JP2019170268A - 即席麺用の栄養補助食品 - Google Patents

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敦司 高岡
Atsushi Takaoka
敦司 高岡
匠 奥田
Takumi Okuda
匠 奥田
行央 平野
Yukio Hirano
行央 平野
侑里 内田
Yuri Uchida
侑里 内田
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Abstract

【課題】即席麺において炭水化物の成分を補助しつつ、必要に応じて他の栄養成分も補充できる形態の栄養補助食品を開発することを課題とする。【解決手段】即席麺に対して所定の栄養成分を補助するための栄養補助食品として、澱粉又はデキストリン溶液に必要に応じて各種栄養成分を加え、所定形状に成型した後に凍結乾燥することにより製造される即席麺用の栄養補助食品。また、当該即席麺が即席カップ麺である場合、好適に利用することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、即席麺用の栄養補助食品に関するものである。
即席麺は簡便に調理できて喫食できる優れた加工食品である。即席麺には袋入り即席麺とカップ入り即席麺(即席カップ麺)があるが、一般的には生麺をα化した後に所定形状に乾燥して製造した麺塊を利用する。ここで、乾燥方法には、熱風乾燥とフライ乾燥(油熱乾燥)があるが、特にフライ乾燥の場合、フライ処理後に得られる麺塊がフラオイル由来の脂質を多く含むという特徴を有している。
このような即席麺を食品として考えた場合、当該成分のタンパク質、脂質、炭水化物の割合(PFCバランス)やその他のミネラルや減塩の点において、より調整したものとするニーズも考えられるところである。
特にフライ処理によって得られる麺塊(フライ麺塊)に考えると、脂質が多いという特徴を有しており、タンパク質・脂質・炭水化物のPFCバランス割合においては炭水化物が不足するという傾向を有していた。
すなわち、即席麺の栄養補助を一日のエネルギーに必要な栄養成分をバランスよく混合するという観点からは、フライ処理された麺塊を利用する即席麺の場合、炭水化物を
補助する必要があることを見出した。さらに言えば、当該炭水化物成分を補助しつつ、必要に応じて他の栄養成分も補充できる態様であることが好ましい。このような観点に関連する先行技術としては、以下の先願特許が例として挙げられる。
特開2001−309757
しかし、上述の先願特許は、即席麺に不足しがちなビタミン類、ミネラル類及び食物繊維を、簡便かつ充分に補えるタイプの技術であり、炭水化物の成分を補助するタイプのものではない。
そこで、本発明者らは、即席麺において炭水化物の成分を補助しつつ、必要に応じて他の栄養成分も補充できる形態の栄養補助食品を開発することを課題とした。
鋭意研究の結果、本発明者らは、即席麺に対して所定の栄養成分を補助するための栄養補助食品として、澱粉又はデキストリン溶液に必要に応じて各種栄養成分を加え、所定形状に成型した後に凍結乾燥することにより製造される即席麺用の栄養補助食品を開発した。当該栄養補助食品を利用することで、即席麺の喫食時に同時に利用することで炭水化物成分を補助できることを見出し、本発明を完成させたのである。
すなわち、本願の第一の発明は、
「即席麺に対して所定の栄養成分を補助するための栄養補助食品であって、当該栄養補助食品は、澱粉又はデキストリン溶液に必要に応じて各種栄養成分を加え、所定形状に成型した後に凍結乾燥することにより製造される即席麺用の栄養補助食品。」、である。
次に、本発明の栄養補助食品は、即席麺のうち、即席カップ麺に好適に利用することができる。
すなわち、本願第二の発明は、
「前記即席麺が即席カップ麺である請求項1に記載の即席麺用の栄養補助食品。」、である。
次に、本発明の栄養補助食品には、畜肉エキス、魚介エキス、IMP、GMP、グルタミン酸ナトリウム等の各種スープ成分や畜肉系、魚介類、野菜等の具材等を含有させることができる。
すなわち、本願第三の発明は、
