JP2019170330A - 起泡済み食材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 起泡後の形状を長時間維持することができる起泡済み食材を提供することを目的とする。【解決手段】 果実の水分を除去して固形分40%以上とした果実加工品をクリーム状食品に加えて起泡させる。果実加工品に含まれるペクチン、オリゴ糖及びクエン酸の作用により、起泡後のクリームの保形性が向上し、クリームの形状を室温で長時間維持することができる。また、起泡後のクリームにおける冷解凍時の離水を抑制することができる。このため、冷凍前のクリームの味が解凍後も維持される。特に、クリーム状食品として生クリームを使用して起泡させた場合であっても、味を劣化させることなく冷解凍することができるので、長期保存が可能になる。起泡済み食材の具体例としては、ホイップクリーム、アイスクリーム及びソフトクリーム等がある。【選択図】図1
Description
本発明は、起泡済み食材及びその製造方法に係り、更に詳しくは、クリーム状食品を起泡させる起泡済み食材の製造方法の改良に関する。
生クリーム、アイスクリーム、ソフトクリームなどのクリームは、空気を混ぜ込んで起泡させることにより、適度な柔らかさを保ちつつ、多彩な形状に成形することができる。このため、起泡させたクリームは、デザートなどの食品のデコレーションに広く用いられている。
この様な起泡後のクリームは、室温で長時間放置すると、起泡状態が維持できなくなって形状が崩れてしまうため、低温で保存する必要がある。これに対し、例えば、特許文献1には、生クリームにゼラチン、こんにゃく粉、糖類及び澱粉を加えることにより、クリームの保形性を向上させ、起泡後のクリームの形状を室温で長時間維持することが記載されている。
また、特許文献2には、ペクチンを付加することによって、起泡後のクリームの形状を室温で長時間維持することが記載されている。更に、特許文献2には、このペクチンの付加により、冷凍時及び解凍時に、起泡後におけるクリームからの水分の分離、いわゆる離水を抑制することも記載されている。
また、特許文献3には、果実の水分を除去して固形分40%以上とした果実加工品をクリーム状食品に加えて起泡させることが記載されている。
また、特許文献3には、果実の水分を除去して固形分40%以上とした果実加工品をクリーム状食品に加えて起泡させることが記載されている。
特許文献1及び2に記載のクリームでは、起泡後のクリームの形状を室温で長時間維持することができるが、ペクチンやゼラチンの含有量が多くなるため、起泡後のクリームの口どけや味が損なわれるという問題があった。
また、特許文献3に記載のクリームよりも高い保形性が求められている。
また、特許文献3に記載のクリームよりも高い保形性が求められている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、室温で起泡後の形状をより長時間維持することのできる起泡済み食材を提供することを目的とする。また、口どけや味が良好な起泡済み食材を提供することを目的とする。また、冷凍時及び解凍時の離水を抑制することができる起泡済み食材を提供することを目的とする。更に、本発明は、室温で起泡後の形状をより長時間維持することのできる起泡済み食材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の事情に鑑みて、鋭意検討を行った結果、クリーム状食品と果実加工品との混合物を起泡させた食材には、形状を室温で長時間維持する効果があることを見出し、本発明を完成させた。
第1の本発明による起泡済み冷凍食材の製造方法は、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉に由来する保形成分を、クリーム状食品に混合して起泡させる起泡ステップと、起泡した混合物を成形する成形ステップと、成形した混合物を冷凍する冷凍ステップとを有する。
本発明による起泡済み冷凍食材の製造方法は、1.5気圧以上3.0気圧以下の高圧下で、イチゴを150℃以上250℃以下に加熱して、濃縮果汁を抽出する抽出ステップと、クリーム状食品に対し、体積比で1%以上かつ10%未満となるように、抽出された濃縮果汁を加えて起泡させる起泡ステップと、起泡した混合物を成形する成形ステップと、成形した混合物を冷凍する冷凍ステップとで構成される。
