JP2019169495A - エッチング方法および半導体素子の製造方法 - Google Patents

エッチング方法および半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマを使用せずに、III族窒化物半導体を高速でエッチングできる、ドライプロセスによる異方性エッチングの方法を提供すること。【解決手段】塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、下記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスからなるエッチングガスを用いて、III族窒化物半導体をエッチングする熱エッチング工程を含むエッチング方法であって、前記第一のガスの流量に対する前記第二のガスの流量の混合比は、0.001以上0.30以下であることを特徴とする。CaXbHc・・・・・(1)(上記一般式(1)中、aは1以上6以下の整数であり、bは1以上13以下の整数であり、cは1以上13以下の整数であり、複数存在するXはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子よりなる群から選択される1種のハロゲン原子である。)【選択図】図1

Description

本発明は、エッチング方法およびそのエッチング方法による半導体素子の製造方法に関する。
III族窒化物半導体は、青色発光ダイオード(LED)、緑色LED、パワーデバイス、高周波デバイスならびに半導体レーザの材料として実用化され、その研究は盛んに行われている。III族窒化物半導体を加工する方法としては、塩素等を用いた異方性プラズマエッチングを行う方法が知られている(例えば特許文献1)。また、プラズマエッチングによりトレンチを形成した後に、その側面を平滑にし、かつプラズマエッチングによる欠陥を除去するため、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、NaOH、KOH等を用いたウェットエッチングを行う方法も知られている(例えば特許文献2および特許文献3)。プラズマを用いずに、III族窒化物半導体のドライエッチングを行う方法としては、ハロゲンガスを使用した熱エッチングも開示されている(例えば特許文献4)。
特開2008−219045号公報 特開2008−10608号公報 特開2008−205315号公報 特開平9−330916号公報
上記特許文献1に開示されるようなプラズマエッチング方法は、イオン照射よって結晶中に欠陥が生成されるほか、エッチング側面が平滑ではなく、デバイス特性に影響を及ぼす。また、プラズマエッチングのみによるエッチングでは、エッチング側面はしばしばテーパー状に形成され、トレンチやピラーなどの三次元構造を垂直に形成することができない。さらに、プラズマエッチング装置には、プラズマ発生装置、高周波電源等の大規模で高価な装置が必要であるという問題があった。
特許文献2や特許文献3に開示されるようなプラズマエッチングおよびウェットエッチングの併用では、プラズマによって生成された欠陥は低減できるものの、ウェットエッチングの速度が遅いという問題がある。さらに、ウェットエッチングのみではIII族窒化物半導体のGa極はエッチングできないため、プラズマエッチング、レーザーアブレーションなどによってあらかじめ結晶に欠陥を導入することが不可欠である。
特許文献4に開示される熱エッチングは、プラズマに起因するダメージがないという利点がある。しかしながら、例えば塩化水素を用いた場合には、400℃では実質的にはエッチング速度が0であり、700℃の場合には20分あたり1μmである。いずれの場合にもエッチング速度は不十分であり、また700℃でエッチングを実施するとデバイスが熱によるダメージを受ける恐れが高い。
このため、プラズマを使用せずに、III族窒化物半導体を高速でエッチングできる、ドライプロセスによる異方性エッチングの方法が望まれている。
本発明者らは、塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方からなるガスと、ハロゲン化合物ガスを組み合わせることにより、プラズマを使用せずに高速でIII族窒化物半導体の異方性エッチングを行う熱エッチング方法を見出した。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
本明細書において、「エッチング」とは、基板に、ビア、トレンチ、チャネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール、ピラー等、もしくはそれらを組み合わせた構造を有する三次元構造体を作製することをいう。また、「素子分離」とは、個々の素子がそれに隣接する素子と半導体とで架橋されていない状態にすることをいう。また、「異方性」とは、基板の結晶構造に起因したものであり、基板の結晶方向によりエッチング速度が異なることをいう。
[適用例1]
本発明に係るエッチング方法の一態様は、
塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、下記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスからなるエッチングガスを用いて、III族窒化物半導体をエッチングする熱エッチング工程を含むエッチング方法であって、前記第一のガスの流量に対する前記第二のガスの流量の混合比は、0.001以上0.30以下であることを特徴とする。
・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、aは1以上6以下の整数であり、bは1以上13以下の整数であり、cは1以上13以下の整数であり、複数存在するXはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子よりなる群から選択される1種のハロゲン原子である。)