「前記栄養補助食品が、即席麺におけるスープ成分及び/又は具材成分を含有する即席麺用の栄養補助食品である請求項1又は2に記載の栄養補助食品。」、である。
次に、本発明の栄養補助食品は、円盤形状とすることが可能である。
すなわち、本願第四の発明は、
「前記所定形状が円盤状である請求項1〜3のいずれかに記載の即席麺用栄養補助食品。」、である。
次に、本発明の栄養補助食品は、即席麺に収納して即席麺の製品とすることも勿論可能である。
すなわち、本願第五の発明は、
「請求項1〜4のいずれかに記載の即席麺用の栄養補助食品を収納した即席麺。」、である。
本発明の栄養補助食品の第一実施態様の斜視図(写真)である。 本発明の栄養補助食品を収納した即席カップ麺の斜視図(写真)である。
以下に本発明の実施例について記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
─即席麺─
本発明でいう即席麺とは、カップ麺、袋麺のいずれのタイプも含む。但し、特に即席カップ麺において好適に利用することができる。
ここで、即席カップ麺とは、紙又はプラスチック製等の容器内に乾燥された麺塊とスープ、及び必要に応じて具材又は具材パックが収納された即席カップ麺に関するものである。通常、熱湯を注加して調理し、所定時間経過後に喫食可能となるタイプに関するものである。
また、袋麺とは、通常鍋等を利用して、加熱調理してから喫食するタイプに関するものである。
次に、即席麺に利用される麺塊の乾燥方法としては、油揚げにより乾燥する油熱乾燥によるフライ麺と、熱風乾燥により乾燥する熱風乾燥麺がある。本発明はいずれの乾燥麺塊を使用する場合でも適用できるが、特に、フライ麺塊を使用する場合に好適に利用することができる。
─即席麺用の栄養補助食品─
本発明おける栄養補助食品は即席麺に利用可能であり、当該即席麺の栄養を補助する栄養補助食品に関するものであるが、本発明においては炭水化物を補助する栄養補助食品を意図している。
尚、本発明においては栄養補助食品の名称を用いているが、当該“栄養補助食品”にはいわゆる即席麺におけるスープ成分や具材成分の概念も含めるものとすることは勿論である。
─澱粉又はデキストリン─
本発明で利用できる澱粉には、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、かんしょ澱粉、コーンスターチ等の様々なタイプを利用するができる。また、上述の各種澱粉を化学的又は所定の酵素で処理したデキストリンについても利用することができる。
デキストリンについては、低分子化の程度によって区分けされており、デキストロース当量(DE: dextrose equivalent)と呼ばれる、デンプンの糖化率を示す数値により分類される。
本発明については、上記の澱粉又はデキストリンのいずれも利用することができる。
また、でん粉をベース原料とすると、本栄養補助食品を喫食時にスープに粘度を生じるため、調理後の即席麺の製品形態において粘度を下げたいのであれば、DE2〜20程度のデキストリンが好ましい。
また、さらに粘度を低下する必要がある場合には、クラスターデキストリン(登録商標)を使用することが好ましい。
これらのデキストリンを使用することで粘度の上昇させることなく、即席麺における炭水化物成分を好適に補充することができる。
クラスターデキストリンは、澱粉のアミロペクチンのクラスター構造を有しつつ、従来のデキストリンと比べて、冷水に良く溶ける、老化しにくい、甘みが少ない、粘度が少ないなどの特性を有する。クラスター デキストリンは、コーンスターチ等の澱粉に、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造される。
─所定形状に成型した後に凍結乾燥する─
本発明の栄養補助食品の製造においては、上述の澱粉又はデキストリンをベースの原料として当該澱粉又はデキストリンを溶解させた溶液を所定形状の型枠に流し込み成型した後、当該型枠のまま凍結乾燥することによって製造することができる。
具体的な製造方法としては、上述の澱粉又はデキストリンを水又は熱湯に溶解するか、水に徐々に添加した後に加熱する方法も可能である。
