JP2019172379A - 伸張シート及び収納容器 - Google Patents
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Abstract
Description
緩衝材としては、シート状の弾性部材(非特許文献1)、プラスチックフィルム、細かくカットされた紙(非特許文献2)、木毛、チップ状のプラスチック材等が用いられている。また、予め包装対象物の形状に成形した発泡プラスチック等の緩衝材も用いられている。
また、予め包装対象物の形状に成形した発泡プラスチック等の緩衝材は、同じ形状のものが多数存在する規格品の包装には適しているが、果実、野菜等、形状が一定しない包装対象物には使用し難い。
[1] 平坦な基材に複数の切り込みが形成された伸張シートであって、
前記切り込みにより、二次元的に配置された複数の迂回路と複数の分岐部が形成され、
前記迂回路は、前記切り込みで切断されることなく連続する領域によって形成された第1の端部と第2の端部を持つ道であり、
前記各々の迂回路を経由して各々の第1の端部から第2の端部に至る最短経路の長さは、該第1の端部と第2の端部間の直線距離よりも長くされており、
各迂回路と隣接する迂回路との間は、前記切り込みにより切断されて離間可能とされており、
前記分岐部は、2以上の前記迂回路の端部が合流する部分であり、
前記複数の分岐部は、以下の条件αを満たす分岐部同士を直接連結する迂回路で結んでいくと、網が形成されるように配置されていることを特徴とする伸張シート。
(条件α)
当該1つの分岐部に対して前記迂回路により直接連結されている分岐部が3つ以上存在する。
[2] さらに、枠部を有し、
前記複数の迂回路と分岐部の全体が、前記枠部の内側に配置されている[1]に記載の伸張シート。
[3] 前記基材が非伸縮性である[1]または[2]に記載の伸張シート。
[4] 空洞を囲む基板で形成された収納容器であって、前記基板の一部が、[1]〜[3]の何れかに記載の伸張シートであることを特徴とする収納容器。
本発明の伸張シートは、平坦な基材に複数の切り込みが形成されることにより構成されており、その複数の切り込みによって、二次元的に配置された複数の迂回路と複数の分岐部が形成されている。
なお、平坦とは、マクロ的な意味で平坦であることを意味し、例えば、基材の表面に細かい凹凸が付されていたり、表面が粗面化されていたりすることは差し支えない。
基材には、例えば、紙、合成紙、プラスチックフィルム、織布、不織布、金属薄膜等が使用できる。具体的な基材の材質、厚み、強度等は、その用途に応じて適宜選択すればよい。
二次元的に配置された複数の迂回路と複数の分岐部を、以下に説明する条件を満たすように形成できる限り、種々の切り込みのパターンが採用できる。
切り込みは、その幅を無視できる程度の線状の切り込みに限定されず、紡錘状、楕円状三日月状、矩形状、円などであってもよい。ただし、伸張させた際の基材破壊を防ぐ観点から、切り込みの幅は無視できる程度に小さいことが好ましく、例えば、矩形状の切り込みは好ましくない。また、伸張させた際の基材破壊を防ぐ観点から、切り込みの終端には、円形又は楕円形の終端部を設けてもよい。また、切り込みにおける終端部に繋がる部分を、終端部に向けて広がるテーパー状とし、当該テーパー部と終端部とが、全体として液摘状の形状となるようにしてもよい。
基材の厚みや強度にもよるが、例えば厚み0.13mm程度の不織布からなる基材の場合、終端部Cxの直径rは、0.2〜3mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましく、0.8〜1.5mmがさらに好ましい。また、距離dは、1.4mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましい。
分岐部はある程度の面積を有する領域であるが、便宜上、面積を無視できる点として捉えてもよい。切り込みは、分岐部の内部にも形成されていてもよい。
一つの分岐部で合流する迂回路の端部の数は2以上であれば特に限定はないが、切り込みの設けやすさ等の観点から、8以下であることが好ましく6以下であることがより好ましい。
また、後述の枠部が存在しない態様においては、その周縁部分において、第1の端部に分岐部が存在し、第2の端部は伸張シートの周縁に至るような迂回路もある。
基材の厚みを無視すれば、最短距離が伸張距離の最大値となる。その場合、各分岐部間の最大の伸び率(最大の伸張距離/直線距離)は、最短距離/直線距離となる。
条件αを満たす分岐部が連結する分岐部の数は、3以上であれば特に限定はないが、切り込みの設けやすさ等の観点から、8以下であることが好ましく6以下であることがより好ましい。
(条件α)
当該1つの分岐部に対して前記迂回路により直接連結されている分岐部が3つ以上存在する。