上記一般式(1)中、aは好ましくは1以上3以下の整数であり、bは好ましくは1以上5以下の整数であり、cは好ましくは1以上7以下であり、Xは好ましくは塩素原子および/またはヨウ素原子である。第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比は、好ましくは0.005以上0.20以下である。本明細書において「混合比」とは、単位時間当たりの体積流量の比率である。
かかる適用例によれば、塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、上記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスにより、プラズマを使用せずに、ダメージの少ないIII族窒化物半導体のエッチングが実行できる。
第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比を、0.001以上0.30以下の範囲に制御することにより、マスク材料に対して、エッチング対象であるIII族窒化物半導体を選択的にエッチングできる。また、前述の混合比で第二のガスを使用することにより、III族窒化物半導体基板に対して略垂直方向に精度の高いエッチングが実行できる。
このエッチングプロセスは、III族窒化物半導体の側壁面のエッチングを抑制しながら、底面方向のエッチングを促進することができる。これにより、滑らかな表面構造が得られる。
また、プラズマエッチングを行い、テーパー状の三次元構造が形成されたIII族窒化物半導体に、本適用例のエッチング方法によりエッチングを実行することもできる。一般的なプラズマエッチングでは、テーパー状の三次元構造が形成され、略垂直な側壁を有する三次元構造を得ることはできない。本明細書において、「略垂直」とは、被エッチング処理体であるIII族窒化物半導体の基板表面方向に対して、90°±5°の傾きであることを意味する。しかしながら、本適用例にかかるエッチング方法によれば、テーパー状の三次元構造に対しても側壁面のエッチングを抑制しながら底面方向のエッチングを促進することができる。したがって、略垂直な側壁を有する表面構造を得ることができる。
[適用例2]
上記適用例において、
前記第二のガスは、CHF、CHCl、CHBr、CHI、CCl、CCl、CHCCl、CI、C、CIおよびCよりなる群から選択される少なくとも1種のガスであってもよい。
かかる適用例によれば、第二のガスの蒸気圧が高いことから、エッチング対象であるIII族窒化物半導体のエッチングに十分な量の第二のガスをIII族窒化物半導体基板に供給することができる。
[適用例3]
上記適用例の何れかにおいて、
前記III族窒化物半導体が六方晶の結晶構造を有するGaN化合物半導体またはAlGaN化合物半導体である場合において、前記熱エッチング工程は、極性面の法線方向(c軸)に対するエッチングを行うc軸エッチング工程を含むことが好ましい。
六方晶の結晶構造を有するIII族窒化物半導体は、平坦な上部表面に沿ったc面(いわゆるGa極)と、c面に垂直な側壁であるm面ファミリおよびa面ファミリと、c面に対して傾いたr面ファミリ等とを有することが知られている。c面は極性を有する極性面であり、m面ファミリおよびa面ファミリは極性を有しない非極性面であり、r面は半極性面である。
かかる適用例によれば、第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比を、0.001以上0.30以下の範囲に制御することにより、非極性面であるa面またはm面の法線方向に対するエッチングを抑制しながら、極性面であるc面の法線方向(c軸方向ともいう)に対するエッチングを促進することができる。このため、c軸エッチング工程では、極性面の法線方向(c軸)に対するエッチング速度が、非極性面の法線(a軸、m軸)方向に対するエッチング速度よりも大きい、異方性エッチングを実行することができる。
ところで、一般的なウェットエッチングではGa極をエッチングすることができないため、マスク層に一部を被覆された平坦なIII族窒化物半導体をエッチングすることにより三次元構造を形成することはできなかった。これに対し、本適用例によれば、III族窒化物半導体のGa極をエッチングすることができる。このため、マスク層に一部を被覆された平坦なIII族窒化物半導体に対してエッチングを実行することにより三次元構造を形成することができる。
[適用例4]
上記適用例の何れかにおいて、
前記熱エッチング工程は、300℃以上1000℃以下の温度でエッチングすることができる。
[適用例5]
上記適用例の何れかにおいて、
前記熱エッチング工程は、500℃以上800℃以下の温度でエッチングすることができる。
熱エッチング工程における温度は、III族窒化物半導体の特性、第一のガス及び第二のガスの特性、エッチングを実施する圧力等に応じて、好ましくは550℃以上650℃以下としてもよい。
かかる適用例によれば、III族窒化物半導体が高温となることによる熱ダメージを抑制しながら、十分な速度でエッチングを実行することができる。
[適用例6]
上記適用例の何れかにおいて、
水素ガス及び不活性ガスのうち少なくとも一方を含む第三のガスをさらに用いることができる。
かかる適用例によれば、第一のガスおよび第二のガスの濃度を制御することにより、エッチング速度を調整することが可能となる。
[適用例7]
上記適用例において、
前記不活性ガスは、N、He、Ar、Ne、KrおよびXeよりなる群から選択される少なくとも1種のガスを含むガスであっても良い。
[適用例8]
上記適用例の何れかにおいて、
前記熱エッチング工程は、10Torr以上700Torr以下の圧力でエッチングすることができる。
[適用例9]
上記適用例の何れかにおいて、
前記熱エッチング工程は、100Torr以上600Torr以下の圧力でエッチングすることができる。
