを検出する。まずは、マーカーのサイズに基づいて、画像に対してサイズ判定を行う。一例として500ピクセルから1000ピクセルのもの(BLOB)を、マーカーとして捉え、その面積に相当しないものは、ノイズとして除去する。次に、マーカーの長短比に基づいて、画像に対して長短比の判定を行う。一例として、長短比が0.3未満のものは、ノイズとして除去する。
(g)特定したマーカーの位置情報を格納する。
(h)各マーカーのBLOBの形状から、その重心位置を計算し、マーカーの重心位置の情報を格納した。
(i)各ノズルにおいて、同じノズルの二つ以上のマーカーの重心を結ぶ線分(以下において、マーカー連結線とも記す。)を取得する。
(e)各ノズルにおいて、マーカー連結線の長さを定数倍して基準点を定義する。
(2)乳化重合ラテックスの流出状態を判断する(図2B)。
(a)画像データをRGB色空間からグレイスケール色空間に変換する。
(b)グレイスケール化した画像データに対して、CLAHEを適用する。
(c)各々のノズルに対応する基準点を結ぶ直線に沿って輝度を取得する。
(d)基準点を結ぶ直線に沿って取得した輝度のヒストグラムから、基準点の座標における輝度を取得する。
(e)取得した輝度の最大値を100として、各基準点におけるピークの大きさを相対的に表示し、これを「ラテックス存在確率」として表示する。
(3)乳化重合ラテックスの流出状態に応じて対策を取る(図2B)。
(a)ラテックス存在確率のしきい値を決めて、しきい値に基づいて吐出不良の有無を判断し、すべての基準点におけるラテックス存在確率がしきい値以上である、すなわちすべてのノズルにおいて吐出不良なしの場合は、画像撮像に戻り、いずれかの基準点におけるラテックス存在確率がしきい値未満の場合、すなわちいずれかのノズルにおいて吐出不良ありの場合は、ステップ(b)を実行する。
(b)吐出不良の有無判定をもう一回行う。吐出不良なしの場合は、画像撮像に戻り、2回連続、好ましくは3回連続吐出不良ありと判断される場合は、ステップ(c)を実行する。
(c)吐出不良の警報を発生する。
(d)水等の洗浄液をノズルユニットに流し込み、ノズルの洗浄を行う。
(e)ノズルの洗浄後、画像撮像に戻る。
図3A及び図3Bは、基準点における画像の形状に基づいて各ノズルの吐出不良を検知する実施形態を示すフローチャートである。
(1)基準点の位置を決める(図3A)。基準点の位置決定は、上述した基準点における画像の輝度に基づいて各ノズルの吐出不良を検知する実施形態の場合と同様の手順で行う。ここでは、説明を省略する。
(2)乳化重合ラテックスの流出の有無を判断し、対策を取る(図3B)。
(a)基準点を中心に各ノズル部の画像を切り出す。なお、事前に、各ノズル部の画像の学習用データを過去データとして格納し、格納したデータについて吐出不良がある場合、ラベルを付与して教師データを作成しており、少ないデータ数での分類精度を高めるためにデータ拡張を行い、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)にデータを渡して分類器を生成する。
(b)分類器に基づいてノズルの吐出不良の有無を判断する。すべてのノズルにおいて吐出不良なしの場合は、画像撮像に戻り、いずれかのノズルにおいて吐出不良ありの場合は、ステップ(c)を実行する。
(c)吐出不良判定をもう一回行う。すべてのノズルにおいて吐出不良なしの場合は、画像撮像に戻り、2回連続、好ましくは3回連続でいずれかのノズルにおいて吐出不良と判断される場合は、ステップ(d)を実行する。
(d)吐出不良の警報を発生する。
(e)洗浄液を上記ノズルユニットに流し込み、ノズルの洗浄を行う。
(f)ノズルの洗浄後、画像撮像に戻る。
ノズルの吐出不良を検知して警報を行い、ノズルの洗浄を行うシステムは、例えば、図4に示したシステムであってもよい。図4に示しているように、乳化重合ラテックスの凝固工程において、カメラ等の画像検知モジュールによって撮像した画像データを管理室のPCなどの画像処理モジュールに転送し、ノズルの吐出不良という異常判定がされた場合警報装置が作動し、警報装置と連動されている工程制御モジュールによって、乳化重合ラテックスと水の切り替え指示が出され、自動バルブが切り替えられることにより、乳化重合ラテックスが止まり、洗浄液をノズルユニットに流し込み、ノズルの洗浄を行う。
上記のように、ノズルユニットの各ノズルに、長手方向に沿ってマーカーを2点以上設け、凝固工程において、カメラで、所定の時間間隔で、ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像し、撮像した画像に対して、各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、上記基準点における乳化重合ラテックスの状態を確認することで、各ノズルの吐出不良を簡便かつ正確に検知し、いずれかのノズルにおいて吐出不良が発生した場合、ノズルの洗浄を行うことで、乳化重合ラテックス凝集粒子のノズルの吐出不良に起因する品質劣化を防止することができる。また、ノズルの吐出不良を点検するオペレータやノズル詰まりを洗浄するオペレータの負荷が低減して生産性が高まる。
