JP6768805B2 - ポリグリシジルエーテル含有ポリカーボネート組成物 - Google Patents

ポリグリシジルエーテル含有ポリカーボネート組成物 Download PDF

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Description

本発明は、特定のグリシジルエーテル化合物ならびに典型的には、熱安定剤、紫外線安定剤および/または離型剤の群からの少なくとも1種の添加剤を含んでなるポリカーボネート組成物、ならびにこれら組成物から製造された成形品に関する。ポリカーボネート組成物は、高い流動性および良好な熱特性を有する。また、本発明は、ポリカーボネート溶融物の流動性の改善に関する。
(コ)ポリカーボネート組成物または(コ)ポリカーボネートブレンド物の流動性は、低分子量化合物の添加によって増加させることができる。しかしながら、この種の物質は、同時に可塑剤としても機能するために、ポリマーマトリクスの熱変形耐性およびガラス転移温度を低下させる。これは材料の温度使用範囲を縮小するために望ましくない。
DE102004020673A1では、エーテルまたはチオエーテルの結合を有するビスフェノールに基づく、流動性が改善されたコポリカーボネートが記載されている。
DE3918406A1では、エラストマーまたは他の熱可塑性物質での特定のポリカーボネートに基づく、光データ保存用のブレンド物、および光学的用途でのそれらの使用が開示されていて、詳細には、この光データ保存は、コンパクトディスクなどである。
EP0953605A2では、BPAポリカーボネートのマトリックス中に環式オリゴカーボネートが大量(例えば、0.5%〜4%)に添加され、双軸押出機を用いて285℃にて均一化されていることを特徴とする、改善した流動特性を有する直鎖状ポリカーボネート組成物が記載されている。この過程で、環式オリゴカーボネートの量が上昇するにつれ流動性が増加する。しかしながら、同時に、ガラス転移温度が明確に低下するために、熱変形耐性が低下する。これは、比較的高い熱変形耐性を有する(コ)ポリカーボネート組成物の産業的用途では望ましくない。ひいては、この不利な点を、高価なコ−ビスフェノールをより多くの量で使用することを通じて補わなければならない。
従って、本発明は、組成物の先行技術から知られている不利な点(例えば、加工での不十分な流動特性)を有することがない、高い流動性および非常に本質的に不変な熱特性および機械特性(例えば、ガラス転移温度)を有しているポリカーボネート組成物を提供することが目的であった。同時に、本発明によるポリカーボネート組成物は、良好な溶融安定性を有しているはずであり、これは製造プロセスでの、押出しまたは射出成型部品の製造では重要なことである。
この度、驚くべきことに、この目的は、以下を含んでなる組成物によって達成されることが見出された。
A)64.0〜99.94重量%の芳香族ポリカーボネートおよび
B)0.05〜3.0重量%の、少なくとも1種の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物:
Figure 0006768805
[式中、
は、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状であり、かつ
11〜R13は、同一または異なっており、H、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状である。]。
本目的は、そのような組成物から製造された成形品によってさらに達成される。
発明の具体的説明
本発明特徴による組成物は、ISO 180/1C:2000−12に従い決定された、良好な機械特性(特に良好な衝撃耐性)、およびISO 1133−1:2011−12に従い決定された、メルトボリュームフローレートMVRによって表される、非常に良好なレオロジー特性(即ち、高い流動性)を特色とする。同時に、溶融安定性は高い。
好ましくは、本発明による組成物には、熱安定剤、紫外線安定剤および/または離型剤(成分C)の群からの少なくとも1種の添加剤が0.001重量%〜3重量%さらに含まれる。
本発明による組成物は、他の通常の添加剤(「さらなる添加剤」、成分D)が最大30.0重量%、好ましくは0.10〜25重量%、より好ましくは0.2〜20重量%含有していてもよい。これらのさらなる添加剤は、熱安定剤、紫外線安定剤および離型剤の群の一部を形成しない。成分Dの例は、難燃剤、IR吸収剤、静電気防止剤、ならびにガラス繊維、炭素繊維、二酸化チタン、シリケート、硫酸バリウムおよび滑石などの無機充填剤である。
非常に特に好ましい組成物には成分A)〜D)以外のさらなる成分が一切含有されていない。
本発明による組成物の個々の成分は、以下でより詳細に説明されている。
定義
本発明の文脈では、分岐状または非分岐状のC〜Cアルキルは、炭素原子を1〜8個有するアルキル基を意味すると理解すべきである。C〜Cアルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、C〜Cアルキルはさらに、例えば、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,3−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピルまたは1−エチル−3−メチルプロピルであり、C〜Cアルキルはさらに、例えば、n−ヘプチルまたはn−オクチルである。アラルキル基中の対応するアルキル基にも同様が当てはまる。
アリールは、骨格炭素原子を6〜34個有する炭素環式芳香族基である。C〜C34アリールの好ましい例としては、フェニル、o、p−、m−トリル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニルおよびフルオレニルが挙げられる。アリーレンは2つの結合を有する上に定義されたとおりにアリールである。アラルキル基とも呼ばれる、アリールアルキル基の芳香族部分にも同様が当てはまる。