かかる適用例によれば、エッチング対象であるIII族窒化物半導体のエッチングに十分な第一のガスおよび第二のガスが供給されるため、十分な速度でエッチングを実行することができる。
[適用例10]
上記適用例の何れかにおいて、
エッチングすべき部分以外の部分の前記III族窒化物半導体の表面をマスク層で被覆する工程をさらに含み、前記III族窒化物半導体を選択的にエッチングすることができる。
前記マスク層は絶縁膜であっても良い。マスク層の具体例としては、シリコン酸化物、シリコン窒化物、アモルファスカーボン、ドープドアモルファスカーボン、Si、金属窒化物、金属酸化物および金属よりなる群から選択される少なくとも1種の材料からなる膜が挙げられ、好ましくはシリコン酸化膜であるが、これらに限定されない。
かかる適用例によれば、マスク層で覆われた部分のIII族窒化物半導体は第一のガスおよび第二のガスと反応しないため、エッチングが抑制される。マスク層で覆われていない部分のIII族窒化物半導体のエッチングが促進されることから、所望の形状のマスク層を使用することにより、任意の部分にのみエッチングを実施することが可能となる。
[適用例11]
上記適用例の何れかにおいて、
エッチングすべき部分以外の部分の前記III族窒化物半導体の表面をマスク層で被覆する工程と、
前記III族窒化物半導体にプラズマエッチングにより三次元構造を形成するプラズマエッチング工程と、をさらに含むこともできる。
かかる適用例によれば、プラズマエッチング工程ではIII族窒化物半導体にテーパー上の三次元構造が形成される。プラズマエッチング工程実施後に上記の熱エッチング工程を実施すれば、略垂直な側壁を有する三次元構造を形成することができる。さらに、エッチング前に三次元構造の側壁表面が有していた欠陥を除去し、滑らかな側壁表面を得ることができる。
[適用例12]
上記適用例の何れかにおいて、
前記熱エッチング工程は、前記III族窒化物半導体のc面以外の面をエッチングすることができる。
[適用例13]
上記適用例において、
前記c面以外の面は、半極性面または非極性面であることができる。
かかる適用例によれば、c面以外を選択的にエッチングすることができるため、異方性エッチングを実施することが可能となる。
[適用例14]
本発明に係る半導体素子の製造方法の一態様は、上記適用例の何れかのエッチング方法により、前記III族窒化物半導体の素子分離領域の一部に、一方向に延在する複数の溝部を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る半導体素子の製造方法によれば、異方性を有するIII族窒化物半導体のエッチングが可能であることから、III族窒化物半導体を選択的に除去し、素子分離領域の一部に、一方向に延在する複数の溝部を形成し、III族窒化物半導体層を劈開することによって素子分離し、半導体素子を得ることが可能となる。具体的には、III族窒化物半導体の極性面の法線方向を選択的にエッチングし、素子分離により半導体素子を得ることが可能となる。
[適用例15]
本発明に係る半導体素子の製造方法の一態様は、上記適用例の何れかのエッチング方法により、ファセットで画成された側壁面を有するトレンチを形成する工程を含むことを特徴とする。
[適用例16]
本発明に係る半導体素子の製造方法の一態様は、上記適用例の何れかのエッチング方法を実施した後に、前記エッチング方法によりエッチングされたIII族窒化物半導体の表面を、リン酸水溶液、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液およびKOH水溶液よりなる群から選択される少なくとも1種の水溶液を用いて除去するダメージ層除去工程をさらに含む
以上に述べたとおり、本発明によれば、プラズマを使用することなく、高速で、六方晶III族窒化物半導体の極性面の法線方向に、ダメージの少ないエッチングを実施することが可能となる。
本発明に係るエッチング方法によれば、塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、上記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスからなるエッチングガスを、所定の混合比で用いることにより、プラズマを使用することなく、高速で、III族窒化物半導体の極性面の法線方向に、ダメージの少ないエッチングを実施することが可能となる。
本実施形態で好適に用いられるエッチング装置の概略構成図である。 実施例1におけるエッチング前後の被エッチング処理体を模式的に示す断面図である。 比較例1で得られたエッチング処理後の被エッチング処理体断面のSEM写真である。 比較例3で得られたエッチング処理後の被エッチング処理体断面のSEM写真である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
<エッチング方法>
本実施形態に係るエッチング方法は、塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、下記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスからなるエッチングガスを、III族窒化物半導体の基板を収納したチャンバー内に導入し、エッチングを行う熱エッチング工程を含む方法である。
・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、aは1以上6以下の整数であり、bは1以上13以下の整数であり、cは1以上13以下の整数であり、複数存在するXはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子よりなる群から選択される1種のハロゲン原子である。)
第一のガスは、塩素ガスまたは塩化水素ガスのいずれか一方を含むガスであってもよく、それらの混合ガスであっても良い。