ここで澱粉又はデキストリンの濃度としては、5重量%〜40重量%が好適である。さらに、7重量%〜30重量%がより好ましい。もっとも好ましくは10重量%〜20重量%である。
型枠については、種々の形状が可能である。型枠の形状に応じて、凍結乾燥後に得られる栄養補助食品を所定の形状にすることができる。具体的には直方体状、円盤状等の種々の形状が可能であるが、本発明において即席カップ麺に対する栄養補助食品とする場合においては、当該カップ状形状に収納可能とするため、円盤状の形状にすることが好ましい。
次に、サイズについては例えば、直方体状であれば、縦又は横の長さが30mm〜100mm程度が可能であり、厚みについては10mm〜40mm程度が一般的である。
また、円盤状であれば、一般的な即席カップ麺の容器内に収納できるサイズとして、直径が30mm〜100mm、厚みが10mm〜40mmが一般的である。さらに、円盤形状の場合、側面が略テーパ形状を有していてもよいことは勿論である。
上述のように溶解後の澱粉又はデキストリン溶液を所定形状の型枠に流し込み、凍結乾燥を行う。凍結乾燥の条件としては、上記の型枠に流し込んだ後に常法により処理する。
凍結乾燥の条件としては、通常の条件に従い特に限定されないが、型枠内の溶解した澱粉又はデキストリンを凍結させ、その後、0.8Torr以下の真空度で、最終棚温度40℃〜70℃程度として、概ね24時間〜48時間程度乾燥を行う。
─所定の栄養成分を補助する─
本発明においては、澱粉又はデキストリンを溶解させた後に凍結乾燥した栄養補助食品としているため、栄養補助としての炭水化物成分を無理なく補助・供給することができる。
さらに、本発明においては上述の炭水化物成分以外に、ビタミン又はミネラル、タンパク質、脂質等の成分を含有させることがこれらの成分も補助することが可能である。
例えば、ビタミンについては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC等が挙げられる。
これらの成分については粉末状、液状等を問わず添加することができることが勿論である。
また、ミネラルについては、各種ミネラルを含有することが可能である。具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン等である。
尚、これらのうち、ナトリウムについてはナトリウム摂取量として、1日の摂取量について3.2g以下(食塩含量として8.00g以下)が推奨されている(「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)。
ナトリウムについては食塩として即席麺に利用されるスープ部分に対して利用されることが多いが、可能であれば低減することが好ましい。
このため、本発明の栄養補助食品において、スープ部分の塩分を低減させ、当該塩分の使用量の低減を補うためKClやグルコン酸カリウム等を利用してもよい。このように代替塩を利用することによって、カリウムの補給とナトリウムの低減を実現することができ、理想的な栄養成分の配合にすることができる。
本発明の栄養補助食品には、スープ部分も含ませることが可能であるし、KClやグルコン酸カリウム等を含有させることも可能である。
次に、本発明の栄養補助食品には、タンパク質を含有させることも可能である。具体的には、エビ、イカや大豆、鶏肉、豚肉、牛肉、タマゴ等の畜肉系・魚介系の具材を上記澱粉又はデキストリン溶液に加えることによって、タンパク含量を増加させることができる。
尚、これらの具材については通常、別途具材パック等によって付加されることが多いが本発明においては、これらの具材を本発明の栄養補助食品に添加しておくことで、具材パック等の使用を回避することも可能である。
また、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス等の各種エキス成分やIMP、GMP、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等の旨味成分、風味付与のための香料を含有させてよいことも勿論である。尚、これらの成分は通常、即席麺のスープ成分として添付される場合が多いが、これらの成分を本発明の澱粉又はデキストリン溶液に溶解させておくことで、別途スープパック等を準備することを回避することも可能である。