上記のリストは一例であり、限定的と見なすべきではない。
本発明の文脈では、ppbおよびppmは、反対の記載がない限り、重量部を意味すると理解すべきである。
本発明の文脈では、記載された成分AおよびB、ならびに場合により存在する成分CおよびDのパーセンテージは、明確な反対の記載がない限り、各々組成物の総重量に対するものである。組成物は成分AおよびBならびに場合により存在する成分CおよびDと同様にさらなる成分を含有していてもよい。好ましい実施態様では、組成物は成分A、B、CおよびDからなり;換言すると、成分A、B、CおよびDは合計すると100重量%となる。
成分A
本発明の文脈でのポリカーボネートは、ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの両方である。ポリカーボネートは既知の様式で直鎖状でも分岐状でもよい。本発明によれば、ポリカーボネートの混合物を使用することも可能である。
ポリカーボネートの平均分子量M(CHCl100ml当たり0.5gの濃度で、CHCl中で、25℃での相対粘度を測定することにより決定)は、ビスフェノールAポリカーボネートキャリブレーションによって決定して、15000g/mol〜36000g/mol、より好ましくは16000g/mol〜35000g/mol、特に17000g/mol〜34000g/molである。
ポリカーボネートは、既知の方法にてジヒドロキシアリール化合物、炭酸誘導体、場合により鎖停止剤および分岐形成剤から調製される。
ポリカーボネートの調製に関する詳細は、約40年間、数多くの特許文献に書き留められてきた。ここでは、例えば、Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Polymer Reviews, 第9巻, Interscience Publishers, New York, London, Sydney 1964、D. Freitag, U. Grigo, P.R. Mueller, H. Nouvertne, BAYER AG, "Polycarbonates" in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 第11巻, 第二版, 1988, 648〜718ページ、ならびに最後に、 U. Grigo, K. Kirchner およびP.R. Mueller "Polycarbonate" [Polycarbonates] in Becker/Braun, Kunststoff-Handbuch [Plastics Handbook], 第3/1巻, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Celluloseester [Polycarbonates, Polyacetals, Polyesters, Cellulose Esters], Carl Hanser Verlag Munich, Vienna 1992, 117〜299ページを参照してもよい。
芳香族ポリカーボネートは、例えば、相界面法により、場合により鎖停止剤の使用により、かつ場合により三官能性または三官能性以上の分岐形成剤の使用により、ジヒドロキシアリール化合物を、ハロゲン化カルボニル、好ましくはホスゲンおよび/または芳香族ジハロゲン化ジカルボニル、好ましくはベンゼンジハロゲン化ジカルボニルと反応させるによって調製される。ジヒドロキシアリール化合物の、例えば、炭酸ジフェニルとの反応による溶融重合法を介した製造も同様に可能である。
ポリカーボネートを製造するのに好適なジヒドロキシアリール化合物は、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)硫化物、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、イサチンまたはフェノールフタレイン誘導体に由来するフタルイミジン類およびそれらの環アルキル化化合物、環アリール化化合物または環ハロゲン化化合物である。
好ましいジヒドロキシアリール化合物は、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ならびにビスフェノール(I)〜(III)である。
Figure 0006768805
[式中、各場合のR’は、C〜Cアルキル、アラルキルまたはアリール、好ましくはメチルまたはフェニル、最も好ましくはメチルである。]
特に好ましいジヒドロキシアリール化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ならびに式(I)、(II)および(III)のジヒドロキシアリール化合物である。
これらおよび他の好適なジヒドロキシアリール化合物は、例えば、US-A 3 028 635, US-A 2 999 825, US-A 3 148 172, US-A 2 991 273, US-A 3 271 367, US-A 4 982 014およびUS-A 2 999 846、DE-A 1 570 703, DE-A 2 063 050, DE-A 2 036 052, DE-A 2 211 956およびDE-A 3 832 396、FR-A 1 561 518、H. Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Interscience Publishers, New York 1964の論文に記載されている。
ホモポリカーボネートの場合では、ジヒドロキシアリール化合物を1種のみ使用する一方で、コポリカーボネートの場合では2種以上のジヒドロキシアリール化合物を使用する。
