JP2019170089A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの駆動に用いる電流を効率的かつ精度よく求める。【解決手段】モータ制御装置は、モータの目標速度と現在速度との差をもとに生成された駆動電圧をモータへ供給してモータを駆動する駆動部、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を検出する検出部、dq座標系における各相の駆動電圧からUVW座標系における各相の駆動電圧を生成する駆動電圧生成部を備える。検出部は、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を推定する電流推定部を備える。電流推定部は、モータのUVW座標系における各相の誘起電圧をdq座標系における各相の電圧指令値に基づいて算出し、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を、算出した誘起電圧を用いて推定する。【選択図】図11

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
一般的に、位置センサレスベクトル制御でモータを駆動制御するモータ制御装置は、モータの回転速度が速度指令値(目標速度)になるようにd軸電流指令値およびq軸電流指令値を生成し、d軸電流指令値からd軸電圧指令値を、q軸電流指令値からq軸電圧指令値をそれぞれ生成する。さらに、モータ制御装置は、d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を三相の電圧指令値へ変換し、PWM(Pulse Width Modulation)生成器にて三相の電圧指令値をもとにPWM信号を生成し、例えばIPM(Intelligent Power Module)へ出力する。IPMは、入力されたPWM信号に応じてスイッチング制御を行うことにより、モータに三相電圧(U相電圧Vu、V相電圧Vv、W相電圧Vw)を印可してモータを駆動制御する。
位置センサレスベクトル制御では、モータを駆動制御するために、モータのロータ(回転子)の位置を検出する。モータを制御するためのモータの印加電圧(電圧振幅および周波数)は、モータに流れる相電流(電流振幅および周波数)をもとに調整される。近年、コストダウンの目的から、相電流を検出するためのセンサを用いずに相電流を検出する手法が用いられる。この手法の一つに、母線電流の保護に使用されるシャント抵抗を利用した電流検出がある。シャント抵抗に流れる電流(シャント電流)から、U相、V相、W相の各相の出力電圧のデューティ差を利用して2相の相電流を検出し、残りの1相をキルヒホッフの法則から算出することで、3相の相電流を検出する。
さらに、近年、省エネルギーの観点から、インバータのスイッチング損失低減のため、3相変調ではなく2相変調による制御や、最大出力の領域拡大を目的とした過変調制御などの検討が盛んに行われている。しかし、2相変調や過変調制御は各相の出力電圧をフルデューティで行う確率が高くなり、各相のデューティ差がなくなるため、シャント電流による相電流の検出が困難となる。このため、シャント電流の正確な検出が行える期間が減少し、モータの駆動制御を継続することが困難となる。そのため、シャント電流が検出できないような場合においても、モータの駆動制御を継続できる制御が検討されている。
特開2009−124782号公報 特開2009−261066号公報 特開2015−12770号公報
シャント電流が検出できないような場合における、検出できない相の相電流を推定する方法のうちの基本的な手法として、図1に示すように、モータを電気的な等価回路に置き換えて、相電圧、モータパラメータ(インダクタンス値、抵抗値、誘起電圧定数)、モータの回転数(回転速度)、ロータの回転位相をもとに相電流を推定する手法がある。
この手法の特徴は、相電流を、相電圧、モータパラメータ、回転数、回転位相から推定により再現するため、モータ制御装置の制御構成を変更しなくても、位置センサレスベクトル制御を行うことができる。しかしながら、相電流の推定は、従来技術と同様の精度が要求される。
上述の特許文献1に記載の従来技術では、図1に示すように、モータの固定子(ステータ)をU相、V相、W相の各相のインダクタンスLu、Lv、Lwと抵抗Ru、Rv、Rwの等価回路に置き換える。そして、印加電圧(相電圧)Vu、Vv、Vwと誘起電圧Eu、Ev、Ew、中性点電位Vn(各相の接続点における電位)から各相の電流Iu、Iv、Iwを算出し、検出できない2相の推定電流による割合(比率)と、検出できた1相の電流の乗算で実現できるとされる。この場合における各相の推定電流Iue、Ive、Iweは、下記(式1)〜(式3)に示すようになる。下記(式1)〜(式3)は、一般的なモータの等価回路における電流式である。なお、下記(式1)〜(式3)における“s”は、ラプラス演算子である。
Iue=(Vu−Vn−Eu)/(s・Lu+Ru) ・・・(式1)
Ive=(Vv−Vn−Ev)/(s・Lv+Rv) ・・・(式2)
Iwe=(Vw−Vn−Ew)/(s・Lw+Rw) ・・・(式3)
前述の“検出できない2相の推定電流による割合(比率)”というのは、検出できない2相の推定電流を算出し、この2相の推定電流の各相の推定電流を2相の推定電流の和で除算したものである。この除算結果を、検出できた1相の電流に乗算することで、3相電流を再現している。例えば、U相の電流Iuのみ検出できた場合における他の2相の推定電流は、下記(式4)〜(式5)から求められる。
Iv=−Iu・Ive/(Ive+Iwe) ・・・(式4)
Iw=−Iu・Iwe/(Ive+Iwe) ・・・(式5)
このように、特許文献1に記載の方法では、検出できた1相の電流に、検出できなかった2相の推定電流による割合を乗算することで検出電流としている。このとき、推定した電流値が検出できていない電流(実相電流)と同じ値をとるか否かは、検出できなかった2相の推定電流による割合では判断できない。また、検出できなかった2相の推定電流による割合は、2相の推定電流の和を分母に持つため、この2相の推定電流の和が0に限りなく近い場合に、0に限りなく近い値で除算することにより無限大になることから、検出できない2相の電流値が正しく算出できないという問題がある。
また、一般的なモータの等価回路における上記(式1)〜(式3)の電流式には、ラプラス演算子sが含まれているが、特許文献1によれば、電流値が安定していればラプラス演算子sの項は無視できるとされている。しかし、実動作環境では、外乱の影響、または、モータが有する負荷トルクの変動など、様々な要因で電流値が安定しないタイミング(区間)があるため、ほとんどの場合でラプラス演算子sの項を無視することができない。そのため、通常の制御では、上記(式1)〜(式3)のラプラス演算子sを含む計算(ラプラス変換)を行う必要があり、計算量が膨大となるおそれがあるという問題がある。
また、上述の特許文献2に記載の従来技術のように、オープンループ制御による2軸上(dq軸上)での電流推定方法もある。しかし、オープンループ制御は、リアルタイムにモータの運転情報(相電流、相電圧、回転数など)を取得して制御するフィードバック制御とは異なり、実際の相電流は把握できないため、実動作環境下における最適なモータ制御が行える保証がないという問題がある。