さらに、具材として野菜(ネギ、ホウレンソウ、玉ねぎ等)を含有させることも可能である。これらの成分を加えることで、食物繊維の成分を増加させることもできるので即席麺の栄養成分のバランスを調整することが可能となる。
・脂質(F)
次に、本発明においては即席麺を対象とするが、当該即席麺の即席麺塊がフライ麺塊である場合にはフライオイル由来の脂質を多く含有することになる。一方、当該麺塊が熱風乾燥や凍結乾燥等のいわゆるノンフライ麺の場合には脂質成分が不足する場合がある。
このため、発明の栄養補助食品においては、脂質成分を含有させることも可能である。
本発明に利用できる脂質成分としては、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、ごま油、白絞油等を利用することができる。
これらの脂質は、通常、即席麺に使用されるスープ成分の含まれる場合が多い。また、別途、添付調味オイルとして添付される場合があるが、当該スープ成分や添付調味オイルの成分を本発明の栄養補助食品に含有させることで別途、スープや調味オイルの添付を回避することも可能である。
さらに、フライ麺塊や熱風乾燥による麺塊を使用する場合のいずれであっても、推奨される栄養成分として、n-6系又はn-3系不飽和脂肪酸を利用することが好ましいとされている(「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)。
このため、本発明の栄養補助食品においてもこれらの不飽和脂肪酸を含有させることも可能である。但し、これらの脂質成分については、本発明の栄養補助食品に含有させることなく、従来どうりの別添調味油としてもよいことは勿論である。
・本発明の栄養補助食品の喫食時の調理方法
本発明の栄養補助食品は、即席カップ麺に利用する場合においては、熱湯を注加する際に同時に溶解して、スープ成分として喫食することができる。また、袋麺においては、調理時に鍋等に投入することで溶解させて同様にスープ成分として喫食することができる。
・PFCバランス
本発明の栄養補助食品を利用することで、PFCバランスを維持する即席麺とすることが可能である。PFCバランスとは、エネルギー比でタンパク質を13〜20%、脂質20〜30%及び炭水化物を50〜65%で含有することをいう。当該割合は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」においてエネルギー産生栄養素バランスにおける推奨された目標量として開示されている。
すなわち、PFCバランスとは、1日の食事で摂取するエネルギーのうち、タンパク質・脂質・炭水化物の 3大栄養素それぞれから得るエネルギーの割合をいう。
本発明の栄養補助食品を利用することによって、1食当たりの即席カップ麺に含まれるタンパク質・脂質・炭水化物の3大栄養素それぞれから得るエネルギーの割合について、上述のPFCバランスの範囲(エネルギー比で蛋白質で13〜20%、脂質で20〜30重量%、炭水化物で50〜65重量%の範囲)を満たすように調製することができる。
本発明においては、特に即席麺の麺塊にフライ処理された麺塊を利用する場合において好適に用いることができる。
すなわち、即席カップ麺において、フライ麺塊を利用する場合においては、上述のように相対的に脂質の割合が大きいため、炭水化物が相対的に不足する傾向にある。本発明の栄養補助食品については、澱粉又はデキストリンを溶解させた後に凍結乾燥したタイプを利用しているため、炭水化物成分を無理なく補給することができる。これによって、フライ麺塊を用いた即席麺では炭水化物成分が相対的に不足するところ、これを補うことができる。
─理想的な1日に必要な栄養素を所定割合で含有する即席カップ麺─
本発明の栄養補助食品を利用することで、理想的な1日に必要な栄養素を所定割合で含有する(以下、“完全栄養”とも記載する)即席麺とすることができる。ここで“完全栄養”とは、以下の条件を満たしたものをいう。