好適な炭酸誘導体の例には、ホスゲンまたは炭酸ジフェニルが含まれる。
ポリカーボネートの製造で使用してもよい好適な鎖停止剤は、モノフェノール類である。好適なモノフェノールは、例えば、フェノール自体、クレゾール類等のアルキルフェノール類、p−tert−ブチルフェノール、クミルフェノールおよびそれらの混合物である。
好ましい鎖停止剤は、直鎖状または分岐鎖状C〜C30アルキル基によって一置換または多置換された、好ましくは置換されていないかtert−ブチルによって置換された、フェノール類である。特に好ましい鎖停止剤は、フェノール、クミルフェノールおよび/またはp−tert−ブチルフェノールである。
使用する鎖停止剤の含量は、各場合で使用したジヒドロキシアリール化合物のモル数に対して、好ましくは0.1〜5モル%である。鎖停止剤は、炭酸誘導体との反応の前、間または後に混合してもよい。
好適な分岐形成剤は、ポリカーボネート化学において通常の三官能性または三官能性以上の化合物、特には、3価または3価以上のフェノール系OH基を有するものである。
好適な分岐形成剤の例としては、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタンおよび1,4−ビス((4’,4”−ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼンおよび3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールが挙げられる。
場合により使用してもよい分岐形成剤の含量は、各場合で使用したジヒドロキシアリール化合物のモル数に対して、好ましくは0.05モル%〜2.00モル%である。
分岐形成剤は、ジヒドロキシアリール化合物および鎖停止剤と一緒に最初に充填した水性アルカリ性相に充填しても、またはホスゲン化の前に有機溶媒中に混合、溶解させてもどちらでもよい。エステル交換反応法の場合、分岐形成剤はジヒドロキシアリール化合物と一緒に使用する。
特に好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAに基づくホモポリカーボネート、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンに基づくホモポリカーボネートおよび2つのモノマー、ビスフェノールAおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンに基づくコポリカーボネート、ならびに好ましくはコモノマーとしてのビスフェノールAとの、式(I)〜(III)のジヒドロキシアリール化合物に由来するホモポリカーボネートまたはコポリカーボネートである。
Figure 0006768805
[式中、各場合のR’は、C〜Cアルキル、アラルキルまたはアリール、好ましくはメチルまたはフェニル、最も好ましくはメチルである。]
添加剤のとり込みを容易にするために、成分Aは粉末状、ペレット状または粉末とペレットの混合物で使用することが好ましい。
本発明による組成は、64.0〜99.94重量%の、好ましくは70.0〜99.94重量%の、より好ましくは80.0〜99.90重量%の、最も好ましくは79.949重量%の、少なくとも1種の芳香族ポリカーボネートを含有する。
成分B
成分Bのポリグリシジルエーテル化合物は一般式(1)のものである。
Figure 0006768805
[式中、
は、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状であり、かつ
11〜R13は、同一または異なっており、H、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状である。]
本発明による組成物中に、単独で存在しているか、または式(1)の他のポリグリシジルエーテルと混合して存在している最も好ましいポリグリシジルエーテルは、式(2)のポリグリシジルエーテルである(THPEトリスグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン)のトリスグリシジルエーテル)。
Figure 0006768805
本発明による組成物は式(1)の少なくとも1種のポリグリシジルエーテル化合物を0.05〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%、および最も好ましくは0.3〜0.8重量%含有している。
成分C
好ましくは、本発明による組成物は、さらに熱安定剤、紫外線安定剤および/または離型剤の少なくとも1種の添加剤を合計で0.001重量%〜3重量%含んでなる。
好ましくは、好適な熱安定剤は、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(Irgafos(商標)168)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、プロピオン酸オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)(Irgafos(商標)1076)、ジホスホン酸ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリトリトール(Doverphos(商標)S-9228)、ジホスホン酸ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトール(ADK STAB PEP-36)である。それらまたは他の熱安定剤は単独または混合して使用する(例えば、Irganox(商標)B900(1:3の比でのIrgafos(商標)168とIrganox(商標)1076の混合物)またはIrganox(商標)B900またはIrganox(商標)1076とのDoverphos(商標)S-9228)。熱安定剤は、好ましくは0.003〜0.2重量%の量で単独または組み合わせて使用する。
