JP2019172772A - ポリカーボネート樹脂用着色防止剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリカーボネート樹脂の着色を抑制するとともに、添加量が多い場合でも成形加工性に優れ、着色防止剤のブリードを抑制するポリカーボネート樹脂用着色防止剤、該着色防止剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物および該ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。【解決手段】下記一般式(1)で表される、水素化ビスフェノール骨格を有するポリアルキレングリコール誘導体からなるポリカーボネート樹脂用着色防止剤。(式(1)中、Xは、それぞれH、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれる基であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。オキシテトラメチレン基とオキシアルキレン基の付加形態は、ランダムである。)【選択図】なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂用着色防止剤、該着色防止剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物、および成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的性質、熱的性質、電気的性質および耐候性等に優れ、OA機器、電気・電子機器、自動車部品等に幅広く利用され、その特性を活かして導光板、レンズ、光ファイバー等の光学成形体に使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は成形温度が高いため、成形体が着色し易く、光学成形体においては光学性能に悪影響を及ぼす可能性が考えられる。このような問題を解決する手段として、例えば、特許文献1には、ポリアルキレングリコール誘導体が提案されており、色相が良好なポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形体が示されている。
また、特許文献2には、着色防止剤としてポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレングリコールが提案されており、この着色防止剤を使用すると、透明性が高く、黄変のない光透過性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形体が得られる。特許文献3には、着色防止剤としてポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコールが提案されており、この着色防止剤を使用すると、高温で成形加工した場合でも色相に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形体が得られる。
このように、ある程度は改善されてきたが、近年、複写機、ファックス等のOA機器、電気・電子機器の高性能化に伴い、これらに使用される部品の形状が複雑化し、従来と比較して高温で成形加工することが求められている。高温で成形加工するとポリカーボネート樹脂が着色し黄変度が大きくなるため、前述した着色防止剤の添加量を増加して改良することが考えられている。しかし、着色防止剤の添加量を増やすと、成形体に悪影響を与え、流れ模様やひび割れなどの成形不良を起こし成型加工性が低下する、長時間経過すると成形体から着色防止剤がブリードし機器類を汚染する可能性があった。したがって、成型加工性に優れ、ポリカーボネート樹脂の着色を抑制するとともに、添加量が多い場合でも着色防止剤のブリードが少ないポリカーボネート樹脂用着色防止剤が求められている。
本発明の課題は、ポリカーボネート樹脂の着色を抑制するとともに、添加量が多い場合でも成形加工性に優れ、着色防止剤のブリードを抑制するポリカーボネート樹脂用着色防止剤、該着色防止剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物および該ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、水素化ビスフェノール骨格を有するポリアルキレングリコール誘導体からなるポリカーボネート樹脂用着色防止剤が上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[3]である。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[3]である。
[1]下記一般式(1)で表される、水素化ビスフェノール骨格を有するポリアルキレングリコール誘導体からなるポリカーボネート樹脂用着色防止剤。
(式(1)中、Xは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれる一種または二種であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。オキシテトラメチレン基とオキシアルキレン基の付加形態は、ランダムである。)
[2]ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、[1]に記載のポリカーボネート樹脂用着色防止剤0.01〜10.0質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
[3][2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
(式(1)中、Xは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれる一種または二種であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。オキシテトラメチレン基とオキシアルキレン基の付加形態は、ランダムである。)
[2]ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、[1]に記載のポリカーボネート樹脂用着色防止剤0.01〜10.0質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