すなわち、一日に必要な総カロリーに対して、本発明の即席カップ麺によって所定割合のカロリーを摂取することを前提とした場合、当該割合のカロリーを摂取する際に前記PFCバランスを維持しつつ、同時に一日に必要とされるビタミン、ミネラルを前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)に応じた量を摂取できるように調製したものをいう。
但し、ミネラルのうち、ナトリウムについては、ナトリウム摂取量として、一日当たり3.15g以下(食塩含量として8.00g以下)が推奨されている。当該条件を充足することが好ましいため、本発明の即席カップ麺におけるナトリウムの含有量は、3.15g×前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)以下とすることが好ましい。
次に、炭水化物については、食物繊維を1日当り20g以上摂取することが推奨されていることから、本発明の即席カップ麺における食物繊維の含有量は20g×前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)以上を含有するように調整したものをいう。
また、脂質については、本発明の即席カップ麺の摂取による総エネルギーに対する飽和脂肪酸は7%エネルギー以下とするとともに、不飽和脂肪酸のn-6系不飽和脂肪酸とn-3系不飽和脂肪酸とについては一日当りそれぞれ11g/day、2.0g/day以上の摂取が理想であるとされている(厚生労働省 食事摂取基準(2015年版)18−29歳 男性(身体活動低)のデータ)ため、n-6系不飽和脂肪酸については、本発明の即席カップ麺におけるn-6系不飽和脂肪酸の含有量は11g×前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)以上とし、n-3系不飽和脂肪酸については、本発明の即席カップ麺におけるn-3系不飽和脂肪酸の含有量は2.0g×前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)以上に調整したものをいう。
─理想的な1日の1/3〜1/5の栄養素を含んだ即席カップ麺─
本発明においては、前記割合(本発明の即席カップ麺のカロリー/一日に必要な総カロリー)について具体的な割合として1/3〜1/5の範囲のいずれかの割合とするが好適である。通常の即席カップ麺であると、主食又は副食の役割をする場合が多く、当該摂取カロリーは、1日の摂取総カロリーのうちの1/3〜1/5程度となる場合が多い。
すなわち、上記のPFCバランスを保持しつつ、当該即席カップ麺に含まれる各種栄養成分が、理想的な量の1/3〜1/5の範囲のいずれかの割合を目標とすることが可能である。
尚、一日に必要な総カロリーは、性別や年代によって異なるが、本発明の即席カップ麺の内容量を変更することで、性別・年代に応じ必要な栄養成分をバランスよく供給することのできる即席カップ麺とすることができる。
1.試験例1(菜種油でのフライ麺塊+アマニ油を用いた場合)
以下に本発明の実施例を記載する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1) 栄養補助食品(PFCバランスを調整するための補助素材)
上記フライ麺塊に対する栄養補助食品として、図1に示すような栄養補助食品を以下のように製造した。
すなわち、クラスターデキストリン(登録商標)38gと、軟消化性デキストリン3.0gと、即席麺用のスープ3.0gを水100gで溶解させて、開口部の内径(直径)90mm、底面部の内径(直径)83mm、高さ30mmの内容積のカップ状の型枠に流し込んだ。その後、凍結乾燥のステップとして、当該デキストリン溶解液を流し込んだ型枠を−30℃に10時間以上、保持し、凍結した後に、減圧条件下である0.1tore以下にて48時間以上保持して、乾燥させて凍結乾燥を終了した。
そして、得られた円盤状の栄養補助食品について、次に述べる(2)に記載するように調製したフライ麺塊の上部に載置し、即席カップ麺を完成させた。
尚、本実施例においては上記栄養補助食品を利用してPFCバランスを備えた即席カップ麺を以下のように製造した。その結果、炭水化物の補助において本発明の凍結乾燥された栄養補助食品を利用することが好適であることを見出した。