使用する紫外線安定剤は、400nm未満の最小の透過率および400nmを超える最大の透過率を有する化合物である。本発明の組成物に使用する特に好適な紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノンおよび/またはアリール化シアノアクリレートである。
特に好適な紫外線吸収剤は、2−(3’,5’−ビス(1,1−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(商標)234、ルートウィヒスハーフェン、BASF)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(tert−オクチル)フェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(商標)329、ルートウィヒスハーフェン、BASF)、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾールイル)−2−ヒドロキシ−5−tert−オクチル)メタン(Tinuvin(商標)360、ルートウィヒスハーフェン、BASF)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール(Tinuvin(商標)1577、ルートウィヒスハーフェン、BASF)などのヒドロキシベンゾトリアゾール類、同様に2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(Chimasorb(商標)22、ルートウィヒスハーフェン、BASF)および2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(Chimassorb(商標)81、ルートウィヒスハーフェン、BASF)などのベンゾフェノン類、2,2−ビス[[(2−シアノ−1−オキソ−3,3−ジフェニル−2−プロペニル)オキシ]メチル]−1,3−プロパンジイルエステル(9CI)(Uvinul(商標)3030、BASF AG ルートウィヒスハーフェン)、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシル)オキシ]フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジン (Tinuvin(商標)1600、ルートウィヒスハーフェン、BASF)、2,2’−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロン酸テトラエチル(Hostavin(商標)B-Cap、Clariant AG)またはN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)エタンジアミド(Tinuvin(商標)312、ルートウィヒスハーフェン、BASF)である。
特に好適な紫外線吸収剤は、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾールイル)−2−ヒドロキシ−5−tert−オクチル)メタン(Tinuvin(商標)360)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(tert−オクチル)フェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(商標)329)およびN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)エタンジアミド(Tinuvin(商標)312)であり、特に好ましいのは、ビス(3−(2H−ベンゾトリアゾールイル)−2−ヒドロキシ−5−tert−オクチル)メタン(Tinuvin(商標)360)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(tert−オクチル)フェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin(商標)329)である。
これら紫外線吸収剤の混合物も使用可能である。
本発明による組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の量は、組成物全体に対して、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.05重量%〜0.5重量%、最も好ましくは0.1重量%〜0.4重量%である。
本発明による組成物に加えられた任意の離型剤は、テトラステアリン酸ペンタエリトリトール、モノステアリン酸グリセロールおよび長鎖脂肪酸エステル類、例えば、ステアリン酸ステアリルおよびステアリン酸プロパンジオールならびにそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。離型剤の使用量は、組成物全体に対して、0.05重量%〜2.00重量%、好ましくは0.1重量%〜1.0重量%、より好ましくは0.15重量%〜0.60重量%、最も好ましくは0.20重量%〜0.50重量%である。
より好ましくは、少なくとも1種の熱安定剤、および場合により離型剤は、成分Cとして存在している。
好ましい組成物は、成分A〜C以外の成分を一切含有していない。
成分D
代替物として場合により存在するのは、最大30.0重量%、好ましくは0.10〜25重量%、より好ましくは、0.2〜20重量%の他の通常の添加剤(「さらなる添加剤」、成分D)である。これらのさらなる添加剤は、熱安定剤、紫外線安定剤および離型剤の群の一部を形成しない。この実施態様では、本発明による組成物は、好ましくは成分A、B、CおよびDからなる。成分Dの例は、難燃剤、IR吸収剤、静電気防止剤、リン酸トリスイソオクチルなどのエステル交換反応安定剤、ならびにガラス繊維、炭素繊維、二酸化チタン、シリケート、硫酸バリウムおよび滑石などの無機充填剤である。