また、上述の特許文献3に記載の従来技術のように、ラプラス演算子sを含む計算式の解を事前に求めておき、事前に求めておいた解と、実動作環境下でのモータの実動作条件を示すパラメータとを対応付けてルックアップデーブルに格納しておく方法もある。この方法では、モータの実動作条件を示すパラメータをもとにルックアップデーブルを参照してラプラス演算子sを含む計算式の解を取得する。しかし、全ての実動作環境下において事前に求めておいた解が正しい値として扱える保証はなく、実動作環境下における最適なモータ制御が行える保証がないという問題がある。また、ルックアップデーブルを保存するための記憶装置が必要となり、複数の条件を含む場合など実動作条件によっては記憶装置の容量が膨大になるおそれがあるという問題もある。
また、推定した誘起電圧から推定電流を算出する場合、モータパラメータである誘起電圧定数、回転速度、位相が正しくなければ精度の高い推定ができない。さらに、誘起電圧定数は、モータの個体バラツキ、モータの磁石の温度依存性や経年劣化の影響もあるため、推定電流の精度に影響をもたらす。
このように、上述の従来技術によれば、推定電流の精度の問題や、推定電流の精度を高くするために計算量が膨大となる問題など、モータの駆動に用いる電流を効率的かつ精度よく求めることができず、実動作環境下における最適かつ安定したモータ制御を継続して行えないおそれがあるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モータの駆動に用いる電流を効率的かつ精度よく求めることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の実施形態のモータ制御装置は、例えば、駆動部、検出部、駆動電圧生成部を備える。駆動部は、モータの目標速度と現在速度との差をもとに生成された駆動電圧をモータへ供給してモータを駆動する。検出部は、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を検出する。駆動電圧生成部は、dq座標系における各相の駆動電圧からUVW座標系における各相の駆動電圧を生成する。検出部は、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を推定する電流推定部を備える。電流推定部は、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を推定する。電流推定部は、モータの各相の誘起電圧を、dq座標系における各相の電圧指令値に基づいて算出し、モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を、算出した誘起電圧を用いて推定する。
本発明の実施形態の一例によれば、モータの駆動に用いる電流を効率的かつ精度よく求めることができる。
図1は、モータの等価回路の構成の一例を示す図である。 図2は、ラプラス変換を用いない推定電流を概念的に示す図である。 図3は、dq軸とαβ軸を説明するための図である。 図4は、実施形態1のモータ制御装置の構成の一例を示す図である。 図5は、実施形態1の3φ電流算出器の構成の一例を示す図である。 図6は、処理タイミングおける電流検出判定とd軸電流およびq軸電流とを説明するための図である。 図7は、モータモデルにおける基本ベクトル図である。 図8は、dq軸上の誘起電圧の算出を説明するための図である。 図9は、実施形態2のモータ制御装置の構成の一例を示す図である。 図10は、実施形態2の3φ電流算出器の構成の一例を示す図である。 図11は、実施形態2の推定電流算出部の構成の一例を示す図である。
以下に、本願の開示技術のモータ制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。以下の実施形態では、モータ制御装置は、空気調和機等に用いられるプロペラファンや圧縮機等を負荷とするモータの制御装置であるとして説明するが、これに限られず、実施形態は、広くモータ一般の制御に適用できる。以下の各実施形態は、矛盾しない範囲で適宜組合せて実施できる。
また、以下の実施形態は、開示技術にかかる構成および処理について主に説明し、その他の構成および処理の説明を、適宜、簡略または省略する。また、以下の実施形態において、同一の構成および処理には同一の符号を付与し、既出の構成および処理の説明を省略する。
先ず、実施形態1の概要を説明する。実施形態1は、基本的なベクトル制御の制御構成を大きく変えずに、1相の検出電流から、モータの実動作環境に依存せず、精度の高い推定電流を算出できるモータ制御装置である。実施形態1では、モータの出力電圧指令値および推定したモータの誘起電圧から、電圧次元で表現される推定電流(単位を電圧[V]とした電流)を求め、検出できた1相の検出電流の電流振幅を利用して、電圧次元から電流次元へ変換した推定電流(単位を電流[A]とした電流)によりモータの駆動制御を行う。
なお、実施形態1では、1シャント電流検出方式を用いる。しかし、2CT(Current Transformer)で2相の電流を検出し、残りの相の電流をキルヒホッフ法則の関係式Iu+Iv+Iw=0から算出する2CT電流検出方式において、2相の何れかのセンサが故障し、1相の電流しか検出できない場合であっても、1シャント電流検出方式と同様に推定電流を算出できる。
実施形態1は、モータ制御装置の基本的なベクトル制御の制御構成を大きく変えずに、2相の電流検出が行える場合と同様にモータの駆動制御を行うために、3相電流を再現(推定)、または、3相電流を変換した後のdq軸電流を再現(推定)する。図1は、モータの等価回路の構成の一例を示す図である。図1に示すように、モータの固定子(ステータ)を各相(U相、V相、W相)におけるインダクタンスLu、Lv、Lwと抵抗Ru、Rv、Rwの等価回路に置き換え、印加電圧(相電圧)Vu、Vv、Vwと誘起電圧Eu、Ev、Ew、中性点電位Vnから各相の電流Iu、Iv、Iwを算出し、検出できない2相の相電流を算出する場合は、下記(式6)〜(式8)の計算を行う。なお、下記(式6)〜(式8)における“s”は、ラプラス演算子である。
Iue=(Vu−Vn−Eu)/(s・Lu+Ru) ・・・(式6)
Ive=(Vv−Vn−Ev)/(s・Lv+Rv) ・・・(式7)
Iwe=(Vw−Vn−Ew)/(s・Lw+Rw) ・・・(式8)
上記(式6)〜(式8)に含まれる各相の印加電圧、誘起電圧、中性点電位、インダクタンス値、抵抗値は動作上、常に変動するパラメータである。特にインダクタンス値と抵抗値は電流特性や温度特性を持つため、電流推定の精度を確保するために、必要に応じて、特性による変化に対しての補正またはオンライン同定などのリアルタイムの処理が必要となる。
U相、V相、W相の各相の誘起電圧が正弦波状に現れると想定した場合の、誘起電圧Eu、Ev、Ewの算出式を、下記(式9)〜(式11)に示す。
Eu=Ke・sin(θ)・ω ・・・(式9)
Ev=Ke・sin(θ−2×π/3)・ω ・・・(式10)
Ew=Ke・sin(θ+2×π/3)・ω ・・・(式11)
上記(式9)〜(式11)における“Ke”は、誘起電圧定数[V/rpm]を示し、“θ”はロータの回転角度[rad]を示し、“ω”はモータの回転数(回転速度)[rpm]を示す。誘起電圧定数Ke、ロータの回転角度θ、モータの回転数(回転速度)ωの各単位は、誘起電圧Eu、Ev、Ewの単位が[V]で表されれば、どのような単位の組み合わせでもよい。誘起電圧定数Keはモータ定数であるため、既知のパラメータである。回転角度θはホール素子などのセンサから取得する方法、もしくは推定した回転数(回転速度)ωから算出した回転角度を用いてもよい。回転数(回転速度)ωは、レゾルバなどのセンサから取得する方法、もしくは実ロータ位置とモータ制御装置が保持するロータ位置の差から算出した回転数を用いてもよい。