[3][2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明により、ポリカーボネート樹脂の着色を抑制するとともに、添加量が多い場合でも成形加工性に優れ、着色防止剤のブリードが少ないポリカーボネート樹脂組成物および該ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂用着色防止剤は、下記一般式(1)で表される、水素化ビスフェノール骨格を有するポリアルキレングリコール誘導体からなり、オキシテトラメチレン基と炭素数2〜3のオキシアルキレン基を有している。
(式(1)中、Xは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれる一種または二種であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。オキシテトラメチレン基とオキシアルキレン基の付加形態は、ランダムである。)
本発明のポリカーボネート樹脂用着色防止剤は、下記一般式(1)で表される、水素化ビスフェノール骨格を有するポリアルキレングリコール誘導体からなり、オキシテトラメチレン基と炭素数2〜3のオキシアルキレン基を有している。
(式(1)中、Xは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれる一種または二種であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60である。オキシテトラメチレン基とオキシアルキレン基の付加形態は、ランダムである。)
本発明のポリカーボネート樹脂用着色防止剤は、水素化ビスフェノール骨格が必須である。水素化ビスフェノール骨格を有することにより、ポリカーボネート樹脂中に均一に分散して成型加工性およびブリード性を向上させることができる。
式(1)において、Xは、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を表し、好ましくは、水素原子、メチル基であり、より好ましくはメチル基である。
式(1)において、Xは、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を表し、好ましくは、水素原子、メチル基であり、より好ましくはメチル基である。
式(1)において、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、オキシエチレン基、オキシプロピレン基であり、好ましくはオキシプロピレン基である。また、オキシテトラメチレン基と炭素数2〜3のオキシアルキレン基の付加形態はランダムである。
mはオキシテトラメチレン基の平均付加モル数を表し、2〜60であり、好ましくは3〜50であり、より好ましくは5〜40であり、さらに好ましくは5〜35であり、特に好ましくは10〜20である。mが2より小さいと、炭素数が大きいオキシテトラメチレン基の割合が小さくなり、ポリカーボネート樹脂との相溶性が低下する。mが60より大きいとポリカーボネート樹脂用着色防止剤の結晶性が高くなり、液状とならないため取り扱い難くなる。
nは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜60であり、好ましくは3〜50であり、より好ましくは5〜40であり、特に10〜20である。nが2より小さいと、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の割合が小さくなり、成形加工性が低下する。nが60より大きいと、ポリカーボネート樹脂のような配向性の高い樹脂中に混在し続けることが難しく、ブリード性が低下する。
式(1)で示される化合物の数平均分子量は、500〜10,000であり、好ましくは500〜5,000である。数平均分子量を上記の範囲内とすることで、成形時のガス発生量を抑制し、ガスによる成形不良、例えば、未充填、ガスやけ、転写不良の発生を防止することができる。さらに、上記の範囲内とすることで、ポリカーボネート樹脂との相溶性を向上させることができ、着色抑制、濁り抑制、成型加工性およびブリード性を向上させる効果を十分に得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂用着色防止剤の製造方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法で製造することができる。例えば、水素添加されたビスフェノール誘導体に対して、テトラヒドロフランおよび炭素原子数2〜3のアルキレンオキシドを付加重合させることで得ることができる。
水素添加されたビスフェノール誘導体としては、例えば、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールAP、水素添加ビスフェノールB、水素添加ビスフェノールBP、水素添加ビスフェノールEなどが挙げられる。
水素添加されたビスフェノール誘導体としては、例えば、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールAP、水素添加ビスフェノールB、水素添加ビスフェノールBP、水素添加ビスフェノールEなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂用着色防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であり、ポリカーボネート樹脂への相溶性の点から、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜2.5質量部であり、特に好ましくは0.5〜2質量部である。配合量が0.001質量部より少ないと着色防止効果が十分に発揮されず、10.0質量部より多いとポリカーボネート樹脂との相溶性が悪くなる。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂としては、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートが好ましい。2価フェノールとカーボネート前駆体との反応は、溶液法あるいは溶融法等があり、具体的には2価フェノールとホスゲンの反応、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応等が挙げられる。
2価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。この他、2価フェノールとして、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いても良い。特に好ましい2価フェノールは、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられ、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等である。