1つの網の目を形成する分岐部の数は、3以上であれば特に限定はないが、切り込みの設けやすさ等の観点から、10以下であることが好ましく8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましい。
1つの網の目を形成する分岐部の各々が条件αを満たすことにより、網の目が二次元的に広がった網を形成することができる。
各分岐部間の伸張の程度は、各迂回路に加えられる応力に応じて、各迂回路を画する各切り込みの幅の拡張の程度が変化することにより調整される。
また、1つの分岐部の位置を固定したまま、その分岐部に迂回路で連結されている他の分岐部の位置を、個別に調整することもできる。
本発明の伸張シートは、枠部を変形させることなく、枠部の内側を、枠部の存在する平面から離れるように伸張させることができる。そのため、本発明の収納容器を構成する基板のように、全体の形状と面積を一定させておきたい用途に使用しやすい。
また、基材をレーザー加工することにより、製造してもよい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る伸張シート1Aである。伸張シート1Aは、平坦な基材1aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材1aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。
本実施形態では、風車状の切り込みパターンが多数組み合わされて、全体の切り込みパターンが構成されている。各風車状の切り込みパターンは、6つの切り込みCが単一の連結点を基端として60°間隔で放射状に形成され、各切り込みの先端が時計方向に60°の角度で折れ曲がった構成である。
連結点C11xを基端とする風車状の切り込みパターンは、切り込みC11a〜C11fの6つの切り込みCから構成されている。連結点C12xを基端とする風車状の切り込みパターンは、切り込みC12a〜C12fの6つの切り込みCから構成されている。連結点C13xを基端とする風車状の切り込みパターンは、切り込みC13a〜C13fの6つの切り込みCから構成されている。
本実施形態の分岐部Pは、1つの分岐部Pの周囲を他の3つの分岐部Pが、等方的かつ等距離で囲むような関係で二次元的に配置されている。
分岐部P10と分岐部P11との間の直線経路は、切り込みC13eと切り込みC11bにより切断されているので、迂回路R11を経由する最短経路S11は、切り込みC13eの先端と切り込みC11bの先端を経由する経路となっている。
また、迂回路R12を経由する最短経路S12は、切り込みC11aの先端と切り込みC12dの先端を経由する経路となっている。
また、迂回路R13を経由する最短経路S13は、切り込みC12cの先端と切り込みC13fの先端を経由する経路となっている。
分岐部P10に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P11〜P13の3つであり、条件αを満たしている。図3における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
同様に、次々と連結される環、すなわち、網の目を形成することができる。全体としては、各六角形状の環を網の目とする網を形成するように分岐部Pが配置されている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る伸張シート2である。伸張シート2は、平坦な基材2aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材2aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。なお、第2実施形態は、枠部Fのない態様に変更してもよい。
本実施形態では、同一の重心を持つ相似形の5つの正三角形を描くように、破線からなる多重三角形状の切り込みパターンが構成され、この多重三角形状の切り込みパターンが多数組み合わされて、全体の切り込みパターンが構成されている。
本実施形態の分岐部Pは、1つの分岐部Pの周囲を他の6つの分岐部Pが、等方的かつ等距離で囲むような関係で二次元的に配置されている。
なお、本実施形態の分岐部Pも、多重三角形状の切り込みパターンの重心近傍における切り込みを含まない範囲を分岐部Pと扱ってもよい。例えば、多重三角形状の切り込みパターンの重心を中心とする円状の分岐部P(図示は省略)として捉えてもよい。
そのため、この二つの分岐部P間の迂回路Rを経由する最短経路は、当該多重三角形状の切り込みパターンの破断位置を縫うような経路となっている。
同様に、分岐部P20と分岐部P24との間の迂回路Rを経由する最短経路S24aとS24b、並びに、分岐部P20と分岐部P26との間の迂回路Rを経由する最短経路S26aとS26bも、切り込みC20a〜C20eの各々の破断した先端を経由する経路となっている。