ここで、中性点電位Vnは、下記(式12)から算出できる。
Vn=((Vu+Vv+Vw)−(Eu+Ev+Ew))/3 ・・・(式12)
なお、上記(式12)における印加電圧(相電圧)Vu、Vv、Vwは、U相、V相、W相の各相のモータ端子に電圧センサを設けて取得する方法、もしくはモータ制御装置のマイクロコンピュータ内部で保持している出力電圧指令値Vu、Vv、Vwを用いてもよい。
そして、例えば、U相の電流Iuのみ検出できた場合における他の2相の推定電流は、下記(式13)〜(式14)から求められる。V相の電流Ivのみ検出できた場合は、下記(式13)の左辺のIvをIuに置き換え、(式13)および(式14)の右辺のIuをIvに、IveをIueにそれぞれ置き換えることで、検出できなかった他の2相の推定電流を求めることができる。また、W相の電流Iwのみ検出できた場合は、下記(式14)の左辺のIwをIuに置き換え、(式13)および(式14)の右辺のIuをIwに、IweをIueにそれぞれ置き換えることで、検出できなかった他の2相の推定電流を求めることができる。
Iv=−Iu・Ive/(Ive+Iwe) ・・・(式13)
Iw=−Iu・Iwe/(Ive+Iwe) ・・・(式14)
上記(式13)〜(式14)のように、検出できなかった2相の電流を、検出できた1相の電流と検出できなかった2相の電流の割合により求める場合、(式6)〜(式8)のうちの何れかを使用するため、ラプラス演算子sを含む計算を行わなければならず、膨大な計算量を要する。そこで、実施形態1では、推定電流を算出する過程における、モータ動作により変化するモータのパラメータの影響(インダクタンス値の電流特性や抵抗の温度特性など)を解消し、ラプラス演算子sを含まない方法で推定電流を算出する。
(ラプラス演算子sを含まない推定電流の算出について)
次に、ラプラス演算子を含まない推定電流算出について説明する。図2は、ラプラス変換を用いない推定電流を概念的に示す図である。図2(a)は印加電圧(相電圧)を示し、図2(b)は誘起電圧を示す。図2(a)に示すように、U相、V相、W相の各印加電圧Vu、Vv、Vwは、ある大きさの振幅を持つ正弦波であり、各々は120°の位相差を持ち、位相に応じてその振幅値が変化する。
そのため、印加電圧(相電圧)、中性点電位、誘起電圧を位相に応じて変化する成分(位相成分)と見ることができる。一方、U相、V相、W相の各相のインダクタンス値、各相の抵抗値は、印加電圧(相電圧)とは異なり、位相に応じて値が変化する成分ではなく、時間に対して不変な一定値である。
ラプラス演算子sは時間的な性質をもつ演算子であるが、ラプラス演算子sが作用対象の大きさを変化させるため、ラプラス演算子sが作用する各相インダクタンス値、各相抵抗値を振幅成分と見ることができる。このことから、ラプラス演算子sを含む振幅成分をラプラス演算子sを含まない振幅成分へ置き換えることで、ラプラス演算子sを含まない推定電流が実現できる。上記(式6)〜(式8)でラプラス演算子sを含む因子部分を振幅成分と見なし、その振幅成分を、ラプラス演算子sを含まない電流振幅補正係数Kaへ置き換えた3相の推定電流Iue、Ive、Iweを下記(式15)〜(式17)に示す。
Iue=Ka・(Vu−Vn−Eu) ・・・(式15)
Ive=Ka・(Vv−Vn−Ev) ・・・(式16)
Iwe=Ka・(Vw−Vn−Ew) ・・・(式17)
上記(式15)〜(式17)に含まれる電流振幅補正係数Kaは、出力電圧(Vu、Vv、Vw)をもとにした電圧次元の推定電流(単位を電圧[V]とした電流)の振幅に対する、検出した実際の電流振幅の比を取った推定電流の振幅情報であり、各相で同じ値となる。ここで、出力電圧(Vu,Vv、Vw)はモータに印加される印加電圧(相電圧)である。
(電圧次元の推定電流(単位を電圧[V]とした電流について)
次に、電圧次元の推定電流について説明する。下記(式18)〜(式20)は、電流の位相成分の情報を持ち、単位を電圧[V]として、電流の位相情報をもつ電流を示す。これは、上記(式6)〜(式8)の位相成分((印加電圧)−中性点電位−誘起電圧)で表される因子部分)である。そのため、要素すべてが電圧であることから、単位を電圧[V]とした電流と定義している。
Iue_v=Vu−Vn−Eu ・・・(式18)
Ive_v=Vv−Vn−Ev ・・・(式19)
Iwe_v=Vw−Vn−Ew ・・・(式20)
(式18)〜(式20)で表される電圧次元の推定電流(単位を電圧[V]とした電流)を3Φ/2Φ変換してαβ軸上に変換したものを(式21)〜(式22)に示す。
Iαv=√(2/3)・(Iue_v−Ive_v/2−Iwe_v/2)
・・・(式21)
Iβv=√(2/3)・(√(3)・Ive_v/2−√(3)・Iwe_v/2)
・・・(式22)
この時の電圧次元の電流振幅(単位を電圧[V]とした電流振幅)の大きさKvaは、下記(式23)に示すように求めることができる。
Kva=√(Iαv^2+Iβv^2) ・・・(式23)
すなわち、Kvaは、Iαvの二乗とIβvの二乗の和の平方根である。
電流検出できる場合の2軸上の電流振幅(dq軸電流振幅)Kdqは、(式23)と同様に、(式24)に示すように求めることができる。
Kdq=√(Id^2+Iq^2) ・・・(式24)
すなわち、Kdqは、Idの二乗とIqの二乗の和の平方根である。
上記(式23)〜(式24)から、ラプラス演算子sを含まない振幅成分(電流振幅補正係数Ka)を算出する。
電圧次元の電流振幅(単位を電圧[V]とした電流振幅)の大きさは、(式21)〜(式22)から(式23)で求まるαβ軸上の電流振幅の大きさであり、電流検出できる場合の2軸上の電流振幅の大きさはdq軸上にある。この2つの軸の関係は静止座標系か回転座標系かの違いである。図3は、dq軸とαβ軸を説明するための図である。図3に示すように、dq軸とαβ軸は、同一平面上に存在し、αβ軸に対してθdq[rad]だけ回転した位置にdq軸が存在する。(式23)〜(式24)は、電流のベクトルの大きさ(スカラー量)であり、位相情報や、dq軸、αβ軸、UVW軸などの軸の情報を持たないため、位相情報や軸の情報に関係なく計算できる。電流振幅補正係数Kaは、下記(式25)に示すように求めることができる。
Ka=Kdq/Kva ・・・(式25)
このようにして、上記(式15)〜(式17)に示すように、上記(式18)〜(式20)に示す位相成分に、振幅成分である電流振幅補正係数Kaを乗算して推定電流を算出することができる。しかし、この位相成分は、3軸上(UVW相)の値であり、2軸上の電流振幅(dq軸電流振幅)の大きさKdqと、電圧次元の電流振幅(単位を電圧[V]とした電流振幅)の大きさKvaで計算された電流振幅補正係数Kaとは、軸の情報が異なる。
そこで、電流振幅の大きさKdqは、上記(式23)〜(式24)を3軸上の値に変換した上で電流振幅補正係数Kaの計算を行ってもよいが、電流振幅補正係数Kaは、軸の情報を含まないスカラー量の比率である。つまり、Kdqは2軸上の電流の大きさ(2軸上のスカラー)であり、Kvaも2軸上の電流の大きさ(2軸上のスカラー)である。このため、電流振幅補正係数Kaは、(式25)のように2軸上の比率をとった係数であるので、前述の位相成分に乗算するだけでよい。また、Kaは単位が[A/V]となるが、(式15)〜(式17)(または(式18)〜(式20))に示した位相成分は電圧次元であり、単位が[V]となるため、乗算結果の単位は[A]となり、電流次元となる。