上記乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法は、上記凝固工程で得られた凝固剤溶液中の乳化重合ラテックス凝集体を破砕する工程と、破砕された混合物を1分以上60分以下、60℃以上100℃以下に保つ工程とを含んでもよい。
得られた乳化重合ラテックス凝集体を整粒化する破砕工程を、凝固工程後に行うことが好ましい。この破砕工程では、主に粗粒子のみを選択的に破砕して、微粒子を粉砕しないことが好ましい。具体的には、粒子径が1000μm超の粗粒子を選択的に粉砕し、粒子径が50μm以下の微粒子をほとんど破砕しないことが好ましい。この条件で凝集体を破砕することによって、粒径分布を制御することができる。その結果、得られる乳化重合ラテックス凝集粒子を、粉体特性の優れた粒子、すなわち嵩比重が高く、粗粒子量と微粒子量がともに少ない粒子とすることができる。このように凝集体を破砕する方法としては、スタティックミキサー、インラインミキサー等の湿式破砕ポンプ等の公知の破砕装置を使用して破砕することができるが、一定の粒径以上の粒子を主に破砕することが好ましい。破砕機として、例えば、ハスクバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレータあるいは三和ハイドロテック(株)製スキャッターを使用することが好ましい。
本発明では、ポリマー凝集粒子を熱処理することにより、凝集粒子内のポリマー粒子間の融着を促進させてもよい。熱処理の温度は特に上限はないが、通常、120℃以下であり、好ましくは60℃以上100℃以下、より好ましくは65℃以上95℃以下、さらに好ましくは70℃以上90℃以下である。熱処理時間は、例えば1分以上60分であり、好ましくは5分以上50分以下である。これら条件により、ポリマー凝集粒子の機械的強度が増すとともにポリマー凝集粒子の含水率が低下する。また、加熱処理を実施するにあたり、加熱中及び乾燥時(後)の粒子間凝集を抑制するため加熱処理前に、乳化重合ラテックス凝集体100重量部に対して、硬質非弾性重合体ラテックス(固形分基準)を0.5重量部以上3重量部以下を添加することが好ましい。粒子間融着防止処理をおこなった後は、常法に従って、脱水及び乾燥操作を行えば乳化重合ラテックスの凝集粒子が回収できる。
硬質非弾性重合体としては、例えば、ブタジエン等のゴム弾性体を形成し得るモノマーの量が少なく(例えば、重合体全体の30重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは0重量%)、これ以外のモノマーを重合させたものが使用できる。ゴム弾性体を形成しないモノマーとしては、例えば、1)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の炭素数が10以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類、2)スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、アクリロニトリル等のビニルシアン類、3)1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能性モノマーが例示される。これらモノマーは、単独でまたは適宜組み合わせて使用できる。
上記乳化重合ラテックス凝集体粒子の嵩比重は、例えば、0.35g/cm3以上であり、好ましくは0.36g/cm3以上である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記において、特に指摘がない場合、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
まず、各種測定方法を説明する。
(1)ラテックス中のポリマーの体積平均粒子径
動的光散乱法を用いた粒子径分布測定装置(日機装株式会社製「MICROTRAC UPA」)を用いて測定した。
(2)ラテックスの25℃における粘度
ブルックフィールド粘度計(東機産業製「BL2型」)を用いて測定した。
<乳化重合ラテックスの製造例1>
[ジエン系ゴム重合体の製造]
100Lの重合機(攪拌機付耐圧反応容器)に、脱イオン水200部を仕込み、重合機内を脱気し、窒素置換した後に攪拌を開始し、オレイン酸ナトリウム2.5部、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.002部、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAという。)・2Na0.01部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.2部、リン酸三カリウム0.2部、ブタジエン100部、ジビニルベンゼン0.5部及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を仕込んだ。40℃で10時間重合させ、その後60℃で4時間保持した後、重合転化率98%、平均粒子径0.08μm、固形分濃度32.5%のジエン系ゴムラテックスを得た。
[グラフト重合体の製造]