第二のガスは、下記一般式(1)で表されるガスを含む。
・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、aは1以上6以下の整数であり、bは1以上13以下の整数であり、cは1以上13以下の整数であり、複数存在するXはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子よりなる群から選択される1種のハロゲン原子である。)
aは好ましくは1以上3以下の整数であり、bは好ましくは1以上5以下の整数であり、cは好ましくは1以上7以下の整数であり、Xは好ましくは塩素原子および/またはヨウ素原子である。第二のガスとしては、例えば、CHF、CHCl、CHBr、CHI、CCl、CCl、CHCCl、CI、C、CIおよびCよりなる群から選択される少なくとも1種のガスであることが好ましい。これらの中でも、蒸気圧が比較的高いために十分な量のガスを供給でき、III族窒化物半導体基板に対して略垂直方向により精度の高いエッチングが実行できる観点から、CHClおよび/またはCHIが好ましい。
また、本実施形態に係るエッチング方法では、前記チャンバー内に水素ガス及び不活性ガスのうち少なくとも一方を含む第三のガスをさらに導入してもよい。前記第一のガス、前記第二のガスおよび前記第三のガスは、チャンバー導入前に混合されてもよく、チャンバー内で混合されてもよい。
ここで不活性ガスは、III族窒化物半導体と反応しないガスであればよく、例えばN、He、Ar、Ne、KrおよびXeよりなる群から選択される少なくとも1種のガスを含むガスが挙げられる。
本実施形態に係るエッチング方法によりエッチングするIII族窒化物半導体は、III族元素と窒素を含有する化合物半導体であればよく、例えば窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、窒化インジウムガリウムおよび窒化アルミニウムガリウムからなる群より選択される少なくとも1つの膜およびそれらの組み合わせであってもよい。
III族窒化物半導体の基板表面の一部は、絶縁膜でマスクされていてもよい。絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、アモルファスカーボン、ドープドアモルファスカーボン、Si、金属窒化物、金属酸化物、有機フォトレジストおよび金属よりなる群から選択される少なくとも1種の材料からなる群から選択される少なくとも1つの膜であればよい。
III族窒化物半導体層は、サファイアやSiC、Siを基板としてMOCVD、HVPEなどの気相成長により形成される。また、アモノサーマル法やナトリウムフラックス法などによっても得られる。これらの方法で得られた半導体層の伝導型は、n型またはp型であってもよく、真正半導体であってもよい。また、単層であっても別の半導体層との組み合わせである複層であってもよい。
III族窒化物半導体は、次のような方法によりマスクされていてもよい。マスク層は、CVDやPVDなどの堆積法によって形成される。このマスク層はパターニングによって、任意の形状のパターンを形成することができる。パターニングは、例えばフォトレジストを用いてフォトリソグラフィー法によって行うことができる。次に、パターニングされたマスク層をエッチングすることで、エッチングすべき箇所のIII族窒化物半導体膜を露出する。
上記の方法で製造されたIII族窒化物半導体の表面は、酸性水溶液を用いて洗浄してもよい。酸性水溶液は、III族窒化物半導体の表面酸化物や、マスク層のドライエッチングによって付着した金属粒子を除去することができればよく、例えばフッ化水素酸水溶液や塩酸が挙げられる。
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係るエッチング方法について説明する。図1は、本実施形態で好適に用いられる装置の概略構成図である。
まず、図1に示すように、被エッチング処理体であるIII族窒化物半導体の基板11をチャンバー21内に収容する。チャンバー21内には、チャンバーの容積と、基板の大きさに応じて、エッチング処理を行うための被エッチング処理体を1〜200個程度収容することができる。
このとき、真空ポンプ45と圧力調整機構22により、チャンバー21内の圧力を所定の圧力とし、温度調節機構23によりチャンバー21内の温度を所定の温度とする。圧力調整機構22には背圧弁または圧力調整弁を用いることができるが、これらに限定されない。温度調節機構23としては、例えば電気ヒーターによる温度調節機構を用いることができるが、これに限定されない。
チャンバー21内の温度は、温度調節機構23により所定の温度に設定することができる。チャンバー21内の温度の下限値は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは500℃であり、特に好ましくは550℃である。チャンバー21内の温度の上限値は、好ましくは1000℃以下であり、より好ましくは800℃であり、さらにより好ましくは700℃であり、特に好ましくは650℃である。
チャンバー21内の圧力の下限値は、好ましくは10Torrであり、より好ましくは50Torrであり、さらに好ましくは100Torrであり、特に好ましくは200Torrである。チャンバー21内の圧力の上限値は、好ましくは700Torrであり、より好ましくは600Torrであり、さらに好ましくは500Torrであり、特に好ましくは350Torrである。
チャンバー21は、第一のガスおよび第二のガスの特性やエッチング条件に応じて、例えばステンレススチール製や、表面被覆されたステンレススチール製、石英製とすることができるが、これに限定されない。