果実加工品に含まれるペクチン、オリゴ糖及びクエン酸には、それぞれ起泡後のクリームの形状を長時間維持する働きがある。このため、果実加工品を加えることにより、口どけのよさを損なうことなく、起泡済み食材の形状を室温で長時間維持することができる。また、冷解凍時の離水を抑制することができる。また、クリーム状食品を短時間で容易に起泡させることができる。しかも、果実加工品を加えるので味も良好なものとなる。更に、果実の水分を除去して固形分40%以上とした果実加工品を用いることにより、ペクチン、オリゴ糖及びクエン酸と同時に加えられる水分の量を抑制することができ、長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても良好な効果を得ることができる。
同様に、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉に含まれるペクチンもクリームの形状を維持する保形機能を有する。保形成分には、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉の1種類から抽出された抽出物が97質量%以上含まれていることが好ましい。
第2の本発明による起泡済み冷凍食材の製造方法は、上記構成に加え、上記濃縮果汁は、1.9気圧以上2.2気圧以下の高圧下で、イチゴを190℃以上210℃以下で煮詰めた後に不溶成分を除去されたものである。
この様な構成により、より高い保形性が期待できる。
この様な構成により、より高い保形性が期待できる。
第3の本発明による起泡済み冷凍食材の製造方法は、上記構成に加え、上記起泡ステップにおいて、体積比で4%以上の上記濃縮果汁を加える。
第4の本発明による起泡済み食材は、1.5気圧以上3.0気圧以下の高圧下で、イチゴを150℃以上250℃以下に加熱して抽出された濃縮果汁と、クリーム状食品とを混合し起泡してなる。
本発明の起泡済み食材は、従来品に比し、高い保形性を有する。
本発明のクリーム状食品は、起泡させることのできる水中油型乳化物であり、具体的には、生クリームや、起泡前のアイスクリーム、ソフトクリームなどがある。生クリームは、乳脂肪分18%以上のものに限定されず、例えば、乳脂肪分に安定剤や乳化剤を添加したものであってもよいし、植物性脂肪分に脱脂粉乳、乳化剤、安定剤及び水等を加えた合成クリームであってもよい。また、アイスクリームは、乳固形分を含み、起泡されることにより製造される氷菓子であり、乳固形分15%以上のものに限定されない。
本実施の形態のクリームは、クリーム状食品や、クリーム状食品と果実加工品との混合物の総称である。クリームには、起泡前のものも起泡後のものも含まれ、例えば、果実加工品を加えて起泡させて製造されるアイスクリームや、その中間産物が含まれる。
以下、本発明の起泡済み食材及びその製造方法について説明する。本発明の起泡済み食材は、クリーム状食品に果実加工品を加えて起泡させたものである。クリーム状食品に果実加工品を加えることにより、起泡後のクリームの保形性を向上させ、クリームの形状を室温で長時間維持することができる。また、従来、起泡後のクリームを冷凍及び解凍した場合、クリームの水分と油脂とが分離する離水という現象が起こり、クリームの起泡状態が維持できなくなるという問題があった。特に、クリーム状食品が生クリームの場合、起泡後のクリームを冷凍すると離水してしまうため、起泡後のクリームを長期保存することができないという問題があった。これに対し、本発明では、クリーム状食品に果実加工品を加えて起泡させることにより、冷凍時及び解凍時の離水を抑制することができる。また、離水を抑制することにより、冷凍前の味を解凍後も維持することができる。特に、クリーム状食品が生クリームの場合、起泡後のクリームを離水することなく冷凍保存することができるので、利便性が大きい。
<果実加工品>
本発明の果実加工品は、果実に加熱、破砕等の加工を行った食品であり、例えば、濃縮果汁、ピューレ及びペースト等が含まれる。この果実加工品に使用する果実は、ペクチンやクエン酸を多く含む果実であることが望ましい。例えば、イチゴ、オレンジ、リンゴ、桃、ブドウ、ブルーベリー、レモン、メロン、バナナ及びマンゴーなどが好適である。また、2種類以上の果実の組み合わせであってもよい。特に、イチゴを使用した果実加工品では、起泡後のクリームの長時間の形状維持や、離水抑制の顕著な効果があることが確認されている。