当該即席カップ麺においては、PFCバランスを備えるとともに、さらに理想的な1日の1/4の栄養素を含んだ即席カップ麺とすることを意図した。
すなわち、「日本人の食事摂取基準(2015 年版)厚生省」によると、また、当該18−29歳の男性(身体活動低)のデータ推定エネルギー必要量(kcal/日)2,300 kcal)を基準とし、当該2,300 kcalの1/4の575kcalを本即席カップ麺の喫食時に摂取することができることを意図した。
そして、本即席カップ麺の摂取の際に、理想的な1日の1/4のビタミン、ミネラルについても摂取できるようにするとともに、炭水化物については食物繊維を20g×1/4=5g、飽和脂肪酸については575 kcal×0.07=40.2cal分、すなわち、飽和脂肪酸1gが9calとして、4.5g含むことができることとした。さらに、n-6系不飽和脂肪酸については、11g×1/4=2.8g、n-3系不飽和脂肪酸については2.0g×1/4=0.5gを含むことができることを意図した。
具体的には以下の製造方法によって本発明の即席カップ麺の各構成を調製した。
(2) フライ麺塊(スープ着味タイプ)
本発明の即席カップ麺に利用するフライ麺塊(スープ着味タイプ)は以下のように調製した。
フライ麺は、菜種油でフライ処理して製造した。得られた即席麺塊について、カップ容器に収納して上部に乾燥具材と、を配置して完成した。また、喫食時にアマニ油を添加することによって、完全な栄養食品を完成することができた。
フライ麺塊は、小麦粉650gに澱粉100g、食物繊維250gを混合した粉体にさらに各種ビタミン類及び各種ミネラル類を添加して、混合粉体とした。
当該粉体に対して練水として、かん水、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を溶解させた水溶液を調整し、前記の混合粉体に添加して15分間のミキシングを行った。
得られたドウを複合、圧延、切出しの順に処理を行い、麺線群を調製した。当該麺線群を蒸煮した後、着味液(チキンエキス、ポークエキス、醤油、塩化カリウム、塩化マグネシウム等を含有)により着味処理した後に型枠(リテーナ)に120gづつ充填し、菜種油にて2分30秒フライ処理した。フライ麺塊をこのようにして得た。
尚、当該フライ麺塊はスープ着味タイプであり、スープ成分は麺塊に着味済であった。
さらに、減塩のために食塩の代わりに塩化カリウム及びグルコン酸カリウムを利用した。
(3) 具材
具材として、乾燥タマゴ(スクランブルエッグ)2.8g、乾燥エビ2.22g、乾燥ネギ0.42g、凍結乾燥された大豆蛋白質1.76g、凍結乾燥肉1.24g、凍結乾燥ミンチポーク1.2gを用いた。当該乾燥具材を麺塊上に載置して利用した。
(4) 添付オイル
喫食時に添加するフレーバ添付油としてn-3不飽和脂肪酸の追加のためのローストフレーバを有するアマニ油を添付した。
(5) 即席カップ麺の調製
内面にポリエチレンでコートした発泡性紙容器(開口部の上径(直径)100mm、底面部の内径76mm、高さ100mm)に対して(2)のフライ麺塊を収納し、当該フライ麺塊の上部に乾燥具材及び栄養補助食品を載置し、上部をアルミ製のキャップでカップ状容器の開口部をヒートシールして即席カップ麺を完成させた(図2)。
得られた即席カップ麺の3大栄養成分のパーツごとのエネルギー量を以下の表1に、全体のエネルギー量の表2に示す。

Figure 2019170268
Figure 2019170268
上記即席麺について熱湯300mlを注加して、添付オイルのアマニ油を添加してから喫食したところ、風味・食感等において良好であった。即席カップ麺の内容を調整することで、PFC比を蛋白質で13〜20%、脂質で20〜30重量%、炭水化物で50〜65重量%の範囲で含有させることができた。
さらに、得られた即席麺の全体の蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを含む各成分の詳細な含有量を以下に記載する。下図に示すように、日本人の食事摂取基準(2015 年版)から理想とされる栄養成分(1日の必要量の1/4)を充足する即席カップ麺とすることができた。