続いて、第一のガスと第二のガスとをチャンバー21内に導入する。図1に示すように、第一ガス容器31から第一流量調節機構32を介して供給される第一のガスと、第二ガス容器33から第二流量調整機構34を介して供給される第二ガスとが、チャンバー21の上流側で合流してからチャンバー21に導入することもできる。第一のガスと第二のガスとが第一流量調節機構32および第二流量調節機構34からそれぞれチャンバー21に導入され、チャンバー21内で混合されてもよい。
さらに第三のガスを導入する場合には、第三ガス容器35から、第三流量調整機構36を介して第三のガスをチャンバー21に導入してもよい。第一のガス、第二のガス、および第三のガスは、チャンバー21に導入される前に所定の温度に加温されてもよい。
第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比は、第一流量調節機構32および第二流量調整機構34により、0.001以上0.30以下、好ましくは0.005以上0.20以下の範囲に制御される。
この際、第二のガスは、ガス状態または液体状態でチャンバー21内に導入することができる。第二のガスが第二ガス容器33内で液体状態であり、第二のガスをガス状態でチャンバー21に導入する場合には、第二ガス容器33から直接に蒸気を導出する方法、第二ガス容器33内の材料の液滴を第二ガス容器33から導出後に、ヒーター上に滴下し、発生した蒸気を導入するダイレクトインジェクション方法、または第二ガス容器33にキャリアガスを導入してバブリングにより蒸気を同伴させて導入する方法が好適に用いられるが、これらに限定されない。バブリングするために導入するキャリアガスとしては、Ar、He、N、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。第二のガスをチャンバー21に液体状態で導入する場合には、チャンバー21内に液滴を滴下し蒸発させる方法が好適に用いられる。第一流量調整機構32は第一のガスの性状、特性等に応じて、第二流量調整機構34は第二のガスの性状、特性等に応じて、第三流量調整機構36は第三のガスの正常、特性等に応じて、マスフローコントローラ、可変リークバルブ、または液体流量計を使用することができるが、これらに限定されない。
チャンバー21内に導入される第一のガスの流量は、第一流量調整機構32により、例えば10SCCM〜2000SCCMの範囲内のガス流量または液体流量とする。チャンバー21内に導入される第二のガスの流量は、第二流量調整機構34により、例えば0.01SCCM〜600SCCMの範囲内のガス流量または液体流量とする。チャンバー21内に導入される第三のガスの流量は、第三流量調整機構36により、例えば0.1SCCM〜5000SCCMの範囲内のガス流量とする。前記流量はチャンバー21の容量、被エッチング処理体の個数、第一のガスおよび/または第二のガスの性状等に応じて変更することができる。
チャンバー21内に第一のガスおよび第二のガスを導入する時間は、チャンバー21の容量、被エッチング処理体の個数および膜厚、ガスの性状等に応じて変更することができ、例えば30秒から120分の範囲とすることができる。
チャンバー21内では、III族窒化物半導体と、第一のガスおよび第二のガスを反応させてエッチングを行う。第二のガスは、第一のガスによるIII族窒化物半導体をエッチングする反応を抑制する効果があると考えられる。エッチングを抑制する効果は、極性面の法線方向であるc軸方向よりも、無極性面の法線方向であるa軸およびm軸方向で特に顕著であると考えられる。その結果、本実施形態に係るエッチング方法では、c面におけるエッチング速度が、a面またはm面におけるエッチング速度よりも速い現象がみられる。その結果、異方性の高いエッチングが実行できると考えられる。
本実施形態に係るエッチング方法によれば、III族窒化物半導体の基板に対して略垂直方向にエッチングする場合において、エッチングされた部分の側壁のエッチングを抑制する機能を有する第二のガスと、エッチングを促進する機能を有する第一のガスとを所定の割合でチャンバー21内に導入することにより、プラズマを用いなくともエッチング速度が速く、かつ、異方性の高いエッチングが実行できる。
本実施形態に係るエッチング方法によれば、第一のガスおよび第二のガスを反応させてエッチングを行うことにより、無極性面の法線方向でのエッチングを抑制しながら、極性面の法線方向のエッチングを行う異方性エッチングを実行することが可能となる。このため、マスク層により一部が被覆された平坦なIII族窒化物半導体に対して本実施形態に係るエッチング方法を実行することにより、III族窒化物半導体のマスク層により被覆されていない部分について、異方性エッチングを実行することができる。
また、プラズマエッチングにより形成されたテーパー状の三次元構造に対して本実施形態に係るエッチング方法を実行することにより、略垂直方向の側壁を有する三次元構造とすることができる。
<半導体素子の製造方法>
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング方法により、III族窒化物半導体の素子分離領域の一部に一方向に延在する複数の溝部を形成する工程を含む。かかる半導体素子の製造方法によれば、異方性を有するIII族窒化物半導体のエッチングが可能であることから、III族窒化物半導体を選択的に除去し、素子分離領域の一部に、一方向に延在する複数の溝部を形成し、III族窒化物半導体層を劈開することによって素子分離し、半導体素子を得ることが可能となる。具体的には、III族窒化物半導体の極性面の法線方向を選択的にエッチングし、素子分離により半導体素子を得ることが可能となる。
別の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング方法によりファセットで画成された側壁面を有するトレンチを形成する工程を含む。かかる半導体素子の製造方法によれば、プラズマを使用することなく、高速で、六方晶III族窒化物半導体の極性面の法線方向に、ダメージの少ないエッチングを実施できるので、ファセットで画成された側壁面を有するトレンチを容易に形成することができる。