本発明の果実加工品は、果実に加熱、破砕等の加工を行った食品であり、例えば、濃縮果汁、ピューレ及びペースト等が含まれる。この果実加工品に使用する果実は、ペクチンやクエン酸を多く含む果実であることが望ましい。例えば、イチゴ、オレンジ、リンゴ、桃、ブドウ、ブルーベリー、レモン、メロン、バナナ及びマンゴーなどが好適である。また、2種類以上の果実の組み合わせであってもよい。特に、イチゴを使用した果実加工品では、起泡後のクリームの長時間の形状維持や、離水抑制の顕著な効果があることが確認されている。
果実には、ペクチン、クエン酸及びオリゴ糖が含まれる。ペクチンやオリゴ糖は起泡後のクリームの粘性を増加させ、クリームの形状を長時間維持するとともに、冷凍時及び解凍時の離水を抑制する効果がある。更に、クエン酸にも起泡後のクリームの形状を長時間維持する効果がある。従って、果実加工品をクリーム状食品に加えることにより、ペクチン、クエン酸及びオリゴ糖の3種類の成分をそれぞれ作用させ、効率的に起泡後のクリームの形状を室温で長時間維持し、冷解凍時の離水を抑制することができる。
つまり、本発明によれば、特許文献2に記載の様に、ペクチンそのものを添加して室温で長時間の形状維持及び冷解凍時の離水抑制を行う場合に比べ、クリーム中のペクチンの量を少なくすることができる。このため、クリームの口どけのよさを損なうことがない。また、果実加工品を加えるのでクリームの味も良好なものにすることができる。この様に、本発明の果実加工品では、ペクチン、オリゴ糖及びクエン酸をバランスよく加えることができる。従って、果実加工品としては、ペクチン等の増粘多糖類が添加されていないものを使用することが望ましい。
また、本発明の果実加工品としては、特に濃縮果汁が望ましい。果実加工品中の不溶成分を除去することにより、起泡後のクリーム中で果実加工品の濃度が一定になる。このため、クリーム中で起泡状態を維持する効果にムラが生じることがない。不溶成分とは、水に溶解していない成分をいい、例えば、ろ過することにより除去される。
更に、濃縮果汁を製造する際、果実を煮詰めた後に果実の不溶成分を除去することが望ましい。不溶成分を除去する前に果実を煮詰めることにより、果実の不溶成分に含まれるポリフェノールが果汁中に溶け出し、濃縮果汁に含まれるポリフェノールの量を増やすことができる。ポリフェノールには、界面活性剤としての性質があり、クリームの起泡状態を維持することができる。このため、上述した様にポリフェノールの濃度を高める方法で濃縮果汁を製造することによって、起泡後のクリームの長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても更に顕著な効果を得ることができる。ポリフェノールは、例えば、イチゴ、オレンジ、リンゴ、桃、ブドウ、ブルーベリー、レモン、メロン、バナナ及びマンゴーなどに含まれる。
本発明の果実加工品は、果実の水分を除去して固形分40%以上としたものを使用することが望ましい。果実の水分を除去するとは、果実、果汁又は果実を破砕等したものから水分を除去することをいう。果実の水分の除去方法には、例えば、煮沸濃縮、膜濃縮等によるものがあるが、これらの具体的な態様に限定されない。
固形分とは、果実加工品から水分を除いた質量の割合であり、糖分、ペクチン及びクエン酸などの溶解している成分と、繊維質などの不溶成分とを合計したものである。クリーム中のペクチン、オリゴ糖及びクエン酸の量が多くなるほど、クリームの起泡状態を維持させる効果は大きくなる。また、繊維質などの不溶成分は、起泡後のクリームの味を良好にする効果がある。これに対し、水分には生クリームを起泡しにくくする性質があり、果実加工品中の固形分に対する水分の割合が多くなると、ペクチン等がクリームの起泡状態を維持する効果が水分によって打ち消されてしまう。このため、果実の水分を除去した果実加工品を使用することによって、クリームに加えられるペクチンやクエン酸などの量に対する水分の割合を減少させ、起泡後のクリームの長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても良好な効果を得ることができる。後述する様に、果実の水分を除去して固形分40質量%以上とした果実加工品では、長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても顕著な効果があることを確認している。