(ラプラス演算子sを含まない電流推定への置換原理)
次に、ラプラス演算子sを含む電流推定から、ラプラス演算子sを含まない電流推定の置換原理について説明する。モータを駆動するための印加電圧に応じて、モータ電流(相電流)が流れる。この検出した3相のモータ電流(相電流)を検出電流(Iud、Ivd、Iwd)とする。この検出電流が上記(式6)〜(式8)に示した推定電流を近似できる場合は、上記(式6)〜(式8)は、下記(式26)〜(式28)のようになる。
Iud≒Iue=(Vu−Vn−Eu)/(s・Lu+Ru) ・・・(式26)
Ivd≒Ive=(Vv−Vn−Ev)/(s・Lv+Rv) ・・・(式27)
Iwd≒Iwe=(Vw−Vn−Ew)/(s・Lw+Rw) ・・・(式28)
上記(式26)〜(式28)に示すように、モータ電流(相電流)は、印加電圧の位相と大きさに基づくため、位相情報と振幅情報を含むことになる。位相情報の成分は、前述した印加電圧(相電圧)Vu、Vv、Vw、中性点電位Vn、誘起電圧Eu、Ev、Ewである。振幅情報の成分は、各相のインダクタンスLu、Lv、Lw、ラプラス演算子s、各相の抵抗値Ru、Rv、Rwである。
3相の検出電流をマイクロコンピュータなどの処理装置で処理するために、下記(式29)〜(式30)より、2軸上のdq軸電流へ変換する。
Id=√(2/3)・{(Iud−Ivd/2−Iwd/2)・cosθ
+√(3)/2・(Ivd−Iwd)・sinθ} ・・・(式29)
Iq=√(2/3)・{−(Iud−Ivd/2−Iwd/2)・sinθ
+√(3)・2・(Ivd−Iwd)・cosθ} ・・・(式30)
上記(式29)〜(式30)には、それぞれU相の検出電流Iud、V相の検出電流Ivd、W相の検出電流Iwdが含まれており、その他のパラメータは位相θのみである。この位相θは、モータの回転子(ロータ)の位置情報であり、後述する位置推定器30(図4参照)が出力するdq軸上の電気角位相θeである。この電気角位相θeが正確であれば、上記(式29)〜(式30)による変換誤差はないものと考えられる。すなわち、上記(式29)〜(式30)により算出されたdq軸上の電流の振幅は、3相軸(UVW軸)上の電流振幅の情報を持つといえる。
(式23)〜(式25)により求められた、ラプラス演算子sを含まない振幅成分(電流振幅補正係数Ka)は、検出電流の振幅情報を含む。また、検出電流に含まれる振幅情報は、(式26)〜(式28)に示す通り、ラプラス演算子sを含んだ成分による情報と等価である。これらのことから、電流振幅補正係数Kaは、下記(式31)に示すように、ラプラス演算子sを含んだ成分による情報と等価と見なすことができる。下記(式31)は、U相のインダクタンスLuと抵抗Ruを用いて電流振幅補正係数Kaを表しているが、V相のインダクタンスLvと抵抗Rv、W相のインダクタンスLwと抵抗Rwを用いても、同様に電流振幅補正係数Kaを表すことができる。
Ka=Kdq/Kva≒1/(s・Lu+Ru) ・・・(式31)
以上から、検出電流の振幅情報は、ラプラス演算子sを含まない係数に置換可能である。
<実施形態1のモータ制御装置の構成について>
以上で説明した理論的背景に基づく実施形態1を説明する。図4は、実施形態1のモータ制御装置の構成の一例を示す図である。
実施形態1のモータ制御装置100Aは、マイクロコンピュータ10A、IPM(Intelligent Power Module)23、1シャント電流検出器32を有する。モータ制御装置100Aには、モータ1が接続されている。
また、マイクロコンピュータ10Aは、減算器11、速度制御器12、励磁電流制御器13、減算器14、減算器15、d軸電流制御器16、q軸電流制御器17、非干渉化制御器18、減算器19、加算器20、dq/3φ変換器21、PWM(Pulse Width Modulation)生成器22、3φ電流算出器24A、3φ/dq変換器25、軸誤差演算処理器26、PLL(Phase Locked Loop)制御器29、位置推定器30、1/Pn処理器31を有する。
減算器11は、モータ制御装置100Aへ入力された速度指令値(機械角目標速度)ωから、1/Pn処理器31から出力された推定値としての現在のモータ1の回転速度(機械角推定速度)ωを減算した速度偏差(機械角速度偏差)Δωを速度制御器12へ出力する。
速度制御器12は、減算器11から出力された速度偏差Δωがより小さくなるようなq軸電流指令値Iqを生成し、励磁電流制御器13および減算器15へ出力する。励磁電流制御器13は、速度制御器12から出力されたq軸電流指令値Iqからd軸電流指令値Idを生成し、減算器14へ出力する。また、d軸およびq軸は、2相の回転座標系(電流ベクトル座標)の座標軸を表し、Id、Iq、後述のVd、Vqは、この座標軸上の電流および電圧を示す。2相の回転座標系は、dq座標系ともいう。
減算器14は、励磁電流制御器13から出力されたd軸電流指令値Idから3φ/dq変換器25から出力されたd軸電流Idを減算してd軸電流偏差ΔIdを生成し、d軸電流制御器16へ出力する。減算器15は、速度制御器12から出力されたq軸電流指令値Iqから3φ/dq変換器25から出力されたq軸電流Iqを減算してq軸電流偏差ΔIqを生成し、q軸電流制御器17へ出力する。
d軸電流制御器16は、減算器14から出力されたd軸電流偏差ΔIdからd軸電圧指令値Vd**を生成する。q軸電流制御器17は、減算器15から出力されたq軸電流偏差ΔIqからq軸電圧指令値Vq**を生成する。
非干渉化制御器18は、d軸とq軸の干渉をキャンセルし、それぞれを独立に制御するための非干渉化補正値を生成する。具体的には、非干渉化制御器18は、3φ/dq変換器25から出力されたd軸電流IdとPLL制御器29から出力された電気角推定速度ωeから、d軸電圧指令値Vd**を非干渉化するためのd軸非干渉化補正値Vdaを生成し、減算器19へ出力する。また、非干渉化制御器18は、3φ/dq変換器25から出力されたq軸電流IqとPLL制御器29から出力された電気角推定速度ωeから、q軸電圧指令値Vq**を非干渉化するためのq軸非干渉化補正値Vqaを生成し、加算器20へ出力する。
減算器19は、d軸電流制御器16から出力されたd軸電圧指令値Vd**から、非干渉化制御器18から出力されたd軸非干渉化補正値Vdaを減算してd軸電圧指令値Vd**を非干渉化したd軸電圧指令値Vdを生成し、dq/3φ変換器21ならびに軸誤差演算処理器26へ出力する。加算器20は、q軸電流制御器17から出力されたq軸電圧指令値Vq**に、非干渉化制御器18から出力されたq軸非干渉化補正値Vqaを加算してq軸電圧指令値Vq**を非干渉化したq軸電圧指令値Vqを生成し、dq/3φ変換器21ならびに軸誤差演算処理器26へ出力する。