同様に、分岐部P20と分岐部P21との間の迂回路Rを経由する最短経路S21aとS21b、並びに、分岐部P20と分岐部P25との間の迂回路Rを経由する最短経路S25aとS25bも、分岐部P21と分岐部P25の各々の位置を重心とする多重三角形状の切り込みパターンで切断され、これらの切り込みCの各々の破断した先端を経由する経路となっている。
分岐部P20に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P21〜P26の6つであり、条件αを満たしている。図5における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
同様に、次々と連結される環、すなわち、網の目を形成することができる。全体としては、各三角形状の環を網の目とする網を形成するように分岐部Pが配置されている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る伸張シート3である。伸張シート3は、平坦な基材3aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材3aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。なお、第3実施形態は、枠部Fのない態様に変更してもよい。
本実施形態では、破線からなる斜め格子状の切り込みパターンと、破線からなる縦横格子状の切り込みパターンと、縦横格子状の切り込みパターンの各格子と同一の重心を持つ相似形の3つの正方形を描くように、破線からなる多重四角形状の切り込みパターンが構成され、これらが組み合わされて、全体の切り込みパターンが構成されている。
なお、本実施形態の分岐部Pも、斜め格子状の切り込みパターンを含まない範囲(破断箇所範囲)を分岐部Pと扱ってもよい。例えば、斜め格子状の切り込みパターンの破断箇所をつなぐ正方形状の分岐部P37aを捉えてもよいし、多重四角形状の切り込みパターンの重心を中心として、円状の分岐部P38aを捉えてもよい。
分岐部P30に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P31〜P34の4つであり、条件αを満たしている。図7における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
同様に、次々と連結される環、すなわち、網の目を形成することができる。全体としては、各四角形状の環を網の目とする網を形成するように分岐部Pが配置されている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図8は、本発明の第4実施形態に係る伸張シート4である。伸張シート4は、平坦な基材4aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材4aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。なお、第4実施形態は、枠部Fのない態様に変更してもよい。
本実施形態では、連結点C41xにおいて、60°の角度で切り込みC41a、切り込みC41b、切り込みC41cが交差し、斜め交差パターンを形成している。また、この斜め交差パターンと離間して、連結点C42xにおいて、60°の角度で切り込みC42a、切り込みC42b、切り込みC42cが交差し、斜め交差パターンを形成している。
また、連結点C43xを交差点とする同様の斜め交差パターンが形成されている。連結点C41xと連結点C42xと連結点C43xは、正三角形の頂点となるように配置されている。
また、切り込みC41cの先端を基端とする切り込みC41gと、切り込みC42bの途中を基端とする切り込みC42gが切り込みC40bの外側に形成されている。また、切り込みC41bの先端を基端とする切り込みC41fと切り込みC42cの先端を基端とする切り込みC42fが切り込みC40cの外側に形成されている。
なお、本実施形態の分岐部Pも、3つの連結点を頂点とする三角形の重心近傍における切り込みを含まない範囲を分岐部Pと扱ってもよい。例えば、前記重心を中心とする円状の分岐部P(図示は省略)として捉えてもよい。
分岐部P40と分岐部P42との間の直線経路は、切り込みC40a〜C40cにより切断されている。そのため、この二つの分岐部P間の迂回路Rを経由する最短経路S42a、S42bは、迂回路Rを形成する切り込みパターンの破断位置を縫うような経路となっている。
同様にして、分岐部P40と分岐部P41との間の迂回路Rを経由する最短経路S41a、S41bと、分岐部P40と分岐部P43との間の迂回路Rを経由する最短経路S43a、S43bが形成されている。