特に、固形分比率がクリーム状食品よりも大きい果実加工品をクリーム状乳製品に加えた場合、起泡後のクリームにおける水分の割合が、果実加工品を加えない場合よりも小さくなる。このため、起泡後のクリームの長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても顕著な効果を得ることができる。この点については、以下の様に説明することができる。クリーム状食品の固形分には、例えば、乳脂肪分や無脂肪固形分が含まれる。そして、無脂肪固形分比率が、クリームの起泡特性に寄与している。このため、果実加工品中の固形分比率が、クリーム状食品の無脂肪固形分のクリーム状食品中の無脂肪固形分の比率より大きくなることにより、起泡後のクリームの長時間の形状維持及び離水抑制の両方について効果が得られていると考えられる。
<その他の材料>
本発明では、クリーム状乳製品、果実加工品又はこれらの混合物に甘味料を加えることができる。甘味料には、例えば、砂糖、粉糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、水飴、オリゴ糖、トレハロース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、はちみつ及びサッカリン等が含まれる。
本発明では、クリーム状乳製品、果実加工品又はこれらの混合物に甘味料を加えることができる。甘味料には、例えば、砂糖、粉糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、水飴、オリゴ糖、トレハロース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、はちみつ及びサッカリン等が含まれる。
本発明では、上述した成分以外に例えば、チョコレート、抹茶、卵加工品、香料、着色料及び保存料等を適宜選択して加えることができる。
<起泡済み食材の製造工程>
本発明の起泡済み食材は、以下の工程により製造できる。
(A)果実加工品をクリーム状食品に加えて起泡させる工程
(B)起泡後のクリームを成型する工程
以下、(A)及び(B)の各工程について詳しく説明する。
本発明の起泡済み食材は、以下の工程により製造できる。
(A)果実加工品をクリーム状食品に加えて起泡させる工程
(B)起泡後のクリームを成型する工程
以下、(A)及び(B)の各工程について詳しく説明する。
工程(A):
クリーム状食品に果実加工品を加える。このとき、起泡前の状態で、クリーム状食品の体積の2%以上の果実加工品を加えることが望ましい。この割合で果実加工品を加えることにより、起泡後のクリームでは、長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても顕著な効果を得ることができる。果実加工品の割合がクリーム状食品の体積の2%未満の場合、加えられるペクチン、オリゴ糖及びクエン酸などの量が少なく、十分な効果が得られない。
クリーム状食品に果実加工品を加える。このとき、起泡前の状態で、クリーム状食品の体積の2%以上の果実加工品を加えることが望ましい。この割合で果実加工品を加えることにより、起泡後のクリームでは、長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても顕著な効果を得ることができる。果実加工品の割合がクリーム状食品の体積の2%未満の場合、加えられるペクチン、オリゴ糖及びクエン酸などの量が少なく、十分な効果が得られない。
後述する通り、果実の水分を除去して固形分40質量%とした果実加工品において、起泡前の状態でクリーム状食品の体積の2%以上の果実加工品を加えれば、起泡後のクリームの長時間の形状維持及び離水抑制のいずれについても特に良好な効果が得られることを確認している。更に、本発明では必要に応じ、糖類やチョコレート等を適宜加えることができる。
次に、クリーム状食品及び果実加工品の混合物を起泡させる。果実加工品に含まれるペクチンやオリゴ糖の作用により、果実加工品を加えない場合に比べ、短時間で容易に起泡させることができる。
工程(B):
起泡させたクリームを成形する。例えば、クリームを容器に盛り付け、あるいは、口金を使ってクリームの搾り出しを行う。工程(A)及び(B)により製造される菓子の例としては、ケーキ、ムース、パフェ、アイスクリーム、ソフトクリームなどがある。
起泡させたクリームを成形する。例えば、クリームを容器に盛り付け、あるいは、口金を使ってクリームの搾り出しを行う。工程(A)及び(B)により製造される菓子の例としては、ケーキ、ムース、パフェ、アイスクリーム、ソフトクリームなどがある。
本発明によれば、成形後のクリームの形状を室温で長時間維持することができる。また、冷解凍時のクリームの離水を抑制することができるので、成形した後のクリームを冷凍保存することができる。具体的には、クリームをデコレーションした状態の菓子を長期保存することができる。更に、クリームの冷解凍を繰り返したとしてもクリームの離水が抑制されるので、流通時の温度管理が容易になる。なお、本発明では、起泡後のクリームを成形する工程は必須ではなく、省略することができる。
