JP2019169631A - 軟磁性薄膜および磁性部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い飽和磁束密度および低い保磁力を有する軟磁性薄膜及磁性部品を提供する。【解決手段】軟磁性結晶粒子を有する軟磁性薄膜1Aである。軟磁性結晶粒子11の平均粒径が3nm以上50nm以下である。軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察し、軟磁性結晶粒子が柱状に積み重なっている柱状構造12が確認されることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、軟磁性薄膜および磁性部品に関する。
コイルおよび磁心を共に薄膜とすることで作製される薄膜インダクタは主に高周波領域での使用が検討されている。また、高周波領域での使用の一例としてパワーインダクタとしての使用が検討されている。
高周波領域でパワーインダクタとして薄膜インダクタを用いる場合における最大の問題点は渦電流損失である。渦電流損失を低減する方法としては、薄膜インダクタの磁心を絶縁膜および磁性膜を交互に積層させた多層構造とする方法が検討されている。磁性膜1枚あたりの厚さを低減し、磁性膜と磁性膜の間に絶縁膜を挿入することにより、シート抵抗が向上し、渦電流損失が低減される。具体的には、磁性膜の膜厚を0.1μm以下にすることで十分に渦電流損失が低減される。
しかし、絶縁膜および磁性膜を交互に積層させた多層構造の作製には非常に大きなコストが発生する。また、積層数が多ければ多いほどコストは増大する。主にコスト削減の要求から、磁性膜の飽和磁束密度を向上させることが望まれている。飽和磁束密度が高いほど磁心の磁路断面積を小さくすることができる。その結果、膜厚を厚くしても、または、積層数を少なくしても、渦電流損失を低減することができる。例えば、飽和磁束密度を20%高くすることで、膜厚を20%厚くするか積層数を20%少なくすることができる。
また、パワーインダクタにおいてはコアロスを少なくすることも重要である。コアロスはヒステリシス損失と渦電流損失との和で表される。ここで、ヒステリシス損失を低減させるためには保磁力を低下させることが重要である。
以上より、特にパワーインダクタ用の軟磁性薄膜には、飽和磁束密度の向上、および、保磁力の低下が求められる。
特許文献1には、急冷薄帯合金を熱処理することにより得られるナノ結晶材料が記載されている。これは、Feの結晶構造がbcc(体心立方格子構造)であり、結晶粒径がナノオーダーである材料である。ナノ結晶材料は高い飽和磁束密度および低い保磁力を併せ持つ。
また、ナノ結晶材料の保磁力が低くなる理由はいわゆるランダム異方性モデルで説明されることが知られている。しかし、ランダム異方性モデルは誘導磁気異方性の影響を大きく受けることが知られている。
誘導磁気異方性は、外部からの力や作成工程が関与した異方性であり、薄膜の場合には、成膜時の圧力、熱処理時のナノ結晶生成による応力変化、およびその際の基板との熱膨張係数との相違により生じる。ナノ結晶材料の製造では高温の熱処理が必要であり、熱処理時に基板の影響を受ける薄膜では特に大きくなることが知られている。そして、誘導磁気異方性が大きい場合にはナノ結晶材料の保磁力が高くなることが知られている。
本発明は、高い飽和磁束密度を維持しながら低い保磁力を有する軟磁性薄膜等を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る軟磁性薄膜は、
軟磁性結晶粒子を有する軟磁性薄膜であって、
前記軟磁性結晶粒子の平均粒径が3nm以上50nm以下であり、
前記軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察して前記軟磁性結晶粒子が柱状に積み重なっている柱状構造が確認されることを特徴とする。
軟磁性結晶粒子を有する軟磁性薄膜であって、
前記軟磁性結晶粒子の平均粒径が3nm以上50nm以下であり、
前記軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察して前記軟磁性結晶粒子が柱状に積み重なっている柱状構造が確認されることを特徴とする。
本発明に係る軟磁性薄膜は、上記の特徴を有することで、高い飽和磁束密度を維持しながら低い保磁力を有する軟磁性薄膜等を提供することが可能となる。
本発明に係る軟磁性薄膜は、さらにアモルファス相を有していてもよい。
本発明に係る軟磁性薄膜は、前記軟磁性結晶粒子が前記アモルファス相で覆われていてもよい。
本発明に係る軟磁性薄膜は、前記柱状構造内の最短ナノ結晶間隔が、柱状構造間の最短ナノ結晶間隔よりも小さくてもよい。