dq/3φ変換器21は、位置推定器30から出力された現在のロータの位置である電気角位相(dq軸位相)θeを用いて、非干渉化された2相のd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、3相の電圧指令値であるU相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwへ変換する。そして、dq/3φ変換器21は、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値VwをPWM生成器22ならびに3φ電流算出器24Aへ出力する。なお、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwおよび後述のU相の検出電流Iu、V相の検出電流Iv、W相の検出電流Iwは3相の固定座標系の電圧および電流である。
PWM生成器22は、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwと、PWMキャリア信号から、6相のPWM信号を生成し、IPM23へ出力する。PWM生成器22は、信号生成器の一例である。なお、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを電圧指令値とし、dq/3φ変換器21が信号生成器に含まれるとしてもよい。
IPM23は、PWM生成器22から出力された6相のPWM信号をもとに、モータ1のU相、V相、W相それぞれへ印可する交流電圧を、外部から供給される直流電圧Vdcから生成し、それぞれの交流電圧をモータ1のU相、V相、W相へ印加する。IPM23は、モータ1の目標速度と現在速度との差をもとに生成された駆動電圧をモータ1へ供給してモータ1を駆動する駆動部の一例である。IPM23は、例えばトランジスタやダイオードを集積したIC(Integral Circuit)でもよいが、例えばそれぞれの部品を回路基板上に配置した構成でもよい。
1シャント電流検出器32は、シャント抵抗(不図示)に流れる母線電流を1シャント電流検出方式により検出する。そして、1シャント電流検出器32は、検出した母線電流の情報と、PWM生成器22の出力である6相のPWM信号(Up、Vp、Wp、Un、Vn、Wn)のスイッチング情報とを、3φ電流算出器24Aへ出力する。なお、1シャント電流検出器32は、モータ1のU相、V相、W相のうち、2つのCT(Current Transformer)で2相の電流を検出する電流センサを用いる2CTなどの他の手段により代替されてもよい。
3φ電流算出器24Aは、1シャント電流検出器32から出力された6相のPWM信号のスイッチング情報と母線電流(検出電流)の情報とから、モータ1の固定座標系であるUVW座標系におけるU相の検出電流Iu、V相の検出電流Iv、W相の検出電流Iwを算出する。そして、3φ電流算出器24Aは、算出したモータ1のU相の検出電流Iu、V相の検出電流Iv、W相の検出電流Iwを、3φ/dq変換器25へ出力する。
または、3φ電流算出器24Aは、2CT電流検出方式により母線電流を検出する場合には、検出した2相の電流の他の1相の電流を、キルヒホッフ法則の関係式Iu+Iv+Iw=0から算出する。
なお、3φ電流算出器24Aの構成および処理の詳細は、後述する。3φ電流算出器24Aは、マイクロコンピュータの一部であり、モータ1を流れる電流を検出する検出部の一例である。
3φ/dq変換器25は、位置推定器30から出力された電気角位相θeを用いて、3φ電流算出器24から出力された3相のU相の検出電流Iu、V相の検出電流Iv、W相の検出電流Iwを、2相のd軸電流Idおよびq軸電流Iqへ変換する。そして、3φ/dq変換器25は、d軸電流Idを減算器14、非干渉化制御器18、3φ電流算出器24A、軸誤差演算処理器26へ、q軸電流Iqを減算器15、非干渉化制御器18、3φ電流算出器24A、軸誤差演算処理器26へ、それぞれ出力する。
軸誤差演算処理器26は、減算器19から出力されたd軸電圧指令値Vdおよび加算器20から出力されたq軸電圧指令値Vqと、3φ/dq変換器25から出力されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqとから、軸誤差変動Δθを算出し、PLL制御器29へ出力する。ここで、軸誤差とは、実際のdq軸と制御上のdq軸(γδ軸)とのズレのことである。
PLL制御器29は、軸誤差演算処理器26から出力された軸誤差変動Δθから、推定された現在のモータ1の回転の角速度である電気角推定速度ωeを算出し、非干渉化制御器18、3φ電流算出器24A、位置推定器30、1/Pn処理器31へそれぞれ出力する。
位置推定器30は、PLL制御器29から出力された電気角推定速度ωeから、モータ1のロータ位置を推定した推定位置である電気角位相(dq軸位相)θeを算出する。そして、位置推定器30は、電気角位相θeをdq/3φ変換器21および3φ/dq変換器25へそれぞれ出力する。位置推定器30は、モータ1のロータ位置の推定位置を算出する位置推定部の一例である。
1/Pn処理器31は、PLL制御器29から出力された電気角推定速度ωeをモータ1の極対数Pnで除算し、現在のモータ1の回転速度(機械角速度)ωを算出し、減算器11へ出力する。
<実施形態1の3φ電流算出器の構成について>
図5は、実施形態1の3φ電流算出器の構成の一例を示す図である。3φ電流算出器24Aは、図5に示すように、検出電流相/検出パターン判定処理部24Aa、検出電流処理部24Ab、電流推定部である推定電流演算部24Ac、電流再現処理部24Adを有する。
検出電流相/検出パターン判定処理部24Aaは、PWM生成器22から出力された6相のPWM信号のスイッチング情報から、1シャント電流検出器32から出力された検出電流が何れの相であるかを判定し、判定した結果をもとに、検出電流の相を示す情報である検出電流相と、検出電流の相の数を示す情報である検出パターンとを生成する。そして、検出電流相/検出パターン判定処理部24Aaは、検出電流相を検出電流処理部24Abへ出力し、検出パターンを電流再現処理部24Adへ出力する。
検出電流処理部24Abは、検出電流相/検出パターン判定処理部24Aaから出力された検出電流相をもとに、1シャント電流検出器32によりシャント抵抗(不図示)を用いて検出された検出電流がU相の検出電流Iud、V相の検出電流Ivd、W相の検出電流Iwdの何れであるかを特定する。そして、検出電流処理部24Abは、特定したU相の検出電流Iud、V相の検出電流Ivd、W相の検出電流Iwdを電流再現処理部24Adへ出力する。なお、1シャント電流検出器32によりシャント抵抗(不図示)を用いて何れの電流も検出されなかった場合には、検出電流処理部24Abは、U相の検出電流Iud、V相の検出電流Ivd、W相の検出電流Iwdの何れも電流再現処理部24Adへ出力しない。
推定電流演算部24Acは、dq/3φ変換器21から出力されたU相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vw、3φ/dq変換器25から出力されたd軸電流Id、q軸電流Iq、PLL制御器29から出力された電気角推定速度ωe、位置推定器30から出力された電気角位相θe、記憶装置などの外部から与えられたモータパラメータである誘起電圧定数Keをもとに、上記(式12)、(式15)〜(式17)、(式18)〜(式20)、(式21)〜(式24)、(式25)から、U相の推定電流Iue、V相の推定電流Ive、W相の推定電流Iweを推定する。