(実施例1)
(実施例1)
イチゴを煮詰めてから搾汁し、イチゴ果汁を生成し、更に加熱して濃縮し、固形分65質量%のイチゴ濃縮果汁を得た。固形分20〜30質量%の純乳脂肪の生クリーム100mlに対し、このイチゴ濃縮果汁5mlと砂糖100gとを加え、イチゴ濃縮果汁のだまがなくなるまで混ぜ合わせ、更に起泡させてイチゴクリームを得た。起泡させたクリームを静置すると、つのが立つ程度の固さになった。
図1は、このイチゴクリームを使用したケーキのデコレーションの一例を示した写真である。このイチゴクリームは、成形が容易であり、図1の様なデコレーションが可能であった。更に、口どけも良好であり、イチゴ濃縮果汁の甘酸っぱさがわずかにあって良好な味であった。
図2は、イチゴ濃縮果汁の分量とイチゴクリームの室温での形状維持及び冷解凍時の離水抑制の効果との関係を評価した図である。評価対象となるイチゴクリームは、イチゴ濃縮果汁の量を0ml〜50mlの範囲で変更し、それ以外は上述したイチゴクリームと同一の配合及び製法で作製したものを用いた。保形性の評価は、イチゴクリームを室温で7時間静置し、イチゴクリームの形状の変化を目視で確認することにより行った。保形性の評価は、形状変化なし、わずかに形状変化あり、形状変化目立つの3段階で行った。また、離水の評価は、作製したイチゴクリームを−18度以下で冷凍した後に冷蔵環境で解凍し、形状の変化を目視で確認することにより行った。離水の評価は、離水なし、わずかに離水あり、離水多いの3段階で行った。イチゴクリームの味は、生クリーム100mlに対し、イチゴ濃縮果汁を1ml〜15ml加えたものでは、生クリームにイチゴの酸味が加わり、良好な味であった。生クリーム100mlに対し、イチゴ濃縮果汁を20ml〜50ml加えたものでは、イチゴの酸味が強くなった。
作製したイチゴクリームの保形性の評価は以下の様になった。生クリーム100mlにイチゴ濃縮果汁を4ml〜7ml加えたものでは、起泡後のイチゴクリームに形状の変化がなく、特に良好な形状維持の効果が確認できた。また、イチゴ濃縮果汁を1ml又は2ml加えたもの、すなわち、体積比でそれぞれ生クリームの1%又は2%を加えたものでは、イチゴクリームの形状の変化がわずかに見られたが、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べ、クリームの形状を維持する効果があることが確認できた。これに対し、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものでは、イチゴクリームに形状の変化が目立ち、形状を維持することができなかった。イチゴ濃縮果汁を10ml〜50ml加えたもの、すなわち、体積比で生クリームの10%〜50%を加えたものでは、イチゴクリームの比重が大きくなって起泡しにくくなり、イチゴクリームの形状の変化がわずかに見られたが、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べ、クリームの形状を維持する効果があることが確認できた。つまり、体積比で1%〜50%となる様に、生クリームに対し、イチゴ濃縮果汁を加えて起泡することが望ましいことがわかる。
また、作製したイチゴクリームを冷解凍し、形状と味を確認した。生クリーム100mlにイチゴ濃縮果汁を4ml〜10ml加えたものでは、解凍時に形状の変化がなく、良好な離水抑制の効果が確認された。味も良好であり、冷凍前と比べて味の変化は見られなかった。これに対し、生クリーム100mlにイチゴ濃縮果汁を1ml又は2ml加えたものでは、解凍時にわずかに形状の変化が見られたが、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものに比べ、離水を抑制する効果が確認できた。また、生クリーム100mlにイチゴ濃縮果汁15ml〜50mlを加えたものでは、解凍時にわずかに形状の変化がみられたが、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものに比べ、離水を抑制する効果が確認できた。
(実施例2)
(実施例2)
実施例1のイチゴ濃縮果汁を水で希釈することにより、固形分13質量%及び固形分39質量%のイチゴ濃縮果汁を得た。