本発明に係る軟磁性薄膜は、FeおよびCoから選択される1種以上を含有してもよく、かつ、Nb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有してもよい。
本発明に係る軟磁性薄膜は、前記アモルファス相がNb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有してもよい。
本発明に係る磁性部品は、上記の軟磁性薄膜からなる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る軟磁性薄膜1Aは、
軟磁性結晶粒子11を有し、
軟磁性結晶粒子11の平均粒径が3nm以上50nm以下であり、
軟磁性薄膜1Aの厚さ方向Tに平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察し、
軟磁性結晶粒子11が柱状に積み重なっている柱状構造12が確認されることを特徴とする。
軟磁性結晶粒子11を有し、
軟磁性結晶粒子11の平均粒径が3nm以上50nm以下であり、
軟磁性薄膜1Aの厚さ方向Tに平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察し、
軟磁性結晶粒子11が柱状に積み重なっている柱状構造12が確認されることを特徴とする。
本実施形態に係る軟磁性薄膜1Aは、上記の特徴を有することにより、高い飽和磁束密度を維持しながら低い保磁力を有する。
一般的に、軟磁性薄膜が軟磁性結晶粒子に与える応力は面平行方向、すなわち厚さ方向Tに垂直な方向にかかる。そして、軟磁性結晶粒子にかかる応力は面平行方向における軟磁性結晶粒子同士の間隔が大きいほど低下する。これは、軟磁性薄膜における軟磁性結晶粒子以外の物質が軟磁性結晶粒子に係る応力を低下させるバッファとして機能するためである。このため、軟磁性結晶粒子の粒径、および、軟磁性薄膜における軟磁性結晶粒子の密度が同一であれば、面平行方向における軟磁性結晶粒子同士の間隔が大きいほど軟磁性結晶粒子に係る応力が低減する。その結果、軟磁性薄膜の保磁力が低下する。
面平行方向における軟磁性結晶粒子同士の間隔は、図1に示すように、軟磁性結晶粒子11が厚さ方向Tの方向に柱状に積み重なり柱状構造12を構成している軟磁性薄膜1Aの場合に最も大きくなる。
ここで、上記の応力を低下させる効果は軟磁性結晶粒子以外の物質がアモルファスである場合に大きくなる。そして、図1に示すように、軟磁性薄膜1Aがさらにアモルファス相13を有し、軟磁性結晶粒子11がアモルファス相13で覆われている構造である場合には上記の応力を低下させる効果がさらに大きくなる。
また、柱状構造12は、図1に示す軟磁性薄膜1Aのように完全に厚さ方向Tと同一方向でなくてもよく、図2に示す軟磁性薄膜1Bのように厚さ方向Tからある程度、傾いていてもよい。柱状構造12が厚さ方向Tからある程度、傾いていても、上記の応力を低下させる効果は発揮される。具体的には、図2に示す柱状構造12の長辺方向と厚さ方向Tとの間のなす角θが30°以下である程度に傾いていても、上記の応力を低下させ、保磁力を低下させる効果が発揮される。
これに対し、図3に示す軟磁性薄膜1Cのように軟磁性結晶粒子11が軟磁性薄膜1C内にランダムに存在し、軟磁性薄膜1Cが柱状構造13を有しない場合には、図1に示す軟磁性薄膜1Aや図2に示す軟磁性薄膜1Bと比較して保磁力が上昇してしまう。
さらに、柱状構造12内の最短ナノ結晶間隔αが、柱状構造12間の最短ナノ結晶間隔βよりも小さいことが好ましい。なお、ナノ結晶間隔とは、平均粒径が3nm以上50nm以下である軟磁性結晶粒子11同士の間隔のことである。最短ナノ結晶間隔αとは、一つの柱状構造12の中で、軟磁性結晶粒子11同士の間隔が最も短い部分のことである。最短ナノ結晶間隔βとは、隣接する二つの柱状構造12の間で軟磁性結晶粒子11同士の間隔が最も短い部分のことである。最短ナノ結晶間隔αおよび最短ナノ結晶間隔βを図示した模式図を図4に示す。
本実施形態に係る柱状構造12の有無は軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察することにより確認される。本実施形態に係る柱状構造12はTEMで解析しても確認できず、STEMを使ってADF像を観察することにより確認できる。後述する実施例1について軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察した結果を図5に示す。また、TEMで解析した結果を図6に示す。図5では柱状構造の存在が確認できるが、図6では柱状構造の存在が確認できない。なお、本明細書ではSTEMを使って観察されるADF像をSTEM−ADF像と呼ぶことがある。