さらに別の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング方法における熱エッチング工程の実施前に、III族窒化物半導体の表面を酸性水溶液により洗浄する洗浄工程をさらに含む。かかる半導体素子の製造方法によれば、エッチングプロセスで形成された表面に生成される酸化膜を除去することができ、エッチング速度のばらつきを抑制して滑らかな表面を得ることができる。
さらに別の実施形態に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング方法によりエッチングされたIII族窒化物半導体の表面を、リン酸水溶液、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液およびKOH水溶液よりなる群から選択される少なくとも1種の水溶液を用いて除去するダメージ層除去工程をさらに含む。これらの水溶液は、III族窒化物半導体の非極性面または半極性面を、極性面よりも大きいエッチング速度でエッチングすることができるため、さらに精度よくエッチングを制御することができる。ここで「ダメージ層」とは、例えば、エッチングにより結晶性が損なわれた部分を含む層のことをいう。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
c面を主面とするGaN層の表面に、エッチング処理を行いたい位置以外の位置にSiOからなるマスク層を形成し、パターニングしたIII族窒化物半導体を被エッチング処理体として、下表1に示す条件でエッチングを行った。図1に示す装置を用いて、GaN層のエッチングを実施した結果を図3および表1に示す。
実施例1では、第一のガスとして塩素ガス(純度99.95%)を使用し、第二のガスとしてCHI(純度99%)またはCHCl(純度99%)、第三のガスとして不活性ガスである窒素ガス(純度99.95%)を使用した。それぞれのガスの流量を表1に示す。第一のガスの流量に対する前記第二のガスの流量の混合比は、実施例1−A及び1−Bでは0.018、実施例1−Cでは0.009であった。
チャンバー21内の温度は、600℃となるように温度調節機構23により調整した。チャンバー21内の圧力は、300Torrとなるように圧力調整機構22により調整した。チャンバー21に、上記のIII族窒化物半導体である被エッチング処理体を配置した。第一のガス、第二のガス、第三のガスは、それぞれマスフローコントローラにより制御された流量を供給し、チャンバー21導入前に混合した後に、チャンバー21に導入した。一定時間、エッチングを行った後にチャンバー21内を不活性ガスによりパージした。その後、チャンバー21内を大気圧にまで復圧し、被エッチング処理体を取り出した。取り出した被エッチング処理体について、エッチング速度を測定した。
図2は、実施例1におけるエッチング前後の被エッチング処理体を模式的に示す断面図である。図2(A)は、エッチング前の被エッチング処理体を表しており、図2(B)は、エッチング後の被エッチング処理体を表している。図2(A)に示すように、エッチング前の、パターニングしたIII族窒化物半導体は、c面を主面とするGaN層(図2(A)中の102)と、SiOからなるマスク層(図2(A)中の101)とからなる。図2(B)に示すように、エッチング後のIII族窒化物半導体は、マスク層101により被覆されていない部分のGaN層102がエッチングにより溝状にエッチングされる(図2(B)参照)。
ここで、GaN層102の非極性面の法線方向のエッチング深さは、図2(B)に202で示す、マスク層101の端部104からGaN層のc面に沿った方向にエッチングされた距離(図2(B)中の202)により確認される。
GaN層102の極性面の法線方向のエッチング深さは、エッチング前の、マスク層101に被覆されていないGaN層102の表面の水準(103)から溝の深さ方向にエッチングされた距離(図2(B)中の201)により確認される。
所定の条件下におけるGaN層のエッチング速度の測定には、日立製作所社製SEM(機種名:S−5200)を使用した。
表1に示すように、塩素ガスとCHIまたはCHClとの混合ガスを使用して、第一のガスに対する第二のガスの混合比を0.018または0.009としてエッチングを行った結果、極性面の法線方向のエッチング速度は、非極性面の法線方向のエッチング速度よりも大きいことが確認できた。また、塩素ガスとCHIまたはCHClとの混合比を変化させても非極性面の法線方向のエッチング速度が大きい特性は維持されることが確認された。
以上により、Clを含む第一のガスとCHIまたはCHClを含む第二のガスを用いて異方性エッチングを実施できることが確認された。
(実施例2)
SiOマスクを用いてパターニングを行ったGaN層に対し、ClとBClを用いてICPエッチングを行うことによりトレンチ構造が形成されたIII族窒化物半導体を被エッチング処理体として、下表2に示す条件でエッチングを行った。エッチング前のトレンチ側面はテーパー状となっており、c面以外の面(すなわち、a面、m面またはr面等の非極性面または半極性面)が露出していた。図1に示す装置を用いて、GaN層のエッチングを実施した結果を表2に示す。
実施例2では、第一のガスとして塩素ガス(純度99.95%)を使用し、第二のガスとしてCHI(純度99%)、第三のガスとして不活性ガスである窒素ガス(純度99.95%)を使用した。それぞれのガスの流量を表2に示す。第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比は、実施例2−B及び2−Cでは0.014、実施例2−A,2−D,2−E,2−Fでは0.072であった。