図3は、イチゴ濃縮果汁の分量とイチゴクリームの室温での形状維持、冷解凍時の離水抑制の効果及びイチゴクリームの味の関係を評価した図である。評価対象となるイチゴクリームは、固形分13質量%及び固形分39質量%のイチゴ濃縮果汁の量を2ml〜50mlの範囲で変更し、それ以外は実施例1のイチゴクリームと同一の配合及び製法で作製したものを用いた。保形性の評価は、イチゴクリームを室温で7時間静置し、イチゴクリームの形状の変化を目視で確認することにより行った。保形性の評価は、イチゴ濃縮果汁を加えない場合に比べ、形状変化が抑制されているか否かの2段階で行った。また、離水の評価は、作製したイチゴクリームを−18度以下で冷凍した後に冷蔵環境で解凍し、形状の変化を目視で確認することにより行った。離水の評価は、イチゴ濃縮果汁を加えない場合に比べ、冷解凍時の形状の変化が抑制されているか否かの2段階で行った。また、イチゴクリームの味を評価した。
作製したイチゴクリームの保形性の評価は以下の様になった。生クリーム100mlに対して、固形分13質量%のイチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えたものでは、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、常温での形状変化を抑制する効果は確認できなかった。生クリーム100mlに対して、固形分39質量%のイチゴ濃縮果汁を2ml、5ml又は50ml加えたもの、すなわち、体積比でそれぞれ生クリームの2%、5%又は50%を加えたものでは、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、それぞれ常温での形状変化を抑制する効果が確認できた。
また、作製したイチゴクリームの離水の評価は以下の様になった。生クリーム100mlに固形分13質量%のイチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えたものでは、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、冷解凍時の形状変化を抑制する効果は確認できなかった。生クリーム100mlに固形分39%のイチゴ濃縮果汁を2ml、5ml又は50ml加えたものでは、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、冷解凍時の形状の変化を抑制する効果が確認できた。
作製したイチゴクリームの味の評価は以下の様になった。生クリーム100mlに固形分13質量%のイチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えたものでは、通常の生クリームと同じ味であった。生クリーム100mlに固形分39%のイチゴ濃縮果汁を2ml、5ml又は50ml加えたものでは、生クリームにイチゴの酸味が加わり、良好な味であった。
(実施例3)
(実施例3)
実施例2の固形分13%のイチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えると共に、更にクエン酸を少量加え、それ以外は実施例1のイチゴクリームと同一の配合及び製法でイチゴクリームを作製し、実施例2と同じ方法により、保形性、離水及び味を評価した。このイチゴクリームは、イチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えたもののいずれについても、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、常温での形状変化を抑制する効果が確認できた。また、イチゴ濃縮果汁を5ml又は10ml加えたもののいずれについても、イチゴ濃縮果汁を加えなかったものと比べて、冷解凍時の形状の変化を抑制する効果が確認できた。しかしながら、このイチゴクリームはいずれも酸味が強過ぎて、味は良くなかった。
つまり、固形分13%のイチゴ濃縮果汁を使用したイチゴクリームであっても、クエン酸を加えてたんぱく質を固めることにより、常温での形状維持及び冷解凍時の離水抑制のいずれについても良好な効果を得ることができたが、酸味がきつくなり、味は良くなかった。これに対し、固形分39%又は65%のイチゴ濃縮果汁を使用したイチゴクリームは、クエン酸を加えなくても常温での形状維持及び冷解凍時の離水抑制のいずれについても良好な効果を得ることができる。従って、生クリームにイチゴの酸味が加わった良好な味が得られる。