分岐部P40に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P41〜P43の3つであり、条件αを満たしている。図9における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図10は、本発明の第5実施形態に係る伸張シート5である。伸張シート5は、平坦な基材5aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材5aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。なお、第5実施形態は、枠部Fのない態様に変更してもよい。
本実施形態では、風車状の切り込みパターンが多数組み合わされて、全体の切り込みパターンが構成されている。各風車状の切り込みパターンは、5つの切り込みCが単一の連結点を基端として放射状に形成され、各切り込みの先端が反時計方向に折れ曲がっているパターンである。
また、切り込みC51aと切り込みC51dの先端は反時計方向に90°の角度で折れ曲がっており、切り込みC51b、C51c、C51eの先端は反時計方向に60°の角度で折れ曲がっている。他の連結点を基端とする風車状の切り込みパターンは、この連結点C51xを基端とする風車状の切り込みパターンを回転させたパターンとなっている。
なお、本実施形態の分岐部Pも、図示した点状の分岐部Pを中心とする円状の分岐部P(図示は省略)として捉えてもよい。
分岐部P50と分岐部P51との間の直線経路は、切り込みC51dと切り込みC52bにより切断されている。そのため、迂回路R51を経由する最短経路S51は、これらの切り込みの先端を経由する経路となっている。
また、分岐部P54と分岐部P55との間の迂回路R55を経由する最短経路S55、分岐部P54と分岐部P56との間の迂回路R56を経由する最短経路S56が形成されている。なお、分岐部P54と分岐部P55との間は、上述の他の分岐部間と最短距離が異なり、また、直線距離も異なっている。
分岐部P50に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P51〜P54の4つであり、条件αを満たしている。また、分岐部P54に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P50、P55、及びP56の3つであり、条件αを満たしている。図11における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図12は、本発明の第6実施形態に係る伸張シート6である。伸張シート6は、平坦な基材6aに切り込みCが複数形成されている。また、切り込みCによって、二次元的に配置された複数の迂回路Rと分岐部Pが形成されている。また、基材6aの周縁部は、枠部Fとされ、当該枠部の内側に切り込みCが形成されている。なお、第6実施形態は、枠部Fのない態様に変更してもよい。
本実施形態では逆Zの両端側が円弧状に延びた切り込みCが複数形成されている。
図13に示すように、切り込みC61〜C64の4つの切り込みCが、各円弧状に延びた一端側が渦巻き状になるように、90°ずつ角度を変えて形成されている。また、これらの切り込みC61〜C64の中央と交差する切り込みC65〜C68が形成されている。
本実施形態の分岐部Pは、縦横格子の交点に位置するような関係で二次元的に配置されている。なお、本実施形態の分岐部Pも、図示した点状の分岐部Pを中心とする円状の分岐部P(図示は省略)として捉えてもよい。
分岐部P60と分岐部P61との間の直線経路は、切り込みC63、C64、C65、及び分岐部P61の周りに渦巻きを形成する他の切り込みにより切断されている。そのため、迂回路R61を経由する最短経路S61は、切り込みC64と切り込みC65の各々に沿う経路とこれら双方に対する接線とを経由する経路となっている。
分岐部P60に対して迂回路により直接連結されている分岐部は、分岐部P61〜P64の4つであり、条件αを満たしている。図13における他の分岐部Pも条件αを満たしている。
そのため、本実施形態の伸張シートは、伸張可能な網として機能させることができる。
図14は、本発明の第7実施形態に係る伸張シートの一部拡大図である。本実施形態では、1つの伸張シート内に、分岐部P間の最大の伸び率(基材の厚さを無視すれば、最短距離/直線距離に等しい。)が異なる部分が混在している。
図14において、分岐部P71と分岐部P72の間の直線形路を切断する切り込みC71a〜C71cは、各々分岐部P72と分岐部P73の間の直線形路を切断する切り込みC72a〜C72cより長い。また、分岐部P73と分岐部P74の間の直線形路を切断する切り込みC73a〜C73cは、各々切り込みC72a〜C72cより短い。
その結果、最大の伸び率は、分岐部P71と分岐部P72の間が最も大きくなり、分岐部P73と分岐部P74の間が最も小さくなる。
このように、類似の切り込みパターンであってもその長さを調整することにより、伸び率を調整することができる。