ポリカーボネートは、分岐構造を有していても良く、分岐剤としては1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。また、分子量の調節のためには、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-t-オクチルフェノール、p-クミルフェノール等が挙げられる。
ポリカーボネートは、分岐構造を有していても良く、分岐剤としては1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。また、分子量の調節のためには、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-t-オクチルフェノール、p-クミルフェノール等が挙げられる。
ポリカーボネートは、ポリカーボネートが100質量%だけでなく、ポリカーボネートと他の樹脂を混ぜ合わせた、いわゆるポリマーアロイでも良い。このようなポリマーアロイとしては、例えば、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート/AS樹脂、ポリカーボネート/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ABS樹脂/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタラート、ポリカーボネート/ASA樹脂、ポリカーボネート/AES樹脂等が挙げられる。この場合のポリカーボネート以外の樹脂の割合は、ポリマーアロイ中、好ましくは40%以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、従来公知の任意の樹脂組成物の製造方法を採用することができる。例えば具体的には、ポリカーボネート樹脂と前記式(1)のポリカーボネート樹脂用着色防止剤、必要に応じて他の着色防止剤を、タンブラーやヘンシェルミキサー等の各種混合機を用いて予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等で溶融混練する方法が挙げられる。
また、各成分を予め混合せずに、又は一部の成分のみ予め混合して、フィーダーを用いて押出機に供給し溶融混練して、ポリカーボネート樹脂組成物を製造しても良い。さらには、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られるポリカーボネート樹脂組成物をマスターバッチとし、再度、他の成分と混合し溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、各成分を予め混合せずに、又は一部の成分のみ予め混合して、フィーダーを用いて押出機に供給し溶融混練して、ポリカーボネート樹脂組成物を製造しても良い。さらには、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られるポリカーボネート樹脂組成物をマスターバッチとし、再度、他の成分と混合し溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、さらにフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、酸化アンチモン、無機系難燃助剤、有機系難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、可塑剤、離型剤、相溶化剤、発泡剤、光吸収性色素、顔料、染料、加工助剤、金属不活性化剤、無機微粒子、抗菌剤、防黴剤、充填剤、フィラー等を使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形することにより、透明性、成形加工性に優れた成形体を得ることができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂版、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器等の各種用途に使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器等の各種用途に使用される。
以下で実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
(製造例1)
撹拌装置、温度計および圧力ゲージを備えた5Lのオートクレーブに、水素化ビスフェノールA114.2g(0.50モル)、テトラヒドロフラン561.50g(7.79モル)、および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体11.5gを入れ、系内を窒素ガスにて置換した後、プロピレンオキシド374.4g(6.45モル)を温度50℃で5時間かけて圧入し、さらに2時間反応を継続した。その後、オートクレーブより生成物を取り出し、中和してpH6〜7とし、窒素をバブリングしながら110℃まで加温後、4kPa以下、110℃で2時間脱水を行った。さらに脱水後生成した塩を濾別し、表1の化合物(A−1)を得た。
撹拌装置、温度計および圧力ゲージを備えた5Lのオートクレーブに、水素化ビスフェノールA114.2g(0.50モル)、テトラヒドロフラン561.50g(7.79モル)、および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体11.5gを入れ、系内を窒素ガスにて置換した後、プロピレンオキシド374.4g(6.45モル)を温度50℃で5時間かけて圧入し、さらに2時間反応を継続した。その後、オートクレーブより生成物を取り出し、中和してpH6〜7とし、窒素をバブリングしながら110℃まで加温後、4kPa以下、110℃で2時間脱水を行った。さらに脱水後生成した塩を濾別し、表1の化合物(A−1)を得た。
(製造例2)
プロピレンオキシドに代えて、エチレンオキシド374.4g(8.50モル)を使用した以外は、製造例1と同様の方法により合成を行い、化合物A−2を得た。
プロピレンオキシドに代えて、エチレンオキシド374.4g(8.50モル)を使用した以外は、製造例1と同様の方法により合成を行い、化合物A−2を得た。
(比較製造例1)
撹拌装置、温度計および圧力ゲージを備えた5Lのオートクレーブに、水素化ビスフェノールA114.2g(0.50モル)、および水酸化カリウム3.24gを入れ、系内を窒素ガスにて置換した後、エチレンオキシド885.8g(20.1モル)を温度100℃で12時間かけて圧入し、さらに2時間反応を継続した。その後、オートクレーブより生成物を取り出し、中和してpH6〜7とし、窒素をバブリングしながら110℃まで加温後、4kPa以下、110℃で2時間脱水を行った。さらに脱水後生成した塩を濾別し、表1の化合物(A’−1)を得た。