イチゴ濃縮果汁を使用した場合の上記効果は、イチゴ濃縮果汁の固形分比率が高くなるほど良好となる。従って、実施例1〜3の実験結果から、固形分40%以上のイチゴ濃縮果汁を使用すれば、常温での形状維持及び冷解凍時の離水抑制のいずれについても良好な効果を得ることができ、イチゴの酸味が加わった風味の良好な生クリームが得られることがわかる。
(変形例1)
(変形例1)
上記各実施例の変形例として、果実加工品の代わりに、α化した澱粉を用いる形態を説明する。果実加工品の代わりに、α化した澱粉を用いても、上記と同様に、起泡済み食材の形状を常温で長時間維持することができる。
α化した澱粉の具体例として、タピオカを用いた実施例を説明する。本変形例では、市販のソフトミックス(乳脂肪のクリーム成分)100gに対し、タピオカ粉10gと、水100gとを加え、だまがなくなるまで混ぜ合わせ、更に起泡させてクリーム(図4)を得た。これを冷凍庫に静置すると、アイスクリーム状になった。
α化した澱粉の具体例として、タピオカを用いた実施例を説明する。本変形例では、市販のソフトミックス(乳脂肪のクリーム成分)100gに対し、タピオカ粉10gと、水100gとを加え、だまがなくなるまで混ぜ合わせ、更に起泡させてクリーム(図4)を得た。これを冷凍庫に静置すると、アイスクリーム状になった。
図5は、タピオカの分量とクリームの冷凍時の食感との関係を評価した図である。評価対象となるクリームは、タピオカの量を5g又は3gで変更し、それ以外は上述したクリームと同一の配合及び製法で作製したものを用いた。食感の評価は、クリームにスプーンを入れて確認することにより行った。
作製したクリームの食感は以下の様になった。図5に示すように、ソフトミックス(粉)100gにタピオカを5g加えたものでは、冷凍庫に入れて2時間経過後で、なめらかに冷え固まり食べ頃となり、5時間経過後で、スプーンがやや入りにくい固さまで固まり、6時間経過後で、スプーンの入らない固さで、お餅のような食感がでてきた。冷凍庫に入れて20時間経過後では、固くてすぐに食べられる状態ではなくなったが、水分はほとんどでていない。
一方、ソフトミックス(粉)100gにタピオカ粉を3g加えたものでは、冷凍庫に入れて2時間経過後では、まだやわらかく固まっていない。そして、3時間経過後で、なめらかに冷え固まり食べ頃となり、4時間経過後で、ちょうどよい固さになった。6時間経過後では、スプーンの入らない固さで、お餅のような食感がでて、20時間経過後で、固くてすぐに食べられる状態ではなくなったが、水分はほとんどでていない。
一方、ソフトミックス(粉)100gにタピオカ粉を3g加えたものでは、冷凍庫に入れて2時間経過後では、まだやわらかく固まっていない。そして、3時間経過後で、なめらかに冷え固まり食べ頃となり、4時間経過後で、ちょうどよい固さになった。6時間経過後では、スプーンの入らない固さで、お餅のような食感がでて、20時間経過後で、固くてすぐに食べられる状態ではなくなったが、水分はほとんどでていない。
図6は、作製したクリームを冷解凍したときの状態変化を示す。ソフトミックス(粉)100gにタピオカ粉を10g加えたものでは、室温に15分間静置しても解けない。30分間室温に静置すると、図4の状態に戻る。
なお、ソフトミックス(粉)100g、タピオカ粉10gに対して、さらにイチゴ濃縮果汁2gを加えてもよい。
(変形例2)
なお、ソフトミックス(粉)100g、タピオカ粉10gに対して、さらにイチゴ濃縮果汁2gを加えてもよい。
(変形例2)
上記各実施例及び変形例のさらなる変形例として、高温高圧でイチゴから濃縮果汁を抽出して、クリーム状食品の保形性をさらに向上させた例を説明する。変形例2では、1.5気圧以上3.0気圧以下の高圧下で、イチゴを150℃以上250℃以下に加熱して、濃縮果汁を抽出する。より具体的には、1.9気圧以上2.2気圧以下の高圧下で、イチゴを190℃以上210℃以下で煮詰めた後に不溶成分を除去して、濃縮果汁を抽出する。
このように抽出されたイチゴの濃縮果汁を、クリーム状食品に対し、体積比で1%以上かつ10%未満となるように加えて起泡させる。
起泡した混合物を成形し、冷凍することにより、保形性の高いアイスクリーム様食品が製造される。
図7(A)は、変形例2により保形性が高められたアイスクリーム様食品(加温前)の写真であり、図7(B)は、図7(A)のアイスクリーム様食品を40℃で3時間加温したものの写真である。なお、本図のアイスクリーム様食品は、2気圧下において180℃で煮詰めたイチゴから不溶成分を除去して濃縮果汁を抽出し、抽出された濃縮果汁をソフトミックスに混合して起泡させ冷凍したものである。