ポリカーボネートに通常加えられるそのような添加剤は、特に、EP-A 0 839 623、WO-A 96/15102、EP-A 0 500 496または"Plastics Additives Handbook", Hans Zweifel, 第五版2000, Hanser Verlag, Munichに記載されている、ポリカーボネートにとって通常の量での、酸化防止剤、IR吸収剤、静電気防止剤、難燃剤、抗滴下剤、蛍光増白剤、光散乱剤、無機顔料を含む顔料などの着色剤、カーボンブラック、および/または染料、ならびに二酸化チタンまたは硫酸バリウムなどの無機充填剤である。これらの添加剤は、単独または混合物として加えてもよい。
成分A〜Cおよび場合によりDを含んでなる本発明によるポリマー組成物は、組合せを介した標準的取り込み、個々の成分の混合および均一化、特にせん断力を働かせた状態でのメルト中で行われる均一化で製造される。組合せおよび混合は、パウダープレミックスを使用して、メルト均一化に先立って任意に達成される。
また、ここでは、組成物の成分B〜Cおよび場合によりDは、既知の方法によってか、またはマスターバッチの形態でポリカーボネート中に導入してもよい。
成分B〜Cおよび場合によりDを組み込むためのマスターバッチの使用は、単独であっても混合物としてでも好ましい。
この文脈では、本発明による組成物は、スクリュー押出機(例えば、ZSK双軸押出機)、混練機あるいはBrabenderまたはBanburyミル等の従来の装置で、組み合わせて、混合して、均一化して、続けて押し出すことができる。押出後、押出物を冷却し粉砕してもよい。また、個々の成分をプレミックスし、次いで残留出発材料を個別におよび/または同様に混合して添加することも可能である。
射出成型機の可塑化装置内にてメルト中でプレミックスを組み合わせて、混合することも可能である。この場合、メルトは後続の工程での成形品に直接変形される。
プラスチック成形品は、射出成形によって製造することが好ましい。
本発明による組成物は、多層システムの製造において有用である。これには、本発明によるポリカーボネート組成物を1つ以上の層でプラスチック製の成形品に適用することが含まれる。例えば、ホイルインサート成形、共押出または多成分射出成形による適用は、成形品の成形と同時または直後に実施してもよい。しかしながら、成形済みの本体に適用もあり得る(例えば、フィルムでの積層、既存の成形品の被覆的なオーバー成形または溶液での被覆による)。
本発明による組成物は、電気および電子部門およびIT部門でのフレーム部品の製造、特に、厳しい難燃性条件が提示される用途で好適である。当該用途の例としては、スクリーンまたはハウジング、例えば、ウルトラブックまたはLEDディスプレイ技術用フレーム(例えば、OLEDディスプレイまたはLCDディスプレイ、その他に電子インク装置用)が挙げられる。さらなる用途は、スマートフォン、タブレット、ウルトラブック、ノートブックまたはノート型パソコンなどの携帯通信端末のハウジング部品だけでなく、衛星ナビゲーション、スマートウォッチまたは心拍計、同様に薄肉設計の電気的用途、例えば家庭用および業務用ネットワークシステムおよびスマートメーターハウジング部品である。
本発明による組成物は、壁厚が1.5mmである可燃性評価UL−94 V−0を有する、電気/電子部門およびIT部門のための、厚さが0.1〜3mm、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.1〜1.0mmの薄肉成形品の製造に特に好適である。この場合の厚さの数字は、成形品が、記載された範囲内でそのような厚さを全ての点で有しているという意味ではない。代わりに、記載された厚さは、成形品の最も低い壁厚の部分に関するものである。
本発明は、成分A、場合により成分Cおよび場合により成分Dを含んでなるポリカーボネート組成物の、ISO 1133−1:2011−12に従って決定された、負荷1.2kg、300℃でのメルトボリュームフローレートを増加するための、少なくとも1種の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物(成分B)の使用:
Figure 0006768805
[式中、
は、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、このアルキル基は分岐状または非分岐状であり、かつ
11〜R13は、同一または異なっており、H、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状である。]、好ましくは式(2)のポリグリシジルエーテル化合物(成分B)の使用:
Figure 0006768805
をさらに提供する。本発明によるポリカーボネート組成物に関して言及された、成分A〜Cおよび場合により存在する成分Dの好ましい範囲は、同様に本発明による使用にも当てはまる。
以下に記載されたポリカーボネート組成物は、5kg/hのスループットおよび50/分の軸回転数で、Berstorff ZE 25押出機中で化合することにより製造した。成形体は、280℃にてArburg Allrounder 370 C射出成形機中で製造された。
成分A−1:メルトボリュームフローレートMVRを12.5cm/10分(負荷1.2kg、試験温度300℃でのISO1133−1:2011−12による)とする、ビスフェノールAに基づく熱安定化直鎖状ポリカーボネート。成分A−1は、熱安定剤としてトリフェニルホスフィン(成分C)を0.025重量%含有している。
