JP2017018066A - パフ状はちみつの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】はちみつ特有の風味とサクサクとした軽い食感を有し、かつ口溶けの良いパフ状はちみつ及びその製造方法の提供。【解決手段】はちみつと粉末とを80度以下で混合した、水分含量が9.5〜12.0重量%の混合物に、混合物100重量%に対し、油脂含量が5重量%以下添加し、成型、減圧乾燥により膨化させる、水分含量が5重量%以下であるパフ状はちみつ、及びその製造方法。はちみつ固形分1重量部に対し、粉末0.45〜0.88重量部を含む乾燥膨化はちみつであるパフ状はちみつ。【選択図】なし

Description

本発明は、パフ状はちみつ及びその製造方法に関する。
はちみつは、通常、液体状のため、そのままでは食べ難く、パン等にかけるといったトッピング用途や、何かに混ぜて使用されている。一方、加熱後に真空濃縮して固形状にした固形はちみつも知られているが、ハードキャンディーのため、硬く、サクサクした食感のものではない(特許文献1及び2)。
特開平02−207762号公報 特表2012−514984号公報
本発明は、はちみつ特有の風味とサクサクとした軽い食感を有し、かつ口溶けの良いパフ状はちみつ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、はちみつと粉末とを混合したものを減圧乾燥することにより、はちみつ特有の風味と口溶けの良さを併せ持ち、適度なかたさを有することで壊れ難く、サクサクとした軽い食感を有する、パフ状はちみつを製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の態様に係る。
[態様1]
はちみつと粉末とを含み、水分含量が9.5〜12.0重量%である混合物を、成型し、減圧乾燥により膨化させることを特徴とする、パフ状はちみつの製造方法。
[態様2]
水分含量16.5重量%のはちみつを使用する場合に、はちみつ1重量部に対して粉末0.38〜0.74重量部を混合することを特徴とする、態様1記載のパフ状はちみつの製造方法。
[態様3]
混合物を100重量%とした場合に、油脂含量が5重量%以下である、態様1又は2記載の製造方法。
[態様4]
はちみつと粉末とを80度以下で混合する、態様1〜3の何れかに記載の製造方法。
[態様5]
はちみつ固形分1重量部に対して粉末0.45〜0.88重量部を含む乾燥膨化はちみつであって、該はちみつを100重量%とした場合に、油脂含量が5重量%以下、水分含量が5重量%以下であることを特徴とする、パフ状はちみつ。
本発明の製造方法は、煩雑な工程が無く、簡便である。更に、はちみつを高温に維持しなくて良いため、風味や栄養素を失い難く、はちみつ特有の風味と口溶けの良さを併せ持つパフ状はちみつが得られる。更に、適度なかたさを有することで壊れ難くサクサクとした軽い食感を有する新たな食感のはちみつを提供できる。また、膨化させるため、得られるパフ状はちみつは丸みを帯びた形状で、見た目にも優れた新たな形状のはちみつを提供できる。
本発明は、はちみつと粉末とを含む混合物が水分含量9.5〜12.0重量%であれば良く、好ましくは9.7〜11.3重量%、より好ましくは10.0〜11.0重量%である。該水分含量であれば、減圧乾燥により膨化させることができ、適度なかたさを有し、壊れ難くかつサクサクとした軽い食感を有する、パフ状はちみつを製造できる。尚、該水分は、原料中の水分から計算により算出する。
本発明では、水分含量16.5重量%のはちみつを使用する場合には、はちみつ1重量部に対して粉末を0.38〜0.74重量部用いるのが好ましく、0.46〜0.70重量部がより好ましい。水分含量がX重量%のはちみつを使用する場合には、はちみつ1重量部に対して混合する粉末(重量部)を好ましくは下記数式(数1)により算出でき、より好ましくは下記数式(数2)により算出できる。例えば、水分含量20.0重量%のはちみつを使用する場合には、はちみつ1重量部に対して粉末を0.67〜1.11重量部用いるのが好ましく、0.77〜1.06重量部がより好ましい。尚、水分含量が16.5重量%未満のはちみつを用いる場合には、水分を添加して水分含量16.5重量%に調整したはちみつを用いても良い。
Figure 2017018066
Figure 2017018066
本発明では、水分含量16.5重量%のはちみつを使用する場合には、混合物を100重量%とした場合に、はちみつを58〜73重量%含むことが好ましく、59〜68重量%含むことがより好ましい。
本発明に用いる粉末は、はちみつと混合して膨化はちみつができる粉末であれば特に限定されず、デキストリン等の多糖類、乳糖等の二糖類若しくはグルコース等の単糖類といった糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール等の糖アルコール、粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、チーズパウダー、キャラメルパウダー等の乳製品パウダー、ココア、抹茶若しくはコーヒー粉末、又はブルーベリー、ストロベリー等の果汁粉末が例示でき、混合して用いても良い。好ましくは糖類、より好ましくは多糖類又は二糖類、更に好ましくはデキストリン又は乳糖である。更に、アーモンド、マカダミアナッツ、カシューナッツ等のナッツ類、米、麦、コーン等からなるパフ類、ケーキ、クラム、クッキー等の焼き菓子又はトマト、イチゴ、ブドウ、プルーン、アンズ等の乾燥野菜若しくは乾燥果実又は茶葉等の粉砕品を混合しても良い。更に、水分含量が前記の範囲内であれば液体を添加しても良い。また、香料、油脂類及び/又は色素を混合しても良い。混合物中の油脂含量は混合物全体を100重量%とした場合に、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。油脂分を多く含まないため、カロリーを抑えられ、風味が良く、またサクサクとした軽い食感を有するパフ状はちみつを得られる。