本実施形態に係る軟磁性薄膜の柱状構造12が形成されるか否かは、主に軟磁性薄膜の組成、軟磁性薄膜の成膜条件、および、成膜後の熱処理条件に依存する。例えば、これらの条件のうちいくつかが好ましくないものであっても、別の条件が好ましければ柱状構造12が形成されることがあり得る。逆に、これらの条件のほとんどが好ましいものであっても、ある条件が好ましい条件から著しく外れていれば柱状構造12が形成されないことがあり得る。
軟磁性薄膜の組成は任意であるが、FeおよびCoから選択される1種以上を含有し、かつ、Nb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有することが好ましい。また、Feを含有し、かつ、Nb,Zr,Hf,Taから選択される1種以上を含有することがさらに好ましい。また、アモルファス相12がNb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有することが好ましく、Nb,Zr,Hf,Taから選択される1種以上を含有することがさらに好ましい。軟磁性薄膜の組成はXRFおよびICP−AESを用いて確認することができる。さらに、アモルファス相12に含有される元素の種類は、STEM−ADF像およびSTEM−EDSによる元素マッピング結果を組み合わせることで確認することができる。さらに、本実施形態にかかる軟磁性薄膜は、その他の元素としてP,Si,BおよびCから選択される1種以上を含有することが好ましい。
さらに、本実施形態の軟磁性薄膜はFeZrP系、FeZrB系またはFeZrPSi系の組成を有することが好ましく、FeZrPSi系の組成を有することが特に好ましい。なお、本願では、「FeZrP系」という場合には、Feを主相として、ZrおよびPの含有割合がそれぞれ1at%以上含まれる組成を差す。その他の組成についても同様である。FeZrP系、FeZrB系またはFeZrPSi系の組成を有する軟磁性薄膜は、後述する成膜条件および熱処理条件を制御する場合において本実施形態の柱状構造12が得られやすくなり、FeZrPSi系の場合には特に本実施形態の柱状構造12が得られやすくなる。
本実施形態に係る軟磁性結晶粒子はFe基ナノ結晶からなることが好ましい。Fe基ナノ結晶とは、粒径がナノオーダーであり、Feの結晶構造がbcc(体心立方格子構造)である結晶のことである。Fe基ナノ結晶を生成させた軟磁性合金は、飽和磁束密度が高くなりやすく、保磁力が低くなりやすい。
これに対し、粒径が50nm以上である異常粒成長した軟磁性結晶粒子が生じる場合には、軟磁気特性が低下し、特に保磁力が高くなりやすい。
なお、本実施形態に係る軟磁性薄膜の厚みは任意である。例えば20nm以上10μm以下としてもよい。また、用途によって好適な厚みを適宜選択してもよい。
以下、本実施形態に係る軟磁性薄膜の製造方法について説明する
本実施形態に係る軟磁性薄膜の製造方法には特に限定はない。例えばスパッタリングにより製造する方法が挙げられる。
まず、薄膜をスパッタリングさせる基板を準備する。基板の種類は任意である。例えば、シリコン基板、熱酸化膜付きシリコン基板、フェライト基板、非磁性フェライト基板、サファイア基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板等が挙げられる。しかし、基板の種類はこれらに限定されず、各種セラミック基板や各種半導体基板を用いることが可能である。
次に、準備した基板に対してスパッタリングを行うことで所定の組成を有する軟磁性薄膜を成膜する。スパッタリング時の成膜速度および成膜時間を制御することにより得られる軟磁性薄膜の厚さを制御することができる。成膜速度は例えば1Å/min以上3000Å/min未満とすることができる。また、成膜圧力は0.01Pa以上10Pa以下としてもよい。
また、スパッタリング時の雰囲気は不活性ガス中または10Pa以下の真空中であればよい。例えばAr雰囲気中であってもよい。Ar雰囲気中でスパッタリングを行う場合には、Arガス流量1sccm以上500sccm以下としてもよい。
なお、成膜直後の薄膜についてXRD測定を行うことで、成膜直後の薄膜が非晶質(アモルファス)であることが確認できる。
次に、得られた薄膜に熱処理(アニール)を行う。
具体的には、成膜後、スパッタ装置から取り出した基板を真空装置内に移動させ、1Pa以下の高真空状態まで真空引きした後に高真空状態で熱処理を行い、Fe基ナノ結晶を生成させる。
熱処理条件は任意であり、薄膜の組成に応じて適宜選択してもよい。例えば、熱処理時間は0.1分以上600分以下、熱処理温度は400℃以上700℃以下である。