撹拌装置、温度計および圧力ゲージを備えた5Lのオートクレーブに、水素化ビスフェノールA114.2g(0.50モル)、および水酸化カリウム3.24gを入れ、系内を窒素ガスにて置換した後、エチレンオキシド885.8g(20.1モル)を温度100℃で12時間かけて圧入し、さらに2時間反応を継続した。その後、オートクレーブより生成物を取り出し、中和してpH6〜7とし、窒素をバブリングしながら110℃まで加温後、4kPa以下、110℃で2時間脱水を行った。さらに脱水後生成した塩を濾別し、表1の化合物(A’−1)を得た。
(実施例1〜2)
<試験フィルムの作製>
ポリカーボネート樹脂(ACROS ORGANICS)50gと化合物(A−1)0.5g(ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1質量部)を1Lメスフラスコに入れ、ジクロロメタンを標線まで加えた。得られた溶液を1時間ほど室温で放置しポリカーボネート樹脂および化合物(A−1)を溶解させた後、この溶液を4mLホールピペットでシャーレ(直径60mm)に入れ、30分間室温で乾燥させた。乾燥後、シャーレからポリカーボネート樹脂をはがし取ることにより、厚さ50μmのフィルムを得た。実施例および比較例に用いた化合物を表1に、黄色度(Y.I.)の測定、濁り度(Haze)の測定、成型加工性の評価、ブリード性の評価結果を表2に示す。実施例2についても、実施例1と同様の方法で、化合物A−2を用いてキャストフィルムを作製し、Y.I.の測定、Hazeの測定、成形加工性の評価、ブリード性の評価を行った。結果を表2に示す。
<試験フィルムの作製>
ポリカーボネート樹脂(ACROS ORGANICS)50gと化合物(A−1)0.5g(ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1質量部)を1Lメスフラスコに入れ、ジクロロメタンを標線まで加えた。得られた溶液を1時間ほど室温で放置しポリカーボネート樹脂および化合物(A−1)を溶解させた後、この溶液を4mLホールピペットでシャーレ(直径60mm)に入れ、30分間室温で乾燥させた。乾燥後、シャーレからポリカーボネート樹脂をはがし取ることにより、厚さ50μmのフィルムを得た。実施例および比較例に用いた化合物を表1に、黄色度(Y.I.)の測定、濁り度(Haze)の測定、成型加工性の評価、ブリード性の評価結果を表2に示す。実施例2についても、実施例1と同様の方法で、化合物A−2を用いてキャストフィルムを作製し、Y.I.の測定、Hazeの測定、成形加工性の評価、ブリード性の評価を行った。結果を表2に示す。
<黄色度(Y.I.)の測定>
得られたフィルムのY.I.を分光測色計(LM−2500cc、KONICAMINOLTA製)により3回測定し、その平均値をフィルムのY.I.とした。
<濁り度(Haze)の測定>
得られたフィルムのHazeをHazeMeter(NDH 4000、NIPPON DENSHOKU製)により3回測定し、その平均値をフィルムのHazeとした。
<成形加工性の評価>
得られたフィルムをステンレス丸棒(Φ0.1mm×100mm)の側面に沿って180度折り曲げる作業を繰り返し行い、50回ごとにフィルムのひび割れの有無を確認した。例えば、折り曲げ50回でひび割れが確認されず、100回でひび割れが確認された場合は、成型加工性の評価は100(回数)とする。3回測定し、その平均値をフィルムの成型加工性(回数)とした。
<ブリード性の評価>
得られたフィルムを、温度50℃で1日保管し、目視で表面状態の観察をした後、さらに10日放置し表面状態を同様に観察した。
○:浸み出しなし、△:わずかに浸み出しあり、×:浸み出しあり
得られたフィルムのY.I.を分光測色計(LM−2500cc、KONICAMINOLTA製)により3回測定し、その平均値をフィルムのY.I.とした。
<濁り度(Haze)の測定>
得られたフィルムのHazeをHazeMeter(NDH 4000、NIPPON DENSHOKU製)により3回測定し、その平均値をフィルムのHazeとした。
<成形加工性の評価>
得られたフィルムをステンレス丸棒(Φ0.1mm×100mm)の側面に沿って180度折り曲げる作業を繰り返し行い、50回ごとにフィルムのひび割れの有無を確認した。例えば、折り曲げ50回でひび割れが確認されず、100回でひび割れが確認された場合は、成型加工性の評価は100(回数)とする。3回測定し、その平均値をフィルムの成型加工性(回数)とした。
<ブリード性の評価>
得られたフィルムを、温度50℃で1日保管し、目視で表面状態の観察をした後、さらに10日放置し表面状態を同様に観察した。
○:浸み出しなし、△:わずかに浸み出しあり、×:浸み出しあり
(比較例1)
実施例と同様の方法で、化合物A’−1を用いてキャストフィルムを作製し、Y.I.の測定、Hazeの測定、成形加工性の評価、ブリード性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例と同様の方法で、化合物A’−1を用いてキャストフィルムを作製し、Y.I.の測定、Hazeの測定、成形加工性の評価、ブリード性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1〜2と比較例1を対比すると、本発明のポリカーボネート樹脂用着色防止剤を添加したポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂の黄色度や濁り度を低下させることなく、かつ成形加工性およびブリード性が良好であることがわかる。
一方、比較例1のポリカーボネート樹脂用着色防止剤を添加したポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂用着色剤がオキシテトラメチレン基を有しておらず、mが本発明の範囲を外れるため、成形加工性が低く、ブリード性も不十分であった。
一方、比較例1のポリカーボネート樹脂用着色防止剤を添加したポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂用着色剤がオキシテトラメチレン基を有しておらず、mが本発明の範囲を外れるため、成形加工性が低く、ブリード性も不十分であった。
Claims (3)
- ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂用着色防止剤0.01〜10.0質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
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