1つの伸張シート内における分岐部P間の最大の伸び率が均一な場合にも、切り込みの長さを調整することにより伸び率の調整が可能である。
図15は、本発明の第8実施形態に係る伸張シートの一部拡大図である。本実施形態では、切り込みの一部が楕円状とされている。
図15に示すように、90°の角度で交差する切り込みC81aと切り込みC81bが形成されている。また、切り込みC81aと切り込みC81bの各々の両端には、一対の短い切り込みC81cと切り込みC81dが、各々接続されている。また、切り込みC81aと切り込みC81bの各々の交差点の間には、楕円状の切り込みC81eが設けられている。
そして四対の切り込みC81cと切り込みC81dに囲まれる4角形の領域内に分岐部Pが形成されている。
分岐部P81aと分岐部P81bとの間の迂回路Rを経由する最短経路S81aと最短経路S81bは、切り込みC81cと切り込みC81dの各々の先端を通る切り込みC81eの接線と、切り込みC81eの周縁を経由する経路となっている。
図16は、本発明の第9実施形態に係る伸張シートの一部拡大図である。本実施形態では、分岐部P内に円形の切り込みが形成されている。
図16に示すように、90°の角度で交差する切り込みC82aと切り込みC82bが形成されている。また、切り込みC82aと切り込みC82bの各々の両端には、一対の短い切り込みC82cと切り込みC82dが、各々接続されている。また、切り込みC82aと切り込みC82bの各々の交差点の間には、切り込みC82eが設けられている。また、四対の切り込みC82cと切り込みC82dに囲まれる4角形の領域内に円形の切り込みC82fが形成されている。
前者の場合の最短経路S82aとS82bは前記円形の領域を起点とし、後者の場合の最短経路S82cとS82dは前記四角形の領域を起点する。
図17は、本発明の第10実施形態に係る伸張シートの一部拡大図である。本実施形態では、分岐部内に十文字の切り込みが形成されている。
図17に示すように、90°の角度で交差する切り込みC83aと切り込みC83bが複数形成されている。また、各々の切り込みC83aと切り込みC83bの各々の両端には、一対の屈曲した短い切り込みC83cと切り込みC83dが、各々接続されている。また、切り込みC83aと切り込みC83bの各々の交差点の間には、切り込みC83eが設けられている。また、四対の切り込みC82cと切り込みC82dに囲まれる略十文字状の領域内に、切り込みC83aと平行な方向に切り込みC83fが、切り込みC83bに平行な方向に切り込みC83gが形成されている。切り込みC83fと切り込みC83gは交差している。
本実施形態では、分岐部P内に形成された切り込みの存在により、分岐部P自体も伸張することができる。
以下、本発明の伸張シートの使用態様について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態の伸張シートを用いた態様について説明したが、第1実施形態の伸張シートに代えて、他の実施形態の伸張シートや、その他の本発明に係る伸張シートに変更できることはもちろんである。
図18は、本発明の実施形態に係る収納容器10の斜視図である。収納容器10は、6つの矩形状の基板で直方体状の空洞を囲む容器であり、その1つの基板が、第1実施形態の伸張シート1Aで構成されている。
伸張シート1Aは、押圧により切り込みCが開く。例えばその中央部分を外側から押圧すると、図19に示すように、枠部Fに近い切り込みCaの幅はあまり開かないが、切り込みCb、切り込みCcと内側に行くに従い大きく幅が開く。その結果、図20に示すように、伸張シート1Aは、当初の空洞の内側に向けて撓む。さらに押圧を強めると、図21に示すように、切り込みCの幅はさらに開く。
したがって、本実施形態の収納容器10によれば、様々な形態の包装対象物を、優れた圧力分散性で収納することができる。また、伸張シート1Aは、1枚の基材から構成されているので、保管や廃棄時等の取り扱いが容易である。
収納容器10に用いる伸張シート1Aを構成する基材は、包装対象物等の使用目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、包装対象物に対する負荷を少しでも減らすことを重視する場合には、柔軟性とクッション性のある基材を選択することができる。また、包装対象物が重量物である場合は、充分な強度を持たせることを優先して基材を選択することができる。
収納容器10の1面を構成する伸張シート1Aには、包装対象物に応じて適宜の強度の基材を用いることができる。
なお、図22の伸張シート1Aは、図18等と表裏が逆転したものである。
本発明の収納容器は、直方体状の空洞を囲む態様に限定されない。例えば円柱状の空洞を囲む態様であってもよい。その場合、一方の底面を画する円形の基板を、本発明の伸張シートで構成すればよい。