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、上記ジエン系ゴムラテックス固形分70部、水50部、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.004部、EDTA・2Na0.005部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.1部を投入して混合したのち、昇温して混合物の内温を60℃にした。その後、メチルメタクリレート22部、スチレン3部、ブチルアクリレート5部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部の混合液を4時間にわたって連続添加し、更に1時間重合を続けた後、終了させ、ポリマー固形分濃度が35%であり、平均粒子径0.23μmの乳化重合ラテックスを得た。得られた乳化重合ラテックスの25℃における粘度23mPa・sであった。
(実施例1)
<凝固工程>
製造例1で得られた乳化重合ラテックス1000g(ポリマー固形分350g)を取り、40℃に調整した。そこへ、撹拌下で1%ポリエチレンオキシド(住友精化株式会社製PEO−8Z、粘度平均分子量170万〜220万)の水溶液17.5g(乳化重合ラテックスのポリマー固形分100部に対するポリエチレンオキシド固形分0.05部)を添加した。このポリエチレンオキシドを含有する乳化重合ラテックスを、ノズルユニットにおいて、一列に等間隔で配置されている10個の内径6mmの円管型の長尺ノズル(長さ8cm)から線速度1.0m/sで凝固剤溶液(0.1%塩酸水溶液)が流れている凝固槽に連続的に供給し、紐状のポリマー凝集体を得た(平均の大きさ0.5cm3)。上記ノズルユニットは、凝固剤溶液(0.1%塩酸水溶液)の液面と平行な面において、0.1%塩酸水溶液の流れ方向と各々のノズルからの乳化重合ラテックス流出方向との角度が約30°となるように設置した。各々のノズルの出口の先端は凝固剤溶液(0.1%塩酸水溶液)の液面から離れていた。
<ノズルの吐出不良の有無確認>
図1は、凝固工程において、ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像する工程を説明する模式的俯瞰図である。実施例1で用いたノズルユニットは、図1に示されているように、ノズルユニット1は、その一方の端部が本体部10と連結されており、等間隔で一列に配置されている10個の長尺ノズル20を備えている。
(1)マーカーの配置
各々の長尺ノズル(SUS製)には、長手方向に沿って、第1マーカー31及び第2マーカー32の二つのマーカーを設けた。第1マーカーは3M社製の青色のビニールテープを張り付けることで設け、第2マーカーは3M社製の赤色のビニールテープを張り付けることで設けた。第1マーカー31は、ノズル20の出口の先端から7cm離れた箇所に、第2マーカー32は、ノズル20の出口の先端から1cm離れた箇所に設けた。ノズルの詰まりを具現化するために7番目のノズルの出口を塞いだ。
(2)画像の撮像
上述した凝固工程中に、図1に示されているように、ノズル出口からの水平方向の距離が30cm、垂直方向の距離が30cmである位置に設置したデジタルカメラ100(オリンパス製Stylus TG−4 Tough、レンズの水平画角αが約22°)を使用して、ノズルユニット1、各ノズル20の出口から流出する乳化重合ラテックス200を一緒に撮像した。
(3)画像の取得
USBケーブルを介して、ノート型パーソナルコンピュータ上に画像を移動した。
(4)画像の前処理
取得した画像をプログラム(Python)上で呼び出した。読み込んだ画像を、高さ960ピクセル、幅540ピクセルに縮小した。画像平滑化のため、ガウシアンフィルタを適用し、ノイズを除去した。カーネルは5ピクセルとした。
(5)基準点の設定
(a)HSV色空間に変換
前処理した画像データをRGB色空間からHSV色空間に変換した。
(b)HSVを2値化してマーカーの位置を検出
ノズルに取り付けたマーカー色に相当するHSV値を与え、この値で画像をフィルタリングすることで、その色が存在するピクセルを画像から抽出した。またそのピクセルが集まる集団(BLOBと呼ばれる:マーカーに相当)の面積が500ピクセルから1000ピクセルのもの(BLOB)を、マーカーとして捉え、行列に格納した。その面積に相当しないものは、ノイズとして除去した。
(c)マーカーの重心座標を取得
各マーカーのBLOBの形状から、その重心位置を計算し、行列に格納した。
(d)第1マーカーと第2マーカーの重心を結ぶ線分を取得
各ノズルにおいて、第1マーカーと第2マーカーの重心を結ぶ線分(以下において、マーカー連結線とも記す。)を取得した。
(e)基準点(ラテックス吐出部の位置)を設定
各ノズルにおいて、マーカー連結線の長さを第1マーカー31から第2マーカー32に向かう方向に沿って1.60から1.61倍に延長して得られた線分の端点を、基準点Iとして定義した。「1.60倍から1.61倍」の意味は、左端の線分(左1番目のノズルに対応する。)を1.60倍、右端の線分(右1番目のノズルに対応する。)は1.61倍とし、その間は比例倍させて調整した。