ここで、本実施形態に係る柱状構造を得るためには、熱処理時の昇温速度を速くすることが好ましい。150℃/min以上とすることが好ましいが、150℃/min未満であっても、軟磁性薄膜の組成によっては本実施形態に係る柱状構造を得ることが可能である。
得られた薄膜の磁気特性の測定方法は任意である。例えば、VSMを用いて測定することができる。
さらに、XRD測定により結晶構造の確認および結晶粒径の測定を行うことができる。そして、Feの結晶構造がbcc(体心立方格子構造)であり、結晶粒径が50nm以下の結晶のみからなるナノ結晶相であるか、それとも、結晶粒径が50nm超の結晶を含む結晶相からなっているかを確認することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
本実施形態に係る軟磁性薄膜の用途には特に制限はなく、磁性部品に用いられる。磁性部品としては、例えば薄膜インダクタが挙げられる。特に薄膜パワーインダクタに好適に用いることができる。さらに、当該軟磁性薄膜を用いた磁性製品、例えばセンサー、磁気ヘッド等が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
まず、熱酸化膜付きシリコン基板を6mm角にダイシングし、超音波洗浄を行うことでサンプル基板を作製した。熱酸化膜の厚さは0.62mmである。
次に、サンプル基板に対して、スパッタリングにより下表1に示す所定の組成の薄膜を成膜した。薄膜の厚さは100nmとした。スパッタ装置としては株式会社エイコー製スパッタ装置ES350を用いた。スパッタリングはArガス流量20sccmのAr雰囲気中で行った。また、成膜速度は120Å/min(12nm/min)、成膜圧力は0.3Paとした。
なお、成膜直後の薄膜についてPANalytical,Inc製XRD(Empyrean)を用いてXRD測定を行った。全ての実施例について成膜直後は非晶質であることを確認した。なお、XRD測定は回折角度2θが35°〜60°である範囲について行った。
成膜後、スパッタ装置から取り出したサンプル基板を真空装置内に移動させ、5.0x10−2Pa以下の高真空状態まで真空引きした後に高真空状態で熱処理を行った。真空装置としてはアドバンス理工株式会社製RTA3000を用いた。熱処理条件を表1に示す。
熱処理後の薄膜についてVSMを用いて磁気特性を測定した。磁気特性は株式会社玉川製作所製VSM(TM−VSM261483−HGC)を用いて測定した。磁気特性としては飽和磁束密度Bsおよび保磁力Hcについて測定した。また、測定磁場は−1000Oe〜+1000Oeとした。飽和磁束密度Bsは1.45T以上を良好とした。保磁力Hcは5.0Oe以下を良好とした。
さらに、XRD測定により結晶構造の確認および結晶粒径の測定を行った。なお、XRD測定は回折角度2θが35°〜60°である範囲について行った。XRD測定はPANalytical,Inc製XRD(Empyrean)を用いて行った。そして、軟磁性結晶粒子の結晶構造がbcc(体心立方格子構造)であり、結晶粒径が50nm以下の結晶のみからなっているか、それとも、結晶粒径が50nm超の結晶を含むかを確認した。そして、各実施例における軟磁性結晶粒子の平均結晶粒径を測定した。結果を表1に示す。なお、全ての実施例および比較例で 軟磁性結晶粒子の結晶構造がbcc(体心立方格子構造)であることが確認された。なお、実施例1、実施例6および比較例2のXRD測定結果を比較した図を図17に示す。
STEM(日本電子株式会社製JEM−2100F)によるADF像観察を行った結果、各実施例および比較例の結晶構造が柱状構造となっているか否かを解析した。具体的には、薄膜を厚さ方向に平行に切断して得られた切断面に対してSTEMを用いてADF像を観察し解析した。なお、加速電圧は200kVとした。結果を表1に示す。表1では、軟磁性結晶粒子が柱状構造となっている場合、すなわち、図1や図2に示すようなアモルファス相に覆われた軟磁性結晶粒子が積み重なった柱状構造が確認された場合を○、柱状構造となっていない場合を×とした。柱状構造となっていない場合とは、例えば、図3に示すようにアモルファス相に覆われた軟磁性結晶粒子がランダムに分散した構造が確認された場合が挙げられる。なお、全ての実施例において、柱状構造内の最短ナノ結晶間隔が、柱状構造間の最短ナノ結晶間隔よりも小さいことが確認された。
さらに、STEM−EDSを用いてFeのマッピング画像およびZrまたはNbのマッピング画像を作成した。STEM−EDSは日本電子株式会社製JEM−2100Fを用い、エネルギー幅を0〜20KeVとした。そして、柱状構造となっている部分は柱状構造同士の間の部分よりもFeの濃度が高く、かつ、ZrまたはNbの濃度が低いことを確認した。