図23は、本発明の伸張シートを用いた包装材20である。包装材20は、第1実施形態の伸張シート1Bから構成されている。包装材20に包装対象物を載せた後、包装対象物に沿うように包装材20を伸張させると、包装対象物の形状に沿って変形する。そして、伸張させた包装材20の二つの辺が出会うと、両辺の近傍の切り込みが絡み合いアンカー効果を発揮する。そのため、セロテープ(登録商標)、糊等の別途の固定手段を用いることなく、図23に示すように、収納物を包装した状態で固定できる。
包装材20に用いる伸張シート1Bを構成する基材は、包装対象物等の使用目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、包装対象物に対する負荷を少しでも減らすことを重視する場合には、柔軟性とクッション性のある基材を選択することができる。また、アンカー効果を重視する場合には、アンカー効果を発揮しやすい程度の強度を持たせることを優先して基材を選択することができる。
図24は、本発明の伸張シートを用いた、たわし30である。たわし30は、第1実施形態の伸張シート1Aから構成されている。周縁を一箇所に纏めるように伸張シート1Aを丸めると、切り込みの切断面が表に露出して、たわしとして使用することができる。
たわし30に用いる伸張シート1Aを構成する基材は、洗浄対象物の材質等に応じて、適宜選択すればよい。例えば、洗浄対象物を傷つけないことを重視する場合は、柔らかい材質の基材を選択することができる。また、強い力での洗浄を求めたい場合は、剛性のある基材を選択することができる。また、耐水性を重視して基材を選択してもよいし、吸水性を重視して基材を選択してもよい。
図25は、本発明の伸張シートを用いた、収納ポーチ40である。収納ポーチ40は、第1実施形態の伸張シート1Aの中央を図1の横方向に沿って折り曲げることにより構成されている。
図25の辺40aが折り曲げた側ある。辺40b、40cの側は、各々重ね合わされた枠部Fが接着されている。辺40dの側は、各々重ね合わされた枠部Fが接着されることなく、環状に開ける開口部となっている。
収納ポーチ40に用いる伸張シート1Aを構成する基材は、使用目的等に応じて、適宜選択すればよい。例えば、収納物の保護を重視する場合は、柔軟性とクッション性のある基材を選択できる。また、ファッション性を重視する場合は、意匠性に優れた基材を選択することができる。
辺40d側には、握り手をつけてもよい。また、ゴムやひもを通して辺40d側を絞り、巾着状のポーチとしてもよい。
本発明の伸張シートに、平坦な状態で絵柄を描くと、三次元的なモザイクパズルとして使用できる。すなわち、絵柄の描かれた伸張シートの切り込みをランダムに開くと、切り込みが複雑に絡み合い、これを元の絵柄に戻す作業を楽しむことができる。
また、枠部のない伸張シートを伸張させると、レース模様を生じさせることができるので、装飾シートとして使用することができる。
1a、1b、2a、3a、4a、5a、6a、…基材
C…切り込み
P…分岐部
R…迂回路
F…枠部
N…環
10…収納容器
20…包装材
30…たわし
40…収納ポーチ
Claims (4)
- 平坦な基材に複数の切り込みが形成された伸張シートであって、
前記切り込みは、単一の連結点を基端として放射状に形成された4つ以上の切り込みからなる風車状の切り込みパターンの組み合わせを有し、
前記4つ以上の切り込みの各々は、いずれも前記連結点から放射状に伸び出た先端側が曲がり、かつ、いずれも他の風車状の切り込みパターンにおける切り込み同士の間に挿入されるように位置しており、
前記切り込みにより、二次元的に配置された複数の迂回路と複数の分岐部が形成され、
前記迂回路は、前記切り込みで切断されることなく連続する領域によって形成された第1の端部と第2の端部を持つ道であり、
前記各々の迂回路を経由して各々の第1の端部から第2の端部に至る最短経路の長さは、該第1の端部と第2の端部間の直線距離よりも長くされており、
各迂回路と隣接する迂回路との間は、前記切り込みにより切断されて離間可能とされており、
前記分岐部は、2以上の前記迂回路の端部が合流する部分であり、
前記複数の分岐部は、以下の条件αを満たす分岐部同士を直接連結する迂回路で結んでいくと、網が形成されるように配置されていることを特徴とする伸張シート。
(条件α)
当該1つの分岐部に対して前記迂回路により直接連結されている分岐部が3つ以上存在する。 - さらに、枠部を有し、
前記複数の迂回路と分岐部の全体が、前記枠部の内側に配置されている請求項1に記載の伸張シート。 - 前記基材が非伸縮性である請求項1または2に記載の伸張シート。
- 空洞を囲む基板で形成された収納容器であって、前記基板の一部が、請求項1〜3の何れか一項に記載の伸張シートであることを特徴とする収納容器。
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