成分A−2:メルトボリュームフローレートMVRを6cm/10分(負荷1.2kg、試験温度300℃でのISO1133−1:2011−12による)とする、ビスフェノールAに基づく直鎖状ポリカーボネート粉末。
成分B:インド、Excel Industries Ltd.からの1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのトリスグリシジルエーテル。
衝撃耐性はISO 180/1C:2000−12に従って、80mm×10mm×4mmの試験体に対して室温で測定した。
DSCを用いてガラス転移温度(2回目の加熱)を決定した。
メルトボリュームフローレート(MVR)は、Zwick RoellからのZwick 4106機器を使用して、ISO 1133−1:2011−12(試験温度300℃、質量1.2kg)に従い決定した。
溶融粘度はISO 11443:2014−04(コーン−プレート配置)に従い決定した。
2.組成物
表1a:ポリグリシジルエーテルを含んでなる本発明の組成物4〜6および比較例1C−3C
1Cは使用した、熱安定化ポリカーボネート原料である。
2Cは再押出しを行った1Cである;これは、本発明の例4〜6の化合工程を促進させる。
Figure 0006768805
Figure 0006768805
Figure 0006768805
表からは、一切のポリグリシジルエーテルを含羞していない比較例による組成物のメルトボリュームフローレートMVRは遥かに劣っていることが明白である。本発明による組成物の流動曲線は、異なる測定温度でのせん断範囲全体にわたって各々明確に低減された溶融粘度を示し、これは流動性が改善されたことを意味する。ガラス転移温度への影響はこの場合些細である。衝撃耐性は不変で良好である。

Claims (11)

  1. A)64.0〜99.94重量%の芳香族ポリカーボネート、および
    B)0.05〜3.0重量%の、少なくとも1種の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物:
    Figure 0006768805
    [式中、
    は、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状であり、かつ
    11〜R13は、同一または異なっており、H、C〜Cアルキル基、またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状である。]
    を含んでなる、組成物。
  2. 前記ポリグリシジルエーテル化合物の量が0.1〜0.6重量%である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記式(1)のポリグリシジルエーテル化合物が、単独で存在しているとしても、または他の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物と混合されて存在しているとしても、前記式(1)のポリグリシジルエーテル化合物が、式(2):
    Figure 0006768805
    の1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのトリスグリシジルエーテルである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 0.001重量%〜3重量%の、熱安定剤、紫外線安定剤および/または離型剤の群からの少なくとも1種の添加剤(成分C)をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 以下の成分:
    A)64.0〜99.94重量%の芳香族ポリカーボネート、
    B)0.05〜3.0重量%の式(1)のポリグリシジルエーテル、
    C)0.001重量%〜3重量%の、熱安定剤、紫外線安定剤および離型剤の群から選択される、少なくとも1種の添加剤、および
    D)0.0重量%〜30.0重量%の、難燃剤、IR吸収剤、静電気防止剤および無機充填剤の群から選択される、1種以上のさらなる添加剤
    からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物から製造した、成形品。
  7. 前記成形品の厚さが0.1〜3mmである、請求項6に記載の成形品。
  8. 前記成形品の厚さが0.1〜2mmである、請求項7に記載の成形品。
  9. 前記成形品の厚さが0.1〜1.0mmである、請求項8に記載の成形品。
  10. ポリカーボネート組成物の、ISO 1133−1:2011−12に従って決定された、負荷1.2kg、300℃でのメルトボリュームフローレートを増加するための、少なくとも1種の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物の使用:
    Figure 0006768805
    [式中、
    は、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状であり、かつ
    11〜R13は、同一または異なっており、H、C〜Cアルキル基またはアリール基であり、該アルキル基は分岐状または非分岐状である。]。
  11. 前記式(1)のポリグリシジルエーテル化合物が、単独で存在しているとしても、または他の式(1)のポリグリシジルエーテル化合物と混合されて存在しているとしても、前記式(1)のポリグリシジルエーテル化合物が、式(2):
    Figure 0006768805
    の1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのトリスグリシジルエーテルである、請求項10に記載の使用。
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