本発明では、混合は常圧下で行い、はちみつと粉末とが均一に混合できるように、はちみつの流動性が上がる程度に加温しても良い。温度は85度以下が好ましく、80度以下がより好ましい。100度以上の加熱は、混合物の水分が蒸発するためパフ状はちみつが得られ難くなり、更にはちみつの成分や栄養素が変性し、香りや風味も損なわれる。
本発明では、混合物を成型し、減圧乾燥する。型に入れて減圧乾燥しても良く、型に入れて固形化した固形化混合物を型から出した状態で減圧乾燥しても良く、更に固形化混合物をカットや粉砕して減圧乾燥しても良い。固形化混合物を型から出して減圧乾燥するのが好ましい。固形化は、冷却により固形化でき、混合物の水分含量によって、固形化温度を設定できる。好ましくは0度以下、より好ましくは−10度以下、更に好ましくは−15度以下、特に好ましくは−20度以下である。
本発明では、通常の減圧乾燥で乾燥すれば特に限定されないが、減圧乾燥前に予備凍結しても良く、真空凍結乾燥で乾燥しても良い。乾燥は密閉系にて減圧乾燥し、減圧時の密閉系内の気圧は好ましくは250Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。250Paよりも気圧が高いと膨化し難くなり、丸みを帯びた形状にならない。品温は−25〜15度が好ましく、−20〜−5度がより好ましい。乾燥後の水分は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1.5重量%以下である。減圧乾燥することで、膨化したパフ状はちみつが得られる。
本発明は、はちみつ固形分1重量部に対して粉末0.45〜0.88重量部を含む、乾燥膨化はちみつであって、パフ状はちみつである。好ましくは、はちみつ固形分1重量部に対して粉末0.46〜0.70重量部を含む。該パフ状はちみつを100重量%とした場合に、油脂含量は5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%である。また、該パフ状はちみつを100重量%とした場合に、水分含量は5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1.5重量%以下である。パフ状はちみつは、前記組成のため、適度なかたさを有し、壊れ難く、サクサクとした軽い食感を有する。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、各原料及び素材の%は別記がない限り全て重量%である。
[実施例1]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン30gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型から取り出した固形化混合物をトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、パフ状はちみつを得た。これを実施品1とした。実施品1の水分含量は1.2重量%だった。尚、実施品1の水分含量は減圧乾燥法により測定した。
[実施例2]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン25gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型から取り出した固形化混合物をトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、パフ状はちみつを得た。これを実施品2とした。
[実施例3]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン20gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型に入れたままトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、パフ状はちみつを得た。これを実施品3とした。
[比較例1]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン40gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型から取り出した固形化混合物をトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、ほとんど膨化していないブロック状はちみつを得た。これを比較品1とした。
[比較例2]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン35gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型から取り出した固形化混合物をトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、ほとんど膨化していないブロック状はちみつを得た。これを比較品2とした。