尚、下記の表に記載のように、脂質において、飽和脂肪酸については1日当り18g以下、n-6脂肪酸については1日当り11.2g以上、n-3脂肪酸については1日当り0.5g以上が推奨されている。
このため、1/4の場合、飽和脂肪酸は4.5g以下、n-6脂肪酸については1日当り2.8g以上、n-3脂肪酸については1日当り0.5g以上となる。
また、ナトリウムに関しては、食塩換算で一日あたり8g以下を推奨されており、すなわち、栄養成分として、1日の必要量の1/4である2.0g以下を充足する完全栄養食品とすることができた。当該各栄養成分の含有量を以下の表3に示す。
Figure 2019170268

尚、試験例1では、1日の必要量の1/4の完全栄養の即席カップ麺としたが、各栄養成分について、本発明の即席カップ麺と同一の割合の配合とし、全体量を変えることで、例えば、1日の必要量の1/2、1/3、1/5、1/6等の様々な範囲の完全栄養食品とすることができる。
フライ麺塊のみでは、PFCバランスが得られなかったが、澱粉を補充する栄養補助食品を追加することで炭水化物成分を増加させることができるとともに、所望のPFCバランスを満たす即席カップ麺とすることができた。
また、減塩についてはナトリウムの代わりに塩化カリウム、グルコン酸カリウムを添加することで、減塩を施し、理想の栄養成分を満たすことができた。
─喫食時の官能評価について─
栄養補助食品は熱湯注加時に直ちに溶解し、注湯後の仕上がりは通常のカップ麺と異ならなかった。また、粘度の上昇もさほど見られなかった。麺の食感についても通常の即席麺と同様であった。
2.試験例2(菜種油でのフライ麺塊のみ)
試験例1において、添付オイルのアマニ油を使用しない場合の蛋白質、脂質、炭水化物のエネルギー量について以下の表4に示す。
Figure 2019170268
添付オイル(亜麻仁油)を使用しない場合でもPFCバランスを保つことができた。また、喫食時の官能評価については試験例1と同様であった。
3.試験例3(パーム油を用いた場合+アマニ油有りの場合))
試験例1において、麺塊のフライ油について菜種油ではなく、パーム油を利用した場合におけるえら得たフライ麺塊を利用して、即席カップ麺を調製した。尚、フライ麺塊のフライオイルをパーム油とした以外は、試験例1と同様に調製した。得られた最終的な即席カップ麺の蛋白質、脂質、炭水化物のエネルギー量について以下の表5に示す。
Figure 2019170268
得られた即席カップ麺は、PFCバランスを保つことができた。また、喫食時の官能評価については試験例1と同様であった。
4.試験例4(パーム油のみを用いた場合)
フライ麺塊の製造に用いる油脂をパーム油にした点、添付オイルを無しとした点以外は、1.の場合と同様に処理した。得られた最終的な即席カップ麺の栄養成分を以下の表6に示す。
Figure 2019170268
PFCバランスを保つことができた。また、喫食時の官能評価については試験例1と同様であった。

Claims (5)

  1. 即席麺に対して所定の栄養成分を補助するための栄養補助食品であって、当該栄養補助食品は、澱粉又はデキストリン溶液に必要に応じて各種栄養成分を加え、所定形状に成型した後に凍結乾燥することにより製造される即席麺用の栄養補助食品。
  2. 前記即席麺が即席カップ麺である請求項1に記載の即席麺用の栄養補助食品。
  3. 前記栄養補助食品が、即席麺におけるスープ成分及び/又は具材成分を含有する即席麺用の栄養補助食品である請求項1又は2に記載の栄養補助食品。
  4. 前記所定形状が円盤状である請求項1〜3のいずれかに記載の即席麺用の栄養補助食品。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の即席麺用の栄養補助食品を収納した即席麺。
JP2018063001A 2018-03-28 2018-03-28 即席麺用の栄養補助食品 Pending JP2019170268A (ja)

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