さらに、薄膜を厚さ方向に平行に切断して得られた切断面をTEM(日本電子株式会社製JEM−2100F)を用いて解析した。その結果、全ての実施例において、TEMでは柱状構造を明瞭に観察する事ができないことを確認した。
実施例1のSTEM−ADF画像を図5、TEM画像を図6、Feマッピング画像を図7、Zrマッピング画像を図8に示す。実施例6のSTEM−ADF画像を図9、TEM画像を図10、Feマッピング画像を図11、Zrマッピング画像を図12に示す。比較例2のSTEM−ADF画像を図13、TEM画像を図14、Feマッピング画像を図15、Nbマッピング画像を図16に示す。
表1より、アモルファス相に覆われた軟磁性結晶粒子が積み重なった柱状構造が解析された実施例1〜17は柱状構造が解析されなかった比較例1および2と比較して飽和磁束密度Bsが同等以上に高くなり、保磁力Hcが低下した。特に実施例6、6aと比較例1、実施例8と比較例2、2aは互いに同組成の軟磁性薄膜でありながら、飽和磁束密度Bsおよび保磁力Hcが著しく異なる結果となった。実施例の中では、平均結晶粒径が小さいほど保磁力が低くなる傾向にあった。さらに、熱処理時の昇温速度が速いほど柱状構造が解析されやすい傾向にあった。
FeZrPSi系の組成である実施例4は熱処理時の昇温速度が10℃/minでも柱状構造が得られた。しかし、FeZrB系の組成である比較例1、および、FeNbB系の組成である比較例2は熱処理時の昇温速度が10℃/minで柱状構造が得られなかった。そして、柱状構造を得るためには、昇温速度をさらに高くしなければならなかった。
さらに、FeZrB系の組成である実施例6aは昇温速度50℃/minで柱状構造が得られた。しかし、FeNbB系の組成である比較例2aは昇温速度100℃/minでも柱状構造が得られなかった。
以上より、FeZrPSi系の組成、FeZrB系の組成、およびFeNbB系の組成の3種類の組成を比較した場合には、FeZrPSi系の組成が最も柱状構造が得られ易く、FeNbB系の組成が最も柱状構造が得られにくいことがわかった。
また、FeZrPSi系の組成について、ZrをHfに置き換えた実施例12も柱状構造が得られ良好な特性を示した。FeNbB系の組成について、Bの一部をPまたはCに置き換えた実施例9〜11も柱状構造が得られ良好な特性を示した。FeNbB系の組成について、NbをTaに置き換え、Bの一部をPに置き換えた実施例13も柱状構造が得られ良好な特性を示した。さらに、FeZrPSi系の組成について熱処理温度を変化させた実施例16および17も柱状構造が得られ良好な特性を示した。
また、図5〜図16の各図面より、柱状構造を有する実施例1および実施例6は柱状構造を有する部分のFe濃度が高くなり、Zr濃度が低くなった。これに対し、柱状構造を有しない比較例2はFe濃度およびNb濃度が薄膜内部で概ね均一であるように確認された。
また、XRD測定の結果、図17より、平均結晶粒径が小さい実施例1は平均結晶粒径が大きい実施例6および比較例2と比較してFe基ナノ結晶を示すピークが幅広くなった。
1A〜1C 軟磁性薄膜
11 軟磁性結晶粒子
12 柱状構造
13 アモルファス
α 柱状構造内の最短ナノ結晶間隔
β 柱状構造間の最短ナノ結晶間隔
T 厚さ方向
11 軟磁性結晶粒子
12 柱状構造
13 アモルファス
α 柱状構造内の最短ナノ結晶間隔
β 柱状構造間の最短ナノ結晶間隔
T 厚さ方向
Claims (7)
- 軟磁性結晶粒子を有する軟磁性薄膜であって、
前記軟磁性結晶粒子の平均粒径が3nm以上50nm以下であり、
前記軟磁性薄膜の厚さ方向に平行な任意の切断面に対してSTEMを使ってADF像を観察し、
前記軟磁性結晶粒子が柱状に積み重なっている柱状構造が確認されることを特徴とする軟磁性薄膜。 - さらにアモルファス相を有する請求項1に記載の軟磁性薄膜。
- 前記軟磁性結晶粒子が前記アモルファス相で覆われている請求項2に記載の軟磁性薄膜。
- 前記柱状構造内の最短ナノ結晶間隔が、柱状構造間の最短ナノ結晶間隔よりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載の軟磁性薄膜。
- 前記軟磁性薄膜がFeおよびCoから選択される1種以上を含有し、かつ、Nb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の軟磁性薄膜。
- 前記アモルファス相がNb,Zr,Hf,Ta,W,V,TiおよびMoから選択される1種以上を含有する請求項2〜5のいずれかに記載の軟磁性薄膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の軟磁性薄膜からなる磁性部品。
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