チャンバー21内の温度は、表2に示す設定温度となるように温度調節機構23により調整した。チャンバー21内の圧力は、表2に示す設定圧力となるように圧力調整機構22により調整した。チャンバー21には、III族窒化物半導体である被エッチング処理体を配置した。第一のガス、第二のガス、第三のガスは、それぞれマスフローコントローラにより制御された流量を供給し、チャンバー21導入前に混合した後に、チャンバー21に導入した。一定時間、エッチングを行った後にチャンバー21内を不活性ガスによりパージした。
その後、チャンバー21内を大気圧にまで復圧し、被エッチング処理体を取り出した。取り出した被エッチング処理体について、日立製作所社製SEM(機種名:S−5200)により観察を行い、トレンチの側壁の滑らかさおよび、トレンチの形状が垂直な側壁を有するU字形状となっているかについて確認を行った。
表2に示すように、塩素ガスおよびCHIを使用してエッチングを行った結果、略垂直な側面を有するU字溝状のトレンチを形成することができた。また、エッチング前には荒れていた側壁表面が、エッチング後には滑らかになっていた。エッチングの圧力を225Torrまたは300Torrとした条件においては、特に側壁表面が滑らかであったことから、200Torr以上350Torrの圧力においては特に側壁表面の欠陥を除去し、滑らかな側壁表面を形成することができることが推認された。
(実施例3)
実施例3では、SiOマスクを用いてホール形状のパターニングを行ったGaN層に対し、第一のガスとして塩素ガス(純度99.95%)を使用し、第二のガスとしてCHI(純度99%)、第三のガスとして不活性ガスである窒素ガス(純度99.95%)を使用した。それぞれのガスの流量を表3に示す。第一のガスの流量に対する前記第二のガスの流量の混合比は、0.018であった。
チャンバー21内の温度は、625℃となるように温度調節機構23により調整した。チャンバー21内の圧力は、300Torrとなるように圧力調整機構22により調整した。チャンバー21に、上記のIII族窒化物半導体である被エッチング処理体を配置した。第一のガス、第二のガス、第三のガスは、それぞれマスフローコントローラにより制御された流量を供給し、チャンバー21導入前に混合した後に、チャンバー21に導入した。一定時間、エッチングを行った後にチャンバー21内を不活性ガスによりパージした。その後、チャンバー21内を大気圧にまで復圧し、被エッチング処理体を取り出した。取り出した被エッチング処理体について、表面形状を観察した。
その後、取り出した被エッチング処理体について、TMAH水溶液を用いてウェットエッチングを行った。前期ウェットエッチングは、25%TMAH水溶液を90℃に加温したものを用いて行った。一定時間ウェットエッチングを行った後、純水を用いてリンスし、さらに1%HF水溶液を用いてSiOからなるマスク層をGaN層から除去した。このサンプルを純水で洗浄したものについて、SEMを用いて形状の観察を行った。
表3に示すように、塩素ガスおよびCHIを使用してエッチングを行った結果、円筒形状のホールが形成できるが、これにさらにTMAH水溶液でウェットエッチング処理を施すことで、略垂直な側面を有する六角筒構造のホールを形成することができた。
(比較例1)
第二のガスを導入せずに、実施例1と同様のエッチングを実施した。第一のガスとして塩素ガス(純度99.95%)を使用し、第三のガスとして不活性ガスである窒素ガス(純度99.95%)を使用した。c面を主面とするGaN層の表面に、エッチング処理を行いたい位置以外の位置にSiOからなるマスク層を形成し、パターニングしたIII族窒化物半導体を被エッチング処理体として、エッチングを行った。塩素ガスの流量は250SCCM、窒素ガスの流量は750SCCMとした。エッチング処理後の被エッチング処理体のSEM観察結果を図3に示す。
その結果、GaN層の表面は異方性エッチングがされなかった。塩素ガスのみでは異方性エッチングにならず、Ga極のエッチングをすることは不可能であることが確認された。また、GaN層の表面だけでなく、GaN層の内部にボイドが発生し、塩素ガスによるダメージが発生したことが確認された。
(比較例2)
第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比を変化させて、実施例1と同様のエッチングを実施した。具体的には、第一のガスとして塩素ガスを使用し、第二のガスとしてCHIを使用し、第三のガスとして窒素ガスを使用した。第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比は0.36とした。
c面を主面とするGaN層の表面に、エッチング処理を行いたい位置以外の位置にSiOからなるマスク層を形成し、パターニングしたIII族窒化物半導体を被エッチング処理体として、エッチングを行った。その結果、エッチングがなされず、GaN層の表面に炭素含有成分が堆積する現象が見られた。
第一のガスの流量に対する第二のガスの流量の混合比を0.36とすると、エッチングは実行できないことが確認された。
(比較例3)
第二のガスを導入せずに、実施例2と同様のエッチングを実施した。第一のガスとして塩素ガス(純度99.95%)を使用し、第三のガスとして不活性ガスである窒素ガス(純度99.95%)を使用した。SiOマスクを用いてパターニングを行ったGaN層に対し、ClとBClを用いてICPエッチングを行うことによりトレンチ構造が形成されたIII族窒化物半導体を被エッチング処理体として、エッチングを行った。塩素ガスの流量は250SCCM、窒素ガスの流量は750SCCM、温度は575℃、圧力は225Torrとした。エッチング処理後のトレンチのSEM観察結果を図4に示す。
その結果、テーパー状であったトレンチは、エッチング後もテーパー状を維持しており、略垂直な側壁面は得られなかった。またトレンチの側壁表面は、エッチング前よりも荒れが大きくなった。
以上の結果から、第一のガスおよび第二のガスの両方を用いなければ異方性エッチングをすることはできないことが確認された。