図7(B)からわかるように、夏の室温に3時間放置しても、形状が保たれている。高圧抽出することにより不要成分の食物繊維がしっかりと分解して取り除くことにより、機能性が高まったものと考えられる。
(変形例3)
このように抽出されたイチゴの濃縮果汁を、クリーム状食品に対し、体積比で1%以上かつ10%未満となるように加えて起泡させる。
起泡した混合物を成形し、冷凍することにより、保形性の高いアイスクリーム様食品が製造される。
図7(A)は、変形例2により保形性が高められたアイスクリーム様食品(加温前)の写真であり、図7(B)は、図7(A)のアイスクリーム様食品を40℃で3時間加温したものの写真である。なお、本図のアイスクリーム様食品は、2気圧下において180℃で煮詰めたイチゴから不溶成分を除去して濃縮果汁を抽出し、抽出された濃縮果汁をソフトミックスに混合して起泡させ冷凍したものである。
図7(B)からわかるように、夏の室温に3時間放置しても、形状が保たれている。高圧抽出することにより不要成分の食物繊維がしっかりと分解して取り除くことにより、機能性が高まったものと考えられる。
(変形例3)
保形成分として、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉に由来するペクチンを用いてもよい。より好ましくは、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉の1種類のみを採用する。すなわち、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉から抽出された抽出物が、保形成分の主成分となり、97質量%以上を占めることが好ましい。なお、ゼラチン等の増粘剤が添加されてもよい。
単一種類のペクチン含有抽出物を採用することにより、保形性のコントロールが容易になる。
単一種類のペクチン含有抽出物を採用することにより、保形性のコントロールが容易になる。
Claims (7)
- 米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉に由来する保形成分を、クリーム状食品に混合して起泡させる起泡ステップと、
起泡した混合物を成形する成形ステップと、
成形した混合物を冷凍する冷凍ステップと
を有する起泡済み冷凍食材の製造方法。 - 1.5気圧以上3.0気圧以下の高圧下で、イチゴを150℃以上250℃以下に加熱して、濃縮果汁を抽出する抽出ステップと、
クリーム状食品に対し、体積比で1%以上かつ10%未満となるように、抽出された濃縮果汁を加えて起泡させる起泡ステップと、
起泡した混合物を成形する成形ステップと、
成形した混合物を冷凍する冷凍ステップと
を有する起泡済み冷凍食材の製造方法。 - 前記保形成分には、米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉の1種類から抽出された抽出物が97質量%以上含まれている
請求項1に記載の冷凍食材の製造方法。 - 前記濃縮果汁は、1.9気圧以上2.2気圧以下の高圧下で、イチゴを190℃以上210℃以下で煮詰めた後に不溶成分を除去されたものである
請求項2に記載の起泡済み冷凍食材の製造方法。 - 前記起泡ステップにおいて、体積比で4%以上の前記濃縮果汁を加える
請求項4に記載の起泡済み冷凍食材の製造方法。 - 1.5気圧以上3.0気圧以下の高圧下で、イチゴを150℃以上250℃以下に加熱して抽出された濃縮果汁と、
クリーム状食品とを
混合し起泡してなる起泡済み食材 - 米粉、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯デンプン、又は小麦粉に由来する保形成分と、
クリーム状食品とを
混合し起泡してなる起泡済み食材
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021106044A1 (ja) * | 2019-11-25 | 2021-06-03 | Fulllife株式会社 | 起泡済み食材及びその製造方法 |
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-
2018
- 2018-03-29 JP JP2018065211A patent/JP2019170330A/ja active Pending
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