すなわち、推定電流演算部24Acは、誘起電圧定数Ke、電気角位相θe、電気角推定速度ωeをもとに、上記(式9)〜(式11)から、誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出する。そして、推定電流演算部24Acは、出力電圧指令値Vu、Vv、Vw、誘起電圧Eu、Ev、Ewをもとに、上記(式12)から、中性点電位Vnを算出する。そして、推定電流演算部24Acは、出力電圧指令値Vu、Vv、Vw、誘起電圧Eu、Ev、Ew、中性点電位Vnをもとに、上記(式18)〜(式25)から、ラプラス演算子sを含まない電流振幅補正係数Kaを算出する。
そして、推定電流演算部24Acは、出力電圧指令値Vu、Vv、Vw、誘起電圧Eu、Ev、Ew、中性点電位Vn、電流振幅補正係数Kaをもとに、上記(式15)〜(式17)から、U相の推定電流Iue、V相の推定電流Ive、W相の推定電流Iweを推定する。そして、推定電流演算部23Acは、推定したU相の推定電流Iue、V相の推定電流Ive、W相の推定電流Iweを、電流再現処理部24Adへ出力する。
電流再現処理部24Adは、検出電流相/検出パターン判定処理部24Aaから出力された検出パターンをもとに、検出電流処理部24Abから出力された2相の検出電流から3相電流を再現する処理と、検出電流処理部24Abから出力された1相の検出電流および推定電流演算部24Acから出力された推定電流から3相電流を再現する処理との何れかを切り替えて実行する。検出電流処理部24Abから出力された2相の検出電流から3相電流を再現する処理は、従来技術どおりの処理である。
電流再現処理部24Adは、検出電流と同相の推定電流とを比較し、検出電流と同相の推定電流との誤差が所定値以内(通常の検出電流における許容誤差以内)であるか否かを判定する。つまり、電流再現処理部24Adは、推定電流の正確さを判定する。電流再現処理部24Adは、この誤差が所定値以内であった場合、検出できなかった2相の電流を、推定電流演算部24Acから出力された推定電流で置き換える。または、電流再現処理部24Adは、検出できなかった1相の電流を推定電流とし、残りの1相をキルヒホッフの法則から算出してもよい。
電流再現処理部24Adは、検出電流と同相の推定電流とを比較した誤差が所定値を超えた場合は、推定電流に算出誤差が含まれる、または、検出電流にノイズが重畳していると判定し、この処理タイミングにおける検出電流および推定電流をモータ1の制御に用いないように、例えば出力しないなどの制御を行う。
または、検出電流と同相の推定電流との比較により求められた検出電流と推定電流との誤差を用いて、検出されていない相の電流の補正値として扱うことで、推定電流の精度を向上させることが可能となる。例えば、U相の検出電流Iuが検出できた場合のU相の推定電流Iueとの誤差を、下記(式32)のように定義する。
ΔI=Iu−Iue ・・・(式32)
キルヒホッフの法則から、3相電流の合計値は0になることから、推定電流と実際の相電流との関係は、下記(式33)のようになる。
Iu+Iv+Iw=Iue+Ive+Iwe(=0) ・・・(式33)
上記(式32)を用いて(式33)を変形すると、下記(式34)式のようになる。下記(式34)を式変形したものが下記(式35)となる。
ΔI+Iue+Iv+Iw=Iue+Ive+Iwe ・・・(式34)
Iv+Iw=Ive+Iwe−ΔI ・・・(式35)
上記(式35)は、検出できない相電流の合計値は、その推定電流を、検出できた相の検出電流と推定電流との誤差を用いて補正することにより、下記(式36)のように、再現性が高まることを示す。
Iu+Iv+Iw=Iu+Ive+Iwe−ΔI ・・・(式36)
このように、検出できた相の検出電流と推定電流を比較することで、推定電流の精度が許容誤差範囲内にあるか否かを判定できる。そのため、次の処理タイミングで推定電流を算出するために必要となるd軸電流Idおよびq軸電流Iq、U相出力電圧指令値Vu*、V相出力電圧指令値Vv*、W相出力電圧指令値Vw*、電気角推定速度ωe、電気角位相θeから求められる振幅成分および位相成分を精度良く算出できる。このことから、1相しか相電流を検出できない場合でも、精度よく電流再現を行うことができる。また、検出した1相の相電流に対して、推定電流の精度が許容誤差範囲内であると判定した場合に、検出できていない残りの2相に対しても推定電流の精度が許容誤差範囲内であると推定できることから、検出できない2相の電流についても精度を保証することができ、推定電流値が正確な値となる。
<実施形態1の処理タイミングおける電流検出判定とd軸電流Idおよびq軸電流Iq>
図6は、処理タイミングおける電流検出判定とd軸電流Idおよびq軸電流Iqとを説明するための図である。図6は、各処理タイミング(キャリア周波数)と電流検出判定とd軸電流Idおよびq軸電流Iqとの関係を示す。図6において、電流検出判定が×の場合(電流検出できなかったタイミングである場合)、推定電流を算出する必要がある。この時、d軸電流Idおよびq軸電流Iqは検出できないため、上記(式24)の2軸上の電流振幅(dq軸電流振幅)Kdqを算出することはできない。このため、ラプラス演算子sを含まない振幅成分(電流振幅補正係数Ka)を算出することができない。
そのため、電流検出ができなかった処理タイミングにおけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqとして、フィルタや補間(もしくは補外)などの方法で電流検出ができなかった処理タイミングの前後で補完し、電流振幅(dq軸電流振幅)Kdqを求める。もしくは、電流振幅補正係数Kaそのものをフィルタや補間(もしくは補外)などの方法で電流検出ができなかった処理タイミングの前後で補完してもよい。
(実施形態1の変形例)
実施形態1では、電流検出ができなかった処理タイミングにおけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqとして、フィルタや補間(もしくは補外)などの方法で補完し、電流振幅(dq軸電流振幅)Kdqを求めるとした。しかし、これに限られず、3φ/dq変換器25は、電流検出ができた処理タイミングにおけるd軸電流Idおよびq軸電流Iqの前回値を記憶する記憶部(不図示)を有してもよい。この場合、3φ電流算出器24Aは、電流検出ができなかった処理タイミングにおいて、電流検出不能を示す信号を3φ/dq変換器25へ出力する。3φ/dq変換器25は、3φ電流算出器24Aから電流検出不能を示す信号が入力されると、記憶部(不図示)に記憶されるd軸電流Idおよびq軸電流Iqの前回値を3φ電流算出器24Aへ出力する。なお、d軸電流Idおよびq軸電流Iqの前回値を記憶する記憶部(不図示)は、3φ/dq変換器25が有することに限られず、3φ/dq変換器25の後段かつ軸誤差演算処理器26の前段に、3φ/dq変換器25から独立して設けられてもよい。
以上の実施形態1は、ラプラス演算子sを含まない電流推定手段を用いるため、推定電流の計算負荷を軽くすることができる。また、実施形態1は、電流依存、温度依存する種々のパラメータを含まない電流推定手段を用いるため、電流推定の精度を向上させることができる。また、実施形態1は、推定電流の精度が許容範囲内にあるか否かを判定し、判定結果に応じて推定電流を誤差補正するため、高い精度で電流再現できる。
[実施形態2]
<実施形態2の理論的背景>
(実施形態2の概要)