第一のガスおよび第二のガスの両方を用いた場合には、III族窒化物半導体の異方性エッチングが可能となる。さらに上記方法によるエッチングの実施後には滑らかなIII族窒化物半導体表面が得られる。さらに、ICPエッチングを実施して表面が荒れた三次元構造について上記方法によるエッチングを実施すると、略垂直なトレンチ側壁面が得られ、トレンチ表面の欠陥が除去されることが確認された。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
11…基板(被エッチング処理体)、21…チャンバー、22…圧力調整機構、23…温度調節機構、31…第一ガス容器、32…第一流量調整機構、33…第二ガス容器、34…第二流量調整機構、35…第三ガス容器、36…第三流量調整機構、45…真空ポンプ、101…マスク層、102…GaN層、103…GaN層の表面水準、104…マスク層の端部、201…GaN層の極性面の法線方向のエッチング深さ、202…GaN層の非極性面の法線方向のエッチング深さ

Claims (16)

  1. 塩素ガス及び塩化水素ガスのうち少なくとも一方を含む第一のガスと、下記一般式(1)で表されるガスを含む第二のガスとの混合ガスからなるエッチングガスを用いて、III族窒化物半導体をエッチングする熱エッチング工程を含むエッチング方法であって、
    前記第一のガスの流量に対する前記第二のガスの流量の混合比は、0.001以上0.30以下であることを特徴とするエッチング方法。
    ・・・・・(1)
    (上記一般式(1)中、aは1以上6以下の整数であり、bは1以上13以下の整数であり、cは1以上13以下の整数であり、複数存在するXはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子よりなる群から選択される1種のハロゲン原子である。)
  2. 前記第二のガスが、CHF、CHCl、CHBr、CHI、CCl、CCl、CHCCl、CI、C、CIおよびCよりなる群から選択される少なくとも1種のガスからなることを特徴とする、請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記III族窒化物半導体が六方晶の結晶構造を有するGaN化合物半導体またはAlGaN化合物半導体である場合において、前記熱エッチング工程が、極性面の法線方向にエッチングを行うc軸エッチング工程を含む、請求項1または請求項2に記載のエッチング方法。
  4. 前記熱エッチング工程は、300℃以上1000℃以下の温度でエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  5. 前記熱エッチング工程は、500℃以上800℃以下の温度でエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  6. 前記熱エッチング工程において、水素ガス及び不活性ガスのうち少なくとも一方を含む第三のガスをさらに用いることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  7. 前記不活性ガスが、N、He、Ar、Ne、KrおよびXeよりなる群から選択される少なくとも1種のガスを含むことを特徴とする、請求項6に記載のエッチング方法。
  8. 前記熱エッチング工程は、10Torr以上700Torr以下の圧力でエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  9. 前記熱エッチング工程は、100Torr以上600Torr以下の圧力でエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  10. エッチングすべき部分以外の部分の前記III族窒化物半導体の表面をマスク層で被覆する工程をさらに含み、
    前記熱エッチング工程において、前記III族窒化物半導体を選択的にエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  11. エッチングすべき部分以外の部分の前記III族窒化物半導体の表面をマスク層で被覆する工程と、
    前記III族窒化物半導体にプラズマエッチングにより三次元構造を形成するプラズマエッチング工程と、
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  12. 前記熱エッチング工程は、前記III族窒化物半導体のc面以外の面をエッチングすることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  13. 前記c面以外の面は、半極性面または非極性面であることを特徴とする、請求項12に記載のエッチング方法。
  14. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法により、前記III族窒化物半導体の素子分離領域の一部に、一方向に延在する複数の溝部を形成する工程を含む、半導体素子の製造方法。
  15. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法により、ファセットで画成された側壁面を有するトレンチを形成する工程を含む、半導体素子の製造方法。
  16. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエッチング方法を実施した後に、前記エッチング方法によりエッチングされたIII族窒化物半導体の表面を、リン酸水溶液、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液およびKOH水溶液よりなる群から選択される少なくとも1種の水溶液を用いて除去するダメージ層除去工程をさらに含む、半導体素子の製造方法。
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