[比較例3]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン15gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型に入れたままトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、膨化したパフ状はちみつを得た。これを比較品3とした。
[比較例4]
水分含量16.5重量%のはちみつ45gを80℃まで加熱した後、デキストリン10gを加え、均一になるまで混合し、混合物の一部を3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型に入れたままトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥し、膨化したパフ状はちみつを得た。これを比較品4とした。
[比較例5]
水分含量16.5重量%のはちみつのみを3.6mL容の型に入れ、−20度の冷凍庫で冷却した。型に入れたままトレイに載せて密閉真空容器に入れ、常法により減圧乾燥したが、型からこぼれてトレイの底で平面状に乾燥され、立体的な形状を成さない乾燥はちみつを得た。これを比較品5とした。
[評価試験1]
前記の実施例で得られた実施品1〜3、並びに比較例で得られた比較品1〜4について、膨化度、壊れ難さ及び食感を評価し、結果を表1に示した。膨化度の評価は、○:「膨化して丸みを帯びている」、△:「ほとんど膨化せずブロック型」、×:「立体的な形状を成さない」とし、壊れ難さの評価は、○:「指でつまんでも形状を維持できるかたさ」、×:「指でつまむと壊れ、脆い」、−:「評価不能」とし、食感の評価は、○:「サクサクとした軽い食感」、△:「柔らかくサクサク感無し」、×:「バリバリとした硬い食感」、−:「評価不能」とした。
実施品1〜3、比較品1〜5の原料の重量(g)、比率(重量部)、割合(%)、混合物中の水分(%)及び固形分比率(重量部)、並びに評価結果を表1に示した。
Figure 2017018066
実施品1〜3は膨化して丸みを帯びた形状で、かつ指でつまんでも形状を維持できるかたさがあり、更に適度なかたさのため、食感もサクサクとした軽い食感であり、口溶けも良かった。一方、比較品1及び2は、ほとんど膨化せずブロック状で、パフ状はちみつではなく、更に指でつまんでも形状を維持できるかたさだが、硬過ぎるため、サクサクとした軽い食感ではなく、食感は硬いせんべいのようにバリバリとしており、口溶けも悪かった。また、比較品3及び4は、膨化して丸みを帯びた形状だが、柔らか過ぎるため指でつまむと壊れ、脆く、更にサクサクとした食感も無かった。比較品5は、そもそも立体的な形状を成さなかった。尚、何れの乾燥はちみつも、高温で処理していないため、はちみつ特有の風味を有していた。
実施例1〜3では、はちみつと粉末とを適度な比率で混合し、混合物中の水分が適度な量だったため、減圧乾燥により膨化でき、かつ、壊れ難い形状であって、サクサクとした軽い食感を有するパフ状はちみつを得ることができた。一方、比較例1及び2では、混合する粉末が多く、水分が8.7重量%、9.3重量%と少な過ぎ、水分が足りなかったため、減圧乾燥により膨化できず、本発明のパフ状はちみつが得られなかった。また、比較例3及び4では、混合する粉末が少なく、水分が12.4重量%、13.5重量%と多過ぎたため、減圧乾燥により膨化しても、脆く、サクサクとした食感もなかった。また、比較例5では、はちみつのみだったため、水分が16.5重量%もあり、上手く減圧乾燥できなかった。
つまり、はちみつと粉末とを混合して、水分含量が9.5〜12.0重量%である混合物を減圧乾燥することで、重曹等の膨化剤無しでも簡便に、はちみつ特有の風味と口溶けの良さを併せ持ち、適度なかたさを有し、壊れ難く、サクサクとした軽い食感を有する、本発明のパフ状はちみつが得られることが分かった。また、乾燥膨化はちみつが、はちみつ固形分1重量部に対して粉末0.45〜0.88重量部を含むことで、適度なかたさを有し、壊れ難く、サクサクとした軽い食感を有するパフ状はちみつであることが分かった。

Claims (5)

  1. はちみつと粉末とを含み、水分含量が9.5〜12.0重量%である混合物を、成型し、減圧乾燥により膨化させることを特徴とする、パフ状はちみつの製造方法。
  2. 水分含量16.5重量%のはちみつを使用する場合に、はちみつ1重量部に対して粉末0.38〜0.74重量部を混合することを特徴とする、請求項1記載のパフ状はちみつの製造方法。
  3. 混合物を100重量%とした場合に、油脂含量が5重量%以下である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. はちみつと粉末とを80度以下で混合することを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. はちみつ固形分1重量部に対して粉末0.45〜0.88重量部を含む乾燥膨化はちみつであって、該はちみつを100重量%とした場合に、油脂含量が5重量%以下、水分含量が5重量%以下であることを特徴とする、パフ状はちみつ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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