(6)基準点におけるラテックス状態の確認
(a)画像をグレイスケールに変換した。
(b)グレイスケール化した画像に対して、適応ヒストグラム均一化処理(CLAHE)を施した。
(c)各々のノズルにおいて、ラテックス吐出部の位置を検知するための基準点Iを結ぶ直線に沿って、各ピクセルの輝度を取得し、行列に格納した。
(d)基準点Iを結ぶ直線に沿ってスキャンした明度のヒストグラムから、基準点の座標における輝度値を検出した。
(e)検出した輝度の最大値を100として、ピークの大きさを相対的に表示し、これを「ラテックス存在確率」とした。その結果を下記表1に示した。
(f)ラテックス存在確率のしきい値を50%とし、いずれかの基準点におけるラテックス存在確率が50%未満の場合は、対応するノズルにおいて吐出不良が発生したと判断し、その結果を下記表2に示した。或いは、ラテックス存在確率のしきい値を65%とし、いずれかの基準点におけるラテックス存在確率が50%未満の場合は、対応するノズルにおいて吐出不良が発生した判断し、その結果を下記表2に示した。
(比較例1)
<凝固工程>
実施例1と同様にして、乳化重合ラテックスの凝固を行った。
<ノズル詰まり状況確認>
輝度ピークのある位置及びノズル間隔の距離を指定して、その組合せから位置を推定し、各ノズルのラテックス吐出部におけるラテックスの存在確率を算出した。その結果を下記表1に示した。ラテックス存在確率のしきい値を50%とし、いずれかの基準点におけるラテックス存在確率が50%未満の場合は、対応するノズルにおいて吐出不良が発生したと判断し、その結果を下記表2に示した。或いは、ラテックス存在確率のしきい値を65%とし、いずれかの基準点におけるラテックス存在確率が50%未満の場合は、対応するノズルにおいて吐出不良が発生した判断し、その結果を下記表2に示した。
Figure 2019172901
Figure 2019172901
上記表1の結果から分かるように、実施例1では、ノズルユニットの各ノズルの長手方向に沿って2点以上のマーカーを設けることで、各ノズルの出口の近傍の乳化重合ラテックスの状態を簡便かつ正確に把握でき、それゆえ、ノズルの詰まり等の吐出不良を簡便かつ正確に検知することができた。一方、比較例1では、ノズルユニットの各ノズルがマーカーを有しないことで、各ノズルの出口の近傍の乳化重合ラテックスの状態を正確に把握できず、ノズルの詰まり等の吐出不良を正確に検知することができなかった。
1 ノズルユニット
10 本体部
20 長尺ノズル
31、32 マーカー
100 カメラ
200 乳化重合ラテックス
I 基準点

Claims (8)

  1. 乳化重合ラテックスをノズルユニットを通じて凝固剤溶液に流出する凝固工程を含み、
    前記ノズルユニットは、複数の一列に配置された長尺のノズルを備え、前記各ノズルには、長手方向に沿ってマーカーが2点以上設けられ、
    前記凝固工程において、カメラで、前記ノズルユニット及び各ノズルの出口から流出する乳化重合ラテックスを一緒に撮像し、
    撮像した画像に対して、前記各ノズルの2点以上のマーカーを繋いだ線の延長線上であって、かつ前記各ノズルの出口の近傍に基準点を設ける画像処理を行い、
    前記基準点における乳化重合ラテックスの状態から、前記各ノズルの吐出不良を検知することを特徴とする乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  2. 前記基準点における画像の輝度に基づいて、前記基準点の乳化重合ラテックスの状態を判断する請求項1に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  3. 前記基準点における画像の形状に基づいて、前記基準点の乳化重合ラテックスの状態を判断する請求項1に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  4. 前記カメラによる撮像は、所定の時間間隔で連続的に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  5. いずれかのノズルの吐出不良を検知したときに警報を発生する請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  6. 前記警報が発生されたときに、洗浄液を前記ノズルユニットに流し込み、ノズルの汚れを排出する請求項5に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  7. 前記警報は、いずれかのノズルの吐出不良を連続的に2回以上検知したときに発生する請求項5又は6に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
  8. 前記ノズルユニットは、各ノズルの出口が前記凝固剤溶液の液面よりも上方に位置するように設置されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法。
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