上述の実施形態1では、図1に示すように、モータ1を等価回路で置き換えた場合のモータ1のU相、V相、W相の各相の誘起電圧を、誘起電圧定数Keを用いて推定し、推定した誘起電圧を用いてモータ1のU相、V相、W相の各相の電流を推定するとした。ここで、誘起電圧から推定電流を算出する場合、モータパラメータである誘起電圧定数Ke、回転数(回転速度)ω、ロータの回転角度(位相)θが正しくなければ、精度の高い電流推定が行えない。また、誘起電圧定数Keは、モータの個体バラツキ、モータの磁石の温度依存性や経年劣化などの要因により、推定電流の精度にも影響を及ぼす。
具体的には、上記(式9)〜(式11)は、誘起電圧定数Keの変化によって各相の推定される誘起電圧Eu、Ev、Ewの値が変動するため、誤差を含む。この誘起電圧Eu、Ev、Ewを用いて算出される上記(式15)〜(式17)の推定電流も誤差を含み、推定電流の推定精度が低化する。そこで、実施形態2では、モータ1のU相、V相、W相の各相の誘起電圧Eu、Ev、Ewを、誘起電圧定数Keを用いずd軸電圧指令値Vd、q軸電圧指令値Vdから求めることで、誘起電圧の算出精度を推定より良いものとする。
具体的には、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値VqからU、V、W三相それぞれの誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出する。
以下、実施形態2のd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値VqからU、V、W三相それぞれの誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出する方法について説明する。図7は、モータモデルにおける基本ベクトル図である。下記(式37)にモータモデル式を示す。下記(式37)のモータモデル式を過渡項を無視して図示したものが、図7である。図7において、“Vo”は誘起電圧である。
Figure 2019170089
また、図8は、dq軸上の誘起電圧の算出を説明するための図である。図8に示すように、d軸上の誘起電圧Vodは、dq軸電圧(印加電圧、または出力電圧)Vaのd軸成分Vdからd軸電流Idと抵抗値Raの積に相当する電圧Ra・Idを減算したものとなる。抵抗値Raは、d軸およびq軸の各1相あたりのモータ1の抵抗値である。また、q軸上の誘起電圧Voqは、dq軸電圧Vaのq軸成分Vqからq軸電流Iqと抵抗値Raの積に相当する電圧Ra・Iqを減算したものとなる。この関係を下記(式38)および(式39)に示す。
Vod=Vd−Ra・Id ・・・(式38)
Voq=Vq−Ra・Iq ・・・(式39)
上記(式38)、(式39)、図7、図8から、dq軸電圧Vaは、誘起電圧Voとdq軸電流Ia(図7参照)と抵抗値Raとから求められることが分かる。誘起電圧定数Keは、鎖交磁束Ψaから求められ、誘起電圧定数Keと回転数(回転速度)ωとを乗じた値と、鎖交磁束Ψaと回転数(回転速度)ωとを乗じた値の関係は一致するため、合成された鎖交磁束Ψoと回転数(回転速度)ωとを乗じた値は誘起電圧Voであることが分かる。
このようにして求められたd軸上での誘起電圧Vodおよびq軸上での誘起電圧Voqを、U相、V相、W相の3相の誘起電圧Eu、Ev、Ewへ変換する。2相−3相変換は、通常行われるd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値から出力電圧指令値(印加電圧)Vu、Vv、Vwへの変換と同じ方法で行う。これにより、動作環境の変化によって値が変動する誘起電圧定数Keを用いず、誘起電圧を算出できる。この2相の誘起電圧Vodおよび誘起電圧Voqから3相の誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出するための算出式を、下記(式40)〜(式42)に示す。
Eu=√(2/3)・(Vod・cosθ−Voq・sinθ) ・・・(式40)
Ev=√(2/3)・{Vod・(√(3)・sinθ−cosθ)/2
+Voq・(sinθ+√(3)・cosθ)/2) ・・・(式41)
Ew=√(2/3)・{Vod・(−√(3)・sinθ−cosθ)/2
+Voq・(sinθ−√(3)・cosθ)/2) ・・・(式42)
上記(式38)〜(式42)のように、誘起電圧Eu、Ev、Ewをd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqから直接求めることで、従来技術の方式よりも精度の高い誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出できる。その結果、上記(式15)〜(式17)を用いて算出される推定電流Iue、Ive、Iweの推定精度を上げることができる。
<実施形態2のモータ制御装置の構成について>
図9は、実施形態2のモータ制御装置の構成の一例を示す図である。実施形態2のモータ制御装置100Bは、実施形態1のモータ制御装置100Aと比較して、マイクロコンピュータ10Aの代わりにマイクロコンピュータ10B、また、マイクロコンピュータ10Aの一部である3φ電流算出器24Aの代わりに3φ電流算出器24Bを有する。
dq/3φ変換器21は、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値VwをPWM生成器22ならびに3φ電流算出器24Bへ出力する。また、3φ/dq変換器25は、d軸電流Idを減算器14、非干渉化制御器18、3φ電流算出器24B、軸誤差演算処理器26へ、q軸電流Iqを減算器15、非干渉化制御器18、3φ電流算出器24B、軸誤差演算処理器26へ、それぞれ出力する。
また、減算器19は、d軸電流制御器16から出力されたd軸電圧指令値Vd**から、非干渉化制御器18から出力されたd軸非干渉化補正値Vdaを減算してd軸電圧指令値Vd**を非干渉化したd軸電圧指令値Vdを生成し、dq/3φ変換器21、3φ電流算出器24B、ならびに軸誤差演算処理器26へ出力する。加算器20は、q軸電流制御器17から出力されたq軸電圧指令値Vq**に、非干渉化制御器18から出力されたq軸非干渉化補正値Vqaを加算してq軸電圧指令値Vq**を非干渉化したq軸電圧指令値Vq*を生成し、dq/3φ変換器21、3φ電流算出器24B、ならびに軸誤差演算処理器26へ出力する。
また、1シャント電流検出器32は、検出した母線電流の情報と、PWM生成器22の出力である6相のPWM信号(Up、Vp、Wp、Un、Vn、Wn)のスイッチング情報とを、3φ電流算出器24Bへ出力する。
<実施形態2の3φ電流算出器の構成について>
図10は、実施形態2の3φ電流算出器の構成の一例を示す図である。実施形態2の3φ電流算出器24Bは、図10に示すように、検出電流相/検出パターン判定処理部24Ba、検出電流処理部24Bb、推定電流演算部24Bc、電流再現処理部24Bdを有する。3φ電流算出器24Bは、実施形態1の3φ電流算出器24Aと比較して、推定電流演算部24Bcのみが推定電流演算部24Acと異なり、検出電流相/検出パターン判定処理部24Ba、検出電流処理部24Bb、電流再現処理部24Bdが、検出電流相/検出パターン判定処理部24Aa、検出電流処理部24Ab、電流再現処理部24Adと同様である。
<実施形態2の推定電流演算器の構成について>
図11は、実施形態2の推定電流算出部の構成の一例を示す図である。実施形態2の推定電流演算部24Bcは、dq軸誘起電圧算出部24Bc−1、3φ軸誘起電圧算出部24Bc−2、電流振幅演算部24Bc−3、推定電流演算部24Bc−4を有する。
dq軸誘起電圧算出部24Bc−1は、d軸電流Id、q軸電流Iq、d軸電圧指令値Vd、q軸電圧指令値Vq、モータパラメータRaをもとに、上記(式38)〜(式39)から、d軸上の誘起電圧Vodおよびq軸上の誘起電圧Voqを算出する。そして、dq軸誘起電圧算出部24Bc−1は、算出したd軸上の誘起電圧Vodおよびq軸上の誘起電圧Voqを、3φ軸誘起電圧算出部24Bc−2へ出力する。なお、dq軸誘起電圧算出部24Bc−1は、上記(式38)〜(式39)におけるモータパラメータである“Ra”として、記憶装置等の外部から与えられたモータ1の抵抗値Raを用いる。
3φ軸誘起電圧算出部24Bc−2は、d軸上の誘起電圧Vod、q軸上の誘起電圧Voq、電気角位相θeをもとに、上記(式40)〜(式42)から、3φ軸上の誘起電圧Eu、Ev、Ewを算出する。そして、3φ軸誘起電圧算出部24Bc−2は、算出した3φ軸上の誘起電圧Eu、Ev、Ewを、推定電流演算部24Bc−4へ出力する。なお、3φ軸誘起電圧算出部24Bc−2は、上記(式40)〜(式42)における“θ”として、位置推定器30から出力された電気角位相θeを用いる。
電流振幅演算部24Bc−3は、d軸電流Id、q軸電流Iqをもとに、上記(式24)から、2軸上の電流振幅(dq軸電流振幅)Kdqを算出し、推定電流演算部24Bc−4へ出力する。
推定電流演算部24Bc−4は、3φ軸上の誘起電圧Eu、Ev、Ew、2軸上の電流振幅(dq軸電流振幅)Kdq、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwをもとに、上記(式14)、(式15)〜(式17)、(式18)〜(式20)、(式21)〜(式22)、(式23)〜(式24)、(式25)から、3相の推定電流Iue、Ive、Iweを算出する。そして、推定電流演算部24Bc−4は、算出した3相の推定電流Iue、Ive、Iweを、電流再現処理部24Bdへ出力する。
以上の実施形態2によれば、3φ軸上の誘起電圧Eu、Ev、Ewを、U相出力電圧指令値Vu、V相出力電圧指令値Vv、W相出力電圧指令値Vwから求める。これにより、モータ1の個体バラツキ、モータ1の磁石の温度依存性や経年劣化の影響を受ける誘起電圧定数Keを用いずに、誘起電圧Eu、Ev、Ewをリアルタイムで精度よく算出できる。よって、誘起電圧3相の推定電流Iue、Ive、Iweを、より高い精度で推定することができる。
上述の実施形態および図示の具体的名称、処理、制御、各種のデータやパラメータを含む情報については、一例を示すに過ぎず、特記する場合を除いて適宜変更することができる。また、上述の実施形態における各部もしくは各装置の構成は、処理負荷や実装効率等から適宜分散または統合されてもよい。また、上述の実施形態における各処理は、処理負荷や実装効率等から、処理順序を適宜入れ替えて実行されてもよい。
上述の実施形態のより広範な態様は、上述のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 モータ
10A、10B マイクロコンピュータ
11 減算器
12 速度制御器
13 励磁電流制御器
14 減算器
15 減算器
16 d軸電流制御器
17 q軸電流制御器
18 非干渉化制御器
19 減算器
20 加算器
21 dq/3φ変換器
22 PWM生成器
23 IPM
24A、24B 3φ電流算出器
24Aa、24Ba 検出電流相/検出パターン判定処理部
24Ab、24Bb 検出電流処理部
24Ac、24Bc 推定電流演算部
24Ad、24Bd 電流再現処理部
24Bc−1 dq軸誘起電圧算出部
24Bc−2 3φ軸誘起電圧算出部
24Bc−3 電流振幅演算部
24Bc−4 推定電流演算部
25 3φ/dq変換器
26 軸誤差演算処理器
29 PLL制御器
30 位置推定器
31 1/Pn処理器
32 1シャント電流検出器
100A、100B モータ制御装置

Claims (6)

  1. モータの目標速度と現在速度との差をもとに生成された駆動電圧を前記モータへ供給して前記モータを駆動する駆動部と、
    前記モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を検出する検出部と、
    dq座標系における各相の駆動電圧からUVW座標系における各相の前記駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、を備え、
    前記検出部は、
    前記モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を推定する電流推定部を備え、
    前記電流推定部は、
    前記モータのUVW座標系における各相の誘起電圧を、前記dq座標系における各相の電圧指令値に基づいて算出し、前記モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を、算出した誘起電圧を用いて推定する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記電流推定部は、
    各相において電圧次元の推定電流の振幅に対する前記検出部により検出された電流の振幅の比と前記駆動電圧と前記モータの誘起電圧とから、前記モータを流れるUVW座標系における各相の相電流を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記検出部は、
    前記モータを流れるUVW座標系における各相のうち相電流を検出できた相については検出できた相電流を出力し、検出できなかった相については前記電流推定部により推定された相電流を出力する電流再現処理部を備え、
    前記電流再現処理部は、
    前記モータを流れるUVW座標系における各相のうち、相電流を検出できた相がある場合に、該検出できた相電流を出力し、検出できなかった相については前記電流推定部により推定された相電流を出力する処理と、相電流を検出できた相がない場合に、全ての相について前記電流推定部により推定された相電流を出力する処理とを切り替えて実行する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記電流再現処理部は、
    前記モータを流れるUVW座標系における各相のうち、相電流を検出できた相の相電流と前記電流推定部により推定された該相の相電流との差を判定し、
    前記差が所定値以内である場合に、相電流を検出できた相については該検出できた相電流を出力し、相電流を検出できなかった相について前記電流推定部により推定された相電流を出力する
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記電流再現処理部は、
    前記差が所定値を超えた場合には、各相の相電流を前記差が所定値を超えたタイミングの前後で補完して出力する
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記電流再現処理部は、
    前記差が所定値以内である場合に、前記電流推定部により推定された相電流を前記差をもとに補正して出力する
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
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